これは去年、俺が27のときの話です。
4月の人事異動で、東京の本社から静岡の支店に飛ばされました。正確に言うと静岡市の駿河区。東京で5年住んだワンルームを引き払って、会社が用意してくれた駅から徒歩12分のアパートに引っ越した。築25年、家賃5万8千円、角部屋。まぁ、悪くはない。
ただ、知り合いが一人もいない。
同僚は全員おじさんか既婚者で、飲みに行く相手もいない。休日はNetflix見て寝るだけ。正直、めちゃくちゃ寂しかった。
唯一の楽しみが、朝のコンビニだった。
アパートから歩いて30秒のところにファミマがあって、毎朝7時15分くらいにコーヒーとおにぎりを買いに行く。で、そこにほぼ毎日、同じ女の子がいた。
ショートカットで、制服のスカートがやたら短くて、白石聖を幼くしたような顔立ち。身長は158くらいかな。細いのに出るとこ出てる感じで、制服のブラウスのボタンがちょっときつそうだった。(いや、見てないよ。見てないけど、目に入るじゃん、あの距離だと)
最初の一週間は目が合っても会釈するくらいだった。
それが変わったのは、4月の3週目。俺がレジでPASMO出したら残高不足で止まって、後ろに3人くらい並んでて、焦ってカバンの中をガサガサやってたとき。
「あ、先いいですよ。お兄さんゆっくり探してください」
後ろに並んでた彼女が、にこって笑って言ったんだよ。
普通そこはイラッとするか無視するかじゃん。なのにこの子は、自分が先に会計を済ませたあと、店の外で待っててくれた。
「見つかりました?」
「あ、うん。ありがとう、ごめんね」
「いえいえ。毎朝いますよね、お兄さん。この辺に住んでるんですか?」
「うん、すぐそこのアパート。転勤で先月から」
「えっ、まじですか。私もあそこですよ」
(は?)
聞けば、隣の201号室に住んでるらしい。俺は202。壁一枚隔てた隣人が、毎朝コンビニで気になってた女子高生だった。
マジかよ。
それからは朝のコンビニで普通に話すようになった。名前は聞かなかった。なんとなく、聞いたら一線を越える気がして。だから彼女のことは「隣の子」としか認識してなかった。
向こうは俺のことを「お兄さん」と呼んだ。
5月のゴールデンウイーク、俺は実家にも帰らず一人でアパートにいた。夜の8時くらいに部屋でカップ焼きそば食ってたら、玄関のチャイムが鳴った。
ドアを開けたら、隣の子がジャージ姿で立ってた。
「すみません…Wi-Fiのルーターが壊れたっぽくて。課題の提出、今日の24時までなんですけど…ちょっとだけネット使わせてもらえませんか」
「え、うん、いいけど…」
断る理由がなかった。というか、断れるわけがなかった。
部屋に上げると、彼女はノートパソコンを抱えてちょこんと座った。俺の狭いワンルーム、テーブルは一個しかないから、必然的に隣に座ることになる。
Wi-Fiのパスワードを教えて、彼女がカタカタやってる間、俺はどうしていいかわからなくてテレビをつけた。
「お兄さん、一人暮らしですよね。寂しくないですか?」
「まぁ…正直寂しいよ。知り合いいないし」
「私もです。お母さん、夜勤多くて。平日はほとんど一人」
「そうなんだ」
「だから朝コンビニでお兄さんに会えると、ちょっと安心するんですよね」
その言い方がなんか…ずるかった。
課題が終わったあとも、彼女は帰らなかった。テレビで『水曜日のダウンタウン』の録画を一緒に見て、ケラケラ笑って、気がついたら23時を回ってた。
「そろそろ帰んなよ。明日学校でしょ」
「うん…あの、また来ていいですか?」
「Wi-Fi使いたいとき?」
「ううん。お兄さんと話したいとき」
(…………)
いやいやいや。俺は27歳の社会人で、この子は高校生で、隣人で、これは絶対にまずい。頭ではわかってる。わかってるんだけど、「いいよ」って言ってしまった。
それから週に2、3回、彼女は俺の部屋に来るようになった。
最初はリビングでテレビ見たり、俺が作った(というかレトルトを温めた)カレーを一緒に食べたり。彼女は「お兄さんの料理おいしい」って言ってくれたけど、レトルトだからね。ボンカレーだからね。
6月に入って、梅雨。彼女の訪問頻度が上がった。雨の日は特に。
「雨の音聞いてると不安になるんです。一人だと」
そう言って、俺の部屋のソファ(というか、床に置くタイプの座椅子)に座って、膝を抱えてた。その姿が妙に幼くて、守ってやりたいと思ってしまった。
(いかんいかん。こういう感情は危険だ)
ある日、彼女が学校帰りに直接俺の部屋に来た。まだ制服のままで。
「お兄さん、今日誕生日なんです、私」
「え、まじ?おめでとう。何歳になったの?」
「18」
「18か…」
「お母さん今日も夜勤で。誰にもおめでとうって言われてなくて」
「友達は?」
「LINEでは来たけど…直接言われたのお兄さんが初めて」
なんか胸がぎゅっとなった。18の誕生日に、隣の部屋のおっさんが最初の「おめでとう」って、どうなんだよそれ。
「ケーキ買ってくるよ。何がいい?」
「えっ、いいんですか!?ショートケーキ!」
近所の不二家でショートケーキを2個買って帰った。ろうそくはなかったから、彼女がスマホのライトを点けて「ふー」って吹き消す真似をした。
「お兄さん」
「ん?」
「名前、教えてもらっていいですか?もうお兄さんって呼ぶの変かなって」
「…翔太」
「翔太さん。私、ひなたです」
初めて名前を交換した瞬間、なんか空気が変わった。それまで「お兄さんと隣の子」だった関係が、急に個人と個人になった感じ。
(やばいな、これ)
自分の感情がどっちに転がってるか、わかりたくなかった。
7月。静岡の夏は東京より湿度がえぐい。エアコンが古いアパートでは、窓を開けないとやってられない日があった。
ある土曜の昼、俺がベランダで洗濯物を干してたら、隣のベランダにひなたが出てきた。キャミソールにショートパンツ。
「あ、翔太さん。暑いですね」
「暑いね…」
(目のやり場に困る。マジで)
鎖骨のラインとか、キャミソールから透けるブラの紐とか、汗で首筋に張り付いた髪とか。全部、見ちゃいけないのに目が勝手に追う。
「今日、暇ですか?駅前にかき氷の店できたんですけど」
二人で歩いて駅前のかき氷屋に行った。静岡駅の南口から5分くらいのところにある、古民家を改装した店。彼女はマンゴー、俺は宇治抹茶。
彼女がかき氷を食べてるとき、唇にシロップがついて、それを舌でぺろって舐めたのを見て、俺は(あ、これもう好きだわ)と気づいてしまった。
気づいたというか、認めざるを得なくなった。
でも、だからどうする。27と18。社会人と高校生。隣人。どう考えてもアウトだろ。
帰り道、商店街のアーケードを歩いてるとき、急に雨が降ってきた。7月の静岡の夕立。ものの30秒でどしゃ降りになって、二人で近くの雑居ビルの軒下に逃げ込んだ。
「きゃっ、濡れた…」
彼女のキャミソールが雨で肌に張り付いて、下着の形がくっきり見えた。本人も気づいたのか、慌てて腕で胸元を隠す。
「…俺のシャツ羽織って」
薄手のシャツを脱いで渡した。Tシャツ一枚になった俺も濡れてたけど、まぁ男だからいい。
「ありがとうございます…」
シャツを羽織った彼女が、俺の方を見上げた。距離が近かった。30センチもなかった。
雨音がうるさくて、彼女が何か言ったけど聞こえなかった。
「え?」
「…翔太さんのにおいがする」
(……やめてくれ)
心臓がばくばくしてた。ここでキスしたら終わりだ。本当に終わる。俺は大人だろ。しっかりしろ。
雨がやんで、何事もなかったみたいにアパートまで帰った。でも、何事もなくはなかった。彼女のことが頭から離れなくなった。
それから俺は距離を置こうとした。
コンビニに行く時間を7時半にずらした。部屋に来ても「今日は仕事が」と断った。LINEの返信も遅らせた。(LINEはいつの間にか交換してた。Wi-Fiの件で)
3日くらい経った夜、ドアがノックされた。
開けると、ひなたが泣いてた。
「私、なにかしましたか…?」
「いや、何も」
「嘘。急に冷たくなった。朝も会えないし、LINE も全然返ってこないし」
「ひなた、俺は…」
「わかってます。年齢のこと気にしてるんでしょ」
図星だった。
「18になったら関係ないって、自分で調べました」
「そういう問題じゃなくて…」
「じゃあ何が問題なんですか」
「俺が…お前のこと好きになってるから、距離置かないとまずいんだよ」
言ってしまった。
言うつもりなかったのに、泣いてる顔見たら、もう取り繕えなかった。
彼女がぽかんとした顔で俺を見て、それから泣きながら笑った。
「…それ、私に言っちゃだめなやつじゃないですか」
「だから言いたくなかったんだよ」
「私も好きです。ずっと。コンビニで最初に会ったときから」
彼女が一歩、部屋の中に入ってきた。ドアが閉まった。
「翔太さん」
「…入んなよ。本当にまずいから」
「まずくないです」
彼女が俺のTシャツの裾を掴んだ。
「私が来たいから来てるんです。誰にも迷惑かけてない。翔太さんが好きで、翔太さんに触りたくて来てるんです」
俺の理性が、音を立てて崩れた。
気がついたら彼女を抱きしめてた。細い体だった。腕の中にすっぽり収まるくらい小さくて、でも確かにあったかくて。
「ごめん…もう我慢できない」
「我慢しなくていいです」
キスした。最初はそっと。唇が触れただけ。でも二回目から我慢できなくなって、舌を入れた。彼女の舌がぎこちなく動いて、それがまたたまらなかった。
「ん…翔太さ…」
キスしながら、壁際まで押し込んでた。背中が壁に当たって、彼女が小さく声を上げた。
「痛くない?」
「大丈夫…もっとして」
制服のリボンを外した。ブラウスのボタンを一つずつ外していく。手が震えてた。27にもなって手が震えるとか、情けないにもほどがある。
でも仕方ないだろ。こんな状況、想定してないんだから。
ブラウスを脱がせると、白いブラジャーだった。レースとかじゃなくて、シンプルな白。それが逆にリアルで、ぞくっとした。
「…でかいな」
「えっ…そこ言います?」
「いや、褒めてる」
「Eです…最近またちょっと大きくなって、制服きつくて」
(Eて。道理でボタンきつそうだったわけだ)
ブラのホックを外すと、ふわって揺れた。形が綺麗で、先端がほんのりピンクで。
「触っていい?」
「…はい」
両手で包み込むように触れた。柔らかい。なんだこの柔らかさ。
指先で先端をなぞると、彼女が息を詰めた。
「あっ…そこ、敏感で…」
口に含んだ。舌で転がすと、彼女の手が俺の頭を掴んだ。
「んんっ…翔太さ…やば…」
立ったままだときついから、ベッドに移動した。彼女を仰向けに寝かせて、スカートに手をかける。
「脱がすよ」
「…うん」
スカートをずり下ろすと、下着も白だった。統一感。(いや、そういうことじゃなくて)
太ももが白くて、内側がちょっとぷにっとしてて。
下着の上から触れると、もう濡れてた。指先に湿り気が伝わってきて、俺の中で何かのスイッチが入った。
「あ…見ないで…恥ずかしい」
「ごめん、無理」
下着をずらして、直接触った。指を滑らせると、ぬるっとした感触。
「ひっ…あ、そこ…」
クリに触れた瞬間、彼女の腰が跳ねた。太ももで俺の手を挟み込んできて。
「だめ…直接やばい…っ」
「気持ちいい?」
「気持ちいいけど…強い…もうちょっと優しく…」
力を弱めて、ゆっくり円を描くように触った。彼女の呼吸がだんだん荒くなって、目がとろんとしてきた。
「あっ…あっ…翔太さん…なんか…やばい…」
指を中に入れた。一本。きつくて熱くて、彼女が俺の肩を掴んだ。
「ん…ぁっ…」
ゆっくり動かしながら、もう一本追加した。中を探るように曲げると、彼女の声が高くなった。
「あっ、そこ…!そこ気持ちいい…っ!」
「ここ?」
「うんっ…そこ…やば…もう…っ」
体を震わせて、彼女がイった。俺の指をきゅっと締め付けて、太ももをぴんと伸ばして。しばらくびくびく痙攣してた。
「はぁ…はぁ…すご…自分でするより全然…」
(自分でしてるんだ、という情報は一旦置いておこう)
彼女が体を起こして、俺のズボンに手を伸ばしてきた。
「翔太さんも…してあげたい」
「いいよ、無理しなくて」
「無理じゃないです。したいんです」
ズボンとパンツを下ろされて、もうとっくにガチガチだったのが露わになった。
「…おっきい」
「普通だと思うけど…」
「私、初めてだからわかんないけど…」
彼女がおずおずと握ってきた。指が細くて、冷たくて。ゆっくり上下に動かし始める。
「っ…」
「これで合ってますか…?」
「うん…いい…」
しばらく手で触ってたあと、彼女が急に顔を近づけてきた。
「あの…口で、してみてもいいですか」
「え、いいの?」
「やってみたい…動画とかで見たことあるし」
(動画で予習してきたのか…)
彼女の唇が先端に触れた瞬間、電気が走った。ぎこちなく舐めて、ちょっとずつ口に含んでいく。
「ん…んっ…」
歯が当たったり、リズムがバラバラだったりしたけど、それがむしろ興奮した。初めてなんだな、って実感できて。この子が俺のために一生懸命やってくれてるんだ、って思ったら、鳥肌が立った。
「ひなた…上手い…」
「ほんとですか…?嬉しい…」
嬉しそうに笑って、また咥えた。今度はさっきより深く。
「やば…ちょっと…もう出そう…」
「出していいですよ…?」
「口の中はやめとくよ…」
彼女の口から抜いて、手で仕上げた。彼女のお腹の上に出してしまった。
「ごめん…ティッシュ…」
「大丈夫です。…すごい量…」
拭きながら、彼女がなんかまじまじと見てるのが恥ずかしかった。
少し休んで、横になって向かい合った。
「翔太さん」
「ん」
「…最後まで、してほしい」
「……本気で言ってる?」
「本気です」
「初めてなんだろ」
「だから翔太さんがいいんです。知らない人とかじゃなくて…好きな人と初めてがいい」
(これ断れる男いる?いたら教えてくれ)
ゴムはあった。一応。引っ越しのときに、前の部屋から持ってきたやつが引き出しの奥に。期限はギリギリセーフだった。
装着して、彼女の上に覆いかぶさった。
「痛かったら言って。すぐ止めるから」
「うん…」
ゆっくり入れていった。先端が入った瞬間、彼女が目をぎゅっと瞑った。
「っ…痛い…」
「止める?」
「ううん…大丈夫…ゆっくりなら…」
少しずつ、ミリ単位で進めた。彼女の手が俺の背中を掴んで、爪が食い込んだ。
「はぁ…はぁ…全部…入った…?」
「うん、全部」
「…中にいる」
その一言が、なんかものすごく来た。中にいる。そう、俺はこの子の中にいる。信じられなかった。1ヶ月前まで「コンビニでよく会う子」だったのに。
「動くよ」
「うん…」
ゆっくり腰を引いて、また押し込む。最初の数回は彼女の顔が痛そうで、キスして気を紛らわせた。
「ん…あっ…痛い、けど…なんか…」
「気持ちいい?」
「わかんない…でも、やめないで…」
しばらく続けてたら、彼女の声が変わった。痛みの声じゃなくて、甘い声に。
「あっ…翔太さん…気持ちいい…かも…」
「よかった…」
ペースを少し上げた。彼女が俺の首に腕を回してきて、密着した状態で動く。耳元で彼女の吐息が聞こえて、頭がくらくらした。
「あっ…あっ…好き…翔太さん…好き…っ」
「俺も…ひなたが好きだ…」
こんなこと言うつもりなかった。でも嘘じゃなかった。この瞬間、確実に好きだった。
「あっ…やば…またなんか来る…っ」
「イきそう?」
「うんっ…翔太さんも…一緒に…」
「わかった…俺も…もう…」
彼女の中がきゅっと締まって、俺ももう限界だった。最後に深く突いて、ゴムの中に全部出した。
「あぁっ…!」
二人とも力が抜けて、そのまま重なった状態でしばらく動けなかった。
「…はぁ…はぁ…」
「大丈夫だった?」
「大丈夫…っていうか…すごかった…」
「痛くなかった?」
「最初だけ。途中から気持ちよくなった…翔太さんが優しかったから」
彼女が俺の胸に顔をうずめた。
「翔太さん、心臓すごいですね」
「そりゃそうだよ…」
「ふふ。私もですよ。ほら」
俺の手を取って、自分の胸に当てた。確かにドクドク言ってた。(おっぱいの感触じゃなくて心臓の音に集中しろ、俺)
しばらくそのまま抱き合ってた。エアコンの効いた部屋で、裸で抱き合って、彼女の髪のシャンプーのにおいを嗅いでた。
「翔太さん」
「ん?」
「もう一回…したい」
2回目は彼女から求めてきた。今度は彼女が上に乗って、ゆっくり自分のペースで動いた。さっきより余裕があるのか、表情がちゃんと見えた。目が潤んでて、頬が紅潮してて、時々恥ずかしそうに目をそらす。
「こうやって…上から見ると…翔太さんの顔ちゃんと見えるから…恥ずかしい…」
「俺もだよ…」
2回目はもう痛みはないみたいで、最初から甘い声を出してた。俺は下から腰を持って、リズムを合わせた。
「あっ…んっ…やば…さっきより…」
さっきより感じてるのがわかった。声が大きくなって、動きが速くなって。
「ひなた…中で出していい…?ゴムしてるから…」
「うん…出して…中に…」
最後は彼女がぐっと腰を押し付けてきて、俺もそのまま果てた。彼女も同時にイったみたいで、俺の上に崩れ落ちてきた。
「はぁ…はぁ…もうだめ…動けない…」
「俺も…」
時計を見たら深夜1時を過ぎてた。
「帰れる?」
「隣だから…でも…今日は…ここにいちゃだめですか」
「…いいよ」
俺のTシャツを貸して、二人でベッドに収まった。シングルベッドに二人だから狭いけど、彼女が俺にくっついてるから問題なかった。
「翔太さん」
「ん」
「私、翔太さんの彼女ですか?」
「……そう、なるのかな」
「なるのかな、じゃなくて。なりたいです」
「…俺もだよ」
「じゃあ彼女ですね。明日からも隣にいますね」
隣の部屋の、隣のベッドの、隣に。こいつ距離感のバグがすごい。でも嫌じゃなかった。全然嫌じゃなかった。
翌朝、二人で朝のコンビニに行った。いつものファミマ。彼女はメロンパン、俺はコーヒーとおにぎり。
レジの前で、彼女が俺の腕にそっと触れた。
「翔太さん、PASMO大丈夫ですか?」
「チャージしたよ、さすがに」
「ふふ。あのときPASMO止まってなかったら、私たち話してなかったかもしれないですね」
確かにそうだ。PASMOの残高不足が全部の始まりだった。
静岡に飛ばされて最悪だと思ってたけど、今はちょっとだけ、この異動に感謝してる。
ちょっとだけね。