どうも、こんにちは。東京で働いてる26歳の会社員です。
今から書くことは去年の9月に実際にあった話で、未だにちょっと信じられないというか、思い出すたびに心臓がバクバクするやつです。長くなるけど、よかったら最後まで読んでやってください。
僕は都内の専門商社で営業をやってるんだけど、まあ正直に言って仕事ができるほうじゃない。入社4年目にしていまだに見積もりの単位を間違えるし、名刺交換のタイミングで名刺入れを落とすし、議事録は誤字だらけだし。同期の中でも確実にワースト3には入ってる自信がある。自信って言っていいのかわかんないけど。
そんな僕の直属の上司が、チーフの宮野さんだ。
宮野さんは32歳で、僕が入社したときにはもうチーフだった。身長は163くらいで、髪はダークブラウンのボブ。顔は石原さとみをちょっとキリッとさせた感じで、目つきが鋭い。スーツの上からでもわかるくらい胸が大きくて、でも本人はそれを絶対に武器にしない。いつもジャケットのボタンをきっちり留めてて、仕事中は常に真顔。笑ったところなんて飲み会でもほとんど見たことがない。
(この人、マジで怖いんだよな……)
宮野さんの口癖は「根拠は?」と「それ、先方に説明できる?」で、僕はこの2つのフレーズを聞くたびに胃がキュッとなる。でも不思議なことに、宮野さんに怒られてる最中に、ふとジャケットの隙間から見える鎖骨のラインとか、腕を組んだときの胸の圧迫感とか、そういうのが目に入ってきてしまう自分がいて。
いや、もちろんそれは人として最低なんだけど。怒られてるのにエロいとか思ってる場合じゃないのはわかってる。わかってるんだけどさ。
で、去年の9月の話。
名古屋にある取引先で、新商材のプレゼンをすることになった。うちの部署からは僕と宮野さんの2人。本来は先輩の田中さんが行くはずだったんだけど、田中さんが急に39度の熱を出して、急遽僕に白羽の矢が立った。
(マジかよ……田中さん、このタイミングで倒れんなよ……)
プレゼン資料は田中さんが作ったものをそのまま使う予定だったんだけど、宮野さんから前日の夜に電話がかかってきた。
「明日のプレゼン、田中が作った資料そのまま使うつもり?」
「え、はい、そのつもりですけど……」
「中身ちゃんと頭に入ってる?数字の根拠、全部説明できる?」
「……がんばります」
「がんばりますじゃなくて、できるかできないかを聞いてるの」
「……正直、不安です」
「……まあ、正直なのはいいけど。明日の新幹線、7時22分の品川発ね。遅れたら置いてくから」
ガチャ、と切れた。優しい言葉なんて一個もなかった。でも、電話してきてくれたってことは、多少は心配してくれてたのかもしれない。いや、単に仕事として確認しただけか。
当日、品川駅の新幹線改札で合流した宮野さんは、ネイビーのパンツスーツにヒールという出で立ちだった。いつもと違って髪を片耳にかけていて、小さなピアスが光っていた。
(うわ、なんかいつもよりキレイだな……)
なんて思ってたら、
「なに見てんの。早く乗るよ」
即座に現実に引き戻された。
のぞみの車内で宮野さんは新幹線の崎陽軒のシウマイ弁当を食べながら(この人、シウマイ弁当好きなんだ……と意外に思った)、資料に目を通していた。僕は隣で緊張しすぎてサンドイッチが喉を通らなかった。
名古屋駅からタクシーで取引先のオフィスに着いて、いよいよプレゼン。先方は5人。部長クラスが2人いる重要な案件だった。
序盤は田中さんの資料をなぞるだけだったからなんとかなった。問題は質疑応答だ。
先方の部長が聞いてきた。
「このコスト試算なんですけど、原材料の単価はどこの時点の相場を使ってます?」
(えっ……そこ聞く?田中さんの資料にそんなの書いてあったっけ……)
頭が真っ白になった。5秒くらい黙ってしまったと思う。その5秒は体感3分くらいだった。
「えーと、それは……その、直近の……市場価格を……ベースに……」
しどろもどろだった。完全にフリーズしてる僕を見て、先方の部長が苦笑いを浮かべた。空気が凍った。僕は「すみません」と言いかけた。
そのとき、隣から声がした。
「失礼いたします。こちらの試算は今年6月時点のLME公表価格を基準にしております。直近3ヶ月の変動幅も考慮した上で、バッファを5%設けた数値です」
宮野さんだった。涼しい顔で、完璧な受け答えだった。
そこからは宮野さんが質疑のほとんどを引き取ってくれて、プレゼンはなんとか終わった。先方も最後にはうなずいてくれていたし、「前向きに検討します」という言葉ももらえた。
でも僕は、帰りのタクシーの中で死にたくなっていた。
「宮野さん、すみませんでした。僕のせいで……」
「……」
「本当に申し訳なくて。準備が足りなかったです」
「うん、足りなかったね」
バッサリだった。でも、そのあと宮野さんは窓の外を見ながらこう言った。
「でもまあ、序盤の説明はわかりやすかったよ。田中より噛み砕いて話せてた」
「え?」
「聞こえなかった? 2回は言わないから」
それだけ言って、宮野さんはスマホをいじり始めた。僕は窓の外の名古屋の街並みをぼんやり見ながら、胸の奥がじんわり熱くなるのを感じていた。
問題はそのあとだった。
名古屋駅に戻ると、改札前の電光掲示板に「運転見合わせ」の文字がずらっと並んでいた。台風14号が東海地方を直撃して、東海道新幹線が完全にストップ。復旧見込みは翌日の午前中。
「マジっすか……」
「仕方ないわね。ホテル取るしかない」
宮野さんはスマホで手際よくビジネスホテルを押さえた。名古屋駅から歩いて7分くらいの、よくあるチェーンのやつ。台風のせいで空きが少なくて、ツインの部屋は全滅。シングル2部屋がギリギリ取れた。
チェックインして荷物を置いて、宮野さんから「30分後にロビーで」とメッセージが来た。
ロビーで合流すると、宮野さんはスーツのジャケットを脱いで、白いブラウスにパンツスタイルだった。ジャケットがないと、胸のラインがはっきりわかる。たぶんE〜Fくらいはある。ブラウスのボタンの隙間からうっすら下着のレースが見えて、僕は慌てて視線を逸らした。
「ご飯行こ。この辺なんかある?」
「ご飯行こ」って。宮野さんのその言い方が妙にカジュアルで、一瞬ドキッとした。
台風で閉めてる店も多かったけど、駅の地下街の手羽先の店がやっていた。世界の山ちゃんだ。
カウンターに並んで座って、生ビールで乾杯した。
「おつかれ。今日はまあ……いろいろあったけど」
「本当にすみません……」
「もういいよ、それ。引きずってたらもっとダメになるでしょ」
手羽先をかじりながら、宮野さんはビールをぐいぐい飲んだ。この人、こんなに飲むんだ。会社の飲み会ではいつも控えめだったから知らなかった。
2杯目のビールを頼んだあたりから、宮野さんの口調がだんだんくだけてきた。
「つーかさ、田中がこのタイミングで熱出すの、あいつらしいっちゃらしいよね」
「え、宮野さん、田中さんのことそう思ってたんすか」
「田中は仕事できるけど、ここぞって時にコケるの。知らなかった?」
「知らなかったです……」
「あんたはその逆。普段はポンコツだけど、たまに意外といいとこ見せるのよ」
「褒めてます?それ」
「微妙なとこ。ポンコツの頻度が多すぎるから差し引きマイナス」
ひどい。でも、宮野さんが笑った。目尻にしわが寄る笑い方で、会社では絶対に見せない顔だった。
(うわ、この人、笑うとめちゃくちゃかわいいじゃん……)
3杯目のハイボールに切り替えたあたりで、宮野さんの頬がうっすら赤くなってきた。目がちょっとトロンとしてきて、それがすごく色っぽかった。
「ねえ、あんたさ、私のこと怖いって思ってるでしょ」
「え、いや……まあ、ちょっとだけ……」
「ちょっと?」
「……だいぶ」
「あはは、でしょうね。みんなそう。部署の子たち、私のこと鬼チーフって呼んでるの知ってるし」
「えっ、知ってたんすか」
「当たり前でしょ。聞こえてんのよ、あんたたちの声」
「すみません……」
「別に怒ってない。事実だし。……でもさ、厳しくしないと舐められるのよ、女って。特にうちみたいな男ばっかの会社だと」
宮野さんはハイボールのグラスをくるくる回しながら、どこか遠い目をしていた。
「入社した頃なんて、担当先で『お姉ちゃん』って呼ばれたことあるからね。32の今でも、初対面だと事務の子だと思われることあるし」
「それは……きついっすね」
「だから余計にピリピリしちゃうんだろうね、私。……あんたたちに当たってる自覚はある」
そんなことを言う宮野さんを初めて見た。会社では絶対に弱みを見せない人だと思ってたから、なんか、胸の奥がぎゅっとなった。
台風の風がビュウビュウ吹く中、僕たちはホテルに戻った。エレベーターで同じ階まで上がって、隣同士の部屋の前で「おやすみなさい」と言った。
部屋に入ってシャワーを浴びて、ベッドに転がってスマホをいじっていたら、メッセージが来た。宮野さんからだった。
「コンビニでワイン買ってきたんだけど、ひとりで飲むのもなんだし、よかったら」
(え……宮野さんの部屋で飲むってこと?)
心臓が跳ねた。3秒迷って「行きます」と返した。
宮野さんの部屋をノックすると、ドアが開いた。
宮野さんはホテルの備え付けのグレーのTシャツみたいなルームウェアを着ていた。化粧を落として、髪が濡れたままで、素顔は会社のときよりずっと柔らかかった。何より、ルームウェアのTシャツが胸のところでぱつぱつに張っていて、ブラをしていないのが一目でわかった。
(見るな見るな見るな……)
必死に視線を上に持っていった。
テーブルの上にはコンビニの赤ワインのボトルと、チーズとかサラミとかのおつまみが並んでいた。
「グラスがないから、紙コップで我慢して」
紙コップに注がれた赤ワインで乾杯した。
「今日のプレゼンのことさ」
「はい……」
「あれ、私が助けたの、別にあんたのためじゃないから」
「え?」
「うちの部署の信用がかかってるから当然フォローしただけ。勘違いしないでね」
「はい……」
「……って建前。本音は、あんたがフリーズしてるの見て、なんか放っとけなかった」
え、と思った。宮野さんは紙コップのワインを一口飲んで、こっちを見ないで続けた。
「あんた、あの5秒間めちゃくちゃ情けない顔してたの。もう辞めます、って顔。あれ見たら、なんか……イラッとしたっていうか、あんたにそんな顔させたくないって思った」
「宮野さん……」
「やだ、なにその顔。別に深い意味ないから」
宮野さんの耳が赤かった。酔ってるせいもあるだろうけど、それだけじゃない気がした。
ワインが半分くらいなくなった頃、宮野さんが急に「暑い」と言ってTシャツの首元を引っ張った。その拍子に、胸元が大きく開いて、谷間がはっきり見えた。
(やば……めっちゃ見える……)
宮野さんはそれに気づいたのか気づいてないのか、全然直さなかった。
「ねえ、あんたさ」
「は、はい」
「さっきから胸見てるでしょ」
「見てないです」
「嘘。目線でわかるよ」
「…………すみません」
「謝んなくていいけど。……どうなの、私の胸」
「え?」
「聞いてんの。どうなの」
宮野さんの目がこっちをまっすぐ見ていた。トロンとした目。でも酔ってるだけじゃない、何か覚悟を決めたような目だった。
「……でかいと思います」
「あはは、そこは素直だね」
宮野さんが笑って、自分でTシャツの裾を少し持ち上げた。お腹が見えて、その白さに息を呑んだ。
「宮野さん、それは……」
「これは?」
「誘ってます……よね?」
「……さあ、どうだろうね」
ずるい。この人、本当にずるい。
気がついたら僕は宮野さんの隣に座っていた。ベッドの端に並んで座っていて、宮野さんの肩にコンビニのワインの匂いがした。
「宮野さん」
「ん?」
「キスしていいですか」
「……根拠は?」
「え?」
「ふふ、冗談。……いいよ」
唇を重ねた。宮野さんの唇はワインの味がして、柔らかかった。最初はそっと触れるだけだったのが、だんだん深くなっていった。宮野さんのほうから舌を入れてきて、僕はもう頭が真っ白になった。
プレゼンでフリーズしたのとは全然違う真っ白。こっちのほうがよっぽどパニックだった。
(え、俺、宮野さんとキスしてる。鬼チーフと。嘘だろ……)
キスしながら宮野さんの腰に手を回すと、宮野さんが小さく「ん……」と声を漏らした。あの宮野さんが。会議室で「根拠は?」と冷たく言い放つあの宮野さんが。
Tシャツの上から胸に触れた。柔らかくて大きくて、手のひらに収まりきらなかった。
「……っ、あんた、意外と大胆じゃん」
「宮野さんが誘ったんでしょ」
「生意気」
そう言いながら宮野さんは自分でTシャツを脱いだ。ブラなしの胸がどんと現れて、僕は呼吸が止まった。本当に大きかった。たぶんFカップくらいある。形がきれいで、乳首はうっすらピンクで、32歳の身体がこんなにきれいなのかと、馬鹿みたいに見とれてしまった。
「そんなに見ないで。恥ずかしいんだけど」
「無理です。きれいすぎて」
「……ばか」
宮野さんの顔が真っ赤だった。会社では絶対に見せない顔。この表情を見てるのは世界で僕だけなんだと思ったら、胸の奥がぎゅうっとなった。
胸を揉みながら乳首を舌で転がすと、宮野さんは僕の頭を両手で抱えて、小さく喘いだ。
「ん……っ、そこ、弱い……」
「ここ?」
「うん……もうちょっと、優しく……」
指示がめちゃくちゃ的確で、ちょっと笑ってしまった。
「なに笑ってんの」
「いや、仕事のときと一緒だなって。的確な指示」
「……殴るよ?」
でも宮野さんも笑っていた。
僕がパンツを脱がそうとしたら、宮野さんが僕の手を止めた。
「待って」
「……やっぱダメですか」
一瞬、全部終わると思った。やっぱり上司と部下だし、酔った勢いだし、明日になったら後悔するから。そう言われるんだと覚悟した。
「違う。ゴム、ある?」
「え……いや、ないです」
「私もない。……どうする?」
「コンビニ、行ってきます」
宮野さんが僕の腕を掴んだ。
「台風だよ。外、暴風雨」
窓の外では風がゴウゴウと唸っていた。
「でも……」
「……ホテルのフロントにあるかも」
僕はルームウェアのまま1階に走った。フロントのおじさんに「あの、すみません、その……」としどろもどろになりながらお願いしたら、何も言わずにそっと紙袋を差し出してくれた。神だと思った。マジで神。名古屋のビジホのフロントのおじさん、ありがとうございます。
部屋に戻ると、宮野さんはベッドの上で膝を抱えて待っていた。上半身裸で。
「……遅い」
「すみません、エレベーターがなかなか……」
「言い訳しない。仕事と同じ」
そう言いながら宮野さんは僕の手から紙袋を取って、中を確認した。
「ちゃんとしてるじゃん」
「そりゃ、まあ……」
宮野さんを押し倒した。いや、正確には、宮野さんが自分から横になって、僕を引き寄せた。
キスをしながらショーツを脱がすと、宮野さんは脚を閉じようとした。
「……恥ずかしい」
「会社だと全然そんなこと言わないのに」
「会社と一緒にしないで……」
指を滑らせると、もう濡れていた。宮野さんが息を詰めて、シーツを掴んだ。
「宮野さん、すごい濡れてますよ」
「……っ、いちいち報告しなくていい」
「報告」って言い方がもう上司すぎて、こんな場面なのにちょっと笑ってしまう。でも宮野さんの身体は正直で、指を動かすたびに腰がびくっと跳ねた。
クリを親指で円を描くように触りながら、指を1本入れると、宮野さんの中はきつくて熱かった。
「あ……っ、そこ……だめ、いきなり奥は……」
「ゆっくりやりますから」
「……うん」
宮野さんが僕の目を見て小さくうなずいた。その顔がものすごくかわいくて、この人を大事にしなきゃと本気で思った。(いやでも上司なんだけど。上司なんだけどさ)
ゴムを着けて、ゆっくり入れた。
「ん……っ」
「痛いですか?」
「ううん……大丈夫。……動いていいよ」
腰を動かし始めると、宮野さんが声を抑えようとして唇を噛んでいるのが見えた。
「声、出していいですよ」
「隣の部屋に……聞こえる……」
「台風の音でかき消されますって」
「そんな根拠で……っ、ん、あ……っ」
台風の風が窓をガタガタ揺らす音に混じって、宮野さんの押し殺した声が漏れた。正常位で、宮野さんの顔を見ながら動いた。会社では冷たい目をしてる人が、今は潤んだ目で僕を見上げていて、なんだかクラクラした。
「あ……もっと……奥……っ」
「宮野さん、奥が好きなんすか」
「黙って……っ、いちいち聞かないで……っ」
でも聞くと答えちゃうんだから、宮野さんは基本的に真面目な人なんだと思った。
深く突くと、宮野さんが背中を反らせた。大きな胸が揺れて、僕はその光景に見惚れながら腰を打ちつけた。
「やば……っ、だめ、そのリズム……っ」
「だめって、やめたほうがいい?」
「違……っ、やめないで……っ」
宮野さんが僕の背中に爪を立てた。痛かった。でもその痛みが、これは現実なんだって教えてくれた。
「あっ……イく、イっちゃ……っ」
宮野さんの中がきゅうっと締まって、全身がびくびく震えた。声にならない声を上げて、僕にしがみついたまま、しばらく動けなかった。
少し落ち着いてから、僕が動こうとしたら、宮野さんが「待って」と言った。
「……上、やらせて」
「え?」
「やだ、言わせないでよ……上に、乗りたいの」
体勢を入れ替えて、宮野さんが上になった。大きな胸が目の前で揺れて、宮野さんが腰を回すように動くと、さっきとは全然違う気持ちよさが突き上げてきた。
「うわ……宮野さん、やばい……」
「何がやばいの。具体的に言って」
「いや、全部やばいっす……」
「ふふ……もうちょっと語彙力ないの?」
騎乗位で腰を動かしながら僕をいじってくる宮野さん。でも声は甘くて、目はトロンとしてて、全然怖くなかった。
宮野さんの胸を下から揉みながら、乳首を指先で弾くと、リズムが乱れた。
「ちょ……っ、そこ触ると、動けなく……」
「じゃあ俺が動きます」
下から突き上げると、宮野さんが声を上げた。さっきまで抑えてたのが嘘みたいに。
「あっ、あんっ……だめ、下から突かれるの……っ」
僕は腰を掴んで、ぐっと引きつけながら奥まで入れた。宮野さんが僕の胸に崩れ落ちるように倒れてきて、耳元で甘い声が聞こえた。それがもう限界だった。
「宮野さん、俺もう……」
「いいよ……出して……」
最後は密着したまま、腰を打ちつけて果てた。頭の奥がしびれるような快感が全身を駆け巡って、しばらく動けなかった。
宮野さんが僕の胸の上で息を整えていて、心臓の音がお互いに聞こえていたと思う。
「宮野さん」
「……ん」
「明日から、会社でどうすればいいですか」
「……今それ聞く?」
「気になって……」
宮野さんが僕の胸から顔を上げた。前髪が汗で額に張り付いていて、目が潤んでいた。
「会社では今まで通り。私はあんたの上司で、あんたはポンコツの部下。それは変わらない」
「……はい」
「でも」
宮野さんが僕の頬に手を当てた。
「……ふたりのときは、別。……だめ?」
「だめなわけないじゃないですか」
宮野さんが、また笑った。目尻にしわが寄る、あの笑い方。
そのあと、もう1回した。今度は後ろからで、宮野さんが「あんたにお尻見られるの恥ずかしいんだけど」と言いながらも、結局は自分から腰を突き出してきて。2回目は1回目よりもっとお互いに余裕がなくて、宮野さんは声を我慢しなくなっていて、台風の音なんかもう全然聞こえなかった。
朝、カーテンの隙間から日差しが入ってきて目が覚めた。台風は過ぎていた。
隣を見ると、宮野さんがまだ寝ていた。化粧も何もしていない寝顔は、32歳じゃなくてもっと若く見えて、なんだか守ってあげたくなるような顔だった。(守るって、僕がポンコツなのにおこがましいけど)
しばらく寝顔を見ていたら、宮野さんが目を開けた。
「……見てた?」
「はい」
「気持ち悪い」
「ひどくないですか」
「冗談。……おはよう」
「おはようございます」
新幹線は午前10時に運転を再開した。名古屋駅のホームで並んで新幹線を待ちながら、宮野さんはいつもの真顔に戻っていた。でも、電車に乗り込んでふたりで並んで座ったとき、宮野さんの小指が僕の小指にそっと触れた。
それから半年以上経った今も、僕たちの関係は続いている。会社では相変わらず僕は怒られてばかりだし、宮野さんは鬼チーフのままだ。でも月に何回か、金曜の夜に宮野さんから「今日、空いてる?」ってメッセージが来る。
この間、僕がようやくひとりで商談をまとめたとき、宮野さんがデスクの前を通りすがりにボソッと言った。
「……やるじゃん」
それだけ。でも僕には十分だった。
たぶん僕はこの先もポンコツだし、宮野さんに怒られ続けるんだと思う。でも、あの台風の夜に見た宮野さんの笑顔を思い出すたびに、もうちょっとだけがんばろうって思える。
それって、なんか、仕事のモチベーションとしては最低かもしれないけど。
でもまあ、いいか。僕はヘボ社員だし。