こんにちは。当時27歳、今は29歳になった社会人です。
2年前の話なんですけど、今でもあの夜のことを思い出すと心臓がバクバクするので、ちゃんと文字にして残しておこうと思って書いてます。
俺は都内のIT企業で働いていて、入社5年目にして初めての異動を食らいました。それまでいた営業企画部から、品質管理部へ。正直、左遷みたいなもんだと思ってました。
品質管理部って聞くだけで地味じゃないですか。しかも異動の理由が「お前、細かい作業が得意そうだから」って。いや、営業企画で数字追ってたのに、急にテスト項目とバグレポートの世界ですよ。泣きたかった。
で、異動初日。五反田にあるうちの会社の第二オフィスに出社したんですけど、部署の雰囲気がまず重い。営業企画って、良くも悪くも騒がしかったんですよ。電話もガンガンかかるし、ホワイトボードにアイデア書きなぐるし。それが品質管理部は、キーボードの打鍵音とマウスのクリック音しかしない。(葬式かよ…)って思いました。
そして、俺の直属の上司になったのが、主任の白石さんでした。
白石さん、当時32歳。身長は163cmくらいで、ショートボブの黒髪。化粧はほぼしてない感じなのに、顔立ちがめちゃくちゃ整ってて、長谷川京子の若い頃みたいな感じ。鼻筋がスッと通ってて、目がキリッとしてる。スーツの着こなしもパキッとしてて、常にノートPCを小脇に抱えてるイメージ。
社内では「鉄の女」って呼ばれてた。マジで。
初日の挨拶で「白石さんの下で勉強させていただきます、よろしくお願いします」って言ったら、白石さんはこっちをチラッと見て、
「品質管理は正確さがすべてです。営業企画のノリは通用しないので、そのつもりで」
って言い切って、そのままデスクに戻っていきました。(…怖っ)。横にいた同僚の中村さんが小声で「あの人、ああいう人だから気にしないで」って言ってくれたけど、いやめちゃくちゃ気にするだろ普通。
最初の1ヶ月はマジで地獄でした。テスト仕様書のフォーマットが間違ってると突き返される。報告メールの件名が長いとやり直し。バグの再現手順が曖昧だと、目の前で「これ、読む人のこと考えてます?」って言われる。
「宮本さん、このレポート、結論がどこにあるか3回読んでもわかりません」
「す、すみません…」
「謝罪は要りません。修正してください。17時までに」
俺の苗字は宮本です。白石さんは絶対に「宮本さん」としか呼ばなかった。他の人にも全員苗字+さん付け。距離感がバグってるのかと思うくらい、誰に対しても同じ温度。
でもね、1ヶ月くらい経って気づいたことがあるんですよ。白石さんの指摘、全部正しいんです。嫌味じゃないんです。感情がないだけで。言ってることは毎回的確で、白石さんのフィードバック通りに直すと、確実にアウトプットのクオリティが上がる。(この人、すげえな…)って素直に思うようになってました。
2ヶ月目くらいから、白石さんの態度が少しだけ変わりました。
「宮本さん、この仕様書、前より読みやすくなりましたね」
え、褒められた? 一瞬耳を疑いました。周りの同僚も「え?」みたいな顔してた。白石さんが人を褒めるのって、部署内でも年に数回あるかないかって話らしくて。
「あ、ありがとうございます…」
「事実を言っただけです」
はい、照れ隠しなのか本気なのかわからない。でもちょっと嬉しかった。(俺、犬か?褒められて喜ぶとか…)
3ヶ月目に入ったある金曜日、事件が起きました。
大手クライアントに納品するシステムのリリース直前で、重大なバグが見つかったんです。しかも再現条件が複雑で、営業部が「月曜までに修正しろ」って開発チームに無茶振りしてて、品質管理部にも「土日でテスト全部やり直せ」って話が降ってきた。
部署のメンバーは金曜の夜で半分帰ってて、残ってるのは俺と白石さんと、もう一人の先輩だけ。その先輩も「俺、明日朝イチで来るから今日はもう上がるわ」って22時に帰っていきました。
残ったのは俺と白石さんの二人きり。
五反田のオフィスビル、23時過ぎ。フロアの半分は消灯してて、隣のビルの明かりが窓に反射してる。自販機のブーンって音がやけに響く。
白石さんはずっとモニターに向かってテスト項目を洗い出していて、俺はバグの再現手順を整理してました。
で、ちょっと休憩しようと思って自販機にコーヒーを買いに行ったんです。白石さんの分も買っていこうかと思って、
「白石さん、コーヒーとか何か飲みますか」
「…あ、じゃあ、微糖のカフェラテ…お願いしていいですか」
(微糖のカフェラテ?)
なんかその選択が意外すぎて。ブラックコーヒーを無言で飲んでるイメージだったのに。微糖のカフェラテって。甘いの好きなのかこの人。
2本買って戻ったら、白石さんがデスクの上に突っ伏してました。
「白石さん?大丈夫ですか?」
「……ん…あ、すみません、ちょっとだけ…」
顔を上げた白石さんの目が赤くなってて、一瞬泣いてたのかと思った。でも違った。コンタクトが乾いて痛くなってたらしい。ポーチからメガネを取り出してかけたんですけど、その姿がまた衝撃で。
黒縁のちょっと丸いメガネ。それだけでキリッとした印象がふわっと柔らかくなって、全然違う人に見えた。
「…普段はコンタクトなんですけど、長時間だとダメで」
「いや、メガネも似合いますね」
言ってから(やべ、セクハラになるか?)と思ったけど、白石さんは少し目を逸らして、
「…ありがとうございます」
その声が、いつもより2トーンくらい低くて、ちょっとだけ照れてるような感じがした。初めて見た白石さんの反応でした。
カフェラテを渡すと、白石さんは両手で缶を包むように持って、ちょっとだけ口角を上げた。(…笑った?今、笑った?)
そこから少しだけ雑談になったんです。テスト項目の確認が一段落ついて、二人で給湯室のカウンターでカフェラテとコーヒーを飲みながら。
「白石さんって、ずっと品質管理なんですか」
「…新卒からです。もう10年になります」
「10年…すごいな。俺、異動してきた時、正直めちゃくちゃ嫌でしたけど、今は白石さんの下で良かったなって思ってます」
「…そう言ってもらえるのは、嬉しいです」
白石さんがカフェラテの缶を見つめながら、ぽつりと言った。
「この部署、人が定着しなくて。異動してきても1年以内に出ていく人が多いんです。私が怖いから、って」
「あー…まあ、最初はちょっと怖かったです。正直」
「…でしょうね。自分でもわかってます。でも、私、こういう話し方しかできなくて」
メガネの奥の目が、少しだけ潤んでるように見えた。(この人、それで悩んでたのか…)。俺は「怖い」って言ったことを少し後悔した。
「でも白石さんの指導、マジで的確ですよ。俺、3ヶ月で相当レベル上がったと思います。感謝してます」
「…宮本さんは、素直だから。教えがいがあります」
その言葉と一緒に、白石さんがこっちを見たんです。メガネ越しの目が、いつものキリッとした目とは全然違って、なんていうか…柔らかくて、少し寂しそうで。
(やばい、この人、こんな顔するんだ…)
心臓がドクンと跳ねた。それが「上司として尊敬してます」の範囲を完全に越えてることに、その時の俺はまだ気づいてなかった。
結局その日は朝4時まで二人で作業して、タクシーで帰りました。白石さんは五反田駅前でタクシーに乗って、窓越しに小さく手を振ってくれた。あの白石さんが、手を振ったんですよ。
翌週の月曜、無事にバグ修正のテストは完了して、クライアントへの納品も間に合いました。部長から「品質管理部、よくやった」って言われた時、白石さんは無表情で「当然のことをしただけです」って返してたけど、俺にだけチラッと目配せしてきた。
(…あ、これ、俺だけに見せてるやつだ)
そう思った瞬間に、もうダメでした。完全に意識し始めた。
それからの1ヶ月、俺の行動はあからさまにおかしくなっていったと思います。白石さんに質問する回数が増えた。必要のないタイミングで報告に行った。白石さんが席を外すと目で追ってしまう。
(いや俺、何やってんだ…相手は直属の上司だぞ…5つ上だぞ…)
何回自分にツッコミ入れたかわからない。でも止まらなかった。
そんなある日、会社の飲み会がありました。四半期ごとの部署の打ち上げで、品質管理部の全員が五反田の居酒屋に集まった。白石さんも来てて、いつものスーツじゃなくて、ネイビーのニットにグレーのテーパードパンツっていう私服姿で。
(…あ、この人、スタイルめっちゃいいんだ…)
スーツの時はわかりづらかったんですけど、ニットだと胸のラインがわかる。たぶんCかDくらい。ウエストが細くて、脚が長い。長谷川京子じゃなくて、私服だと天海祐希に似てるかもしれない。かっこいい系の色気というか。
飲み会では白石さん、ビールを飲んでて、普段よりちょっとだけ口数が多かった。それでも他の人と比べたら全然静かなんですけど。
2次会は半分くらいが帰って、残った6人でカラオケに行くことになりました。白石さんも残ってて、正直びっくりした。
カラオケで、中村さんが「白石さんも歌ってくださいよ!」ってマイク渡したら、白石さん、ちょっと迷った顔してから受け取って、入れた曲がaikoの「カブトムシ」。
白石さんの歌声、すごく良かった。低めの落ち着いた声で、でもサビでちゃんと伸びる。歌ってる時の表情がいつもと全然違って、目を閉じて、少しだけ体を揺らしてて。
曲が終わった時、みんな拍手してて、白石さんは少し赤くなって「もう歌いません」って言ってマイクを置いた。
(aiko歌うんだ、この人…)
そのギャップで完全にやられた。もう戻れないところまで来てしまった。
カラオケが終わって解散する時、白石さんとJR五反田駅まで一緒に歩くことになった。他のメンバーは反対方向だったので、二人きり。
12月の夜風が冷たくて、白石さんがマフラーに顔を埋めてた。
「白石さん、カブトムシ、良かったです。ちょっと感動しました」
「…学生の頃、よく聴いてたんです。歌うの、久しぶりで下手だったと思いますけど」
「全然。マジで上手かったですよ」
「…宮本さん、お世辞が下手ですね」
「お世辞じゃないですって」
白石さんが少しだけ笑った。マフラーで口元は見えなかったけど、目が細くなったからわかった。
駅の改札前で、白石さんが立ち止まった。
「宮本さん、今日は…楽しかったです。こういう場で楽しいと思ったの、久しぶりかもしれません」
「俺も楽しかったです」
「…月曜から、また普通に戻りますから。今日のことは、あまり気にしないでください」
そう言って改札を通っていく白石さんの背中を見て、(普通に戻るって、何だよそれ…)って思った。今日見せてくれたのが本当の白石さんなんじゃないのか、って。
その翌週、また残業で二人きりになる機会があった。今回はバグじゃなくて、年末のレポート作成。また23時過ぎまで残ってたのは俺と白石さんだけ。
給湯室で微糖のカフェラテを渡したら、白石さんが「覚えてくれてたんですね」って小さく言った。
「当たり前じゃないですか」
「…当たり前、なんですか」
白石さんがメガネの奥でこっちを見てる。その目が、あの夜と同じ柔らかさで。
「白石さん」
「はい」
「俺、白石さんのこと、上司としてだけじゃなく、一人の女性として…すごく気になってます」
言っちゃった。
自分でも信じられなかった。頭の中では(お前バカか直属の上司だぞ5つ上だぞキャリア潰す気か)って大合唱してるのに、口が勝手に動いた。
白石さんは、缶を持つ手が止まって、数秒間黙ってた。長い数秒だった。
「…宮本さん、それは…困ります」
「…ですよね。すみません、忘れてください」
「困るんです。私は…あなたの上司で、5つも年上で…」
「わかってます。本当にすみません」
「…最後まで聞いてください」
白石さんの声が、少し震えてた。
「困るのは…私も、同じことを考えていたからです」
え?
「あの残業の夜から…宮本さんが、コーヒーのことを覚えてくれてたり、メガネを褒めてくれたり…私の話し方を怖いと正直に言ってくれた上で、それでも感謝してるって言ってくれたり…」
白石さんがカフェラテの缶をカウンターに置いて、両手で自分の頬を押さえた。
「こういう感情、どう扱っていいかわからないんです。仕事のことなら論理的に対処できるのに…」
(この人、感情の処理を仕事みたいに考えようとしてる…)
「白石さん、俺のこと、好きなんですか」
「…そういう直球、やめてください…」
でもその顔が、耳まで真っ赤になってて。いつもの白石さんからは想像できないくらい、年相応の女性の顔をしてた。
「俺は好きです。白石さんが」
「…上司と部下で…問題になります…」
「なったらなった時に考えましょう」
白石さんが顔を上げて、メガネ越しにこっちを見た。潤んだ目で、唇を少し噛んでて。
「…宮本さんって、仕事は慎重なのに、こういうことは無計画なんですね」
「計画立てたら白石さんに却下されそうなんで」
白石さんが、ふっと笑った。今まで見た中で一番自然な笑い方だった。
「…却下はしません。ただ…ここじゃ、だめです」
「…じゃあ、場所を変えましょう」
白石さんが小さく頷いた。
五反田駅の近くにあるビジネスホテルに入りました。フロントで「ツインの空きはありますか」って聞いたのは、なんか自分でもおかしかったと思う。結局ダブルしか空いてなくて、白石さんは何も言わなかった。
部屋に入って、ドアが閉まった瞬間、急に現実感が押し寄せてきた。
(俺、上司とホテルにいる…マジか…)
白石さんはベッドの端に座って、コートを脱いで、マフラーを畳んで椅子の上に丁寧に置いた。こういう時でもきっちりしてるところが、もう。
「白石さん」
「…名前で、呼んでもらえますか。今だけ」
「…千晶さん」
白石千晶。異動初日に書類で見た名前。口に出すのは初めてだった。
「…はい」
白石さんが…千晶さんが、目を閉じた。
隣に座って、ゆっくり肩に手を回した。千晶さんの体が少し強張ってるのがわかった。
「緊張してますか」
「…すごく。こういうの、ほとんど経験がなくて」
「え?」
「…大学の時に一人だけ付き合った人がいたんですけど、半年で別れて。それから、ずっと…仕事しかしてなくて」
32歳で、最後の恋人が大学時代。8年以上、誰ともそういう関係がなかったってことだ。
「…そうだったんですね」
「だから…下手だと思います。がっかりさせたら…ごめんなさい」
あの白石主任が、「ごめんなさい」って言ってる。しかも不安そうな顔で。職場で見せるキリッとした顔とのギャップがすごすぎて、頭がクラクラした。
「がっかりなんてしないですよ。俺だって大した経験ないし」
嘘です。そこそこありました。でもこの場面で正直に言うのは違う気がした。
千晶さんの頬に手を添えて、ゆっくり顔を近づけた。千晶さんが目を閉じる。睫毛が長いことに初めて気づいた。メガネの奥に隠れてて、普段は見えなかった。
唇が触れた瞬間、千晶さんの肩の力がふっと抜けた。柔らかい唇だった。見た目のキリッとした印象とは全然違う。
最初はそっと触れるだけのキスを繰り返して、少しずつ深くしていった。千晶さんが恐る恐る舌を出してきたのが、たまらなく愛おしかった。
「ん…っ」
舌が触れ合うと、千晶さんの手が俺のシャツの裾を掴んできた。しがみつくみたいに。
「大丈夫ですか」
「…大丈夫です。ただ…心臓が、すごくて…」
千晶さんの胸に手を当てると、本当にすごい速さで脈打ってた。その奥に柔らかい感触があって、思わず意識がそっちに引っ張られた。
「…触ってもいいですか」
「…はい」
ニットの上から胸に触れると、想像してたより柔らかくて大きかった。スーツで完全に隠れてたけど、Dカップはありそうだった。
「あっ…」
小さく声が漏れた。仕事中の冷静な声とは別人みたいな、甘い声。
ニットの裾から手を入れると、千晶さんがびくっとした。
「冷たい…手…」
「ごめん、すぐあったかくなるから」
ブラ越しに胸を包むように触れて、ゆっくり揉んだ。白いレースのブラだった。千晶さんが目を閉じて、小さく息を吐く。普段の仕事ぶりからは想像できない、無防備な姿。
(この顔、俺しか知らないんだ…)
そう思った瞬間、体の奥からどうしようもない衝動が湧き上がってきた。
ニットを脱がせてもらった。千晶さんが自分から腕を上げてくれて。ブラ姿の千晶さんは、本当にきれいだった。日焼けしてない白い肌に、鎖骨がくっきり浮いてて。仕事しかしてこなかったって言ってたけど、体はちゃんとケアされてるのが見てわかった。
ブラのホックを外す時、千晶さんが胸の前で腕をクロスさせた。
「…恥ずかしい…」
「千晶さん、きれいですよ」
「…そんな言葉、信じていいんですか」
「レポートの事実確認より正確です」
千晶さんが「…何それ」って小さく笑って、腕の力を緩めてくれた。
形の良い胸が露わになった。大きすぎず小さすぎず、上向きで張りがある。乳首は薄いピンク色で、もう先端が硬くなってた。
舌で乳首に触れると、千晶さんが声を押し殺すように唇を噛んだ。
「我慢しなくていいですよ」
「…でも…声が…」
「聞きたいです、千晶さんの声」
そう言って乳首を口に含んで吸うと、千晶さんの背中がびくんと反った。
「あぁっ…やっ…そんな…」
出た。甘い声。低めなのに色っぽい。職場であの冷静な指示を出してる声と同じ声帯から出てるとは思えない。
片方を口で吸いながら、もう片方を指で転がすと、千晶さんの手が俺の頭を掴んできた。押し離そうとしてるのか引き寄せようとしてるのか、本人もわかってない感じ。
「待って…おかしく…なる…」
「おかしくなっていいですよ」
「…っ…」
千晶さんの体が小刻みに震えて、太ももをきゅっと閉じた。(胸だけでこんなに感じるのか…)
スカートのファスナーを下ろして、脱がせた。黒いタイツの下に白いショーツが透けて見えた。タイツを脱がせると、すらっと長い脚が出てきた。太ももの内側が白くて柔らかくて、無意識にそこに唇を押し当てた。
「ひっ…そこ…」
「いいとこ、敏感ですね」
「…わからない…触られたこと、ないから…」
その言葉が刺さった。32年間、ほとんど誰にも触れられてこなかった体。俺が今、その空白を埋めてるんだと思ったら、変な責任感と興奮がない交ぜになった。
ショーツの上から触れると、もう濡れてた。指が沈むくらい。
「あっ…」
「すごい濡れてますよ」
「…言わないで…恥ずかしい…」
ショーツを脱がせて、直接触れた。クリトリスに指先が触れた瞬間、千晶さんの腰が跳ねた。
「ぁあっ!だめ…そこ、敏感すぎて…」
ゆっくり、弱い力で撫でていく。千晶さんが目を固く閉じて、シーツを握りしめてる。
「気持ちいいですか」
「気持ちいい…です…こんなの、初めて…自分で触るのとは、全然違う…」
(自分でしたことはあるんだ…)。なんかそれ知れたのが嬉しかった。鉄の女にも夜はあるんだな、って。
指を一本、中に入れた。きつかった。久しぶりだから、というのもあるんだろうけど、千晶さんの中はものすごく狭くて熱かった。
「んっ…あ…ゆっくり…して…」
「うん、ゆっくりやるから」
指を動かしながら、もう一方の手で胸を撫でて、首筋にキスをした。千晶さんの甘い匂いがした。香水じゃない、シャンプーか何かの匂い。
「あぁ…やば…なんか…来る…」
指を少し曲げて、内側の壁を撫でるようにしたら、千晶さんが急に声のトーンが変わった。
「あっ!そこ…!なに、それ…すごい…」
ざらっとした部分を集中的に刺激しながら、クリを親指で撫でる。千晶さんの体が弓なりに反って。
「だめ…もう…なんか来ちゃう…あぁっ…!」
びくびくっと全身を震わせて、千晶さんがイった。中が指をきゅうっと締め付けてきて、じわっと温かい液が溢れた。
「はぁ…はぁ…何…今の…」
「イったんですよ。気持ちよかったですか」
「…こんなの…知らなかった…一人でした時は…こんなの、なかった…」
千晶さんが目を潤ませてた。泣いてるわけじゃないけど、感情の処理が追いついてない感じ。仕事ではあれだけ冷静な人が、こんなに打ちのめされたような顔をしてる。
「千晶さん…入れても、いいですか」
「…はい。お願いします…」
コンビニで買ったゴムを着けて、千晶さんの脚の間に体を入れた。先端を当てると、千晶さんが息を止めた。
「力抜いて」
「…努力します」
この人、こんな時でもそういう言い方するんだな。ちょっと笑ってしまって、千晶さんも「笑わないでください…」って言いながら少し力が抜けた。
ゆっくり入れていった。千晶さんの中は、さっき指で確かめた通りきつくて、でも濡れてるから少しずつ受け入れてくれた。
「…っ…大きい…」
「痛くないですか」
「痛くは…ない。ただ…久しぶりすぎて…圧がすごい…」
根元まで入った時、千晶さんが俺の背中に腕を回してきた。しがみつくように。
「…動いて…いいです」
ゆっくり腰を動かし始めた。千晶さんが声を漏らす。最初は小さかった声が、だんだん大きくなっていく。
「あっ…ん…あぁ…」
「千晶さん…中、すごいです…」
「…何がすごいか…報告しないで…」
(報告って…)。この人、ベッドの上でも品質管理部の主任なのか。面白くて、愛しくて、どうしようもなかった。
腰の角度を変えて、さっき指で見つけたポイントを狙うように突いた。
「あぁっ!そこっ…さっきの…!」
「ここ、気持ちいい?」
「気持ちいい…すごく…頭、真っ白になる…」
千晶さんの脚が俺の腰に絡んできた。自分から腰を押し付けてきてて、たぶん本人は無意識。
「千晶さん、腰、動いてますよ」
「え…うそ…やだ…体が勝手に…」
恥ずかしそうに顔を横に向けるけど、腰は止まらない。俺は千晶さんの顔をこっちに向かせて、キスをした。舌を絡めながら、腰の動きを速くした。
「んっ…ん…あぁ…もう…また来る…」
「イっていいですよ」
「イク…イキます…あぁっ…!」
千晶さんの中がぎゅうっと締まって、体全体がびくびく痙攣した。その締め付けで俺も一気に引き上げられて。
「俺も…もう…」
「出して…いい…です…」
腰を何度か突いて、そのまま果てた。千晶さんを抱きしめたまま、しばらく動けなかった。
「…はぁ…」
千晶さんが、俺の胸に顔を押し付けて、深く息を吐いた。
「…こういうの…こういうことなんですね…」
「?」
「みんなが恋愛って言ってるもの。ずっとわからなかったんです。仕事が楽しくて、一人で不自由もなくて。でも…」
千晶さんが顔を上げて、メガネがずれた顔で俺を見た。
「宮本さんが来てから…金曜の夜に、誰かが残ってるのが嬉しいと思ったのは初めてでした」
(それ、俺も同じだよ…)
もう一回キスをして、二人でしばらくベッドの中でぼんやりしてた。千晶さんが俺の腕の中に収まってて、いつもの凛とした姿とは全然違う。猫みたいに丸くなって、俺のシャツのボタンをいじってた。
「千晶さん」
「…はい」
「月曜から、普通に戻るとか、言わないでくださいね」
千晶さんが少し黙って、それから、
「…戻れないと思います。もう」
その声が、嬉しそうだった。
あれから2年経ちました。俺は今、別の部署に異動して、白石さんとの上司部下関係は解消されてます。ちゃんと上に報告もしました。部長に「お前、あの白石を落としたのか」って驚かれたのは今でも忘れられない。
千晶さんは相変わらず職場では「鉄の女」です。でも金曜の夜になると俺の部屋に来て、メガネに着替えて、微糖のカフェラテを飲みながら、aikoを口ずさんでます。
あの時、コーヒーじゃなくて微糖のカフェラテを頼んでくれたことが、全部の始まりだったんだと思う。白石さんの中の、ほんの少しの甘さを、俺にだけ見せてくれた瞬間だった。
…ちなみに、いまだに仕事中に「宮本さん、このレポート、結論がどこにあるかわかりません」って別部署からチャットが飛んできます。主任、家では甘えてくるくせに仕事では容赦ないんですよ。それも含めて好きですけど。