高1の夏休みに入って3日目の話です。
俺のスペックを先に言っておくと、身長170、体重58キロ、顔面偏差値は自分で言うのもアレだけど45ぐらい。友達は少ないけどゼロではない、という微妙なポジション。坂口健太郎から華を全部抜いて、目をもうちょい小さくした感じ。まあ、量産型の地味男子です。
で、なんでこんな話を書いてるかっていうと、夏休み初日に俺は右足の脛骨を折った。
原因はマジでしょうもなくて、自転車で坂道を下ってるときに猫が飛び出してきて、避けようとしてガードレールに突っ込んだ。猫は無傷で走り去った。俺だけが救急車で板橋中央総合病院に運ばれた。
ギプスで膝から下が固められて、松葉杖。全治6週間。夏休みの半分以上を棒に振ることが確定した。
親は共働きで朝7時には家を出る。夏休みだろうが関係ない。板橋区の3LDKマンションの5階、リビングのソファが俺の定位置になった。トイレに行くのも一苦労、風呂は浴槽に入れないからシャワーだけ。飯はテーブルに置かれたカップ麺とパンでしのぐ。
まあ、夏休みだし、ゲームでもして過ごすか。そう思ってた。
3日目の夕方、インターホンが鳴った。
松葉杖でよろよろ玄関に行くと、そこに立ってたのは隣の505号室に住む宮瀬ことね。俺と同じクラスで、男子バスケ部のマネージャー。橋本環奈を少しだけ大人っぽくした感じの顔立ちで、身長は158ぐらい、たぶんEカップ。いつも胸元がパツパツのTシャツを着てて、クラスの男子の視線を無意識に集めてる。
学校では俺みたいな陰キャとは住む世界が違う、一軍ど真ん中の女子だった。
「あ、やっぱりいた。おばさんから聞いたよ、足折ったって」
「あ、うん…まあ」
宮瀬はスーパーのビニール袋を持っていた。
「ママがおばさんと仲いいの知ってるでしょ?で、昼間誰もいないんだったらご飯ぐらい作ってあげなさいって言われて」
「いや、大丈夫だけど…カップ麺あるし」
「は?骨折ってるのにカップ麺?カルシウム摂んないと骨くっつかないよ?」
勝手に上がり込んできた宮瀬は、キッチンに立つとテキパキと料理を始めた。
俺はソファに座ったまま、隣のクラスメイトが自分の家の台所で鼻歌まじりに包丁を使ってるという非現実的な光景を見ていた。
(いやいや、なんで宮瀬が俺の家で料理してんの…?)
20分後、テーブルに並んだのは鮭の塩焼き、小松菜のおひたし、豆腐の味噌汁。ちゃんとした和食だった。
「ほら、食べて。骨にいいやつばっか入れたから」
「え、めっちゃうまそう…ありがとう」
一口食べて、普通にうまかった。カップ麺生活3日目の体に染みた。
「どう?」
「うまい。マジでうまい」
「でしょ?マネージャーだから部員に差し入れ作るの慣れてるんだよね」
宮瀬は満足そうに笑って、自分も向かいに座って食べ始めた。
この日から、宮瀬は毎日夕方になると俺の部屋に来るようになった。
最初の1週間は飯を作って食べて帰るだけだった。でも4日目ぐらいから「暇でしょ?」って言ってテレビ見ながらダラダラ喋るようになって、気づいたら毎晩21時ぐらいまでいるようになった。
学校では絶対に交わらない俺たちが、夏休みのマンションの一室で毎晩一緒にいる。
正直、意味がわからなかった。
「宮瀬って夏休み暇なの?友達と遊んだりしないの?」
「遊んでるよ?昼間は。夜は別にやることないし」
「彼氏とか…」
「いないけど?なんで?」
「いや、なんでもない」
バスケ部の椎名ってやつと付き合ってるって噂があったけど、聞けるわけがない。
1週間が過ぎた頃、問題が起きた。
俺の右足の筋肉が目に見えて細くなっていた。病院でリハビリの指導は受けてたけど、ギプスの上からできるリハビリなんてほぼ足の指を動かすぐらいしかない。あとは松葉杖で上半身を使うからそっちは大丈夫だけど、太ももとかふくらはぎは確実に衰えていく。
医者には「ギプス取れたら本格的にリハビリしましょう」と言われてたけど、それまでに筋肉が落ちすぎると回復に時間がかかるとも言われてた。
「ねえ、リハビリって自分でやってるの?」
夕飯の片付けをしながら宮瀬が聞いてきた。
「一応…足の指動かしたり、左足のスクワットしたり」
「私さ、マネージャーだから選手のケガのケアとかちょっと勉強してんだよね。テーピングとかアイシングとか。見せて?足」
ソファに座ってる俺の前にしゃがんだ宮瀬が、ギプスから出てる足の指をそっと触った。
「うわ、めっちゃ冷たい。血行悪くなってるじゃん」
「まあ動かせないから…」
「マッサージしてあげる。足の指と甲のあたりね」
宮瀬の柔らかい指が、俺の足の指を一本ずつ丁寧にほぐしていく。
(やばい、なんかすごい…気持ちいい…)
別にエロい触り方じゃない。普通のマッサージだ。でも、女子に足を触られるという経験がゼロだった俺には、それだけで心拍数が跳ね上がった。
「力加減どう?痛くない?」
「ん、大丈夫…ありがとう」
「これ、毎晩やったほうがいいよ。血流よくしとかないと筋肉の回復が遅れるから」
こうして、夕飯のあとに足のマッサージをしてもらう、というのが日課に加わった。
宮瀬は毎晩、俺の足元にしゃがんで10分ぐらいかけて足の指と甲をもみほぐしてくれた。部活で選手のケアをしてるだけあって手つきは慣れてるし、力加減も絶妙だった。
ただ、問題は俺の方にあった。
宮瀬がしゃがむと、ゆるめのTシャツの胸元から谷間がチラッと見えることがある。本人は全く気づいてない。あるいは気にしてないのかもしれない。
(見るな、見るな、見るな…)
毎晩、般若心経を唱えるぐらいの精神力で視線を逸らしていた。
2週間目に入ると、宮瀬との会話はどんどん砕けていった。
「ねえ、学校ではさ、私たち全然喋んないよね」
「そりゃそうだろ。住んでる世界が違うし」
「何それ。同じクラスじゃん」
「いや、一軍と陰キャは同じクラスでも別の国だよ」
「その分け方、マジでやめてほしいんだけど。私べつに一軍とか思ったことない」
「自覚ないのが一番タチ悪いんだよ…」
宮瀬はむくれた顔をしたけど、すぐに「まあいいや」と言って別の話を始めた。
実際、こうして毎晩喋ってると、宮瀬は思ってたより全然普通の女の子だった。ジャンプの話で盛り上がったり、YouTubeの動画見て一緒に笑ったり。学校で見てた「手の届かない一軍女子」のイメージがどんどん崩れていく。
でもそれは、俺にとってはもっとマズいことだった。
距離が近くなればなるほど、宮瀬のことを意識してしまう。
夕飯のとき、向かいに座った宮瀬が麦茶を飲む横顔。マッサージのとき、うつむいた宮瀬のうなじから漂うシャンプーの匂い。帰り際に「じゃあね」って手を振る笑顔。
全部、頭にこびりつく。
(好きになったら終わりだ。宮瀬にとって俺はただの隣人で、ケガ人で、世話を焼く対象でしかない。勘違いだけは絶対にするな)
自分に言い聞かせてた。毎晩。
転機が来たのは、7月最後の土曜日だった。
その日、宮瀬はいつもより遅い20時頃にやってきた。
「ごめん、遅くなった。友達と遊んでて」
「別に来なくてもよかったのに」
「ご飯食べた?」
「カップ麺食べた」
「…はあ。私がいないとすぐそれだ」
宮瀬は呆れた顔をしたけど、その日は料理はせずにソファに座った。
少し酸っぱいような、甘いような匂いがした。宮瀬の肌が薄く日焼けしてる。プールにでも行ってきたのかもしれない。
「ねえ、マッサージしよっか」
いつものように俺の足元にしゃがもうとした宮瀬が、ふと動きを止めた。
「あのさ、ギプスの上の太ももも筋肉落ちてない?触っていい?」
「え…まあ、確かに細くなってきてる、けど…」
「ちょっと見せて」
宮瀬は俺のハーフパンツの裾を少し上げて、右足の太ももを触った。ギプスの際のあたりから膝上にかけて、明らかに左足より細くなってる。
「うわ、やっぱ全然違う。ここもほぐしたほうがいいよ」
「いや、太ももは別に…」
「太ももの筋肉落ちたら歩けなくなるよ?ギプス取れたあと大変になるよ?」
正論すぎて何も言えなかった。
宮瀬が俺の太ももを両手で揉み始めた。足の指のときとは比べ物にならないぐらい近い。宮瀬の顔が俺の膝のすぐ横にある。吐息がハーフパンツの裾にかかる。
(これは、まずい)
血流がよくなるどころの話じゃない。血流は一箇所に集中し始めていた。
俺はクッションを股間にさりげなく置いた。
「力入れすぎてない?リラックスして」
「してる、してる…」
(してるわけねえだろ…)
10分ぐらいのマッサージが永遠に感じた。宮瀬が手を離したとき、俺はほっとしたような、残念なような、よくわからない気持ちだった。
翌日から、太もものマッサージも日課に加わった。
俺は毎晩、マッサージが始まる前にトイレに行ってバスケの試合結果を頭の中で反芻する、という謎のルーティンを始めた。少しでも余計なことを考えないように。
でも、日を追うごとに宮瀬の手は大胆になっていった。太ももの内側まで指が入り込んでくることもあった。宮瀬は何も気にしてない顔をしてたけど、俺の方はもう限界に近かった。
8月に入った頃、事件が起きた。
その日は異常に暑くて、エアコンの効いた部屋でも30度近かった。宮瀬はキャミソール1枚で来ていて、汗で肌が少し光ってた。
いつものように太もものマッサージが始まった。
宮瀬がぐいっと力を入れて太ももの付け根あたりを揉んだとき、その指がハーフパンツの中に入り込んで、俺のモノに触れた。
「っ!!」
体がビクッと跳ねた。
「あっ…ごめ…」
宮瀬の顔が一気に赤くなった。
気づいてしまった。俺が勃起してることに。
沈黙が落ちた。テレビの音だけが流れてた。
「…ごめん。生理現象っていうか…その…」
「う、うん…わかってる…男の子だし…」
宮瀬は目を逸らしたまま、でも立ち上がらなかった。
そのまま5秒、10秒…。
「…ねえ」
「…何」
「松葉杖の生活って…自分で、その…処理とかも、大変なの…?」
心臓が止まるかと思った。
「は?いや、右足が折れてるだけで手は使えるから…」
「あ、そっか…そうだよね…うん…」
宮瀬は真っ赤な顔のまま黙った。
(今のは、なんだ?何を聞こうとしたんだ?)
その日、宮瀬はいつもより早く帰った。「また明日ね」の声が少し上ずってた。
次の日、宮瀬は普通に来た。でも、マッサージのとき明らかに太ももの上の方を避けていた。必要以上に距離を取ってる感じ。
(あー…気まずくしちゃったな…)
3日ぐらいそんな微妙な空気が続いた。
変わったのは、8月5日の夜だった。東京都板橋区に大雨警報が出て、雷がバリバリ鳴ってた。
宮瀬は20時過ぎに来たけど、いつもと様子が違った。
「…あのさ」
「ん?」
「私…雷、めっちゃ苦手で…」
ピカッと光った瞬間、宮瀬が「ひっ」と小さく悲鳴を上げて俺の腕にしがみついてきた。
「お、おい…大丈夫かよ」
「ごめん…隣の部屋、一人でいるのが怖くて…」
震えてた。マジで震えてた。
あの学校では堂々としてる宮瀬が、猫みたいに丸まって俺の腕にくっついてる。
(こんなの…ずるいだろ…)
雷が鳴るたびに宮瀬の体がビクッとなって、そのたびに俺にぎゅっとしがみつく。俺は空いてる左手で宮瀬の頭をぽんぽんと叩いた。慰め方なんてわからなかったけど、それしか思いつかなかった。
「…ありがと」
小さい声だった。
雷が遠ざかっていって、宮瀬の震えが収まっても、しばらく俺の腕にくっついたままだった。
「ねえ…前にさ、変なこと聞いてごめんね」
「変なこと?」
「その…処理がどうとか…」
「あー…あれは忘れてくれていいよ」
「忘れられない」
え?
「だって…私が毎晩マッサージしてるせいで、そうなっちゃってるんでしょ?それって…私のせいじゃん」
「いや、それは俺の問題だから…」
「私のせいなのに、私だけ知らんぷりするの、なんか嫌なの」
宮瀬の目が潤んでた。雷のせいなのか、それとも別の理由なのか、わからなかった。
「宮瀬…」
「ことね」
「え?」
「二人のときは、ことねって呼んで」
心臓がうるさすぎて雷の音が聞こえなかった。
「…ことね」
「…うん」
ことねが俺の顔を見上げた。距離が近すぎて、睫毛の一本一本まで見えた。
頭では「やめろ」と言ってた。この関係を壊すな、勘違いするな、お前みたいな陰キャが一軍女子と何かあるわけないだろ、と。
でも体は動いた。
俺はことねの頬に手を当てて、キスをした。
ことねは目を閉じたまま、何も言わなかった。
唇が離れたとき、ことねが小さく笑った。
「…遅い」
「は?」
「ずっと待ってたのに。鈍感すぎ」
(…マジかよ)
「待ってたって…いつから?」
「足折る前から。っていうか、中3のときから」
頭が追いつかなかった。
「中3…?俺、中3のとき宮瀬と…ことねと接点なんかあったっけ?」
「あったよ。文化祭の準備で、私がペンキこぼして泣きそうになったとき、黙って一緒に拭いてくれたでしょ」
「あー…あったっけ、そんなこと…」
「あったの。で、その日から気になって、高校同じクラスになったとき嬉しくて、でも話しかける口実がなくて」
「いやいや、お前は一軍だろ。話しかける口実なんかいらないだろ」
「いるよ。好きな人にはいるよ、そういうの…」
好きな人。
俺のこと、好きな人って言った。
まだ信じられなかった。信じたかったけど、信じたら取り返しがつかない気がした。でもことねの目は嘘をついてる目じゃなかった。
「俺なんかでいいの?マジで?」
「俺なんかって言うのやめて。私が好きになった人のこと悪く言わないで」
その一言で、俺の中で何かが決壊した。
ことねを抱き寄せて、今度はもっと深くキスをした。舌が触れたとき、ことねが「んっ…」と小さく声を出した。
雷はもう聞こえなかった。
キスしながら、ことねの背中に手を回した。キャミソールの薄い生地越しに、ブラのホックの感触がわかる。
「…触っていいよ」
耳元で囁かれた。
キャミソールの裾から手を入れると、ことねのお腹は汗で少し湿ってた。そのまま上に這わせて、ブラの上から胸に触れた。
「でかっ…」
思わず口に出してしまった。
「ちょっと…そういう素直な反応やめてよ…恥ずかしい…」
「いや、でもマジででかい…Eカップぐらいある?」
「…F」
「F!?」
「うるさい…」
ブラの上から揉むと、想像以上に柔らかくて、指が沈み込む感じがした。ことねが目を閉じて唇を噛んでる。
ブラをずらして直接触った。手のひらに吸いつくような弾力。乳首が硬くなってるのが指先でわかった。
「あ…んっ…」
「気持ちいい…?」
「…わかんない…でも、やめないで…」
乳首を指で転がすと、ことねの体がぴくっと跳ねた。
俺は右足が使えないから、体勢を変えるのも一苦労だった。ソファに座ったまま、ことねが俺の左側にくっついてる形。不自由な姿勢のはずなのに、そんなこと全然気にならなかった。
ことねが俺のTシャツの裾を掴んで、引っ張った。
「…脱いで」
脱がされた。ことねも自分でキャミソールとブラを外した。
薄暗いリビングの明かりの中で、ことねの裸の上半身が見えた。白い肌に、思ってたよりずっと大きな胸。ピンク色の乳首。
(これ、夢じゃないよな…?)
マジで一回自分の頬をつねった。痛かった。夢じゃなかった。
ことねが俺の視線に気づいて、腕で胸を隠そうとした。
「隠すなよ…きれいだよ」
「…ほんとに?」
「嘘ついてどうすんだよ。マジできれい」
ことねが照れ笑いしながら腕を下ろした。
胸に顔を埋めた。ことねの匂いがした。汗と、制汗剤と、その下にある肌の匂い。舌で乳首を舐めると、ことねが「ひっ…」と声を漏らした。
「あっ…やだ、声出ちゃう…」
「出していいよ。隣の部屋、誰もいないんだろ?」
「パパとママ寝室だから聞こえないと思うけど…でも…」
吸ったり舐めたりしてると、ことねの呼吸がどんどん荒くなっていった。
ことねの手が俺のハーフパンツに伸びてきた。
「私も…触りたい…」
ハーフパンツの上から、既にカチカチになってる俺のモノをことねの手が撫でた。
「…おっきい」
「普通だと思うけど…」
「比較対象ないからわかんないけど…すごい硬い…」
ことねがゴムを下ろして、直接握った。
柔らかくて温かい手が、慣れない動きで上下する。力加減がわからないのか、たまにぎゅっと握られて声が出そうになる。
「こう?…合ってる…?」
「ん…もうちょい優しく…そうそう…」
「先っぽ、すごい濡れてきてる…」
我慢汁がことねの指を濡らしてる。ことねはそれを潤滑剤みたいにして動きを滑らかにしていった。
(やばい…ことねの手で…マジで気持ちいい…)
ことねの胸を揉みながら、ことねに握られてる。この状況が信じられなくて、でも快感は確実に積み上がっていく。
「ことね…俺も触りたい」
「…うん」
ことねがショートパンツのボタンを自分で外した。俺の手がことねの下着の中に入る。
触れた瞬間、ことねの体がびくっと震えた。
「あっ…」
指先が濡れてた。想像以上に。
「…すごい濡れてる」
「言わないで…恥ずかしい…」
ことねのクリに触れると、声を殺すようにして体を震わせた。
お互いに手で触りあいながら、時々キスをして、その繰り返し。ソファの上で不器用に、ぎこちなく。でもそれが逆にリアルで、生々しかった。
「あっ…んん…やば…気持ちいい…」
ことねの声がだんだん大きくなってきて、握ってる手の動きも速くなる。
「ことね…俺、そろそろ…」
「私も…一緒に…」
ことねが俺の肩に顔を埋めた。俺の指がことねの中をかき回す。ことねの手が俺を握りしめる。
「あっ…あぁっ…だめ、いっちゃ…」
ことねの体がガクガク震えて、中がきゅっと締まった。
同時に、俺も限界だった。
「出る…っ」
ことねの手の中に出した。ことねのお腹にもかかった。
「あ…あったかい…」
二人とも、しばらく荒い呼吸のまま動けなかった。
ことねが俺の精液がついた自分の手を見て、少し笑った。
「ティッシュ取って…手、べたべた…」
「お前が取れよ、俺足動かないんだから」
「あ、そっか笑」
ことねがティッシュを取ってきて、俺のお腹を拭いてくれた。そのあと自分の手とお腹も拭いて、ティッシュをゴミ箱に投げた。
「ねえ…これって、私たち付き合ってるってことでいいの?」
「こんだけのことしといて付き合ってないはないだろ…」
「ちゃんと言って」
「…好きだよ、ことね。付き合ってください」
「やった」
ことねが俺にもう一回くっついてきた。今度は安心した顔で。
「ねえ…もう一回したい…」
「え、もう?」
「だって…ずっと好きだったんだよ?やっと触れるのに、一回で終わるの嫌」
ことねは俺の太ももに跨がるように座った。右足のギプスを避けて、左太ももの上に。
ことねが自分でショートパンツと下着を脱いだ。
「入れて…ほしい」
「え…ゴムないけど」
「…持ってきた」
ことねがショートパンツのポケットからコンビニの袋に入ったコンドームを取り出した。
「え…いつ買ったのそれ」
「今日…昼間、友達と遊んだ帰りに…」
(友達と遊んだ帰りに、コンドーム買って、俺の部屋に来たってこと…?)
つまり今日、最初からそのつもりだった?
「変かな…引く?」
「引かない。むしろ…嬉しい」
ことねが少し安心した顔をして、パッケージを開けた。でも手が震えてて、なかなかうまくいかない。
「貸して、俺がつける」
手だけは動くから、コンドームを装着した。ことねは俺の上に跨がったまま、ゆっくりと腰を下ろしていく。
「んっ…あ…痛…」
「無理すんなよ、ゆっくりでいいから」
「大丈夫…ちょっとだけ待って…」
ことねが目を瞑って、唇を噛んだ。少しずつ、少しずつ入っていく。
途中でことねの目から涙が一滴こぼれた。
「痛いなら抜く」
「抜かないで…もうちょっと…」
全部入ったとき、ことねが深く息を吐いた。
「…入った」
「大丈夫?」
「うん…ちょっときつい、けど…大丈夫」
ことねが俺の首に腕を回して、おでこをくっつけてきた。
「ねえ、好きって言って」
「好きだよ」
「もう一回」
「好き。ことねが好き」
「…私も。ずっとずっと好きだった」
ことねがゆっくり腰を動かし始めた。
俺は足が動かないから、ことねに任せるしかない。でもそれが逆に、ことねのペースで、ことねの気持ちいいところを探しながら動けるということでもあった。
「あ…ん…あっ…」
最初はぎこちなかった動きが、だんだん滑らかになっていく。ことねの体の中は驚くほど熱くて、きつくて、締め付けてくる感じが頭を痺れさせた。
俺は動けない分、ことねの腰に手を添えて、胸を揉んで、キスをして。できることを全部した。
「やばい…気持ちいい…」
「私も…なんか…すごい…」
ことねが俺の胸に両手をついて、腰のスピードを上げた。
「あっ、あっ、あっ…ここ…気持ちいい…っ」
どの角度がいいのかわかったらしくて、同じ場所を何度も擦りつけるように動く。
(ことねが、俺の上で、気持ちよくなってる…)
まだ信じられなかった。夢みたいだった。でもことねの体温も、声も、締めつけてくる感覚も、全部リアルだった。
「ことね…俺、もう…」
「私も…一緒にいきたい…もうちょっと、待って…」
ことねが腰の動きを速めた。俺はことねの乳首を摘んで、ことねの耳元で「好き」と言った。
「あっ…だめっ…いく…いっちゃう…っ」
ことねの中がぎゅうっと締まった瞬間、俺も限界だった。
「出る…っ」
ことねの体が大きく震えて、俺にしがみついてきた。コンドーム越しでも、出してる感覚がはっきりわかった。
「はぁ…はぁ…」
「はぁ…」
二人して息を切らしながら、しばらく抱き合ったまま動かなかった。
ことねが顔を上げて、泣き笑いみたいな顔をしてた。
「…やっと彼女になれた」
「お前、中3からずっとこんなこと考えてたの…?」
「考えてないよ。ただ好きだっただけ」
「俺、全然気づかなかった」
「知ってる。だから足折ってくれてよかった」
「よくないんだが…」
ことねが笑って、もう一回キスしてきた。
そのあと、ことねはシャワーを浴びてから帰った。「明日も来るね」って、いつもの一言。でもその意味が、もう全然違ってた。
ギプスが取れるまであと4週間。
俺の夏休みは、猫のせいで最悪のスタートを切ったはずだった。
でも今は、この骨折に感謝してる自分がいる。ちょっとだけ。
板橋のマンションの505号室に、俺の彼女が住んでる。
そんな現実が、まだ夢みたいだった。