高校で一度も話せなかった憧れの子と大学の飲み会で再会して彼氏のフリを頼まれた夜の話

これ、大学2年の冬の話です。

俺のスペックを先に言っておくと、身長172、顔面偏差値は45ぐらい。よく言えば普通、悪く言えば量産型。高校のときは友達5人ぐらいのグループでずっとつるんでて、彼女いない歴イコール年齢でした。まぁ、ザ・陰キャ寄りの普通って感じ。

で、高校のとき同じ学年に宮瀬さんっていう子がいたんですよ。

クラスは3年間一度も被らなかったんだけど、廊下ですれ違うたびに目で追ってた。橋本環奈を少し大人っぽくした感じの顔立ちで、身長は160ちょいぐらい。目がでかくて、笑うと目尻がくしゃってなるのがめちゃくちゃ可愛かった。文化祭のときにダンス部のステージで踊ってるのを見て、(あ、俺この子のこと好きだわ)って自覚したのを覚えてる。

でも話しかけたことは一回もない。だって住んでる世界が違うもん。宮瀬さんはいつも華やかなグループの中心にいて、俺みたいな地味なやつが声かけたら事案になるレベルだった。

卒業式の日、最後のチャンスだと思って連絡先聞こうとしたけど、周りに人が多すぎて結局何もできずに終わった。まぁ、俺らしいっちゃ俺らしい。

それから2年。俺は都内の大学に進学して、中央線の国分寺に一人暮らししてた。バイトはチェーンの居酒屋。友達もそこそこできて、高校のときよりは多少マシな生活を送ってた。彼女は相変わらずいなかったけど。

12月の頭、サークルの先輩が企画した合同の飲み会が高円寺の居酒屋であった。正直あんまり乗り気じゃなかったんだけど、同じサークルの田中に「女の子多いから来いって」って言われて、まぁ暇だしいいかと。

店に着いて、奥の座敷に入った瞬間、心臓が止まるかと思った。

奥の席に、宮瀬さんがいた。

髪が高校のときより少し長くなってて、ゆるく巻いてた。化粧もちゃんとしてて、高校のときの可愛いから綺麗にシフトしてた感じ。隣の子と笑いながら話してるのを見て、(うわ、マジで宮瀬さんだ)って固まった。

(いや待て落ち着け。同じ高校ってだけで向こうは俺のこと知らないだろ)

そう思って、なるべく遠い席に座った。20人ぐらいの飲み会で、俺は端っこで田中とビール飲みながら適当に盛り上がってた。宮瀬さんのことはチラチラ見てたけど、目が合うこともなく。

2時間ぐらい経って、そろそろ二次会どうするみたいな流れになったとき。

トイレから戻ったら、廊下で宮瀬さんとばったり会った。

「あれ、もしかして……同じ高校だった?」

心臓がバクバクした。覚えてるのかよ。

「あ、うん。学年一緒だった」

「やっぱり!なんか見たことあるなって思ってて。えっと……」

「あ、俺は……」

名前を言ったら、宮瀬さんが「あー!」って声を上げた。

「思い出した!体育祭のリレーで最後めっちゃ追い上げてた人だ!」

いや、それ覚えてんのかよ。3年の体育祭で、アンカーやらされて必死に走ったやつ。結局3位だったけど。

「よくそんなの覚えてるな……」

「だってすごかったもん。あ、私は宮瀬です。って知ってるか」

知ってるよ。3年間ずっと見てたから。でもそれは言えない。

「うん、知ってる。ダンス部だったよね」

「そうそう!覚えてくれてるんだ、嬉しい」

そのまま廊下で少し話して、二次会は同じグループで行くことになった。高円寺の駅前のカラオケ。8人ぐらいで部屋に入って、俺はなぜか宮瀬さんの隣に座ることになった。

(近い。めっちゃ近い。シャンプーのにおいする)

カラオケで盛り上がってる最中、宮瀬さんがスマホをちらちら見て、表情が曇った。

「……ねぇ、ちょっといい?」

「ん?」

「外出よ、ちょっとだけ」

二人で廊下に出た。宮瀬さんが急に真剣な顔になった。

「あのさ、変なお願いなんだけど……私の彼氏のフリしてくれない?」

「……は?」

脳の処理が追いつかなかった。

「元カレがさ、さっきからLINEしてきてて。"今から会いたい"って。別れたのに全然諦めてくれなくて……」

宮瀬さんがスマホの画面を見せてきた。確かに、結構しつこい感じのメッセージが並んでた。「今どこ?」「話だけでいいから」「まだ好きだよ」みたいな。

「彼氏できたって言えば諦めると思うんだけど、写真とか求めてきそうで……。だから一緒にいるとこの写真だけ撮らせてほしいの。ダメ……かな」

(いやいやいや。俺でいいのかよ。もっとイケメンいるだろこの中に)

でも宮瀬さんの目が本気で困ってて、断れる空気じゃなかった。

「いいけど……俺で説得力あるかな」

「ある!全然ある!ありがとう、助かる……!」

宮瀬さんが俺の腕にぎゅっとくっついて、自撮りを撮った。俺はガチガチに緊張してて、たぶんものすごい顔してたと思う。

「もうちょっと自然にして笑 はい、もう一枚」

2枚目は少しマシだった。宮瀬さんが俺の肩に頭を乗せてきて、甘えてるっぽい感じの写真。

「うん、いい感じ。ありがとう、これ送るね」

送信した後、宮瀬さんがほっとした顔をした。

「ごめんね、急に変なこと頼んで」

「いや、全然。大丈夫だったならよかった」

「……でもさ、これで終わるかな。なんか"会って話したい"とか言ってきそう」

宮瀬さんが不安そうに画面を見てる横顔を見て、なんか胸がざわついた。高校のときはキラキラしてて遠い存在だった子が、こんなに困ってるのを見るのは初めてだった。

「もし何かあったら、また言ってよ。俺でよければ付き合うから。……あ、彼氏役にね」

「笑 ありがとう。連絡先教えて?」

こうして宮瀬さんとLINEを交換した。高校3年間で一度もできなかったことが、こんな形で実現するとは思わなかった。

それから3日後。宮瀬さんから連絡が来た。

「元カレが"彼氏に会わせろ"って言ってきた……」

(来たよ。予想通りすぎる)

「ほんとごめんなんだけど、今度の日曜に会ってくれない? 1時間ぐらいでいいから」

断る理由がなかった。正直に言うと、宮瀬さんと会える口実ができて嬉しかった。最低だよな、こんな状況を喜んでるの。

日曜日、待ち合わせは吉祥寺の駅前。宮瀬さんは白いニットにデニムっていうシンプルな格好で来たんだけど、スタイルがいいから何着ても映える。たぶんFカップぐらいある。ニットの上からでもわかるぐらい存在感がすごかった。身長160ぐらいでこのバランスは反則だろ。

「お待たせ!寒いね」

「元カレ、いつ来るの?」

「3時に井の頭公園の入り口って言ってる。まだ2時間あるから……ちょっとカフェ行かない? 打ち合わせしよ」

吉祥寺のハモニカ横丁の近くのカフェに入った。宮瀬さんがカフェラテ、俺はブレンド。

「あのね、一応設定決めとこ。付き合い始めたのは1ヶ月前、飲み会で再会して意気投合した、ってことで」

「それほぼ事実じゃん」

「だから自然でしょ笑」

「元カレってどんな人なの」

宮瀬さんの顔が少し曇った。

「……同じ大学の先輩。付き合ってるとき、束縛がすごくて。私の男友達の連絡先全部消させようとしたり、バイト先にまで来たり」

「それはきつい」

「別れてからも定期的に連絡来るの。ブロックしても別アカで来るし。警察に相談も考えたけど、実害がないと動いてくれないって言われて」

宮瀬さんが両手でカップを包み込むように持って、少し俯いた。

「こんなこと頼めるの、あなたしかいなかったんだよね。女友達に相談したら"それぐらい自分で断りなよ"って言われて。男友達に頼むと変な噂立つし……」

「俺は?俺も男だけど」

「……あなたは、なんか安心する。高校のとき、リレーで必死に走ってたの見てからずっと思ってた。この人は誠実な人だなって」

(リレーでそこまで読み取るか?)

でも不思議と嬉しかった。

3時に井の頭公園に行くと、元カレが待ってた。身長180ぐらいで、顔も普通にイケメン。(こいつに勝てる要素が見当たらない)と内心思った。

元カレが俺をじろっと見た。

「ふーん、こいつが新しい彼氏?」

宮瀬さんが俺の腕を掴んだ。力が入ってるのがわかった。

「そう。だからもう連絡しないで」

「本当に付き合ってんの?なぁ、お前」

俺に話を振ってきた。

「……付き合ってますけど」

嘘なのに、声が震えなかったのは自分でも意外だった。宮瀬さんの手が震えてるのが伝わってきて、ここで俺がビビったらダメだと思った。

元カレは舌打ちして、「まぁいいけど。そのうち飽きるだろ」って言って去っていった。

宮瀬さんがふぅーって長い息を吐いた。

「ありがとう……ほんとに助かった」

目が少し潤んでて、泣きそうなのを我慢してる感じだった。

「お疲れ。なんか食べに行こうぜ、腹減った」

「……うん」

吉祥寺のサンロードにあるパスタ屋に入った。宮瀬さんは最初ぎこちなかったけど、ご飯食べてるうちにだんだん元気になってきた。

「ねぇ、高校のとき私のこと知ってたんでしょ」

「まぁ、有名人だったし」

「それだけ?」

「……それだけだよ」

(嘘つけ。3年間ずっと好きだったよ)

「ふーん。私ね、実はあのリレー見てから気になってたんだよね」

「え?」

「でも接点なかったし、卒業式の日に話しかけようと思ったら見つけられなくて」

「……嘘だろ」

「嘘じゃないよ笑 なんで嘘つくの」

(卒業式の日、俺も宮瀬さんに話しかけようとしてた。お互い同じこと考えてたのに、すれ違ってたのかよ)

胸の奥が熱くなった。でも今は彼氏の「フリ」をしてるだけだ。この状況で告白とか絶対に違う。迷惑かけるだけだ。

それからも、元カレは完全には諦めなかった。週に1回ぐらい宮瀬さんに「まだあいつと付き合ってんの?」みたいな連絡が来て、そのたびに宮瀬さんは俺に報告してきた。俺たちは「カップルっぽい写真」を定期的に撮って、宮瀬さんのインスタのストーリーに上げた。

問題は、その写真を撮るために会う頻度がどんどん増えたこと。

最初は週1だったのが、週2になり、週3になった。写真撮るだけじゃなくて、普通にご飯食べたり映画観たり買い物したり。完全にデートなのに、俺たちはそれを「彼氏のフリの打ち合わせ」って呼んでた。

(これ、もう付き合ってるのと何が違うんだよ)

って何回も思ったけど、口には出せなかった。宮瀬さんが俺を必要としてくれてるのは「彼氏役」としてであって、俺個人じゃない。そう思うと、告白する勇気なんて出なかった。

12月の終わり、クリスマスイブ。宮瀬さんから連絡が来た。

「今日って暇?イブにカップルの写真ないと怪しいかなって」

それは建前だって、なんとなくわかってた。でも確信が持てないから黙ってた。

「暇だよ。どこ行く?」

「国分寺って何かある?」

「何もないけど」

「じゃあ家で鍋しない? 材料持ってく」

宮瀬さんが俺の家に来たのは初めてだった。1Kの狭い部屋を慌てて片付けた。

宮瀬さんはスーパーの袋を両手に持って現れた。白菜、豚肉、豆腐、えのき、しめじ。

「キムチ鍋でいい?」

「最高」

狭いキッチンで二人で鍋の準備をした。宮瀬さんが野菜を切って、俺が鍋にスープを作る。距離が近くて、腕がぶつかるたびにどきっとした。

「ねぇ、包丁どこ?」

「そこの引き出し」

「狭すぎない?この台所」

「一人暮らし用だからね」

「二人で住んだら大変だね」

「……誰と住む想定?」

「さあ笑」

こういう意味深なこと言うのやめてほしい。期待するから。

鍋ができて、ローテーブルに向かい合って座って食べた。宮瀬さんが日本酒を持ってきてて、二人でちびちび飲んだ。

「ねぇ、聞いていい?」

「なに」

「彼女いたことある?」

「ない」

「え、マジで?」

「マジで。笑うなよ」

「笑わないよ。……じゃあ、好きな人は?」

酒が入ってて、ガードが緩くなってた。

「……いる。ずっと」

「……誰」

「言えない」

宮瀬さんが黙った。箸が止まって、鍋の湯気の向こうで複雑な顔をしてた。

「……私じゃないの?」

声が小さくて、聞き間違いかと思った。

「……え?」

「だって、ずっと優しいし、断らないし、私がLINEしたらすぐ返してくれるし。……期待しちゃダメなのかなってずっと思ってて」

宮瀬さんの目が赤くなってた。日本酒のせいか、それとも。

「元カレの件がなかったら、きっと連絡する口実もなかった。最初は本当にただ助けてほしかっただけなの。でも会ってるうちに……フリじゃなくて本当に付き合いたいって思うようになって」

頭が真っ白になった。

(え、今宮瀬さん何て言った?)

「でも私から言ったら、せっかくの関係壊れちゃうかなって。だから写真撮るとか、打ち合わせとか、そういう理由つけて会ってたの。ずるいよね」

「……ずるいのは俺の方だよ」

声が震えてた。

「高校のとき、3年間ずっと好きだった。卒業式の日も話しかけようとして、できなかった。飲み会で再会したとき、マジで心臓止まるかと思った。彼氏のフリ頼まれたとき、こんな状況喜んでる自分が最低だって思った。でも宮瀬さんと一緒にいられるならなんでもいいって」

言い終わった後、しばらく沈黙があった。鍋がぐつぐつ言ってる音だけが部屋に響いてた。

宮瀬さんが立ち上がって、ローテーブルを回り込んで俺の隣に座った。

「3年間?」

「……うん」

「ばか。もっと早く言ってよ」

「言えるわけないだろ、あの頃の俺に」

宮瀬さんが俺の顔を両手で挟んで、真正面から見つめてきた。

「私、もうフリじゃなくて本当に付き合いたい。いい?」

「……いいに決まってんだろ」

キスした。

自分からしたのか宮瀬さんからだったのか正直覚えてない。気づいたら唇が触れてて、宮瀬さんの手が俺の首の後ろに回ってた。日本酒の味がした。

最初は軽く触れるだけだったのが、だんだん深くなった。舌が入ってきて、俺も応えた。息が荒くなって、気づいたら宮瀬さんを押し倒すような体勢になってた。

「……ベッド、行こ」

部屋が狭いからベッドまで3歩ぐらいしかない。宮瀬さんの手を引いて、ベッドに座った。

キスしながら宮瀬さんのニットに手をかけた。震えてたと思う、俺の手。

「……脱がしていい?」

「うん」

ニットを脱がすと、薄いピンクのブラが出てきた。想像通り、いやそれ以上にでかかった。触ったら柔らかくて、手に余るぐらい。

「でかいな……」

「……そういうこと面と向かって言う?笑」

「いや、褒めてる」

「褒め方が下手すぎる」

ブラを外した。綺麗なお椀型で、先端が薄いピンク色をしてた。

(これ本当に現実か?高校のとき遠くから見てるだけだった子の胸を今触ってるのか?)

頭がぐるぐるしてた。信じられないのと興奮してるのとが同時に来て、手の動きがぎこちなくなった。

「緊張してる?」

「……してないわけないだろ」

「私もだよ」

宮瀬さんが俺の服を脱がせてきた。Tシャツを引っ張り上げて、そのまま俺を押し倒した。

「ねぇ、今まで経験ないんだよね?」

「……うん」

「じゃあ、私がリードしてあげる」

宮瀬さんが俺のジーンズのボタンを外して、ジッパーを下ろした。もうとっくに硬くなってて、正直恥ずかしかった。

「……すごい硬い」

「言わないでくれ……」

宮瀬さんが俺のを握って、ゆっくり動かし始めた。手が小さくて柔らかくて、自分でするのとは全然違う感覚で、一瞬で頭が真っ白になった。

「っ……やば……」

「気持ちいい?」

「気持ちいいってレベルじゃない……」

宮瀬さんが体を下にずらして、顔を近づけてきた。

「……してあげる」

温かくて湿った感触が先端を包んだ。頭が飛ぶかと思った。宮瀬さんの舌が裏側をなぞるように動いて、吸い付いてくる。

「待って……それほんとにやばい……」

「ん……んっ……」

1分も持たなかったと思う。腰の奥から熱いものがせり上がってきて、抑えられなかった。

「出る……ごめん、出ちゃう……」

宮瀬さんが口を離して、手で受け止めてくれた。

「……ごめん、早すぎて」

「初めてなんだから当たり前でしょ。……ちょっと待ってて」

宮瀬さんがティッシュで手を拭いて、戻ってきた。俺の隣に横になって、頬に手を当ててきた。

「ねぇ、今度は私の番」

宮瀬さんが俺の手を取って、自分のお腹のほうに導いた。スカートの中に手を入れると、下着が少し湿ってた。

「……触って」

経験がないから正直何をすればいいのかよくわからなかった。でも宮瀬さんが俺の手を動かして教えてくれた。

「そこ……もうちょっと上……うん、そこ」

指先で触れると、宮瀬さんの体がびくってなった。

「んっ……そう、そのまま……」

宮瀬さんが俺の肩に顔を埋めてきた。耳元で息が荒くなっていくのがわかった。

(高校のとき、こんなこと想像もしなかった。廊下ですれ違うだけで嬉しかったのに)

「もうちょい速く……あっ……」

声が切羽詰まってきた。体が小刻みに震えてるのが伝わってくる。

「やば……ちょっと……来る……っ」

宮瀬さんが俺の背中にしがみついて、体を強張らせた。しばらくそのまま動かなくて、ゆっくり力が抜けていった。

「……はぁ……」

「大丈夫?」

「うん……初めてなのに上手いじゃん」

「宮瀬さんが教えてくれたからだろ」

「……ねぇ、名前で呼んでよ。もう彼女でしょ」

そういえば、ずっと「宮瀬さん」って呼んでた。

「……あかり」

「……うん」

宮瀬さん……あかりが目を閉じて、もう一回キスしてきた。

下の方はもう復活してた。あかりもそれに気づいて、少し笑った。

「元気いいね」

「こっちだって限界なんだけど」

「……コンビニ行かなくていいの?」

「あ、ゴム……持ってない」

「……私、ピル飲んでるから。元カレのときから。だから、大丈夫」

その言葉を聞いた瞬間、複雑な気持ちになった。元カレの存在がちらついて、少し冷めそうになった。でもあかりが俺の顔を見て、何か察したみたいに言った。

「元カレとは半年以上前に別れてる。その後は誰ともしてない。……信じて」

「……信じてる」

あかりが仰向けになって、俺を受け入れる姿勢をとった。足を開いて、俺の腰を引き寄せた。

先端を当てると、あかりの体が少し強張った。

「入れるよ……」

「うん……ゆっくりね」

ゆっくり中に入っていった。温かくて、きつくて、包み込まれる感じがした。初めてだからどう動けばいいかわからなくて、でも中にいるだけで気持ちよすぎて頭がおかしくなりそうだった。

「……ん……動いていいよ」

ゆっくり腰を動かし始めた。ぎこちなかったと思うけど、あかりが俺の背中に手を回して、ぎゅっと抱きしめてきた。

「んっ……あっ……」

「痛く……ない?」

「平気……気持ちいい……」

嘘か本当かわからなかったけど、あかりの声が少しずつ甘くなっていくのを感じた。最初は我慢してた感じだったのが、だんだん体の力が抜けて、声が漏れ始めた。

「……あかり」

「なに……」

「好きだよ」

「……ずるい。こんなときに言わないでよ……」

あかりの目が潤んでた。腕に力が入って、俺を強く引き寄せた。

「私も……好き……っ」

奥まで入れると、あかりが声を上げた。腰の奥で何かに当たる感覚があって、あかりの体がびくって跳ねた。

「あっ……そこ……やば……」

「ここ……?」

「うん……そこ当たると……んんっ……」

同じ角度で腰を動かすと、あかりの反応が明らかに変わった。声が大きくなって、俺にしがみつく力が強くなった。

(これが高校のとき遠くから見てるだけだった子だなんて、脳が理解を拒否してる)

正直そろそろ限界だった。中が気持ちよすぎて、腰が勝手に速くなる。

「やばい……もう出そう……」

「いいよ……出して……中に……」

その声で完全にスイッチが入った。あかりの中に深く入れて、そのまま出した。

体の奥から搾り出されるような感覚で、頭が真っ白になった。あかりが俺の背中を爪で少し引っ掻いて、体を震わせてた。

しばらくそのまま動けなかった。二人とも息が荒くて、汗だくで、でも離れたくなくて抱き合ってた。

「……はぁ……すごかった」

「……うん」

「ねぇ、初めてにしては上出来だったよ」

「フォローありがとうございます」

あかりが笑った。さっきまであんなに乱れてたのに、もう普通に笑えるの強すぎるだろ。

少し休んでから、あかりが体を起こした。

「……もう1回、したい」

「……マジで?」

「だって、3年間のブランク取り戻さないと」

今度はあかりが上になった。俺の腰の上に座って、ゆっくり自分から入れていった。

「ん……あっ……」

上から見下ろされると、この状況の現実味のなさが余計に際立った。あかりの体のラインが綺麗で、揺れる胸から目が離せなかった。

「見てないでよ……恥ずかしい……」

「見るに決まってるだろ」

2回目は1回目より余裕があった。さっきの緊張が嘘みたいに、体が馴染んでる感じがした。あかりの動きに合わせて腰を持ち上げると、あかりが声を殺すのに必死になってた。

「あっ……んっ……やば……私もう……」

「一緒に……」

あかりが俺の上に倒れ込んできて、密着したまま二人同時に達した。さっきよりもっと深いところで繋がってる感覚がして、終わった後もしばらくそのまま動けなかった。

気づいたら外が白み始めてた。カーテンの隙間から冬の朝の光が入ってきてた。

「……ねぇ」

「ん」

「もうフリじゃないからね」

「……当たり前だろ」

「言質取った」

あかりが俺の胸に頬をくっつけて、目を閉じた。

「メリークリスマス」

時計を見たら朝の6時過ぎだった。鍋は冷めきってて、テーブルの上に日本酒の瓶が倒れてた。

高校3年間、一度も話せなかった。卒業式で声もかけられなかった。再会して、嘘の恋人から始まって、クリスマスの朝にようやく本当の恋人になった。

遠回りしすぎだろ、って自分でも思うけど。

まぁ、結果的には最高のクリスマスプレゼントだった。

あかりとはあれからちゃんと付き合ってます。元カレからの連絡は年明けにぱったり来なくなった。あかりは「写真のおかげだよ」って言ってたけど、たぶんもう嘘じゃなくなったのが伝わったんだと思う。

ちなみに、彼氏のフリをしてた期間に撮った写真は全部スマホに残ってる。見返すと、どの写真でも俺の方がガチの顔してて、あかりは余裕の笑顔なんだよな。

本人だけ気づいてなかったってやつ、まさにこれだったんだなって。


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