どうも。翔太、21歳。フリーターです。
いきなりだけど、俺は去年の夏まで童貞だった。顔面偏差値は48くらい。よく言えば「普通」、悪く言えば「印象に残らない」タイプ。身長172で体重65キロ、高校の時にやってた柔道のおかげで肩幅だけは広い。
高校卒業してから大学には行かず、実家の足立区から都内のいろんな現場にバイトに出てた。引越し、倉庫、イベント設営。とにかく体力仕事ばっか。金はないけど、体力と精力だけは有り余ってた。
彼女?いるわけないじゃん。出会いなんて汗臭い現場の先輩と、コンビニの店員くらいだよ。
そんな俺の人生が変わったのは、去年の8月。竹ノ塚から北千住にある築浅の1LDKへの引越し案件だった。
その日は朝から35度超えの猛暑日で、もう午前中の時点でTシャツ3枚目。現場のリーダーの山さん(40代、声だけデカい)が「今日の依頼主、女の一人暮らしだから丁寧にやれよ」って言ってた。
で、北千住のマンションに荷物運び入れてたら、依頼主が出てきた。
(…え?)
正直、目を疑った。橋本環奈をもう少し大人っぽくして、背を5センチ伸ばした感じ。身長160くらい、髪はダークブラウンのセミロング。白いTシャツにデニムのショートパンツっていうラフな格好なんだけど、胸のラインがTシャツ越しにはっきり分かる。たぶんE以上はある。
(なんだこの人…引越しの依頼主ってこういう感じなの…?)
名前は聞いてない。依頼書には「水野」とだけ書いてあった。年齢は27か28くらいに見えた。
水野さんは俺たちに「暑い中すみません、冷たいの用意してあるんで」って言って、冷蔵庫から麦茶のペットボトルを人数分出してくれた。気遣いのできる人だった。
荷物は段ボール30箱くらいと、家具がいくつか。2時間くらいで搬入は終わった。
で、ここからが問題なんだけど。
山さんが「荷解きオプションも入ってるから、翔太お前残れ」って言うわけ。他のメンバーは次の現場があるから先に行くと。
(えっ、俺一人でこの人と…?)
いや、仕事だから別にいいんだけど。汗だくのTシャツで、この距離感はちょっと。
「あの、汗臭かったらすみません…」
「全然大丈夫ですよ。むしろ申し訳ないです、一人で残ってもらっちゃって」
水野さんは笑いながら、新しいバスタオルを貸してくれた。しかもいい匂いのやつ。
荷解きを始めた。キッチン用品から片付けていく。重い食器棚の位置を調整したり、本棚を組み立てたり。水野さんも一緒に作業してくれるんだけど、時々近い距離になる。しゃがんだ時にショートパンツの隙間からちらっと下着が見えて、俺は必死に目を逸らした。
(見るな。仕事だぞ。お前の目玉をくり抜くぞ)
1時間くらい作業して、一段落ついた時。
「ねえ、ちょっと休憩しない?お昼まだでしょ?」
「あ、はい…コンビニ行ってきます」
「ううん、ピザ頼んだから一緒に食べよ。お礼も兼ねて」
断る理由もないし、そのまま二人でリビングの床に座ってドミノ・ピザを食べた。まだ家具の配置も終わってないから、段ボールに囲まれた状態で。
「引越し屋さんって、いつもこんな感じなの?」
「いや、荷解きまで残るのはたまにですね。大体は運んで終わりっす」
「そっか。…ねえ、いくつ?」
「21です」
「若いなー。私28だよ。年上苦手?」
「いや全然。現場のおっさんたちに比べたら…」
「おっさんと比べないでよ笑」
水野さんが笑うと、目尻にちょっとだけシワができる。それがまた良かった。
ピザ食べながら聞いた話だと、水野さんは都内のIT企業でWebデザイナーをやってて、前は彼氏と同棲してたらしい。でも半年前に別れて、心機一転で引っ越してきたんだと。
「2年半付き合ってたんだけどね。なんか、もういいかなって」
「そうなんすね…」
「最後の方、ほんと冷めちゃって。一緒にいるのに一人みたいだった」
なんか、しんみりした空気になりかけたけど、水野さんはすぐに「ま、過去の話!」って切り替えた。
午後も荷解き続行。寝室のカーテンを取り付けるのに脚立が必要で、俺がカーテンレールの位置を調整してる時、水野さんが脚立を押さえてくれてた。
で、バランス崩しかけて、咄嗟に水野さんの肩を掴んでしまった。
「すみません!」
「大丈夫大丈夫。…ていうか、手おっきいね」
「あ、柔道やってたんで…握力だけ強いです」
「へえ…」
水野さんが俺の手をじっと見た。なんか、意味ありげな沈黙。
(いや、気のせいだろ。自意識過剰乙)
夕方5時くらいに、大体の荷解きが終わった。あとは細かい整理くらいで、俺の仕事はここまで。
「じゃあ、お疲れ様でした」
「ありがとう、すごい助かった。…ねえ、よかったらこの後ご飯行かない?お礼させて」
(え…?マジで…?)
「いや、俺こんな格好だし…」
「シャワー浴びてきなよ。タオル出すから」
いやいやいや。依頼主の家でシャワー浴びるとか、普通ないだろ。でも水野さんは当たり前みたいな顔で浴室の準備をしてくれて、俺は断れないまま流されてシャワーを浴びた。
脱衣所に、水野さんが用意してくれた替えのTシャツが置いてあった。たぶん元カレのやつだと思う。サイズぴったりだった。
(元カレのTシャツ着てる俺、なんなんだ…)
北千住の駅前の焼き鳥屋に行った。水野さんはビール、俺はハイボール。平日の夕方だからガラガラで、カウンターに並んで座った。
「翔太くんさ、彼女いるの?」
「いないです。つーか、いたことないです」
「うそ。体格いいのに」
「体格と彼女は関係ないっすよ…」
「関係あるよ笑。女はね、意外とそういうとこ見てるから」
2杯目のビールを飲みながら、水野さんがぽつりと言った。
「元カレさ、最後の半年くらい…全然触ってくれなかったんだよね」
「えっ」
「仕事が忙しいとか、疲れてるとか。…女ってさ、そういうの地味に傷つくんだよ」
俺はなんて返していいか分からなくて、手羽先をかじった。
「ごめんね、変な話して。酔っちゃった」
「いや…俺でよければ聞きますよ」
「…優しいね、翔太くん」
水野さんの目が、少し潤んでるように見えた。
店を出たのは9時過ぎ。8月の夜でもまだ蒸し暑くて、水野さんが「ちょっと酔ったかも」ってふらついた。咄嗟に腕を掴んだら、そのまま腕を組まれた。
(腕…組まれてる…よな?酔ってるだけだよな?)
マンションまで歩いて5分。エントランスで「じゃあ」って言おうとしたら。
「…上がってかない?まだ話したい」
心臓が暴れてた。でも、頭の中では冷静な自分が「お前それ期待してるだけだぞ、バカか」って言ってた。
「…いいんですか」
「うん」
部屋に入ると、昼間とは全然違う雰囲気だった。間接照明だけ点いてて、さっきまで段ボールだらけだったリビングがちゃんと部屋らしくなってる。
ソファに並んで座って、水野さんが冷蔵庫から缶チューハイを2本出してきた。
しばらく、テレビもつけずに話してた。俺の家のこと、バイトのこと、柔道やめた理由。水野さんの仕事のこと、大学時代のこと。なんか、不思議と話が途切れなかった。
で、沈黙が来た。
水野さんが俺の方を見てる。酔いで頬が赤くて、唇が少し開いてて。
「ねえ」
「…はい」
「さっき、彼女いたことないって言ってたけど…」
「はい」
「…経験も?」
俺は正直に頷いた。
水野さんが少し驚いた顔をして、それからゆっくり笑った。嗤ったんじゃなくて、なんか安心したみたいな笑い方だった。
「…じゃあ、私が最初でもいい?」
脳がフリーズした。5秒くらい。
「…冗談っすよね?」
「冗談じゃないよ」
水野さんが俺の手を取って、自分の頬に当てた。柔らかくて、熱かった。
「…俺、下手ですよ。たぶん」
「いいよ。…むしろ、その方がいい」
水野さんが目を閉じた。
(…これ、キスしていいってことだよな?)
唇を近づけた。触れた瞬間、水野さんが小さく息を吸った。
最初のキスは、たぶん3秒くらい。唇を離したら、水野さんが目を開けて俺を見て、それからもう一度自分から唇を重ねてきた。
今度は長かった。舌が触れて、俺は頭の中が真っ白になった。
水野さんが俺のTシャツの裾を掴んで、引っ張った。
「…寝室、行こ」
手を引かれて、さっき自分でカーテンを取り付けた部屋に入った。
ベッドに座った水野さんが、自分のTシャツを脱いだ。白いブラジャーから、想像以上のボリュームがこぼれそうになってる。
(やばい。これ現実か?)
「…触っていいですか」
「敬語やめなよ笑」
「…触っていい?」
「うん」
背中に手を回してブラを外した。柔道で鍛えた指先が、こんなところで役に立つとは思わなかった。外れた瞬間にこぼれ落ちてきた胸は、形が綺麗で、乳首がうっすらピンクだった。
手のひらで包むと、指の間からはみ出るくらいの大きさ。Eカップって、こういうことか。
「んっ…手、おっきいから…全部包まれる感じする…」
「…すげぇ柔らかい」
語彙力が消滅してた。でも水野さんは笑って、俺の頭を胸に引き寄せた。
乳首を舌で転がすと、水野さんの体がびくって震えた。
「あっ…そこ、弱い…っ」
もう片方も同じように舐めると、水野さんが俺の髪を掴んできた。痛いくらいに。
「…下も、触って…」
ショートパンツのボタンを外して、ゆっくり下ろした。水色の下着が濡れてるのが分かった。
下着越しに触ると、水野さんが腰を浮かせた。
「直接…がいい」
下着をずらして、初めて生で女の子のそこに触れた。
(熱い。あと、すごいぬるぬるしてる)
どこをどう触ればいいのか分からなくて、探り探りだった。でもクリトリスのあたりを指の腹で撫でた時に、水野さんが声を上げた。
「あっ…!そこ…そこいい…っ」
その反応を頼りに、同じ場所を繰り返し刺激した。中指を入れると、きゅって締まる感覚がして、水野さんの喘ぎ声が大きくなった。
「やば…上手い…初めてじゃないでしょ…?」
「初めてだって…」
「嘘…あっ、んんっ…!」
水野さんの体がぶるって震えて、俺の指がぎゅって締められた。イったんだと思う。
水野さんがしばらく荒い息をしてて、それから俺の顔を見て言った。
「…ずるい。指だけでイかされた…」
「ずるいって言われても…」
「…ねえ。入れて」
俺のズボンを脱がせながら、水野さんが俺のをじっと見た。
「…おっきい。引越し屋さんって、こういうとこも規格外なの」
「いや、引越し屋関係ないだろ…」
水野さんが笑って、ベッドサイドの引き出しからコンドームを出した。引越したばかりなのにちゃんと場所決めてあるのが、なんか面白かった。
ゴムを付けて、水野さんの上に乗った。先端を当てると、水野さんが俺の背中に手を回した。爪が食い込んだ。
ゆっくり入れた。温かくて、締め付けられて、頭がおかしくなりそうだった。
「あぁっ…おっきい…奥まで来てる…」
「大丈夫…?」
「うん…動いて…」
ゆっくり腰を動かした。水野さんが俺の背中を爪で引っ掻いて、耳元で喘いでる。
初めてだから、すぐにイくと思ってた。でも不思議と、全然そうならなかった。緊張してたのか、それとも元々そういう体質なのか。
むしろ水野さんの方が先に限界が来た。
「やっ…また、イきそ…っ」
「えっ、もう?」
「もうって何…あんっ!」
水野さんが2回目のを迎えて、中がきゅうって痙攣した。その締め付けがやばくて、俺もようやくイきそうになった。
「俺もそろそろ…」
「うん…出して…中にそのまま…ゴムしてるから…」
腰を押し付けて、奥で出した。生まれて初めての射精が、こんなに気持ちいいものだとは思わなかった。自分でする時の比じゃない。全身の力が抜けて、水野さんの上に崩れ落ちた。
「…すみません、重い…」
「…いいよ、このまま」
水野さんが俺の背中を撫でてくれた。汗でべとべとの背中を。
しばらくそのままでいたら、水野さんが気づいた。
「…ねえ。まだ硬いんだけど」
「あ…すみません」
「謝ることじゃないでしょ笑。…ていうか、まだイケるの?」
「たぶん…」
水野さんが信じられないって顔をして、それから笑った。
「…もう1回、していい?」
ゴムを替えて、今度は水野さんが上に乗った。腰を振る水野さんの体を下から見上げる構図が、エロすぎた。揺れる胸を掴むと、水野さんが甘い声を出す。
「んっ…あぁ…この体勢、奥に当たる…っ」
「気持ちいい…」
「こっちのセリフ…っ。ねえ、腰動かして…下から突き上げて…」
言われるまま腰を動かすと、水野さんが仰け反った。
「そこっ…そこやばいっ…!」
パンッ、パンッと肌がぶつかる音がして、水野さんが3回目を迎えた。今度は声にならない声を上げて、俺の胸に倒れ込んできた。
俺もそのまま腰を止めずに出した。2回目なのに、まだ全然余力があった。
水野さんが俺の胸に頬をつけたまま、呆れたように言った。
「…なにこれ。21歳って、こんなにタフなの…」
「俺が変なのかもしんないです」
「変っていうか…すごい。元カレなんか、1回で終わりだったのに」
比較されてるのは複雑だったけど、悪い気はしなかった。
3回戦は俺から求めた。後ろから抱きしめるように入れて、水野さんの耳元で息が当たるたびに、水野さんがぞくぞくって震えるのが分かった。
「あぁっ…耳、だめ…っ」
「ここ弱いの?」
「弱いってか…あんっ…敏感なの…バカ…」
バカって言いながら、水野さんは自分から腰を押し付けてきた。
3回目出した後も、俺のは元気だった。水野さんが「嘘でしょ…」って半笑いで言って、結局そのまま朝の4時まで続いた。
何回したか、正確には覚えてない。5回か6回。途中でゴムがなくなって、水野さんがAmazonで翌日配送をポチってたのは笑った。結局その夜はなくなった分は素股で凌いだ。
窓の外が白くなってきた頃、二人でシャワーを浴びた。水野さんの体を洗いながら、なんか不思議な気持ちだった。朝の荷解きしてた時には想像もしてなかった状況。
「ねえ」
「ん?」
「…また会える?」
「え、いいの?」
「いいもなにも…こんな夜の後に"じゃあお疲れ様でした"で終わったら泣くよ私」
「…会いたいです。また」
「敬語」
「会いたい」
水野さんが、濡れた髪のまま俺にキスした。お湯の味がした。
翌朝、マンションを出る時にLINEを交換した。水野さんが「翔太くん」って入力してるのを見て、名前呼ばれるのっていいもんだなって思った。
それから俺は、引越しバイトの合間を縫って北千住に通うようになった。
最初は週1だったのが、気づいたら週3になってた。水野さんは仕事から帰ると俺にご飯を作ってくれて、食べ終わるとソファでだらだらして、そのままベッドに行く。そういう日常が、いつの間にかできてた。
付き合ってるのかどうか、最初は曖昧だった。でも2週間後くらいに、水野さんの方から言ってくれた。
「ね、私たちって付き合ってるんだよね?」
「…そのつもりだったけど」
「ちゃんと言ってよ」
「…付き合ってください」
「はい」
水野さんが、めちゃくちゃ嬉しそうに笑った。28歳の大人の女の人が、こんな顔するんだって思った。
あれから1年経った。俺はまだフリーターだけど、水野さんの勧めでWebの勉強を始めた。水野さんが教えてくれるから、独学よりだいぶマシだと思う。
足立の実家から北千住の水野さんの部屋まで、チャリで15分。ほぼ毎日通ってる。合鍵もらった。
引越しバイトで荷物運んだだけなのに、気づいたら自分の人生ごと運ばれてた。そんな話です。