どうもこんにちは。28歳、IT企業でインフラエンジニアをやっている者です。
いきなりなんですが、みなさんは小さい頃の記憶ってどのくらい残ってますか。俺はわりと覚えてるほうで、小学校の入学式に母親の手を離して校門で転んだこととか、幼稚園のお遊戯会でセリフを全部飛ばしたこととか、そういう恥ずかしいやつばっかり鮮明に残ってるんですよね。
で、そのなかでも一番はっきり覚えてるのが、小3の夏に地元の花火大会で迷子になったときの話です。
埼玉の川越に住んでたんですけど、毎年7月の終わりに安比奈親水公園ってところで花火大会があって、家族で行ってたんです。その年、俺は屋台のかき氷を買いに行ったまま、人混みに揉まれて親とはぐれました。
今ならスマホで即連絡できるけど、2007年の小3にそんなものはない。泣きながらうろうろしてたら、浴衣を着た女の子が声をかけてくれたんです。
俺より少し背が高かったから、同い年か一つ上くらいだったと思う。顔は暗くてよく見えなかったけど、金魚の絵がついた巾着袋を持ってたのだけ覚えてます。
その子が俺の手を引いて、花火会場の近くの交番まで連れてってくれた。交番でお巡りさんに引き渡されて、しばらくしたら母親が泣きながら迎えに来て、気づいたらその子はもういなかった。
名前も聞けなかった。
母親に「女の子が連れてきてくれたんだよ」って言ったら、「ちゃんとお礼言ったの?」って聞かれて、言ってないことに気づいて、それがずっと心残りだったんですよね。20年間。
まぁ、そんなことを時々思い出しながらも、普通に生きてきたわけです。大学は日大の理工学部に行って、新卒で都内のSIerに入って、激務に揉まれて5年。体壊しかけて転職を決意して、去年の10月に今の会社に移りました。
従業員200人くらいの自社開発の会社で、渋谷のマークシティの近くにオフィスがあります。前の会社とは天と地の差で、フレックスだしリモートもOKだし、なにより残業が少ない。人間らしい生活ってこういうことかと感動しました。
で、問題はここからです。
隣の席に座ってたのが、橋本さんという30歳の女性エンジニアでした。
第一印象はですね、今田美桜をもう少し大人っぽくした感じ。目がくりっとしてて、でも表情にどこか落ち着きがある。身長は162センチくらいで、髪はダークブラウンのセミロング。服装はいつもシンプルなんだけど、たまにVネックのニットを着てくる日があって、その日は正直、目のやり場に困るくらいの存在感がありました。推定Eカップ。いや、見てたわけじゃないんですけど、視界に入るんですよ。隣だから。
(いや、先輩の胸を気にしてる場合じゃないだろ…)
橋本さんは技術力がめちゃくちゃ高くて、AWSの資格を5つ持ってて、社内でも頼りにされてる人でした。俺のメンターも橋本さんが担当してくれることになって、最初の1ヶ月はほぼ毎日、隣で質問しまくってました。
「あー、それはね、セキュリティグループの設定が逆になってるんだよ。インバウンドとアウトバウンド」
「あ、ほんとだ…すみません、初歩的なミスで…」
「いいよいいよ、最初はみんなやるから。私も入社したての頃、本番環境のDBを間違えて止めたことあるし」
「それはやばくないですか」
「やばかった(笑)。3時間くらいサービス止まって、始末書2枚書いた」
こういう感じで、失敗談を惜しみなく話してくれる人だったので、すぐに打ち解けました。
ただ、俺は別に橋本さんのことを恋愛対象として見てたわけじゃなかったんです。最初は。だって2つ上の先輩だし、仕事できるし、見た目もいいし、どう考えても俺みたいな地味なインフラエンジニアが相手にされるわけがない。身長172センチ、体重65キロ、顔面偏差値は自己評価で48くらい。合コンに行っても空気になるタイプです。
転機は入社3ヶ月目の忘年会でした。
渋谷の道玄坂にある居酒屋で、チームの忘年会があったんですけど、2次会でカラオケに行って、そこで橋本さんとたまたま隣になったんです。
橋本さん、結構飲んでて、頬がほんのり赤くなってました。酔うとちょっとだけ砕けた口調になるんですよね。
「ねー、宮本くんってさ、彼女いないの?」
俺の名前は宮本です。言い忘れてました。
「いないですね…前の会社が忙しすぎて、ここ3年くらいいません」
「えーもったいない。優しいのに」
「いやいや、優しいっていうか、単に断れないだけですよ」
「それを優しいって言うんだよ」
そう言って笑った顔がすごくきれいで、(あ、やばいかも)って思ったのを覚えてます。
でも、その日はそれだけ。特に何も起きなかった。
年が明けて、1月。仕事にも慣れてきた頃、チームの新年会をやることになりました。場所は恵比寿のイタリアン。幹事は俺。
予約を取って、コースを選んで、アレルギーを聞いて回って、当日は30分前に店に着いて席順を確認して…って、こういう裏方仕事は嫌いじゃないんですけど、問題が一つありました。
席順を考えてたら、どう組み替えても橋本さんの隣が俺になるんですよ。
(いや、別に意図的じゃないからな…?人数的にこうなるだけだからな…?)
言い訳がましいのはわかってます。
新年会は普通に楽しく進んで、橋本さんはワインを3杯くらい飲んでいい感じに酔ってました。
「宮本くんさ、出身どこだっけ」
「埼玉の川越です」
「えっ川越?」
急にトーンが変わったので、びっくりしました。
「は、はい。川越です。小学校までいて、中学から東京に引っ越しましたけど」
「うそ…私も川越だよ。小学校どこ?」
「川越第一小学校です」
「私、高階小…。学区は違うけどさ、近いよね」
「めっちゃ近いじゃないですか。歩いて15分くらいですよね」
「そうそう!えーなんか嬉しい。川越の人、この会社にいると思わなかった」
そこから川越トークで盛り上がりました。丸広百貨店の屋上の遊園地の話とか、菓子屋横丁のふ菓子の話とか。
「花火大会も行ってた?安比奈の」
「行ってました行ってました。毎年家族で」
「私も!おばあちゃんちが近くてさ、毎年おばあちゃんと行ってたの」
「へぇー。じゃあ同じ花火見てたかもしれないですね」
「かもね(笑)」
この時点では、まさかこの会話がとんでもない方向に行くとは思ってなかったんですよね。
2次会には行かず、そのまま解散。橋本さんとは恵比寿駅で別れました。帰りの電車の中で、なんかずっとにやにやしてた気がします。同郷って、こんなに嬉しいもんなんだな、と。
それからしばらくして、2月の半ば。仕事でちょっとしたトラブルがあって、橋本さんと2人で夜遅くまで対応することがありました。本番のサーバーが一台、ロードバランサーから外れてて、ヘルスチェックが通らない。原因を調べて、設定を修正して、動作確認して、復旧したのが23時過ぎ。
「お疲れー。ごめんね、付き合わせちゃって」
「いえ、勉強になりました。橋本さんの切り分けの速さ、マジですごいです」
「慣れだよ慣れ。…ねぇ、お腹空かない?このまま帰るのもなんだし、ちょっとご飯行かない?」
「行きます」
即答しました。二つ返事ってこういうことを言うんだと思います。
マークシティの近くのラーメン屋に入りました。渋谷の「はやし」ってところ。カウンターだけの小さい店で、23時過ぎなのに並んでて、15分くらい外で待ちました。2月の渋谷は寒くて、橋本さんが寒そうにしてたので、自分のマフラーを貸しました。
「ありがと…宮本くんの匂いがする」
「え、臭いですか?」
「違うよ(笑)。いい匂い」
心臓がうるさかったです。
ラーメンを食べながら、なんとなく昔話の続きになりました。
「そういえば俺、花火大会で迷子になったことがあるんですよ。小3の時」
「迷子?」
「はい。かき氷買いに行って、そのまま人混みではぐれて。泣いてたら、同い年くらいの女の子が手を引いて交番まで連れてってくれたんです」
橋本さんの箸が止まりました。
「名前も聞けないまま別れちゃって、ずっと気になってるんですよね。お礼言えなかったなって」
「…それ、何年の花火大会?」
「2007年です。小3だったんで」
「…」
「橋本さん?」
「その子さ…金魚の巾着袋、持ってなかった?」
時間が止まった気がしました。
「…持ってました。赤い金魚の絵の」
「…」
「え…まさか…」
「私だと思う」
ラーメンの湯気が立ち上る中で、橋本さんが俺を見てました。目がちょっと潤んでた。
「あの巾着袋、おばあちゃんが縫ってくれたやつなの。赤い金魚が2匹ついてたでしょ?お祭りに持っていく用の」
「2匹…。正直、暗くてそこまで覚えてないんですけど…でも赤い金魚はめちゃくちゃ覚えてます」
「私ね、その年、おばあちゃんと花火大会に行ってたの。おばあちゃんがトイレに行ってる間に、泣いてる男の子を見つけて。お祭りの交番の場所は知ってたから、手を繋いで連れてったんだよ」
「…」
「交番でお巡りさんに渡して、おばあちゃんのところに戻ったの。帰ってからお母さんに話したら、すごく褒められた。それだけは覚えてる」
俺はしばらく何も言えませんでした。20年間ずっと気になってた相手が、今、隣でラーメンを食べてる。
「橋本さん…あの時は、ありがとうございました」
我ながら間抜けなセリフだと思ったけど、他に言葉が出てこなかった。
「20年越しのお礼?(笑)」
「20年越しです。ずっと言いたかったんです、本当に」
「…なんか、泣きそう」
「俺のほうが泣きそうですよ」
2人で半泣きになりながらラーメンを食べきりました。味は覚えてません。
店を出たのが0時過ぎ。終電はとっくに行ってる時間じゃなかったけど、なんとなく歩きたい気分で、2人で渋谷の街をぶらぶら歩きました。
「ね、さっきの話の続きなんだけどさ」
「はい」
「私、あの日のこと、実はたまに思い出してたんだよね」
「え、そうなんですか」
「うん。お巡りさんに渡す前に、その子がね、私の浴衣の袖をぎゅって掴んで離さなくて。それがすごく…なんだろう、嬉しかったの」
「…それ、たぶん俺です。離したくなかったんだと思います」
「…」
「暗くて怖かったのに、手を繋いでくれて、すごく安心して。もうちょっと一緒にいたかったんだと思う。小3のガキなりに」
「…宮本くん、ずるいよ。そういうこと言うの」
橋本さんが立ち止まって、俺のマフラーに顔を半分埋めました。耳が赤くなってた。寒さのせいだけじゃないと思いたかった。
「橋本さん」
「…なに」
「もう終電ないですよね」
「…ないね」
「どうします?」
「…宮本くんはどうしたいの」
これは試されてるのか、それとも素直に聞いてるのか、俺にはわからなかった。わからなかったけど、ここで「じゃあタクシーで帰りましょう」って言ったら一生後悔するような気がした。
「…もうちょっと一緒にいたいです」
「…小3の時と一緒だね」
笑った顔がきれいで、俺は完全にどうかしてたんだと思います。
渋谷のセンター街を抜けて、道玄坂のほうに歩いて、結局ホテルの前で止まりました。お互い何も言わなかったけど、橋本さんが俺の袖をちょっとだけ引っ張ったのがわかりました。
(20年前と逆だ)
そう思った瞬間、胸がぎゅっとなって、もう迷いはなかった。
部屋に入って、ドアが閉まった瞬間、橋本さんが俺のコートの襟を掴みました。
「…ねえ」
「はい」
「キス、していい?」
こっちのセリフだろ、と思ったけど、「はい」とだけ答えたら、橋本さんがつま先立ちになって唇を重ねてきました。
柔らかくて、少しだけワインの味がした。
ぎこちないキスだった。お互い久しぶりすぎて、鼻がぶつかったり、歯が当たったりして、思わず2人で笑った。
「下手すぎない?(笑)」
「お互い様じゃないですか」
「もう一回」
今度はちゃんとできた。唇を合わせて、しばらくして、橋本さんのほうから舌が入ってきて、俺もそれに応えた。呼吸が荒くなって、自然と体が密着して、コートの上から橋本さんの腰に手を回した。
「橋本さん」
「…なに」
「その…脱いでもいいですか」
「…コート?」
「コートもですけど…」
「…(笑)。わかった。でもさ、橋本さんはやめてよ」
「え?」
「あおいって呼んで。下の名前」
「あ、あおいさん」
「さんもいらない」
「…あおい」
「うん」
コートを脱がせて、ニットの裾に手をかけたら、あおいが自分で脱いでくれた。黒いレースのブラが見えて、その下の膨らみに正直、頭がクラッとした。推定Eカップは間違ってなかった。
ベッドに座ったあおいの前にしゃがんで、ブーツを脱がせて、タイツをゆっくり下ろした。太ももが白くて、触れたら少し震えた。
「…冷たい」
「ごめん、手、冷えてて」
「ううん、大丈夫…もっと触って」
背中に手を回してブラのホックを外した。外し慣れてないから手間取って、あおいが小さく笑った。
「練習してないの?」
「練習相手がいなかったので…」
「…かわいい」
ブラが外れて、あおいの胸が露わになった。大きくて、でも形がきれいで、乳首はうっすらピンク色だった。
「…きれい」
「…恥ずかしいんだけど」
手のひらで包むように触ると、柔らかさが指の間からはみ出す感じで、思わず息を飲んだ。親指で乳首を擦ると、あおいが声を漏らした。
「んっ…」
唇で先端を含んで、舌先で転がすように舐めると、あおいの手が俺の頭を抱えるように回ってきた。
「…っ…気持ちいい…」
反対側の胸も同じように舐めながら、空いた手をあおいの太ももの内側に滑らせた。下着越しに触れると、もう湿ってた。
「…濡れてる」
「…言わないで」
「ごめん。でも…嬉しい」
下着をずらして直接触れた。指先で割れ目をなぞると、あおいの腰がぴくっと動いた。クリトリスのあたりを円を描くように擦ると、声が大きくなった。
「あっ…そこ…んん…っ」
「ここ、気持ちいい?」
「うん…もうちょっと…強くして…」
指の腹で押すように刺激しながら、中指をゆっくり入れた。温かくて、きゅっと締まる感覚がした。
「ああっ…!」
「痛い?」
「痛くない…もっと奥…」
2本目の指を入れて、中をかき混ぜるように動かすと、あおいが俺のシャツを掴んで、体を震わせた。
「やっ…やばい…宮本くん…っ」
「あおい、だろ」
「…っ…あおい、って…呼ばれると…余計…っ」
くちゅ、くちゅ、と音が部屋に響いて、あおいの呼吸がどんどん荒くなった。腰が勝手に動いてるのがわかった。
「だめ…イきそう…イっちゃう…!」
「いいよ、イって」
「あああっ…!」
あおいの体がびくっと跳ねて、俺の指をぎゅっと締めつけた。しばらく小刻みに震えて、それから力が抜けたように俺にもたれかかってきた。
「はぁ…はぁ…」
「大丈夫?」
「…大丈夫じゃない。こんなの久しぶりすぎて…」
(こんなの、って。俺だって久しぶりだよ。というか、こんなにきれいな人を指でイかせたの初めてなんだけど…)
あおいが俺の顔を見て、それからベルトに手をかけた。
「…私もしたい」
ズボンとボクサーを下ろされて、もうとっくに硬くなってたそれを、あおいが両手で包んだ。
「…大きいね」
「お世辞はいいですよ…」
「お世辞じゃないってば」
ゆっくり上下に動かしながら、先端を親指で擦ってくる。手が温かくて、それだけで頭がぼーっとした。
「ねぇ…入れて」
「え…いいの?」
「いいの。…っていうか、もう我慢できない」
フロントに電話してコンドームをもらおうかと思ったら、あおいが自分のポーチから出した。
「…持ってたの」
「持ってちゃダメ?」
「ダメじゃないけど…」
「誤解しないでよ。お守りみたいなものだから」
(お守り…?)
まぁ、ツッコミは置いておいて。
ゴムをつけて、あおいの上に覆いかぶさった。あおいが脚を開いて、俺の腰を受け入れる態勢をとった。先端を当てると、あおいの表情が少し緊張した。
「ゆっくり入れるから」
「うん…」
ゆっくり押し進めると、さっき指で確かめたのとは全然違う圧迫感で、熱くて、きつくて、頭が真っ白になりかけた。
「んっ…あ…っ」
「…っ、大丈夫…?」
「うん…全部入れて…」
奥まで入れると、あおいが長い息を吐いた。目が潤んでて、でも痛いという顔じゃなかった。
「…あったかい」
「…動くよ」
ゆっくり腰を引いて、また押し込む。そのたびにあおいの体が小さく揺れて、声が漏れる。
「ん…あっ…気持ちいい…」
「俺も…やばい…」
正直、久しぶりすぎてすぐにでもイきそうだった。でもあおいの顔を見てたら、もっとこの時間を長くしたいと思って、必死に堪えた。
ペースを上げると、あおいが俺の背中に手を回してきた。爪が食い込むのがわかった。
「もっと…もっと奥…っ」
「あおい…っ」
「名前…もっと呼んで…っ」
「あおい、あおい…っ」
名前を呼ぶたびに中が締まる感覚がして、理性が溶けていくようだった。
「だめ…またイきそう…っ」
「俺も…もう限界…っ」
「一緒にイこ…?ね…っ」
あおいの脚が俺の腰に絡みついて、ぐっと引き寄せられた。最後に深く突き入れたところで、2人同時に達した。
「っ…!」
「ああっ…!」
体の奥からぞくぞくと快感が駆け上がってきて、しばらく動けなかった。あおいも同じみたいで、俺の背中に回した手の力が、ゆっくり抜けていった。
しばらくそのまま重なったまま息を整えて、あおいの額にキスをした。汗ばんでて、少しだけしょっぱかった。
「…ねぇ」
「ん?」
「もしあの時、花火大会で迷子になってなかったら、私たちって出会ってなかったのかな」
「出会ってはいたと思うよ。同じ会社にいるんだし」
「そうだけど…こういう話をするきっかけがなかったかもしれないじゃん」
「…確かに」
「だからさ、迷子になってくれてありがとう」
「(笑)。見つけてくれてありがとう」
あおいが笑って、もう一回キスしてきた。
ゴムを替えて、2回目はあおいが上に乗った。さっきより余裕が出たのか、あおいの表情がとろんとしてて、すごくエロかった。
「ん…自分で動くの…久しぶり…っ」
腰をゆっくり前後に動かしながら、俺の腹筋に手をついて体を支えてる。揺れる胸に手を伸ばして揉むと、あおいが甘い声を出した。
「あっ…胸、触られると…中が…きゅってなる…っ」
さっきとは違う角度で当たってるのか、あおいの反応が激しくなってきた。腰の動きが速くなって、ぱちゅ、ぱちゅ、と音が鳴る。
「あおい…すごい…きつい…」
「私も…すごい気持ちいい…奥に当たって…っ」
あおいが体を前に倒してきて、唇が重なった。キスしながら腰を動かすあおいの息づかいが耳元で聞こえて、そのまますぐにイきそうになった。
「やば…出る…っ」
「いいよ…出して…っ」
2回目は、1回目より長く、深い波が来た。あおいも一緒にイったみたいで、俺の上で震えながら、小さく「好き」と言った。
聞こえないふりをしようかと思ったけど、できなかった。
「…俺も。好き」
あおいが顔を上げて、泣き笑いみたいな顔をしてた。
「20年前の迷子の男の子に、こんなこと言われるとは思わなかった」
「20年前の浴衣の女の子と、こんなことしてるとは思わなかった」
2人で笑って、そのままベッドに倒れ込んだ。
シャワーを浴びて、ベッドに戻ったのが3時過ぎ。あおいは俺のTシャツを借りて着てて、膝上くらいの丈で、それがなんかすごく良かった。
「ねぇ、月曜から気まずくならない?」
「ならないようにしたい」
「どうやって?」
「付き合ってください」
「…順番おかしくない?やることやってから告白って」
「順番は悪いけど、気持ちは本当です」
「…」
「あの時、手を引いてくれた人に、20年越しに出会えた。これは偶然かもしれないけど、好きになったのは偶然じゃないです。橋本あおいさんの仕事に対する姿勢も、失敗を笑い飛ばせるところも、ラーメン食べるのが早いところも、全部好きです」
「最後の余計じゃない?(笑)」
「事実ですから」
「…はい。お願いします」
そう言って、あおいが俺の腕の中に潜り込んできた。小さくて、温かくて、ちょうどよかった。
「あおい」
「ん?」
「あの巾着袋、まだ持ってる?」
「…実家にあると思う。おばあちゃん、もう亡くなっちゃったけど、形見みたいにとってあるの」
「今度、見せて」
「いいよ。…じゃあさ、今度一緒に川越行こうよ。花火大会、また一緒に見よう」
「今度は迷子にならないようにする」
「もし迷子になっても、また見つけてあげるから」
そう言って笑ったあおいの顔を見て、(ああ、この人だったんだ)と思いました。20年前の夏祭りで、暗がりの中で手を差し伸べてくれた女の子。顔も名前も知らないまま、ずっと心のどこかにいた人。
まさか、会社の隣の席にいるとは思わなかったけど。
朝の5時頃、薄明かりの中で、あおいの寝顔を見ながら、俺は20年分の「ありがとう」を心の中でもう一回言いました。
あ、ちなみにその後の話ですけど、翌月の3月に正式に付き合い始めて、社内恋愛がバレるまで1週間でした。隣の席だから当然ですよね。今も一緒にいます。
来年の夏、川越の花火大会に2人で行く約束をしてます。