右腕を吊ったまま夏期講習に通ったら、隣の席の一軍女子が毎日ノートを写させてくれるようになった件

これは高2の夏の話。たぶん一生忘れないと思うから書いとく。

俺、矢野翔太。川崎市の公立高校に通う、まあ典型的な地味男子だった。友達はいるけど少ないし、部活は帰宅部だし、スクールカーストで言えば下から数えた方が圧倒的に早い。身長は172で顔面偏差値は48くらい。菅田将暉を5回くらい洗濯機で回したような、まあそんな感じ。

で、7月の終わり。夏休みに入って3日目のことだった。

近所のコンビニの前でチャリから降りようとしたとき、サンダルが引っかかって派手にコケた。右手をアスファルトに突いた瞬間、手首からバキッていう音がして、(あ、これ終わったわ)って冷静に思った。

病院に行ったら橈骨の骨折で、全治6週間。利き腕の右手がギプスで完全に固定されて、三角巾で吊るされた。

最悪だったのが、夏期講習が翌週から始まること。うちの高校、2年の夏期講習は任意参加なんだけど、俺は数学と英語がヤバすぎて申し込んでた。親にも金出してもらってるし、今さらキャンセルとか言えない。

で、左手だけでなんとかなるだろうと思って初日に教室に入ったんだけど、そこで問題が起きた。

夏期講習の教室は普段と違って小さい部屋で、座席が指定されてた。俺の隣の席に座ってたのが、宮瀬あかりだった。

宮瀬あかり。うちのクラスの、いや学年の、いやもしかしたら学校全体の中心にいる女。橋本環奈を少しだけ大人っぽくしたような顔立ちで、身長は159、いつもゆるく巻いた茶髪をハーフアップにしてて、笑うと八重歯がちょっとだけ見える。胸はたぶんEくらいあるのに制服だとそこまで目立たなくて、クラスの男子が「宮瀬は隠れ爆乳」って裏で盛り上がってたのを覚えてる。

とにかく、関わっちゃいけない人種だった。一軍女子の頂点。俺みたいなのが話しかけたら、周りの一軍男子に何されるかわかったもんじゃない。

(なんで隣なんだよ…最悪だ…)

初日の数学の授業。先生が板書を始めて、俺は左手でシャーペンを握った。

無理だった。ミミズがのたうち回ったような文字しか書けない。しかも遅すぎて板書の半分も写せない。

「ねえ、大丈夫?腕どうしたの?」

隣から声をかけられて心臓が止まりかけた。宮瀬が俺のノートを覗き込んでる。近い。シャンプーの匂いがする。やめてくれ。

「あ、いや、ちょっとコケて…」

「えっウケる。って、ごめん笑っちゃいけないやつだよね。右利き?」

「…うん」

「じゃあノート取れないじゃん。私のあとでコピーしなよ」

「いや、大丈夫、なんとか…」

「なんとかなってないじゃん、それ。象形文字だよ」

俺のノートを指差して宮瀬が笑った。悔しいけど反論できない。マジで象形文字だった。

その日から、毎日授業が終わると宮瀬がノートを貸してくれるようになった。俺はスマホで写真を撮って、家で左手で書き写す。

3日目くらいから、宮瀬が休憩時間に話しかけてくるようになった。

「矢野くんってさ、いつも何してんの?放課後とか」

「え、別に…ゲームとか」

「何のゲーム?」

「あー、ApexとかValoとか…」

「あっ私もApexやる!ランクなに?」

(え?一軍女子がApex?)

「え、マジで?ダイヤ…」

「ダイヤ?!すご。私プラチナから上がれなくて困ってるんだけど」

そこから一気に話が弾んだ。まさか宮瀬とゲームの話で盛り上がる日が来るとは思わなかった。

一軍女子ってもっとこう、TikTokとインスタしか見てないと思ってた。偏見だった。宮瀬は普通にゲーマーだし、漫画も読むし、アニメも見る。ただそれを学校では出さないだけらしい。

「だって言ったらオタクじゃんって言われるもん。矢野くんには言えるけど」

「なんで俺には言えるの」

「んー、なんか安心するっていうか。矢野くん、私のこと怖がってるでしょ?」

「……怖がってるっていうか」

「でしょ?だから逆にラクなんだよね。変に気使わなくていいし」

(俺が怖がってるからラク、ってどういう理屈だよ…)

でもまあ、確かに宮瀬は俺の前だとクラスで見せてる感じと全然違った。一軍の中にいるときの宮瀬は常にニコニコしてて、誰にでも愛想良くて、完璧な人気者って感じ。でも俺の隣にいるときは、たまに毒吐くし、眠いって言って机に突っ伏すし、コンビニのカフェオレをストローでずるずる飲みながらぼーっとしてる。

1週間が過ぎた金曜日。その日は午前中で講習が終わって、俺は帰ろうとしてた。

「ねえ矢野くん、今日の午後ヒマ?」

「まあ、ヒマっちゃヒマだけど」

「ゲーセン行かない?ラゾーナ」

川崎のラゾーナのゲーセンに、宮瀬あかりと2人で行く。

(これはデートなのか?いや違うだろ。ただの暇つぶしだ。勘違いするな矢野翔太)

ゲーセンで音ゲーやったりクレーンゲーム見たりして、フードコートでクレープ食べた。宮瀬はイチゴのやつ、俺はチョコバナナ。

「矢野くんさ、クレープの食べ方下手すぎない?」

「左手だけで食うの難しいんだって」

チョコソースが口の横についてて、宮瀬が自分のウェットティッシュで拭いてくれた。近い。目が合った。宮瀬の瞳は薄い茶色で、光が入るとちょっと琥珀色に見える。

「……なに?」

「いや、別に」

「顔赤いけど」

「暑いから」

「ふーん」

宮瀬がにやっと笑った。(やめろ、その顔)

翌週の火曜日。事件が起きた。

講習の休憩時間に廊下を歩いてたら、サッカー部のキャプテンの藤川に呼び止められた。一軍男子のトップ。イケメンで背が高くて、宮瀬に気があるのはクラス中が知ってる。

「…なんすか」

藤川は俺の右腕のギプスをちらっと見て言った。

「おまえさ、最近宮瀬と仲良いよな」

来た。これが怖かった。

「別に仲良くないっすよ。ノート見せてもらってるだけで」

「ふーん。まあ、調子乗んなよ」

それだけ言って藤川は去っていった。直接的に脅されたわけじゃない。でも十分だった。

(やっぱりな。関わるべきじゃなかった)

その日の講習中、俺は宮瀬に話しかけられても最低限の返事しかしなかった。

授業が終わって、宮瀬がいつものようにノートを差し出してきた。

「はい、今日の分」

「…ありがとう。あの、もうノートは大丈夫。左手で書けるようになってきたから」

「え?」

「迷惑かけてたし、もう大丈夫だから」

宮瀬が黙って俺の顔を見てる。俺は目をそらした。

「藤川に何か言われた?」

「……」

「言われたんだ」

「別に大したことじゃ…」

「ごめん、私のせいだよね」

「宮瀬のせいじゃないよ。俺が身の程わきまえてなかっただけ」

宮瀬の表情が一瞬固まった。

「…身の程って何。そういうのやめてよ」

「事実だろ。俺みたいなのが宮瀬と一緒にいたら周りがおかしいと思うのは当然で」

「当然じゃないし!誰と一緒にいるかなんて私が決めることでしょ!」

宮瀬の声が大きくなって、教室に残ってた数人がこっちを見た。宮瀬は唇を噛んで、ノートを俺の机に置いて出ていった。

(最悪だ…)

次の日から、宮瀬は普通に隣に座ってたけど、話しかけてこなくなった。ノートも貸してくれない。いや、俺が断ったんだから当然なんだけど。

3日間、気まずい沈黙が続いた。

左手で必死にノート取ってるけど、やっぱり象形文字。授業についていけない。でもそれより、宮瀬が隣にいるのに壁があるこの感じがきつかった。

自分でもよくわからなかった。関わるべきじゃないって思ってたのに、宮瀬がいないとこんなに寂しいのかよって。

(なんだよこれ。俺、宮瀬のこと好きなのか?いや、そんなわけ…)

4日目の木曜日、講習が終わった後。俺は宮瀬を追いかけた。

「宮瀬!」

校舎の裏の自販機コーナーで追いついた。宮瀬はカルピスウォーターを買おうとしてたところだった。

「…なに」

「あの日言ったこと、撤回させてくれ。身の程とか、そういうの全部」

「…」

「俺が怖かっただけなんだ。宮瀬と仲良くなって、周りに何か言われて、で、宮瀬にも迷惑かかるのが嫌で。でもそれって結局、宮瀬の気持ち無視してたってことだよな」

「…うん」

「ごめん。あと、ノート貸してください」

宮瀬がぷっと吹き出した。

「最後それ?」

「いや、マジで左手限界なんだって…」

「知ってるよ。ずっと見てたもん。象形文字どんどん進化してヒエログリフみたいになってたから」

「グレードアップしてんじゃねえよ…」

2人で笑った。自販機の前で、8月の昼下がりに、セミが鳴いてる中で。

そこからまた前みたいに戻った。いや、前より近くなった。

講習が終わった後に一緒に帰るのが当たり前になって、たまにファミレスで勉強したり、カラオケ行ったりした。藤川はまだ睨んでくるけど、宮瀬が俺の前を歩くように「壁」になってくれてるのがわかった。(本人は「たまたまだよ」って言うけど)

8月の第3週。お盆が明けた月曜日。その日は講習が休みで、俺は家でダラダラしてた。親は仕事でいない。

昼過ぎに宮瀬からLINEが来た。

「ヒマ?遊びに行っていい?」

(来んの?俺の家に?)

断る理由がなかった。いや、あったかもしれないけど、断りたくなかった。

30分後、宮瀬が来た。白いキャミソールにデニムのショートパンツ。素足にサンダル。クラスで見るのと全然違う、ラフな格好。

「おじゃまします。あっ、エアコン効いてて天国…」

「飲み物出すわ。麦茶しかないけど」

「麦茶でいいよ。あ、私が注ぐから。グラスどこ?」

左手でギプスの腕を庇いながら棚を指差すと、宮瀬が慣れたように台所に入ってきた。

リビングのソファに並んで座って、テレビつけた。高校野球がやってた。

「矢野くん野球好き?」

「まあ、見る程度」

「私、地味に横浜ファンなんだよね」

「え、DeNA?渋いな」

「お父さんの影響。ハマスタ年3回は行く」

(一軍女子がハマスタ通い。マジで偏見だったわ)

高校野球を見ながらだらだら喋って、気づいたら2時間くらい経ってた。テレビの試合が終わって、なんとなく沈黙が落ちた。

「…ねえ」

「ん?」

「ギプス、かゆくならない?」

「めっちゃかゆい。地獄」

「だよね。私も小学生のとき足首折ったからわかる。定規突っ込んでかいてたもん」

「それ俺もやってる」

「あはは、やっぱり。見せて?」

宮瀬が俺の右腕に手を伸ばした。ギプスの端のところ、包帯と肌の境目あたりを指先でそっと触る。

「ここかゆい?」

「あー…そこはまあ…」

宮瀬の指が細くて冷たくて、ギプスの縁の内側に少しだけ入ってきた。

「こう?」

軽くかいてくれる感触に、思わず声が出た。

「うわ、それめっちゃ気持ちいい…」

「でしょ?」

宮瀬が得意そうに笑って、もう少し奥まで指を入れてかいてくれる。

気持ちよくて目を閉じかけたとき、ふと気づいた。宮瀬の顔がすごく近い。

目を開けたら、宮瀬がこっちを見てた。さっきまでの得意げな顔じゃなくて、なんかちょっと不安そうな、でも期待してるような、よくわからない顔。

「…矢野くん」

「…なに」

「私のこと、どう思ってる?」

心臓がうるさい。

「どうって…」

「友達?ノートを貸してくれる便利な人?それとも…」

「……便利な人とは思ってない」

「じゃあなに?」

「…好きだよ。たぶん、結構前から」

言っちまった。

宮瀬の目がぱちぱちって瞬きした。

「たぶん、って何」

「いや、自信ないっていうか…こういうの慣れてなくて」

「私も慣れてないよ」

「嘘つけ、告られまくってるだろ」

「告られるのと、好きな人に好きって言われるのは全然違うの」

(好きな人って…俺のこと?)

宮瀬がソファの上で少しこっちに体を寄せてきた。

「私も好き。矢野くんのこと」

「…え?」

「ノート貸し始めたときから。っていうか、もっと前かも。教室でいつも静かに本読んでるの見てて、なんか気になってた」

「え、嘘だろ。俺のこと存在すら認知してないと思ってたんだけど」

「してたよ。めっちゃ見てた」

(本人だけ気づいてなかったってやつか…マジかよ…)

宮瀬が俺の左手をそっと握った。握り返した。手が震えてたと思う。

「キス…していい?」

俺がうなずく前に宮瀬が目を閉じて近づいてきた。唇が触れた。柔らかくて、カルピスの味がした。たぶん3秒くらいだった。

離れて、お互い黙って、顔が真っ赤で。

「…もっかい」

今度は俺から。左手で宮瀬の頬に触れて、ゆっくりキスした。宮瀬の唇が少し開いて、舌が触れた。甘い。頭がぼーっとする。

「…っは」

「ん…」

キスしながら、宮瀬の体がだんだん俺の方に倒れてきた。左手で背中を支えようとするんだけど、右腕が使えないからバランスが悪い。

「あ、ごめん、腕痛くない?」

「大丈夫。全然大丈夫」

全然大丈夫じゃなかった。ギプスの角がソファの肘掛けに当たって地味に痛い。でもそんなこと言えるわけがない。

宮瀬が俺のTシャツの裾をつまんだ。

「…脱がせていい?」

「え」

「だって矢野くん、自分で脱げないでしょ」

確かに。ギプスのせいで右袖が通せないから、いつもボタンのシャツか、襟ぐりの広いTシャツを被って着てる。今日のは被るタイプだから、左手だけじゃ脱ぎにくい。

宮瀬が慣れた手つきで、ギプスに引っかからないようにTシャツをたくし上げてくれた。

「…意外にちゃんとしてるね、体」

「中学まで水泳やってたから」

「へえ…」

宮瀬の指が俺の腹筋をなぞった。くすぐったいのと、別の何かで体が震える。

「宮瀬…」

「あかり」

「え?」

「あかりって呼んで。もう付き合ってるんだから」

「…あかり」

「ん」

名前を呼んだだけで宮瀬の、いや、あかりの頬がぱっと赤くなった。

あかりがキャミソールの肩紐をずらした。自分で。俺の目の前で。

白い肌が露わになって、淡いピンクのブラが見えた。クラスの男子が噂してた通り、いやそれ以上だった。ブラから溢れそうなくらい大きくて、でも形がすごく綺麗で。

「……」

「なに固まってるの。触っていいよ?」

左手をあかりの胸に伸ばした。ブラ越しに触れただけで、柔らかさが伝わってくる。

「ん…」

あかりが小さく声を漏らした。

(やばい。これ夢じゃないよな?)

左手だけで背中に回ってホックを外そうとしたけど、片手じゃ無理だった。

「…ごめん、外せない」

「あはは、そっか。じゃあ自分で」

あかりが後ろに手を回してホックを外した。ブラが外れて、あかりの胸がこぼれ出た。

ピンク色の先端が少し上を向いてて、Eカップの丸みが重力で少しだけ揺れる。

「綺麗…」

「…恥ずかしいんだけど」

あかりが腕で胸を隠そうとしたのを、左手でそっと止めた。

「隠すなよ」

「…やだ、なにそれ」

でもあかりは腕をどけてくれた。左手で直接触れると、想像以上に柔らかくて、掌に収まりきらない。指の間から柔らかい肉が溢れる。

「あっ…ん…」

先端を指で転がすと、あかりの体がびくっと跳ねた。

「そこ…感じる…」

俺は夢中だった。左手一本で、あかりの胸を揉んで、先端をつまんで、口でも吸った。

「んんっ…やっ…」

あかりの声が甘くなっていく。さっきまでの一軍女子のクールな感じは全部消えてて、頬を赤くして、目を潤ませて、俺の頭にしがみついてくる。

「矢野くん…翔太…」

名前呼ばれた。それだけで全身に電気が走った。

「…下、触っていい?」

あかりが小さくうなずいた。

デニムのショートパンツのボタンを左手だけで外すのは苦戦した。あかりが見かねて自分で脱いだ。白い下着だけになったあかりがソファに横になる。

(信じられない。これ、本当に現実なのか)

下着の上から触れると、すでに濡れてた。生地を通して伝わるぬくもりと湿り気に、頭がくらくらする。

「…直接がいい」

あかりが自分で下着をずらした。

左手の指を滑り込ませると、ぬるっとした感触。あかりの腰が跳ねた。

「あっ…そこ…」

クリを探り当てて、ゆっくり円を描くように動かす。あかりが目をぎゅっとつぶって、シーツ代わりにソファのクッションを掴んだ。

「やば…気持ちいい…っ」

指を中に入れると、きゅっと締まってきた。あかりの中は熱くて、左手の指が吸い込まれるみたいだった。

「んっ…もっと奥…」

2本目の指を入れて、奥の方のざらっとしたところを押すと、あかりの声が一段高くなった。

「あああっ…だめ…そこやばい…っ」

あかりの体が小刻みに震えてる。左手首が疲れてきたけど止められない。

「いく…いっちゃう…っ」

あかりの中がぎゅうっと締まって、体がびくんと跳ねた。俺の左手を太腿で挟みこんで、しばらく震えてた。

「…はぁ…はぁ…」

荒い息をしながらあかりが目を開けた。とろんとした目で俺を見てくる。

「…翔太も、気持ちよくなってほしい」

あかりが体を起こして、俺のズボンに手をかけた。

ベルトを外して、ジッパーを下ろして、下着ごと引き下ろされた。とっくに限界まで硬くなってた。

「……大きい」

「いや、普通だと思う…」

「私、比較対象ないからわかんないけど…これ入るのかな」

(え?初めて?)

「あかり、経験は…」

「ない。…引く?」

「引かないけど…いいのか?俺で」

「俺でって何。翔太がいいから、こうしてるんでしょ」

あかりが両手で握ってきた。柔らかくて温かい手。上下に動かされると、頭の中が真っ白になりそうだった。

「っ…あかり…気持ちいい…」

「こう?もっと強い方がいい?」

「それくらいで…ちょうどいい…」

あかりが先端を親指でくるくる撫でながら、根元をぎゅっと握る。器用だった。初めてとは思えない。

「やばい…あかり、もう…」

「出していいよ」

「っ…」

あかりの手の中に出した。頭がぐわんとして、一瞬何も考えられなくなった。

「…すごい出た」

「…ごめん、手…」

「いいよ別に。ティッシュどこ?」

テーブルの上のティッシュ箱を指差すと、あかりが片手で引き抜いて拭いた。

少し落ち着いて、でもまだ収まらなかった。あかりの裸がすぐ隣にあって、さっきの感触が残ってて、すぐにまた硬くなった。

「…もう?早くない?」

「あかりが隣にいるのが悪い」

「なにそれ…」

あかりが照れたように笑って、それからまっすぐ俺の目を見た。

「…したい?」

「…うん」

「ゴムは?」

「…ある。机の引き出しに」

高校入ってから「一応」で買っておいた2個入りのやつ。まさか使う日が来るとは思わなかった。

あかりが取ってきてくれて、袋を開けた。

「…つけてあげようか?翔太、片手だし」

「…頼む」

あかりが慎重にゴムを被せてくれた。その手つきがくすぐったくて、でもエロくて、変な声が出そうになった。

ソファだと狭いから、俺の部屋のベッドに移動した。あかりが仰向けに横になって、脚を少し開いた。

「痛かったら言って」

「…うん」

左手で自分を支えながら、先端をあてがった。片手しか使えないから体勢がきつい。あかりが腰を少し持ち上げて合わせてくれた。

ゆっくり入れていく。

「っ…痛い…」

「止める?」

「ううん…大丈夫…ゆっくりお願い…」

少しずつ、少しずつ。あかりが俺の左手を握ってきた。ぎゅっと。痛いくらいに。

全部入ったとき、あかりの目から涙が一筋流れた。

「あかり…泣いてる…」

「泣いてないし…目から汗出てるだけ」

「なにそれ…」

笑ったら少し力が抜けたみたいで、あかりの体の強張りがほどけた。

「…動いていいよ」

ゆっくり腰を動かした。あかりの中は信じられないくらい熱くて、きつくて、動くたびにぎゅっと締まる。

「やばい…気持ちよすぎる…」

「ん…っ…んん…」

あかりの声が、痛みから少しずつ変わっていく。眉間のしわがほどけて、口が小さく開いて、吐息が甘くなる。

「翔太…キスして…」

体を落として唇を重ねた。キスしながら腰を動かすと、あかりが俺の背中に腕を回してきた。爪が食い込んでるのがわかる。

「あっ…ん…気持ちいい…かも…」

「かもって…」

「気持ちいい…よ…っ」

左手であかりの胸を触りながら腰を動かす。片手だから体勢が安定しなくて、何度もバランスを崩しかけた。そのたびにギプスの腕がベッドに当たって鈍い音がする。

「…ねえ、私が上になろっか。翔太、腕つらそう」

あかりが体勢を入れ替えてくれた。俺の上にまたがって、あかりが腰を動かし始める。

上から見るあかりは、もう、言葉にならなかった。揺れる胸と、紅潮した頬と、快感に歪んだ表情と。

「ん…っ…あ…っ」

「あかり…やばい…もう…」

「待って…私ももうちょっと…」

あかりの動きが速くなる。俺は左手であかりの腰を掴んで、下から突き上げた。

「あっ…そこ…っ…いい…っ」

「いく…っ」

「うん…いっしょに…っ」

あかりの中がぎゅうっと締まって、俺は限界だった。ゴムの中に全部出しながら、あかりの腰を引き寄せた。

「んんっ…っ…」

あかりが俺の胸に倒れ込んできた。2人とも息が荒くて、しばらく動けなかった。

「…重くない?」

「全然」

「嘘。私の体重知ったら引くよ」

「引かないって」

「…48キロ」

「普通じゃん」

「普通って言うな。軽いって言ってよ」

「羽のようです」

「棒読みすぎ」

くだらない会話をしながら、あかりの髪を左手で撫でた。しっとりした汗の匂いがする。

「…ねえ」

「ん」

「ギプス取れたら、両手で抱きしめてね」

「…うん」

「約束だよ」

あかりが小指を出してきた。左手で小指を絡めた。

あの夏から6年経って、俺たちはまだ一緒にいる。

ギプスが取れた日、約束通り両腕であかりを抱きしめた。あかりは「やっと両手だね」って笑って、ちょっとだけ泣いた。

今でもあの夏の、左手だけの不器用な日々を思い出すと、胸の奥がきゅっとなる。利き腕を折ったのは最悪だったけど、あの骨折がなかったら、俺は一生あかりと話すこともなかったんだと思う。

コンビニの前でコケた自分に、ありがとうって言いたい。


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