こんばんは。47歳、都内で小さい印刷会社の営業をやってる男です。
なんでこんなとこに投稿してるかっていうと、自分でもよくわかんないんだけど、誰かに聞いてほしいんだと思います。去年の冬の話です。
俺は5年前に妻を病気で亡くしました。乳がんで、発覚してから1年半。あっという間だった。子どもはいません。結婚して8年、二人で暮らしてきた世田谷のマンションに、今は一人で住んでます。
妻が死んでからの5年間、女のことなんてまったく考えなかった。正直に言うと、もう枯れたんだと思ってた。会社と家の往復。たまに行きつけのスナックで焼酎のお湯割りを3杯飲んで帰る。それが俺の生活のすべてで、それで十分だと思ってました。
行きつけのスナックっていうのは、新宿三丁目の路地裏にある「よりみち」って店です。カウンター8席だけの、ママが一人で切り盛りしてる昭和みたいな店。ママは60過ぎのおばちゃんで、俺が来ると黙って焼酎のお湯割りを出してくれる。それが心地よかった。
その日も仕事帰りに「よりみち」に寄った。12月の金曜日で、めちゃくちゃ寒い夜だった。
カウンターに座って、いつもの焼酎を飲んでたら、ドアが開いた。
「すみません、一人なんですけど…大丈夫ですか?」
若い女の子の声だった。こんな店に若い子が来るのは珍しい。なんとなく振り返って、そのまま固まった。
(…うそだろ)
橋本環奈を少し大人っぽくしたような顔立ち。身長は158cmくらいかな。黒髪のセミロングで、ベージュのコートを着てた。目が大きくて、でもキツくない。柔らかい二重。
何がやばかったかっていうと、笑ったときの口元が妻にそっくりだったんです。
いや、顔全体が似てるわけじゃない。妻はもっと地味な顔だった。でも、ふわっと笑ったときの口の形、左側だけちょっと上がる感じ。あれが完全に一致してた。
心臓がバクバクし始めて、自分でも動揺した。(落ち着け。たまたま似てるだけだ)
ママが彼女を俺の隣の席に案内した。8席しかないから、空いてる席がそこしかなかったんだと思う。
「あ、隣失礼します」
「あ、はい。どうぞ」
声が裏返った。47歳のおっさんが声裏返らせてどうすんだよ。
彼女はメニューを見て、少し困った顔をした。
「あの…カクテルとかってありますか?」
ママが笑いながら「うちはね、焼酎とビールとウイスキーしかないのよ」と言った。
「え…じゃあ、ビールで…」
明らかにビールが好きじゃなさそうな顔。(なんでこの店に来たんだよ)
俺はなんとなく口を挟んでしまった。
「焼酎のお湯割り、梅干し入れると飲みやすいですよ。甘めにしてもらえるし」
「あ、そうなんですか?じゃあそれにします!」
なんかすごい素直だった。警戒心ゼロ。こっちが心配になるレベル。
ママが梅干し入りのお湯割りを出すと、彼女は一口飲んで目を丸くした。
「あ、おいしい…。なんかほっとする味ですね」
「でしょ。冬はこれが一番」
(何普通に会話してんだ俺は)
それからしばらく、俺は自分の酒を飲みながらテレビを見てた。彼女も黙ってお湯割りを飲んでた。スナックってそういう空間なんですよね。別に話さなくてもいい。
でも、ふと横を見たら、彼女が泣いてた。
声を出さずに、ぽろぽろと涙を流してた。お湯割りのグラスを両手で包むようにして、じっと下を向いて。
ママが気づいて、黙ってティッシュの箱を彼女の前に置いた。ママはそういうとこがプロだと思う。何も聞かない。
「…すみません。ごめんなさい」
「いいよ。泣きたいときに泣ける場所って大事だから」
なんでそんなこと言ったのか自分でもわからない。でも、妻が入院してたとき、俺が一人でこの店に来て泣いたことがあって。そのときママは何も言わずにおしぼりを出してくれた。だから、なんとなくそう言った。
彼女はティッシュで目元を拭いて、少し落ち着いたみたいだった。
「あの…私、今日彼氏に振られたんです」
「…そうなんだ」
「3年付き合ってて。来月誕生日だから一緒にお祝いしようねって言ってたのに、今日いきなりLINEで『もう無理』って。理由も教えてくれなくて」
「LINEで?」
「はい…」
「そりゃひでえな」
ほんとにそう思った。3年付き合った相手をLINEで振るって、どういう神経してんだ。
「で、とりあえず家に帰りたくなくて…歩いてたらこのお店の看板が目に入って」
なるほど。それであの「一人なんですけど大丈夫ですか」か。スナックに入ったこともなかったんだろう。
「何歳?」
「…二十歳です。来月で21」
二十歳。俺の半分以下。(やめとけ)と頭の中で誰かが言った。
「大学生?」
「はい。早稲田の文学部です。3年生で」
早稲田か。賢い子なんだな。
それから、なぜかいろんな話をした。彼女は近現代文学を専攻してて、卒論のテーマは太宰治だって言ってた。俺は太宰は「人間失格」しか読んだことないって言ったら、「あれだけ読んでれば十分です」って笑われた。
ふわっと笑ったときの口元。また心臓が跳ねた。
2時間くらい話して、俺は先に会計をした。
「じゃあ、気をつけて帰りな」
「あ、あの…ありがとうございました。お湯割り、教えてくれて」
「いいよ。元気出せよ」
店を出て、新宿三丁目の駅に向かって歩きながら、自分の心臓がまだ速いことに気づいた。(バカか。二十歳の子に動揺すんな。お前は47だぞ)
そう言い聞かせたはずなのに、翌週の金曜日も「よりみち」に行った。いつも通り。別にあの子に会いたかったわけじゃない。いつも金曜に行ってるんだから。
…いや、嘘です。ちょっと期待してた。
でも彼女はいなかった。当たり前だ。たまたま入っただけの店にまた来るわけがない。
ママが俺の顔を見て、ニヤッとした。
「…なんだよ」
「べつに?」って顔でママはグラスを拭いてた。見透かされてる気がして恥ずかしかった。
それから3週間、毎週金曜日に通った。彼女は来なかった。
もういい加減諦めろよと思いながら、4週目の金曜日。1月の半ば。この冬一番の冷え込みだった夜。
ドアが開いた。
「こんばんは…あ!お湯割りの人!」
(お湯割りの人て)
でも、不覚にもめちゃくちゃ嬉しかった。
「よう。また来たの」
「はい。あの日のお湯割りが忘れられなくて…。あと、ちゃんとお礼が言いたくて」
「お礼?」
「あの夜、おじさんが優しくしてくれたから、なんか…すごい救われたんです」
おじさん。まあ、おじさんだよな。
彼女はまた俺の隣に座った。今回は空いてる席がほかにもあったのに。
ママが何も言わずに梅干し入りのお湯割りを二つ出した。完全に見透かされてる。
その日から、彼女は…名前は「さき」って言った。さきは月に2回くらい「よりみち」に来るようになった。
俺が毎週金曜日に行ってることを察したのか、だいたい金曜の夜に来る。別に約束したわけじゃない。でも、なんとなく会える。そういう距離感が心地よかった。
さきは話し上手で聞き上手だった。太宰の話、大学の友達の話、バイト先の古本屋の話。俺の仕事の愚痴も嫌な顔せず聞いてくれた。
ある日、さきが俺に聞いてきた。
「おじさんって、結婚してるんですか?」
「…してた。5年前に妻を亡くした」
「…ごめんなさい、聞いちゃいけないこと聞きました」
「いいよ。もう大丈夫だから」
大丈夫じゃなかった。さきの口元を見るたびに妻を思い出す。それが嬉しいのか辛いのか、自分でもわからなかった。
2月のある金曜日。バレンタインの2日前だった。
さきがいつもより少しおしゃれをしてた。薄くメイクもしてて、白いニットがよく似合ってた。(…Eカップくらいあんのか。ニットはあかん)気づかないふりをした。いや、気づいてたけど。
「おじさん、これ…」
小さい紙袋を渡された。
「なに?」
「バレンタインです。手作りなんで…あんまり期待しないでください」
中を見たら、ちょっと不格好なトリュフチョコが入ってた。
「…ありがとう。嬉しい」
「義理ですからね? お湯割り教えてくれたお礼です」
「わかってるよ」
わかってないです。手が震えてた。47歳のおっさんが、二十歳の子から手作りチョコもらって手が震えてる。情けなさすぎる。
家に帰ってチョコを食べた。ちょっと甘すぎたけど、うまかった。妻が生きてた頃は毎年チョコをもらってたけど、ここ5年で初めてのバレンタインチョコだった。
3月。さきが就活の話をし始めた。出版社を受けるらしい。
「でも出版って倍率やばいんですよね…受かる気しない」
「お前なら大丈夫だよ。話おもしろいし」
「おじさんにおもしろいって思ってもらえるだけで自信つきます」
「おっさんのお墨付きなんて何の役にも立たねえよ」
「立ちますよ。…おじさんの言葉、私けっこう真に受けてるんですよ?」
その目を見たとき、(あ、やばい)と思った。
ただの親切なおじさんでいなきゃいけないのに。この子は失恋の傷が癒えて、同年代の良い男を見つけて、幸せになるべきなんだ。47の、妻を亡くした男のところに来る子じゃない。
でも、その夜から寝る前にさきのことを考えるようになった。
4月。さきの誕生日。21歳になったらしい。
「おじさん、今日誕生日なんです」
「おう。おめでとう。何がいい?おごるよ」
「えー、いいんですか? じゃあ…この店の焼酎、一番高いやつ!」
ママが「1杯3000円のがあるわよ」って言って、さきが「え、うそ、やっぱいつものでいいです」って慌てたのが面白かった。結局3000円の焼酎を2人で飲んだ。確かにうまかった。
その日、店を出たあと、さきが言った。
「おじさん、もうひとつお願いしていいですか?」
「なに?」
「名前で呼んでほしいです。さき、って」
「…さき」
「はい」
「さき。誕生日おめでとう」
「…ありがとうございます」
新宿三丁目の路地裏で、さきの目が潤んでた。寒さのせいだと思いたかった。
そのあと、俺たちは新宿御苑の方に向かって歩いた。別に理由はなかった。帰るのがもったいなかっただけ。
花園通りを過ぎたあたりで、さきが急に立ち止まった。
「おじさん」
「ん?」
「…私、おじさんのこと好きです」
止まった。歩みも、思考も。
「…さき、俺は47だぞ」
「知ってます」
「お前の親父より年上かもしれない」
「お父さんは49です。2つ違いですね」
「…余計やべえだろ」
「…やっぱ、ダメですか」
さきの声が小さくなった。
(ダメだろ。常識的に考えて。27歳差だぞ。お前の人生を台無しにする気か)
…でも。
「ダメじゃないけど…俺なんかでいいのか、ほんとに」
「おじさん"なんか"って言わないでください。私が好きになった人を悪く言わないで」
泣きそうな顔で怒られた。
俺はしばらく黙って、それから妻のことを話した。妻が死んでからずっと、誰かを好きになることが怖かったこと。さきの口元が妻に似てることに気づいて動揺したこと。でも今は、妻に似てるからじゃなくて、さき自身のことが気になってること。全部、正直に話した。
「…奥さんに似てるから、声かけてくれたんですか?」
「最初はそうだったかもしれない。でも今は違う」
「…ほんとですか?」
「ほんと。太宰の話をするとき目がキラキラするのとか、お湯割りの梅干しを最後にかじるのとか、妻とは全然違う。さきはさきだよ」
「…」
さきがまた泣いた。でも今度は違う涙だった。
「泣くなよ…」
「泣いてません」
泣いてた。
俺はさきの頭にぽんと手を置いた。細い髪がさらさらしてて、シャンプーのいい匂いがした。
「…おじさんの家、行きたい」
「…は?」
「ダメですか?」
「いや、ダメっていうか…」
「嫌じゃなかったら…行きたい」
嫌なわけがなかった。でも、ここで連れて帰ったら取り返しがつかない気がした。
結局、タクシーで世田谷の俺のマンションに向かった。車内で、さきは俺の腕にしがみつくように座ってた。何も言わなかった。俺も何も言えなかった。
マンションに着いて、玄関のドアを開けた。一人暮らしの男の部屋にしてはまあまあ片付いてる方だと思う。
「…きれいにしてますね」
「妻がきれい好きだったから、その癖だけ残ってる」
言ってから、(今この子の前で妻の話すんなよ)と後悔した。
でもさきは「そうなんですね」と穏やかに言っただけだった。
リビングのソファに座って、とりあえずコーヒーを淹れた。インスタントだけど。
「おじさん、緊張してます?」
「…してない」
してた。手が震えてコーヒーこぼしそうだった。
さきが立ち上がって、俺の前に来た。見上げるような目。間近で見ると、睫毛が長かった。
「私は…してます。すごく」
「…さき」
「キス…していいですか?」
二十歳の子にキスの許可を求められる47歳。状況がおかしすぎて笑いそうだった。でも笑えなかった。
「…いいよ」
さきが背伸びして、唇を合わせてきた。
柔らかかった。焼酎の味が少しした。震えてた。俺じゃなくて、さきが。
唇を離したとき、さきの顔が真っ赤だった。
「…もう一回…」
今度は俺から。さきの腰に手を回して、ちゃんと抱き寄せてキスした。
さきが俺のシャツの裾をきゅっと掴んだ。小さい手だった。
キスしながら、(ああ、俺はこの5年間、人に触れてなかったんだな)と思った。人肌がこんなに温かいことを忘れてた。
「おじさん…」
「ん…」
「…もっと触って…ほしい」
さきの目が潤んでて、でもまっすぐ俺を見てた。
白いニットの上から背中を撫でると、さきが小さく息を吐いた。細い背中だった。こんな華奢な体で、就活のストレスとか失恋とか、全部一人で背負ってたのかと思うと、胸が詰まった。
ソファに座り直して、さきを膝の上に座らせた。ニットの裾から手を入れると、肌がすべすべで、温かかった。
「ん…ちょっと、くすぐったい…」
「ごめん」
「謝んないでください…。嫌じゃないから」
背中から指を滑らせて、ブラのホックに触れた。さきが一瞬体を固くした。
「…外していい?」
「…はい」
ホックを外して、ニットの中で手を前に回す。柔らかい感触が手のひらに収まった。想像どおりか、それ以上だった。形が良くて、弾力があって。
「あ…っ」
乳首に指が触れたら、さきが声を漏らした。固くなり始めてた。
「…感じやすいんだな」
「そ、そんなこと言わないで…恥ずかしい」
ニットを脱がせた。白い肌。鎖骨がきれいだった。ブラはもう外れてるから、腕で胸を隠してる。
「…きれいだよ」
「…見ないで」
「見るよ」
さきの腕をそっとどかして、胸に唇を落とした。
「ん…あ…っ」
乳首を舌先で転がすと、さきの呼吸が変わった。腰が小さく動く。
5年ぶりだった。女の体に触れるのは。自分がまだこういう気持ちになれることに驚いてた。枯れたと思ってたのに。
(ほんとにいいのか。この子は二十歳だぞ。俺は何をやってるんだ)
でも、もう止められなかった。さきが俺のシャツのボタンを外し始めてたから。
「おじさんも…脱いで…」
シャツを脱いだ。47歳の体なんて見せられたもんじゃない。腹は出てないけど、引き締まってもいない。ただの中年の体。
「…意外とがっしりしてますね」
「お世辞はいいよ」
「お世辞じゃないです。…好きです、この体」
さきが俺の胸に顔を埋めた。耳が赤かった。
ベッドに移動した。さきのスカートとタイツを脱がせると、白い脚が出てきた。太ももが柔らかくて、思わず手で撫でた。
「ん…そこ…弱い」
下着越しに触れると、すでに少し湿ってた。
「…濡れてる」
「…言わないで…恥ずかしい…」
下着をずらして直接触れる。さきの体がびくっと跳ねた。
指でゆっくり中を探ると、狭い。
「さき…経験少ない?」
「…元彼と3回しか…してないです」
3回。3年付き合って3回。まあ、それが普通なのかもしれない。今の若い子は。
丁寧に指を動かした。急がない。久しぶりの俺は感覚を思い出しながら、さきの反応を見ながら。クリを親指で押すと、さきが声を上げた。
「あっ…やっ…そこ…」
中に指を入れて、ゆっくり出し入れする。さきが俺の肩にしがみついて、息が荒くなってく。
「おじさん…上手…っ…元彼と全然…違う…」
(そりゃ年季が違うからな)とは言わなかった。
さきの中がきゅっと締まった。
「あ…だめ…なんか…きちゃう…っ」
「いいよ。そのまま」
「あっ…あぁ…っ…!」
さきの体が大きく震えて、俺の指を強く締めつけた。しばらくびくびくと痙攣してた。
「はぁ…はぁ…」
「大丈夫?」
「…初めて…イけた…かも…」
元彼、何やってたんだ。いや、俺が言うことじゃないけど。
さきが息を整えながら、俺のベルトに手を伸ばした。
「私も…おじさんのこと…触りたい」
ズボンと下着を下ろすと、もうとっくに硬くなってた。5年ぶりにこうなるのかと自分でもびっくりした。
さきが恐る恐る手で触れてきた。
「…大きい」
「そんなでもないよ」
「元彼より…大きいです」
比べないでほしい。嬉しいけど。
さきの手が不器用に動く。でもその不慣れな感じが逆にやばかった。
「さき…もう俺、限界かも」
「え、早い…」
「5年ぶりなんだよ…勘弁してくれ」
さきがくすっと笑った。
「…じゃあ、中に…入れてください」
コンドームを探した。あるのか?妻が生きてた頃の残りがどこかに…。引き出しを漁ったら、期限切れのが出てきた。
「…やばい、ゴムが期限切れだ」
「…」
「コンビニ行ってくる」
「…大丈夫です。今安全な日だから…」
「いや、でも…」
「おじさん…お願い。今、離れたくない」
「離れたくない」って言われて、断れるわけがなかった。
さきの上に覆いかぶさって、ゆっくり先端を当てた。さきが息を呑む。
「入れるよ…」
「…はい」
少しずつ入れていった。狭くて、熱くて。さきの顔が歪んだ。
「痛い?」
「ちょっと…大丈夫…ゆっくり…」
全部入ったとき、さきが「ふぅ」と長い息を吐いた。
「…あったかい」
5年間忘れてた感覚。中が俺を包み込む感じ。温かくて、きつくて。目頭が熱くなった。
(泣くなよ。セックスしてて泣くおっさんとか気持ち悪いだろ)
ゆっくり腰を動かし始めた。さきが声を漏らす。
「ん…あ…おじさん…」
「さき…」
「気持ちいい…全然違う…こんなの…初めて…」
さきの中がきゅうきゅう締めてくる。まずい。ほんとに持たない。
「さき…やばい、もう…」
「いいよ…出して…中に…」
「ほんとに…いいのか…」
「いい…おじさんのが…ほしい…」
その言葉で終わった。
体の奥から込み上げてくる感覚。5年分が一気に押し寄せてきたみたいだった。さきの中に全部出した。体が震えて、しばらく動けなかった。
「…いっぱい出た…」
「…ごめん」
「だから謝んないでって言ったでしょ」
さきが笑った。あの口元。でももう妻を重ねてない。さきの笑顔として見てた。
抜いたあと、しばらく二人で天井を見てた。
「おじさん」
「ん」
「もう一回…したい」
2回目は、さきが上に乗った。さっきより余裕があって、さきが自分で腰を動かしてた。
「ん…あ…おじさんの…奥まで来る…」
胸が目の前で揺れてて、たまらず手を伸ばした。揉むと、さきが甘い声を出した。
2回目はもう少し長く持った。さきが先にイって、中が締まったのに耐えられずに俺も出した。
3回目は…なかった。さすがに47歳の体力の限界だった。
さきは俺の腕の中で、満足そうに目を閉じてた。
「おじさん…名前、教えてください」
そういえば、俺はさきに名前を教えてなかった。
「…浩二。木村浩二」
「浩二さん」
初めて名前で呼ばれた。なんか、くすぐったかった。
「浩二さん…私、付き合ってほしいです。ちゃんと」
「…世間的にはだいぶおかしい組み合わせだぞ」
「世間がなんか言ってきたら、太宰を引用してやります。『世間というのは、君じゃないか』って」
笑った。声に出して笑った。いつぶりだろう、こんなに笑ったの。
「…わかった。よろしく頼む」
「はい。よろしくお願いします、浩二さん」
さきが俺の胸に顔を埋めて、小さく「えへへ」と笑った。
あの夜から半年以上経ちます。さきは相変わらず月に何回か俺のマンションに泊まりに来る。就活は無事に中堅の出版社から内定をもらった。俺は相変わらず印刷会社で営業をしてる。「よりみち」にも二人で行くようになった。ママは「ずいぶん若い彼女じゃない」とだけ言って、いつも通り梅干し入りの焼酎のお湯割りを二つ出してくれる。
さきの口元は、今でも妻に似てる。でも俺はもう、それを見て妻を思い出すんじゃなくて、さきの笑顔としてちゃんと見れてる。
枯れたと思ってたおっさんが、二十歳の子に救われた話。
格好悪いけど、読んでくれてありがとうございました。