これ読んでる人で、幼馴染が異性の人っている?
俺にはいた。名前は出せないけど、仮にミキとする。小学校6年間ずっと同じクラスで、家も歩いて2分。毎日のように一緒に遊んでた。
ただ、普通の幼馴染とはちょっと違った。
ミキは俺より足が速くて、腕相撲も強くて、ドッジボールでは男子を普通に当ててくるタイプのガキ大将だった。髪はずっとベリーショートで、知らない人が見たら男の子だと思うような見た目。一人称は「ウチ」で、スカートなんか一回も履いてるの見たことなかった。
俺はどっちかっていうとインドア派で、身長も学年で後ろから3番目くらい。顔は…まぁ、よく言えば薄い塩顔、悪く言えば特徴がない。ミキに「おまえの顔、のっぺらぼうに近い」って言われたことがある。ひどくない?
そんな俺たちだったから、周りからは「あいつら兄弟?」って言われてた。恋愛とかそういう空気は一切なかった。
中2の夏、ミキの家が横浜から川崎に引っ越した。親の仕事の関係とかで。最後の日、ミキは「じゃーな」って片手あげて引っ越しのトラックに乗ってった。俺も「おー」って返した。泣いたりとかしなかった。男同士みたいなもんだったから。
LINEは続いてたけど、中3になると受験で忙しくなって、既読スルーが増えて、気づいたら半年くらい連絡とってなかった。
で、高校。
俺は第一志望に受かって、川崎の方のそこそこの進学校に通うことになった。武蔵溝ノ口の駅から歩いて15分くらいの、校舎だけは立派な学校。
入学式の日。体育館で名前順に座らされて、退屈だなーって思いながらぼーっとしてた。
そしたら、2列前に座ってる女子の後ろ姿が目に入った。
肩くらいまでのストレートの黒髪。制服のブレザーから覗く首筋が白くて、なんか目が離せなくなった。
(なんだろ、知り合いか…?)
その女子が隣の子と話してるときに横顔が見えて、心臓が止まりかけた。
ミキだった。
いや、ミキ…なのか?嘘だろ。
ベリーショートだった髪は肩まで伸びてて、丸かった輪郭はすっきりして、目元は橋本環奈を地味にしたような…いや違うな、もうちょっとキリッとしてる。広瀬すずに近いかもしれない。身長は160くらいで、制服の上からでもわかるくらい出るとこ出てた。
(これがあのミキ?同一人物?3年でこんな変わる?)
俺の脳がバグった。
入学式が終わって、みんなが教室に向かう流れの中で、俺はミキに近づいた。っていうか、近づかずにいられなかった。
で、声をかけようとしたんだけど、なんて言えばいいかわからなくて。
つい、昔のノリで頭をポンと叩いてしまった。
ミキが振り向いた。
目が合った。
「……え?」
「よ、ミキ」
一瞬、ミキの目が大きくなって。
そのあと、みるみるうちに目に涙が溜まった。
「…………っ」
「え、ちょ、なんで泣くの」
「だ、だって……ウチ、変わったのに……まだ頭叩くの……っ」
周りの新入生がチラチラこっちを見てる。入学式初日に女子泣かせてるやつ。最悪の第一印象。
「ごめんごめんごめん、悪かった。いやマジで悪かった」
「…………ばか」
ミキは目を擦って、鼻すすって、それで終わり。昔みたいにギャンギャン怒鳴ったりしなかった。
その「ばか」の言い方が、小学校の時と全然違って。声が柔らかくて、小さくて。
(あ、こいつ本当に変わったんだ)
って、その時初めて実感した。
クラスは違ったけど、同じ校舎だから顔を合わせる機会は多かった。最初の1週間くらいはミキの方からは話しかけてこなかった。入学式のことまだ怒ってんのかなって思ってた。
でも、ある日の昼休み。俺が購買で焼きそばパン買って一人で食ってたら、ミキが来た。
「……隣、いい?」
「え、ああ、いいけど」
ミキは俺の隣に座って、弁当箱を開けた。中身がすげー凝ってた。卵焼きとか鶏の照り焼きとか。
「お前弁当とか作んの?昔カップ麺しか食わなかったじゃん」
「……うるさいな。人は変わるの」
「いや、すげーなって。褒めてんだよ」
「…………ほんとに?」
「ほんとに」
「……ふーん」
ミキは少し嬉しそうに卵焼きを食べた。
それから、なんとなく昼飯を一緒に食べるようになった。最初は週2くらい。それがだんだん毎日になって、GW明けにはもう固定みたいになってた。
俺のクラスのやつらは「あの1組の可愛い子と付き合ってんの?」って聞いてきた。
「いや、幼馴染」
って答えると、みんな「あー」って納得するような、しないような顔してた。
ミキは入学して1ヶ月でかなりモテてた。同じクラスの男子からLINE聞かれたり、3年の先輩から声かけられたりしてたらしい。
ある日、昼飯の時にミキがぼそっと言った。
「この前、サッカー部の3年に告白された」
「へー。で?」
「断った」
「なんで?イケメンだったん?」
「…………知らない人に好きって言われても困る」
「まぁそうだよな」
「…………」
なんか言いたそうな顔してたけど、俺は鈍感すぎてスルーした。今思うと本当にアホだったと思う。
6月、中間テスト前。ミキは理系科目が壊滅的にダメで、数学の追試がかかってた。
「……教えて」
「いいけど、どこで?」
「……ウチの家、親いないから」
俺は何も考えずに「おー」って答えた。幼馴染の家に行くなんて昔は日常だったし。
でも、いざミキの家に上がると、空気が違った。
まず、部屋が女の子の部屋だった。当たり前なんだけど。白いカーテンに、ちっちゃいぬいぐるみが棚に並んでて、甘い匂いがした。昔のミキの部屋は野球のポスターとか貼ってあって、万年床で、正直汚かったのに。
「お前の部屋ってこんなだったっけ」
「引っ越してから変えたの。……変?」
「いや、全然。似合ってると思う」
ミキが小さく笑った。
勉強を教え始めたんだけど、ミキが本当に数学できなくて、二次関数のところで完全に詰まった。
「……もう無理。ウチの脳みそ、数字入れるスペースない」
「いやあるだろ。ドッジボールのフォーメーション覚えてたじゃん昔」
「それとこれは違うの!」
「はいはい。じゃあここ、xに2入れてみ?」
「……8?」
「正解。ほら、できんじゃん」
「……えへへ」
その「えへへ」が破壊力やばかった。広瀬すず似の顔で「えへへ」って。心臓に悪い。
(待てよ。俺いま何を感じてんだ。こいつはミキだぞ。ガキ大将のミキ)
でも、隣に座ってるミキからシャンプーの匂いがして、ノートに顔を近づけるたびに睫毛が長いのが見えて、もう幼馴染として見るのは限界だった。
2時間くらい勉強して、ちょっと休憩しようってなって。ミキが麦茶持ってきてくれて、二人でベッドの端に座って飲んでた。
沈黙。
「ねぇ」
「ん?」
「……ウチ、変わった?」
「え?まぁ、めちゃくちゃ変わったよ」
「……可愛くなった?」
俺は言葉に詰まった。
「…………うん。正直、最初誰かわかんなかった」
「……中学入ってから、頑張ったの。髪伸ばして、スキンケアして、料理も覚えて」
「なんで急に?」
ミキは麦茶のコップを両手で持って、俯いた。
「…………好きな人に、女として見てほしかったから」
心臓がドクンってなった。
「……それ、誰」
「…………」
ミキが顔を上げた。目がちょっと潤んでた。
「……わかんないの?ほんとに?」
「…………」
「ばか。……ずっと、おまえだよ」
……は?
俺?
いや待て。ミキが俺のために3年かけて変わった?あのガキ大将が?
頭の処理が追いつかなくて、数秒フリーズした。
「……え、いつから」
「小6の……卒業式の日。おまえが『ミキと同じ中学だったらよかったのに』って言ったの、覚えてる?」
覚えてた。何気なく言っただけだった。
「あの時から。……引っ越してからも、ずっと」
「…………」
「サッカー部の先輩断ったのも、ウチにはずっと好きな人がいたから」
さっき昼飯の時に言いかけてたのは、これだったのか。俺は本当に鈍い。
(いや待て。俺はミキのこと好きなのか?幼馴染として見てただけじゃないのか?)
でも思い返すと、入学式の日にミキを見つけた時の心臓のバクバクとか、昼飯を一緒に食べるのが当たり前になってたこととか、隣にいるとシャンプーの匂いに気づいてしまうこととか。
全部、恋だったんだと思う。認めたくなかっただけで。
「……俺も、たぶん」
「たぶんって何」
「いや……好き、だと思う。入学式の時からずっとおかしかった。お前のこと考えてばっかで」
ミキが泣いた。入学式の時とは違う泣き方。声を出さずに、ぽろぽろ涙だけ落ちてった。
「……っ、よかった……」
俺はどうしていいかわからなくて、でも、体が勝手に動いた。
ミキの頭に手を伸ばして。今度は叩くんじゃなくて、撫でた。
「…………ん」
「ごめんな、入学式の時。もう叩かない」
「……うそ。おまえ絶対また叩く」
「叩かねーよ」
「……じゃあ、ずっと撫でて」
そのまま、自然にキスしてた。
どっちからとか覚えてない。顔が近くて、目が合って、吸い込まれるみたいに唇が重なった。ミキの唇、麦茶の味がした。
「……ん」
柔らかかった。ガキ大将だったあいつの唇が、こんなに柔らかいなんて思わなかった。
離れて、また見つめ合って、またキスした。今度はちょっと長く。ミキが目を閉じて、俺のシャツの裾をきゅって掴んできた。
3回目のキスの時、舌が触れた。
「ん……っ」
ミキの体が熱かった。制服のブラウス越しに触れた肩が震えてた。
「……大丈夫か」
「……大丈夫。……怖くない」
そう言ったけど、手は震えてた。
俺も震えてた。正直。
「あのさ、無理しなくていいから。今日はキスだけでも」
「……やだ」
「え?」
「3年待ったの。……今日じゃなかったら、ウチ、また待てなくなる」
その声が、本気だった。
ミキを押し倒すんじゃなくて、二人で一緒にベッドに横になった。向かい合って、何回もキスしながら、少しずつ服を脱がしていった。
ブラウスのボタンに指をかけた時、ミキが息を止めた。
「……いい?」
「……うん」
一つずつ外していく。鎖骨が見えて、白いブラが見えた。レースとかじゃなくて、シンプルな白。ミキらしいって思った。
「……あんまり見ないでよ」
「見るだろ普通に」
「……ばか」
背中に手を回してホックを外した。手が震えて一発で外せなくて、ミキに「下手くそ」って笑われた。
ブラを取ると、想像してたより全然大きかった。制服だとわかんなかったけど、たぶんDくらい。形が綺麗で、先っちょがうっすらピンクで。
「……おまえ、こんなだったんだ」
「……なに、こんなって。変な言い方しないで」
「いや、綺麗だなって」
ミキが真っ赤になって、腕で胸を隠そうとした。それを優しく退けて、手のひらで触れた。柔らかくて、あったかかった。
「っ……ん」
触ると小さく声が漏れた。ガキ大将だったあいつから、こんな声が出るのかと思うと、頭がおかしくなりそうだった。
親指で先端を擦ると、ミキが唇を噛んで耐えてた。
「我慢しなくていいよ」
「……してない」
「してるだろ。唇、血出るぞ」
「…………っ、だって、恥ずかしいんだもん……」
「恥ずかしいんだもん」って。小学校の時は「恥ずかしい」なんて概念がなかったやつが。
俺はミキの体を丁寧に触っていった。首筋にキスしたらビクってなって、耳の下を舐めたら「ひっ」って声出して。お腹を撫でたら薄っすら腹筋があって、昔バレーやってたの思い出した。
スカートを脱がす時、ミキが自分で手伝ってくれた。下着は上と同じ白。
(こいつ、もしかしてわかってて白で揃えたのか?それとも普段からこうなのか?)
考えても答えは出ないのでやめた。
太ももに触れた。バレーで鍛えてたからか、細いけど筋肉が残ってて、触ると弾力があった。内腿を指で撫でると、ミキの脚がぴくって閉じた。
「……ちょっと待って」
「ごめん、無理?」
「無理じゃない。……心の準備」
5秒くらい深呼吸して、ミキは自分で脚を開いた。
「……いいよ」
下着の上から触ると、もう濡れてた。ミキが顔を横に向けて「見ないで」って言ったけど、耳まで赤かった。
下着をずらして直接触れると、ぬるってした感触と一緒に、ミキの体がびくんと跳ねた。
「ぁ……っ」
上の方の膨らみを指で探って、小さく円を描くように動かす。
「んっ……あ、そこ……っ」
ミキの手が俺の腕を掴んだ。止めてほしいのか、もっとしてほしいのか、わからない力加減だった。
「痛い?」
「痛くない……っ、気持ちいい……のがこわい……」
「気持ちいいのがこわい」って。その正直さが、すごくミキだった。ガキ大将で、強がりで、でも本当は怖がりで。
指を中に入れた時、きつかった。ミキが声を押し殺して俺の肩に顔を埋めた。
「……っ、んぅ……」
「力抜いて」
「抜いてるっ……抜いてるのに……」
ゆっくり動かしてたら、だんだんミキの体から力が抜けてきて、くちゅくちゅと音がし始めた。
「やっ……音、やだ……聞かないで……」
「無理だろそれは」
「ばかっ……あ、あっ……ん……っ」
ミキの声がだんだん甘くなってきて。吐息が荒くなって。俺の肩を掴む手に力が入って。
「なんか……っ、変、変になる……っ」
「いいよ、そのまま」
「あっ……あっ、やだ、やだ……っ、ん、んんっ……!」
ミキの体がぶるって震えて、内腿で俺の手を挟むようにぎゅって閉じた。しばらくそのまま小さく痙攣してて、目を瞑ったまま息を整えてた。
「…………っ、はぁ……」
「……大丈夫?」
「……死ぬかと思った」
「死んでないからセーフ」
「……ばか」
3回目の「ばか」。でも今回のは全然怒ってなくて、照れてるだけだった。
ミキが俺のベルトに手をかけてきた。
「……ウチも、したい」
「え、いいよ無理しなくて」
「無理じゃない。……おまえだけ気持ちよくさせないで」
ズボンを下ろされて、もう完全に硬くなってるのが丸見えになった。ミキが一瞬固まった。
「……でかくない?」
「比較対象ないだろお前」
「……そうだけど」
おそるおそる握られた。ミキの手はちっちゃくて、でも指が長くて、力加減が全然わからないみたいにぎこちなく動いた。
「もうちょい……上の方」
「こ、ここ?」
「そう……あ、そこいい」
ミキが一生懸命やってくれてるのが伝わってきて。下手くそなんだけど、それがたまらなかった。
「……なんか出てきた」
「それ我慢汁だから大丈夫」
「が、我慢汁って……名前ださくない?」
こんな状況で名前にツッコむのマジでミキだなって笑いそうになった。
「ミキ」
「ん?」
「……入れたい」
ミキが手を止めて、俺の目を見た。
「……ウチも、してほしい」
ちなみにゴムは持ってなかった。高1男子の情けなさ。ミキが枕元の引き出しから出してきた。
「え、なんで持ってんの」
「……今日のために買った。コンビニで。死ぬほど恥ずかしかった」
(つまり今日、俺が来ること見越して準備してたってこと?勉強教えてって、それが目的?)
いや考えんのやめよう。今はそれでいい。
ゴムをつけて、ミキの上に覆いかぶさった。
入り口に先端を当てると、ミキが息を呑んだ。
「痛かったら言って。すぐ止める」
「……うん」
ゆっくり入れていった。きつくて、ミキが顔を歪めた。
「っ……痛い」
「止める?」
「止めないで。……もう少し」
涙が一筋流れた。俺はそれを親指で拭って、額にキスした。
「……っ、ん……奥まで……来た?」
「うん。全部入った」
「…………つながってるんだ、ウチたち」
その言い方が、なんか胸にきた。
少しそのまま動かずにいた。ミキの中があったかくて、きゅうって締め付けてきて、正直それだけでいきそうだった。
「動いていい?」
「……うん」
ゆっくり腰を動かし始めた。ミキが最初は痛そうにしてたけど、だんだん表情が変わってきた。
「あ……っ、ん……」
痛みじゃない声。甘い、小さい声。
「……気持ちいい、かも……」
「ほんと?」
「ほんと……もうちょっと……動いて」
少しペースを上げると、ミキが俺の背中に手を回してきた。爪が軽く食い込むのが気持ちよくて。
「あっ……ん、んん……っ、すき……」
「……俺も」
「おまえのこと……っ、ずっと好きだった……」
「知ってる……今は」
「ばか……っ、気づくの、遅いんだよ……あ、あっ……」
ミキの脚が俺の腰に絡みついてきた。さっきまで怖がってた子と同じ人間とは思えないくらい、体が密着してた。
「ミキ……やばい、もう……」
「ん……っ、いいよ……出して……」
「っ……!」
ミキを抱きしめたまま、達した。頭が真っ白になって、ミキの肩口に顔を埋めた。
「…………あったかい」
ゴムの上からでもわかるのかと思ったけど、そういう意味じゃなくて、俺の体温のことだったのかもしれない。
しばらく、そのまま動けなかった。繋がったまま、お互いの心臓がドクドクいってるのが聞こえてた。
抜いてからも、ミキは俺にくっついたままだった。
「…………ねぇ」
「ん」
「ウチら……付き合ってるって認識でいいの?」
「え、ダメなの?」
「ダメじゃない!……確認しただけ」
「付き合ってるよ。つーか付き合ってください」
「……順番おかしくない?」
「今更だろ」
「……うん。今更だね」
ミキが俺の胸に顔を押し付けて、小さく笑った。
「……でも嬉しい」
外が暗くなり始めてた。6月だから7時くらいだったと思う。武蔵溝ノ口の方から電車の音が微かに聞こえてた。
ミキが「ご飯作る」って言ってキッチンに立った。俺のTシャツだけ着て、下は短パン。その後ろ姿を見ながら、こいつと付き合ってるんだなって、じわじわ実感が湧いてきた。
チャーハンを二人で食べた。うまかった。ミキは料理が上手くなってた。
「なぁ」
「なに」
「さっきのゴム。いつ買ったの」
ミキがチャーハンを噴き出しかけた。
「なんでそれ今聞くの!」
「気になったから」
「…………一昨日。溝の口のマツキヨ」
「一昨日ってことは、今日俺が来る前から予定してた?」
「…………」
「数学教えてっていうの、口実だった?」
ミキが箸を置いて、真っ赤な顔で俺を睨んだ。
「数学はマジでわかんないの!……でも……それだけじゃ、なかった」
「…………」
「……今日、告白するって決めてたの。もし振られたら、そのまま友達に戻れるように、テスト勉強って口実作って。……ゴムは、もし万が一うまくいったらって……保険」
一昨日のミキを想像した。マツキヨのレジでゴムを買う高1女子。死ぬほど恥ずかしかったろうな。
「…………おまえ、昔から作戦立てるの好きだったもんな」
「ドッジボールと一緒にしないで」
「いや、作戦勝ちだよ。完敗」
ミキがふっと笑った。
「……ウチの勝ちね」
「お前の勝ち」
食器を洗って、またベッドに戻った。
二回目は、最初よりもずっと自然だった。ミキから「もう一回……したい」って言ってきて、今度は俺が仰向けで、ミキが上に跨った。
「こ、この体勢……ウチが動くの?」
「自分のペースでいいから」
ミキがゆっくり腰を落としてきて。さっきより力が抜けてるのか、すんなり入った。
「あ……っ、ん……さっきより……入る……」
ミキが恐る恐る腰を動かし始めた。最初はぎこちなかったけど、気持ちいいポイントを見つけたのか、だんだん自分から動くようになって。
「あっ……ここ……っ、いい……」
俺はミキの腰を支えながら、下から突き上げた。
「やっ……そんな……下から……っ、あ、あっ……!」
ミキの顔が、さっきの照れとか恥じらいとかが全部溶けたみたいな表情になってた。目がとろんとして、口が半開きで、ガキ大将の面影なんかどこにもなかった。
「ウチ……おかしくなる……っ、こんなの知らない……」
「俺も知らない……ミキの中、やばい……」
二回目はさっきより長く持った。ミキが途中で「あっ、またっ……変になるっ……」って言って体を震わせて。その締め付けで俺も限界がきた。
「出る……っ」
「うん……っ、いいよ……」
ミキが俺の上に倒れ込むようにして、二人で一緒に果てた。
しばらく、重なったまま動けなかった。ミキの心臓がどくどく言ってるのが俺の胸に伝わってきた。
「……ねぇ」
「ん」
「……もう頭、叩かないでね」
「……叩かない。撫でる」
「……うん」
ミキの頭を撫でた。さらさらのストレート。3年前はこんな髪じゃなかった。全部、俺のために変わってくれたんだと思うと、なんか泣きそうになった。
泣かなかったけど。
窓の外から、溝の口の居酒屋通りの賑やかな声が微かに聞こえてた。もう夜の9時過ぎ。俺はミキに「そろそろ帰る」って言おうとして。
「……帰んの?」
「まぁ、親に何か言わないと」
「……友達の家って言えば?」
「それ俺の親に通じると思う?」
「…………」
結局、帰った。ミキが玄関まで送ってくれて、最後にもう一回キスして。
「……明日、昼飯」
「わかってるよ」
「……弁当、二人分作る」
「……マジで?」
「マジで。……だから、ちゃんと来て」
溝の口の駅まで歩きながら、俺はずっとにやけてた。たぶん通行人に見られたら気持ち悪かったと思う。
あれから2年経った。ミキとはまだ付き合ってる。高3の今も昼飯は一緒に食ってるし、ミキの弁当は相変わらずうまい。
たまに頭を叩きそうになって、ギリギリで撫でるに変える。ミキはそれに気づいて、毎回「ばか」って笑う。
あの入学式の日、昔のノリで頭叩いて泣かせたのが始まりだった。最悪の再会だったはずなのに、結果的には最高の再会だった。
3年かけて変わったミキ。俺のために変わったって言うけど、たぶんそれだけじゃなくて、ミキ自身がなりたい自分になったんだと思う。
でもまぁ、きっかけが俺だったんなら、ちょっとだけ誇っていいかな。
以上、幼馴染と付き合うことになった高校生の話でした。読んでくれてありがと。