社会人3年目、25歳の夏の話です。
俺は新卒で入った食品メーカーの営業をやってるんだけど、東京本社から地元の仙台支店に転勤になった。まぁ左遷とかじゃなくて、東北エリアの担当が急に辞めたから穴埋めっていう、よくある話。
正直、東京の生活が気に入ってたから最初はテンション下がったんだけど、実家から通えるし家賃浮くし、まぁいいかって感じで引っ越した。
で、7月の最終土曜日。仙台七夕まつりの前哨戦みたいな感じで、広瀬川沿いで花火大会があるんだけど、会社の先輩に「お前地元なんだから場所取りしろ」って言われて、昼の2時から河川敷にレジャーシート敷いて待ってた。
先輩たちが来るまでヒマすぎて、缶ビール片手にスマホいじってたら、後ろから声かけられたんだよね。
「あの……もしかして、レンくん?」
振り返ると、浴衣姿の女が立ってた。紺地に白い朝顔の柄で、帯は淡いピンク。髪はハーフアップにまとめてて、うなじが見えてた。
(誰だ……?)
顔はなんとなく見覚えがある。丸めの輪郭に、ちょっとタレ目。今田美桜をもう少し童顔にした感じっていうのかな。身長は160あるかないかぐらいで、浴衣の上からでもわかるぐらい胸がでかい。
「えっと……すみません、どちら様……」
「うそっ、ひどい! ミホだよ、黒川ミホ! 西多賀小!」
……あ。
マジか。ミホって、あのミホ?
小学校のとき同じクラスで、毎日一緒に帰ってたミホ? 休み時間にドッジボールで俺の後ろに隠れてた、あのちっちゃいミホ?
「え、ミホ!? うそだろ、全然わかんなかった……」
「ほんとにひどいんだけど笑 私はすぐわかったのに」
いや、わかるわけないだろ。だって小6のときのミホ、身長140ぐらいで、いつもショートカットで、男子と一緒にサッカーしてるような子だったんだよ。目の前のこの女、完全に別人じゃん。
俺は中学から仙台市内の別の学区に引っ越して、そのまま高校、大学と東京に出たから、ミホとは卒業式の日に「またね」って言って以来、本当に一回も会ってなかった。
「いや、ほんとに変わりすぎだって。めちゃくちゃ綺麗になったな」
「やだ、急に何そういうの……照れるんだけど」
ミホは耳まで赤くなって、持ってたうちわで顔を扇いだ。その仕草がまたかわいくて、俺は(やばいな)って思った。
聞けば、ミホは仙台の大学を出て地元の信用金庫で働いてるらしい。花火大会には高校の友達と来たんだけど、友達が彼氏と合流しちゃって一人になったとのこと。
「あいつら急にイチャイチャし始めてさ、私いる意味ないじゃんって」
「それはキツいな笑」
「ね、レンくんここ広いじゃん。隣いい?」
「あー……全然いいよ」
全然いいよ、じゃないんだよ。先輩たちが来たらどうすんだ俺。でもこの状況で断れるわけがなくて、ミホは俺の隣にちょこんと座った。
浴衣から石鹸みたいな匂いがして、ちょっとだけ甘い香水が混ざってる。近い。肩が触れそうなぐらい近い。
(落ち着け。小学校の友達だぞ。友達)
そう自分に言い聞かせてるのに、目がミホの鎖骨のラインに吸い寄せられる。浴衣の襟元から覗く肌が白くて、汗でうっすら光ってた。
「レンくんさ、仙台戻ってきたの最近?」
「うん、4月から。転勤」
「そうなんだ! じゃあ近いじゃん。私、長町だよ」
「マジで。俺、太白区の実家だから車で10分ぐらいだわ」
「えーうそ、近すぎない? 今まで何してたのよ笑」
いやいや、連絡先も知らないのにどうやって会うんだよ。でもまぁ確かに、同じ街に住んでたのに12年も会わなかったってのは不思議な話だ。
そうこうしてるうちに、先輩から「悪い、今日ちょっと体調悪いからパスするわ」ってLINEが来た。他のメンバーも「じゃあ俺も」って連鎖的にキャンセル。おいおい。
結果、レジャーシートには俺とミホの二人だけが残った。
「なんか……先輩たち来なくなった」
「えっ、じゃあ二人?」
「みたいだな……」
「……ふーん」
ミホがニヤッと笑った。なんだその顔。
「じゃあさ、私がビール買ってくるよ。レンくん場所番しといて」
「いや俺が行くよ」
「いいのいいの、おごるから。レンくんのぶんも」
そう言って、ミホは屋台の方に小走りで消えていった。浴衣で走ると裾がはだけて、白いふくらはぎが見えた。
(……やべえな、これ)
ミホが戻ってきたとき、両手にビールと焼きそばとたこ焼きを抱えてた。
「はい、お待たせ! 乾杯しよ」
「おお、ありがとう。乾杯」
プラカップをカチッと合わせる。ビールが冷たくてうまい。7月の河川敷、風がぬるいけど悪くない。
「レンくんってさ、彼女いるの?」
いきなりかよ。
「いない。半年前に別れた」
「あー、転勤がきっかけとか?」
「まぁ、そんなとこ」
正確には、転勤が決まった途端に向こうから「遠距離は無理」って言われた。付き合って1年ちょっとだったけど、意外とあっさり終わった。
「そっか。私も最近別れたんだよね」
「へえ」
「3年付き合ってたんだけど、なんかもう、お互い慣れちゃって」
「3年は長いな」
「うん……最後の半年はほぼ友達みたいだった。手もつながなくなって」
ミホがビールを飲みながらぽつぽつ話す。俺はなんか、妙にドキドキしてた。別に恋愛相談されてるだけなのに、ミホの横顔を見てると胸がざわざわする。
(これ、なんだ? 再会補正か? 浴衣補正か?)
7時半、花火が始まった。
最初の一発がドーンと上がって、ミホが「わあっ」て声を上げた。その瞬間、ミホの顔が花火の光で照らされて、俺はその横顔から目が離せなくなった。
「きれい……!」
タレ目がキラキラしてて、口元がちょっと開いてて、なんだろう、すごく無防備な顔だった。小学校のとき、校庭で二重跳びが初めてできたときに見せた顔と同じだって、思い出した。
(12年経っても、笑うときの顔は変わんないんだな)
そう思ったら、なんか胸の奥がぎゅっとなった。
花火が連発になって、ミホが俺の腕を掴んだ。
「すごいすごい! ねえ見て!」
掴まれた腕から、ミホの体温が伝わってくる。柔らかい指だった。
「……うん、すごいな」
俺は花火なんかほとんど見てなかった。ずっとミホの横顔を盗み見てた。
(やばい。これ、普通に好きになりかけてないか)
いや、さすがに早すぎるだろ。再会して2時間も経ってないぞ。でも、12年前から知ってる子だし、空白の時間が逆に妙なブーストをかけてくるっていうか。「あのミホがこんなに綺麗になって」っていう衝撃が、脳を狂わせてる感覚があった。
花火のフィナーレが終わって、周りの人たちが帰り始めた。俺たちはまだレジャーシートの上に座ってた。
「ねえ、もうちょっとだけ話してていい?」
「……いいよ」
(いいよ、じゃなくて、帰ってほしくない。でもそれは言えない)
ミホが2杯目のビールを飲み終えて、ほんのり頬が赤くなってた。
「私ね、レンくんのこと小学校のときからちょっと好きだったんだよ」
「……は?」
「やだ、そんな固まらないでよ笑 "ちょっと"だよ、ちょっと」
「いや、全然知らなかったんだけど……」
「でしょうね笑 レンくん鈍感だもん。卒業式の日にね、本当は手紙渡そうと思ってたの。でも勇気出なくて」
マジかよ。全然知らなかった。俺にとってミホは本当にただの友達で、一緒に遊ぶのが楽しい奴ってだけだった。
(いや、でも待て。小学校の話だぞ。12年前のちょっとした好意を今更どうこう言ったって……)
「まあ、小学生の好きなんて大したことないよ。ただ、今日会ってさ……」
ミホがちょっと俯いた。
「……なんか、やっぱりいいなって思っちゃった」
心臓がバクバクした。ミホは少し酔ってるのかもしれない。でも目はまっすぐで、酔った人間の目じゃなかった。
「ミホ、それは……」
「ごめん、重いよね。忘れて笑」
ミホが慌ててうちわで顔を扇ぐ。でも耳が真っ赤で、全然隠れてない。
(忘れられるわけないだろ)
俺はどうすべきか一瞬迷って、でも迷ってる場合じゃないなって思った。
「ミホ、帰るの送るよ。車だから」
「え、でもレンくんビール飲んでたじゃん」
「最初の一杯だけ。2時間以上前だし、500mlだけだよ。全然大丈夫」
実際、酔いは完全に覚めてた。ミホの告白めいた言葉で、アドレナリンが出まくってたから。
レジャーシートを畳んで、駐車場まで歩く。人混みの中、ミホが俺の袖をちょんと掴んでた。はぐれないように。
車に乗って、ミホの住所をナビに入れる。長町南のマンションらしい。車で15分ぐらい。
車内が静かだった。さっきまであんなに喋ってたのに、二人とも黙ってる。
「……ねぇ」
「ん?」
「さっきの話、ほんとに忘れていいからね」
「忘れないよ」
信号待ちで、横を見た。ミホが膝の上で手を握ってた。
「俺さ、正直に言うと、今日ミホに会えてめちゃくちゃ嬉しかった。再会してすぐに好きとかは言えないけど……気になってるのは本当」
「……うそ」
「うそつく意味ないだろ」
ミホがまた耳を赤くして、窓の方を向いた。
マンションの前に着いた。エンジンを切って、ちょっと沈黙。
「……レンくん、上がってく?」
「え」
「お茶……出すから」
(お茶て。この時間に。花火大会の帰りに。お茶て)
まぁでも、断る理由がなかった。というか、断りたくなかった。
ミホの部屋は1LDKで、きれいに片付いてた。玄関に入った瞬間、ミホの匂いがした。石鹸と柔軟剤と、あの甘い香水。
「散らかっててごめんね、ちょっと待ってて」
全然散らかってないんだけど、ミホはバタバタとクッションを整えたりしてた。かわいい。
リビングのソファに座って、出してもらった麦茶を飲む。ミホは浴衣のまま、俺の隣に座った。
テレビをつけたけど、二人とも画面なんか見てなかった。
「……ねえ」
「うん」
「レンくんって、私のこと、女として見れる?」
直球すぎないか。でもミホの目はまっすぐで、冗談じゃないってわかった。
「……正直、今日ずっと見てた。浴衣のミホから目離せなかった」
「……ほんとに?」
「うん。花火より見てた」
「……ばか」
ミホが笑って、でもちょっと泣きそうな顔をして、俺の方に体を寄せてきた。
気がついたら、キスしてた。
どっちからっていうのは正直わからない。多分、同時だった。ミホの唇は柔らかくて、ほんのりビールの味がした。
最初は触れるだけの軽いキスだったけど、すぐに深くなった。ミホの手が俺のTシャツの背中を掴んで、俺の手はミホの腰に回ってた。
「ん……っ」
舌が触れて、ミホが小さく声を漏らした。その声で、理性のブレーキが一段外れた。
唇を離すと、ミホの目がとろんとしてた。
「……これ、大丈夫なのか」
「何が?」
「いや、今日会ったばっかりっていうか……12年ぶりだし」
「12年ぶりだからこそだよ」
ミホがそう言って、俺の首に腕を回してきた。もう一回キスした。今度はもっと長くて、途中でミホの浴衣の帯がゆるんだ。
ミホが少し体を離して、自分で帯をほどき始めた。
「ミホ……」
「ちょっと待って、浴衣って脱ぐの大変なんだよね……」
もたもたしてるのが妙にリアルで、俺は笑いそうになった。でも笑ったら雰囲気壊れるから我慢した。
帯が取れて、浴衣がはだけた。中は白いキャミソールとショートパンツだった。
(下着の上にキャミ着てるタイプか……)
キャミソールの上から、胸の形がはっきりわかった。予想以上にでかい。Eカップはあるんじゃないか。
「ミホ、胸……でかくなったな」
「なにそれ笑 小学校のときと比べてんの?」
「いや、まぁ……うん」
「高校で急に大きくなって、自分でもびっくりしたんだけどね」
ミホが恥ずかしそうに胸の前で腕を組む。でもそれが逆に谷間を強調してて、俺の視線が吸い込まれる。
キャミソールの裾に手をかけたら、ミホが小さく頷いた。
脱がすと、ベージュのレースのブラが出てきた。地味なようで、体にぴったりフィットしてて、押さえ込まれた胸が柔らかく盛り上がってる。
「……きれいだな」
「そんなこと言われたの久しぶり……」
3年付き合った元カレの話を思い出した。慣れちゃって手もつながなくなったって。こんなにきれいな体してるのに、もったいないだろ。
背中に手を回してホックを外すと、ブラが外れて、白い胸がこぼれた。形がきれいで、薄いピンクの先端がちょっと固くなってた。
「あんまり見ないで……」
「見るに決まってるだろ」
片方を手で包むと、指が沈み込むような柔らかさだった。ミホが「んっ」と小さく声を漏らして、俺の肩に額を押し当てた。
もう片方の先端を親指で転がすと、ミホの体がびくっと震えた。
「あっ……そこ、弱い……」
「弱いの?」
「うん……前の彼氏にはあんまり触られなかったから……慣れてなくて」
それを聞いて、なんか変なスイッチが入った。こんなにいい体してるのに、ちゃんと触られてなかったのかよ。
ミホの胸に顔を埋めて、先端を舌で転がした。
「やっ……んんっ……!」
ミホが俺の頭を抱えるように手を置いた。押し返すんじゃなくて、引き寄せる方向。
しばらく胸を攻めてから、ミホをソファに押し倒した。ショートパンツの上から太ももを撫でると、肌がさらさらしてた。
「脱がすよ」
「……うん」
ショートパンツを脱がすと、ベージュのレースのショーツ。上下セットだったんだな。
太ももの内側に手を滑らせると、ミホが脚を閉じようとした。でもすぐに力が抜けて、ゆっくり開いた。
ショーツの上から触ると、もう濡れてた。
「……恥ずかしい」
「嬉しいんだけど」
「ばか……」
ショーツをずらして、直接触れた。ミホが息を呑む音がした。
指で割れ目をなぞると、ぬるっとした感触が指に絡みついてきた。上の方の突起に触れると、ミホの腰がぴくっと跳ねた。
「あっ……そこ……だめ」
だめって言いながら、腰が押し付けてくる方向に動いてる。全然だめじゃないだろ。
ゆっくり指を入れると、中はびっくりするぐらい熱かった。ミホが俺のTシャツをぎゅっと掴んで、顔をそむけた。
「んっ……あっ……れ、レンくん……」
名前を呼ばれると、こっちもどうにかなりそうだった。ていうか、もうとっくになってた。ズボンの中がパンパンで痛いぐらいだった。
俺はTシャツを脱いで、ズボンも脱いだ。ミホが下を見て、目を逸らした。
「……おっきい」
「普通だと思うけど」
「前の彼氏より……大きいかも」
元カレと比較されるのは複雑だったけど、正直ちょっと嬉しかった。
「ミホ、ゴムある?」
「あ……ない、かも」
まずい。俺も持ってきてない。花火大会に一人で場所取りに行っただけなのに、ゴム持ってくわけないだろ。
「コンビニ行ってくるわ」
「えっ、待って……」
ミホが俺の腕を掴んだ。
「行かないで。今離れたら、なんか……冷めちゃいそうで怖い」
「でも……」
「大丈夫、今安全な日だから。……お願い、このまま」
俺は正直迷った。でもミホの目を見たら、不安と期待が入り混じった顔をしてて、この瞬間を逃したらもう二度とこうはならない気がした。
(……こういうとき、男ってほんと弱いよな)
ミホの上に覆いかぶさって、先端を当てた。ミホが息を止めた。
ゆっくり入れていく。
「……っ」
中が熱くて、きつくて、吸い付いてくるような感覚だった。ミホの爪が俺の背中に食い込んだ。
「痛い?」
「ううん……久しぶりだから、ちょっと……」
最後まで別れた彼氏としてなかったって言ってたもんな。半年以上は空いてるのか。
奥まで入れて、しばらく動かずにいた。ミホが深呼吸して、俺の首に腕を回した。
「……動いていいよ」
ゆっくり腰を動かし始めた。ミホが合わせて腰を揺らす。
「んっ……あっ……」
声が甘い。小学校のとき聞いてた声と同じ喉から出てるとは思えない。当たり前だけど。
(俺、今、ミホの中にいるんだよな……あのミホの)
信じられなかった。12年前、一緒に虫取りしてた女の子と、こんなことしてる。頭がおかしくなりそうだった。
「ミホ……気持ちいい」
「私も……レンくん、もうちょっと強くして……」
言われた通り、少し強く腰を打ちつけた。ミホの声が大きくなって、ソファのクッションがぎしぎし鳴った。
「あっ、あっ……やばい……これ、やばい……」
「何がやばいの」
「こんなの……前の彼氏のとき、なかった……」
その一言で、変な優越感と背徳感が同時に来た。小学校の友達を、元カレより気持ちよくさせてるっていう。
体勢を変えて、ミホの脚を持ち上げた。角度が変わって、奥に当たったらしい。ミホが声にならない声を出した。
「ん、んんっ……! そこ……っ」
「ここ?」
「うん……そこ、いい……すごいいい……」
ミホの目が潤んでて、口元がだらしなく開いてた。今田美桜に似てるって思ったけど、今田美桜がこんな顔するわけないよな。目の前の女だけの顔だ。
「レンくん……私、いきそう……」
「いっていいよ」
「あっ、ああっ……! だめ、いく……いくっ……!」
ミホの中がぎゅっと締まって、全身がびくびくと震えた。俺の腕を掴む手に力が入って、爪が食い込んだけど、そんなの気にならなかった。
「はぁ……はぁ……」
余韻でぼんやりしてるミホの顔を見てたら、俺も限界が近かった。
「ミホ、俺もそろそろ……」
「うん……中にいいよ」
「いいの……?」
「大丈夫だから……出して」
ミホが腰に脚を絡めてきた。もう抜けない。抜く気もなかった。
「やば……出る……っ」
最後に深く突き入れて、中に出した。頭が真っ白になる感覚が、数秒続いた。
「んっ……あつい……」
ミホが俺を抱きしめたまま、小さく笑った。
「……出たね」
「……うん、出た。ごめん」
「なんで謝るの笑」
そのまましばらく、くっついたまま動けなかった。ミホの心臓の音が、俺の胸に伝わってた。
抜いたあと、ティッシュで簡単に拭いて、二人でソファに並んで座った。ミホは俺のTシャツを借りて着てた。膝ぐらいまである。
「ねえ、レンくん」
「ん」
「これ、一回きりとかじゃないよね?」
不安そうな声だった。俺はミホの頭をぽんぽんと撫でた。
「俺、明日もミホに会いたいんだけど」
「……ほんとに?」
「うん。つーか、連絡先交換してないじゃん俺ら」
「あっ、ほんとだ笑 やることやってんのに連絡先知らないの、おかしくない?」
二人で笑った。スマホを取り出して、LINEを交換した。
ミホのアイコンは猫の写真だった。
「猫飼ってんの?」
「ううん、実家の猫。会いたいなぁ」
「じゃあ今度、俺の実家に遊びに来いよ。うちも猫いるから」
「えっ、いいの?」
「いいよ。母さん、ミホのこと覚えてると思う」
「やだ、それ恥ずかしい……でも行きたい」
ミホが俺の腕に頬を寄せてきた。さっきまで裸だったくせに、こういうスキンシップの方が恥ずかしそうにしてるのが、なんか面白かった。
「ねえ、もう一回だけ」
「もう一回?」
「キス」
「……キスだけ?」
「……キスだけで終わると思う?」
ミホが悪戯っぽく笑った。さっきまでの恥ずかしがりは何だったんだよ。
結局その夜、俺たちは3回した。2回目はベッドで、3回目はシャワー浴びたあとにまたベッドで。
2回目は俺がミホの上に乗って、3回目はミホが上に乗ってきた。上から腰を振るミホは、下から見上げると揺れる胸がすごくて、俺の方が先にいきそうになった。ミホに「我慢して」って言われたけど、あの状況で我慢するのは無理がある。
3回目のあと、もう深夜の2時を過ぎてた。ミホはシャワーのあとにパジャマに着替えて、俺は借りたスウェットを着た。
布団に入って、ミホが俺の腕を枕にした。
「小学校の卒業式のとき、手紙渡せばよかった」
「渡されても、あの頃の俺じゃわかんなかったと思う」
「かもね笑」
「でも、12年かかったけど届いたじゃん」
「……うん」
ミホが俺の胸に顔を埋めた。鼻をすする音がした。泣いてたのかもしれない。でも聞かなかった。
翌朝、ミホが作った目玉焼きとトーストを食べて、俺は家に帰った。
車に乗る前に、ミホが玄関で見送ってくれた。俺のTシャツを着たままで。
「これ、洗って返すね」
「返さなくていいよ。パジャマにして」
「パジャマにするには短いんだけど笑」
「じゃあ次会うとき着てて」
「……次、いつ?」
「来週でいい?」
「来週まで待てない」
そう言ったミホの顔が、ほんとにきれいだった。朝日に照らされて、すっぴんで、髪もぼさぼさで、それなのにきれいだった。
あれから半年経った今、俺とミホは付き合ってる。仙台支店の同僚には「最近なんか顔つき変わったね」って言われる。そりゃ変わるだろ、12年越しの再会でこうなったんだから。
花火大会の夜に場所取りを押し付けてきた先輩には、心の中で毎日感謝してる。ドタキャンしてくれてありがとうございます。