右腕を骨折した夏休み、毎日メシを届けてくれた同じクラスの一軍女子が俺の部屋に上がり込んできた話

高2の夏の話をさせてください。

俺は千葉の稲毛にある県立高校に通ってた、まあ典型的な陰キャです。身長172、体重58。痩せてるけど別にスタイルがいいわけでもなく、強いて言えば目つきが悪いのが特徴。よく「怒ってる?」って聞かれるけど、別に怒ってない。顔がそうなだけ。

7月の終わり、終業式の3日前に、俺は部活のサッカーで右腕を骨折した。

正確に言うと、部活じゃなくて昼休みのミニゲームなんだけど。3年が引退して暇になった同級生に誘われて、グラウンドでふざけてたら足が絡まって転倒、地面に手をついた瞬間にバキッといった。右の橈骨、きれいにいってますねって整形の先生に言われた。きれいにって言われても嬉しくないんだけど。

ギプスがっちり、全治6週間。利き腕が完全に使えなくなった。

(夏休み、終わったな…)

ゲームもできない、スマホも左手でポチポチ、飯も箸がまともに使えない。親は共働きで昼間いないから、カップ麺のフタすら開けるのに5分かかる生活。マジで詰んでた。

で、そんな状況を知ったのが、同じクラスの宮前っていう女子だった。

宮前は、うちのクラスどころか学年でもトップクラスの人気者で、顔は橋本環奈の目をもうちょい切れ長にした感じ。身長160ぐらい、髪はいつも肩下ぐらいのゆるふわ巻き。胸はたぶんEかFぐらいあるんだけど、本人はあんまり強調しないタイプで、でも体育のときとか隠しきれてなかった。

当然、彼氏がいたことも何回かあるし、インスタのフォロワーは同学年で一番多い。いわゆる一軍女子ってやつ。俺みたいなのとは住む世界が違う。

そんな宮前が、なんで俺の骨折を知ってたかっていうと、同じクラスだからっていうのもあるけど、終業式の日にLINEが来たのがきっかけだった。

(え、宮前から?)

『骨折したって聞いたけど大丈夫?右手でしょ?ごはんとか食べれてる?』

たぶんクラスのグループLINEで誰かが言ったのを見たんだと思う。俺は左手で必死にフリック入力して返した。

『まあなんとか。カップ麺で生きてる』

『えーそれダメじゃん笑 お母さんは?』

『仕事。昼間いない』

『まじか…ちょっと待ってて』

ちょっと待ってて、って何だよと思ったら、30分後にまたLINEが来た。

『明日お昼持ってくね!住所教えて!』

は?

いや、いやいやいや。なんでそうなる。

俺は正直、断ろうと思った。だって宮前だよ?クラスで3回ぐらいしか喋ったことないし、しかも全部「プリント回して」レベルの会話。そんな相手の家にメシ持ってくるって、どういう状況よ。

でも、腹は減ってた。カップ麺3日目で胃がやられてた。

『…まじで?ありがとう。〇〇町の△△マンション301』

送ってから後悔した。部屋、散らかってんだよなぁ。でも右腕使えないから片付けもできない。

翌日、チャイムが鳴ったのは昼の12時ちょうどだった。

ドアを開けると、宮前が白いTシャツにデニムのショートパンツっていうラフな格好で立ってた。左手にスーパーの袋を2つぶら下げて。

「おはよー!……ていうかすごいギプスだね」

「あ、うん…わざわざごめん」

「いいっていいって。てか、入っていい?」

靴を脱いで上がってきた宮前は、キッチンを見て一瞬固まった。

「……カップ麺のゴミすごくない?」

「いや、ほんとすみません」

「謝んなくていいけど笑 栄養やばいでしょこれ」

宮前はそのまま台所に立って、買ってきた食材で冷やし中華を作り始めた。左手しか使えない俺は、ただリビングの椅子に座って見てるしかない。

(なんで宮前が俺の家で料理してんだ…?)

状況がまったく理解できなかった。

「はい、できた!左手で食べれる?」

「あー…箸はきつい」

「あ、フォークにすればよかった。ちょっと待って」

宮前が引き出しからフォークを探し出して渡してくれた。人の家のキッチンを自然に物色する姿がもう完全に身内のそれだった。

冷やし中華、めちゃくちゃ美味かった。カップ麺で死にかけてた胃に沁みた。

「これ…普通にうまいんだけど」

「でしょ?うち料理だけは得意なんだよね」

「だけは、って他は?」

「勉強は壊滅的。数学とか2が来る」

「2て」

「うるさいなー笑」

そんな感じで1時間ぐらい喋って、宮前は帰っていった。

で、驚いたことに、翌日もチャイムが鳴った。

その翌日も。

そのまた翌日も。

気がついたら、宮前は夏休みに入ってからほぼ毎日、俺の家に昼飯を届けに来るようになっていた。

最初の1週間は本当に飯を作って、ちょっと喋って帰る、みたいなパターンだった。でも2週目あたりから滞在時間が伸びてきて、飯のあとにリビングでテレビ見たり、俺のベッドでゴロゴロしながらスマホいじったりするようになった。

「ねー、なんか映画見ない?Netflixのアカウントうちのでログインしていい?」

「どうぞ…」

俺のテレビで宮前のNetflixにログインして、並んでソファに座って映画見る。なんだこの状況。付き合ってもないのに。

(いや、そもそもなんで毎日来るんだ…?)

聞きたかったけど、聞いたら来なくなりそうで聞けなかった。

3週目のある日、事件が起きた。

その日は朝から35度超えの猛暑で、宮前はいつもより薄着で来た。キャミソールにショートパンツ。鎖骨から胸元にかけてうっすら汗が光ってて、俺は目のやり場に困った。

昼飯を食べ終わって、ソファで映画を見てるとき、宮前が急に言った。

「ねえ。ギプスの中ってかゆくならない?」

「めちゃくちゃかゆい。マジで狂いそう」

「やっぱり笑 あとさ、お風呂とかどうしてんの?」

「ゴミ袋巻いて、左手だけで体洗ってる」

「えー…頭は?」

「左手でなんとか。でもちゃんと洗えてるかは微妙」

「…あのさ」

宮前がちょっと目をそらして、頬が赤くなった。

「うちが…洗ってあげよっか?」

「は?」

「いや!頭だけ!頭だけだから!変な意味じゃないから!」

いやどう考えても変な意味だろ。女子が男の家で頭洗うって。

でも俺は「いいの?」と言ってしまった。だって頭ちゃんと洗えてなかったのは事実だし。

(いや、それ理由になってないだろ…)

風呂場で、俺はTシャツだけ脱いで(右腕が使えないから脱ぐのも一苦労で宮前に手伝ってもらった)、シャワーチェアに座った。宮前はキャミソールのまま、後ろに立ってシャワーをかけてきた。

「お湯の温度これぐらい?」

「うん、ちょうどいい」

宮前の指が髪に入ってきた瞬間、全身が泡立った。比喩じゃなくて、本当にゾワッてなった。

シャンプーの泡を立てながら、宮前が頭皮をゆっくり揉むように洗ってくれる。爪は立てずに、指の腹で丁寧に。美容院よりうまい。

「きもちいい?」

「…うん」

声が掠れた。やばかった。

宮前の指が耳の後ろを通るたびに、背筋に電流が走る。水音と、宮前の息遣いだけが浴室に反響してて、距離が近すぎて、彼女のキャミソールが水しぶきで少し濡れてるのが視界の端に映って。

(これは…ダメだ)

下半身が正直に反応してた。ハーフパンツ越しにバレてないことを祈るしかなかった。

「はい、流すよー」

シャワーで泡を流してもらって、タオルで拭いてもらって。宮前は「じゃあうちもちょっと拭くね」と言って、濡れたキャミソールの肩口をタオルで押さえてた。透けて下着のラインが見えてたけど、俺は必死に壁を見てた。

この日を境に、なんかおかしくなった。

俺のほうが、宮前を意識するようになってしまった。

それまでは「ありがたい人」ぐらいの認識だったのが、宮前が来る30分前からソワソワして、帰ったあとリビングに残る宮前のシャンプーの匂いを嗅いでしまう、みたいな。完全にヤバいやつ。

でも冷静に考えてほしい。俺は陰キャの骨折野郎で、宮前はクラスの一軍女子だ。告白とか、そういう発想自体がおこがましい。宮前は単に面倒見がいいだけだ。たぶん野良猫にエサやるのと同じ感覚。

(そうだよな。俺は野良猫ポジだよな…)

自分を納得させようとしてた。

8月の2週目、お盆の前日。宮前は珍しく手ぶらで来た。

「今日さ、買い物行ってから作ろうと思って。一緒に来ない?」

「え、外?」

そういえば骨折してからほとんど外に出てなかった。病院以外で外出するの2週間ぶりぐらい。

稲毛のイオンまで歩いて15分。宮前と並んで歩くのは初めてで、なんか不思議な感じだった。

「あ、そうだ。カレーにしない?うちカレーめっちゃ美味く作れるよ」

「カレーはフォークでいけるから助かる」

「でしょ?考えてるんだよこれでも笑」

スーパーで宮前が食材を選んでる間、俺はカートを左手で押す係。端から見たら完全にカップルだよなと思ったけど、口には出さなかった。

レジで会計しようとしたら、宮前が「いいからいいから」と払ってしまった。

「いや、せめて食材費は出すって」

「骨折してる人からお金取んないよ。治ったら奢ってくれればいいから」

「…わかった。覚えとく」

帰り道、西日が強くて宮前が目を細めてた。逆光で睫毛がキラキラしてて、(あ、やべえ好きだわこれ)って思った。

思ってしまった。

家に帰って、宮前がカレーを作ってる間、俺はリビングで打ちのめされてた。

好きになってどうする。どうにもならないだろ。こんなの夏休みが終わったらおしまいだ。ギプスが取れたら宮前が来る理由がなくなる。そしたらまた「プリント回して」の関係に戻るだけ。

「できたよー!」

宮前のカレー、びっくりするぐらい美味かった。スパイスから作るタイプで、ちゃんと辛くて、でも甘みもあって。

「これ店出せるレベルだろ…」

「えへへ、お父さんに仕込まれたの。お父さんカレーだけは異常にこだわるから」

食べ終わって、皿を洗ってくれてる宮前の背中を見ながら、俺は腹をくくった。

今日、聞こう。なんで毎日来てくれるのか。

「なあ、宮前」

「ん?」

「なんで俺のとこ来てくれてんの。毎日」

水を止めて、宮前が振り返った。

「…なんでだと思う?」

「わかんないから聞いてる」

「…」

宮前がエプロンで手を拭きながら、俺の正面に来て座った。

「あのさ、去年の文化祭のとき覚えてる?うちがステージの裏でひとりで泣いてたの」

覚えてた。クラスの出し物の劇で、宮前が主役をやったんだけど、セリフを飛ばしてしまって。終わったあと裏方の倉庫みたいなとこで泣いてるのを、片付けしてた俺が見つけた。

「覚えてる」

「あのとき、なんて言ったか覚えてる?」

「…いや、なんて言ったっけ」

「『セリフ飛んだの気づいた人いないと思うよ。俺ずっと見てたけど普通に上手かった』って」

あー、言ったかも。でもあれ、本当のことだし。実際、セリフ飛んだって言われなきゃ分かんないぐらいだったし。

「あれがすごい嬉しくて。クラスのみんなは『大丈夫だよー』とか『気にしなくていいよー』とか言ってくれたけど、ちゃんと見てくれてて、具体的に言ってくれたの、あんただけだったの」

「…」

「それからずっと気になってた。でもあんた全然うちに興味なさそうだし、話しかけるタイミングもなくて。で、骨折したって聞いて…チャンスだと思っちゃった」

(チャンス…?)

「最低だよね。人の怪我をチャンスとか」

「いや、最低なのは…」

最低なのは、こっちも同じだ。毎日飯作りに来てくれる女の子に対して、恩義じゃなくて下心を抱いてる俺のほうが。

「宮前、俺も…お前のこと好きだと思う」

「…え?」

「たぶんっていうか、確実に。頭洗ってもらったあたりからおかしくなった」

「頭洗った…あのとき?」

「うん」

「…っ」

宮前が両手で顔を覆った。耳まで真っ赤になってた。

「うちもあのとき…やばかった。自分から言い出したくせに、途中からずっと心臓うるさくて…」

「…」

「ねえ」

顔を上げた宮前の目が潤んでた。

「キス…していい?」

俺は黙って頷いた。

宮前が俺の前に膝立ちで来て、左手で俺の頬に触れた。顔が近づいてきて、唇が触れた。

柔らかかった。グロスの甘い匂いがした。

最初は触れるだけだったのが、宮前が少し口を開いて、舌先がちょんと入ってきた。

(あ、これ…もう戻れないやつだ)

右腕が使えないから、左手だけで宮前の腰を引き寄せた。不自由な左腕一本で抱くのがもどかしくて、でもそのもどかしさが余計に焦燥を煽った。

「ん…っ」

キスが深くなる。宮前の舌が絡んできて、俺も応えた。呼吸が荒くなって、宮前が俺の膝の上にまたがってきた。

密着した途端、宮前の胸の柔らかさが腹に押し付けられて、頭の中がぐちゃぐちゃになった。

「…部屋、行こ」

宮前に手を引かれて、自分の部屋に入った。ベッドに座らされて、宮前が目の前に立った。

「あんたさ、右手使えないじゃん」

「…まあ」

「だから…うちがやるから。全部」

宮前がキャミソールの裾を掴んで、するっと脱いだ。

白いブラが目の前にあった。思ってたよりでかい。いや思ってた通りでかい。

「…見すぎ」

「いや…すごいなと思って」

「何がすごいの笑」

「いやだって…Eはあるだろ」

「…F」

「…」

宮前が後ろに手を回してブラを外した。溢れるように胸が出てきて、重力でちょっと揺れた。形がきれいで、乳首はうっすらピンクだった。

(これ夢だろ。カップ麺生活からの落差がすごすぎる)

宮前が俺のTシャツも脱がそうとしてくれたけど、ギプスが引っかかって苦戦した。

「あー…ちょっと待って、こっちから…よいしょ」

「ごめん、不自由で」

「いーの。こういうの全部やってあげたかったんだから」

その台詞を聞いた瞬間、なんか胸の奥がぎゅってなった。

宮前が俺の隣に座って、左手を取って自分の胸に導いた。

「触って…いいよ」

左手で、宮前の右胸に触れた。柔らかいなんてもんじゃなかった。指が沈み込んで、持ち上げると重みがあって、手のひら全体に体温が伝わってくる。

「ん…っ」

乳首を親指で転がすと、宮前が小さく声を漏らした。

「あんた…左手でもうまいじゃん…」

「利き手じゃないほうが逆にゆっくりになるから…たぶん」

「なにそれ笑…あっ…」

笑いながら感じてる宮前の顔が、いつもの余裕のある一軍女子じゃなくて、ただの女の子の顔だった。

宮前が俺のハーフパンツに手を伸ばしてきた。ゴムをずらして中に手を入れてくる。

「…もう硬くなってんじゃん」

「そりゃそうだろ…」

「ふふ…」

ハーフパンツとパンツをまとめて下ろされて、宮前がそれを握った。細くて柔らかい指が竿を包む感触に、腰が勝手に跳ねた。

「こうすると…気持ちいい?」

「っ…うん…」

ゆっくり上下に動かされながら、宮前がこっちの反応を見てるのが分かった。先端を親指でくるくる撫でられたとき、声が出た。

「あ…そこ…やばい」

「ここ?」

「うん…っ」

宮前が身体をかがめて、先端に唇をつけた。

「え、ちょ…」

「んん…」

口に含まれた瞬間、頭が真っ白になった。温かくて、舌が裏筋を這うように動いて、時折チュッと吸われる。

「宮前…っ、やばい…気持ちよすぎる…」

(なんで…なんでこんなことになってんだ…昨日までカップ麺食ってた俺が…)

状況が信じられなくて、でも快感は確実に積み上がってきて、左手でシーツを握りしめた。右手が使えたら宮前の頭を撫でたかったのに、それができないのがもどかしかった。

「じゅる…ん…出していいよ…?」

「っ…ごめ…出る…!」

宮前の口の中に出してしまった。申し訳なさと快感が同時に来て、変な声が出た。

「…ん」

宮前がちゃんと飲み込んで、口元を手の甲で拭いた。

「ごめん…口に…」

「いいよ。…うちがしたかったんだから」

その言い方が、やけにまっすぐで、俺はまた胸が締まった。

「…宮前も。俺に何かさせて」

「…左手しか使えないのに?」

「左手で十分だろ。たぶん」

宮前がショートパンツを脱いだ。薄いピンクのショーツが見えて、そこをずらして指を滑らせると、もう濡れてた。

「あ…っ」

「ここ?」

「もうちょい…上…」

指先をクリに当てると、宮前の太ももがぴくっと跳ねた。

「そこ…っ、いい…」

ゆっくり円を描くように触ると、宮前が俺の左肩に額をつけてきた。吐息が鎖骨にかかって熱い。

「ん…あ…なんで左手なのにこんな…」

「利き手じゃないほうがちょうどいい説、あながち間違ってないかも」

「もう…笑かさないで…っ、あ…」

中指をゆっくり入れてみた。中は熱くて、きゅっと指を締め付けてきた。

「あっ……指…っ」

「痛くない?」

「…ううん…もっと奥…いい…?」

二本に増やして、中で曲げながらゆっくり出し入れする。宮前の声がだんだん大きくなって、腰を小さく前後に動かし始めた。

「やば…やばいかも…っ」

「いっていいよ」

「あっ…あっ、だめ…っ!」

宮前の体がびくんと震えて、俺の指がきゅうっと締め付けられた。宮前が俺にしがみついて、しばらく荒い息を繰り返してた。

「…はぁ…はぁ…」

「大丈夫?」

「…大丈夫じゃない。左手だけでイかされた。意味わかんない」

「怪我の功名ってやつかな」

「うるさい笑」

宮前が俺の顔を見て、少し真剣な目になった。

「ねえ…ゴムある?」

「…ある」

引き出しから出した。一応持ってたけど使う予定なんてなかった。左手で開封しようとしたらうまくいかなくて、宮前が「貸して」と取り上げて開けてくれた。

「つけるのもうちがやるね」

宮前の手で装着されるのは妙に照れくさかった。

「…入れるよ」

宮前が俺の上にまたがった。腰を下ろしていくのに合わせて、先端が宮前の中に入っていく。

「っ…ん…」

「…大丈夫か」

「うん…ちょっとだけ待って…」

ゆっくり、全部入った。宮前の中がじわっと俺を包み込む感覚。熱くて、柔らかくて、微妙に脈打ってるような感じがした。

「…動くね」

宮前が腰を前後にゆっくり揺らし始めた。目を閉じて、眉をきゅっと寄せてる顔が色っぽくて、でもどこか必死で。

「宮前…」

「…あ…っ、ちょっ…思ったより…」

「きつかったら無理すんな」

「違うの…気持ちよくて…」

宮前が両手を俺の肩に置いて、腰の動きが大きくなった。俺のFカップが目の前で揺れてて、左手でそれを掴んだら宮前が甘い声を出した。

「あ…胸…触んないでよぉ…感じちゃう…」

「触んなって言われても…目の前にあったら触るだろ」

「ばか…っ、あ…んっ…!」

俺は左手で宮前の腰を支えながら、下から突き上げた。右手が使えないぶん、体幹で動くしかなくて、その分一回一回が深くなった。

「あっ…そこ…すごい…っ」

「宮前…俺もう…」

「うん…いいよ…きて…」

宮前が俺の首に腕を回して密着してきた。Fカップが胸板に押し潰されて、宮前の心臓の音が聞こえた。速かった。俺と同じぐらい。

「っ…出る…!」

「ん…っ!」

中で出した瞬間、宮前の中がぎゅっと締まって、そのまま二人で動きが止まった。

しばらく抱き合ったまま、荒い呼吸を繰り返した。宮前の背中に汗が滲んでて、左手でそれを撫でた。

「…ねえ」

「ん」

「ギプス取れても…来ていい?」

「…当たり前だろ」

「…よかった」

宮前の声がちょっと震えてた。

(こいつ、ずっとそれが不安だったのか)

俺は右手が使えないのがこんなにもどかしいと思ったことはなかった。両腕で抱きしめてやりたかった。

「宮前」

「ん?」

「ギプス取れたら、両手で抱きしめるから」

「…っ、なにそれ…ずるい…」

顔を上げた宮前が泣き笑いみたいな顔してて、またキスした。

そのあとも2回した。2回目は宮前が「うちの番」って言って自分から腰振ってきて、3回目は横向きで密着しながらゆっくりやった。右腕のギプスが邪魔で体勢の自由が効かないぶん、宮前がずっとリードしてくれて、それが妙にくすぐったくて、嬉しかった。

終わったあと、裸のまま並んで天井を見てた。エアコンの風が汗ばんだ肌に当たって冷たかった。

「ねえ、付き合おうよ、うちたち」

「順番逆じゃない?」

「こまかいことはいいの」

「…じゃあ、付き合ってください」

「はい!よろしくお願いします!」

宮前が満面の笑みでピースした。さっきまでエロい声出してたやつと同一人物とは思えないテンションだった。

9月になってギプスが外れた日、宮前は約束通り俺の家に来た。

ドアを開けた瞬間、俺は両腕を広げた。

「約束」

「…っ!」

宮前が飛び込んできて、初めて両腕で抱きしめた。

右手の感覚がまだちょっと鈍かったけど、宮前の背中の温かさはちゃんと感じた。

「…両手のほうが、やっぱいいね」

「だろ」

あの夏、利き腕を失ったおかげで、俺は手に入れたものがある。

骨折に感謝する日が来るとは思わなかった。マジで。


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