社会人3年目、25歳の話です。
こんなこと書いていいのかわからないけど、たぶん一生忘れられないから書きます。ていうか誰かに言いたくてしょうがない。でも絶対に知り合いには言えないやつなので、ここに投稿させてください。
俺は都内のIT企業で働いてる、まあ普通のサラリーマンです。身長172、体重65、顔面偏差値は友達に言わせると「髪型でごまかせるレベル」らしい。つまりフツメンのちょい下。
彼女の美咲とは付き合って1年半で、半年前から中野のワンルームで同棲してます。美咲は同い年の25歳、損保の事務職。顔は橋本環奈をちょっと大人っぽくした感じで、身長157、Eカップ。正直なんで俺と付き合ってるのか未だにわからない。
で、事の発端は金曜の夜。仕事から帰ると、美咲がやたらテンション高くて。
「ねえねえ、来週の土日、麻衣が泊まりに来ていい?」
「麻衣って、大学の?」
「そう!名古屋から東京に転勤になったんだけど、まだ部屋決まってなくて」
「いいけど…うち狭くない?」
「大丈夫大丈夫!麻衣めっちゃいい子だから。準人も絶対気に入るよ」
麻衣さんの話は美咲からよく聞いていた。大学時代のサークル仲間で、美咲が「人生で一番仲いい友達」と公言してる人。写真で見たことはあったけど、正直あんまり覚えてなかった。
土曜の昼過ぎ。インターホンが鳴って、美咲が玄関に走っていった。
「麻衣ーー!」
「みさきー!久しぶりー!」
玄関でキャーキャー抱き合ってる二人の声を聞きながら、リビングでそわそわしてた。(正直、彼女の友達って気を遣うんだよな…)
で、美咲に連れられてリビングに入ってきた麻衣さんを見て、ちょっと固まった。
今田美桜に似てる。いや、まじで。目がでかくて、鼻筋が通ってて、唇がぷっくりしてる。身長は美咲より少し高いくらいで160ぐらい。髪はダークブラウンのゆるいウェーブで、白いニットにデニムっていうシンプルな格好なのに、なんかオーラがすごい。
「初めまして!麻衣です。美咲がいっつもお世話になってます」
「あ、いや、こちらこそ。準人です。よく話聞いてます」
「え、なんか緊張してません?笑」
「いや別に…」
「準人いつもこんな感じだから気にしないで笑」
(いつもこんな感じって何だよ…)
麻衣さんは名古屋の商社から東京本社に異動になったらしい。26歳。彼氏は半年前に別れたとのこと。
「遠距離になるなら別れようって言われて。まあ私もそこまで好きじゃなかったかも」
「麻衣ってほんとドライだよね笑」
「ドライじゃないよ?ただ無駄な執着はしないだけ」
なんかかっこいいこと言うな、この人。
三人で近所の中野サンモールの中華屋に行って、ビール飲みながら飯を食った。美咲と麻衣さんは大学時代の話で盛り上がってて、俺はほぼ聞き役。でも麻衣さんがちょいちょい俺に話を振ってくれて、気遣いができる人だなと思った。
「準人さんって美咲のどこが好きなんですか?」
「え、急に?」
「いや、美咲って結構わがままじゃないですか。それに付き合える人ってすごいなって」
「ちょっと!」
「まあ…わがままっていうか、素直なだけかなって。思ったこと全部言ってくれるから楽っちゃ楽です」
「…いい答え。美咲、大事にしてもらってんじゃん」
「でしょ?だから言ったじゃん、準人いい人だって」
(…俺の話、そんなにしてたの?)
帰り道、麻衣さんがほろ酔いで美咲の腕に絡まってて、二人でケラケラ笑ってた。その後ろを歩きながら、なんかいいなこの二人、と普通に思ってた。まだこの時点では。
部屋に戻って、問題が発生した。うち、ワンルームなんだよな。ベッドはダブルが1つ。
「準人はソファで寝てね?」
「え、俺が追い出されんの?」
「だって麻衣と同じベッドはさすがにまずいでしょ」
「私ソファでいいよ?悪いし」
「ダメダメ、お客さんなんだから。ね、準人」
「…はいはい」
IKEAで買った2人掛けのソファに毛布をかぶって横になる。狭い。硬い。寝れない。
ベッドの方から二人のひそひそ声が聞こえてくる。何を話してるのかはわからないけど、時々くすくす笑ってる。(…俺の悪口じゃないよな?)
たぶん1時間ぐらい経った頃、トイレに起きた。暗い部屋の中、スマホのライトをつけずにそろそろ歩いてたら、ベッドの近くで何かにつまずいた。
見ると、ベッドから麻衣さんの腕がはみ出してた。
(近い…)
ベッドでは美咲が壁側、麻衣さんが手前側で寝てた。麻衣さんは美咲が貸したであろうキャミソールを着てて、シーツから片足が出てた。肌が白くて、ふくらはぎのラインがやけに目に焼きついた。
(やめろやめろ。彼女の親友だぞ)
トイレから戻って、またソファに転がる。天井を見つめて、さっきの光景が頭から離れなくて、自分がクソだなと思った。
翌朝。麻衣さんが先に起きてコーヒーを淹れてくれていた。
「おはようございます。ソファ大丈夫でした?」
「…背中バキバキです」
「ごめんなさい…。あ、コーヒー飲みます?」
人の家のキッチンに自然に立ってるのがなんか不思議な光景だった。キャミソールにショートパンツっていう格好で、(いやその格好で男の前うろつくのやめてくれませんかね…)と思いながら、差し出されたマグカップを受け取った。
「ありがとうございます」
「美咲まだ爆睡してますよ笑。昔から朝弱いんですよね」
「休みの日は昼まで寝てることもありますよ」
「あー、変わってないな笑。大学の頃も1限絶対来なかったもん」
二人でリビングのテーブルでコーヒーを飲みながら、なんとなく話し込んでしまった。麻衣さんは転勤してきたばかりで東京に友達が少なくて、美咲以外に頼れる人がいないこと。会社の人間関係がまだうまくいってないこと。
「なんか、こうやって普通に話せる人がいるだけでありがたいんですよね」
「俺でよければいつでも」
「…準人さんって、ほんとに優しいですね」
その目がまっすぐすぎて、思わず目をそらしてしまった。
美咲が起きてきて、三人で新宿に買い物に行った。美咲と麻衣さんはルミネで服を見て、俺は近くのビックカメラで時間を潰した。夕方に合流して、歌舞伎町のはずれにある焼き鳥屋で飲んだ。
この時、ちょっと変なことがあった。
美咲がトイレに立った隙に、麻衣さんが急に真顔になって。
「準人さん、美咲のこと好きですか?」
「え?そりゃ好きですよ」
「…ですよね。ごめんなさい、変なこと聞いて」
「どうしたんですか急に」
「なんでもない。忘れてください」
美咲が戻ってきて、話題は変わった。でも麻衣さんのあの表情がずっと引っかかってた。
帰りの電車の中で、美咲が俺の耳元でささやいた。
「ねえ、麻衣のこと、どう思う?」
「いい人だと思うよ。気遣いできるし」
「かわいいでしょ?」
「まあ…普通にかわいいとは思うけど」
「ふーん」
この「ふーん」が怖い。絶対なんか考えてる。
その夜。風呂上がりにリビングでビールを飲んでたら、美咲と麻衣さんが一緒に風呂から上がってきた。
「一緒に入っちゃった笑」
二人ともバスタオル一枚で髪を拭きながら出てくる。湯気と一緒にシャンプーのいい匂いがして、(目のやり場がない…)。麻衣さんのバスタオルから覗く鎖骨と、その下のふくらみの存在感がやばかった。たぶんCカップぐらい。美咲ほど大きくはないけど、体のラインが綺麗というか。
「あっ、すみません。すぐ着替えます」
「い、いや全然」
(全然じゃねえよ…)
美咲はニヤニヤしてた。
着替え終わった三人で、ベッドの上に座ってNetflixを見てた。画面は韓国ドラマだったけど、正直内容が頭に入らなかった。美咲が俺の右側、麻衣さんが俺の左側に座ってて、ダブルベッドとはいえ三人だと肩が触れる距離なんだよ。
麻衣さんの細い二の腕が俺の腕に当たるたびに、心臓がうるさかった。(落ち着け。お前には彼女がいるだろ。隣にいるだろ)
「ね、もう一本缶チューハイ開けよ」
美咲が冷蔵庫に取りに行った隙に、麻衣さんが小声で。
「…準人さん、さっきからずっと体硬いですよ笑」
「そ、そうですか?」
「私がいると気まずいですよね。ごめんなさい」
「いや、そんなこと全然ないです」
「…ほんとに?」
その時の麻衣さんの上目遣いが、計算なのか天然なのかわからなくて、余計に混乱した。
美咲が戻ってきて、缶チューハイを三人で飲み始めた。美咲は酒が弱いくせに飲むタイプで、2本目で早くもふにゃふにゃになってた。
「私もう眠い…先に寝ていい?」
「寝なよ寝なよ」
「俺もそろそろ…」
「準人はまだ起きてて。麻衣と仲良くして」
「は?」
「麻衣、東京来たばっかで寂しいんだから。話し相手になってあげてよ」
そう言って美咲はベッドにもぐりこんで、30秒で寝息を立て始めた。(寝るの早すぎだろ…)
リビングに二人きり。沈黙。
「…なんか気まずいですね笑」
「ですね笑」
「もう一杯飲みます?」
冷蔵庫に残ってた最後のレモンサワーを二人で分けた。テーブルを挟んで向かい合って座って、ぽつぽつ話してた。
「準人さんは、美咲と出会う前、モテました?」
「全然。大学時代は告白して3連敗してます」
「うそ笑」
「まじですよ。3人目なんか、告白した次の日に別の男と付き合ったからね」
「ひどい笑。でもそういうの乗り越えてきた人の方が、ちゃんと人を大事にしますよね」
「…そうかな」
「私の元彼はモテるタイプだったから、私のこと雑に扱ってた気がする。今思えば」
「それは元彼が悪いですよ。麻衣さんみたいな人を雑に扱うとか」
「…みたいな人って、どんな人ですか?」
「えっと…その…かわいくて、気遣いができて…」
「かわいい、って思ってくれてるんですね」
(やば、言っちゃった)
「いや、一般論として」
「一般論か笑」
麻衣さんがグラスを置いて、立ち上がった。
「ねえ、準人さん」
俺の隣に来て、ソファに座った。近い。膝が触れてる。
「…美咲には言わないでほしいんですけど」
「なにを」
「私、美咲から準人さんの話聞くたびに、ずっとうらやましかったんです」
「え…」
「美咲が『準人がこうしてくれた』『準人がああ言ってくれた』って。聞くたびに、そんな人私にもいたらなって」
「それは…美咲の話が盛ってるだけですよ」
「盛ってないって、今日一日見ててわかった」
麻衣さんの目が潤んでた。酔ってるだけかもしれない。でも、その表情があまりにも無防備で。
「…ごめんなさい。変なこと言って」
立ち上がろうとした麻衣さんの手首を、気づいたら掴んでた。
(…何やってんだ俺)
麻衣さんが振り向いた。驚いた顔。でも、振りほどかなかった。
数秒、見つめ合った。ベッドの方から美咲の寝息が聞こえる。
俺は手を離した。
「…すみません」
「………」
「準人さんは、ずるい人ですね」
そう言って、麻衣さんはベッドに戻っていった。
ソファに一人残されて、心臓がばくばくしてた。手首を掴んだ右手がまだ熱い。(俺は何がしたかったんだ。最低だろ)
寝れなかった。当然。
翌朝、日曜日。三人目が覚めて、何事もなかったかのように朝ごはんを食べた。麻衣さんはいつも通りで、昨夜のことがなかったみたいに普通に笑ってた。俺だけがぎこちなかったと思う。
午前中に麻衣さんは帰る予定だった。
「麻衣、部屋見つかるまでいつでも泊まりにおいでよ」
「ありがとう。でもこれ以上甘えたら悪いし」
「何言ってんの。ねえ準人もそう思うでしょ?」
「うん、いつでも来てください」
社交辞令のつもりだった。いや、社交辞令じゃなかったのかもしれない。自分でもわからなかった。
麻衣さんが帰り支度をしてる間に、美咲がキッチンで俺に耳打ちした。
「ねえ、昨日の夜、麻衣と何話してたの?」
心臓が跳ねた。
「別に、普通の話だよ。仕事のこととか」
「ふーん。麻衣ね、今朝起きた時ちょっと泣いてたんだよね」
「…え?」
「寂しかったのかな。転勤したばっかだし」
「…だろうね」
胸が痛かった。
玄関で麻衣さんを見送る時、美咲がトイレに行って一瞬だけ二人になった。
「昨日はごめんなさい。変なこと言って」
「いや、俺の方こそ…」
「もう会わない方がいいかもしれないですね」
「…そうかもしれない」
「でも」
「でも?」
「…やっぱりなんでもないです」
美咲が戻ってきて、麻衣さんは笑顔で手を振って出ていった。
ドアが閉まった後、美咲が俺の顔を覗き込んできた。
「準人、なんか元気ないね」
「ソファで寝たせいだよ、二日連続は体にくる」
「ごめんって笑。今日は一緒にベッドで寝よ?」
美咲が抱きついてきた。いつもの甘い匂い。いつもの柔らかさ。
「ね、準人…昼間だけど、したい…」
美咲がそう言って、俺のTシャツの裾をつまんだ。
「…うん」
正直に言う。このとき俺の頭にあったのは、美咲への愛情と、麻衣さんへの罪悪感と、自分自身への嫌悪がぐちゃぐちゃに混ざったものだった。でも美咲に求められて、断る理由なんてなかった。むしろ、美咲を抱くことで昨夜の自分を上書きしたかったのかもしれない。
ベッドに押し倒すと、美咲が嬉しそうに笑った。
「久しぶりだね、昼間にするの」
「一週間ぶりぐらいじゃない?」
「麻衣いたからできなかったもんね」
その名前を出されてドキッとしたけど、美咲は気づいてない。キスした。いつもより強く。
「ん…今日なんか激しくない?」
「溜まってたから」
嘘じゃなかった。でも全部が本当でもなかった。
美咲のニットをたくし上げて、ブラごと胸を出す。Eカップの重みが両手に収まる。乳首を舌先でなぞると、美咲が甘い声を出した。
「あっ…そこ弱いって知ってるくせに…」
知ってる。1年半一緒にいれば、どこを触ればどんな反応するか全部わかってる。左の乳首の方が感じやすいこと。耳の後ろを舐めると鳥肌が立つこと。
でも今日は、その「全部わかってる」ことが、なぜかすこし息苦しかった。
美咲のショートパンツを脱がして、下着の上から触る。もう濡れてた。
「…はやい、自分でも恥ずかしい」
「恥ずかしがるなよ」
下着をずらして、直接触った。美咲がびくっとして、俺の首にしがみつく。
「んっ…指、中に…」
「こう?」
「あっ…そう、そこ…」
美咲の中はいつもよりきつく感じた。一週間ぶりだからか。指を動かすたびに美咲の呼吸が荒くなっていく。
(好きだ。美咲のことは好きだ。間違いなく)
自分に言い聞かせるように、もう片方の手で美咲の頬を包んでキスした。
「準人…入れて…」
ゴムをつけて、ゆっくり入れた。
「んんっ…」
「痛くない?」
「ううん…気持ちいい…」
正常位で、美咲の目を見ながら動いた。美咲が俺の背中に手を回して爪を立てる。この感覚が好きだった。
「もっと…奥まで…」
腰の角度を変えて、深く突く。美咲が声を押し殺して体を震わせた。
「声出していいよ。麻衣さんもういないんだから」
「んあっ…あっ…そう、だよね…っ」
声を出した美咲がいつもより色っぽくて、無意識にペースが上がった。
「やっ…そんな激しく…っ」
「ごめん…止まらない…」
「止まらなくて…いい…っ」
美咲が俺の頭を抱え込んで、耳元でささやいた。
「好き…準人のこと好き…」
その言葉が胸に刺さった。嬉しくて、苦しくて。
体位を変えて、美咲を横向きにさせた。後ろから抱きしめながら入れると、美咲が小さく「あっ」と声を漏らした。
「美咲…」
「んっ…この体勢すき…くっついてる感じがする…」
腰を密着させたまま、ゆっくり動く。美咲の首筋にキスしながら、胸を下から包むように触った。
「あっ…あん…やば…いきそう…」
「いっていいよ」
「一緒に…いこ…?」
「うん…俺も近い…」
美咲の手が俺の手に重なって、指を絡めてきた。その温かさに、なぜか泣きそうになった。
「あっ…いくっ…」
美咲が体を震わせて、中がぎゅっと締まった。その刺激で俺も限界だった。
「っ…出る…」
ゴムの中に出しながら、美咲を強く抱きしめた。
「はぁ…はぁ…気持ちよかった…」
「…俺も」
後ろから美咲を抱きしめたまま、しばらく動けなかった。美咲の髪の匂いを嗅ぎながら、目を閉じた。
「ねえ準人」
「ん?」
「麻衣にはああ言ったけど…あんまり頻繁に泊まりに来るのは、やめてもらおうかな」
「…なんで?」
「なんとなく。女の勘」
心臓が止まるかと思った。
「…冗談だよ笑。準人がそんなことするわけないもんね」
「…うん」
「でも、麻衣がかわいいのは知ってるからね?笑」
「何も思ってないよ」
「はいはい笑」
美咲は笑ってたけど、その笑顔の裏に何があるのか、俺には読めなかった。
夕方、一人でコンビニに行った帰り、スマホに通知が来た。LINEの友達追加。麻衣さんからだった。
「美咲には内緒で追加しました。迷惑だったらブロックしてください」
心臓がまた暴れ出した。
俺は、あの通知を既読にして、ブロックしなかった。
それが正しかったのか間違ってたのか、今でもわからない。ただ一つだけ確かなのは、あの週末から、俺の中で何かが決定的に変わってしまったということ。
美咲のことは好きだ。それは本当。でも麻衣さんのあの目が、あの手首の温度が、ふとした瞬間に蘇ってくる。
最低だと思う。自分でも。でも、たぶんこれが嘘偽りない話なんだと思います。
読んでくれてありがとうございました。