こういうの、書いていいのかわかんないけど、もう誰かに吐き出さないと頭がおかしくなりそうなので書きます。
俺、28歳。横浜の日吉に住んでるフリーランスのエンジニア。顔面偏差値は45がいいとこで、大学の同期には「お前って存在感だけ薄いよな」って言われるタイプ。身長172、体重63、服はユニクロとGUのローテーション。彼女いない歴は気づいたら3年になってた。
母さんが俺が大学2年のときに病気で亡くなって、それからずっと親父と二人で暮らしてた。親父は商社マンで海外出張が多い。月の半分は家にいない。だから実質、俺は一人暮らしみたいなもんだった。
で、去年の秋。親父が突然「再婚する」って言い出した。
相手は33歳。親父、55だぞ。22歳差。正直ひいた。いや、親父がモテるのは知ってる。若い頃の写真見ると竹野内豊に似てるって言われてたらしいし、55でも背筋伸びてて白髪交じりが逆にサマになってる。でもさ、33て。俺と5つしか違わないじゃん。
「お前のお義母さんになる人だ、よろしくな」
よろしくなって言われても。
初めて会ったのは日吉駅前のイタリアンだった。親父の隣に座ってた人を見て、俺は一瞬フリーズした。
新木優子。いや、本人じゃないけど、マジでそっくり。162cmくらいで、髪は鎖骨くらいのセミロング。目がちょっと垂れてて、笑うと目尻にくしゃっとシワが寄る。その笑い方がまた反則だった。スーツ姿だったけど、胸元のブラウスの膨らみがかなりあって、(たぶんEかFだろ…)って思った自分が嫌だった。
「はじめまして。奈緒子です。よろしくね」
「あ、はい…よろしくお願いします」
敬語。義母になる人に敬語。なんだこの距離感。
「奈緒子でいいよ。お義母さんとか絶対やめてね、心臓止まるから」
「じゃあ…奈緒子さん、で」
「うん、それがいい」
にこっと笑われて、胸がどくんとした。(いや待て、これ親父の嫁だぞ)
結婚式は身内だけの簡素なやつで、年が明けて1月に奈緒子さんが日吉の家に越してきた。3LDKのマンション、俺の部屋は奥の6畳。奈緒子さんと親父は手前の寝室。リビングとキッチンは共用。
最初の1ヶ月はとにかく気まずかった。朝、洗面所で鉢合わせると「おはよ」って言われるんだけど、寝起きの奈緒子さんがTシャツにショートパンツで、太ももがやたら目に入る。料理上手で、夜は毎日ちゃんとした飯が出てくる。鯖の味噌煮とか、筑前煮とか。母さんが作ってくれてたのと同じ匂いがして、それがまた複雑だった。
2月、親父がドバイに2週間の出張に行った。
初めての二人きり。
「ね、今日なに食べたい?」
「あ、なんでも…自分で作りますよ」
「水くさいな~。せっかくなんだし、一緒にご飯食べよ?一人だと味気ないじゃん」
断れなかった。っていうか、断る理由がなかった。
鍋にした。二人で豚バラと白菜をつつきながら、テレビでバラエティ観て笑ってた。奈緒子さんはビールを3缶飲んで顔が赤くなってた。
「ねー、なんで彼女いないの?」
「え、急に」
「だって気になるじゃん。こんないい子なのに」
「いい子って…犬じゃないんで」
「あはは、ごめんごめん。でもほんとに。顔だって悪くないのに」
(それ絶対フォローだよな…)
「私さ、前の彼氏と別れてから3年くらい一人だったんだよね。で、お父さんと出会って。年齢とか関係ないんだなって思った」
「親父のどこがいいんすか」
「んー…安心する、かな。一緒にいて。あと料理褒めてくれるのが嬉しい」
そう言って少し寂しそうに笑った。親父、出張多すぎるんだよ。
2週間の出張中、毎晩一緒にご飯を食べた。洗い物は俺がやるようになった。奈緒子さんが洗って俺が拭く、みたいな分担もできた。深夜にリビングで仕事してると、奈緒子さんがココアを持ってきてくれることもあった。
「無理しないでね」
その声が耳に残って、その夜は全然コードが書けなかった。
親父が帰ってきて、また出張して、また帰ってきて。そのサイクルが続いた。俺は親父がいない夜が楽しみになっていることに気づいてた。(これはまずい)って思いながら、止められなかった。
4月。桜が咲いてた頃。
親父がシンガポールに3週間行くことになった。過去最長。出発の日、玄関で奈緒子さんが親父を見送ってた。親父が奈緒子さんの頭をぽんって撫でて、「頼むな」って言った。奈緒子さんは「いってらっしゃい」って笑ってた。
その夜。
奈緒子さんが夕飯の片付けをしてるとき、皿を割った。
「あっ…」
「大丈夫すか?怪我は」
「うん、大丈夫…ごめんね」
大丈夫じゃなかった。右手の人差し指から血が出てた。
「出てるじゃないすか、ちょっと見せて」
救急箱を持ってきて、流水で洗って、絆創膏を巻いた。奈緒子さんの指は細くて、少し冷たかった。
「…ありがと」
目が赤かった。泣いてた。
「皿一枚で泣くことないでしょ」
「皿じゃないよ…」
「…」
「寂しいの。お父さんいない夜がこんなに多いと思わなかった」
ソファに座って、膝を抱えて、声を殺して泣いてた。Tシャツの裾から背中の白い肌がちらっと見えて、俺はそれを見ちゃいけないと思いながら見てた。
「…俺がいるじゃないすか」
なんでそんなこと言ったのか自分でもわからない。
奈緒子さんが顔を上げた。涙で目がきらきらしてて、鼻が少し赤くて。
「…うん」
その一言がやけに重かった。
そこから、なんか空気が変わった。
一緒に映画観るとき、ソファの距離が近くなった。料理してるとき、後ろを通ると肩が触れるようになった。全部偶然かもしれないし、全部わざとかもしれない。わからなかった。
5月の連休。親父は帰ってこなかった。上海で案件が炎上してるとかで。
奈緒子さんと二人で近所のイオンに買い物に行った。端から見たらカップルに見えたと思う。年上の姉さんと年下の彼氏、みたいな。レジのおばちゃんに「お二人ですか?」って聞かれて、奈緒子さんが「はい」って答えたとき、訂正しなかった自分がいた。
帰りに綱島の商店街でたこ焼き買って、鶴見川沿いのベンチで食べた。
「ねぇ、私のことどう思ってる?」
たこ焼きが喉に詰まりかけた。
「…どうって」
「義理のお母さんとして見てる?」
「正直…母親としては見れてないです」
「だよね」
「5つしか違わないし…」
「じゃあ何として見てるの?」
答えられなかった。川面に夕日が反射してて、奈緒子さんの横顔がオレンジ色に染まってた。
「…私ね、ずるいこと言っていい?」
「…」
「お父さんと結婚したの、後悔はしてないよ。でもね、最近思うの。もし先にあなたに会ってたら、って」
心臓が跳ねた。空気がぜんぶ止まった気がした。
「…それ、言っちゃダメでしょ」
「うん、わかってる。だからずるいって言った」
帰り道、一言も喋らなかった。マンションのエレベーターの中、反射で映る二人の顔がどっちも強張ってた。
その夜、俺は自分の部屋で天井を見つめてた。寝れるわけがなかった。親父の顔が浮かぶ。母さんの顔も浮かぶ。でもそれを全部塗りつぶすみたいに、奈緒子さんの泣き顔がちらつく。
(俺は最低だ)
深夜2時。喉が渇いてキッチンに行った。
リビングの電気がついてた。ソファに奈緒子さんが座ってて、膝を抱えてた。ワインのグラスが半分残ってる。
「…寝ないんすか」
「寝れなくて」
「俺も」
奈緒子さんの隣に座った。ソファがへこんで、体が少し傾いた。肩が触れた。
「…今日のこと、忘れて」
「無理っすよ」
「…だよね」
「俺だって同じこと思ってました。先に会ってたらって」
奈緒子さんが俺を見た。目が潤んでた。
「…嘘」
「嘘ついてどうすんすか、こんな状況で」
沈黙が落ちた。エアコンの音だけが聞こえてた。外では車が一台通り過ぎた。
奈緒子さんが俺の手に自分の手を重ねた。絆創膏を巻いた指が見えた。
「…怒る?」
「何を」
「これ」
奈緒子さんが俺の肩に頭を預けた。髪からシャンプーの匂いがした。ダヴの、あの白いやつの匂い。
「怒んないすよ…」
「よかった…」
「でも、これ以上は…」
「わかってる」
わかってる、って言いながら、手を離さなかった。俺も離さなかった。(親父、ごめん)って思ったけど、もうその言葉が嘘みたいだった。
そのまま何分経ったかわからない。奈緒子さんの呼吸が穏やかになって、寝たのかと思った。
「…ねぇ」
「ん」
「キス、していい?」
(ダメだ)って思った。思ったのに、首が動かなかった。逃げなかった時点で答えは出てたんだと思う。
奈緒子さんが顔を上げた。近い。息がかかる距離。目を閉じた奈緒子さんの唇が、俺の唇に触れた。
柔らかかった。ワインの味がした。
一瞬だけのつもりだった。たぶん向こうもそのつもりだった。でも離れた瞬間に目が合って、二人とも同じ顔をしてて、次のキスは自分からだった。
「ん…っ」
舌が触れた。奈緒子さんの舌が俺の唇をなぞって、俺もつられて口を開けた。
深いキスだった。息が荒くなってた。奈緒子さんの手が俺のTシャツの裾を掴んでて、俺の手は気づいたら奈緒子さんの腰にあった。
「…っ、ま、待って」
「…ごめん」
「謝んないで…私から言い出したんだから」
でも離れない。額と額がくっついてて、お互いの息が混じってた。
「…部屋、行こ」
その言葉を聞いたとき、俺の中で最後のブレーキが外れた音がした。(もう戻れない)って、はっきりわかった。
手を引かれて、奈緒子さんの…親父と奈緒子さんの寝室じゃなくて、俺の部屋に入った。6畳、シングルベッド、デスクにモニター2台。生活感しかない部屋。
「…ここがいい」
「汚くてすみません」
「ふふ、そういうとこ好き」
ベッドに腰掛けた奈緒子さんの隣に座った。薄暗い部屋にデスクのモニターの待機ランプだけが青く光ってた。
キスした。さっきより深く、長く。奈緒子さんの手が俺の頬に触れて、指先が少し震えてた。
「…震えてる」
「緊張してるの…こういうの久しぶりだから」
「親父とは…」
「…最近は、ほとんど」
それ以上は聞けなかった。聞いちゃいけない気がした。
奈緒子さんのTシャツに手をかけた。自分でもびっくりするくらい手が震えてた。
「…脱がせて」
上を脱がすと、ベージュのブラが出てきた。谷間が深くて、想像通りだった。
「…すげぇ」
「何が」
「いや…でかいなって」
「もうちょっと言い方あるでしょ…」
でも嫌そうじゃなかった。背中に手を回してホックを外した。ブラが落ちて、白い胸が出てきた。Eカップ。形が綺麗で、乳首がうっすらピンクだった。
「…綺麗」
「…ありがと」
胸に顔を埋めた。柔らかくて温かくて、石鹸の残り香がした。乳首を舌先で転がすと、奈緒子さんの体がびくっとなった。
「あっ…そこ、弱い…」
もう片方の胸も揉みながら、交互に舐めた。奈緒子さんの手が俺の頭を撫でてて、(なんだこれ、母親みたいだ)って思ってゾクッとした。いろんな感情がぐちゃぐちゃだった。
奈緒子さんが俺のTシャツを脱がせた。ズボンも。お互い下着だけになったとき、奈緒子さんが俺の股間を見て固まった。
「…おっきい」
「普通だと思いますけど」
「ううん…お父さんより…」
(それ言うの…?)
気まずいのに興奮してる自分がいて、本当に最低だと思った。
奈緒子さんが俺のボクサーパンツを下ろして、手で握った。指が細くて、爪が短く切り揃えてある。丁寧な人だな、って場違いなことを考えた。
「…こうすると気持ちいい?」
ゆっくり上下に動かされた。親指が先端を擦ると腰が浮きそうになった。
「っ…気持ちいい…」
「よかった…」
奈緒子さんが俺を押し倒して、上から覆いかぶさってきた。髪がカーテンみたいに俺の顔の周りに落ちてくる。
「…ほんとにいいの?」
「俺のセリフなんすけど」
「ふふ…」
奈緒子さんが自分でショーツを脱いだ。暗がりでもわかるくらい、濡れてた。
「コンドーム…」
「持ってないよね」
「…ないっす」
「私、薬飲んでるから。大丈夫」
その一言で全部ぶっ飛んだ。
奈緒子さんが俺の上にまたがって、手で掴んで、ゆっくり腰を落とした。
先端が触れた瞬間、二人とも息を呑んだ。ぬるっとした感覚があって、中に入っていく。
「あ…っ、おっきい…」
「…っ、きつい…」
中がぎゅうって締まってて、入り切ったとき奈緒子さんが「はぁ…」って長く息を吐いた。
「…全部、入った…」
動かない時間があった。お互いに、その瞬間を噛みしめてるみたいだった。(これ、やっちゃったんだな)って、他人事みたいに思った。
奈緒子さんがゆっくり腰を動かし始めた。前後に、すり潰すみたいに。
「んっ…あっ…」
声が近い。耳のすぐそばで聞こえる。俺は奈緒子さんの腰を掴んで、下から突き上げた。
「やっ…そこ…っ」
奈緒子さんの中が脈打つみたいに動いて、わけわかんないくらい気持ちよかった。
体を起こして、奈緒子さんを抱きしめながら突いた。胸が俺の顔に押し付けられる。
「奈緒子さん…」
「呼び捨てにして…今だけ…」
「…奈緒子」
「っ…もっかい…」
「奈緒子…奈緒子…」
呼ぶたびに中が締まった。奈緒子さんが泣いてるのか喘いでるのかわからない声を出してた。
「好き…ごめんね…好き…」
(謝んないでよ)って思ったけど声にならなかった。
体勢を変えた。奈緒子さんを仰向けにして、正常位で入れ直した。目が合った。涙の跡がてかってた。
「…泣くなよ」
「だって…こんなの…初めて…」
「何が」
「こんなに…好きだって思いながらするの…」
俺もだった。3年ぶりのセックスが、よりによって親父の嫁で、よりによってこんなに気持ちよくて、よりによってこんなに胸が苦しかった。
腰を深く打ち込むと、奈緒子さんの脚が俺の腰に絡みついた。
「あっ…奥…当たって…」
「やば…もう…」
「いいよ…中に出して…」
「ほんとに…?」
「うん…全部ちょうだい…」
奈緒子さんの両腕が俺の首に回った。密着して、額をくっつけて、目を見たまま動いた。
限界だった。
「出る…っ」
「うん…きて…」
腰の奥がぐっと引き攣って、全部出した。奈緒子さんの中がきゅうっと締まって、搾り取られる感じがした。
「あっ…あつい…」
「はぁ…はぁ…」
しばらく動けなかった。繋がったまま、奈緒子さんの上に崩れ落ちた。汗で肌がくっついてた。
「…重い」
「すんません」
「…でも、どかないで」
奈緒子さんが俺の背中をゆっくり撫でた。母さんが小さい頃にしてくれたのと同じ、円を描くような撫で方。
「もう一回…していい?」
「…マジすか」
「足りないの…ごめんね」
二回目は後ろから入れた。奈緒子さんが四つん這いになって、腰を突き出した。さっき出したのが少し漏れてるのが見えて、それがまた信じられないくらいエロかった。
「…恥ずかしいから見ないで」
「無理っすよ」
入れると、さっきより滑らかだった。奈緒子さんの声もさっきより甘くなってた。遠慮がなくなってた。
「そこっ…いい…もっと…」
一回目の罪悪感が嘘みたいに、もう何も考えられなかった。目の前の奈緒子さんの背中、くびれ、声、匂い。全部で頭がいっぱいだった。
奈緒子さんが先にイった。体をびくびくさせて、シーツを掴んで、声にならない声を出してた。中が波打つみたいに動いて、俺もすぐにイった。
二回目のほうが出す量が少ないはずなのに、快感はもっと深かった。
並んで天井を見てた。シングルベッドだから狭い。腕が触れてる。
「…これからどうしよ」
「…わかんないす」
「お父さんが帰ってきたら、普通に戻れる?」
「…正直、無理かもしんないです」
「…だよね」
沈黙。エアコンの音。外で始発の電車が走る音がした。もう朝だ。
「…私、お父さんのことは好きだよ。嘘じゃない」
「わかってます」
「でもあなたのことも…ごめん、ほんと最低だよね私」
「最低なのは俺のほうっすよ。実の親父の嫁に手ぇ出してんだから」
「…手ぇ出されたのは私のほうだけど」
「どっちもどっちでしょ」
顔を見合わせて、力が抜けたみたいに二人で笑った。
最低な朝だった。でもここ数年で一番、生きてるなって感じた朝だった。
今、これを書いてるのは6月。親父はまた上海にいる。奈緒子さんは隣の部屋でドラマを観てる。この後、たぶん俺の部屋に来る。
答えは出てない。答えなんか出ないのかもしれない。でも、止められない。
親不孝の極みだと思う。地獄に落ちるならそれでもいいとすら思ってる。
ただ一つだけわかってることがある。あの夜、奈緒子さんが「先に会ってたら」って言わなかったら、俺はたぶん一生、この気持ちに蓋をしたまま生きてた。それが幸せだったのか不幸だったのか、今の俺にはもう判断できない。