どうも。28歳、都内でシステムエンジニアをやってる者です。
身長172cm、体重は聞かないでください。顔面偏差値は48くらい。つまりフツメン以下。大学時代はサークルにも入らず、バイトと講義の往復だけで4年間を消費した、典型的な非リア充です。
そんな俺にも、一応、彼女がいた時期があります。大学3年のとき。相手は1つ上の先輩で、名前は伏せますけど、ここでは「ミキさん」と呼ばせてください。
ミキさんは文学部の4年で、図書館で偶然隣の席になったのがきっかけで話すようになりました。黒髪のボブで、いつも同じ紺色のカーディガンを着てて、化粧もほぼしてなくて。正直、第一印象は「地味な人だな」でした。失礼な話ですけど。
でも話すと面白いんですよ。村上春樹の話で盛り上がったと思ったら、急に競馬の話になって。
「先輩、なんで文学部なのに競馬詳しいんですか」
「お父さんが毎週買ってるから。去年の有馬記念、イクイノックスの単勝で3万勝ったよ」
「えぇ…」
そんな感じで、週3くらいで図書館で会うようになって、気づいたら付き合ってました。告白したのは俺からです。ミキさんは「え、私でいいの?」って3回くらい聞き返してきた。(いや、俺のほうが「俺でいいんですか?」って聞きたいんだけど)
付き合ってる間、ミキさんはずっと地味でした。デートも下北沢の古着屋とか、高円寺の古本屋とか。たまに吉祥寺のハモニカ横丁で安い焼き鳥食べて。でも、それが心地よかった。
ただ、ミキさんが就活を始めてから、会う頻度が減って。俺も3年の後期でゼミが忙しくなって。気づいたら連絡が途絶えて、自然消滅。最後のLINEは俺が送った「最近どうですか?」で、既読スルーされて終わり。
(あれ、俺フラれたのか…?いや、自然消滅だから、フラれたとも言えないのか…?)
まあ、そんな微妙な終わり方をした元カノの話です。
それから5年。俺は28歳になってました。仕事はそこそこ。年収は同世代の平均よりちょい上くらい。でも彼女は2年いない。マッチングアプリは写真撮るのが面倒で3日でやめた。
で、事件が起きたのは、2026年の3月。金曜日の夜。
会社の同期に誘われて、渋谷のセンター街から少し入ったところにあるバーに行ったんです。「Bar Luce」っていう、カウンター10席くらいの小さい店。同期が常連で、ウイスキーが安くてうまいって言うから。
俺はハイボールを2杯飲んで、3杯目を頼もうとしたときに、隣に女の人が座りました。
最初は気にしなかったんですけど、その人がバーテンダーに注文してる声が、どこかで聞いたことがあるような。
「ジントニックをひとつ。ライム多めで」
(…え?)
横を見ました。
茶色に染めたセミロングの髪。しっかりメイクされた顔。白いブラウスの胸元がちょっと開いてて、そこから見える鎖骨のラインが綺麗で。
一瞬、別人かと思いました。でも、目元が。あの、少しタレ目気味の、柔らかい目元。川口春奈に少し似てるって、付き合ってた頃に俺が言ったら「絶対違う」って否定してた、あの目。
「…ミキさん?」
女の人がこっちを向きました。
「……え。嘘。……タカ?」
ミキさんでした。
いや、ミキさんだった人、というべきか。5年前の面影はあるけど、完全にアップデートされてる。芸能人で言うと、川口春奈をもう少し大人っぽくした感じ。身長は163cmくらいだったはずだけど、ヒールを履いてるから168くらいに見えて。あと胸。大学のときはカーディガンに隠れてわからなかったけど、ブラウス越しでもはっきりわかるくらい。たぶんEかFくらいある。
(…え、こんな人と俺、付き合ってたの?)
「やだ、ほんとにタカ?こんなとこで会う?」
「いや、こっちのセリフですよ。ミキさん、なんか…変わりましたね」
「ふふ、そう?社会人になるとね、いろいろ覚えるから」
同期は空気を読んで「俺、先帰るわ」と消えていきました。いいやつです。
そこから2時間くらい、ひたすら話しました。ミキさんは大学卒業後、出版社に入って、今は美容系の雑誌の編集をやってるらしい。
「仕事柄、コスメとかファッションとか詳しくなっちゃって。大学のときの私、見れたもんじゃなかったでしょ」
「いや、あのときはあのときで良かったですよ」
「嘘。タカ、一回も可愛いって言ってくれなかったじゃん」
(…マジか。言ってなかったのか、俺。)
これは刺さりました。確かに、思い返してみると、ミキさんの容姿を褒めた記憶がない。「話が面白い」とか「一緒にいて楽だ」とかは言ったけど。
「すみません…今は普通に綺麗だと思います」
「今"は"って何。今"は"って」
「いや、あの、前もですけど。今はさらに、という意味で…」
「ふーん?まあいいけど」
ミキさんはジントニックのグラスをくるくる回しながら笑ってました。
4杯目くらいで、話が核心に近づいてきました。
「あの…最後のLINE、既読スルーしたの、なんでだったんですか」
ミキさんの表情が少し変わりました。
「…あれね。正直に言うと、返し方がわからなかった」
「…?」
「就活で落ちまくってて、精神的にボロボロだったの。タカに弱いとこ見せたくなくて。でも平気なふりして返信するのも嫌で」
「…そうだったんですか」
「で、そうしてるうちに時間が経っちゃって。もう今さら返せないなって。……ごめんね」
5年間のモヤモヤが、急に溶けていくような感覚がありました。怒ってたわけじゃないけど、ずっと引っかかってた。「俺、何か悪いことしたのかな」って。
「いや、俺も追いLINEすりゃよかったんですけど、チキンなんで」
「あはは、タカらしい」
「ミキさんは…今、彼氏とかいるんですか」
(なんで聞いた?なんで今それ聞いた?)
「…いないよ。去年別れた。3年付き合ってた人と」
「あ、そうなんですか」
「タカは?」
「2年いないです」
「…ぷっ。お互い寂しいね」
バーを出たのは23時過ぎでした。渋谷の道玄坂を並んで歩いてて、3月だからまだ夜風が冷たくて。
「ねえ、もうちょっと飲みたいんだけど、どこか行かない?」
「この辺だと…コンビニで買ってどっかで飲むくらいしか」
「じゃあ、タカの家。近いんでしょ?三軒茶屋だっけ」
「え、よく覚えてますね」
「そりゃ覚えてるよ。何回か行ったし」
大学のとき、ミキさんは2回だけ俺の部屋に来たことがあります。そのときは何もなかった。映画観てお菓子食べて、終電で帰った。
(でも今日は…いや、考えすぎか)
田園都市線で三軒茶屋まで。コンビニで缶チューハイとつまみを買って、俺の1Kのマンションに着いたのが24時くらい。
「わ、前より広くなってない?」
「引っ越したんで。といっても8畳ですけど」
「大学のときの6畳よりマシだね。あの部屋、本棚で3畳くらい潰れてたし」
ミキさんはコートを脱いで、ベッドの端に座りました。ブラウスの胸元が少し開いて、谷間がちらっと見えて。(見てない。見てない。)
缶チューハイを開けて、乾杯して。大学時代の思い出話をしながら飲んでたんですけど、だんだんミキさんの距離が近くなってきて。
「ねえタカ、大学のとき、私のこと抱きたいと思ったことある?」
酒のせいなのか、ミキさんの目がちょっと据わってました。
「…え、急になんですか」
「だって、2回も家来たのに何もしなかったじゃん。あれ、私のこと女として見てなかったのかなって、ずっと気になってて」
(いやいやいや。あのときは手を出す勇気がなかっただけで。ミキさんが嫌がると思って。)
「そんなわけないですよ。タイミングがわからなかっただけで」
「ほんとに?」
「ほんとです」
「…じゃあ、今は?」
ミキさんが俺の腕に手を置きました。指が細くて、爪がちゃんと手入れされてて。大学のときは深爪してたのに。
「…ミキさん」
「5年前に出来なかったこと、今やってもいいんじゃない?」
心臓がバクバクしてました。28年生きてきて、こんな展開は初めてです。いや、大学のとき来るべきだった展開が、5年遅れで来てるだけなのかもしれない。
俺はミキさんの頬に手を当てました。ミキさんが目を閉じて。
キスしました。
5年ぶりの。いや、付き合ってたときもキスは数えるほどしかしてなくて。そのときは緊張でガチガチだったけど、今日は酒が入ってるからか、自然と唇が重なった。
「ん…」
ミキさんの唇が柔らかくて、ジントニックの味が少しして。
一回離れて、また吸い寄せられるように。今度はミキさんから舌を入れてきて。
(まって。この人、こんなキスするような人だったっけ?)
大学のときの、あの奥手で地味なミキさんとは完全に別人でした。舌の絡め方が上手いというか、こっちがリードされてるというか。
「…ん。タカ、キス下手なの変わってないね」
「うるさいですよ…」
「ふふ、でもそこが好きだった」
ミキさんがブラウスのボタンを上から外し始めました。
「…電気、消して」
部屋の照明を消して、テーブルのスタンドライトだけにしました。オレンジっぽい薄明かりに、ミキさんの白い肌が浮かび上がって。
ブラウスを脱いだミキさんの体を見て、息が止まりました。
黒いレースのブラから溢れそうな胸。ウエストは細いのに、胸と腰のラインがはっきりしてて。こんな体だったのかと。カーディガンの下にこれが隠れてたのかと。
「…すげえ」
「何その感想。もうちょっと気の利いたこと言えないの?」
「いや…綺麗です。マジで」
「…ありがと。やっと言ってくれたね」
ミキさんの目が潤んでいるように見えました。酒のせいかもしれないけど。
ブラを外すと、Fカップの胸が零れ落ちるように現れました。形がいい。重力に負けてない。28歳とは思えない。
「そんなに見ないでよ…恥ずかしい」
「あ、すみません」
「…見ていいけど。触ってもいいけど」
手を伸ばして、胸に触れました。指が沈み込むくらい柔らかくて。信じられないくらい柔らかくて。
「ん…」
乳首を親指で撫でると、小さく声が漏れて。
「…もう片方も」
両手で包むように胸を揉みながら、鎖骨にキスしました。首筋に唇を這わせると、ミキさんが小さく震えて。
「あ…そこ弱い…」
「ここ?」
「んっ…うん…」
(…なんだこれ。夢か?5年前に手を出せなかった相手と、こんなことになるなんて。)
正直、頭がおかしくなりそうでした。現実感がない。でも手の中の胸の柔らかさとか、ミキさんの体温とか、吐息がかかる感覚とか、全部リアルで。
ミキさんがベルトに手をかけてきました。
「…脱がせていい?」
ズボンを脱がされて、下着越しでも分かるくらい勃起してるのが恥ずかしくて。
「…大きくなってる」
「当たり前ですよ…こんな状況で」
「大学のとき、こうしたかった。タカが何もしてこないから、私からするべきだったのかなって、ずっと後悔してたの」
(それ、俺も同じこと思ってました…)
ミキさんが下着を下ろして、手で握ってきました。
冷たい指先が触れた瞬間、ビクッとなって。
「ふふ、びっくりした?」
ゆっくりと上下に動かしながら、ミキさんが俺の首筋にキスしてきて。
「ミキさん…やば…」
「気持ちいい?」
「…はい」
「敬語やめなよ。もう先輩後輩じゃないでしょ」
「…気持ちいい」
「うん、いい子」
その言い方にぞくっときました。大学のときはこんな余裕なかったのに。3年付き合ってた元彼に仕込まれたんだろうなって思ったら、正直ちょっとムカつきました。でもそれ以上に興奮してる自分がいて、自分が情けないなと。
「…俺にもさせて」
ミキさんをベッドに寝かせて、スカートを脱がせました。黒いショーツを下ろすと、手入れされた柔らかい肌が現れて。
太ももの内側に唇を当てると、ミキさんが足をぴくっとさせて。
「あ…そこ、くすぐったい…」
「くすぐったい?ここは?」
指で触れると、すでに濡れてました。
「…っ…ん」
クリを親指で円を描くように撫でると、ミキさんの腰がゆっくり動き始めて。
「…タカ…もっと…」
「ここ?」
「うん…あ…上の方…」
声を頼りに場所を探りながら、指を動かしました。正直、経験が多いわけじゃないから手探りです。でもミキさんの反応が正直すぎて、どこが気持ちいいかすぐわかった。
「あっ…んん…そこ…いい…」
指を一本入れると、中がきゅっと締まる感じがして。
「はぁ…っ、タカ…もう…入れて…」
「え、もう?」
「5年も待ったんだよ…これ以上焦らさないで…」
5年も待った、という言葉に、胸の奥がぎゅっとなりました。
(こいつ、ずるいな。そんなこと言われたら断れないだろ。)
ゴムは…と思って引き出しを開けたら、期限が1年前に切れてるのしかなくて。
「…ゴム、期限切れてる」
「…2年彼女いないって、マジだったんだ」
「マジですよ…コンビニ行ってきます」
立ち上がろうとしたら、ミキさんに腕を掴まれました。
「…いい。ピル飲んでるから」
「え、でも…」
「大丈夫だから。…お願い、行かないで。この流れ止めたくない」
ミキさんの目が真剣で。(いいのか、これ。いいのか本当に。)
でも、体はもう止まらなかった。
ミキさんの脚の間に体を入れて、先端を当てました。
「…ん」
ゆっくり押し込んでいくと、ミキさんの口から長い吐息が漏れて。
「あぁ…っ」
中が熱くて、きつくて。全部入れた瞬間に、頭の中が真っ白になりました。
「…やば」
「…動いて。ゆっくり」
腰を動かすと、ぬるぬるした感触と一緒に、信じられないくらいの快感が走って。
「あっ…ん…タカ…」
ミキさんの手が俺の背中に回って、爪が軽く食い込む。
「ミキさん…」
「名前。呼んで。ミキって」
「…ミキ」
「ん…もう一回」
「ミキ…ミキ」
名前を呼ぶたびに、ミキさんの中がきゅっと締まって。(これ、たまらん。)
「はぁっ…あ…奥…当たる…」
ペースを上げると、ミキさんの声が大きくなって。壁薄いんだけどなうちの部屋。でもそんなこと気にしてられないくらい、ミキさんの反応が良くて。
「あっ…あんっ…タカ、もっと…」
「…もう…やばい…出そう…」
「うん…いいよ…中に出して…」
「ほんとに?」
「ほんとに。…お願い」
ミキさんが足を俺の腰に絡めてきて。もう引き返せないと悟った瞬間、奥に押し込んで。
「っ…ミキ…!」
頭の芯が痺れるような快感と一緒に、中に全部出しました。
「あぁっ…ん…熱い…」
「はぁ…はぁ…」
抜いた瞬間、どっと脱力感が来て。ミキさんの上に崩れ落ちそうになって、なんとか横に転がりました。
天井を見上げながら、しばらく二人とも黙ってて。
「…ねえ」
「ん」
「大学のとき、こうしてたらどうなってたかな」
「…さあ。でも多分、こんな上手くはいかなかったと思う」
「なんで?」
「俺、あのとき本当にチキンだったし。ミキさん…ミキも、今みたいに素直じゃなかったし」
「…そうかも」
ミキさんが横を向いて、俺の胸に頭を乗せてきました。
「5年か…長かったな」
「うん」
少し間があって。
「…ねえ、もう1回したい」
「え、もう?」
「5年分取り返さないと」
ミキが俺の上にまたがってきました。さっきとは違う、ミキが主導権を持つ形。スタンドライトの光がミキの体のラインを照らしてて、下から見上げる形になったんですけど。
(これ、反則だろ…)
Fカップの胸が揺れて、ミキの表情が色っぽくて。大学のときの地味な先輩の面影はどこにもなくて。でも、タレ目だけはあの頃のままで。
ミキがゆっくり腰を下ろしてきて、また中に入っていく感覚。
「ん…あ…」
「…ミキ、これ…」
「黙ってて。私がやるから」
ミキが腰を前後に動かし始めて。さっきとは違って、ミキのペースで。ゆっくりだけど、奥まで当たるように角度を調整してて。
(上手いんだよな…経験の差がモロに出てる…)
悔しいけど、元彼に感謝すべきなのかもしれない。いや、感謝はしない。
「あっ…ここ…気持ちいい…」
ミキが自分で気持ちいいポイントを見つけて動くのを、下から眺めながら。胸に手を伸ばして揉むと、ミキの動きが少し乱れて。
「んっ…胸…触られると…集中できない…」
「そのほうがいいだろ」
「…ばか」
ペースが上がって、ベッドが軋む音がして。
「あっ…あんっ…タカ…私…」
「俺も…もう」
「一緒に…いこ…?」
ミキが俺の手を取って、指を絡めてきて。そのまま腰を押し付けるように深く沈み込んで。
「っ…!」
「あぁっ…!」
2回目は、1回目より長く、じわじわと広がるような快感で。ミキの中が脈打つように締まる感覚と、自分が出してる感覚が混ざって、頭がぼうっとしました。
ミキがそのまま俺の上に倒れ込んできて。二人とも荒い息をしながら、しばらく動けなくて。
「…はぁ。これ、もう朝まで寝ちゃいそう」
時計を見たら3時過ぎでした。
「…シャワー浴びる?」
「うん…でも、もうちょっとこのまま」
ミキが俺の胸に顔を埋めたまま動かなくて。髪からシャンプーのいい匂いがして。
「…ミキ」
「ん?」
「あのさ。5年前に言えなかったこと、今言っていい?」
「…なに?」
「俺、ミキのこと好きだった。ちゃんと。大学のときも」
「…」
「でも言えなくて。態度にも出せなくて。だから可愛いとも言えなかったし、手も出せなかった。…情けないんだけど」
ミキが顔を上げて、俺を見て。目が赤くなってて。
「…5年遅いよ、ばか」
「はい。すみません」
「…でも、嬉しい」
ミキが泣き笑いみたいな顔で、キスしてきて。
朝方、シャワーを浴びて、俺のTシャツを貸して、二人でベッドに入りました。ミキが俺の腕にしがみついて、すぐに寝息を立て始めて。
俺はしばらく眠れなかった。
(これ、朝起きたらどうなるんだろう。酒の勢いでした、って言われたら。「なかったことにして」って言われたら。)
でも、ミキの寝顔を見てたら、大学のときの図書館を思い出しました。ミキが本読みながらうたた寝してて、俺がそれをぼーっと眺めてた、あの時間。
あのときと同じ顔してる。メイクが落ちて、ブランドの服も脱いで、裸にTシャツ一枚のミキは、大学のときのミキだった。
朝10時くらいに目が覚めたら、ミキはキッチンに立ってました。
「あ、起きた?卵とベーコンしかなかったから、目玉焼きでいい?」
「…いいけど、いつの間に」
「30分くらい前に起きた。タカのいびきで」
「…すみません」
「大学のときは、いびきかいてなかったのにね。おじさんになったね」
「28でおじさん言わないでください」
目玉焼きとインスタントの味噌汁とトーストという、殺風景な朝ごはんを二人で食べながら。
「ねえ、タカ」
「ん」
「昨日のこと、後悔してない?」
「してない。ミキは?」
「私も。…というか」
ミキが目玉焼きをフォークでつつきながら。
「今度はちゃんと、付き合ってくれない?自然消滅なしで」
(マジか。マジで言ってんのか。)
「…こっちこそ、お願いします」
「敬語」
「…お願い。ミキ」
「うん」
ミキが笑って。あの、大学のときと同じ、少しタレ目の、柔らかい笑顔で。
その日から、俺たちは5年越しの付き合いを始めました。相変わらずミキは綺麗で、相変わらず俺はフツメン以下で。釣り合ってないとは思うけど、ミキは「タカは昔から変わってない。そこがいい」と言ってくれるので、まあいいかなと。
大学のとき、手を伸ばせなかった自分を、ずっと情けないと思ってた。でも5年間お互い別々の場所で色々あって、だからこそ昨日みたいな夜があったのかもしれない。
…いや、それは都合よすぎるか。単に俺がチキンだっただけです。はい。
でもまあ、結果オーライってことで。
読んでくれてありがとうございます。