これ書くかどうか正直めちゃくちゃ迷ったんだけど、もう時効かなと思って投稿します。
俺、26歳。東京の荻窪にある小さいIT企業でSEやってます。身長171cm、体重は聞かないでほしい。顔面偏差値は中の下ぐらい。要するにフツーの、どこにでもいるやつです。
事の発端は去年の10月。会社帰りに荻窪駅の階段で足を滑らせて、右足首を骨折しました。しかも粉砕骨折。プレート入れる手術が必要で、杉並区内の総合病院に入院することになったんです。
手術自体は無事に終わって、あとはリハビリしながら骨がくっつくのを待つだけ。暇すぎてNetflix見まくる毎日が始まりました。
入院3日目の夜。消灯過ぎて、隣のベッドのおっさんのいびきがうるさくて全然眠れなかった。
深夜2時ぐらいかな、点滴の交換でナースが来たんです。
カーテン越しに「失礼します」って小さい声が聞こえて、ペンライトの薄い光に照らされた横顔を見た瞬間、心臓がぎゅっとなった。
(…え?)
丸い目に、少しだけ上がった鼻先。今田美桜をもうちょい素朴にした感じっていうのかな。身長は160cmぐらい。ナース服の上からでもわかる細いウエストと、それに不釣り合いなぐらいしっかりした胸。
でも、そんなことより。
(この人、知ってる…気がする)
名札を見ようとしたけど、暗くて読めない。でもあの目の形、見覚えがある。
(どこで会った…?中学?高校?いや、高校は男子校だったから…中学か…)
翌朝、担当の看護師さんが挨拶に来ました。日勤の年配の方で、夜勤とは別の人。
昼間のリハビリ中、ずっと昨夜のナースのことを考えてた。松葉杖の練習しながら、中学の卒アルを実家の母親にLINEで写真撮って送ってもらうっていう、我ながらキモいことをした。
母親に「なんで?」って聞かれて「いや、ちょっと」としか答えられなかったです。
卒アルの写真がLINEで届いて、3年2組のページを拡大した。
いた。
「宮野咲良」
3年間同じクラスだった。でも正直、そこまで親しくはなかった。地味めな子で、いつも図書室にいるイメージ。文化祭の準備で一回だけ同じ班になったことがある。
そのとき、暗幕を運ぶのを手伝ってて、体育館の裏の暗い通路で彼女が怖がって、一瞬だけ手を握ってきたんだ。すぐ離されたけど。あれは中3の秋だった。
それ以降、卒業まで特に何もなく、高校は別々。連絡先も交換してなかった。
その夜、また夜勤で彼女が来た。
今度はちゃんと名札が見えた。「宮野」。間違いない。
「あの…宮野さん?」
彼女の手がぴたっと止まった。
「え…」
「俺、桐ヶ丘中の。3年2組だった、安藤」
数秒の沈黙。ペンライトの光の中で、彼女の目がみるみる大きくなった。
「…安藤くん?うそ、安藤くんなの?」
「マジでびっくりした。昨日の夜、点滴替えに来てくれたのも宮野さんだよね?」
「そう…だけど、全然気づかなかった…。暗かったし…」
彼女は少し慌てた様子で、点滴の管を確認しながら、でも口元がほころんでた。
「え、ちょっと待って。安藤くんって東京にいたの?」
「うん、大学から。宮野さんは?看護師になったんだ」
「うん…。今年からここで。まだ全然慣れなくて…」
(新人ナースか…。なんか、中学のときの雰囲気とあんまり変わってないな)
彼女は地味だったけど、よく見るとすごく整った顔をしてた。中学のときは眼鏡をかけてたからわからなかったけど、コンタクトにしたのか、今は眼鏡なし。それだけで全然印象が違う。
「あ、ごめん。他の患者さんも回らなきゃだから…また明日ね」
「おう。…なんか嬉しいわ、知ってる人がいると安心する」
「…うん。私も」
小さく笑って、彼女はカーテンの向こうに消えた。
次の日から、宮野さんが夜勤の日が妙に楽しみになった。自分でも(いやいや、入院中に何浮かれてんだよ)って思ったけど。
彼女が夜勤のときは、消灯後にちょっとだけ話すのが習慣になった。他の患者が寝静まった深夜のナースステーション横の小さい談話スペースで、俺は松葉杖で移動して、彼女は巡回の合間に5分だけ。
「安藤くんってSEなんだ。パソコンとか得意だったもんね」
「そんなイメージあった?」
「うん。技術の授業でプログラミングやったとき、先生より詳しかったじゃん」
「よく覚えてんな…」
「覚えてるよ。…結構いろいろ」
その言い方が妙に引っかかったけど、深く聞けなかった。
入院して10日目ぐらい。リハビリは順調で、あと1週間ぐらいで退院できるって言われた。
(あと1週間か…)
嬉しいはずなのに、なんか寂しいなって思った自分に気づいて、(いや、それはさすがに…)ってなった。
その夜、宮野さんが巡回に来たとき、ちょっといつもと様子が違った。目が赤い。
「どうした?泣いてた?」
「…ううん。なんでもない」
「嘘つくの下手だな、昔から」
「…先輩にすごい怒られて。点滴の速度間違えちゃって…患者さんには影響なかったんだけど…」
「新人なんだからミスぐらいするだろ。つーか、こんな深夜に働いてるだけで偉いよ」
「…ありがと。安藤くん、優しいね。昔から…」
「別に優しくはないけど」
「優しいよ。文化祭のとき…体育館の裏で私が怖がったとき、手…握ってくれたでしょ」
ドキッとした。覚えてたんだ。しかも俺の記憶では彼女が握ってきたんだけど…まあ、どっちからともなくって感じだったのかもしれない。
「あれ覚えてんの」
「…覚えてるに決まってるじゃん」
なんかその声が震えてて、俺は何も言えなくなった。
それから2日ぐらい、宮野さんの夜勤がなかった。シフトの都合だと思うけど、妙にそわそわした。(マジで俺どうしたんだ。入院中のナースに惚れるとか、ドラマの見すぎか?)
でも冷静に考えると、中学で知ってた子と13年ぶりに再会して、毎晩話して、それで気にならない方がおかしいんじゃないかとも思った。
退院3日前の夜。宮野さんが夜勤で戻ってきた。
「安藤くん、来週退院なんだよね」
「うん。木曜に」
「…そっか」
沈黙。
「あのさ、退院したら飯でも行かない?」
自分でもびっくりするぐらい自然に出た。
「…え?」
「いや、元同級生だし。久しぶりに会ったんだし。普通にメシぐらい行くだろ」
必死に「普通のこと」感を出そうとしてる自分がダサすぎた。
「…うん、行きたい」
彼女がちょっと笑った。ペンライトの逆光で表情がよく見えなかったけど、声が嬉しそうだったのはわかった。
退院の日、宮野さんは日勤だった。
受付で精算してるとき、後ろから声をかけられた。
「安藤くん」
振り返ると、白衣姿の宮野さんが小さいメモを差し出してきた。LINEのIDが書いてあった。
「これ…。ご飯の約束、忘れないでね」
「忘れるわけないだろ」
宮野さんが耳まで赤くなったのを見て、(あ、これマジなやつだ)って思った。
退院して2週間後、ギプスが取れて松葉杖も片方だけになったタイミングで、荻窪駅の近くの居酒屋で会った。
私服の宮野さんを初めて見た。白いニットにデニムのスカート。中学のときのジャージ姿しか知らなかったから、ギャップがすごかった。
(えっ、こんなスタイル良かったっけ…)
髪を下ろしてて、ゆるく巻いてあって。今田美桜に似てるって思ったのは間違いじゃなかった。
「あ、安藤くん!足…大丈夫?」
「おう、だいぶ良くなった。てか宮野さん、私服だと全然イメージ違うな」
「え、変?」
「いや、綺麗だなって」
「…っ!そういうこと言うんだ…//」
居酒屋で生ビールを頼んで乾杯して、中学の頃の話になった。
「宮野さんっていつも図書室にいたよな」
「うん…。友達少なかったし」
「でも文化祭の準備のとき、めちゃくちゃテキパキしてたの覚えてるよ。段取りうまいなって思った」
「…そんなとこ見てたの?」
「まあ同じ班だったし」
「私ね、あの班になったの…実は自分で希望出したの」
「え?」
「安藤くんがいる班がよかったから…」
ビールのグラスを持つ手が一瞬止まった。
「…それって」
「好きだったの。中学のとき、ずっと」
唐突だった。居酒屋のざわざわした空気の中で、彼女の声だけがやけにクリアに聞こえた。
「…マジで?」
「マジで。でも地味だったし、安藤くん他の子と仲良かったし、言えなかった」
「いや、俺だって別にモテてたわけじゃ…」
「卒業のとき告白しようって決めてたんだけど…結局できなくて。そのまま13年経っちゃった」
彼女が笑ったけど、目が潤んでた。
(13年…。俺がNetflix見ながらだらだらしてた入院生活の裏で、こんな話があったのかよ)
正直、心臓がバクバクしてた。嬉しいのと、申し訳ないのと、信じられないのとが全部混ざって。
「俺さ…入院中、退院するのが嫌だって思ったんだよ」
「…え?」
「宮野さんに会えなくなるのが嫌だった。それって多分…そういうことだと思う」
ちゃんと「好き」って言えない自分がほんとにダサいなって思ったけど、宮野さんは目にいっぱい涙をためて、でも笑って。
「…13年越しに両思いってこと…?」
「俺の方はここ2週間ぐらいだけどな」
「もう…っ」
泣き笑いで、彼女がおしぼりで目を押さえた。隣のテーブルのサラリーマンがチラッとこっち見たけど、知らん。
居酒屋を出て、荻窪の駅前を歩いた。11月の夜で、かなり冷えてた。
「安藤くんの家って近いの?」
「駅から5分ぐらい。…来る?」
「……うん」
俺のアパートは1Kの狭い部屋で、正直人を呼べる状態じゃなかった。慌てて脱ぎっぱなしのパーカーをクローゼットに突っ込んで、コーヒーを淹れた。
宮野さんはベッドの端に座って、部屋をきょろきょろ見てた。
「安藤くんの部屋…本棚すごいね」
「技術書ばっかだけどな」
「ふふ、やっぱりそういうとこ変わんないんだ」
コーヒーを渡して、隣に座った。狭いベッドだから、肩が触れる距離。
沈黙が降りて、なんか空気が変わった。
「…宮野さん」
「…咲良でいいよ」
「…咲良」
名前を呼んだら、彼女が俺の方を向いた。潤んだ目と、少し開いた唇。
(これ、キスしていいやつだよな…?いや待て、俺の方から?でもさっき告白みたいなことしたし…いや告白だったのかあれ…)
頭の中がぐるぐるしてる間に、咲良が目を閉じた。
もう迷ってる場合じゃなかった。
唇を重ねた。柔らかくて、少しビールの味がした。
「ん…」
離そうとしたら、咲良がシャツの裾を掴んできた。
「…もうちょっとだけ」
もう一度キスして、今度は長く。舌が触れたとき、咲良が小さく「んっ」って声を出して、その声で頭の中が真っ白になった。
気づいたら咲良の腰に手を回してた。ニット越しに触れる体が柔らかくて、温かくて。
「…これ以上は…止まれなくなるけど」
「…止まらなくていい」
その声が、小さいけどはっきりしてた。
ニットの裾に手を入れた。直接触れた肌が想像以上に滑らかで、指先がぴりぴりした。
咲良がニットを自分で脱いだ。白いブラから覗く胸の谷間を見て、思わず息を飲んだ。
「…ナース服のときわかんなかったけど…でかいな…」
「やめて…恥ずかしい…」
「いや、褒めてんだけど。…触っていい?」
「……うん」
ブラの上から触れたら、想像以上に柔らかかった。Eカップぐらいはある。手に収まりきらない。
背中に手を回してホックを外すと、咲良が腕で胸を隠した。
「…見ないで」
「見るに決まってんだろ。13年待ったんだぞ」
「待ってたのは私の方なんだけど…」
腕をそっとどかして、ブラを外した。形のいい胸が露わになった。薄いピンクの先端がもう少し尖ってて。
直接触れると咲良が体をびくっとさせた。
「んっ…」
乳首を指で転がすと、咲良が目をぎゅっと閉じて、シーツを握った。
「感じる?」
「…当たり前でしょ…っ」
怒ったような、でも甘い声。その反応がたまらなくて、口に含んだ。
「あっ…ん…」
咲良の手が俺の髪を掴んだ。痛いぐらいに。
片手をスカートの中に滑り込ませると、下着の上からでもわかるぐらい濡れてた。
「…もうこんなに?」
「…言わないで。わかってるから…」
下着をずらして直接触れると、咲良が声を抑えようとして唇を噛んだ。
「声、出していいよ。壁厚いから」
嘘です。壁めちゃくちゃ薄いです。でもそう言ったら咲良が少しだけ力を抜いて。
「あ…っ、そこ…」
クリを指で円を描くように触ると、腰が浮いた。反応が素直で、俺まで興奮した。
指を1本入れると、きつく締まってくる感覚があった。
「んんっ…安藤くん…」
「もう安藤くんじゃなくてよくない?」
「…じゃあ…なんて呼べばいいの…?」
「名前でいいよ。翔太」
「…翔太くん…」
その呼び方がなんかたまらなくて、指の動きが速くなった。
「あっ、やっ…そんな急に…っ」
「ごめん。名前呼ばれたら止まれなくなった」
「…ばか…っ」
指を2本に増やして、中を探るように動かした。奥の方の少しざらついた部分に触れると。
「あっ…!そこ…だめ…っ」
「だめ」って言ってるのに、腰は押し付けてくる。
「翔太くん…なんか…変になる…」
「変になっていいよ」
「あっ、あっ、あ…っ!」
咲良の体がびくんと震えて、指をきゅっと締め付けてきた。太ももが閉じて、俺の手を挟み込む。
「はぁ…っ、はぁ…」
目の端に涙が光ってて、頬が真っ赤で。ナースステーションでてきぱき働いてる姿とのギャップがえぐかった。
「…私も…触りたい」
咲良が起き上がって、俺のズボンのベルトに手をかけた。少し手が震えてた。
ズボンとボクサーを下ろされて、もうとっくに硬くなってたものが出てくると、咲良が一瞬固まった。
「…おっきい…」
「普通だよ多分」
「…わかんないけど…」
おずおずと手で握ってくれて、ゆっくり上下に動かし始めた。慣れてない動きがかえって刺激的で。
「っ…」
「気持ちいい…?」
「うん…いい」
「…こうした方がいいかな…」
先端を親指で撫でるように触ってきて、思わず声が出た。
「っあ…それやばい…」
「看護師って手先は器用なんだよ…?」
冗談っぽく言って少し笑ったけど、耳は真っ赤。このギャップがこの子の魅力だなって思った。
しばらくお互いに触れ合ってたけど、もう限界だった。
「咲良…したい」
「…うん」
「ゴム…あったかな…」
ベッドサイドの引き出しを漁って、だいぶ前に買ったやつが出てきた。使用期限をチェック。大丈夫。
装着して、咲良の上に覆いかぶさった。
(信じられない。中学のときの同級生と、こうなるなんて)
入り口に先端を当てると、咲良が目をぎゅっと閉じた。
「…入れるよ」
「うん…ゆっくりね…」
ゆっくり押し入れると、きつくて熱い感覚が先端を包んだ。
「んっ…!」
「痛い…?」
「…大丈夫。ちょっとだけ待って…」
目を閉じたまま深呼吸してる咲良を見て、(無理させちゃダメだ)と思って動かずに待った。
少しして、咲良が目を開けて小さくうなずいた。
奥まで入れると二人同時に声が漏れた。
「あ…っ」
「やば…っ。すごい締まる…」
ゆっくり動き始めると、咲良が俺の背中に腕を回してきた。
「ん…っ、あ…っ」
少しずつペースを上げていく。咲良の声が段々大きくなって、耳元で喘がれると理性が削られる。
「翔太くん…気持ちいい…っ」
「俺も…やばい…」
中学のとき、図書室の隅で本を読んでたあの子が、今俺の腕の中で声を上げてる。13年って何なんだろうって、そんなことが頭をよぎった。
「もっと…奥…」
腰の角度を変えて、深く突くと。
「あああっ…!そこっ…」
足を俺の腰に絡めてきて、密着度が上がる。
「もう出そう…」
「うん…っ、いいよ…っ」
「っ…!」
腰を押し付けて、中で達した。ゴム越しでも、咲良の中の熱さがわかった。
「んんっ…」
「はぁ…はぁ…」
抜いた後、しばらく二人とも動けなかった。
咲良が俺の胸に頭を預けてきた。心臓の音、聞こえてるだろうなって思ったけど、もう隠すこともない。
「…ねえ翔太くん」
「ん?」
「中学のとき…体育館の裏で手を握ったの…私からだよ」
「やっぱそうだったんだ」
「怖かったのは本当だけど…それ以上に、握りたかったの。好きな人の手」
胸が詰まった。13年前の体育館の裏の暗い通路。あの一瞬は、彼女にとってはそういう一瞬だったんだ。
「もっと早く気づけばよかったな」
「ううん。今でよかった」
咲良が顔を上げて、ちょっと泣きそうな顔で笑った。
「…もう1回…してもいい?」
俺が答える前に、咲良が起き上がって俺の上に跨った。
(2回目を自分からねだる子だとは思わなかった。…っていうか、新人ナースの体力なめてた)
新しいゴムをつけて、咲良が自分で腰を下ろしてきた。
「ん…あ…」
さっきより抵抗なく入っていって、奥まで収まると咲良が小さく息を吐いた。
上から見下ろす咲良の表情。髪が頬に張り付いて、目がとろんとしてて。さっきまで泣きそうだった目が、今は完全に蕩けてた。
「自分で動くね…」
ゆっくり腰を上下に動かし始めた。1回目と違って、咲良の方から積極的で。
「あっ…翔太くん…っ」
俺は下から胸を掴んだ。揺れるたびに手の中で形が変わる感覚。
「咲良…えろい…」
「そんなこと言わないでっ…」
恥ずかしがりながらも腰は止めない。それどころか段々速くなってきて。
1回目よりも大胆な彼女に、(これが本当の咲良なのかもしれない)って思った。13年間ずっと「地味で大人しい子」だと思ってた。でも本当はこういう激しさを持ってたんだ。
「あっ、やば…っ、イきそ…っ」
「いいよ、イって」
「翔太くんも…一緒に…っ」
「っ…うん…!」
咲良が腰を押し付けたまま、体を震わせた。中がぎゅっと締まって、俺もそのまま達した。
「あああ…っ!」
「くっ…」
咲良がそのまま俺の上に崩れ落ちてきた。汗ばんだ肌が重なって、心臓の音が二つ聞こえる。
「はぁ…はぁ…」
「…大丈夫か」
「…うん。…ねえ、翔太くん」
「なに?」
「付き合ってとか、まだ言われてないんだけど」
(あっ。)
そういえば、居酒屋では「そういうことだと思う」みたいなぼんやりした言い方しかしてなかった。
「…付き合ってください」
「順番おかしいよね。やること先にやっちゃって」
「すみません…」
「ふふ。…うん、よろしくね。翔太くん」
それから、咲良の夜勤明けに俺の部屋に来るのが定番になった。
あの夜から半年以上経った今も、付き合ってます。
先月、咲良が夜勤明けにうちに来て、コーヒー飲みながら言った言葉がまだ耳に残ってる。
「骨折してくれてありがとう、って言ったら怒る?」
「荻窪駅の階段に感謝だよ、まじで」
13年前の文化祭の夜、握った手のぬくもりを、俺はずっと忘れてたのに。
彼女はずっと覚えてた。
それだけで、13年分の空白は全部チャラだなって、今は思ってます。