ソシャゲの同盟チャットでだけ強気だった年上シンママと新宿で初めて会った夜の話

ソシャゲやってる人ならわかると思うんだけど、ギルドとか同盟って独特の人間関係があるんですよ。

俺は当時26歳、都内の小さい広告代理店で営業やってて、帰ったらソファに転がってスマホゲーをポチポチやるのが唯一の楽しみっていう、まぁ典型的な独身サラリーマンだった。顔面偏差値は中の下。よく「雰囲気イケメン」って言われるけど、それって要するに雰囲気だけってことだから、褒め言葉じゃないんだよな。身長は172cmで、痩せ型。彼女いない歴は当時で1年半ぐらい。

で、やってたのが某タワーディフェンス系のソシャゲで、俺はそこそこ古参だった。同盟のリーダーはやってなかったけど、副リーダーみたいなポジションで、作戦立てたり新人教育したりしてた。

その同盟に「ナツ」ってプレイヤーがいた。

ナツさんは俺より3つ上の29歳で、同盟に入ってきたのは俺より後なんだけど、めちゃくちゃゲームが上手くて、チャットでの仕切りも俺より全然うまかった。姉御肌というか、困ってるメンバーがいたら真っ先に「どしたー?」って声かけるタイプ。

で、チャットだと結構キツいことも言うんだよ。

サボってるメンバーには「おーい、三日もログインしてないけど生きてるー?死んでたら言ってね、枠空けるから笑」とか平気で言うし、対戦で負けたら「は?なんで左から攻めたの、右って言ったよね?日本語通じてる?」みたいな。

でもそのあと必ずフォローの個別メッセージを入れるっていうのを、俺は知ってた。裏で「さっきはキツく言ってごめんね、でもあなたなら出来ると思ってるから」って送ってるのを、相談されたメンバーから聞いたことがある。

(この人、不器用だけどめちゃくちゃいい人だな…)

そう思ったのが、たぶん最初だった。

ナツさんがシングルマザーだって知ったのは、同盟に入って半年ぐらい経ったころだった。

深夜のギルドチャットで、急に「ごめん落ちる、子供起きた」って言って消えたことがあって。翌日「昨日はすみません、うち子持ちなんで夜中に起きちゃうことがあって」とだけ書いてた。

誰もツッコまなかったけど、俺はなんとなく気になって個別メッセージを送った。

「お子さん何歳なんですか?」

「4歳の男の子。生意気盛りだよ笑」

「大変ですね、ゲームやる時間あります?」

「寝かしつけてからが私の時間!ていうか唯一の息抜き。これ取り上げられたら発狂する笑」

それから俺とナツさんは、ゲーム内のメッセージでちょくちょくやりとりするようになった。最初はゲームの作戦の話ばっかりだったのが、いつの間にか仕事の愚痴とか、くだらない日常の話とかもするようになってた。

ナツさんは埼玉の川口に住んでて、昼間はコールセンターで働いてるらしかった。元旦那の話は一切しなかったし、俺も聞かなかった。

ある日、同盟内で「関東組オフ会やろうぜ」って話が出た。

メンバーの半分ぐらいが関東在住だったから、前から話はあったんだけど、やっとスケジュールが合って実現することになった。場所は新宿。土曜の夕方から。

集まったのは8人。男6人、女2人。ナツさんともう1人、大学生の女の子がいた。

待ち合わせは新宿駅東口のアルタ前。

俺は10分前に着いて、すでに来てた同盟メンバー3人と雑談してた。見知った顔もいれば初めましての顔もいて、「おー、声と全然イメージ違う笑」みたいな定番のやりとりをしてた。

集合時間ぴったりに、ナツさんが現れた。

(…………は?)

いや、まず最初に思ったのが、「後藤真希やん」だった。

目がキリッとしてて、鼻筋が通ってて、ちょっとクールな顔立ち。でもチャットの姉御キャラから想像してた「強そうな女」とは全然違って、身長は158cmぐらいで細くて、白いブラウスにデニムっていうシンプルな格好がやたら似合ってた。

髪は鎖骨ぐらいの長さで、暗めのブラウン。化粧は薄めだけど、目元だけしっかりしてて、そこがまた色っぽかった。

あと、胸。ブラウスのボタンがひとつ多めに開いてて、鎖骨から下の白い肌がちらっと見えてた。サイズはたぶんEかF。細い体にその胸は反則だろ。

「あ、ヒロキくん?はじめまして!…って変だね、はじめましてじゃないか笑」

声。声がまたやばかった。チャットのあの強気な文面からは想像できない、少しハスキーで柔らかい声。

「は、はじめまして。いや、はじめましてじゃないけど…あの、想像と全然違くて…」

「えー、どういう意味?もっとゴツいの想像してた?」

「いや、その、逆で…」

言いかけたけど、他のメンバーが「おーナツさんだ!」って群がってきて、会話は中断された。

(危ねぇ、「かわいすぎて」って言いかけた…)

居酒屋は歌舞伎町の手前の個室系の店で、3時間飲み放題コース。

席は長テーブルで、俺は端から2番目。ナツさんは対角の奥のほうに座ってた。遠い。

乾杯して、最初の1時間ぐらいは全体で盛り上がった。ゲームの話がメインだけど、リアルで会うと裏話がボロボロ出てきて面白い。

「あの時さぁ、攻城戦で1位取った時、私マジで泣いたからね?子供寝かしつけた後に一人でガッツポーズして、そのまま膝打って悶絶したからね?」

みんな笑ってた。ナツさんはチャットと同じで場を回すのがうまくて、初対面のメンバー同士をつなげたり、話が途切れそうになったら話題を振ったりしてた。

ただ、俺はずっとそわそわしてた。

ナツさんがビールを飲むたびに、少し上を向く白い喉が気になった。笑うと目が細くなって、チャットの時の強気なイメージと全然違う顔になるのが気になった。

2時間ぐらい経ったころ、ナツさんがトイレに立って、戻ってきた時に俺の隣の空席に座った。元の席にいたメンバーが席を詰めて、もう戻れない状態になってたからだった。

「ここいい?」

「あ、うん、どうぞ」

近い。急に近い。さっきまで対角線の向こうにいた人が、肩が触れそうな距離にいる。

シャンプーなのか香水なのかわからないけど、甘い匂いがした。

「ヒロキくんさ、チャットだともっと喋るのに、リアルだと静かなんだね」

「え?そう?」

「うん。ちょっと意外。もっとウェイウェイしてるかと思ってた」

「いやいや、俺は基本陰キャだから…チャットだから調子乗れるだけで」

「あはは、私もそうだよ。チャットだとキツいこと言えるけど、面と向かったら全然言えない」

ナツさんが少し照れたように笑った。その笑顔が、画面の向こうで「日本語通じてる?」って言ってた人と同一人物だとは思えなかった。

「ナツさん、チャットと全然違いますね」

「やめて、恥ずかしいから笑。リアルの私はただの小心者だよ」

ナツさんがジョッキを持ち上げて、「かんぱーい」と俺のグラスに当てた。

その時、ナツさんの左手の薬指に指輪がないことに気づいた。当たり前なんだけど、なんかホッとした自分がいて、その感情の正体がわからなくて気持ち悪かった。

(いや待て、俺は何を確認してるんだ)

3時間コースが終わって、一次会がお開きになった。

「二次会行く人ー?」

何人かが手を挙げたけど、ナツさんは「私はそろそろ帰るねー、息子を実家に預けてるから明日の朝迎えに行かなきゃで」と言って立ち上がった。

みんなが「えー、もう帰るのー?」と引き留めたけど、ナツさんは「ごめんごめん、また次のオフ会で!」と笑って店を出た。

俺は二次会に行くつもりだったんだけど、スマホが振動した。

ゲーム内メッセージ。ナツさんから。

(ヒロキくん、二次会楽しんでね!今日はリアルで会えて嬉しかった)

普通のメッセージだった。でもなぜか、二次会に行く気がしぼんだ。

(俺もです。また会いたいですね)

送ってから、「また会いたい」はちょっと踏み込みすぎたかと後悔した。

(また会いたいね!ていうか、ヒロキくん今どこ?まだ店の前?)

(はい、まだ新宿です)

(私まだ駅に着いてないんだよね。もしよかったら、もうちょっとだけ話さない?二人で)

心臓が一回、でかく跳ねた。

(相談事とかですか?)

今思い返すとほんとにアホだったと思う。

(…まぁ、そんな感じ笑。東口のサブナード入口のとこにいるから来て!)

俺は二次会組に「ごめん、ちょっと用事思い出した」とだけ言って、早歩きで東口に向かった。

サブナードの入口の横に、ナツさんが立ってた。

さっきまでの居酒屋のガヤガヤした雰囲気とは違って、街灯の下で一人で立ってるナツさんは、なんかすごく小さく見えた。

「あ、来てくれた。ごめんね、引き止めて」

「いえ、全然。で、相談って?」

「……うん、ちょっと歩きながらでいい?」

靖国通り沿いを歩いた。7月の夜で、生ぬるい風が吹いてた。ナツさんは俺の左側を歩いてて、時々肩がぶつかった。避けようとしたけど、ナツさんが避けなかったから、そのままにした。

「で、何の相談?仕事?ゲーム?」

「んー…相談っていうか…」

「っていうか?」

「ヒロキくんってさ、鈍いよね」

「は?急になに?」

「攻城戦の時は誰よりも先読みするのに、こういうことには全然気づかないんだなって思って」

「こういうことって?」

ナツさんが立ち止まった。俺も立ち止まった。

コンビニの明かりが横から当たってて、ナツさんの横顔がよく見えた。さっきまでの姉御の顔じゃなくて、なんか…泣きそうな、でも笑ってるような、変な顔をしてた。

「私さ、今日このために川口から来たんだよ」

「え?オフ会のためでしょ?」

「オフ会は口実。ヒロキくんに会いたかったの」

「…………え?」

「息子を実家に預けたのも、明日迎えに行くって言ったのも、全部嘘。明後日まで預かってもらってるの」

ナツさんの声が震えてた。チャットであんなに堂々としてる人が、こんなに震えるんだって思った。

「……ナツさん」

「ごめん、キモいよね。3つも上のバツイチ子持ちが何言ってんだって思うよね」

「いや、全然そんなこと」

「私、ヒロキくんのこと好きになっちゃったんだよね。いつからかわかんないけど。メッセージ来るとすごい嬉しくて、来ない日はずっとスマホ見てて」

俺は頭が真っ白になってた。

ナツさんのことをどう思ってるか、自分でもわからなかった。好きなのか?でもシンママで3つ上で、ネットゲームで知り合った相手で…いやそれ関係なくね?

ただひとつはっきりしてたのは、さっき居酒屋でナツさんの隣に座った時にめちゃくちゃ嬉しかったこと。薬指に指輪がないのを確認してホッとしたこと。二次会より、このメッセージを選んだこと。

全部、答えは出てた。俺が気づいてなかっただけだ。

「俺も、ナツさんに会いたくて来ました」

「……え?」

「二次会断って走ってきたの、相談聞くためだと思います?」

ナツさんの目が大きくなった。キリッとした目が丸くなると、ゴマキ似の顔が急に幼くなる。

「…やめて、泣きそう」

「泣いていいですよ」

「泣かないし!私、泣くキャラじゃないし!」

って言いながら、もう目が赤くなってた。チャットで「日本語通じてる?」って言ってた人が、コンビニの前で目を真っ赤にしてるのが、なんかもう、たまらなくかわいかった。

「どっか入りません?」

「…うん」

歩いて5分ぐらいのところにあるビジホに入った。いや、正確に言うとナツさんが「こっち」って引っ張っていった。

(…あれ、道知ってるな、この人)

フロントでツインを頼んだ。ナツさんが「あ、私が払う」と言ったけど、俺が出した。

エレベーターの中で、二人とも黙ってた。閉ざされた空間にナツさんの甘い匂いが充満してて、心臓がうるさかった。

部屋に入って、ドアが閉まった瞬間、ナツさんが俺のシャツの裾をつまんだ。

「…ねぇ」

「うん」

「キスしていい?」

チャットでは絶対言わないような、小さい声だった。

俺から顔を近づけた。ナツさんが目を閉じて、少し顎を上げた。

唇が触れた。柔らかくて、少しビールの味がした。

一回離して、もう一回。今度はナツさんの手が俺の首の後ろに回ってきて、引き寄せられた。舌が触れて、ナツさんの体がびくって震えた。

「…んっ…」

「ナツさん…」

「ナツでいい。さん付けやめて」

「…ナツ」

「…うん、そっちのほうがいい」

また唇を重ねた。今度は長く、深く。ナツの手が俺の背中を撫でて、俺の手はナツの腰に回った。

ブラウス越しに触れた腰は想像以上に細くて、折れそうだった。

ベッドに腰掛けて、キスしながらナツのブラウスのボタンを外していった。ナツは抵抗しなかった。ただ、目を閉じたまま少し震えてた。

ボタンを全部外すと、ベージュのレースのブラが出てきた。

(……でか…)

予想はしてたけど、間近で見ると衝撃だった。細い体に全然釣り合わないサイズ感。鎖骨から下の白い肌に、うっすら青い血管が透けてて、なんかもうエロすぎた。

「…すげぇ」

「やめて、そういうリアクション恥ずかしい…」

ナツが胸を隠そうとしたけど、俺はその手をどけて、ブラの上から触った。

「あっ…」

柔らかい。重みがある。片手じゃ収まらない。たぶんFカップはある。

「外していい?」

ナツが小さく頷いたので、背中に手を回してホックを外した。ブラがはだけて、形の綺麗な胸が零れた。先端は薄いピンクで、すでに少し硬くなってた。

「綺麗だよ」

「……授乳で形崩れてるのに、そういうこと言わないで」

「全然崩れてない」

「もう…」

ナツが恥ずかしそうに目をそらした。その横顔にキスしながら、胸を揉んだ。柔らかくて、指が沈み込む。乳首を親指で転がすと、ナツの息が変わった。

「んっ…そこ…敏感…」

ナツをベッドに押し倒して、上から覆いかぶさった。デニムのボタンを外して、ゆっくり脱がしていく。黒いレースのショーツが見えた。

(上下で色が違うのが逆にリアルでいい…)

ショーツの上から触ると、もう濡れてた。

「あっ…ちょっと…恥ずかしい…」

「もう濡れてるじゃん」

「だって…ずっとドキドキしてたから…居酒屋で隣座ったあたりからもう…」

その告白が可愛すぎて、理性が一段階飛んだ気がした。

ショーツをずらして、直接触った。ナツの腰がびくっと跳ねた。

「やっ…あっ…」

クリを指先で円を描くように触ると、ナツの手が俺の肩を掴んだ。爪が食い込むぐらい強く。

「気持ちいい?」

「…うん…久しぶりすぎて…すごい…」

中に指を入れると、熱くて締まりがよかった。ゆっくり動かすと、ナツの喘ぎ声が大きくなった。

「あっ…んんっ…そこ…」

「ここ?」

「そこ…やばい…あっ…」

ナツの体が弓なりに反った。シーツを掴む手が白くなるぐらい力が入ってて、太ももがぴったり閉じかけた。

「待っ…いきなりイっちゃ…あっ…んんっ…!」

体をびくびくさせて、ナツがイった。息を荒くしながら、目が潤んでた。

「はぁ…はぁ…久しぶりすぎてすぐイっちゃった…恥ずかしい…」

「恥ずかしがることないでしょ」

「だって…ヒロキくんの前でこんな…チャットで偉そうなこと言ってる私が…」

その姿にぐっときた。画面の向こうでは姉御で、作戦指示出して、メンバーを叱って。でも今、目の前にいるのは、ただの29歳の女の人だった。

ナツが俺のベルトに手を伸ばしてきた。

「私も…触りたい」

ズボンとボクサーパンツを下ろされて、もう限界まで硬くなってた息子が出てきた。

「…おっきい…」

「そこは盛らなくていいから」

「盛ってないし!」

ナツが笑いながら握って、ゆっくりしごき始めた。手が小さくて、指が回りきってなくて、それが逆にエロかった。

「こう…?気持ちいい?」

「うん…いい…」

ナツが体を屈めて、先端を舐めた。舌先がちろちろと触れて、そのまま口に含んだ。

「んっ…ちゅっ…」

温かくて柔らかい口の中に包まれて、腰が浮きそうになった。ナツは慣れてるわけじゃなくて、少したどたどしかったけど、それが逆に興奮した。

「ナツ…もういい、入れたい」

「…うん」

コンビニで買っておいたゴムを付けた。いや、正確には部屋に入ってから財布に入ってたのを思い出した。いつ買ったんだっけ。たぶん、無意識にこうなることを期待してたんだと思う。

ナツが仰向けになって、脚を開いた。

恥ずかしそうに顔を横に向けてたけど、ちらっと俺を見てた。

先端を当てて、ゆっくり入れた。

「んあっ…」

熱い。きつい。中がきゅうって締まって、奥まで入れたら二人とも声が出た。

「…大丈夫?」

「うん…大丈夫…動いて…」

ゆっくり腰を動かした。ナツの眉が寄って、口が半開きになった。

「あっ…あっ…」

チャットで強気なことを言ってた声が、こんな甘い声を出すのかと思ったら、なんかもうおかしくなりそうだった。

「ナツ…」

「ん…なに…」

「いや、名前呼びたかっただけ」

「…ばか…」

ナツが手を伸ばしてきたから、恋人繋ぎにした。その手に力が入るたびに、ナツが感じてるのがわかった。

ペースを上げると、ナツの声も大きくなった。

「あっ…んっ…ヒロキ…くん…」

「くん要らない」

「…ヒロキ…あっ…やば…奥…当たって…」

ナツの脚が俺の腰に回ってきた。もっと深くって言うみたいに引き寄せてくる。

「あっ…あっ…もう…だめ…」

「一緒にイこう」

「うん…うん…あっ…イく…イっちゃう…!」

ナツの中がきゅうっと締まって、俺も限界だった。腰を押し付けて、ゴムの中に出した。

「んんっ…!」

しばらく二人とも動けなかった。ナツの胸の上に顔を埋めて、心臓の音を聞いてた。速い。俺のも速い。

「…ねぇ」

「ん?」

「私のこと、ゲームの知り合いだから会ったんじゃないよね?」

「当たり前じゃん。二次会蹴ってダッシュしてくるゲームの知り合いがどこにいるんだよ」

ナツが笑った。さっきまでの喘ぎ声とは全然違う、からっとした笑い声。

「あはは…そっか。よかった」

「なんでそんな不安そうなの?チャットの時の強気はどうした」

「だって…チャットの私はキャラ作ってるもん。本当の私はこんなんだよ。自信ないし、すぐ不安になるし」

「知ってたよ、なんとなく」

「…え?」

「キツいこと言った後に必ずフォローのメッセージ送ってるの、みんなから聞いてたから」

ナツが目を見開いて、それから照れくさそうに顔を伏せた。

「…バレてたんだ」

「バレてた。だから好きになったんだと思う」

今度はナツが泣いた。泣かないって言ってたのに、ぽろぽろ涙を流しながら「ばか」って繰り返してた。

泣いてるナツを抱きしめてたら、いつの間にか二人とも眠ってた。

目が覚めたら朝の5時で、カーテンの隙間から白い光が差してた。

ナツは俺の腕の中で丸まって寝てた。寝顔はチャットの姉御とは似ても似つかない、ただの29歳の女の人の顔だった。

腕がしびれてたけど動かさなかった。動かしたらこの時間が終わる気がした。

6時ぐらいにナツが目を覚まして、俺の顔を見て、一瞬きょとんとして、それから「あ、夢じゃなかった」って笑った。

「おはよ」

「おはよ」

「…ねぇ、私たちこれからどうする?」

「どうするって?」

「だから、付き合うとか…そういう…」

「え、もう付き合ってるんじゃないの?」

「…は?いつ告白したの?」

「昨日。コンビニの前で」

「あれは私が告白したんであって、ヒロキはしてないじゃん!」

「じゃあする。好きです、付き合ってください」

「…順番おかしいでしょ、ヤった後に告白って」

「順番なんかどうでもいいじゃん」

ナツが枕に顔を埋めて、くぐもった声で「はい」って言った。

そのまま少しだけキスして、シャワーを浴びて、チェックアウトした。

新宿駅まで歩く間、ナツが俺の腕に自分からくっついてきた。

「ねぇ、同盟のみんなには内緒ね」

「わかってるよ」

「ナツさん怖いイメージ壊れちゃうから笑」

「はいはい」

京浜東北線で川口に帰るナツを改札まで送った。

改札をくぐる直前にナツが振り返って、にへっと笑った。

「次のイベント、二人でスコア1位取ろうね」

「それはゲームの話でしょ」

「ゲームの話だよ?笑」

手を振って改札の向こうに消えていくナツの背中を見ながら、俺はスマホを開いた。

ゲーム内メッセージに、ナツから新着が来てた。

(好き)

一文字。いや二文字か。チャットであんなに長文打つ人が、たった二文字。

(俺も)

って返した。

帰りの電車の中で、同盟のチャットが動いてた。昨日のオフ会の写真が上がってて、みんなで「楽しかったー!」って盛り上がってた。

その中にナツさんの投稿があった。

(昨日はお疲れ様でした!楽しかったです。ヒロキくんが思ってたより大人しくてウケた笑)

…おい、それ書くか普通。

しかも「くん」付けに戻ってるし。

チャットではいつもの姉御に戻ったナツを見ながら、俺はニヤニヤが止まらなかった。

あれから半年、俺とナツは月に2〜3回会ってる。川口のナツの家に行くこともあれば、ナツが都内に来ることもある。息子くんには「ママのお友達」って紹介された。最近ちょっとだけ懐いてきた。

同盟のみんなにはまだバレてない。たぶん。

ただ最近、チャットでナツさんが俺にだけやたら優しいのを、メンバーの一人が「ナツさん、ヒロキに甘くない?笑」って突っ込んでた。

ナツさんの返事は「は?そんなことないけど?日本語通じてる?」だった。

(あーこの人、変わんねぇな)

って思いながらスマホ閉じたら、個別メッセージが来てた。

(さっきのは嘘。ヒロキにはずっと甘いよ)

もうさ、こういうとこなんだよ。ずるいんだよこの人は。


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