これ書くかどうかマジで悩んだんですけど、もう時効だと思うので書きます。
俺、田中ケンタ、当時21歳。横浜市の青葉台に実家があって、日大の文理学部に通ってた。身長172センチ、顔面偏差値は自分で言うのもアレだけど48くらい。要するにフツメン。いや、フツメン以下かもしれない。前髪がすぐペタッてなるタイプの、なんの特徴もない顔。
で、話の主役はもう一人いて、幼馴染のユキ。実家が俺んちの3軒隣で、小学校から中学までずっと一緒だった。
ユキのことを説明するには、まず小学生時代の話をしないといけない。
こいつ、ガチのサッカー少年だったんですよ。少年って言い方おかしいけど、マジでそうだった。髪はずっとベリーショートで、膝は常に擦り傷だらけ。一人称が「ボク」で、クラスの男子より足が速かった。俺なんか50メートル走で毎回負けてたし。
休み時間は男子に混ざってサッカーしてて、俺とユキは大体同じチームだった。ユキがゴール決めると俺がハイタッチする、みたいな。完全に男友達のノリ。
中学もそのまんまで、ユキは女子サッカー部のエース。俺は帰宅部で、たまにユキの試合を観に行くくらいの関係。告白されたとか、ドキッとしたとか、そういうのは一切なかった。マジで。
高校から別になって、俺は県立の普通科、ユキは私立の強豪校にスポーツ推薦で行った。それっきり、年に1回、正月に実家の前でバッタリ会って「おー元気?」って言うだけの関係になった。
で、大学3年の10月。
俺は下北沢のTSUTAYA跡地にできたカフェでバイトしてて、土曜のシフトに入ってた。14時くらいに、カウンターで注文聞いてたら、目の前に立った女の子を見て固まった。
(え、誰これ)
セミロングの髪を耳にかけて、薄いピンクのリップ。白いニットにプリーツスカート。身長は160あるかないかくらいで、橋本環奈をちょっとだけ大人っぽくしたような、丸くて整った顔。Cカップくらいのラインがニットの下にはっきり出てて、正直めちゃくちゃタイプだった。
(いや待て、この顔どっかで…)
「ケンタ?ケンタじゃん!」
その声で全部わかった。
「うわ、マジで!ケンタここでバイトしてんの!」
「ユ、ユキ…?おま、え…」
「えー何その顔。そんな変わった?」
変わったなんてもんじゃない。別人だろ。あのベリーショートで泥だらけのユキはどこ行ったんだよ。
「いや変わりすぎだろ。サッカーは?」
「あー、高2で膝やっちゃって。前十字靭帯。それで辞めたんだよね」
「マジか、知らなかった」
「まあね、ケンタとそんな連絡取ってなかったし。てかさ、今どこの大学?」
「日大。そっちは?」
「駒澤。近いじゃん!ていうかLINE交換しよ、今」
そんな感じで、俺とユキは7年ぶりくらいにちゃんと繋がった。
それからLINEでちょいちょいやり取りするようになって、月に1回くらい下北で飯食うようになった。ユキは駒澤の経営学部で、なんかアパレル系の就職を目指してるらしい。サッカー辞めてからファッションにハマったんだと。
(あのユキがアパレルて)
信じられなかったけど、実際会うたびにちゃんとオシャレだった。しかも可愛い。いや、可愛いって認めたくなかったんだけどさ。
ある日、二人でラーメン食ってる時にユキが言った。
「ケンタってさ、彼女いんの?」
「いない。2年くらいいない」
「えー嘘、2年も?」
「嘘じゃねーよ。つーかお前は?彼氏いんだろ、そんな可愛くなって」
「……いるけど」
あ、やっぱいるんだ。(そりゃそうだよな)
「でもなんか最近微妙なんだよね。あんまり会ってくれないし」
「ふーん」
「ケンタは相変わらずリアクション薄いなー」
「いや俺に言われてもどうしようもないだろ」
「まあね。でもケンタと喋ってると楽なんだよね。昔と変わんなくて」
その言葉が妙に嬉しかったのは覚えてる。でもまあ、彼氏いるしな、って自分にブレーキかけてた。
転機は11月。台風21号が関東に直撃するって予報が出た日曜日だった。
俺は青葉台の実家に帰ってて、親は旅行で留守。一人で台風に備えてベランダの鉢植えを片付けてたら、スマホが鳴った。ユキからだった。
「ケンタ今実家?ボク今日実家帰ってきてるんだけど」
「おう、俺も実家」
「やばいんだけど、うちの窓ガラスにヒビ入っちゃって。雨戸もないし風やばくない?怖いんだけど」
「家族は?」
「パパもママも名古屋の法事で帰れないって。電車全部止まってるし」
「マジか。じゃあうち来いよ。3軒隣だし走れば10秒だろ」
「いいの?じゃあ行く!」
5分後、ずぶ濡れのユキが玄関に立ってた。傘は途中で壊れたらしい。髪がべったり顔に張り付いてて、白いTシャツが肌に透けてた。
(やべ、ブラ透けてる)
「おまっ、とりあえず入れ。タオル持ってくるから」
「ありがと、ごめんね急に」
リビングにユキを通して、バスタオルを渡した。ユキは髪をゴシゴシ拭きながら、ちょっと震えてた。11月だし、そりゃ寒いよな。
「着替え…俺の服でよければ貸すけど」
「マジ?助かる」
俺のパーカーとスウェットのズボンを渡した。ユキは洗面所で着替えて戻ってきた。俺のLサイズのパーカーがだぼだぼで、袖が手の先まで余ってる。
(反則だろそれ)
正直、彼氏持ちの幼馴染にこんなこと思っちゃダメなんだけど、めちゃくちゃ可愛かった。
外は風がゴーゴー鳴ってて、時々バリバリって何かが飛ばされる音がした。ユキはソファで膝を抱えて、テレビの台風情報をじっと見てた。
「ケンタ、これ何時くらいに収まるかな」
「予報だと深夜2時くらいに通過するって」
「うわ、まだ全然じゃん。最悪」
「まあ飯でも作るわ。カレーの材料ならある」
「え、ケンタ料理できんの?」
「バカにすんな、一人暮らし3年目だぞ」
カレーを作りながら、ユキはキッチンのカウンターに肘ついてこっちを見てた。
「なんかさ、ケンタが料理してるの不思議。昔は図工の時間にリンゴの皮むきすらできなかったくせに」
「5年生の調理実習な。あれはまた別の話だろ」
「ボクが全部代わりにやったんだよね。班の女子にめっちゃ怒られてさ」
「お前が男子の分まで全部やるから、俺の出番がなくなったんだよ」
「あはは、確かに」
カレー食いながら、昔の話で盛り上がった。小学校の運動会でユキが騎馬戦に出たくて男子チームに混ざろうとして先生に止められた話とか、中学の時ユキが好きだった男子の話とか。
「え、お前中学で好きな奴いたの?」
「いたよ。3年の時、隣のクラスの佐藤くん」
「全然知らなかった」
「言ってないし。ケンタに言ったらからかうでしょ絶対」
「まあ、そうかも」
「でしょ。……ていうかさ」
「ん?」
「ケンタはボクのこと、今でも男友達だと思ってる?」
急にそんなこと聞くから、カレーのスプーンが止まった。
「……なんだよ急に」
「いや、ちょっと気になっただけ」
「そりゃ…女だとは思ってるよ、今は」
「ふーん。今は、ね」
なんか意味深な言い方して、ユキはカレーに視線を戻した。
(なんだよ、何が言いたいんだよ)
食後、停電した。バチンって音がして、家中真っ暗になった。
「きゃっ」
「大丈夫、スマホのライトつけるから」
懐中電灯を探して、リビングに置いた。薄暗い中、ユキの顔がぼんやり照らされてた。
「やだなー、怖い」
「お前、台風くらいで怖がるキャラじゃなかっただろ」
「昔はね。最近は普通に怖い。暗いの苦手になった」
「どんだけ変わったんだよ」
「人は変わるんだよ、ケンタ」
外でバキッて音がして、ユキが俺の腕を掴んだ。
「今の何?」
「多分、隣の家の木の枝が折れたんだろ。大丈夫だって」
ユキは腕を掴んだまま離さなかった。手が冷たかった。
「まだ寒い?」
「ちょっとね」
「毛布持ってくるわ」
2階の自分の部屋から毛布を2枚持ってきて、ソファに並んで座った。毛布を2人でかぶると、なんか妙に近かった。
「ねえケンタ、覚えてる?小4の時、ボクの家でお化け屋敷ごっこした時」
「あー、お前んちのクローゼットに二人で隠れたやつ?」
「そう。真っ暗で怖くて、ケンタの手ずっと握ってた」
「お前が怖がってたの初めて見たから、ちょっと面白かった」
「ひどい。でもあの時さ、ケンタがずっと手握っててくれたから安心した」
「……」
「今も握ってくれない?」
ユキが毛布の下で手を伸ばしてきた。指が触れた時、心臓がドクンって跳ねた。
(いや待て、こいつ彼氏いるだろ)
「お前さ、彼氏いるだろ」
「……別れた。先週」
「は?」
「他に好きな子ができたって言われた」
「……」
「だからボク今、フリーだよ」
暗がりの中で、ユキがこっちを見てた。懐中電灯の弱い光で、目がちょっと潤んでるのがわかった。
「泣いてんの?」
「泣いてない。……泣いてない、けど」
声が震えてた。
(あー、ダメだこれ)
気づいたら、ユキの頭を引き寄せて肩に乗せてた。自分でも何やってんのかわかんなかった。
「……ケンタ」
「なんも言うな。今は」
ユキが俺のパーカーの胸のあたりをぎゅって掴んだ。小さく鼻をすする音がした。
5分くらいそうしてた。外の風の音だけがゴーゴーうるさかった。
「ケンタ」
「ん」
「ボクね、ケンタのことずっと好きだった」
心臓が止まるかと思った。
「……は?」
「中学の時、佐藤くんが好きって言ったの嘘。ずっとケンタだった」
「ちょっと待て、意味わかんない」
「わかんないよね。ボクも自分でわかんなかった。男友達だと思われてるの知ってたし、それが楽だったし」
「じゃあなんで今…」
「だって、もう隠してる意味ないから。彼氏にもずっとバレてた。幼馴染のこと好きでしょって言われた。それで振られた」
(本人だけが気づいてないやつを、俺がやってたのか)
いや違う。ユキが俺のことを好きだってことに、俺が気づいてなかったんだ。10年以上。
「俺、お前のことずっと男友達だと…」
「知ってるよ。だから言えなかったの」
「でも今は…」
「今は?」
「正直、再会してからずっと困ってた。お前が可愛くなりすぎて、どう接していいかわかんなくて」
「……それ、好きってこと?」
「たぶん。いや、たぶんじゃない。好きなんだと思う」
自分で言っててバカみたいだった。何が「たぶん」だよ。
ユキが顔を上げた。近かった。目と目の距離が20センチくらいしかなくて、息が当たるくらい。
「キスしていい?」
「……お前から言うのかよ」
「だってケンタ、言わないと一生動かないでしょ」
それは否定できなかった。
ユキの唇が触れた。柔らかかった。カレーの味がちょっとした。
最初はそっと触れるだけだったのが、ユキが目を閉じて、少し強く押してきた。俺も目を閉じた。手がユキの腰に回ってた。
唇を離した時、二人とも息が荒かった。
「……もっとして」
毛布の中で、ユキが俺の首に腕を回してきた。今度は舌が入ってきた。ユキの舌がぎこちなく俺の口の中を探るみたいに動いて、その不器用さがたまらなかった。
(こいつ、キス下手だな)
でもそれが良かった。さっきまでベリーショートでサッカーボール蹴ってた幼馴染が、こんなに一生懸命キスしてくるんだから。
キスしながら、俺の手がパーカーの裾から中に入っていった。自分でも止められなかった。
ユキの腹に触れた。引き締まってた。サッカーやめてもう何年も経つのに、筋肉の名残がまだうっすらあった。
「ん…っ、ケンタの手、冷たい」
「ごめん」
「いい。やめないで」
手が上に這っていって、胸に触れた。ブラをしてなかった。風呂場の着替えの時に外したままだったんだろう。
柔らかかった。あのユキの胸が、こんなに柔らかいのかって、頭の中がバグった。
「ブラ…してないの」
「だって濡れたままだったし…っ、あっ」
指が先端に触れた時、ユキが声を出した。小さい声だったけど、暗い部屋だと妙に響いた。
「感じるの?」
「……当たり前でしょ、バカ」
バカって言いながら、ユキの体は逃げなかった。むしろ少し胸を押し付けてきた。
パーカーの裾を持ち上げた。懐中電灯のぼんやりした光の中で、ユキの胸が見えた。形が綺麗だった。乳首はちょっと色が薄くて、ぴんと立ってた。
(これがあのユキの体かよ)
信じられなかった。ほんとに。小学校の時、プールで普通に一緒に着替えてたあのユキが、こんな体になってるなんて。
「そんな見ないでよ、恥ずかしい」
「無理。見る」
唇を胸に持っていった。舌先で乳首に触れると、ユキの体がびくんと跳ねた。
「ひっ…あ、そこ…弱い…」
昔のユキなら「弱い」なんて言葉、絶対使わなかった。50メートル走も腕相撲もユキの方が強かったから。
でも今のユキは、俺の舌で声を漏らしてる。(これ夢じゃないよな)って本気で思った。
ユキのスウェットの上から太ももに手を滑らせた。ユキの足がぴくっと動いた。
「ちょっと待って…ケンタ…ボク、あんまり慣れてないから」
「彼氏いたのに?」
「2回しかしたことないし、あんまり気持ちよくなかったし…」
「……」
「だから、優しくしてよね」
その言い方が、昔ユキがサッカーの試合前に「パス回してよね」って言うのと同じトーンで、なんかおかしくて、でも愛しかった。
スウェットのゴムに指をかけて、ゆっくり下ろした。俺が貸したスウェットの下、ユキは自分のショーツを履いてた。薄い水色の、シンプルなやつ。ユキっぽいなと思った。
「触るよ」
「……うん」
ショーツの上から触れた。湿ってた。ユキが小さく息を吸った。
「あっ…」
指をそっと動かすと、ユキの手が俺の肩を掴んだ。爪が食い込んでちょっと痛かった。
ショーツの横からそっと指を入れた。
「んっ…あ、ケンタ…」
ぬるっとしてた。ユキが恥ずかしそうに顔を背けた。
「すげえ濡れてる」
「言うな…恥ずかしいから…」
クリに指を当てて、ゆっくり円を描くように触ると、ユキの呼吸がどんどん荒くなった。
「あっ…あっ…やば…そこ…」
腰がびくびく動いて、ユキが俺にしがみついてきた。
「ケンタ…指…中に…」
「いいの?」
「うん…して…」
一本入れた。きつかった。ユキが「あっ」て声出して、体をこわばらせた。
「痛い?」
「ちょっと…でもいい。動いて」
ゆっくり指を動かした。中が指にまとわりつくみたいで、ユキの体の内側の熱を直接感じた。
「ああ…ケンタ…気持ちいい…」
ユキがポロッと涙をこぼした。
「え、痛いの?やめようか?」
「違う。なんか…嬉しくて」
(こんな顔するんだな、こいつ)
泣きながら気持ちいいって言ってるユキの顔が、これまで見たどの顔よりも綺麗だった。文学的な表現とかじゃなくて、マジでそう思った。
ユキの手が俺のズボンのあたりを触ってきた。
「ケンタも…硬くなってる…」
「当たり前だろ、この状況で」
「触ってもいい?」
ユキが俺のスウェットの中に手を入れてきた。指が触れた瞬間、全身に電気が走るみたいだった。
「おっきい…」
「普通だろ多分」
「わかんないけど…前の彼氏より…」
「その比較やめろ」
「あはは、ごめん」
笑いながらゆっくり握ってくるのが、たまらなかった。手つきはぎこちなかったけど、ユキの手だと思うだけで全然違った。
「ユキ、もう我慢できない」
「……うん。ボクも」
「ゴム…あるか…ちょっと待って」
2階の自分の部屋にダッシュした。机の引き出しの奥に、半年以上前に買って放置してたゴムがあった。使用期限ギリギリ。(あってよかった…)
戻ると、ユキはパーカーだけ着た状態で毛布にくるまって待ってた。下は何も履いてなかった。
(まじかよ)
ゴムを付けて、ユキの隣に座った。
「体勢、どうする?」
「ケンタに任せる」
ユキを仰向けにして、足の間に入った。懐中電灯の弱い光で、ユキの表情が見えた。緊張してるのが伝わってきた。
「力抜いて」
「抜いてるつもり…なんだけど…」
先端を当てた。ユキが小さく息を吸った。
ゆっくり入れていった。きつかった。ユキの膣壁が締め付けてきて、入れるのに時間がかかった。
「あっ…ぁ……」
「大丈夫?」
「うん…全部入れて…」
奥まで入った時、ユキが深く息を吐いた。俺も息を止めてたことに気づいた。
「ケンタ…繋がってる…ボクたち」
「……ああ」
(こんなことになるなんて、朝起きた時は1ミリも思ってなかった)
台風の風がゴーゴー鳴ってて、窓がガタガタ揺れてる中で、俺はゆっくり腰を動かし始めた。
「ん…っ、あ…ケンタ…」
ユキが俺の背中に手を回してきた。爪が食い込んだ。でも痛いとか思わなかった。
「気持ちいい?」
「うん…前と全然違う…ケンタだからかな…っ、あっ」
その言葉で頭がぶっ飛びそうになった。でも、初めてに近いユキのペースに合わせないとって、必死で自分を抑えてた。
少しずつ腰の動きを強くしていくと、ユキの声が大きくなった。
「あっ…あっ…やばい…ケンタ…そこ…すごい…」
ユキの中がきゅっと締まった。ユキが体を反らせて、声にならない声を出した。
「あ、あああ……っ」
体をガクガク震わせて、ユキが俺にしがみついた。
「イったの?」
「わかんない…でも…すごかった…」
初めてちゃんとイったんだろうなっていうのは、その反応でわかった。
「俺もそろそろ…」
「うん…いいよ…出して…」
最後、ユキの手を握ったまま腰を突いて、中に出した。ゴム越しでも脈打つのが自分でわかった。頭が真っ白になって、しばらく動けなかった。
そのまま二人で倒れ込んで、荒い呼吸が重なった。外ではまだ台風がゴーゴー吹いてた。
「ケンタ」
「ん」
「もう一回したい」
「……マジで?」
「今までで一番気持ちよかったから。もっとケンタを感じたい」
2回目は、ユキから上に乗ってきた。俺のパーカーを着たまま、腰をゆっくり動かすユキの顔は、もうサッカー少年の面影なんかなくて、完全に女の顔だった。
「ん…あっ…この体勢…奥に当たる…っ」
「ユキ…お前…やばい…」
1回目より余裕がなくなってた。ユキの中が慣れてきたのか、ぬるぬるに濡れてて、腰が勝手に動いた。
ユキが俺の手を取って、自分の胸に当てた。
「触って…ケンタに触られると…全然違う…」
胸を揉みながら、下から突き上げた。ユキが叫ぶみたいに声を出した。
「あっ、ダメ…っ、またイっちゃ…っ」
ユキが体をくの字に折って、ガクガク震えた。中がぎゅうってなって、俺も限界だった。
「ユキ…出る…っ」
「うん…一緒にイこ…」
腰を叩きつけて、2回目を出した。さっきより長く痺れが続いて、しばらく目の前が暗くなった。
ユキが俺の上に崩れ落ちて、二人とも汗だくだった。パーカーが汗で張り付いてた。
「はぁ…はぁ…ケンタ好き…」
「……俺も。俺もずっと前から、多分好きだった。気づいてなかっただけで」
「ばーか、遅いよ。10年遅い」
「それは認める」
そのまま毛布にくるまって、二人で横になった。ユキが俺の腕を枕にして、額に汗を残したまま目を閉じた。
「ね、ボクたち付き合うんだよね?」
「当たり前だろ。今さら友達に戻れるわけないだろ」
「えへへ。やっとだ」
外の風が少し弱くなってきた気がした。台風が通り過ぎていく。
朝方、スマホのアラームで目が覚めた。5時半。電気が復旧してて、テレビが勝手についてた。NHKが台風一過の青空を映してた。
隣でユキがまだ寝てた。俺のパーカーのまま、ちょっと口開けて寝てた。寝顔はやっぱり昔のユキに似てて、なんかホッとした。
ユキの頬をつついたら、うっすら目を開けた。
「……おはよ」
「おはよ。台風行ったぞ」
「んー…もうちょっとこのまま…」
ユキが俺の胸に顔を埋めた。
その後、ユキが自分の家に帰る時、玄関先で俺のスウェット着たままなのに気づいて「あ、これ返さなきゃ」って言ったんだけど、
「いいよ、次会う時でいいから」
「次って…いつ?」
「来週の土曜とか」
「遠い。水曜にして」
「わかったわかった」
ユキが3軒先の自分の家に歩いていくのを見送った。途中で振り返って手を振ってきた。
(10年か)
10年間ずっと隣にいたのに、全然気づかなかった。俺が鈍かったのか、ユキが隠すのが上手かったのか。多分両方。
あの台風の夜から、俺とユキは付き合い始めた。青葉台駅前のサイゼリヤが最初のデートだったのは、まあ俺たちらしいかなと思う。ミラノ風ドリア299円の横で「これ付き合って初めてのちゃんとしたデートだね」って言うユキの顔は、やっぱりめちゃくちゃ可愛かった。