右手を骨折した夏休み、クラスの一軍女子が毎日ノートを届けに来るようになった件について

これ、誰かに話したくてずっとウズウズしてたんだけど、リアルで言える相手がいないのでここに書きます。

俺のスペックから。高2、身長171、顔面偏差値は自分で言うのもアレだけど48くらい。友達は少なくはないけど多くもない、いわゆる二軍と三軍の境目みたいなポジション。千葉県の柏市に住んでて、最寄りは常磐線の南柏。部活は帰宅部。趣味はApex。まあ、どこにでもいる量産型の陰キャ寄り男子高校生です。

で、話の主役はもう一人いて。

同じクラスの宮野さん。こっちは完全に一軍。つーか一軍のトップ。橋本環奈を少しだけ大人っぽくした感じの顔で、身長は160くらい、たぶんEカップはある。(制服の上からでもわかるレベル)。女バスのマネージャーやってて、男子からの告白は月イチペースで来てるって噂だった。

そんな宮野さんと俺の接点なんて、本来ゼロに等しい。席が近いわけでもないし、同じ班になったこともない。俺が宮野さんを認識してるのは当然として、宮野さんが俺を認識してるかすら怪しかった。

そんな二人の関係が変わったのが、高2の夏休み直前。

7月の期末テスト最終日、俺は学校帰りに南柏駅の階段でコケた。原因はイヤホンしながらスマホ見てたっていう、まあ100パー自業自得なやつ。右手を変な角度でついて、橈骨の遠位端骨折。ギプスがっつり、全治6週間。

(利き手が右なんですけど…)

夏休みの補習も出られなくなって、担任から「誰かにノート借りろ」って言われたんだけど、俺の数少ない友達は全員補習免除組で、つまり補習に出てない。詰んだ。

夏休み3日目。家でダラダラしてたら、インターホンが鳴った。

母親が出て、「あんたにお客さんよ」って呼ばれて玄関に行ったら。

宮野さんが立ってた。

白いワンピースに麦わら帽子。汗でちょっと髪が額に張り付いてて、手には紙袋を持ってた。

(え…?なんで…?)

「あ、えっと…同じクラスの宮野です。骨折したって聞いて…補習のノート、届けに来ました」

「え、あ、ありがとう…ございます…?」

なんで敬語になってんだ俺。

聞けば、担任が「近所に住んでる子いないかな」ってクラスLINEに投げたらしい。で、宮野さんの家が同じ南柏で、徒歩10分くらいの距離だったと。

(いや知らなかった。つーかそんな近所に住んでたの?)

「じゃあこれ、今日の分です。お大事に」って帰ろうとする宮野さんに、母親が「暑いでしょ、麦茶でも飲んでいきなさい」って引き止めた。ありがた迷惑ってこういうことを言うんだと思った。

リビングで向かい合って座る。気まずい。俺はペットボトルのキャップすら片手で開けるのに苦労してて、宮野さんが「あ、開けようか?」って手を伸ばしてきた。

「骨折って不便だよね。ご飯とかどうしてるの?」

「左手で箸持つ練習してる…けど、まだ豆腐すら掴めない」

「あはは、それやばいね」

笑い方がすげえ自然で、ちょっとびっくりした。学校で見る宮野さんはもっとキラキラしてて近寄りがたい感じなのに、一対一だと普通の女の子だった。

その日は15分くらいで帰っていった。

で、次の日もインターホンが鳴った。

「今日の分でーす」

その次の日も。

「暑いね〜、今日の物理むずかったよ」

気づいたら、宮野さんは毎日うちに来るようになっていた。

最初は玄関先で受け渡しだけだったのが、リビングで麦茶飲むようになり、そのうちノートの内容を説明してくれるようになり、1時間くらい居座るのが普通になった。

「ねえ、ここの英語の構文なんだけど、先生がすごいわかりやすく説明してたの。えっとね…」

「お前なんで俺にそんな親切なの」

「え?担任に頼まれたからだけど?」

「いや、頼まれたのはノート届けるだけだろ。解説までしてくれなんて言われてないだろ」

「…うるさいな。いいじゃん別に」

ちょっとむくれた顔がかわいかった。(いや関係ないけど)

2週目に入ったくらいから、宮野さんは俺のことを「君」じゃなくて名前で呼ぶようになった。

「ねえ拓海、お昼まだ食べてないでしょ。コンビニでおにぎり買ってきたよ」

「え、いいよ悪いよ。金払う」

「いらない。てか片手でおにぎりのフィルム剥くの大変でしょ、やったげる」

「…ありがとう」

こういうのが続くと、勘違いするんですよ。しない方がおかしいって。

でも俺は冷静だった。冷静というか、「宮野さんは誰にでも優しいタイプなんだ」って自分に言い聞かせてた。スクールカースト下層の俺が一軍女子に好かれるとか、漫画じゃないんだから。

3週目。

その日は朝から大雨で、宮野さんは来ないだろうと思ってた。補習も休みだったし。

14時くらいに、びしょ濡れの宮野さんが玄関に立ってた。

「やっほ〜。補習は休みだったんだけど、これ返すの忘れてて」

手には俺が前に貸したマンガが1冊。

(いや、それLINEで「今度でいいよ」って言えば済む話だろ…)

「とりあえず入れよ、風邪引くぞ」って言ったら、母親が出してきたタオルで頭を拭きながら上がってきた。着替えがないので、俺のTシャツとハーフパンツを貸した。

俺の服を着た宮野さん。ぶかぶかで、袖から手がちょっとしか出てなくて。

(これは反則だろ…)

ソファに並んで座って、テレビ見てた。母親は買い物に出かけてて、家には二人きり。

「ねえ、拓海って彼女いたことある?」

「ないけど」

「え〜うそ。優しいのに」

「優しいだけじゃモテないんだよ。宮野さんは何人と付き合ったの」

「…ゼロ」

「は?嘘だろ。めっちゃ告られてるって聞いたけど」

「告白はされるけど、全部断ってるもん」

「なんで?」

「…好きな人がいるから」

沈黙。テレビからアンパンマンの再放送が流れてた。シュールすぎた。

「そいつ誰。バスケ部?」

「違う」

「じゃあ他のクラス?」

「同じクラス」

「へえ。そいつは幸せ者だな」

「…本人だけ気づいてないんだけどね」

この時の俺、マジで「誰だろう」って考えてた。佐藤かな、田中かな、って。

(今思うと本当にバカ)

その日は結局3時間くらいいて、雨が上がってから帰っていった。玄関で「じゃあね」って振り向いた宮野さんの顔が赤かったのを、俺は「暑いのかな」で片付けた。

4週目の木曜日。

ギプスが取れて、リハビリ用のサポーターに切り替わった日。

宮野さんが来て、ギプスがないのを見て「あ、外れたんだ!」って喜んでくれた。

「じゃあもうノート届けなくていいのかな」

その言葉を聞いた瞬間、胸がぎゅってなった。

「いや…まだリハビリ中だし、字書くのしんどいから…もうちょいお願いしていい?」

嘘です。もう字は書ける。ちょっと痛いけど全然書ける。

「…うん!もちろん!」

宮野さんがめちゃくちゃ嬉しそうに笑ったのを見て、俺はようやく気づき始めた。

(あれ…もしかして…いやいやいや)

でもまだ確信はなかった。

決定的だったのは、5週目の日曜日。

柏駅前のスタバで偶然会った。俺は一人で、宮野さんは女友達2人と一緒だった。

友達の一人が俺を見て「あ〜、宮野がいっつも話してる」って言いかけて、宮野さんに口を塞がれてた。

「ちょっと黙って!!」

顔が真っ赤だった。

友達がニヤニヤしながら「じゃあ私ら先帰るわ〜」って去っていって、宮野さんと二人きりになった。

「…ごめん、あの子たちうるさくて」

「いっつも話してるって…俺のこと?」

「…………うん」

「なんで?」

「なんでって…そりゃ…」

「もしかして、この前言ってた好きな人って…」

宮野さんが下を向いた。アイスラテのストローをくるくる回してる。

「…中2の時、学校の帰りに野良猫に傘さしてあげてたの見たの」

「は?」

「自分はずぶ濡れなのに、猫に傘さして。誰も見てないとこでそういうことする人なんだって思って…そこから気になって…」

「いや全然覚えてない…」

「でしょうね。拓海、私のこと今まで全然見てなかったもんね」

ちょっと寂しそうに笑った。

「毎日ノート届けてたの、半分は言い訳だよ。担任に頼まれたのは最初の3日だけ。あとは自分から行きますって言った」

「…え」

「骨折してくれてありがとうとか言ったら最低かな。でもあの事故がなかったら、たぶん一生話しかけられなかった」

俺はしばらく何も言えなかった。

頭の中がぐちゃぐちゃだった。嬉しいのか戸惑ってるのかもわからない。ただ、この1ヶ月間ずっと宮野さんが来るのを楽しみにしてた自分に、やっと正直になれた気がした。

「俺さ…カースト底辺だし、顔もよくないし、スポーツも出来ないし」

「うん」

「宮野さんとは住む世界が違うって思ってた」

「うん」

「でも、毎日来てくれるのめちゃくちゃ嬉しかった。ギプス取れた時、もう来なくなるって思って…すげえ焦った」

「…」

「俺も…たぶん、好き。たぶんじゃないな。好き」

宮野さんの目から涙がぼろぼろ出てきて、スタバの店員が心配そうにこっち見てた。

「ばか…泣くじゃん…」

「いやこっちのセリフなんだけど」

その日から、俺たちは付き合い始めた。宮野さんが「名前で呼んで」って言うから、「美月」って呼ぶことにした。

付き合い始めて5日目。夏休みも残り10日くらい。

美月が「勉強教えてほしい」ってうちに来た。母親は仕事で、弟は友達の家に泊まりに行ってて、家には誰もいなかった。

俺の部屋で並んで座って、数学の問題集を開いたんだけど。

「ねえ拓海、この問題…」

「ん?」

振り向いたら、顔がめちゃくちゃ近かった。

「…キス、してほしい」

問題集は完全にダミーだった。

(いや勉強は?)って思ったけど、正直俺もずっとしたかった。

「…いいの?」

「うん」

ぎこちないキスだった。俺も美月も初めてで、鼻がぶつかって、歯が当たって、お互い笑った。

「へたくそ…」

「お前もな」

「もう一回」

2回目は少しうまくいった。唇が柔らかくて、グロスの甘い匂いがした。3回目で舌が触れて、美月が「ん…」って小さく声を出した。

そこから止まらなくなった。

気づいたら美月をベッドに押し倒してて、でも右手がまだ完治してなくて、体を支えるのに失敗して美月の上に崩れ落ちた。

「いってえ…」

「大丈夫!?手は!?」

「あ、平気平気。ちょっと力入れすぎた」

「もう…無理しないで。ね、こっち来て」

美月が俺を引っ張って、横に寝かせた。で、自分から俺の上に乗ってきた。

「拓海は手怪我してるんだから、動かなくていいよ」

「え…」

「私がする」

顔は真っ赤だったけど、目は本気だった。

Tシャツの裾を自分で掴んで、ゆっくり脱いだ。白いブラが出てきて、俺は生唾を飲んだ。制服の上から見てた以上にでかい。

「…見ないで」

「無理だろそれは」

「…ばか」

美月がブラのホックを外した。手が震えてた。

白い肌に、形の綺麗な胸がこぼれ出てきて、俺はたぶん数秒間、息を止めてた。

「…すげえ綺麗」

「…恥ずかしいんだけど」

左手で触れたら、信じられないくらい柔らかかった。美月が「ん…」って目を閉じた。

片手しか使えないことがもどかしくて仕方なかった。でも美月は「いい、左手だけで」って言って、俺の手を自分の胸に押し付けてきた。

「ねえ…触って…もっと」

乳首が指に当たる感触がわかって、そこを親指で転がしたら、美月が声を漏らした。

「あ…やば…そこ弱い…」

上に乗ったまま、美月が腰を擦りつけてくる。薄い短パン越しに俺のが当たってるのはわかってるはずなのに、止めない。

「美月…これ以上は…」

「…したい。拓海と」

「でも、ゴムとかないし…」

「…あるよ」

美月がカバンからポーチを取り出して、中からコンドームを出した。

「…持ってきてたの?」

「…昨日ドラッグストアで買った。レジの人に変な目で見られた…」

顔がもう限界みたいに赤くて、俺は「計画的じゃん」って笑ったら、「うるさい!」って叩かれた。でもそのあとすぐ「痛くない?手」って心配されて、この子ほんとに好きだなって思った。

美月が俺のズボンを下ろしてくれた。もう完全に硬くなってるのを見て、「…おっきい」って小さく言った。(たぶんそんなでもない。比較対象がないだけ)

ゴムを俺に被せようとして、うまくいかなくて、二人で四苦八苦した。

「えっこれどっち向き…?」

「逆逆。裏表ある」

「えっ嘘、間違えた…新しいの出す…」

こういうのがリアルだと思う。AVみたいにスムーズにはいかない。

やっと装着して、美月が上に跨った。

「…入れるね」

美月がゆっくり腰を下ろしていく。途中で痛そうに顔を歪めた。

「痛い?無理すんな」

「大丈夫…ちょっとだけ…待って」

目がうるんでて、でも止める気はないみたいだった。

しばらくじっとして、美月が「もう平気」って言って、少しずつ動き始めた。

正直、ゴム越しでも信じられないくらい気持ちよかった。こんなの知らない。

「ん…あ…」

美月の声が小さく漏れるたびに、腰の奥がぞくぞくした。

左手で美月の腰を支えながら、右手は添えるだけ。情けないけど、それしかできない。

「ねえ…気持ちいい…?」

「やばい…めちゃくちゃいい…」

「…よかった」

美月が少し笑って、動きが大きくなった。

体の奥が熱くなっていく感覚があって、俺はこれが全部現実なのか信じられなかった。1ヶ月前まで会話すらなかった女の子が、今俺の上で腰を動かしてる。それが学校で一番かわいいって言われてる女の子で、しかもこいつは中2からずっと俺のことを好きだったって。

(意味わかんねえよ…)

「拓海…好き…」

「俺も…好き…」

こんなクサいセリフ、普段なら絶対言えない。でもこの瞬間は自然に出てきた。

美月の動きが速くなって、俺ももう限界だった。

「やば…もう出そう…」

「うん…いいよ…出して…」

美月が俺の手を握ってきた。左手だけど。骨折した右手じゃなくて、ちゃんと左手を。

体の芯から搾り出されるような感覚がきて、全身が痺れた。

「…っ」

ゴムの中に出しながら、美月の手をぎゅって握り返した。

しばらく二人とも動けなかった。天井のシーリングライトがぼんやり光ってて、隣の家のテレビの音が聞こえて、蝉がめちゃくちゃ鳴いてて。

美月が俺の胸に顔を埋めて、「はあ…」って長く息を吐いた。

「…痛かったけど、嬉しかった」

「…ごめんな、片手で」

「ばか。片手だからよかったんだよ」

「どういう意味?」

「片手しか使えないから、私がリードできたじゃん。普通だったら怖くてできなかった」

(…なるほどな)

美月が起き上がって、俺の右手のサポーターをそっと撫でた。

「早く治るといいね」

「…正直、もうちょい治んなくていいかも」

「なにそれ」

笑いながら軽く叩かれて、そのあともう一回キスした。

その後、もう一回した。今度は俺が横向きで、後ろから美月を抱きしめる体勢。右手は使えないけど、左腕で美月の体を引き寄せて、耳元で名前を呼んだ。

1回目よりお互い余裕があって、美月の声が甘くなって、「もっとぎゅって」って言うから左腕に力を込めた。片手しかないぶん、その片手で全部伝えようとした。

終わったあと、くっついたまま30分くらいぼーっとしてた。

「ねえ、夏休み終わったら学校でどうする?」

「…どうするって?」

「付き合ってること、言う?」

正直、怖かった。俺と宮野さんが付き合ってるって知れたら、絶対に「なんで?」って言われる。一軍女子と三軍男子。周りからどう見えるかなんてわかりきってた。

「…美月は嫌じゃないの?俺なんかと付き合ってるって思われて」

「は?」

美月が体を起こして、俺の顔を両手で挟んだ。

「拓海、一個だけ言っていい?」

「…うん」

「私がカースト一軍なのは、たまたま顔が整ってたからってだけ。自分で何か努力したわけじゃない。でも拓海は、誰も見てないとこで猫に傘さすような人じゃん」

「いや猫の話もういいって…」

「よくない。私はそういう拓海が好きになったの。一軍とか三軍とかどうでもいい。学校では私の隣歩いてよ」

泣きそうになった。ていうか泣いた。ちょっとだけ。

夏休み最終日、右手のサポーターが完全に外れた。

美月が最後のノートを届けに来て、「はい、これでお役御免です」って敬礼した。

「…1ヶ月ありがとう。マジで」

「こちらこそ。骨折してくれてありがとう」

「それは感謝するとこじゃないだろ」

「じゃあ明日から学校だね。隣、歩いてね」

「…おう」

次の日。9月1日。

校門の前で美月が待ってた。周りの目が一斉にこっちに向いた。ヒソヒソ声が聞こえた。

美月が俺の左手を掴んで、そのまま校舎に向かって歩き出した。

「おはよ、拓海」

「…おはよ」

右手の骨折は治ったけど、左手は美月に掴まれたまま。

まあ、こっちの手は当分離せそうにないけど。


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