これ、書くかどうかマジで迷ったんだけど。
もう5年も前の話だし、時効ってことで書かせてください。当時、大学3年の冬の話です。
俺、新島隼人っていいます。身長172、体重は当時62キロぐらい。顔面偏差値は自分で言うのもアレだけど、48ぐらい。つまりフツメン以下。高校時代は帰宅部で、休み時間はだいたい教室の隅でスマホいじってるタイプでした。友達がいなかったわけじゃないけど、まあ、目立たない男だったと思う。
で、そんな俺にも高校時代にずっと好きだった子がいて。
名前は伏せるけど、ここでは「カホ」ってことにしておく。学年で一番かわいいって言われてた子で、橋本環奈をもう少しだけ大人っぽくした感じ。身長158ぐらいで、制服の上からでもわかるぐらいスタイルがよかった。たぶんEはあったと思う。バスケ部のマネージャーをやってて、体育祭のリレーでアンカーを走った時なんか、男子の大半がスマホ構えてた。そういうレベルの子。
で、俺はそのカホと3年間同じクラスだったくせに、一度もまともに話したことがなかった。
いや、一回だけある。文化祭の準備で段ボールを運んでる時に「それ重くない? 手伝おうか?」って声かけられて、「あ、大丈夫す」って返した。それだけ。3年間で交わした言葉がそれだけ。今思い出しても情けなさすぎて笑える。
告白? するわけないじゃん。カホに告白して撃沈した男子は俺が知ってるだけで7人いた。サッカー部のエースとか、生徒会長とか、隣のクラスのイケメンとか。全員玉砕。「好きな人がいるから」が毎回の断り文句だったらしい。じゃあその好きな人って誰だよ、っていうのが卒業まで学年の七不思議のひとつだった。
そんな感じで高校を卒業して、俺は都内の私大に進学。カホがどこの大学に行ったかも知らなかった。興味がなかったわけじゃなくて、知る手段がなかった。SNSは鍵アカだったし、共通の友達もいなかったし。
まあ、普通に忘れていくもんだと思ってた。
大学に入って彼女ができたこともあった。半年で別れたけど。サークルの飲み会で知り合った子で、まあ普通に楽しかったけど、なんかこう、ピンとこなかった。(これ言うと元カノに怒られるだろうけど)
で、大学3年の12月。高校の同窓会があった。
場所は地元の横浜、桜木町の居酒屋。幹事は元クラス委員の田中で、LINEのグループに「久しぶりにみんなで飲もうぜ」って投げたら30人ぐらい集まることになった。
正直、行くかどうか迷った。高校時代に仲良かった奴は3人ぐらいで、そいつらとは普段から会ってたし。知らない奴と気まずい空気になるのも嫌だったし。
でも、田中が「カホも来るらしいよ」って言ったのを聞いて、5秒で参加ボタンを押してた。
(単純すぎるだろ、俺…)
当日、桜木町駅で待ち合わせ。18時集合で、俺は17時50分に着いた。早く来すぎて暇だったから駅前のコンビニでハイボールの缶を買って、一人で飲んでた。緊張してたんだと思う。
居酒屋に入ると、もう半分ぐらい来てて。懐かしい顔がずらっと並んでた。みんな大学生になって垢抜けてて、高校時代の面影があるようなないような。
で、カホは。
いた。奥のテーブルの端っこに座ってた。
黒のニットワンピースにショートブーツ。髪は高校の時より少し伸びて、鎖骨ぐらいのセミロング。化粧も高校の時よりちゃんとしてて、でも厚塗りじゃなくて。ナチュラルなのに目元がくっきりしてて、唇がうっすらピンクで。
高校の時よりかわいくなってた。マジで。
ニットの上からでもわかる胸のラインがやばかった。いや、見ちゃダメだろって思いながらガン見してた。最低だよな。
(いや、無理。レベルが違いすぎる)
席は離れてて、カホとは対角線上。話しかけるチャンスなんかあるわけがない。
一次会は2時間。カホの周りにはずっと人がいて、男子が入れ替わり立ち替わり話しかけてた。カホは笑顔で対応してたけど、なんかこう、営業スマイルっぽいっていうか。高校の時と同じ、誰にでも優しいけど誰にも踏み込ませない感じ。
俺は高校時代の友達の木村と二人で延々とハイボールを飲んでた。
「カホさん、相変わらずだな」
って木村に言ったら、
「お前まだ好きなの?」って返された。
「いや、もう別にそういうんじゃないけど」
嘘だった。5年ぶりに見たカホは、やっぱりかわいかった。
二次会はカラオケ。20人ぐらいが流れて、2部屋に分かれた。俺は木村と同じ部屋に入ったんだけど、カホは隣の部屋だった。
(まあ、そうだよな)
カラオケが終わったのが23時半ぐらい。ほとんどの奴が「明日早いから」って帰り始めて、残ったのは6人。俺と木村と田中と、女子3人。その中にカホがいた。
田中が「もう一軒行こうぜ」って言い出して、桜木町から野毛の方に歩いた。小さいバーみたいなところに入って、カウンターに6人で並んだ。
で、ここで事件が起きた。
隣に座ったのがカホだった。
これは偶然じゃなくて、木村が気を利かせて席を譲ったんだと思う。あいつ、そういうところだけは気が利く。
「新島くん、久しぶりだね」
カホが話しかけてきた。俺の名字を覚えてた。3年間で一言しか交わしてないのに。
「あ、うん。久しぶり」
「今なにしてるの?」
「普通に大学。都内の」
「へー、どこ?」
大学名を言ったら、「あ、うちも都内だよ」って返ってきた。聞いたらうちの大学から電車で3駅のところだった。
「えっ、めちゃ近いじゃん」
「ね、もっと早く知ってたら会えたのにね」
(いや、会えたとしても話しかける勇気なんかないけど…)
カホはジントニックをちびちび飲みながら、意外とよく喋った。高校の時はおとなしいイメージだったのに、大学に入ってから変わったのかもしれない。バイトの愚痴とか、ゼミの教授がうざいとか、普通の大学生の話。
「新島くんってさ、高校の時帰宅部だったよね?」
「あ、うん。よく知ってんね」
「だって同じクラスだったし」
「まあそうだけど。俺のことなんか覚えてないと思ってた」
「なんで?覚えてるよ。文化祭の時、段ボール運んでたの手伝おうとしたら断られたし」
5年前のあの瞬間を、カホが覚えてた。
「…マジで?」
「マジで。あの時すっごい冷たいなって思った」
「いや、冷たいんじゃなくて緊張して…」
「ふふ、知ってるよ」
この「知ってるよ」の意味が、この時の俺にはわかってなかった。
気づいたら、他の4人は帰ってて、カウンターには俺とカホの二人だけになっていた。時計を見たら深夜1時を過ぎてた。
「あ、やば。みんな帰ったの全然気づかなかった」
「うん、30分ぐらい前に帰ったよ」
「え、なんで教えてくれなかったの」
「だって新島くんと話すの楽しかったから」
心臓がバクバクした。酔ってたからかもしれない。でも、カホの頬も少し赤くなってて、目がとろんとしてて。高校の時の完璧な笑顔とは違う、崩れた感じの表情がすごくよかった。
「ねぇ、もう電車ないよね」
「あー…ないな。タクシーか、漫喫か…」
「漫喫やだなぁ。ていうか新島くん、今日どうやって帰るつもりだったの?」
「木村の家に泊まるつもりだった。けどあいつ帰ったし…」
「…私のとこ来る?」
「え?」
「冗談じゃないよ。一人暮らしだし、うちから横浜駅まですぐだから、明日の朝帰ればいいじゃん」
「いや、それは…さすがに」
「なんで?やましいこと考えてるの?」
「考えてない」
嘘だった。
カホのマンションは横浜駅から歩いて7分ぐらいのところにあった。タクシーで行って、割り勘にした。
エレベーターで5階に上がって、部屋に入った。1Kの、女子大生の一人暮らしにしては綺麗に片付いた部屋。ローテーブルの上にマグカップが一つだけ置いてあって、本棚にはミステリーの文庫本がずらっと並んでた。
「散らかっててごめんね。お茶入れるからソファ座ってて」
「あ、うん。ありがとう」
ソファに座って、状況を整理した。
俺は今、高校時代に好きだった学年のマドンナの家にいる。深夜1時半。二人きり。
(いやいやいや。落ち着け。泊めてもらえるだけでありがたいだろ。変な気起こすなよ)
カホがマグカップを二つ持ってきて、隣に座った。ほうじ茶だった。
「あったまるね」
「うん」
沈黙。テレビもついてなくて、暖房の音だけがしてた。
「ねぇ、新島くん」
「ん?」
「私のこと、好きだったでしょ。高校の時」
心臓が止まるかと思った。
「…は?」
「ごまかさないで。バレてたよ」
「いや…なんで…」
「だって、授業中ずっとこっち見てたじゃん。目が合うとすぐ逸らすし」
(バレてたのかよ…)
恥ずかしさで死にそうだった。穴があったら入りたいってこういう時に使うんだなって思った。
「…すみません」
「なんで謝るの」
「いや、気持ち悪かっただろうなって…」
「全然。むしろ、なんで話しかけてくれなかったのかなってずっと思ってた」
「…え?」
「文化祭の時だって。手伝おうとしたのに『大丈夫す』って。あれ、けっこう傷ついたんだからね」
カホがこっちを見てた。とろんとした目で。酔ってるのか、本気なのか、わからなかった。
「覚えてる?体育祭の時、私がリレーで転んだこと」
「あー…覚えてる。3年の時だよね。カーブで」
「あの時、保健室に行ったら先に湿布持ってきてくれてた人がいたの。保健委員でもないのに。誰かなって思ったら、新島くんだった」
俺はあの時、カホが転んだのを見て居ても立ってもいられなくて、でも直接声をかける勇気がなくて、保健室の先生に「リレーで転んだ子がいるので湿布ください」って言って先回りして置いておいた。カホに気づかれないようにしたつもりだったのに。
「…なんで俺ってわかったの」
「保健室の先生に聞いた。『さっき男の子が湿布持ってきてくれたわよ、えーっと、新島くんだったかな』って」
「…」
「あの時から気になってたの。でも、新島くん全然話しかけてくれないし、目も合わせてくれないし。文化祭で声かけたのだって、本当はきっかけが欲しかっただけだったのに」
「嘘だろ…」
「嘘じゃないよ。告白してきた人たちを断る時の『好きな人がいるから』、あれ本当だったんだよ?」
頭が追いつかなかった。
俺、もしかして、学年の七不思議の答えだったの?
(いやいや、さすがにそれは…)
「ちょっと待って。整理させて」
「うん」
「カホが好きだったのって…」
「新島くんだよ」
「…」
「…」
「なんで俺なの。サッカー部のエースとか、生徒会長とか、もっといい奴いたじゃん」
「そういう人たちは私のことを『学年一かわいい子』としか見てなかったから。新島くんは違った。転んだ時に湿布を持ってきてくれたのに、お礼を言われるのも嫌がるぐらい、見返りを求めない人だった。そういうの、わかるんだよ」
カホの目が潤んでた。酒のせいだけじゃないと思った。
「卒業する時、本当は告白しようと思ったの。でも、新島くんが卒業式の日に早退したから」
あの日、俺は卒業式が終わった瞬間に帰った。カホに告白する勇気もないまま高校が終わるのが惨めで、みんなが写真を撮り合ってるのを見てるのが辛くて、逃げるように帰ったのを覚えてる。
「…ごめん」
「また謝る」
「だって…俺がちゃんとしてたら」
「うん。だから今日、同窓会に来たんだよ。新島くんが来るって聞いたから」
カホがマグカップをテーブルに置いた。
そして、俺の方に体を傾けてきた。
肩が触れた。カホの髪からシャンプーの匂いがした。甘いけどくどくない、花みたいな匂い。
「ねぇ」
「…ん」
「今さらだけど、言っていい?」
「…うん」
「好きだよ、新島くん。高校の時からずっと」
キスされた。
カホの方から。柔らかくて、ほうじ茶とジントニックが混ざった味がした。
頭が真っ白になって、何秒かわからないけど、唇が離れた時にカホが笑ってた。目尻に涙が溜まってるのに、すごく嬉しそうな顔で。
「やっと…」
「…俺も、好きだった。ずっと」
言えた。5年かかった。
2回目のキスは俺からした。今度はちゃんと。カホの頬に手を添えて、唇を重ねた。カホが目を閉じて、小さく「ん…」って声を出した。
舌が触れた時、カホの体がびくってなった。
「…っ」
「ごめん、嫌だった?」
「ううん…もっと…して」
カホの声が震えてた。
ソファの上で抱き寄せると、カホの体は細いのに柔らかくて、ニットの上から胸が押し付けられて、その感触だけで頭がおかしくなりそうだった。
キスしながら背中に手を回すと、カホが俺のシャツの裾を掴んだ。
「ベッド…行こ」
カホに手を引かれて、6畳の寝室に入った。セミダブルのベッドに白いシーツ。サイドテーブルに間接照明が一つ。
ベッドに座ったカホが、自分でニットワンピースの裾を掴んで、少し持ち上げかけて、止まった。
「…恥ずかしい」
「俺が脱がしていい?」
「…うん」
ニットワンピースをゆっくり脱がせた。黒いブラと、同じ色のショーツ。肌が白くて、間接照明の薄い光に照らされて、まじでこの世のものとは思えなかった。
(俺、これ夢じゃないよな…?)
ブラを外した。Eカップ。推定じゃなくて本物のEカップだった。形が綺麗で、乳首がうっすらピンクで。
「…きれい」
「やめて…そんなジロジロ見ないで…」
顔を覆おうとするカホの手を優しく降ろして、キスした。首筋に唇を這わせると、カホが甘い声を出した。
「あ…っ」
鎖骨を舐めて、胸に口づけた。乳首を舌先でなぞると、カホの体がびくっと跳ねた。
「ん…っ、そこ…弱いの…」
左の乳首を口に含みながら、右の胸を手で揉んだ。柔らかくて、でもちゃんと張りがあって、指の間からこぼれる感触がたまらなかった。
「はぁ…っ、新島くん…っ」
カホが俺の頭を抱え込むようにして、髪を掻き撫でてきた。その仕草がいじらしくて、もっとしてあげたいって思った。
ショーツの上から触ると、もう濡れてた。
「…触っていい?」
「…うん」
ショーツを脱がせて、指で触れた。カホが足をぎゅっと閉じようとしたけど、膝をゆっくり開かせた。
「はぁ…っ、ん…っ、そこ…」
クリを指の腹で円を描くように触ると、カホの腰がぴくぴく動いた。
「やば…っ、気持ちいい…っ」
指を入れると、きつかった。すごくきつかった。
「…カホ、もしかして」
「…うん。初めて…だよ」
まさかと思った。あのカホが、20歳で処女。これだけかわいくて、言い寄ってくる男なんかいくらでもいたはずなのに。
「…待って、じゃあやめた方が」
「やめないで」
カホが俺の手首を掴んだ。目が真剣だった。
「ずっと待ってたんだよ。新島くんがいいの」
その言葉で、俺の中の何かが切れた。理性とか、遠慮とか、そういうの全部。
服を脱いで、カホの上に覆い被さった。カホが俺の体を見て、少し目を丸くした。
「…意外とがっちりしてるんだね」
「大学入ってからジム通い始めたから」
「ふふ…かっこいい」
先っぽを当てた。カホが息を飲んだ。
「痛かったら言って。すぐ止めるから」
「…うん」
ゆっくり入れた。きつくて、熱くて、カホの中が俺を締め付けてきた。
「…っ、痛い…」
「ごめん、止める?」
「ううん…大丈夫…もうちょっとゆっくり…」
カホが俺の背中に手を回した。爪が食い込んでるのがわかった。
奥まで入った時、カホが長く息を吐いた。
「…全部、入った?」
「うん」
「…なんか、すごい。お腹の中にいるみたい」
「動いていい?」
「…うん。ゆっくりね」
ゆっくり動き始めた。最初はカホが顔をしかめてたけど、少しずつ表情が変わっていった。痛みから、別の何かに。
「あ…っ、ん…っ」
「痛くない?」
「ん…もう平気…もっと…」
カホが俺の首に腕を回してきた。耳元で、息遣いが聞こえた。
「新島くん…好き…」
ここまで言ってもらってるのに、俺は心のどこかでまだ信じられなかった。5年間、一方的に好きだった相手が、実は同じ気持ちでいてくれた。しかも今、抱いてる。これが現実なのかどうか、本当にわからなかった。
「…俺も好き。ずっと好きだった」
カホが泣いた。嬉しそうに、声を殺して。涙が横に流れて枕を濡らした。
少しずつ速くした。カホの声が大きくなってきた。
「あっ…やば…っ、なにこれ…っ、気持ちいい…っ」
パンッ、パンッと音が部屋に響いた。カホが俺の背中をきつく抱いた。
「あっ…んんっ…っ、ダメ…っ、私おかしくなる…っ」
「カホ…っ、俺もやばい…」
「中はダメ…っ、お腹にして…っ」
ギリギリで引き抜いて、カホのお腹に出した。びゅるっ、と白いのがカホの白い肌の上に広がった。
「はぁ…はぁ…っ」
「…ごめん、いっぱい出た」
「…すごい量…あったかい…」
ティッシュで拭いて、二人で横になった。カホが俺の胸に顔をうずめた。
「ねぇ」
「ん?」
「名前で呼んで」
「…カホ」
「もう一回」
「カホ」
「…えへへ。嬉しい」
5分ぐらい黙って抱き合ってた。カホの髪を撫でながら、天井を見てた。
「ねぇ、隼人」
名前で呼ばれた。心臓がまたバクバクした。
「…ん」
「もう一回…したい」
「え、大丈夫なの?初めてなのに」
「うん…もっと隼人を感じたいの」
2回目は、カホから上に乗ってきた。自分で俺のを持って、ゆっくり腰を下ろした。
「ん…っ、あ…っ」
さっきより入りやすかったけど、相変わらずきつかった。カホが自分でゆっくり動き始めた。
上から見るカホは、間接照明に照らされて、本当に綺麗だった。揺れる胸、紅潮した頬、半開きの唇。
「はぁ…っ、ん…っ、気持ちいい…っ」
さっきとは違って、カホが自分の気持ちいいところを探すように腰を動かしてた。前後に、ゆっくり、時々ぐりっと深く。
「カホ…っ」
「はやと…っ、好き…っ、ずっと好きだった…っ」
カホの中がきゅっと締まった。カホの声が高くなって、動きが速くなった。
「あっ…やばっ…なんか…来る…っ」
「いっていいよ」
「あっ…あぁっ…んんっ…!」
カホの体がびくびく震えて、俺の上に崩れ落ちた。中がきゅうきゅうと脈打って、俺もやばかった。
「カホ、俺もう…」
「出して…お腹に…っ」
引き抜いて、カホのお腹にまた出した。さっきより量は少なかったけど、カホは嬉しそうに俺の顔を見てた。
「ふふ…2回もしちゃった」
「…うん」
シャワーを浴びた。一緒に。
カホの裸を改めて見たら、やっぱり信じられないぐらい綺麗で。高校の制服の下にこんな体が隠れてたのかと思うと、3年間もったいないことしたなって本気で思った。
シャワーの温かいお湯の下で、カホが俺にもたれかかってきた。
「ねぇ、隼人」
「ん」
「私たち、付き合ってるってことでいいんだよね?」
「…いいの?」
「いいのって何。こっちは5年越しなんだけど」
「…俺もだよ」
「じゃあ決まりね」
カホが笑った。高校の時の、誰にでも向ける完璧な笑顔じゃなくて、俺だけに見せてくれる、ちょっと崩れた笑顔。
ベッドに戻って、抱き合って横になった。
「明日、どこか行こうよ。中華街とか」
「いいね。行こう」
「デートだね」
「うん」
「…5年間、長かったなぁ」
カホが俺の胸に頬を寄せて、目を閉じた。
あの時、文化祭で「大丈夫す」じゃなくて「ありがとう、一緒に運ぼう」って言えてたら。卒業式の日に逃げないでちゃんと残ってたら。もっと早くこうなれてたのかもしれない。
でも、遠回りしたからこそ、この夜がある気もする。
朝、窓から冬の光が差し込んで目が覚めた時、隣でカホが寝てた。寝顔がすごくかわいかった。
俺のTシャツを借りて寝てるカホの背中をそっと撫でたら、「んん…」って声を出して、こっちを向いた。
「…おはよ」
「おはよう」
「昨日のこと、夢じゃないよね?」
「夢じゃないよ」
「…よかった」
カホが笑った。
あれから5年。
俺たちはまだ一緒にいる。去年、横浜で一緒に暮らし始めた。来月、カホの誕生日に、あの野毛のバーでプロポーズしようと思ってる。
あの夜、木村が席を譲ってくれなかったら、今の俺はいなかったと思う。木村、ありがとう。結婚式ではスピーチ頼むわ。
読んでくれた人、ありがとうございました。