深夜の高速パーキングで泣いてた子を助手席に乗せたら、朝まで降りられなくなった話

これ書いていいのかわかんないけど、誰かに話したくてずっとうずうずしてたので、投稿します。

俺は当時28歳。都内のIT企業でインフラエンジニアをやってて、まあ見た目は中の下。身長172で体重は聞かないでほしい。髪型はマッシュにしてるけど似合ってるかは不明。大学の同期には「お前は雰囲気で持ってるタイプ」と言われてたけど、それって要は顔は微妙ってことだよな。

彼女いない歴は1年半くらいで、前の彼女とは遠距離がしんどくなって自然消滅。それ以来、出会いもなく、休日は秋葉原のジャンクパーツ屋を巡るか、関越を飛ばして温泉に行くかみたいな生活をしてた。

その日は金曜日で、大宮のデータセンターで深夜メンテをやって、終わったのが夜中の1時過ぎ。疲れてたけど、土曜は休みだし、このまま関越に乗って帰るかと。

で、寄居パーキングエリアに寄ったんですよ。トイレ休憩で。

自販機でホットの缶コーヒーを買って、ベンチに座ろうとしたら、先客がいた。

暗くてよく見えなかったけど、小柄な人が背中を丸めて座ってた。肩が小刻みに揺れてるのが見えて、(泣いてる...?)って思った。

正直、スルーしようかと思った。深夜1時の高速パーキングで泣いてる人に声かけるのって、どう考えてもめんどくさいことになるパターンだし。

でもさ、11月の深夜って結構寒いんだよ。その子、パーカーにデニムっていう軽装で、荷物もトートバッグひとつしか持ってなくて。

(いや、無理でしょこれ見て見ぬふりは)

缶コーヒーを2本持ってたわけじゃないから、自販機に戻ってもう1本買った。ホットのカフェオレ。

「あの、よかったらこれ」

座ってる子の横に立って、缶コーヒーを差し出した。

顔を上げたその子を見て、心臓が変な動き方をした。

目が赤くて、鼻も赤くて、明らかに泣いた後だったんだけど、それでもめちゃくちゃ可愛かった。橋本環奈を少しシュッとさせた感じっていうか、丸顔で目がでかくて、唇がぷっくりしてて。身長は155あるかないかくらいで、パーカーに埋もれてる感じが小動物みたいだった。

「......ありがとう、ございます」

かすれた声でそう言って、両手で缶を受け取った。

隣に座っていいか迷ったけど、立ったままってのもアレだし、少し距離を空けて座った。

しばらく無言で二人ともコーヒー飲んでた。

「車で来たの?」

「......バスです。高速バスで池袋から乗ったんですけど......途中で降ろされちゃって」

「降ろされた?」

「車内で体調悪くなって......吐きそうになって、運転手さんに言ったら、次のパーキングで降りてくださいって」

「まじか。それ、次のバス来るの?」

「......来ないです。最終だったので」

(いやいやいや。深夜の高速パーキングに一人って、それヤバくない?)

「どこまで行く予定だったの?」

「長野です。実家が......長野なので」

「長野か......俺、練馬方面に帰るだけだから、方向は一緒っちゃ一緒なんだけど......」

いや、全然方向一緒じゃない。練馬と長野って何キロ離れてんだよ。でもなんかそう言ってしまった。

「え......でもそんな、迷惑じゃないですか」

「迷惑っつーか、このまま朝までここにいるの? この寒さで?」

「......」

「タクシー呼べる場所でもないし。とりあえず、近くのインターまで乗っけてくよ。そこからどうするかは着いてから考えよう」

「......ありがとうございます」

車に乗り込むと、暖房が効いてて、その子は助手席でほっとしたような顔をした。

走り出してから、少しずつ話を聞いた。

名前は聞かなかった。聞いていいのかわかんなかったし。でも話してるうちに「みずき」って名前だって自分から教えてくれた。21歳。東京の服飾系の専門学校に通ってて、バイトはアパレルのショップ店員。

(21か......7つ下か。完全に犯罪じゃんとか一瞬思ったけど、成人だった。よかった)

「体調はもう大丈夫なの?」

「はい......すみません。たぶんストレスで」

「ストレス?」

「彼氏と別れたんです。今日」

「あー......」

「3年付き合ってて。でも浮気されてて。しかも相手、私の友達で」

「うわ、最悪じゃん」

「最悪です。もう東京にいたくなくて、実家に帰ろうと思って。でもお金もあんまりなくて、高速バスにしたら......」

そこでまた泣き出してしまった。

(えっ、ちょ、運転中に泣かれるとこっちも困る......いや困るとかじゃなくて)

グローブボックスにティッシュがあったのを思い出して、片手で取り出して渡した。

「ほら、鼻かんでいいから」

「......ぐすっ......ありがとうございます」

しばらく走って、藤岡ジャンクションが近づいてきた。ここを上信越道に入れば長野方面。関越をそのまま行けば練馬方面。

正直、迷った。

この子を長野まで送ると片道3時間くらいだ。往復6時間。深夜メンテの後で。

でも、ここで降ろしたところでこの子どうすんだっていう。深夜2時の藤岡インターに21歳の女の子を一人置いていくのか? 無理でしょ。

「長野のどのへん?」

「上田です」

「上田ね。了解」

ウインカーを出して、上信越道に入った。

「え......いいんですか?」

「いいも何も、この時間にどこで降ろされても詰むでしょ」

「でも......」

「明日休みだし、ドライブだと思えば平気だよ。俺、運転好きだし」

嘘じゃないけど、深夜メンテの後のドライブが好きかっていうと微妙なところだ。

みずきは小さく「ありがとうございます」と言って、それから少し黙った。

横目で見たら、温かい車内のせいか、うとうとし始めてた。

(寝るんかい。まあいいけど)

で、碓氷軽井沢を過ぎたあたりで、急にみずきが目を覚まして言ったんだけど。

「あの......すみません、やっぱり実家に帰るのやめていいですか」

「は?」

「お母さんに電話したら、今お父さんが家にいるらしくて......お父さんと会うとまためんどくさくなるから......」

「いや、もう軽井沢過ぎたんだけど」

「......すみません」

(おいおいおいおい)

「じゃあどうすんの? 東京戻る?」

「......戻りたくもないです」

「じゃあどこ行くのよ」

「......わかんないです」

泣きそうな顔でそう言われて、俺はハンドルを握ったまま考えた。

もう深夜3時だ。正直、俺も眠い。

「......とりあえずさ、どっかで休もう。俺ももう限界だし。近くにビジホとか探すわ」

「......はい」

小諸インターで降りて、スマホでホテルを探したけど、連休前だからか全然空いてない。ビジホは軒並み満室。

やっと見つけたのが、国道沿いの古びたモーテルだった。いわゆるラブホテルとビジネスホテルの中間みたいなやつ。外観は昭和感満載で、ネオンが半分切れてた。

「ごめん、こんなとこしか空いてなくて。嫌だったら車で寝てもいいけど、エコノミー症候群がちょっと心配だから......」

「大丈夫です。ありがとうございます」

みずきは意外とあっさりしてた。

フロントで部屋を取って(ツインはなくてダブルしかなかった。もちろん)、部屋に入った。

狭いけど一応清潔感はある部屋で、ユニットバスが付いてた。暖房が効き始めると、二人とも一気に力が抜けた感じがした。

「風呂、先に入っていいよ。タオルはあるっぽいし」

「ありがとうございます......お先にいただきます」

みずきが浴室に入っていった。

俺はベッドの端に座って、スマホを見てた。LINEの未読がたまってたけど、どうでもよかった。

(俺、何やってんだろ。深夜3時に知り合って2時間の女の子とモーテルって。映画だったらここからバッドエンドの展開だよな)

10分くらいで、みずきが出てきた。備え付けの白いバスタオルを巻いてて、濡れた髪が肩にかかってた。

化粧が落ちた素顔が、さっきよりもっと幼く見えた。橋本環奈っぽさが増してた。肌がめちゃくちゃ白くて、鎖骨がきれいで。

(見るな。見るなって。お前は善意で送ってきたんだろうが)

「俺も入るわ。布団は好きに使って」

「お兄さん、どこで寝るんですか?」

「床でいいよ。予備の毛布あるし」

「......そんなの悪いです」

「いや、さすがに一緒のベッドはまずいでしょ」

「......」

その目で見るのやめてほしかった。捨てられた子犬みたいな目。

風呂に入った。熱いシャワーを浴びながら、頭を冷やそうとした。冷えなかった。

上がって部屋に戻ると、みずきはベッドの端に座ってた。着替えを持ってなかったらしく、パーカーだけ着直してて、下はバスタオルを巻いたままだった。

テレビがついてたけど、深夜の通販番組が流れてるだけだった。

「寝ないの?」

「......眠れなくて」

「そっか」

ベッドの反対側に座って、さっき買った缶コーヒーの残りを飲んだ。もう冷めてた。

「あの......お兄さんって彼女いるんですか?」

「いないよ。1年半くらい」

「なんで別れたんですか?」

「遠距離がしんどくなって。俺が仕事忙しすぎて、会えなくなって、自然消滅」

「......それ、お兄さんが悪いんですか?」

「たぶん俺が悪い。もっと時間作ればよかったんだけど」

「......私の彼氏とは逆ですね。あの人は時間があり余ってるのに、それを別の女に使ってた」

「......それはキツいわ」

「3年ですよ? 3年一緒にいて。友達に、しかも私が紹介した友達に手を出すって、どういう神経してるんだろ」

声が震えてた。

「そいつがクソなだけだよ。みずきちゃんは悪くない」

「......そう言ってくれるの、お兄さんが初めてです」

「え、周りの人は?」

「みんな彼の味方っていうか......『あんたにも原因あるんじゃない?』みたいな。共通の友達多かったから」

「最悪すぎるだろそのコミュニティ......」

みずきが少し笑った。泣いた後の、ちょっとだけほぐれた感じの笑顔。

その顔を見た瞬間、(あ、やばいな)って思った。

好きとかそういうのじゃない。たぶん。でも、この子の笑った顔をもっと見たいと思ってしまった。

「お兄さん、優しいですね」

「いや全然。俺は優しいんじゃなくて、断れないだけだよ。コンビニの募金箱にも毎回入れちゃうタイプ」

「ふふ......それ、優しいって言うんですよ」

距離が近い。

さっきまでベッドの端と端に座ってたはずなのに、いつの間にか隣にいた。

みずきの髪からシャンプーの匂いがした。たぶんホテルの安い備え付けのやつなのに、なんかすごくいい匂いに感じた。

「......お兄さん」

「ん?」

「私、今日ここにいるの、偶然じゃないのかもって思ってます」

「......どういう意味?」

「バスで体調崩さなかったら、パーキングで降りなかったし。降りなかったら、お兄さんに会えなかった」

「それは......まあそうだけど」

「私、さっきまで死にたいくらい辛かったんです。でも今、ちょっとだけ楽になってて」

その言葉で一気に目が覚めた。

(死にたいって......そこまで追い詰められてたのか、この子)

「......死にたいって思ってたの?」

「......ちょっとだけ」

「ちょっとだけでも、そういうのはダメだよ」

「わかってます。でも......お兄さんが声かけてくれなかったら、私どうなってたかわかんない」

みずきの目に涙がたまってた。

気づいたら、俺はみずきの頭を引き寄せて、肩に寄りかからせてた。

何も考えてなかった。反射だった。

みずきの体が強張って、それからゆっくり力が抜けて、肩に重みがかかった。

「......あったかい」

その一言で、俺の理性のネジが1本飛んだ気がした。

でも、ここで何かしたら最悪だろ。この子は弱ってるんだ。彼氏に裏切られて、友達にも裏切られて、行く場所がなくて泣いてたんだ。そんな子に手を出すとか、クズのやることだ。

そう思って、みずきの肩をそっと押し戻そうとした。

そしたら、みずきが顔を上げて、俺の唇にキスしてきた。

ほんの一瞬だった。唇が触れて、すぐ離れた。

「......ごめんなさい。嫌でしたか?」

嫌なわけない。嫌だったら頭抱き寄せてない。でも、だからこそ問題だった。

「嫌じゃないけど......今日別れたばっかなのに、いいの?」

「だから、いいんです」

よくわかんない論理だった。でも、みずきの目は本気だった。

さっきまで泣いてたのと同じ目なのに、光り方が違った。

「......後悔しない?」

「しないです。......してほしいんです、お兄さんに」

もう無理だった。

俺からキスした。さっきみずきがしたような軽いやつじゃなくて、しっかり唇を重ねた。

みずきの唇は柔らかくて、少し震えてた。

舌を入れると、みずきも恐る恐る舌を返してきた。ぎこちなかったけど、それがたまらなかった。

パーカーのジッパーを下ろすと、中は何も着てなかった。

(は......ノーブラだったのかよ......)

白い肌に、小ぶりだけど形のいい胸が露わになった。たぶんBカップくらい。乳首が薄いピンクで、寒さなのか緊張なのか、もう硬くなってた。

「......触っていい?」

みずきは何も言わずに、こくって頷いた。

手のひらに収まるサイズの胸を、ゆっくり揉んだ。みずきが小さく息を吐いた。

「ん......」

親指で乳首を転がすと、みずきの体がぴくってなった。

「あ......そこ、弱い......」

口に含んだ。舌先で転がしながら、もう片方の手で反対側の胸を触る。

「ん......あっ......」

みずきの手が俺の頭に置かれた。押しのけるんじゃなくて、引き寄せる方向に。

腰のバスタオルを外した。みずきの下着はさっきのデニムと一緒にトートバッグの中らしくて、バスタオルの下は何もなかった。

太ももが細くて白くて、その間に指を滑らせると、もう濡れてた。

「あっ......やっ......恥ずかしい......」

「恥ずかしがることないよ」

「だって......会って数時間の人の前で......こんなの......」

「俺も同じだよ。こんな状況、人生で初めて」

みずきのそこに指を添えると、びくって体が跳ねた。

ゆっくり、クリトリスの周りを撫でるように触った。風俗で学んだテクニックとか、そんな大層なもんじゃない。ただ、みずきの反応を見ながら、気持ちよさそうな場所を探った。

「あっ......そこ......いい......」

中指を少しだけ入れると、きゅっと締まった。

「ん......あぁ......」

みずきの手が俺のズボンの上から触ってきた。もうとっくに硬くなってたから、触られた瞬間、声が出そうになった。

「......お兄さんも、なってる......」

「そりゃあね......」

ズボンとパンツを下ろされて、みずきの手が直接触れた。

小さくて冷たい手だったけど、握られた瞬間、頭がぐわんとした。

「これ......入れたいですか?」

ストレートすぎて一瞬固まった。

「......ゴム、持ってないんだけど」

嘘じゃない。彼女もいないのにゴムなんか常備してるほうがおかしい。

「......ピルは飲んでます」

「え、マジ?」

「生理不順で、婦人科で処方されて......」

(いやそういう理由なのか。てっきり元カレとの......いや、考えるのやめよう)

「......本当にいいの?」

「来て......」

みずきが仰向けになって、脚を開いた。

小諸の安モーテルのベッドは少し軋んだ。

先端を当てた瞬間、みずきの手が俺の腕をぎゅっと掴んだ。

ゆっくり入れていった。思ったより中が熱くて、きつくて、途中で止まりそうになった。

「ん......あっ......ゆっくり......」

「痛い?」

「ちょっとだけ......大丈夫......もうちょっと......」

奥まで入った時、みずきが「ふぅ」って息を吐いた。

「......入った......」

俺も正直、この状況が信じられなかった。3時間前にパーキングエリアで出会った子と、こうなるなんて。夢なんじゃないかって、本気で思った。

「動くよ......」

「うん......」

ゆっくり腰を動かした。みずきの中がぬるっと俺を包んで、抜くときにきゅっと締まる感覚があった。

「あっ......あっ......気持ちいい......」

「俺も......やばい......」

正直、全然持たない。久しぶりすぎるのと、状況が状況だから、体が敏感になりすぎてた。

「お兄さん......もっと......」

みずきが腰を合わせてきた。小さい体なのに、動きがだんだん積極的になってきて、ベッドが軋む音が大きくなった。

「みずきちゃん......っ」

「名前......呼んでくれたの、初めてかも......っ」

(え、さっきも呼んだよな? ああ、こういう場面で、って意味か)

ペースを上げると、みずきの声も大きくなった。隣の部屋に聞こえてるんじゃないかって思ったけど、もうどうでもよかった。

「あっ......あっ......なんか......来る......っ」

みずきの中がぎゅって締まって、体が震えた。

「あぁっ......」

イったみたいだった。目をぎゅって閉じて、俺の背中に爪を立てた。

その締まり方で、俺も限界だった。

「出る......っ」

「中に......いいよ......っ」

腰を押し付けて、中に出した。体がびくってなって、頭が真っ白になった。

「うっ......」

出し終わって、みずきの上に崩れ落ちた。

二人とも、しばらく息を整えてた。

「......重い」

「あ、ごめん」

横にずれたら、みずきが俺の胸に顔を埋めてきた。

「......もう少し、このままでいたい」

「......うん」

窓の外は真っ暗なままだった。時計を見たら4時前。

少し寝て、目が覚めたら、みずきが俺の腕の中にいた。

時計は5時半。外がうっすら明るくなり始めてた。

みずきも目を覚ましたみたいで、俺の胸元に手を置いたまま上を見た。

「......起きてたんですか」

「うん。ちょっとだけ」

「......ねぇ」

「ん?」

「もう1回......してほしい」

2回目は、さっきとは全然違った。

さっきは勢いと衝動で突っ走った感じだったけど、2回目はお互いの体を確かめるみたいに、ゆっくりだった。

みずきが上になって、俺の腹の上に座った。細い腰を前後にゆっくり動かしながら、俺の手を取って自分の胸に当てた。

「さっきより......余裕ある......」

「そりゃ2回目だからな......でも全然気持ちいいよ」

みずきが小さく笑った。さっきまでの泣き顔じゃない、柔らかい顔。

(あ、この顔だ。俺はこの顔が見たかったんだ)

2回目は少し長くもって、みずきが先にイって、俺はその後に中に出した。

終わった後、みずきが俺の胸に頬を乗せたまま、小さな声で言った。

「お兄さんの名前、聞いてもいいですか」

「......拓也」

「拓也さん」

「うん」

「拓也さんに会えてよかった」

朝7時にチェックアウトして、近くのすき家で朝飯を食った。牛丼並と味噌汁。みずきは鮭朝食を頼んでた。

「これ、ご飯のお代わりってできるんですか?」

「できるよ。腹減ってたんだな」

「昨日からパンしか食べてなくて......」

泣き腫らした顔で鮭をほぐしてる21歳を見ながら、俺は考えた。

これは何なんだろう。ワンナイトスタンドってやつなのか。傷ついた子につけ込んだクソ野郎なのか、俺は。

でも、みずきがお代わりの茶碗を持って戻ってきて、「拓也さんも食べます?」って笑ったのを見たら、そういうの全部どうでもよくなった。

帰り道、俺が東京方面に車を走らせながら、みずきに聞いた。

「で、これからどうすんの?」

「......アパートに帰ります。荷物もあるし」

「元カレとは?」

「もう会いません。連絡先も全部消しました」

「それがいいと思う」

しばらく走って、練馬インターが近づいてきた。

「あの......連絡先、交換してもいいですか」

「いいよ」

LINEを交換した。みずきのアイコンは、猫の後ろ姿だった。

俺はみずきのアパートの最寄り駅まで送って、駐車場で車を停めた。

「拓也さん」

「うん」

「......また会えますか」

「会えるよ。連絡先交換したし」

「社交辞令じゃないですか?」

「社交辞令だったら長野まで車走らせねぇよ」

みずきが笑って、助手席から降りた。降りてから、窓越しにこっちを見て、小さく手を振った。

俺も手を振り返した。

家に着いたのは昼前だった。風呂に入って、ベッドに倒れ込んだ。

寝る前にスマホを見たら、みずきからLINEが来てた。

「今日は本当にありがとうございました。拓也さんのおかげで、死にたいって気持ち、なくなりました」

その後に、もう1通。

「来週、ご飯行きませんか? 今度は私がおごります」

専門学生にしては気合い入ったこと言うなと思いつつ、「行こう」って返した。

で。

その後どうなったかっていうと、今、俺の隣でみずきがスマホいじりながらアイス食ってます。付き合い始めて8ヶ月目。

あの夜のことは今でもたまに二人で話す。

「あの時さ、拓也がパーキングに寄らなかったらって思うと怖いんだけど」

「俺もだよ。缶コーヒー買わなかったら声かけてないし」

「缶コーヒー1本で彼女できたんだから、安いもんでしょ」

「いや高速代と宿泊代も入れろよ」

「あはは」

......まあ、高速代くらいは安いもんだったかなと。今では思ってます。

長くなりましたが、読んでくれた人ありがとうございました。


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