成人式の話です。もう何年か前のことなんですけど、ずっと誰にも言えなかったから書きます。
俺は千葉の松戸で育って、高校から東京の私立に通って、大学もそのまま都内。地元にはほとんど帰ってなかった。実家には年末に顔出すくらいで、地元の友達ともほぼ疎遠になってました。
で、成人式。正直あんまり行く気なかったんだけど、親が「スーツ買ったんだから行きなさい」ってうるさくて。まあ久しぶりに中学の奴らに会えるかなとか、そんな軽い気持ちで松戸市民会館に向かったわけです。
式が終わって外に出たら、中学の同級生がちらほらいて。「おー久しぶり」みたいな感じで適当に話してたんだけど、ふと視界の端に、振袖姿の女が一人、柱の陰でスマホいじってるのが見えた。
(あれ、誰だっけ……)
髪はダークブラウンのゆるい巻き髪で、背は162くらい。顔が小さくて、横顔のラインが今田美桜に似てた。いや、もうちょい目が大きいかな。とにかく明らかに周りの女と雰囲気が違う。
(知り合いっぽいんだけど全然思い出せない……)
そしたら向こうがこっちに気づいて、めちゃくちゃニヤッとした。
「やっぱ来たんだ。ヒョロガリ」
その呼び方で一発でわかった。
「……莉央?」
隣の家の田中莉央。小学校のとき俺を「ヒョロガリ」って呼んで、毎日のようにいじってきたガキ大将。足は俺より速いし、ドッジボールは学年で一番強いし、虫は平気で触るし、スカートなんか一回も履いてるの見たことなかった。
それが。
目の前にいるのは、深紅の振袖が似合う、どこからどう見ても綺麗な女だった。
「なに固まってんの。キモいんだけど」
口は相変わらずだった。
「いや……お前、変わりすぎだろ」
「は?普通じゃん。つーかお前も背伸びたね。178くらい?」
「176」
「ふーん。まあ昔よりはマシになったんじゃない」
なんだよマシって。相変わらず上から来るなこいつ。
でも不思議と懐かしかった。小学校卒業してから一回も会ってなくて、噂すら聞いてなかった。中学は別だったし、莉央の家族がいつの間にか柏に引っ越したって親から聞いたのが中2のとき。それきり。
式の後、中学の連中と松戸駅前の居酒屋で二次会になった。莉央も来た。つーか莉央、この辺りの中学に一人も友達いないはずなのに、なんで成人式来てたんだろう。
(まあ住民票がこっちのままとかかな)
二次会では15人くらいの大テーブルで、俺は端の方で大して仲良くなかった奴と無難な話をしてた。莉央は対角線上の席で、女子たちと普通に喋ってた。中学が別でも莉央のことを知ってる奴は何人かいたらしい。
2時間くらい経って、そろそろお開きかなってタイミングで、莉央がLINE交換しようって言ってきた。
「べつに深い意味ないから。同窓会の連絡回ってこないし」
「あー、はいはい」
交換した。莉央のアイコンは猫の写真だった。
(犬派だと思ってたんだけどな……)
その日はそれで終わり。電車で大学の寮がある国分寺まで帰って、そのまま寝た。
3日後の夜。スマホが鳴った。莉央からだった。
「ヒマ?」
「まあ」
「てかさ、アンタ今どこ住んでんの」
「国分寺」
「遠いな。私いま柏だし」
「で?」
「来週の土曜、松戸でうちの親に届け物するから、ついでにメシでも行かない?」
(え?)
正直驚いた。あの莉央が俺を飯に誘ってくるとか、小学校のとき虫かごにカナブン入れて俺の机に置いてた奴が?
「……まあいいけど」
「じゃ13時に松戸駅の改札前ね」
なんか断る理由もなかったし、正直ちょっと気になってた。あの莉央が今どうしてんのか。
土曜日。松戸駅の改札を出たら、莉央がもう来てた。ベージュのニットにデニムっていうシンプルな格好なんだけど、成人式のときと印象が全然違った。化粧も薄くて、素に近い感じ。
それでもやっぱり綺麗だった。ニットの上からでもわかるくらい胸があって、(え、Dはあるだろこれ……)小学校のときは俺より体でかかったはずなのに、今は俺の肩くらいまでしかない。なんか守りたくなるっていうか……
(いやいやいや。こいつは莉央だぞ。カナブンの莉央だぞ)
「おっそ。3分遅刻」
「電車遅れたんだよ」
「はいはい。んで、何食べたい?」
莉央に連れられて、駅から5分くらいのイタリアンに入った。ランチセットを頼んで、パスタが来るまでの間、久しぶりにちゃんと話した。
莉央は柏の高校から都内の短大に行って、今はアパレルの販売員をしてるらしい。
「アパレルって。お前が服を売ってるの?」
「悪い?」
「いや……お前小学校のとき毎日ジャージだったじゃん」
「うるさいな。人は変わんの」
「変わりすぎだろ」
「……ねぇ、私ってそんなに変わった?」
真面目なトーンで聞いてきた。
「うん。正直、成人式で最初わかんなかった」
「……そっか」
なんか寂しそうな顔をした。
「中学のとき色々あってさ。新しい学校馴染めなくて、ずっとボッチだったの。それで高校入る前に、もうあのガキ大将の自分は捨てようって決めた」
「……」
「髪伸ばして、化粧覚えて、女らしくしてみたら、周りの扱いが変わったの。別人みたいに。ああ、見た目ってこんなに大事なんだって思った」
俺はパスタを巻きながら黙って聞いてた。
「でもさ、たまに思うんだよね。今の私って、本当に私なのかなって」
その言葉がなんか、ずっと引っかかった。
飯を食い終わって、莉央が実家に届け物するってんで一緒についていった。俺の実家も隣だし。莉央の親にも久しぶりに会って、「大きくなったねぇ」って言われて。莉央の部屋はもう片付けられてたけど、玄関の靴箱の上に、小学校の写真が飾ってあった。
集合写真。前列の真ん中で腕組みしてるのが莉央で、その横で情けない顔してるのが俺。
「懐かしいでしょ」
「俺めっちゃ情けない顔してんな」
「だっていつも泣いてたもんね。ちょっとからかっただけで」
「ちょっとじゃねぇだろ。毎日だっただろ」
「……ごめんね、あれ」
え?
「ずっと謝りたかったの。引っ越す前に言えなかったから」
そんなこと今更言われても。つーか全然気にしてなかったんだけど。でも莉央が真剣な顔してたから、茶化すのもなんか違う気がした。
「……別にいいよ。あれはあれで楽しかったし」
「嘘つき。泣いてたくせに」
「泣いたのは……お前が引っ越すって聞いたときだろ」
言ってから、しまったと思った。なんでそんなこと覚えてんだよ俺。
莉央が目を丸くしてた。
「……覚えてんの、それ」
「いや別に大した意味は」
「ふーん」
妙な沈黙が流れた。莉央のお母さんが「お茶飲んでく?」って言ってくれたけど、莉央が「帰る」って言って、二人で外に出た。
1月の松戸は寒かった。コートのポケットに手を突っ込んで歩いてたら、莉央が並んで歩いてきた。
「ねえ、今から暇?」
「まあ」
「もうちょい一緒にいたい」
心臓がバクッてなった。今なんて言った?
「……どういう意味?」
「深い意味はない。ただ久しぶりに話せて楽しいから」
深い意味はない、って。こいつLINEのときも同じこと言ってたな。
松戸駅前のカラオケに入った。フリータイムで個室を取って、でも全然歌わなかった。ドリンクバーのジンジャーエールを飲みながら、小学校の頃の話で盛り上がった。
「覚えてる?五年のとき、アンタが好きだった子の話」
「え、なんで知ってんの」
「クラス全員知ってたよ。バレバレだったもん」
「マジかよ……」
「あのとき私がその子に『ヒョロガリがお前のこと好きらしいよ』って言ったの覚えてる?」
「覚えてるよ!めちゃくちゃ怒ったわあのとき」
「あはは。……ごめんね、あれも」
「いや何回謝んの今日」
「だって、ほんとはさ……」
莉央がジンジャーエールのストローを噛んで、ちょっと黙った。
「……やっぱなんでもない」
(なんだよそれ)
気になるだろそれ。でも追求する勇気もなくて、話題を変えた。
2時間くらい経った頃、莉央が急に「歌う」って言ってマイクを取った。あいみょんの「マリーゴールド」を入れて、普通にうまかった。
「うまいな」
「でしょ。カラオケだけは昔から好きなの」
で、なぜか次に入れたのがGReeeeNの「キセキ」で、俺にマイクを渡してきた。
「一緒に歌って」
断れるわけもなく。俺は音痴だから恥ずかしかったけど、莉央が横で笑いながら歌ってるのを見てたら、なんかどうでもよくなった。
歌い終わって、二人ともソファにへたり込んだ。狭い個室で、肩が触れるくらいの距離。
「ねぇ」
「ん?」
「さっき言いかけたこと、言っていい?」
俺は頷いた。
「五年のとき、アンタの好きな子にバラしたのさ。……嫉妬だったの」
「……は?」
「私、ずっとアンタのこと好きだった。小学校の頃から」
脳みそが止まった。
いや待て。あの莉央が?俺を泣かせてた莉央が?カナブンの莉央が?
「えっと……ちょっと待って。整理させて」
「いいよ。待つ」
莉央は俺の顔を見ずに、テレビモニターの歌詞が流れてる画面をぼんやり見てた。頬が赤い。カラオケの照明のせいだけじゃない。
俺は考えた。
小学校のとき、莉央にいじられるのは嫌だった。でも莉央がいない日は、なんかつまらなかった。莉央が引っ越すって聞いたとき、なんで泣いたのか自分でもよくわかってなかった。
成人式で再会して、あの綺麗な女が莉央だとわかったとき、心臓がおかしくなった理由も。
今日一日、ずっと楽しかった理由も。
全部繋がった気がした。
「……俺さ」
「うん」
「お前のこと、好きとか嫌いとか考えたことなかった。ずっと隣にいるのが当たり前だったから」
「……うん」
「でも今、めちゃくちゃ緊張してる。たぶん……俺もそうなんだと思う」
莉央がゆっくりこっちを向いた。目が潤んでた。
「なにそれ。はっきり言えよヒョロガリ」
「好きだよ。たぶんずっと前から」
莉央が、ふっと笑った。泣きそうなのに笑ってる、変な顔だった。
「たぶんって何。確信持てよ」
「じゃあ確信持って言う。好き」
莉央が俺の首に腕を回してきた。ニットの柔らかい感触と、甘い匂い。こいつこんな匂いするんだって初めて気づいた。カナブンの匂いしかしないと思ってたのに。
「……バカ。遅すぎ」
そのまま唇が重なった。ジンジャーエールの味がした。
最初は軽いキスだった。でもすぐに莉央の方から舌を入れてきて、俺もそれに応えた。カラオケのスピーカーから次の曲の前奏が流れてたけど、どうでもよかった。
息が荒くなって、一回離れた。
「……場所、変えない?」
カラオケの受付で精算して外に出た。1月の冷気が頬に刺さったけど、頭の中はぐちゃぐちゃだった。莉央がスマホで何か調べて、「こっち」って俺の手を引っ張った。
松戸駅の東口から歩いて3分くらいのところにあるビジネスホテルだった。莉央がフロントで部屋を取って、エレベーターに乗った。
二人きりのエレベーターで、俺の心臓はもう限界だった。
(これって……そういうことだよな?)
部屋に入って、ドアが閉まった瞬間、莉央が俺のコートの裾を掴んだ。
「……緊張してる?」
「してる。めちゃくちゃ」
「……私も」
いつもの強気な口調じゃなかった。声が小さくて、ちょっと震えてた。
コートを脱いで、ベッドの端に並んで座った。しばらく無言だった。
「あのさ、莉央」
「ん」
「さっき『今の自分は本当に自分なのか』って言ってたじゃん」
「……うん」
「俺は……今の莉央も、昔のガキ大将の莉央も、どっちも莉央だと思ってるよ」
莉央が俺の顔を見た。成人式の時の綺麗な女じゃなくて、小学校のとき笑ったら歯茎まで見えてた莉央の顔が一瞬だけ見えた気がした。
「……ほんと、ずるい」
莉央の方からキスしてきた。さっきのカラオケのときより深くて、必死な感じがした。
俺は莉央の背中に手を回した。ニットの上から触れた背中は細くて、こいつドッジボールでめちゃくちゃ強い球投げてたよなって場違いなことを思い出した。
キスしながらベッドに倒れ込んだ。莉央が下で、俺が上。
「……重い」
「ごめん」
「嘘。重くない。そのままでいい」
ニットの裾から手を入れた。肌が冷たかった。
「冷えてんな」
「外寒かったんだもん……あっ」
腹の上を指がなぞったとき、莉央がビクッてなった。くすぐったいのか感じてるのかわからなかったけど、その反応でスイッチが入った。
ニットを脱がした。ベージュのレースのブラで、やっぱりDはあった。
「……でかいな」
「やめろそういうの直接言うの。デリカシーない」
「昔はぺたんこだったのに」
「殴るぞ」
口ではそう言ってるけど、莉央は俺から目を逸らさなかった。頬が赤くて、唇を少し噛んでて。こんな表情する女だったのかって、また驚いてた。
ブラのホックを外した。白い胸が露わになって、乳首が少し立ってた。
「綺麗だよ」
「……うるさい」
胸を揉んだ。柔らかくて、手に吸いつくみたいだった。乳首を親指で撫でたら、莉央が息を呑んだ。
「ん……っ」
舌で乳首を舐めた。莉央の手が俺の頭に来て、髪を掴まれた。
「あっ……そこ、弱い……っ」
小学校のとき「弱い」なんて言葉、こいつの口から聞いたことなかった。ガキ大将が、俺の下で声を漏らしてる。その事実に頭がおかしくなりそうだった。
デニムのボタンを外して、ジッパーを下ろした。莉央が腰を浮かせてくれて、デニムを脱がした。薄いピンクのショーツが見えて、真ん中が少し濡れてた。
「もう濡れてんじゃん」
「っ……見んな」
ショーツの上から指で触れた。じわっと湿った感触が指に伝わってきて、莉央が太ももをぎゅっと閉じた。
「あっ……ちょっと、待って……」
「どした?」
「……私、経験少ないから。2回しかしたことない」
正直意外だった。あれだけ綺麗になって、経験が少ないとか。
「俺も3回しかないよ。大した差じゃない」
「……バカ」
ショーツをゆっくり下ろした。莉央が腕で顔を覆って、恥ずかしそうにしてた。
あの莉央が。虫を素手で捕まえてた莉央が。こんな顔するんだなって。
指を入れた。中はすごく温かくて、きゅっと締まった。
「んっ……あっ……」
ゆっくり動かした。莉央の腰が小さく揺れて、声が漏れる。
「やっ……そこ……気持ちいい……っ」
クリを親指で撫でながら中を掻くと、莉央の体がびくんって跳ねた。
「あっダメ……っ同時にやらないで……あっ、あっ、んんっ……!」
莉央が俺のシャツを掴んで、体をくの字に曲げた。太ももが震えてた。
「もう……入れて……」
「え?もういいの?」
「……お願い」
あのガキ大将が「お願い」って言ってる。頭がぐわんぐわんした。
俺は急いで服を脱いだ。財布からコンビニで買ったゴムを出した。実は朝、なんとなくカバンに入れてた。まさか使うことになるとは思ってなかったけど。
「……用意いいね」
「たまたまだよ」
「嘘つけ。期待してたんでしょ」
「……してない。してないけど、莉央が綺麗だったから、万が一って」
「……ばか」
ゴムを着けて、莉央の脚の間に体を入れた。莉央の手が俺の肩に来た。
先端を当てた。莉央の目を見た。潤んでて、でも逸らさなかった。
ゆっくり入れた。
「んっ……」
きつかった。莉央がぎゅっと目を瞑って、俺の肩を爪で掴んだ。
「痛い?」
「……大丈夫。動いて」
ゆっくり動き始めた。莉央が少しずつ体の力を抜いて、声が変わっていった。
「あっ……ん……っ……」
最初は痛そうだったのが、だんだん気持ちよさそうな声に変わる。それがたまらなかった。
「莉央……」
「なに……っ」
「名前呼ぶのって、こんな感じなんだな」
「……は?意味わかんない……あっ」
小学校のとき、「田中」「ヒョロガリ」って呼び合ってたのに。今は名前を呼びながら体を繋げてる。なんかすごいことだなって、頭のどこかで思ってた。
腰を少し速くした。莉央が俺の首に腕を巻きつけてきた。
「あっ……あっ……そこ……奥に当たって……っ」
「ここ?」
「んっ……そこ……あっ、ダメ、そこ気持ちいい……っ!」
莉央の中がきゅうって締まった。俺も限界が近かった。
「やば……俺もそろそろ……」
「うん……っいいよ……っ」
莉央が俺を引き寄せてキスしてきた。舌が絡まって、息が混ざった。腰を深く押し込んで、そのまま達した。
頭が真っ白になった。
しばらくそのままの体勢で動けなかった。莉央の心臓の音が、俺の胸に伝わってきた。
ゆっくり抜いて、ゴムを外した。莉央が天井を見ながら、ふうって息を吐いた。
「……ヒョロガリのくせに」
「お前まだその呼び方すんの」
「一生呼ぶ」
莉央が横を向いて、俺の腕に頭を乗せてきた。
「ねぇ」
「ん」
「さっきの質問の答え、わかった」
「どの質問?」
「今の私が本当の私かって話。……アンタが両方の私を知ってくれてるなら、どっちでもいいや」
俺は莉央の髪を撫でた。ダークブラウンの巻き髪。昔は短くて、寝癖がすごかった。
「じゃあさ、付き合おうよ」
「……」
「莉央?」
「当たり前でしょバカ。セックスしてから付き合おうって言う奴ある?順番が逆だっつーの」
そう言いながら、莉央は俺の腕をぎゅって掴んだ。
「……嬉しい。めちゃくちゃ嬉しい。でもそれ言ったら負けな気がするから心の中だけで言う」
「全部口に出てるぞ」
「……しまった」
二人で笑った。カーテンの隙間から1月の弱い西日が差してて、莉央の笑った顔に影が落ちてた。
その後、もう一回した。今度は莉央が上に乗って、俺の手を握りながらゆっくり腰を動かした。
さっきと違って、なんか恥ずかしそうにしてたけど、俺の顔をじっと見てた。
「んっ……気持ちいい……?」
「うん……」
「……私も……っ」
2回目は余裕があるぶん、色んなことを感じた。莉央の腰の動き方とか、胸が揺れるのとか、時々目を瞑ってぎゅって顔をしかめるのとか。
「あっ……んっ……ダメ、奥に……あっ、あっ……!」
莉央が体を前に倒してきて、俺の胸に顔を埋めた。腰の動きが速くなって、俺も下から突き上げた。
「やっ……ダメっ……来る……来ちゃう……っ」
莉央が体を硬くして、ぶるぶる震えた。中がぎゅうって締まって、俺もそのまま出した。
しばらく、俺の上で莉央がぐったりしてた。
「……もう動けない」
「重い」
「さっき重くないって言ったくせに」
「それは俺がお前の上に乗ったときだろ」
「屁理屈。……ねえ」
「ん」
「次会うのいつ?」
「来週の土曜とかは?」
「……遠いな。水曜にして」
「平日じゃん」
「水曜休みなの。合わせろ」
ガキ大将の口調が戻ってきてた。でもそれが、なんかすごく安心した。
ホテルを出て、松戸駅まで一緒に歩いた。改札の前で莉央が立ち止まった。
「ねぇ、最後にひとつだけ」
「なに」
「私の好きなところ、ひとつ言って」
「急に?」
「いいから」
俺はちょっと考えて、言った。
「ドッジボールが強いところ」
莉央がぽかんとした。それから、成人式のときより、カラオケのときより、ホテルのときより、一番嬉しそうな顔で笑った。
「……100点」
改札を通って振り返ったら、莉央が手を振ってた。
帰りの総武線の中で、スマホの画面を見た。莉央からLINEが来てた。
「水曜な。遅刻すんなよヒョロガリ」
隣に座ってたサラリーマンに変な目で見られたけど、俺はニヤけるのを止められなかった。