同期の地味な総務女子と親バレ回避のために嘘の同棲を始めたら、嘘のはずの生活がどんどん本物になっていった話

これ、誰かに話したくてしょうがなかったんだけど、リアルで話すと確実に引かれるやつなので、ここに書かせてください。

僕は都内の中堅メーカーで経理をやってる28歳です。スペックは身長170、体重62キロ、顔面偏差値はたぶん47くらい。髪型だけは気を使ってるけど、それでも「雰囲気イケメン」にすらなれてない自覚はある。趣味はサウナと競馬。彼女いない歴は当時2年半で、最後の彼女とは3ヶ月で「なんか違う」って振られた。

で、僕には厄介な問題があった。岡山の実家の母親からの見合い攻勢がとにかくすごい。月に2回はLINEで「この子どう?」って写真が送られてくるし、帰省するたびに近所のおばちゃんの娘とか従姉妹の友達とかをセッティングされる。父親はもう諦めてるのか何も言わないけど、母親は本気で僕が一生独身になると思ってるらしい。

(まあ、否定できないんだけどさ…)

そんなある日、会社の給湯室で同期の安藤さんに会った。

安藤さんは総務部で、入社からずっと同期のグループLINEにはいるけど、正直そこまで深い付き合いはなかった。身長は158くらいで、いつも紺とかグレーの地味な服を着てて、黒縁メガネをかけてる。髪はいつも一つ結び。顔は…うーん、浜辺美波を3割くらい地味にした感じっていうか、素材はいいのにわざと隠してるような雰囲気の子だった。

「あ、村上くん。お疲れ」

「お疲れ。今日遅くない?」

「月末の経費精算がやばくて…あ、それ経理に関係あるか」

「こっちに回ってくる前に直してくれると助かるんだけどね」

「善処します…」

そんな軽い会話だったんだけど、安藤さんがぼそっと言ったひとことで空気が変わった。

「ねえ村上くん、彼女いる?」

「は? いないけど」

「だよね。私もいない。…っていうか、いないことにしたいんだけど、いないままだと親がうるさくてさ」

聞けば、安藤さんの実家は栃木の宇都宮で、お母さんが地元の結婚相談所に勝手に登録しようとしてるらしい。しかも来月、お盆の帰省で「紹介したい人がいる」と言われてるとか。

「だから…これ、すごい変なお願いなんだけど」

「うん」

「私の彼氏のフリ、してくれない? 帰省のときだけでいいから」

(いやいやいやいや)

正直、意味がわからなかった。でも安藤さんの顔が本気だったのと、僕自身も母親の見合い攻撃に疲弊してたのが重なって、気づいたら「いいよ」って言ってた。

そこからの展開が早かった。

まず安藤さんが「彼氏がいる証拠」として、僕の部屋で一緒に撮った写真をお母さんに送りたいと言い出した。で、僕の家に来ることになったんだけど、僕の部屋は武蔵小杉の1LDKで、まあそこそこ片付いてはいた。

「へえ、思ったよりちゃんとしてる。男の一人暮らしってもっと汚いと思ってた」

「失礼だな…サウナグッズが多いだけで、基本的にはきれい好きだよ」

「このタオル、MOKUじゃん。サウナガチ勢?」

「週3で通ってる」

「ふーん、意外」

写真を何枚か撮って、安藤さんはお母さんに送った。ソファで隣に座って自撮りしたんだけど、安藤さんがスマホを構えるとき腕が僕の肩に触れて、思ったより柔らかくてドキッとした。あと、メガネを外した安藤さんの横顔が予想外にきれいで、(あれ、この子こんな顔だったっけ…)って少し動揺した。

そしたら安藤さんのお母さんから速攻で電話がかかってきて、興奮気味に「いつから付き合ってるの!?」「何してる人なの!?」「お盆に連れてきなさい!」の三連発。安藤さんが必死になだめてる横で、僕は(これ、だいぶまずいことになってないか?)と思い始めてた。

で、ここからが想定外なんだけど、安藤さんが「お盆まで時間があるから、もっとリアルな彼氏感を出すために、何回か一緒に過ごさない?」と提案してきた。

「親って勘がいいから、付け焼き刃だとバレるんだよ。だからさ、お互いの好きな食べ物とか、休日の過ごし方とか、自然に答えられるくらいにはなっておきたいの」

理屈はわかる。わかるんだけど、それって要するに…

「デートしろってこと?」

「デートじゃないよ。練習。リハーサル」

(それをデートっていうんだよ…)

最初の「リハーサル」は二子玉川のライズで買い物。安藤さんは僕の服を見立てたいと言って、無印良品とユニクロをハシゴした。

「村上くんさ、もうちょっと明るい色着たほうがいいよ。いっつも黒かネイビーじゃん」

「明るい色って何色だよ」

「ベージュとか。あと白T、ちゃんとしたやつ」

「白Tなんてすぐ汚れるじゃん」

「だから何枚か買うの。はい、これ試着して」

(なんか本物の彼女みたいなんだけど…)

安藤さんに選んでもらった白のバンドカラーシャツを着てみたら、安藤さんが「あ、いいじゃん」って小さく笑った。その笑い方がすごく自然で、仕事中に見る事務的な安藤さんとは全然違って見えた。

2回目のリハーサルは僕の部屋で映画を観ること。安藤さんが「彼氏の家でNetflixを観るのはカップルの基本行動」と真顔で言うので、まあそういうもんかと思ってピザを頼んで映画を観た。

安藤さんは怖い映画が好きで、『ミッドサマー』を観ようとしたんだけど、開始30分で僕が無理になって止めた。

「ごめん、ホラー系はマジで無理…」

「えっ、これホラーっていうかフォークホラーで…まあいいか。じゃあ何がいい?」

「競馬のドキュメンタリーとか…」

「却下。じゃあ間を取ってラブコメにしよう」

結局『花束みたいな恋をした』を観た。安藤さんは途中で泣いてて、僕はそれを見て(あ、この子泣くんだ)って当たり前のことに妙に感動してしまった。

映画が終わる頃にはもう23時を過ぎてて、安藤さんがソファでうとうとし始めた。

「安藤さん、起きて。終電やばいよ」

「ん…あと5分…」

結局起きなかった。仕方ないので毛布をかけて、僕はベッドで寝た。

朝起きたら、安藤さんがキッチンに立ってた。

「あ、おはよ。勝手に冷蔵庫使ったけど、卵と玉ねぎあったから味噌汁作った」

寝起きの安藤さんは髪をおろしてて、メガネもなくて、正直びっくりするくらいかわいかった。(いや待って、こんなかわいかったっけこの人…)

その朝、味噌汁を飲みながら僕は気づいてしまった。安藤さんがTシャツを借りて着てるんだけど、胸のあたりがすごく…その…張ってる。地味な服の下に隠れてたけど、多分Fカップくらいはある。

(見ちゃダメだ見ちゃダメだ見ちゃダメだ)

「ねえ、なんで味噌汁ガン見してるの?」

「い、いや、具が多くていいなって」

「…変なの」

3回目のリハーサルから、安藤さんは金曜の夜に僕の部屋に来て土曜の昼に帰るパターンが定着した。

会社では相変わらず事務的な関係で、すれ違っても軽く会釈するだけ。でも金曜の夜に安藤さんが「おじゃまします」って玄関に立つと、一週間の疲れが半分くらいになる感覚があった。

(これ、リハーサルの範囲超えてないか?)

そう思いながらも、僕は安藤さんとの偽物の日常を止められなくなってた。

ある金曜の夜、安藤さんが珍しくコンタクトをつけてきた。

「あれ、メガネじゃないんだ」

「ん、たまにはね。…変?」

「いや、全然。っていうか、だいぶ印象変わるね」

コンタクトの安藤さんは、マジで浜辺美波だった。いや、ちょっと盛ってるかもしれないけど、そのくらいの衝撃はあった。目がすごく大きくて、まつげが長くて、唇の形もきれいで。

「お盆の帰省、コンタクトにしようかなって。彼氏にはちゃんとした顔を見せてる設定のほうが自然でしょ」

「…そうだね」

(設定、ね…)

その夜、いつもみたいにソファで映画を観てたんだけど、安藤さんが「ちょっと寒い」って言って毛布に入ってきた。7月なのに冷房がききすぎてたのは事実だけど、安藤さんの肩が僕の腕に触れた瞬間、心臓がやばいくらい跳ねた。

映画のクライマックスで安藤さんが僕の腕をぎゅっと掴んできて、その手がずっと離れなかった。僕も振り払わなかった。

映画が終わっても、しばらく二人とも動かなかった。

「…ねえ村上くん」

「うん」

「お盆のさ、実家の件なんだけど。ママがね、泊まりで来てほしいって」

「えっ」

「部屋は分けるからって言ってるけど…嫌だったら断るよ」

嫌じゃなかった。嫌じゃないことが怖かった。

「…いいよ、行く」

「ほんと?」

安藤さんが顔を上げて僕を見た。コンタクトの大きな目が、テレビの光を反射してきらきらしてた。

(あ、俺、この子のこと好きだわ)

気づいた瞬間、全身から汗が出た。

お盆当日、東京駅から宇都宮まで新幹線で50分。安藤さんの実家は宇都宮駅からバスで20分くらいの住宅街にある二階建ての一軒家だった。

玄関を開けた瞬間、安藤さんのお母さんが飛び出してきた。

「ママ、落ち着いて」

「だって! 茜が彼氏連れてくるなんて初めてなんだもん!」

お母さんは安藤さんをもう少しふっくらさせて、パーマをかけた感じの人で、とにかく元気がすごい。お父さんは奥からゆっくり出てきて、無言で僕に缶ビールを差し出した。その背中に「まあ頑張れ」と書いてあるような気がした。

リビングでの食事は、お母さんの質問マシンガンとの戦いだった。

「いつから付き合ってるの?」「どこでデートするの?」「結婚は考えてるの?」

安藤さんと事前に練習した答えをスムーズに返していく。趣味のサウナの話でお父さんが食いついてくれたのは助かった。お父さん、草津の日帰り温泉が好きらしい。

でも、夕食も終盤に差しかかったとき、お母さんが核心をついてきた。

「あなたたち、一緒に住んでるの?」

場が凍った。安藤さんが僕をチラッと見た。

「…うん、最近ね」

(え、今なんて言った?)

安藤さんが勝手に嘘を重ねた。お母さんは「きゃー!」と叫んで、お父さんは缶ビールを一気飲みした。

僕は安藤さんの足をテーブルの下でそっと蹴ったけど、安藤さんは涼しい顔で「彼の部屋が広いから」とか言ってる。

(おい、リハーサルになかったぞそのシナリオ!)

夜、2階の安藤さんの部屋に案内された。お母さんが布団を2組敷いてくれたんだけど、部屋は6畳で、布団と布団の距離が30センチくらいしかない。

「同棲してるって言ったの、なんでだよ」

「ごめん、咄嗟に…でも週末泊まりに行ってるのは嘘じゃないし」

「いやそれは…確かにそうだけど…」

「もう言っちゃったし、しょうがないよ。…ねえ、そんなに怒ってる?」

怒ってはいなかった。ただ、30センチ先に安藤さんが寝てると思うと、全然眠れなかった。

夜中の2時くらいだったと思う。トイレに起きて戻ってきたら、安藤さんの布団がずれてて、Tシャツがめくれ上がってお腹が見えてた。

(見ちゃダメだ)

そう思ったのに体が動かない。安藤さんの寝息が聞こえて、白いお腹が上下してて、その上にTシャツに押しつぶされてもなお主張してくる胸の膨らみがあって。

(マジで寝よう。寝ないとダメだ)

布団に入って目を閉じたけど、瞼の裏に安藤さんのお腹が焼きついて全然眠れなかった。

翌朝、リビングに降りたら安藤さんがお母さんと一緒に朝食を作ってた。

「二人で作るのなんて久しぶりだね」ってお母さんが嬉しそうに言ってて、安藤さんもなんだか照れくさそうに笑ってて、その光景がすごくあたたかくて、(俺はなんて罪なことをしてるんだろう)と胸が痛くなった。

朝食のあと、お母さんが「二人で散歩でもしてきなさい」と言うので、安藤さんと近くの神社まで歩いた。

蝉がうるさくて、日差しがきつくて、安藤さんが「暑い」って言いながら髪をまとめた。うなじに汗が光ってた。

「ねえ村上くん、ありがとね。つきあわせちゃって」

「別に。俺も助かってるし」

「そういえば村上くんのお母さんには何て言ってるの?」

「…実は、安藤さんの写真送った。お母さんに」

「えっ!? い、いつの?」

「二子玉で撮ったやつ。笑ってるやつ」

「ちょっと…勝手に…っ」

安藤さんが真っ赤になった。

「そっちだって同棲してるとか勝手に言ったじゃん。おあいこだよ」

「…それはそうだけど…」

安藤さんがむくれた顔でペットボトルのお茶を飲んでて、僕はその横顔を見ながら、(あー、もうダメだ、完全に好きだ)って諦めに近い気持ちになってた。

帰りの新幹線で、安藤さんが僕の肩に頭を乗せて寝た。寝たフリかもしれないし、本当に寝てたのかもしれない。どっちでもよかった。安藤さんのシャンプーの匂いがして、髪が僕の首筋に触れるたびに心臓がうるさくて、東京駅まであっという間だった。

お盆が終わって、次の金曜日。いつも通り安藤さんが僕の部屋に来た。

でも、その日は空気が違った。安藤さんがコンタクトで来て、いつもよりちょっとだけかわいい服を着てて、手には紙袋を持ってた。

「はい、これ。お礼」

中身は今治タオルのサウナセットだった。

「え、いいの? これ結構するやつじゃん」

「お盆のお礼だよ。あと…」

安藤さんが言葉を切った。

「…あのさ、村上くん。私たちの関係って、なんなんだろうね」

心臓が止まるかと思った。

「え…」

「偽装彼氏って始まったけど…私、金曜日がくるのが毎週楽しみになってて。村上くんの部屋で映画観て、ご飯食べて、朝起きて味噌汁作って…これって、もう偽装じゃなくない?」

安藤さんの目が潤んでた。メガネがない分、その表情がダイレクトに見えて、胸がぎゅっとなった。

「安藤さん…」

「ごめん、変なこと言って。忘れて。トイレ行ってくる」

安藤さんが立ち上がろうとした瞬間、僕は安藤さんの手首を掴んでた。

「忘れない。忘れたくない」

「…え?」

「俺も、同じこと思ってた。お盆のとき気づいた。安藤さんのことが好きだって」

「…うそ」

「嘘じゃない。嘘はもう嫌だ」

安藤さんの目から涙がぽろっとこぼれた。

「私も…好き。ずっと好きだった。偽装とか関係なく、村上くんのことが」

「ずっとって、いつから?」

「入社2年目の忘年会で、酔っ払って駅のホームでうずくまってた私を、何も聞かずにタクシーに乗せてくれたとき」

「え、あのとき? あれ3年前だよ」

「そうだよ。3年間、ずっと」

(3年…? あの地味だと思ってた安藤さんが、3年間俺のことを?)

頭がぐるぐるした。安藤さんがまた泣きそうな顔で笑って、僕はもう考えるのをやめて安藤さんを抱きしめた。

安藤さんの体が震えてた。小さい体だと思ってたけど、抱きしめると胸がぎゅっと僕に押しつけられて、想像以上の柔らかさと大きさに頭がどうにかなりそうだった。

「…村上くん、ぎゅってしすぎ」

「ごめん」

「ごめんじゃなくて…離さないで」

安藤さんが僕のシャツを掴んだ。顔を上げた安藤さんの唇が近くて、気づいたらキスしてた。

安藤さんの唇は柔らかくて、少しだけ潤っていて、ペットボトルのお茶の味がした。最初はそっと触れるだけだったのが、安藤さんのほうから舌を入れてきて、僕もそれに応えた。

「ん…っ」

「…安藤さん」

「茜って呼んで。もう安藤さんじゃないでしょ」

「…茜」

名前を呼んだら、茜がまた泣いた。

キスしながらソファに座って、茜が僕の膝の上に座った。Tシャツ越しに胸が当たってて、さっきから理性が全然きいてなかった。

「茜、ごめん…ちょっと、もう限界かもしれない」

「…私も」

茜が自分でTシャツの裾を掴んで、ゆっくり脱いだ。ベージュのブラから溢れそうな胸が目の前に現れて、息が止まった。

「茜…すごい…」

「やめてよ、恥ずかしい…。服で隠してたのに」

「なんで隠すんだよ…」

「だって、胸ばっかり見られるの嫌だったし…でも、村上くんには見てほしいかも」

ブラを外した。Fカップはあった。(いや、Gかもしれない…) 形がきれいで、先端は薄いピンク色で、触ったら柔らかくて手が沈んでいった。

「あっ…そんなに揉まないで…」

「ごめん、つい…」

「つい、じゃないでしょ…んっ…」

茜の喘ぎ声が思ったより高くて甘くて、普段の低めのぼそぼそ声とのギャップに頭がおかしくなりそうだった。

ソファからベッドに移動して、僕も服を脱いだ。茜のスカートを脱がすとき手が震えて、茜が「大丈夫だよ」って笑ってくれた。

茜の下着は上下揃いのベージュで、なんかそれがすごく茜らしくて、でもそれを脱がすと中身は全然地味じゃなくて、白くてきれいな体に心臓がバクバクした。

「ねえ…経験、ある?」

「一応…2回だけ。茜は?」

「1回だけ。大学のとき」

「じゃあ、お互い初心者みたいなもんだね」

「ふふ、そうだね…優しくしてね」

(こんなこと言われたら、余計に緊張するんだけど…)

茜のあそこに指を入れると、もう濡れてた。

「あっ…んん…」

「ここ、気持ちいい?」

「うん…でも、早くしてほしい…」

「ゴム…あったかな…」

「…いいよ、なくても」

「え?」

「今日、安全日だし…初めてのあなたとのえっち、何もなしでしたい」

その言葉で理性が完全に飛んだ。

ゆっくり入れた。茜がぎゅっと目を閉じて、僕の背中に爪を立てた。

「ん…っ、ちょっと痛い…」

「止める?」

「ううん…動いて」

ゆっくり動き始めると、茜の表情が少しずつ変わっていった。眉間のしわがほどけて、唇が半開きになって、目が潤んでいく。

「あ…っ、気持ちいい…村上くん…」

「健太って呼んで」

「…けんた…あっ…」

名前を呼ばれただけでやばかった。茜の中があったかくて、ぎゅっと締まってきて、(もう無理、全然もたない)と思った。

「茜…ごめん、もう出そう…」

「いいよ…出して…中に…」

茜が僕の腰に足を回してきた。密着した体が熱くて、柔らかい胸が押しつけられて、茜の吐息が耳にかかって。

「っ…」

全身がびくってなって、茜の中に出した。長くて、深くて、頭が真っ白になった。

「あ…っ、あったかい…いっぱい出てる…」

しばらく動けなくて、茜を抱きしめたまま息を整えてた。

「…ねえ、健太」

「ん?」

「もう一回、していい?」

2回目は茜が上になった。さっきは痛そうだった表情がなくなって、代わりに甘い声が増えてた。

「んっ…あっ…気持ちいい…」

Fカップが上下に揺れるのを見上げながら、(嘘から始まったのに、こんなに気持ちいいのは、もう嘘じゃないからだ)って、変なことを考えてた。

「健太…好き…好きだよ…」

「俺も…好きだ、茜」

茜の動きが速くなって、僕も腰を突き上げた。茜が体を倒してきて、キスしながら2回目を茜の中に出した。

3回目もした。後ろから抱きしめるようにして、茜の耳元で名前を呼んだ。茜は枕に顔を埋めて「好き」って何回も言ってた。

全部終わったのは深夜2時過ぎだった。茜が僕の腕の中で、ぼそっと言った。

「偽装同棲じゃなくて、本当に一緒に住まない?」

「…来月からでいい?」

「来週がいい」

「急すぎるだろ」

「だって、もう3年待ったんだよ?」

(そうだった。この子は3年間ずっと待ってたんだ)

「…わかった。来週、荷物持ってきなよ」

茜が嬉しそうに僕の胸に顔をうずめた。

翌週、安藤さんは本当に段ボール3箱で引っ越してきた。月曜日、会社の給湯室で顔を合わせたとき、安藤さんはいつもの黒縁メガネで、いつもの地味な服で、いつもの事務的な顔をしてた。

「あ、村上くん。今月の旅費精算、不備があったので差し戻しますね」

「はい、すみません」

誰も気づかない。隣で後輩が「安藤さんって本当に真面目だよな」って言ってて、僕は味噌汁の味を思い出しながら、ちょっとだけ笑った。

その日の夜、安藤さん――茜が武蔵小杉の僕たちの部屋で、メガネを外して「おかえり」って言ってくれた。

嘘から始まった。でも今は、何もかもが本当だ。


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