高3の夏の話をします。
俺のスペックから言うと、身長172、顔面偏差値は自分で言うのもあれだけど48ぐらい。髪型でなんとかごまかしてるタイプの、まあ量産型男子高校生です。成績は中の上。部活は帰宅部。趣味はゲームとYouTube。書いてて悲しくなってきた。
で、話の中心になるのが幼馴染のひなの。
ひなのは隣の家に住んでて、幼稚園から一緒。顔は橋本環奈の系統で、身長158、Eカップ。制服のリボンがいつも胸に押し上げられてるのを、俺は幼馴染の特権でガン見しないように生きてきたわけです。
学年で一番モテるとかそういう次元じゃなくて、隣のクラスのやつらがわざわざ廊下まで見に来るレベル。告白は月1で来てたらしい。全部断ってたけど。
で、そんなひなのとは小学校の頃からずっと「ただの幼馴染」だったんですよ。少なくとも俺はそう思ってた。
(今思えばバカだったなって話なんですけど)
きっかけは、高3の7月。地元の夏祭りです。
埼玉の川越って知ってますかね。蔵造りの街並みがあるところ。毎年7月の最終土曜にやる川越百万灯夏まつりってのがあって、俺とひなのは小学校からずっと一緒に行ってたんですよ。
その年も当然のように行くことになったんだけど、ひとつだけいつもと違ったことがあって。
「ねー、今年浴衣着ていい?」
LINEでそう来たのが祭りの3日前。
「別にいいけど、いつも着てなくね?」
「うん、でも最後の夏だし」
最後の夏。そうだった。受験が終わったら、ひなのは東京の大学に行くって言ってた。俺は地元の大学を考えてたから、来年の夏にはもうこうやって一緒に祭りには行けないかもしれない。
「おけ。じゃ俺も甚平着るわ」
「えっまじ!?やった!」
なんでそんなに嬉しいんだよ。
(…いや、深く考えるな俺)
祭り当日。夕方5時にひなのの家の前で待ち合わせ。
玄関が開いた瞬間、俺はたぶん3秒ぐらい固まった。
紺地に白い金魚の浴衣。髪をいつものポニテじゃなくてアップにしてて、うなじが見えてた。唇にうっすらピンクのグロスを塗ってて、いつもと全然違った。
「ど、どう…?変じゃない…?」
「……いや」
「いや、ってなに!?」
「変じゃない。全然。めちゃくちゃ似合ってる」
「…ほんとに?」
「うん」
「えへへ…ありがと」
耳まで赤くなってるのが夕日のせいだと思いたかった。たぶん俺も赤かった。
蔵造りの通りを歩いて祭り会場に着くと、もう結構な人出で。屋台がずらっと並んでて、焼きそばとかりんご飴とかの匂いがすごかった。
「あっ、わたあめ!買って!」
「自分で買えよ…」
「やだー、おごって?」
「はいはい」
こういうノリはいつも通りなんだけど、浴衣姿で隣歩かれるとさすがに周りの視線がやばい。すれ違う男がみんなひなのを見てくるのが分かった。
(お前ら見んなよ…)
って思って、自分でもびっくりした。俺、いつからこんな独占欲みたいなの持ってたんだ?
射的をやったり、金魚すくいをしたり(ひなのが3匹もすくって俺は0匹だった、悔しい)、たこ焼きを分け合ったり。普通に楽しかった。
問題が起きたのは、花火が始まる少し前。
人混みの中で、ひなのの元カレ…じゃなかった、ひなのに3回告白して3回振られた同じクラスの池田ってやつに会った。
サッカー部のエースで、顔も悪くないやつ。竹内涼真をちょっと崩した感じ。
「あ…」
池田はひなのの浴衣姿を見て明らかに固まってた。隣に俺がいるのを確認して、微妙な顔になった。
「お前ら…二人で来てんの?」
「まあ、毎年一緒に来てるし」
「ふーん…」
「池田くんは?友達と?」
「ああ、まあ。…じゃあな」
去り際に池田が俺だけに聞こえるように言った。
「お前さ、いい加減気づけよ」
は? なに言ってんだあいつ。
(気づけって、何に…?)
ひなのは池田が去ったあと、ちょっと黙ってた。
「どした?」
「…ううん、なんでもない」
なんでもないわけないだろ、って思ったけど突っ込めなかった。
花火が始まった。新河岸川沿いの土手に座って、二人で見上げた。
周りはカップルだらけで、俺たちだけが「幼馴染」っていう謎のカテゴリーに収まってた。少なくとも俺の中では。
ドーン、と大きいのが上がって、ひなのが「うわあ」って声を出した。その横顔を見たとき、花火の光が頬を照らしてて、睫毛の影が落ちてて。
(やべえ、かわいい)
もう何回目だよこの感情。幼馴染だから意識しないって、誰が決めたんだ。
「ねえ」
「ん?」
「うちの大学、東京じゃん」
「知ってる」
「寂しく、ない?」
「……別に」
嘘だった。めちゃくちゃ寂しいに決まってる。でも言えなかった。言ったらなんか変わっちゃう気がして。
「…そっか」
ひなのの声が、ちょっと震えてた。
花火が終わって、帰り道。人の流れに逆らって裏道を歩いてた。提灯の明かりだけの、静かな通り。
ひなのが急に立ち止まった。
「ねえ」
「なに」
「池田くんがさっき言ってたこと…聞こえた?」
「…聞こえた」
「なんて言ってたの」
「気づけよ、だって」
「…そう」
「何に気づけばいいのか分かんねーんだけど」
ひなのが俺の甚平の袖を掴んだ。うつむいてて、表情が見えなかった。
「ほんとに…分かんない?」
「…え?」
「うちが池田くんの告白3回断ったの、なんでだと思う?」
心臓がうるさい。花火よりうるさい。
「…タイプじゃなかったとか?」
「違う」
「じゃあ…」
「好きな人が、いたから」
提灯の明かりで、ひなのの目が潤んでるのが見えた。
「ずっと…ずっと隣にいたのに、気づいてくれなかった」
「……」
「中2ぐらいから好きだった。もう4年。うちバカでしょ、4年も言えなくて」
頭が真っ白になった。いや、真っ白っていうか、今まで「幼馴染」っていうラベルで封印してた感情が全部一気に溢れてきた感じ。
ひなのの制服姿を目で追ってたこと。他の男と話してるのを見るとイライラしてたこと。毎年この祭りが来るのが楽しみだったこと。全部、全部意味があったんだって、やっと分かった。
「俺も…好き。たぶんずっと前から。自分で認めてなかっただけで」
「…うそ」
「うそじゃない。池田に言われてやっと気づいた。鈍感すぎて情けないけど」
「ばか…っ」
ひなのが俺の胸に飛び込んできた。浴衣の帯が崩れそうなぐらい強く抱きついてきて、肩が震えてた。泣いてた。
「泣くなよ…」
「だって…4年だよ…っ、長かった…」
しばらくそのまま抱きしめてた。線香と甘い汗の匂いがした。
落ち着いてから、ひなのが顔を上げた。目が赤くて、でも笑ってた。
「ね…うち今日、家に誰もいないんだけど」
「え?」
「お母さん旅行。明日の夜まで帰ってこない」
「…いいの?」
「来て」
手を引かれて、ひなのの家まで歩いた。たぶん10分ぐらいだったと思うけど、体感3秒だった。心臓がずっとバクバクしてて、繋いだ手が汗でぐちゃぐちゃだった。
ひなのの家に入って、リビングの電気をつけた。見慣れた部屋。何百回も来たことある場所なのに、全然違って見えた。
「…あのさ」
「うん」
「シャワー、先に浴びていい?汗かいちゃって…」
「あ、うん」
ひなのが浴室に消えて、俺はリビングのソファに座った。
(これ、マジで起きてんの?)
さっきまで幼馴染だったやつと付き合うことになって、今そいつの家に二人きりで、あいつはシャワー浴びてて。
(落ち着け、落ち着け俺)
15分ぐらいして、ひなのが出てきた。白いTシャツにショートパンツ。髪を下ろしてて、まだ少し濡れてた。
「お待たせ。シャワー使っていいよ」
「あ、うん。借りる」
シャワーを浴びながら、心臓を落ち着かせようとしたけど無理だった。ひなのが置いてくれたTシャツ(たぶんお父さんの)を着て出ると、ひなのは自分の部屋にいた。
ベッドに座ってて、俺を見上げた。
「…隣、座って」
言われるまま座った。肩が触れるぐらいの距離。
「…」
「…」
沈黙がやばかった。時計の秒針の音がやたら響いてた。
「ね、キス…していい?」
「…うん」
ひなのが目を閉じて、顔を近づけてきた。俺も目を閉じて、唇を重ねた。
柔らかかった。グロスの味がした。たぶんストロベリー。
一瞬触れただけで離れて、お互い顔を見合わせた。
「…もう一回」
今度はもう少し長く。唇を押し付けて、角度を変えて。ひなのが小さく口を開けてきたから、舌を入れた。
「んっ…」
初めてのキスではなかった。俺は中3のとき付き合ってた子としたことがある。でもこんなに心臓が破裂しそうなキスは初めてだった。
ひなのの舌がぎこちなく絡んできて、そのぎこちなさがたまらなかった。
「ひなの…経験、ある?」
「…ない。キスも初めて」
あれだけモテてて、初めて。4年間ずっと俺のことを好きで、誰とも付き合わなかった。
(なんだよそれ…重すぎるだろ…)
でもその重さが、嬉しかった。
俺からキスした。さっきより深く、舌を絡めて。ひなのが俺のTシャツの裾を掴んできた。
「ん…っ、はぁ…」
キスしながら、ひなのの腰に手を回した。Tシャツ越しに触れた肌が熱くて。
「触っていい…?」
「……うん」
Tシャツの中に手を入れた。お腹から上に滑らせていくと、ブラ越しに胸に触れた。
Eカップ。いや、スペックとかそういうのじゃなくて、ひなのの胸に触ってるっていう事実だけで頭がおかしくなりそうだった。
「あっ…」
「ブラ…外していい?」
「…自分で外す」
ひなのがTシャツを脱いで、後ろに手を回してブラを外した。白い肌に、形の良い胸が零れた。
「……」
「そんな見ないでよ…恥ずかしい…」
「いや…綺麗すぎて」
「ばか…っ」
両手で胸を触った。柔らかくて、手から溢れるぐらいの大きさで。乳首が指に当たると、ひなのがびくっとした。
「んっ…そこ、敏感…」
「ここ?」
指先で軽く転がすと、ひなのが目を瞑って唇を噛んだ。
「やっ…んん…っ」
(こいつこんな声出すんだ…)
何百回も聞いてきたひなのの声が、全然知らない声になってた。それが信じられなくて、同時にたまらなく興奮した。
ひなのを仰向けに倒して、胸に顔を埋めた。舌で乳首を舐めると、ひなのの手が俺の髪を掴んだ。
「あっ…だめ、それ…っ」
だめと言いながら頭を押し付けてくるのはどういうことなんだよ。
片手をショートパンツの上から太ももに滑らせた。内腿に触れると、ひなのが足をきゅっと閉じた。
「…触っていい?」
「…怖い…けど、いい」
ショートパンツの上から触ると、もう濡れてるのが分かった。下着越しに指を滑らせると、ひなのが腰を震わせた。
「ひっ…やぁ…っ」
「脱がすよ」
ショートパンツと下着を一緒に下ろした。ひなのが両手で顔を覆った。
「見ないでっ…」
「見るに決まってんだろ…」
(うわ、めちゃくちゃ濡れてる…)
指で触れると、ぬるぬるしてて。クリに触れたとき、ひなのが大きく跳ねた。
「あっ!そこっ…やば…っ」
ゆっくり円を描くように触りながら、もう片方の手で胸を揉んだ。ひなのの声がどんどん大きくなってきて、シーツを掴む手に力が入ってた。
「まって…なんか…来る…っ」
「いっていいよ」
「あっ、あっ…んんっ!」
ひなのの体がびくびくっと震えて、太ももが閉じた。俺の手を挟んだまま、しばらく震えてた。
「はぁ…はぁ…いま、イった…の?うち…」
「たぶん」
「初めて…人にされてイったの…初めて…」
ひなのが目を潤ませて俺を見上げた。
「ねぇ…して。全部、して」
「…本当にいいの?戻れないよ」
「戻りたくない。ずっとこうしたかった」
俺も下を脱いだ。もう限界だった。
ひなのの脚の間に入って、先端を当てた。
「ゴム…」
「あ…うちの引き出しに…」
ベッドサイドの引き出しを開けると、コンドームが入ってた。
「…なんで持ってんの」
「……今日のために、買っておいた」
(こいつ…最初からこうなるつもりだったのか?)
浴衣も、家に誰もいないことも。全部計算だったってことか。4年越しの計画って、怖すぎるだろ。
でも、そこまで思ってくれてたのかと思うと、目頭が熱くなった。
ゴムを着けて、ゆっくり入れていった。
「っ…痛い…」
「無理しなくていい、止める?」
「やめないで…っ、もうちょっと…ゆっくり…」
少しずつ、少しずつ進めた。ひなのが俺の腕を掴んで、爪を立ててた。
半分ぐらい入ったところで、ひなのが深呼吸した。
「…大丈夫。全部、入れて」
最後まで入れた瞬間、ひなのが「ふっ…」って息を漏らした。
「痛い?」
「痛い…けど…繋がってるの、分かる…」
「うん…」
しばらくそのまま動かずにいた。ひなのの中が、きゅうっと俺を締めてきて。
(やばい…これ動いたら一瞬で終わる…)
「…動いていいよ」
ゆっくり腰を動かし始めた。最初はひなのが顔をしかめてたけど、だんだん表情が変わってきた。
「あ…なんか…気持ちいいかも…」
「ほんと?」
「うん…もうちょっと…動いて…」
少しペースを上げた。ひなのの声が甘くなってきて、腰が勝手に合わせてくるようになった。
「んっ…あ…っ、いい…そこ…っ」
手を繋いだ。ひなのが握り返してきて、その力の強さで気持ちいいのが分かった。
「ひなの…好き…」
「うちも…っ、好き…ずっと好きだった…っ」
繋いだ手に力が入って、ひなのが背中を反らした。
「あっ…また来る…っ」
「俺も…もう…っ」
「一緒にイこ…っ?」
ひなのを抱きしめて、最後に深く突いた。
「っ…!」
「んんっ…!」
体中から力が抜けるような快感が走って、ひなのの中で全部出した。ひなのも同時にイったみたいで、中がぎゅうぎゅう締まってきて、頭が真っ白になった。
しばらく二人とも動けなかった。
「はぁ…はぁ…」
「…大丈夫?」
「うん…すごかった…」
ゴムを外して処理して、隣に寝転がった。ひなのが俺の腕の中に収まってきた。
「ねえ」
「ん?」
「…もう一回、したい」
「え、もう?」
「だって4年も我慢してたんだよ…?足りないに決まってるでしょ」
(4年の我慢って、そういう方向の我慢もあったんか…)
正直、俺ももう一回したかった。さっきは初めてだったから余裕がなくて、全然ひなのを気持ちよくさせられてない気がしてた。
2回目は、さっきよりずっと余裕があった。
ひなのの体をちゃんと見て、触って、どこが気持ちいいのか確かめながらした。ひなのも最初の緊張がほぐれて、自分から腰を動かしてくるようになった。
今度はひなのが上に乗ってきて、ゆっくり腰を揺らした。
「ん…っ、これ…自分で動くのって…こんな気持ちいいの…」
俺はひなのの腰に手を添えて、下から突き上げた。
「あっ、やっ…奥…当たって…っ」
ひなのが俺の胸に手をついて、トロンとした目で見下ろしてきた。さっきまで泣いてた目が、今は完全に蕩けてた。
(こんな顔、俺しか知らないんだ)
その事実だけで頭がどうにかなりそうだった。
「ひなの…好き…まじで好き…」
「んっ…言わないで…イっちゃう…っ」
好きって言われるとイきそうになるって、なんだよそれ。可愛すぎるだろ。
ひなのを引き寄せてキスしながら、下から突き上げるペースを速めた。
「あっ、あっ…だめ…もう…っ」
「一緒にイこ」
「うん…っ、イく…っ!」
2回目の絶頂は、1回目よりずっと長くて深かった。ひなのが俺にしがみついて、体を震わせてた。俺もひなのの中で出して、そのまま抱きしめ続けた。
しばらくして時計を見たら、もう1時を過ぎてた。
「ねー、お腹すかない?」
「言われたらすいてきた」
「カップ麺あるよ」
二人でキッチンに行って、カップヌードルを食べた。ひなのは俺のTシャツだけ着てて、そのだらしない格好がやけに色っぽかった。
「ねぇ、大学…東京やめて同じとこにしようかな」
「は?やめろよ、お前の行きたいとこ行けよ」
「でも…離れたくない」
「東京なんて電車で1時間だろ。毎週会いに行くよ」
「…ほんとに?」
「当たり前だろ。4年も待たせたんだから、それぐらいする」
ひなのが泣きそうな顔で笑った。
「ずるい…そういうこと言うの…」
カップ麺を食べ終わって、ひなのの部屋に戻った。ベッドに二人で入って、ひなのが俺の胸に頭を乗せてきた。
「今日のこと、夢じゃないよね?」
「夢だったら俺が困る」
「ふふ…」
「ねえ、明日…もう一回、祭り行こ?最終日だし」
「え、まだやってんの?」
「うん。明日も浴衣着るから」
「…今度は彼女として?」
「当たり前でしょ」
ひなのが俺の胸に顔を押し付けて、小さく笑った。
窓の外から虫の声が聞こえてた。7月の夜の生ぬるい風が、カーテンを揺らしてた。
隣にいるのは、15年間ずっと隣にいた幼馴染で、今日から俺の彼女になったやつ。
池田、ありがとな。お前のおかげでやっと気づけたわ。
…まあ、それは本人には絶対言わないけど。