これ、書くかどうかめちゃくちゃ迷ったんだけど、もう時効かなと思って書きます。
高2の秋の話。俺のスペックは身長172、顔面偏差値は「普通よりちょい下」ぐらい。髪型でなんとかごまかしてるタイプ。彼女いない歴イコール年齢で、まあ察してください。
で、母親が再婚したんですよ。相手は会社の上司で、バツイチ。娘がひとりいるって聞いてた。
正直、母親が幸せならいいかなぐらいにしか思ってなかった。新しい父親になる人も、挨拶のとき普通に感じ良かったし。
問題はその娘――義妹のほうだった。
顔合わせの日、横浜のファミレスで初めて会ったとき、(嘘だろ…)って思った。
橋本環奈を少し大人っぽくした感じ。身長は158ぐらいで、目がでかくて、まつげが異常に長い。制服じゃなくて私服だったんだけど、白いニットの上からでもわかるぐらい胸があった。あとで知ったけどEカップ。高2で。意味がわからない。
しかも同い年。しかも転入先が俺と同じクラス。
(いや、詰んでない?これ)
新しい家は相鉄線の二俣川駅から徒歩8分のマンション。3LDKで、俺と義妹――以下、ユキって呼ぶけど――の部屋は廊下を挟んで向かい。
引っ越し初日、段ボールを運んでたら廊下でユキとすれ違った。
「あ、お兄さん。これどこ置けばいいかな」
「え、あー…リビングでいいんじゃない」
「ありがと」
それだけ。ユキは淡々としてた。愛想がないわけじゃないけど、距離を測ってる感じ。まあ俺もそうだったから、お互い様だ。
転入初日、担任が「新しい家族なんだって?仲良くな」とか余計なことを言ったせいで、クラス中がザワついた。
「よろしくお願いします」
ユキは教壇の前でぺこっと頭を下げた。男子の視線が一斉にユキに集まったのがわかった。そりゃそうだ。あの顔であの体だもん。
で、席が後ろだった俺に、ユキが振り返ってきた。
「ねえ、消しゴム貸して。忘れた」
「…はい」
これが最初の「貸して」だった。
そっからユキの「貸して」攻撃が始まった。
シャーペンの芯、体育の授業のタオル、英語の辞書、充電器。毎日なにかしら借りにくる。最初は(こいつ忘れ物多すぎだろ…)って呆れてたんだけど、ある日気づいた。
ユキ、俺以外には絶対頼まないんだよ。
クラスの女子に聞いたら「ユキちゃん、めっちゃしっかりしてるよ?忘れ物とか見たことない」って言われて、(え?)ってなった。
その日の帰り道。二俣川駅からの坂道を並んで歩いてるとき、聞いてみた。
「お前さ、忘れ物そんなにしないだろ。なんで俺にばっか借りにくんの」
「…別に。お兄さんが一番近いから」
「席、隣じゃないけど」
「近いってそういう意味じゃないし」
意味深なこと言って、ユキはスタスタ先に行ってしまった。
(なんだよそれ…)
11月に入って、中間テストが近づいてきた。ユキは理系科目が苦手らしく、数学と物理でかなり苦戦してた。
ある夜、自分の部屋で勉強してたら、ノックもなしにドアが開いた。
「お兄さん、数学教えて」
「…ノックしろよ」
「した。聞こえなかっただけ」
(してないだろ絶対…)
ユキはパジャマ姿だった。薄いグレーのスウェット上下で、ノーブラなのが見てわかった。いや、Eカップがノーブラで目の前に座ったら気づかないほうが無理でしょ。
「ここ。微分のとこがわかんない」
「あー、ここはな…」
必死に胸を見ないようにしながら教えた。ユキは意外と飲み込みが早くて、30分ぐらいで理解してた。
「ありがと。お兄さん教えるの上手いね」
「どういたしまして。もう戻れよ」
「…もうちょっといていい?」
「え?」
「自分の部屋、まだなんか落ち着かなくて」
そう言って、ユキは俺のベッドに腰かけた。いや、なんで俺のベッド?
「椅子あるけど」
「ベッドのほうがいい」
反論を許さない目だった。俺は机に向き直って、自分の勉強を再開した。
背中にユキの視線を感じながら。
こういうのが週3ぐらいで続いた。数学を教えて、終わったらユキが俺のベッドでしばらくゴロゴロして、眠くなったら自分の部屋に戻る。
親たちはリビングにいるから、別に二人きりでも怪しまれない。義理のきょうだいが勉強教え合うなんて普通のことだし。
ただ、俺のほうがだんだんおかしくなってきた。
ユキのシャンプーの匂いがベッドに残るんですよ。朝起きたとき枕からユキの匂いがして、(うわ、やばい)ってなる。洗えよって話なんだけど、なんか…洗えなかった。
ある日、ユキが俺の部屋に来たとき、ちょっとした事件が起きた。
いつもみたいに数学を教えてて、ユキが問題を解いてる横で俺が丸つけしてたんだけど、ユキが消しゴムで答えを消そうとしたとき、手が触れた。
別にそんなの今までもあったんだけど、その日はユキが手を引かなかった。
「…」
「…」
数秒、どっちも動かなかった。ユキの指が俺の手の甲の上に乗ってる。薄くて、冷たい指。
「…あ、ごめん」
ユキが先に手を引いた。耳が赤かった。
(…いや、待て。これは意識しちゃダメだろ。義妹だぞ)
自分に言い聞かせたけど、心臓がバクバクしてた。
12月、期末テスト前。ユキの「貸して」のバリエーションがエスカレートしてきた。
「お兄さん、膝貸して」
「は?」
「頭痛い。保健室行くほどじゃないけど」
リビングのソファで、親がいないタイミングだった。ユキはそのまま俺の太ももに頭を乗せてきた。
髪がさらさらと広がって、甘い匂いがした。横から見るユキの顔は、まつげが長くて、鼻筋が通ってて、唇が薄くピンクで、(こんな近くで見たの初めてだな…)って思った。
「…お兄さんの膝、硬いね」
「文句言うなら自分の部屋で寝ろ」
「やだ」
5分ぐらいで寝息が聞こえてきた。起こせなかった。
ユキが寝てる間、俺はずっと天井を見てた。(これ、好きなのか?義妹を?いや、ないだろ。環境のせいだ。同い年の女が同じ屋根の下にいたら意識するに決まってる。それだけだ)
…それだけだと思いたかった。
決定的だったのはクリスマスイブだった。
親たちは二人で横浜中華街にディナーに行って、家には俺とユキだけ。リビングでNetflix観てた。
「お兄さん、あったかい飲み物貸して」
「飲み物は貸すもんじゃないだろ」
「じゃあちょうだい」
ココアを二つ作って戻ると、ユキがブランケットにくるまってた。
「ありがと。…ねえ、入っていい?」
ブランケットの端を持ち上げてる。つまり一緒に入れってこと。
(いや、それはさすがに…)
でも断る理由が見つからなかった。いや、あったんだけど、「義妹だから」って口に出したら、それこそ意識してるのがバレる気がした。
「…寒いしな」
ブランケットに入った。ユキとの距離、たぶん10センチぐらい。腕が触れるか触れないか。
映画は『ラブ・アクチュアリー』だった。クリスマスイブにこのチョイスはずるいだろ。
途中でユキが俺の肩にもたれてきた。
「…お兄さんさ」
「ん?」
「うちのこと、妹だと思ってる?」
「…義妹だろ。戸籍上は」
「そういうことじゃなくて」
ユキが顔を上げた。目が潤んでた。
「うち、お兄さんのこと兄妹だと思ったこと一回もないよ」
「…」
「消しゴムも、シャーペンも、膝も。全部口実。お兄さんに近づきたかっただけ」
知ってた。たぶん、途中から気づいてた。気づいてて、気づかないフリをしてた。
「ユキ、俺たち――」
「家族でしょ?って言うなら、もう遅いよ。だって最初から家族じゃなかったもん」
正論だった。俺たちは血が繋がってない。17年間、赤の他人として生きてきて、親の都合で3ヶ月前に同じ家に住み始めただけだ。
でも、それでも。
「親にバレたら終わるぞ」
「…バレなきゃいい」
「そういう問題じゃ――」
ユキがキスしてきた。
不意打ちだった。柔らかい唇が俺の唇に重なって、頭が真っ白になった。
3秒ぐらいで離れて、ユキが不安そうな顔で俺を見てた。
「…怒った?」
怒ってない。全然怒ってない。むしろ心臓が破裂しそうだった。
「怒ってない。…けど、もう一回していい?」
ユキの目が見開いた。それから、泣きそうな顔で笑った。
「…うん」
今度は俺からキスした。ゆっくり、確かめるように。ユキの手が俺のパーカーの裾を掴んだ。
「ん…」
唇を離すと、ユキが俺の首に腕を回してきた。
「お兄さん…部屋、行こ?」
「…親、何時に帰ってくる?」
「LINEで11時って言ってた。まだ2時間ある」
俺の部屋に入って、ドアを閉めた。鍵をかけた音が妙に大きく聞こえた。
ベッドに並んで座ると、さっきまでの勢いが嘘みたいに、二人とも黙った。
「…緊張してきた」
「俺も」
「お兄さんは経験あるの?」
「…ない」
「うちも」
沈黙。
「…じゃあ、二人とも初めてか」
「そうだね」
ユキがくすっと笑った。その笑い方がかわいくて、なんか力が抜けた。
「ごめん、リードとか全然できないと思う」
「いいよ。…お兄さんとなら、ぐだぐだでもいい」
キスした。さっきより長くて、途中からユキの舌が入ってきた。ぎこちなかったけど、それが逆にリアルで、(ああ、本当にしてるんだな)って実感が湧いた。
ユキのスウェットの裾に手を入れた。肌が柔らかくて、少しひんやりしてた。
「ん…冷たい」
「ごめん」
「いい。すぐあったかくなる」
背中に手を這わせると、ブラのホックに触れた。
「…外していい?」
「…うん」
両手で外そうとしたけど、全然外れない。
「ふふ、下手くそ」
「うるさい、初めてなんだよ」
ユキが自分で後ろに手を回して外してくれた。スウェットの下からブラを抜き取って、ベッドの横にぽいっと投げた。
その状態でまたキスして、俺は恐る恐る胸に手を伸ばした。
スウェット越しに触れた感触が柔らかすぎて、(これEカップか…)って場違いなことを考えた。
「直接…触って」
ユキが自分でスウェットを脱いだ。部屋の薄暗い照明の下で、白い肌と、形のいい胸が見えた。
(やばい。これ現実か?)
「…すごいな」
「なにが」
「いや、全部」
「…ばか」
ユキの顔が真っ赤だった。
手のひらで包むように触ると、指が沈み込んで、ユキが小さく声を漏らした。
「ん…」
乳首を親指で撫でると、ぴくっと体が跳ねた。
「あ…そこ、敏感…」
「ここ?」
「んっ…うん…」
キスしながら胸を触り続けた。ユキの呼吸がだんだん荒くなって、俺のTシャツの裾を引っ張ってきた。
「お兄さんも…脱いで。うちだけ恥ずかしい」
Tシャツを脱ぐと、ユキがじっと俺の体を見た。
「…意外とちゃんとしてるね、体」
「一応、部活で鍛えてたから」
「うん…いい」
ユキが俺の腹筋に手を置いた。その手が、ゆっくり下に降りていく。
ズボンの上から触れられた瞬間、息が止まりそうになった。
「…大きくなってる」
「当たり前だろ…こんなことされて」
「…触っていい?」
「…うん」
ユキがズボンとパンツを下ろして、手で握ってきた。ぎこちない手つきだったけど、ユキの手が触れてるってだけで頭がおかしくなりそうだった。
「え、これ…大きくない?普通これぐらいなの?」
「比較対象がないからわかんない…」
「…そっか」
ユキがゆっくり動かし始めた。たどたどしい手の動きが、逆にたまらなかった。
「ユキ…俺もユキに触りたい」
ユキがこくっとうなずいて、自分でスウェットのズボンを脱いだ。白い下着だけになったユキを見て、喉が鳴った。
下着の上から触れると、もう湿ってた。
「あっ…」
「濡れてる…」
「言わないで…恥ずかしい…」
下着をずらして、直接触った。ぬるぬるしてて、ユキが太ももを閉じようとしたけど、俺の手を挟んだまま力が抜けていった。
「んぁ…そこ…いい…」
小さく突起したところを指で撫でると、ユキの体がびくっと震えた。
「あっ…お兄さん…上手い…」
「初めてなのに上手いわけないだろ…」
「でもっ…気持ちいい…っ」
お互い、手探りだった。でも手探りだからこそ、相手の反応をいちいち確認して、「ここ?」「もうちょい上」みたいなやりとりが自然に生まれた。エロい雰囲気と、初めて同士のぎこちなさが混在してて、なんか不思議な空気だった。
「あっ…やば…なんか来る…っ」
ユキの足がぴんと伸びて、俺の腕を掴んで、体を震わせた。
「んんっ…」
しばらくして、ユキが荒い息で俺を見た。
「…いった、かも」
「かも、って」
「初めてだからわかんないの…でも、すごかった」
ユキがもぞもぞと体を起こして、俺の胸に額を押し付けてきた。
「ねえ…最後まで、したい」
「…ゴム、ない」
「…うちの部屋にある」
「え?なんで持ってんの」
「…お兄さんとこうなるかもって、思ってたから」
(計画犯かよ…)
でもその用意周到さに、むしろ安心した。ユキが自分の部屋からコンドームの箱を持ってきた。薬局で買ったやつ。
「…ありがと」
「変な感謝しないで」
つけるのにまた手間取った。ユキが見守ってるのが恥ずかしかったけど、なんとか装着。
「入れるよ…痛かったら言って」
「うん…」
ゆっくり入れていった。ユキが顔をしかめた。
「っ…痛い…」
「やめる?」
「やめないで。…ゆっくりなら大丈夫」
少しずつ、本当に少しずつ入れた。ユキが俺の背中に爪を立てて耐えてるのがわかった。
「…全部、入った?」
「うん…大丈夫?」
「うん…動かないでいて。…慣れるから」
1分ぐらい、繋がったまま動かなかった。ユキの内側の温かさに包まれてて、これだけで頭がぼうっとした。
「…いいよ。動いて」
ゆっくり腰を動かした。ぎこちないリズムだったけど、ユキの表情が少しずつ変わっていった。痛みから、別の何かに。
「んっ…あ…」
「痛くない?」
「ううん…なんか…気持ちいいかも…」
「かも、ばっかだな」
「初めてなんだから許してよ…っ」
少しペースを上げた。ユキが俺の首に腕を回してきて、耳元で小さく声を漏らした。
「あっ…お兄さん…」
「ユキ…」
名前を呼び合うだけで、なんかもう限界が近かった。初めてだから当然なんだけど。
「やばい…もう出そう…」
「うん…いいよ…」
腰を密着させて、ユキの中で果てた。ゴム越しでも、射精の瞬間の感覚は頭の芯が痺れるようだった。
「はぁ…っ」
「…出た?」
「うん…ごめん、早くて」
「いいよ。…初めて同士だし」
ユキが笑って、俺の頬にキスした。
そのまましばらく抱き合ってた。廊下の向こうにユキの部屋があって、リビングには誰もいなくて、二俣川の夜は静かだった。
「ねえ…もう一回、したい」
「…もう?」
「さっき、途中から気持ちよかったの。…もうちょっと、ちゃんと感じてみたい」
今度はユキが上になった。見下ろしてくるユキの表情が、さっきまでの不安げな顔じゃなくて、もっと大胆で、でもどこか照れてて、(この子、こんな顔するんだ)って思った。
「自分で動くから…見てて」
ゆっくり腰を落としてくるユキを見てたら、もう完全に理性なんかどこかに消えてた。
「んっ…あ、この角度…いいかも…」
さっきとは違って、ユキが自分で気持ちいいところを探してる感じだった。目を閉じて、眉を寄せて、小さく唇を噛んで。
「あっ…あっ…お兄さん…っ」
「ユキ…すげえ…」
下から腰を合わせると、ユキの声がワンオクターブ上がった。
「だめっ…そこ当たるっ…」
「いいの?やめる?」
「やめないでっ…もっと…っ」
ユキの胸が目の前で揺れてて、手を伸ばして掴んだ。ユキが甘い声を上げた。
「あっ…やば…また来る…っ」
「俺も…っ」
「一緒に…っ」
ユキが俺に覆いかぶさるように倒れてきて、唇が重なった。そのままお互い、ほぼ同時にイった。
「んんっ…!」
ユキの中がぎゅっと締まって、もう抗えなかった。
しばらく、二人とも息を整えるのに必死だった。ユキが俺の胸の上でぐったりしてて、汗ばんだ肌がくっついてた。
「…最高だった」
「…うん」
「ねえ、うちたちこれからどうすんの」
「…わかんない。でも、もう戻れないだろ」
「戻りたくない」
「俺も」
ユキが体を起こして、時計を見た。
「やば、もう10時過ぎてる。片付けなきゃ」
慌ててシャワーを浴びて、ゴムの処理をして、部屋を元に戻した。ユキが自分の部屋に戻る直前、廊下で振り返った。
「お兄さん」
「ん?」
「…明日も、何か貸してね」
にこっと笑って、ドアが閉まった。
親が帰ってきたのは11時ちょっと前だった。リビングで何食わぬ顔でスマホをいじってた俺に、母親が「ユキちゃんと仲良くしてる?」って聞いてきた。
「まあ…普通に」
「普通」ではないんだけど。全然「普通」ではないんだけど。
翌日から、ユキの「貸して」は続いた。でも意味が変わった。
学校では今まで通り、消しゴムやシャーペンの芯。でも家では、「体温貸して」とか言ってくっついてくるし、親がいない隙にキスしてくるし、週末はまた俺の部屋に来て、また最後まで。
誰にも言えない関係。ばれたら家庭が壊れる。わかってた。
でもユキの「貸して」を断れる日は、たぶんもう来ない。
今でもLINEの通知が「お兄さん」で始まると心臓が跳ねる。俺たちは大学生になった今も続いてて、お互い一人暮らしだから、もう「貸して」の口実はいらなくなった。
でもユキは今でもたまに言う。
「ねえ、今夜の時間、貸してくれない?」
…断れるわけないだろ。