終電を逃した夜、仕事でしか話さなかったはずの年下の部下と恵比寿のホテルに泊まることになった経緯を全部書く

これ書いていいのかずっと迷ってたんだけど、もう2年経つし、時効ってことで書かせてください。

俺、当時32歳。恵比寿にあるウェブ広告の会社で、プランニングチームのリーダーをやってた。リーダーって言っても6人しかいないチームだし、肩書きだけ立派なやつ。年収もまぁ500万ちょいぐらいで、都内で一人暮らしするには正直カツカツ。顔面偏差値は自分で言うのもなんだけど48ぐらい。身長172で体重68。完全に量産型のおっさん予備軍です。

で、その年の4月に配属されてきたのが、彼女だった。

中途入社で24歳。前職は大阪の小さな制作会社にいたらしい。第一印象は「今田美桜をちょっと地味にした感じ」。身長は158ぐらいで、髪は黒のセミロング。目がでかくて、笑うと左だけにえくぼが出る。Cカップぐらいかなって最初は思ってたんだけど、あとでDだと判明する。

ただ、正直に言うと最初はそこまで意識してなかった。

というのも、彼女はめちゃくちゃ真面目で、仕事以外の話をほとんどしないタイプだったから。飲み会も「すみません、ちょっと用事があって」って毎回断るし、ランチも一人で食べてることが多かった。チーム内では「クールな子」って認識で、俺もそう思ってた。

(この子、俺のこと嫌いなのかな…)

って何回か思ったぐらい。仕事の報連相はきっちりしてくるけど、雑談は一切しない。目も合わない。なんなら俺と二人きりになるのを避けてる節すらあった。

まぁ、嫌われてるなら仕方ないか、と。仕事さえ回ればそれでいいし。

そう割り切ってた。

状況が変わったのは、7月の頭。うちのチームが担当してたクライアントの大型キャンペーンが炎上した。SNSの広告クリエイティブに対してネガティブな反応が想定以上に広がって、クライアントの広報がパニックになって、俺たちに火消しの対応を丸投げしてきたやつ。

全員で手分けして対応したんだけど、結局21時を過ぎても終わらなくて、他のメンバーは先に帰した。残ったのは俺と彼女だけ。

「もう帰っていいよ、残りは俺がやるから」

「いえ、私もやります。この案件、私がクリエイティブのチェック担当だったので」

責任感が強いのは知ってたけど、こういう時にサラッとそれを言えるのはちょっと見直した。

そこから二人で黙々とレポートを作って、クライアントへの報告メールを仕上げて、気づいたら23時半。

「やっと終わった…ごめんね、こんな遅くまで」

「いえ。…あの」

「ん?」

「お疲れさまでした」

で、ちょっと笑った。初めて見た気がした、仕事以外の表情。いつもの無表情じゃなくて、ちょっと疲れてるけど穏やかな顔。

(あ、笑うとこんな顔するんだ)

その瞬間、不覚にもドキッとした。32歳のおっさんが。情けない。

オフィスを出て恵比寿駅に向かったら、もう終電が出た後だった。

「あー…終電終わってるわ。タクシーで帰る?」

「あ、私…まだ引っ越したばかりで、ここから結構遠くて。北千住なんです」

恵比寿から北千住。タクシーだと5000円は超える。新卒2年目にはきつい額だろう。

「タクシー代、経費で落ちるか微妙だしなぁ…あ、この辺ビジネスホテルあるけど。会社の近くに泊まって、明日の朝そのまま出社するってのは?」

(何言ってんだ俺は)

自分で言っておいてすぐ後悔した。上司が部下の女の子にホテル泊まれとか、どう考えてもアウトだろ。

「…それ、いいですか? 私、今月家賃の引き落としでお金なくて」

「え、あ、もちろん。俺が出すよ、仕事で遅くなったんだし。2部屋取るから」

「2部屋」を強調した自分がダサすぎる。

駅前のルートインに向かったら、満室。次のドーミーインも満室。7月のイベントシーズンで恵比寿周辺のビジネスホテルがどこも埋まってた。

3軒目でやっと空きがあった。恵比寿の裏通りにある古めのビジネスホテル。

「すみません、シングルの空きが1部屋だけなんです」

受付のおばちゃんにそう言われて、俺は固まった。

「…1部屋、ですか」

「いや、やっぱタクシーにしよう。俺が出すから」

「…あの、大丈夫です。私、ソファとかで寝れますし」

「いやいや、そういう問題じゃなくて」

「リーダー。私、あなたのこと信用してますから」

真っ直ぐ目を見て言われた。

(この子、こういう目するんだ…)

反論できなかった。

部屋に入ると、シングルベッドが一つと、申し訳程度の丸テーブルと椅子が一脚。ソファなんてない。

「俺、床で寝るよ。ベッド使って」

「ダメです。明日も仕事なんですから、リーダーがベッドで寝てください」

「いや、それは…」

「じゃあ、じゃんけんで決めましょう」

結局、じゃんけんで俺が負けて、俺がベッドを使うことになった。

(なんで負けてんだよ…)

彼女は借りたバスタオルを床に敷いて、器用に丸まって横になった。

電気を消して、暗闇の中でしばらく天井を見てた。隣で寝てる後輩の気配がやけに近い。息の音が聞こえる。

「…リーダー、起きてますか」

「…起きてる」

「あの、一つ聞いてもいいですか」

「ん?」

「私のこと、冷たい人間だと思ってますか」

予想外の質問だった。

「…なんで?」

「チームの人たち、たぶんそう思ってますよね。飲み会も断るし、雑談もしないし」

「まぁ、クールだなとは思ってたけど。嫌いってわけじゃないよ」

「…前の会社で、上司と付き合ってたんです」

暗闘の中で、彼女の声だけが響いた。

「別れた後、その人が社内に噂を広めて。私が仕事で評価されてたのは全部枕営業だったって」

「…」

「だから、新しい会社では絶対に誰とも距離を詰めないって決めてたんです。特に、上司とは」

なるほど、と思った。彼女が俺を避けてた理由がやっとわかった。俺のことが嫌いだったんじゃない。むしろ逆で、距離を取らなきゃいけない相手だと思ってたんだ。

(って、それって…)

「それ、もしかして俺のことを意識してたから距離取ってた、ってこと?」

沈黙が5秒ぐらい続いた。

「…わかりますか」

「え、今の"わかりますか"は肯定…?」

「…はい」

心臓がうるさかった。32歳で心臓がこんなにバクバクするとは思わなかった。

「いつから…」

「入社した日です。面接の時に、リーダーが廊下ですれ違って、ドア開けてくれたじゃないですか。あの時、顔見て、あ、って」

覚えてなかった。まったく覚えてなかった。

「俺、そんなことしたっけ…」

「…覚えてないんですか」

「ごめん、本当に覚えてない…」

「ひどい…笑」

暗闇の中で小さく笑う声が聞こえた。その笑い方が妙にかわいくて、胸の奥がぎゅっとなった。

「でも、ちゃんと覚えてることはあるよ」

「え、なんですか」

「入社初日に、自己紹介で噛んだこと」

「やめてください…!笑」

「"プランリングチーム"って言ってた。プランニングなのに」

「覚えてるんじゃないですか…」

「あと、初日のランチ一人で食べてて、カレーうどん頼んだのに白いブラウス着てて、俺がハラハラしてたこと」

「え、見てたんですか」

「チームの新人が初日に白ブラウスでカレーうどん挑むの、上司として心配するだろ普通」

「…結局はねなかったですよ。私、食べ方は綺麗なんで」

「知ってる」

また沈黙。

「…リーダーって、ずるいですよね」

「え?」

「そうやって、さりげなく見ててくれてるくせに、何も言わないから」

「いや、だって上司だし…」

「だから、ずるいって言ってるんです」

気づいたら彼女が起き上がってた。暗闘の中で、ベッドの縁に座ってる気配がした。

「…おい」

「床、硬いんです」

「いや、ベッド使っていいって言ったのに」

「リーダー、端に寄ってください」

「は?」

「半分、空けてください」

拒否する理由を必死に探したけど、見つからなかった。いや、あったんだけど、全部吹き飛んだ。

ベッドの端に寄ると、彼女がするっと隣に入ってきた。シングルベッドだから当然体が密着する。彼女の髪からシャンプーの匂いがした。ホテルの備え付けのやつだけど、なんかすごくよかった。

「…狭いですね」

「そりゃシングルだし…」

「リーダー、心臓うるさいです」

「うるさいってお前…こっちのセリフだわ」

「私もうるさいですか」

「めちゃくちゃうるさい」

また小さく笑った。

「…なぁ」

「はい」

「俺は上司だよ。前の会社みたいなことになったら」

「リーダーは、あの人とは違います」

「なんでわかるんだよ」

「3ヶ月見てたらわかります。あの人は私の手柄を自分のものにする人だった。リーダーは逆です。自分の手柄をチームのものにする人」

そんなこと言われたの初めてだった。

「だから、怖くないんです」

彼女が体を寄せてきた。俺の胸に額をくっつけて、小さくなった。

「…触ってもいいですか」

「え」

「手。握りたいんです」

手を握られた。小さくて、冷たい手だった。

それだけで、もうダメだった。

理性とか、上司としての立場とか、会社のコンプラとか、全部わかってるのに。この子の手の温度を感じた瞬間に、全部どうでもよくなった。

握り返したら、彼女がちょっと驚いたみたいに指が震えた。

「…ごめん」

「なんで謝るんですか」

「上司のくせに、部下のこと、ずっと目で追ってた」

「…知ってます」

「え?」

「リーダー、私がプレゼンしてる時、他の人が話してる時と明らかに表情違いますよ。田中さんも気づいてました」

「田中にバレてんの…?」

「たぶんチーム全員にバレてます」

「えっ…」

(マジかよ…本人だけ気づいてないパターンって俺じゃん…)

「ふふ、リーダーだけ気づいてなかったんですよ。みんな、私がリーダーのこと好きなのも知ってました」

「は? 俺だけ知らなかったの?」

「鈍感すぎます」

暗闇の中で、彼女が顔を上げた気配がした。

吐息が近い。鼻先が触れるぐらいの距離。

「…キス、してもいいですか」

返事の代わりに、唇を合わせた。

柔らかかった。ちょっと乾いてて、でも温かくて。触れた瞬間に彼女の指が震えて、俺の手を強く握った。

唇を離して、もう一回。今度はちょっと深く。舌先が触れた時に、彼女が小さく声を漏らした。

「ん…」

3回目のキスは長かった。どっちからともなく舌を絡めて、息が足りなくなるまで。

唇を離すと、彼女が俺の胸に顔を埋めた。

「…リーダーって呼ぶの、やめていいですか」

「…今さらだけどな。名前で呼んでよ」

「…たけるさん」

下の名前で呼ばれたの、元カノ以来だった。なんか恥ずかしかったけど、嬉しかった。

「うん」

「もっと…して、ほしいです」

キスしながら、自然と体が重なった。彼女の体は華奢で、でも胸のあたりだけ柔らかい存在感があった。仕事中はブラウスの上からじゃわからなかったけど、思ってたより大きかった。

服の上から胸に触れると、びくっとした。

「あ…っ」

「…ごめん、嫌だったら」

「嫌じゃ、ないです。…嫌じゃないから、困ってるんです」

その言い方がたまらなかった。

ブラウスのボタンを一つずつ外していった。彼女が目を閉じて、小さく息を吐く。白いブラ。レースがちょっとついてる、大人しいやつ。

「…きれいだね」

「やめてください、暗いからそう見えるだけです」

「暗くても綺麗だよ」

「…ばか」

ブラを外すと、Dカップの胸が零れた。形が綺麗で、手で包むとちょうどよく収まった。

「んっ…」

乳首に唇をつけると、彼女の手が俺の髪を掴んだ。力の入れ方が、すがるみたいで。

「感じやすいんだな」

「そんなこと…言わないでください…っ」

恥ずかしがってる声が、余計に火をつけた。

スカートの中に手を入れると、下着がもう湿ってた。

「あ…っ、やだ…そんなになってるの見ないでください…」

「暗いから見えないよ」

「…うそ。カーテンの隙間から明かり入ってる…」

確かに、恵比寿のネオンが薄くカーテンの隙間から漏れてた。彼女の表情がうっすら見える。目が潤んでて、頬が赤くなってた。

仕事中は絶対に見せない顔だった。

下着をずらして直接触れると、小さく腰が跳ねた。

「んんっ…たけるさん…」

名前を呼ばれるだけでこんなに興奮するとは思わなかった。

クリを親指で円を描くように触りながら、中指をゆっくり入れていく。中はびっくりするぐらい熱くて、指が吸い込まれるみたいだった。

「あっ…そこ…っ、ダメ…」

「ダメなの?」

「ダメじゃなくて…良すぎて…ダメ…」

意味がわからなかったけど、なんかわかった。

指を動かすたびに、彼女の体が小刻みに震えた。片手で俺の腕を掴んで、もう片手でシーツを握ってる。

「たけるさん…あっ…もう…」

「いきそう?」

「…うん…っ」

仕事の時は「はい」って言うのに、ベッドの上では「うん」になる。その変化がなんかリアルで、ぐっときた。

指を速めると、彼女の声が高くなって、体がびくんっと跳ねた。

「あっ…いっ…」

そのまま数秒、硬直して、ふっと力が抜けた。

「はぁっ…はぁ…」

「大丈夫…?」

「…大丈夫じゃないです。会社でリーダーの顔、もう見れない…」

「それは困る。仕事に支障が出る」

「…笑わないでください」

彼女が起き上がって、俺のベルトに手を伸ばした。

「私も…したい、です」

慣れない手つきでズボンを下ろして、ボクサーパンツの上から触ってきた。

「…大きい」

「普通だと思うけど…」

「嘘です。…前の人と全然違う」

前の人って元カレか。比較されるのは複雑だけど、勝ってるっぽいのはちょっと嬉しかった。自分でも男って単純だなと思う。

パンツを下ろされて、直接握られた。彼女の手は小さくて、でも力加減が絶妙だった。

「こう…ですか?」

「うん…それ、やばい…」

「経験あんまりないんで…下手だったら言ってください」

「全然下手じゃない…むしろ上手すぎて困る」

彼女がちょっと嬉しそうに笑って、そのまま顔を下に持っていった。

先端に唇が触れた瞬間、背筋がぞわっとした。

「ん…んっ…」

ゆっくり咥えて、舌を使って先端を舐めてくる。不慣れな感じなのに、妙にエロい。一生懸命やってくれてるのが伝わるから余計に興奮した。

「待って…このままだと出ちゃう…」

「…いいです。出して」

「いやいや、まだ早い。…その、入れたい」

彼女が顔を上げて、カーテン越しの薄明かりの中で目が合った。

「…ゴム、ないですよね」

「あ…」

ないです。当たり前だけど。仕事帰りにホテルに泊まるなんて想定してなかったし。

「…コンビニ、行きます?」

「いや、俺が行ってくる。ちょっと待ってて」

パンツとズボンを急いで履いて、Tシャツを引っかぶって部屋を出た。ホテルの1階にコンビニはなかったから、50メートルぐらい先のファミマまでダッシュした。深夜の恵比寿を半勃ちの状態で走る32歳。我ながら情けない光景だった。

コンビニでゴムを買う時、レジのバイトの兄ちゃんが一瞬ニヤッとした気がしたけど、気にしてる余裕はなかった。

部屋に戻ると、彼女はベッドの上で膝を抱えて座ってた。

「…おかえりなさい」

「ただいま…。走ってきた」

「…ふふ、息切れしてる」

「笑うなよ…」

ベッドに戻って、また唇を重ねた。コンビニまでの往復で少し冷めかけてた空気が、キスした瞬間にすぐ戻った。

ゴムを着けて、彼女の上に覆いかぶさった。

「…入れるよ」

「…はい」

ゆっくり入れていく。中が熱くて、きつくて、彼女が眉をしかめた。

「痛い?」

「ちょっとだけ…久しぶりだから…大丈夫、動いていいです」

ゆっくり腰を動かし始めた。最初は緊張で硬かった中が、だんだん柔らかくなっていく。

「あっ…んっ…」

「…気持ちいい…」

「私も…気持ちいい…です…」

敬語でそれ言われると変な気持ちになる。なんか、上司と部下のままセックスしてるみたいで。

(いや、してるんだけど)

ペースを上げると、彼女が俺の背中に手を回した。爪が食い込むぐらい強く。

「たけるさん…あっ…もっと…」

「…こう?」

「んんっ…そこ…っ」

奥に当たるたびに、彼女の体がびくっと反応する。仕事中のクールな表情はもうどこにもなくて、目は潤んで、口は半開きで、甘い声を漏らしてる。

この顔を俺しか知らないのかと思ったら、変な独占欲が湧いた。

体勢を変えて、彼女を上にした。

「え…私、上…ですか」

「ダメ?」

「あんまり、慣れてなくて…」

「自分のペースでいいよ」

彼女がおそるおそる腰を動かし始めた。最初はぎこちなかったけど、途中から体重の乗せ方を覚えたみたいで、腰の動きが滑らかになった。

「あっ…こうすると…深い…っ」

「うん…やばい…」

下から胸を触ると、揺れるたびに手の中で弾む。その感触と、上から見下ろしてくる彼女の顔が良すぎて。

「たけるさん…見ないで…恥ずかしい…」

「無理。綺麗すぎて目離せない」

「そういうの…ずるい…っ」

彼女が体を倒して、俺の胸に顔を埋めながら腰を動かす。

「あっ…あっ…イきそう…」

「俺も…もう…」

「一緒に…一緒がいい…」

腰を掴んで、深く押し込んだ。彼女の中がきゅっと締まって、その瞬間に一気に達した。

「あっ…んんっ…!」

彼女も同時に体を震わせて、俺の胸に爪を立てた。痛かったけど、それがまた良かった。

しばらくそのまま動けなくて、二人とも荒い息のまま抱き合ってた。

「…はぁ…はぁ…」

「…大丈夫?」

「大丈夫です…。…たけるさん」

「ん?」

「明日、会社で…どうしましょう」

「…それは…」

正直、考えてなかった。いや、考えないようにしてた。

「私は、後悔してないです」

「…俺も」

「でも、バレたら困りますよね」

「困るのは俺だけだよ。部下に手を出した上司だし」

「…手を出したんじゃなくて、手を出させたんです。私が」

「それはフォローになってない」

「ふふ」

彼女が体を起こして、もう一度キスしてきた。柔らかくて、さっきまでの激しさとは違う、確認するみたいなキス。

「…もう一回、していいですか」

「え…もう?」

「だって、こんな機会、もうないかもしれないじゃないですか」

2回目は、もっとゆっくりだった。互いの体を確かめるみたいに、丁寧に触って、丁寧に動いた。

彼女が俺の手を自分の頬に当てて、目を閉じて。

「…好きです。たけるさん」

その声を聞いた時、あ、もうこれは一夜限りとかじゃ済まないな、と思った。思ってしまった。

2回目が終わって、汗だくのまま並んで天井を見てた。時計を見たら朝の4時半。窓の外がうっすら明るくなってきてる。

「2時間しか寝れないな…」

「大丈夫です。今日は定時で帰ります」

「俺も」

「あ、でも会社では今まで通りにしますから。急に態度変えたらバレるので」

「…お前の方がよっぽどしっかりしてるな」

「だって、リーダーは絶対顔に出るから。私がちゃんとしないと」

「そんなに顔に出る?」

「ポーカーフェイス下手くそですもん」

「はは…バレてたか」

彼女が俺の胸に頬をくっつけて、目を閉じた。

「…おやすみなさい、たけるさん」

「おやすみ」

翌朝、目覚ましが鳴る前に目が覚めた。隣で彼女がまだ寝てた。寝顔が本当にかわいかった。今田美桜に似てるとか関係なく、ただただかわいかった。

着替えて、先に顔を洗って、彼女を起こした。

「起きろー、7時だよ」

「ん…あと5分…」

「ダメ。遅刻するよ」

「…はぁい」

会社には別々に出社した。俺が先にオフィスに着いて、15分後に彼女が来た。

「おはようございます」

いつもの無表情。いつもの素っ気ない挨拶。昨夜のことが嘘みたいだった。

でも、俺のデスクの前を通る時に、ほんの一瞬だけ指先がデスクの角に触れた。わざと。

それが、彼女なりの「おはよう」だったんだと思う。

田中が「リーダー、なんか今日やけに機嫌よくないですか」って言ってきた時は焦ったけど。

あれから2年。まだ付き合ってます。会社にはまだバレてない、と思う。たぶん。

田中は絶対気づいてるけど。


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