これ書くかどうかめちゃくちゃ迷ったんだけど、もう時効かなと思って投稿します。
大学2年の夏の話。俺は都内の私大に通ってて、同じゼミの翔太ってやつとつるんでた。翔太は立川の実家暮らしで、家がバカでかい。親父さんが不動産やってるとかで、二世帯住宅みたいな造りの一軒家。俺は国分寺のボロアパートに一人暮らしだったから、翔太の家でゲームしたり飯食わせてもらったりするのが週末のルーティンになってた。
で、翔太には四つ上のお姉さんがいた。
名前は伏せるけど、初めて会ったのは大学入ってすぐの5月。翔太の部屋でモンハンやってたら、ノックもなしにドアが開いて、
「翔太、お母さんが晩ごはんって」
って言いながら入ってきた人がいて。
俺、コントローラー落とした。
マジで。ガチャンって音がして翔太に「おい壊すなよ」って言われたけど、それどころじゃなかった。
身長は163くらいかな。髪はダークブラウンの鎖骨くらいのセミロングで、その日はゆるく一つに結んでた。顔は――これ怒られるかもしれないけど、今田美桜に似てる。目がくりっとしてて、でも笑うと目尻が下がってちょっとたれ目になるところとか。化粧はほぼしてない感じなのに肌がきれいで、Tシャツとスウェットっていうラフな格好なのに、なんかもう全部が眩しかった。
(いや誰???)
「あ、翔太の友達?いつもうるさくしてごめんね」
「あっ、いえ、こちらこそお邪魔してます…」
声が裏返った。完全に裏返った。翔太は何も気づいてなかったけど、俺の心臓はもうドラムロールだった。
それがお姉さんとの最初の出会い。
翔太に聞いたら、お姉さんは当時26歳で、都内のIT企業で働いてるらしい。最近ちょっと体調崩して、しばらく実家に戻ってきてるとのこと。
「へー、お姉さんいたんだ。全然知らなかった」
「つーか似てないな、お前と」
――じゃなくて翔太が「うるせーよ」って返してきたけど、まあ実際似てなかった。翔太は坊主頭のゴリラ体型だし。
それからというもの、翔太の家に行くたびにお姉さんの気配を探すようになった。自分でもキモいなとは思ってた。でも止められなかった。
廊下ですれ違うと会釈してくれる。たまにリビングでテレビ見てると、キッチンにお茶を淹れに来て、俺の分まで出してくれる。
「はい、麦茶。氷いる?」
「あ、ありがとうございます…」
たったそれだけのやりとりで一週間は生きていけた。(重い)
ある日、翔太が風呂に入ってる間にリビングで一人でスマホ触ってたら、お姉さんがソファの反対側に座ってきた。
「ねえ、君さ、毎週来てるよね」
「あ、はい…すみません、入り浸っちゃって」
「ううん、そうじゃなくて。翔太楽しそうだから嬉しいなって。あの子、高校のとき友達少なかったから」
「え、そうなんですか?」
「うん。だから君が来てくれるようになって、お母さんも喜んでるよ」
にこって笑われて、(あ、これ好きだわ)って確信した。
いや、最初から好きだったんだけど、この瞬間に「顔がタイプ」から「人として好き」に変わった気がする。弟の友達関係まで気にかけてるところとか、さりげなく麦茶出してくれるところとか。
でも、当然ながら手は出せない。翔太の姉だし、4歳上だし、何より俺みたいなフツメンの大学生が相手にされるわけがない。身長172、体重62キロ、顔面偏差値はよく見て50。服はユニクロとGUのローテーション。対するお姉さんは今田美桜似のIT企業勤務。勝てる要素が一個もない。
だから、ただの片思いとして胸の中にしまっておくつもりだった。
夏休みに入って、翔太と二人で家でオールしようってなった。8月の頭、花火大会の日。立川の昭和記念公園の花火が翔太の家の二階から見えるっていうから、ビールとか買い込んで行った。
花火を見ながら翔太と缶ビール飲んで(未成年飲酒はよくないです、はい)、ゲームして、翔太は1時くらいに先に寝落ちした。酒に弱いくせに飲むからこうなる。
俺は全然眠くなかったから、喉乾いたのもあってキッチンに水を飲みに行った。
階段を降りてキッチンの電気をつけたら、誰かいた。
お姉さんが、ダイニングテーブルに突っ伏してた。
「え……」
最初は寝てるのかと思った。でも近づいたら、かすかにしゃくり上げてる音が聞こえた。泣いてた。
「あの……大丈夫ですか」
「っ……!」
ばっと顔を上げたお姉さんの目が真っ赤だった。鼻も赤くて、前髪が額に張り付いてて、テーブルの上にはスマホと、空いたレモンサワーの缶が2本。
「あ……ごめん、起こしちゃった?」
「いえ、水飲みに来ただけで……」
「そっか……ごめんね、変なとこ見せちゃって」
慌てて涙を拭いてるお姉さんを見て、俺はどうしていいかわからなかった。帰った方がいいのか、声をかけた方がいいのか。でも、泣いてる人をそのまま置いていくのは無理だった。
「あの、俺でよかったら……話聞きますけど」
我ながらクソダサいセリフだと思った。でもお姉さんは少し笑って、
「……座って」
って椅子を引いてくれた。
聞いた話をまとめると、お姉さんは仕事のストレスで体壊して実家に戻ってきてたんだけど、付き合ってた彼氏に「お前といても疲れる」って言われて最近振られたらしい。3年付き合ってた相手だったって。
「私が弱ってるときに離れていく人だったんだなって。それが一番きつかった」
「……それはそいつがクソですね」
思わず敬語が抜けた。でもお姉さんは笑った。
「あはは、ストレートだね」
「すみません、つい」
「ううん。なんか、そう言ってもらえるとちょっと楽になる」
そこから小一時間、いろんな話をした。仕事のこと、体調のこと、実家に戻ってきた居心地の悪さ。お姉さんはレモンサワーをもう一本開けて、俺にも麦茶を出してくれた。泣いてるのに人に気を遣うのがこの人らしいなと思った。
「ねえ、君って彼女いるの?」
急にそう聞かれて、心臓が跳ねた。
「いないです。もう1年くらい」
「えー、もったいない。優しいのに」
「優しいだけじゃモテないんすよ……」
「そんなことないと思うけどなぁ」
(それ本気で言ってます???)って叫びたかったけど堪えた。
お姉さんが少し酔ってきたのか、テーブルに頬杖をついて、とろんとした目でこっちを見てきた。
「なんか、君と話してると安心する。不思議」
「……ありがとうございます」
「年下なのにね。翔太の友達なのにね」
その「なのにね」の言い方がやけに意味深で、俺の頭の中はパニックだった。(いや待て、これは酔ってるだけだ。酔った人の言葉を真に受けるな。ここで勘違いしたら取り返しがつかない)
「ねえ、もうちょっとだけ、ここにいてくれない?」
「……はい」
夏の夜で、窓が少し開いてて、遠くで花火大会の後片付けの音がかすかに聞こえてた。キッチンの換気扇がぶーんって低く回ってて、お姉さんのレモンサワーの缶がたまにカチッて鳴る。
沈黙が続いたけど、不思議と気まずくなかった。
「ありがと。もう大丈夫。寝るね」
「おやすみなさい」
お姉さんが立ち上がって、キッチンを出ていく背中を見ながら、俺は(あー、これはもう無理だ)って思った。好きすぎる。ダチの姉とか年の差とか、そういう理屈で蓋できるレベルをとっくに超えてた。
それから2週間くらい、翔太の家に行くのが怖くなった。
好きな気持ちが顔に出たらどうしようとか、翔太にバレたらどうしようとか。でも急に行かなくなったら逆に不自然だし、翔太にも心配される。だから結局、何事もなかったみたいな顔して通い続けた。
お姉さんの方は、あの夜から少しだけ距離が近くなった気がした。気がしただけかもしれないけど。
前は「翔太の友達」として接してくれてたのが、俺個人として話しかけてくれるようになった。
「ねえ、何の授業が好き?」
「その服、似合ってるね」
「今日暑かったでしょ、アイス食べる?」
一個一個は大したことないんだけど、積み重なると心臓に悪い。
そんで、決定的なことが起きたのが8月の終わり。翔太が急にバイト入って、「悪い、今日無理だわ」って連絡してきた。俺はもう立川駅に着いちゃってて、仕方なくそのまま帰ろうとしたら、LINEが来た。
知らない番号――じゃなくて、お姉さんだった。いつの間にか翔太の家のWi-Fiに繋いだときにLINE交換してたんだった。
「翔太今日バイトだって?もしよかったら、うちでごはん食べてく?お母さんたちも出かけてるし、一人で食べるの寂しいから」
心臓が爆発するかと思った。
(いやいやいや。これ行ったらまずいだろ。二人きりだろ。俺の理性が持たない。でも断る理由がない。断ったら変だし。でも行ったらヤバい。でも……)
結局15分後には翔太の家の玄関に立ってた。理性なんかクソの役にも立たなかった。
「いらっしゃい。今カレー作ってるから、ちょっと待ってて」
お姉さんはデニムのショートパンツに白いタンクトップっていう格好で、(殺す気か)って思った。鎖骨が見えてて、足がきれいで、背中のラインが……やめよう。
リビングのソファでスマホ触りながら待ってたけど、カレーのいい匂いと、キッチンからお姉さんの鼻歌が聞こえてきて、なんか妙に幸せだった。(これが日常だったらいいのに)って、ありえないことを考えてた。
「できたよー」
テーブルに並んだのはチキンカレーとサラダとらっきょう。
「え、めっちゃ本格的じゃないですか」
「スパイスから作るのが趣味なの。ルーは使わない派」
食べたら本当にうまくて、思わず3回おかわりした。
「そんなに食べてくれると作り甲斐あるな」
「いやほんとに美味いです。お店出せますよこれ」
「大げさだなぁ」
って言いながらすごく嬉しそうだった。
食べ終わった後、二人でソファに座ってテレビ見てた。お姉さんがビール飲み始めて、俺は烏龍茶。
「ねえ、あの夜のこと覚えてる?」
「あの夜……って、キッチンで?」
「うん。あのとき、すごく嬉しかったの。こんな深夜に弟の友達に泣いてるとこ見られて恥ずかしかったけど、君が『そいつがクソですね』って言ってくれたのが」
「あれはほんとに思ったから……」
「うん、わかる。だから嬉しかった」
お姉さんがビールの缶を置いて、こっちを向いた。
「ねえ、正直に聞いていい?」
「はい」
「君、私のこと好き?」
時間が止まった。
(えっ。バレてたの? いつから? 全部? 嘘だろ?)
沈黙が3秒くらい続いて、お姉さんが「あ、ごめん、違ったら忘れ――」って言いかけたのを遮って、
「好きです」
言っちゃった。
もう取り消せない。翔太との友情も、お姉さんとの関係も、全部壊れるかもしれない。でも嘘はつけなかった。
「初めて会ったときから好きでした。翔太の部屋にお姉さんが来て、晩ごはんって言ったあの瞬間から」
お姉さんが目を見開いて、それから少しだけ笑った。泣き笑いみたいな顔だった。
「……そんな前から?」
「はい」
「翔太の友達なのに?」
「わかってます。だから言わないつもりでした」
「……私もね」
「え?」
「私も、言わないつもりだった。年下で、弟の友達で、ありえないって思ってたから。でも、あの夜キッチンで泣いてる私のそばにいてくれたとき、もうダメだった」
耳を疑った。
「……俺のこと、好きってことですか」
「うん」
「いやでも、翔太が――」
「わかってる。だから今まで黙ってた。でもお酒のせいかな、もう隠せない」
お姉さんの目が潤んでて、ソファの上でこっちに少し体を寄せてきた。肩が触れた。
「……」
「ダメ……かな」
ダメに決まってる。翔太は親友だし、お姉さんは4歳年上だし、バレたら全部終わる。頭ではそう思ってた。でも、目の前のこの人が「ダメかな」って不安そうな顔で俺を見てるのに、拒絶なんかできるわけなかった。
「ダメじゃないです」
気づいたら手を握ってた。お姉さんの手は小さくて、少し冷たかった。
「……っ」
お姉さんが目を閉じて、顔を近づけてきた。
ここで止まれたら俺は聖人だった。でも俺は聖人じゃない。フツメンの大学2年生で、ずっと好きだった人が目を閉じて唇を寄せてきてるのに、止まれる男がいたらそいつは人間じゃない。
唇が触れた。
柔らかくて、レモンサワーの味がほんの少しした。
「ん……」
最初はそっと触れるだけだった。でもお姉さんが俺のTシャツの裾を掴んできて、その手が震えてるのがわかって、もう一回深くキスした。舌が触れたとき、お姉さんが「んっ」って小さく声を出して、それで俺の中の何かが完全に切れた。
「……部屋、行っていいですか」
「……うん」
お姉さんの部屋は二階の奥だった。翔太の部屋の隣。その事実が一瞬頭をよぎったけど、翔太はバイトでいない。家には二人しかいない。
ドアを閉めた瞬間、お姉さんの方から抱きついてきた。
「……ずっと、こうしたかった」
「俺も」
ベッドに腰掛けて、向かい合ってキスした。さっきより激しくて、お互いの呼吸が荒くなってた。
お姉さんのタンクトップの肩紐が片方ずれ落ちてて、鎖骨から胸元にかけてのラインが見えた。
「……脱がしていいですか」
「……敬語、やめて」
「……脱がしていい?」
「うん」
タンクトップを脱がすと、薄いピンクのブラが出てきた。推定Eカップ。普段の服装だとそこまで目立たなかったけど、こうして見ると――(やばい、理性の残りカスが蒸発する)。
背中に手を回してホックを外した。手が震えてたと思う。
「……じっと見ないで、恥ずかしい」
「無理。綺麗すぎて」
「もう……」
柔らかかった。当たり前だけど、柔らかかった。手のひらに収まりきらない大きさで、先っちょはもう固くなってた。
口に含んだら、お姉さんが「ひっ」って声を出して、俺の頭をぎゅって掴んできた。
「んっ……そこ、弱い……っ」
乳首を舌先で転がしながら、もう片方の胸を揉む。お姉さんの呼吸がどんどん荒くなっていく。
(これ夢じゃないよな。ずっと好きだった人の胸を触ってるんだよな俺。翔太の姉の。いいのかこれ本当に)
よくなかった。よくなかったけど、止まれなかった。
お姉さんのショートパンツのボタンに手をかけたら、お姉さんが俺の手に自分の手を重ねてきた。止められるのかと思った。
「……自分でやるから、向こう向いてて」
言われた通り目を逸らしてたら、衣擦れの音がして、すぐに「いいよ」って声がした。
振り向いたら、シーツを胸元まで引き上げたお姉さんがいて、(それはそれでエロい)って思ったけど口には出さなかった。
俺も服を脱いで、シーツの中に入った。肌が触れた瞬間、お姉さんがびくってした。
「……体、あったかいね」
「緊張してるから」
「私も」
お互い緊張してるのに、手は止まらなかった。お姉さんの太ももの内側に手を滑らせたら、もう濡れてた。
「あっ……触らないで、恥ずかしい……」
「でも、もう……」
「……わかってる」
ゆっくり指を入れると、お姉さんが俺の肩に顔を埋めた。熱い吐息が首筋にかかって、それだけでどうにかなりそうだった。
「んん……っ、ゆっくりね……」
指を動かすたびに、お姉さんの体が小さく跳ねる。声を殺してるのが伝わってきた。
「声、出していいよ。誰もいないから」
「む、り……癖で……あっ」
中を押し上げるように動かしたら、堪えきれなかったみたいで声が漏れた。
「そこ……やば……っ」
「ここ?」
「んっ……うん、そこ……」
腰が勝手に動いてるのがわかった。お姉さんの爪が俺の背中に食い込んでて、たぶん跡になったと思う。
「あ……もう、ダメ……っ」
体をぎゅって丸めて、俺の指を締め付けてきた。びくびくって震えてるのが手のひらに伝わってきて、(うわ、この人がイくところ見てるんだ俺)って、現実感のなさに頭がくらくらした。
「はぁっ……はぁ……」
しばらく肩で息をしてたお姉さんが、顔を上げて俺を見た。目がとろんとしてて、頬が赤くて、前髪が汗で張り付いてた。
「……入れて」
「えっ……ゴム、持ってないけど」
「引き出しにある」
ベッドサイドの引き出しを開けたら、コンドームの箱があった。(元彼と使ってたやつかな)って一瞬よぎったけど、今そんなこと考えてる場合じゃない。
手が震えてなかなか開けられなかった。お姉さんが「貸して」って言って、慣れた手つきで開けて、俺につけてくれた。その手が触れるだけでもう射精しそうだった。
「……入れるよ」
「うん……」
ゆっくり腰を進めた。中があったかくて、きつくて、生きてるみたいに絡みついてきた。
「っ……」
「あ……ぁっ……」
お姉さんが俺の首に腕を回してきた。耳元で「大丈夫……動いて」って囁かれて、ゆっくり腰を動かし始めた。
正直、気持ちよすぎてすぐ終わるかと思った。でもお姉さんの顔を見てたら、この時間を終わらせたくないって気持ちの方が強くて、必死で堪えた。
「んっ……あっ……気持ちいい……」
「俺も……やばい」
「もっと……奥……」
腰の角度を変えて深く突いたら、お姉さんが声を上げた。
「あっ……そこ……っ、待って、すごい……」
シーツを掴んでる手が白くなってた。俺は夢中でそこを突き続けた。
「あっ、あっ、だめっ……また、イっちゃ……」
「イっていいよ」
「んんっ……!」
お姉さんの中がぎゅうって締まって、全身が震えた。その締め付けで俺も限界だった。
「俺も……もう……」
「うん……いいよ……」
腰を押し付けて、中で果てた。ゴム越しだったけど、頭が真っ白になるくらい気持ちよかった。
「はぁ……っ」
「…………」
しばらく二人とも動けなかった。お姉さんの心臓の音が聞こえるくらい密着してて、汗で肌がくっついてて、エアコンの風が気持ちよかった。
抜いて横に転がって、天井を見てた。お姉さんも横を向いて、俺の顔を見てた。
「ねえ」
「ん」
「……もう一回、してもいい?」
「……はい」
「だから敬語やめてって」
「……うん」
2回目は俺が下になって、お姉さんが上に跨った。さっきより余裕が出てきたのか、お姉さんが自分から腰を動かしてくれた。
上から見下ろされると、(この人に支配されてるな)って感じがして、それが嫌じゃなかった。むしろ良かった。
「ん……っ、自分で動くの……久しぶり……」
「無理しなくていいよ」
「無理じゃない……気持ちいいから……」
さっきは声を殺してたのに、2回目はちゃんと声を出してくれた。それが嬉しかった。信頼してくれてるみたいで。
「あっ……好き……」
不意に出たその一言で、全部持っていかれた。
「俺も好き。ずっと好きだった」
「ん……っ、もっと言って……」
「好き。ほんとに好き」
お姉さんが泣きそうな顔で笑って、腰の動きが速くなった。俺は下から突き上げて、お姉さんの腰を掴んで、二人でぐちゃぐちゃになりながらイった。
2回目が終わった後、お姉さんが俺の胸に顔を埋めて、すんって鼻を鳴らした。
「……泣いてる?」
「泣いてない」
泣いてた。
「……嬉しいだけ」
俺はお姉さんの頭を撫でた。髪がさらさらで、シャンプーのいい匂いがした。
「ね、翔太には……」
「言わなきゃいけないと思う。でも、今日じゃなくていい」
「……うん」
「ちゃんと付き合いたい。隠れて会うんじゃなくて」
「……うん。私もそうしたい」
エアコンの音だけが聞こえる部屋で、二人で抱き合ったまま朝を迎えた。
翔太に打ち明けたのは、それから2週間後のことだった。殴られる覚悟はしてた。実際、翔太は最初めちゃくちゃ怒った。「お前マジかよ」って3回くらい言われた。でも、殴りはしなかった。
「ごめん。でも、本気なんだ」
翔太は5分くらい黙った後、
「……姉ちゃんを泣かせたら俺がお前を殺す」
って言った。
それから3年経つ。お姉さんとはまだ付き合ってる。来月、二人で初めて旅行に行く。行き先は立川の花火大会。あの夏の続きを見に行くつもりだ。