これ書いていいのかな、ってずっと迷ってた。でも誰かに話さないと頭おかしくなりそうなので書きます。
俺は26歳、都内のIT企業でバックエンドのエンジニアやってる。顔面偏差値は48くらい。よく言えば「清潔感はある」、悪く言えば「何の特徴もない」タイプ。身長172で体重63、服はユニクロとGUのローテ。まあ要するにフツメンです。
で、登場人物を整理すると、親友のタカシ(仮名)と、タカシの彼女のミホ(これも仮名)。タカシとは大学のプログラミングサークルからの付き合いで、社会人になってからも月イチで飲む仲。ミホはタカシが社会人2年目のときに合コンで捕まえた1個下の子で、付き合って1年半くらいだった。
ミホは、顔は今田美桜にちょっと似てる感じの、目がくりっとした系。身長158くらいでCカップくらい?(後で知った)。髪はミディアムの暗めの茶色で、笑うと八重歯がちらっと見える。正直、タカシにはもったいないだろって初めて会ったとき思った。タカシには絶対言わなかったけど。
事の始まりは去年の10月。金曜の夜、仕事終わりに中目黒の家に帰ってきたら、マンションのエントランスにミホが座ってた。
(…え?)
俺の家、タカシに教えたことはあるけど、ミホには教えた覚えない。
「ミホちゃん?なにしてんの、こんなとこで」
「あ……ごめん、急に。タカシくんに聞いて来ちゃった」
目が赤かった。泣いてたのは明らかだった。
「とりあえず上がる?外寒いし」
「……いいの?」
「いいもなにも、こんなとこ座ってたら通報されるよ」
我ながらデリカシーのない返しだったと思う。でもミホは少し笑って、「たしかに」って言って立ち上がった。
部屋に上げて、とりあえずお茶を出した。1Kの狭い部屋だから、俺はデスクチェアに座って、ミホにはソファを譲った。
「タカシくんとケンカしちゃって」
「あー……何があったの?」
「仕事が忙しいのはわかるんだけど、もう3週間くらい会えてなくて。LINEしても既読つかないし、電話も出ないし。で、今日やっと繋がったと思ったら『今忙しいから』って5秒で切られて」
「まあ……タカシ、今プロジェクトの追い込みだからな」
「それはわかるの。でもさ、5秒って何? 私のこと何だと思ってるの?って」
正直、タカシの気持ちもわかる。あいつ繁忙期になると本当に人間やめるから。でもミホの言い分もそりゃそうだよな、とも思った。
「タカシは不器用なだけだよ。悪気はないと思う」
「……うん、わかってる。わかってるんだけどね」
そう言って、ミホはソファにもたれた。しばらく無言の時間が流れた。俺はなんて声かけていいかわからなくて、とりあえずNetflixつけた。『全裸監督』の続きが途中だったんだけど、さすがにそれはまずいと思って適当にドキュメンタリーに変えた。
(なんでこの状況で俺がNetflixのジャンル選びに悩まなきゃいけないんだよ)
30分くらいして、ミホが「ありがとう、落ち着いた」って言って帰っていった。俺はタカシにLINEで「ミホちゃん来たぞ、ちゃんと連絡してやれよ」と送った。タカシからは「マジか、ごめん。来週ちゃんと会う」と返ってきた。
それで終わりだと思ってた。
翌週の金曜。仕事帰りにファミマで夜飯のパスタを買って帰ったら、またエントランスにミホがいた。
「……また?」
「また」
「タカシと会ったんじゃないの?」
「会ったよ。30分だけ。で、また忙しいからって帰された」
ミホの目は今回は赤くなかった。でも、なんていうか、疲れた顔をしてた。
「飯、食った?」
「……食べてない」
「パスタ2個買ってきたから食う? レンチンだけど」
「いいの? ありがとう……」
こうして、金曜の夜にミホが来る、という謎のルーティンが始まった。
3週目からはもうエントランスじゃなくて、LINEで「今日行っていい?」と来るようになった。断る理由が特になかったし、正直に言うと、俺も一人の金曜の夜に誰かがいるのは悪くなかった。
(いや待て、それダチの彼女だからな?)
自分にツッコミを入れつつも、結局毎週OKしてた。
4週目か5週目くらいから、ミホはうちの冷蔵庫の中身を把握し始めた。「卵切れてるよ」とか「この醤油もう古いから買い替えたほうがいい」とか。いつの間にか料理も作ってくれるようになって、レンチンパスタの金曜が、ミホの手料理の金曜に変わった。
「はい、肉じゃが」
「え、うまっ……なにこれ」
「普通の肉じゃがだよ?」
「いや俺の知ってる肉じゃがと違うんだけど。なんで?」
「ちゃんとみりんと酒入れてるから。あと面取りしてる」
「面取りって何?」
「じゃがいもの角を削るの。煮崩れしないように」
「すげえ……」
(これタカシ食ってんのかな、もったいねえな)
タカシには定期的に「ミホちゃん来てるけど大丈夫?」と報告してた。タカシは毎回「ごめんな、助かる」と返してきた。罪悪感はなかった。まだこの時点では。
変わったのは、12月に入ってからだった。
その日は特に寒くて、ミホが来たときにはもう22時を回ってた。いつも通り飯を食って、Netflix見て(最近は韓ドラにハマってた、俺が)、23時くらいにミホが帰ろうとした。
「じゃあ帰るね。ありがとう」
「電車あるの?」
ミホは駒場東大前の方に住んでて、中目黒からだと乗り換えもあるし、終電ギリギリだった。
「あー……やばい、もうないかも」
「タクシーで帰る?」
「……お金ないの今月」
(え、じゃあどうすんの)
「まあ……ソファでよければ泊まってく?」
「……ほんとにいい?」
「いいよ。毛布出すから」
タカシにLINEした。「ミホちゃん終電なくなったからうち泊まるわ」。既読はつかなかった。
ミホにはジャージと大きめのTシャツを貸した。俺のサイズだからぶかぶかで、それがなんか……いや、なんでもない。
「ねえ、これどのくらいの頻度で洗ってる?」
「着るたびに洗ってるよ」
「えらい。タカシくん1週間着っぱなしだよ」
「それは言うな。俺はあいつの味方もしなきゃいけない立場なんだから」
ミホが笑った。八重歯が見えた。
(やめろ。かわいいと思うな)
その夜、ミホはソファで寝落ちした。俺はベッドに入ったけど、なかなか寝つけなかった。隣の部屋……っていうかワンルームだから同じ部屋に、ダチの彼女が寝てる。この状況、冷静に考えてだいぶおかしくないか?
翌朝、先に起きてコーヒーを淹れてたら、ミホが毛布にくるまったまま起きてきた。
「……おはよう。コーヒーいい匂い」
寝起きの声がちょっとハスキーで、髪がぼさぼさで、目が半分しか開いてなくて。
(かわいい、って思った自分をぶん殴りたい)
「砂糖とミルクは?」
「ブラックで」
「お、かっこいいじゃん」
「えへへ」
この「えへへ」が、やたら頭に残った。
泊まりが1回だけならよかった。でも12月は忘年会シーズンで、ミホが来る日に終電を逃すパターンが3回続いた。3回目にはもう「泊まりの毛布」がソファの定位置になってた。
年末、タカシと久しぶりに二人で飲んだ。高円寺の安い焼き鳥屋。
「お前さ、ミホちゃんにもうちょい時間作ってやれよ」
タカシはビールを飲みながら、「わかってる」と言った。でもその目は画面に向いてた。Slackの通知を見てた。
「今も仕事かよ」
「1月リリースだから年末年始もないんだわ」
「ミホちゃん、結構限界来てると思うぞ」
タカシは箸を止めて、俺を見た。
「なんでお前がそんなにミホのこと詳しいの?」
心臓が一瞬止まった気がした。
「いや……お前が忙しいとき、うちに来てグチ聞いてるから」
「そっか。ごめんな、ほんと」
タカシは申し訳なさそうに笑った。疑ってる感じはなかった。でも俺は、自分が何をやましく感じてるのか、この時はっきり自覚した。
年が明けて1月。正月休みが終わった最初の金曜、ミホからLINEが来た。
「タカシくんと別れた」
「……マジで?」
「うん。電話で30秒で終わった。『ごめん、今は無理』って。笑っちゃった」
「今どこにいるの」
「中目黒」
(……もうエントランスか)
案の定、マンションの前にいた。今回は泣いてなかった。でも顔色が悪くて、唇がちょっと紫で、めちゃくちゃ寒そうだった。
部屋に上げて、ホットココアを出した。
「ありがとう……」
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃないけど、大丈夫」
「何それ」
「わかんない。でもここに来たら落ち着くかなって思って」
その言葉の意味を、俺は深く考えないようにした。考えたらまずい気がした。
「ねえ」
「ん?」
「私がここに来るの、迷惑?」
「迷惑じゃないよ」
「ほんとに?」
「ほんとに」
ミホが俺の目をじっと見た。3秒くらい。それから視線を逸らして、ココアを飲んだ。
「……タカシくんに言われたの。『お前はもう、俺より向こうに居場所作ってるだろ』って」
(それ、俺のこと言ってんのか)
「タカシがそう言ったの?」
「うん。別れ際に。最後だけちゃんと喋ったの」
沈黙。エアコンの音だけが聞こえてた。
「否定、できなかった」
俺の心臓がうるさかった。多分ミホにも聞こえてたんじゃないかってくらい。
「ミホちゃん」
「うん」
「俺は……タカシの友達だから」
「うん、知ってる」
「だから、今は何も言わない」
「……うん」
その夜もミホはソファで寝た。俺はベッドで天井を見てた。何も言わない、って言ったのは正しかったはずだ。でも「今は」って付けたのは、どういうつもりだったのか。自分でもわからなかった。
1週間後の金曜。ミホは来なかった。LINEも来なかった。
土曜も日曜も来なかった。
月曜になって、自分から送ってた。「元気?」って。
(情けな……何やってんだ俺)
返事は火曜の朝に来た。「元気だよ。ちょっと整理してた。また行っていい?」
金曜、ミホが来た。いつもの時間、いつもの「行っていい?」のLINE。でも何かが違った。ミホがスカートだった。いつもジーンズかワイドパンツなのに、黒のタイトスカートにニットを合わせてた。あと、香水。微かにだけど、いつもと違う匂いがした。
(これ、気づかないフリしたほうがいいのか?)
「今日はご飯作らなくていい?」
「あ、いや、カレー作った。俺が」
「え、作れるの?」
「バカにすんなよ。バーモントカレー中辛だぞ」
「それルー溶かしただけでしょ」
「玉ねぎ飴色にしたから」
「あはは、えらいえらい」
カレーを食べた。ミホは「おいしい」って3回言ってくれた。多分お世辞も混ざってたけど、嬉しかった。
食べ終わって、ソファに二人で座った。いつものNetflix。でも画面見てなかった。二人とも。
「ねえ」
「うん」
「タカシくんと別れて、3週間経った」
「……うん」
「もう『今は』じゃない?」
心臓が口から出るかと思った。こいつ覚えてたのか。いや、そりゃ覚えてるか。俺が言ったことなんだから。
「……ミホちゃんは、それでいいの? 俺なんかで」
「俺なんかで、っていうの、やめて。私はずっとここに来てたの。タカシくんのグチを言うためだけじゃなくて」
「……」
「途中からわかってた。自分が何しに来てるのか。でも認めたくなかった。だってタカシくんの彼女だったから」
ミホの目が潤んでた。でも泣いてはなかった。
「レンチンのパスタ出してくれたとき、なんか泣きそうになった。あったかいもの食べなよ、って。タカシくんには一回も言われたことなかったから」
「それはタカシが悪い」
「ちがう、そうじゃなくて。あなたが優しいの」
あなた、って呼ばれたの初めてだった。いつも「ユウくん」って呼んでたのに。
距離が近くなってた。いつの間にか。ソファが狭いとか、そういうレベルじゃなく。ミホの膝が俺の太ももに触れてた。ニットの袖から出た手が、俺の手のすぐ隣にあった。
「俺さ、タカシと飲んだとき、あいつに『お前はもう向こうに居場所作ってるだろ』って言われたの、知ってる?」
「さっき言ったじゃん」
「あれ聞いたとき、タカシに申し訳ないって思ったのと同時に……ちょっとだけ嬉しかった。最低だろ」
「……最低だね」
「だよな」
「私も最低だよ。彼氏いるのに、毎週別の男の家に通ってたんだから」
二人で笑った。自嘲だった。
「ねえ」
「うん」
「キス、してほしい」
頭の中でタカシの顔がよぎった。「ごめんな、助かる」って笑ってた顔。
でも俺の体は、もう止まらなかった。
ミホの頬に手を添えて、ゆっくり唇を重ねた。柔らかかった。ココアの匂いがした。さっき飲んでたやつの。
「ん……」
短いキスだった。離れて、お互いの顔を見た。
「……もう一回」
今度は長かった。ミホの手が俺のTシャツの裾を掴んで、俺の手はミホの腰に回ってた。舌が触れたとき、ミホが小さく震えた。
「ベッド……行く?」
「……うん」
(いいのか、本当に。タカシの彼女……いや、元カノだ。もう元カノなんだ)
自分に言い聞かせてた。都合のいい理屈だってわかってた。でも止められなかった。
ベッドに座ったミホのニットに手をかけた。ミホが自分で脱いだ。白いブラだった。飾り気のない、でもレースがちょっとだけ入ってるやつ。
「……恥ずかしい」
「見ていい?」
「見てるじゃん、もう」
ブラを外した。思ってたより柔らかそうで、形がきれいだった。薄いピンクの乳首がちょっとだけ上を向いてて、触れたらミホが息を飲んだ。
「あ……」
「感じる?」
「わかんない……でも、心臓ばくばくする」
俺もだよ、って言いたかったけど声が出なかった。
スカートのジッパーを下ろして、ゆっくり脱がせた。黒のショーツの上から触ると、もう少し湿ってた。
「やっ……直接はまだ……」
「わかった、ゆっくりでいい」
この「ゆっくりでいい」が、自分で言っておいてなんだけど、どんどん嘘になっていった。ミホの体が近すぎて、匂いが近すぎて、肌が触れるたびに頭がぼんやりしてく。
ショーツの上から指を動かすと、ミホが腰を少し浮かせた。
「ん……っ、そこ……」
布越しでも反応がわかった。指を押し当てると、ミホが俺のTシャツを強く掴んだ。
「脱がすよ」
「……うん」
ショーツを下ろした。ミホが脚を閉じようとしたのを、膝に手を添えてゆっくり開いた。
「きれいだよ」
「嘘……こんなの恥ずかしいだけだよ……」
直接触れた。濡れてた。指を滑らせるたびにミホの体がびくって反応した。
「あっ……、ん……そこ、気持ちいい……」
クリに指を当てて、小さく円を描くように動かした。ミホの呼吸がどんどん荒くなっていく。
「だめ……なんか……変な感じ……」
「いっていいよ」
「え、でも……あっ、あ、まって、まっ……」
ミホが俺の肩にしがみついて、体を震わせた。脚がきゅっと閉じて、俺の手を挟んだ。
「はぁ……はぁ……」
「大丈夫?」
「……なんか、すごかった」
ぼーっとした顔のミホが、俺を見上げた。
「ねえ……ユウくんも脱いで」
俺のTシャツとジーンズを、ミホが脱がせてくれた。手が震えてた。ミホの手が。ボクサーの上から俺のを触って、「おっきい……」って小さく言った。
(いやそんなデカくないんだけどな)
でもその反応が嬉しくて、変なとこで自尊心が満たされた。
「ゴム、ある。つけるね」
「……うん」
引き出しからコンドームを出した。買ったのいつだっけ。半年前? まさかこの状況で使うとは思ってなかった。
装着して、ミホの上に覆いかぶさった。入口に先端を当てると、ミホが目をぎゅっと閉じた。
「力抜いて」
「抜いてる、つもり……」
ゆっくり入れた。きつかった。ミホが「い……っ」って声を漏らして、俺の背中に爪を立てた。
「痛い?」
「ちょっとだけ……でも、大丈夫。動いて」
ゆっくり腰を動かした。ミホの中があったかくて、絡みついてきて、頭がおかしくなりそうだった。
(これ、タカシとしてたのかな)
最悪のタイミングで最悪なことを考えた。でもその思考が、逆に「もう戻れない」って覚悟みたいなものに変わった。
「ん……あ、そこ……いい……」
「ここ?」
「うん……もうちょっと強く……」
ミホの脚が俺の腰に巻きついてきた。密着して、額をくっつけて、目を合わせたまま動いた。
「ユウくん……」
「うん」
「好き……」
その言葉で一気に来た。やばい、って思ったけどもう止まらなかった。
「俺も……っ、やばい、イきそ……」
「いいよ……きて……」
奥まで押し込んで、全身の力が抜けるみたいにイった。ゴム越しでも脈打つのがわかった。ミホが俺を抱きしめて、しばらくそのままだった。
「……」
「……泣いてるの?」
「泣いてない」
泣いてた。なんで泣いてるのか自分でもわからなかった。気持ちよかったのか、罪悪感なのか、ずっと我慢してたものが溢れたのか。全部だった気がする。
「私も泣きそう」
「泣いていいよ」
「じゃあ……ちょっとだけ」
二人で抱き合ったまま、しばらく動けなかった。
ゴムを外して、ティッシュで処理して。しばらくぼーっと天井見てたら、ミホが俺の胸に顔を埋めてきた。
「ねえ、もう一回していい?」
「……もう?」
「さっきのは緊張しすぎてよくわかんなかったの。今度はちゃんと感じたい」
ミホが俺の上に跨った。こっちはまだ半分くらいだったけど、ミホの手で触られてるうちにすぐ硬くなった。
新しいゴムをつけた。ミホが自分で腰を下ろしてきた。
「ん……あ……入った……」
上から見下ろすミホの顔が、さっきより余裕があった。自分のペースで腰を動かし始めた。
「あ……ここ、いい……ここがいい……」
角度を自分で探してる。見つけた瞬間に表情が変わった。眉がきゅっと寄って、口が半開きになって。
「気持ちいい?」
「うん……さっきよりずっと……」
俺は下からミホの腰を支えて、胸を触った。揺れる。今田美桜似の子が自分の上で喘いでる。ああ、これは夢なのか。
「ユウくん……もっと触って……」
乳首をつまむと、中がきゅっと締まった。
「あっ、やっ……それされると……っ」
「中、すごい締まる」
「だって……気持ちよすぎ……」
ミホの動きが早くなった。俺も下から突き上げた。
「あ、あ、だめ……また変な感じ来る……」
「いっていいよ」
「ユウくんも一緒に……一緒にイって……」
腰を掴んで、深く突き上げた。ミホが仰け反って、声にならない声を出して、全身を震わせた。俺もそのまま中で果てた。
しばらく、ミホが俺の上で動けなくなってた。汗で肌が張り付いてた。
「はぁ……はぁ……もう無理、動けない」
「俺も」
「……ねえ」
「うん」
「これからも、金曜来ていい?」
「……金曜じゃなくてもいいよ」
ミホが顔を上げて、俺を見た。それからにへっと笑った。八重歯が見えた。
「……ほんと?」
「ほんと」
「じゃあ、明日も来る」
「来いよ」
その夜は初めてミホがソファじゃなくて、ベッドで、俺の隣で寝た。
朝、目が覚めたら9時だった。ミホはまだ寝てた。寝顔見てたら、スマホが震えた。
タカシからLINEが来てた。
「ミホと別れたの、お前のためだから。あいつのこと、ちゃんとしろよ」
……。
返信に30分かかった。「ありがとう。ごめん。大事にする」って送った。
既読がついて、スタンプが1個来た。サムズアップのやつ。
あれから3ヶ月くらい経った。ミホは週3でうちに来てる。もうほぼ同棲みたいなもんで、冷蔵庫の中身は完全にミホが管理してる。
タカシとは2月に一回飲んだ。気まずくなるかと思ったけど、あいつは普通だった。新しいプロジェクトの話とか、転職考えてるとか、いつもの話をした。帰り際に「ミホ元気か?」って聞かれて、「元気だよ」って答えた。
「ならいい」ってタカシは笑った。
全部丸く収まった、なんて言えるわけがない。俺はダチの彼女を寝取った男だ。タカシが許してくれたから帳消しになるような話じゃない。
でも、金曜の夜に鍵を開けて、「おかえり」って言ってくれる人がいる生活を、俺はもう手放せない。
これが恋なのか、依存なのか、罪悪感の裏返しなのか、正直まだわかんないです。でも、ミホの八重歯が見えるたびに、ああ好きだなって思う。それだけは嘘じゃない。
読んでくれてありがとうございました。