隣の部屋に越してきた女子大生が毎晩インターホンを鳴らしてくるようになった経緯を聞いてほしい

これ、誰かに話したくてしょうがなかったんで書かせてください。

俺、28歳。東京の小さいIT企業でバックエンドのエンジニアやってます。顔面偏差値は48くらい。よく言えば「清潔感はある」、悪く言えば「印象に残らない」タイプ。身長172で体重62。星野源をもっと地味にした感じって言われたことがある。褒めてんのか貶してんのかわかんない。

住んでるのは京王線の仙川駅から徒歩8分、築32年の木造アパート「コーポ松風」の201号室。家賃5万8千円。壁が薄いのだけが難点で、隣の部屋の目覚ましの音で起きることもある。でも202号室はずっと空室だったから、ここ半年くらいは快適だった。

それが変わったのが、今年の4月の第2週。

土曜の朝、玄関の前で段ボールを抱えた女の子とすれ違った。

(え、隣?)

「あ、すみません、通れないですよね。ちょっと待ってください」

そう言って段ボールを廊下の端に寄せたその子は、白石聖に似た顔立ちだった。身長は160あるかないかくらい。髪はダークブラウンのミディアムで、前髪がちょっと長くて片目にかかってる。すっぴんっぽいのに肌がやたら綺麗で、Tシャツにスウェットパンツという格好なのに妙に目を引く。

「あの、202に越してきました。よろしくお願いします」

ぺこっと頭を下げられた。

「あ、201の者です。こちらこそ」

(うわ、めっちゃかわいい…)

まあでも、隣人がかわいい女の子だからって何が起こるわけでもない。そう思ってた。当然だろ。28年間そういうラッキーイベントとは無縁で生きてきた男だぞ俺は。

最初の1週間は普通だった。ゴミ出しのタイミングでたまにすれ違って「おはようございます」って言い合うくらい。それが変わったのは、越してきて10日目くらいの水曜の夜だった。

22時過ぎにインターホンが鳴った。

画面を見ると、隣の子が立ってる。

「すみません、Wi-Fiの設定がどうしてもできなくて…もしよかったら見てもらえませんか?」

「あ、いいですよ」

IT系だって話を引越しの日にちょっとしてたから、頼りやすかったんだろう。202号室に入ると、まだ段ボールがいくつか積まれてた。部屋の間取りは俺と左右反転で同じ。1Kの狭い部屋に、やたらでかいぬいぐるみが3つ転がってるのがちょっと面白かった。

ルーターの設定は5分で終わった。

「えっもう終わったんですか!?ありがとうございます!」

「全然大したことないよ」

「お礼にこれ、もらいものなんですけど」

差し出されたのはシャトレーゼのアイス。5本入りの箱。

「いやいや、そんな」

「食べきれないんで、ほんとにもらってください」

このときはまだ名前も知らなかった。

翌日の夜、またインターホンが鳴った。

「あの…棚の上にある箱を取りたいんですけど、踏み台がなくて」

行ってみたら、クローゼットの上の棚に押し込まれた段ボール。手を伸ばしたら普通に届いた。

「すごい…!背が高いっていいですね」

172cmで「すごい」と言われたのは人生で初めてだった。

(この子、距離近いな…)

そう思ったのがこのあたり。でもまあ、一人暮らし始めたばかりの女子大生が頼れる人を探してるだけだろうと。彼女は成城の大学に通う2年生で、地元は静岡の藤枝だって聞いた。名前はここでは伏せるけど、「はるちゃん」って呼んでくれって言われた。19歳。

それから、インターホンは週に2、3回のペースで鳴るようになった。

「虫が出た」「排水口が臭い」「隣の隣の部屋からなんか音がする」。

理由は毎回違うんだけど、共通してるのは「呼ばれて行くと30分は話し込む」ってこと。

ある金曜の夜なんか、エアコンのリモコンが壊れたって呼ばれて行ったら、電池が切れてただけだった。

「はるちゃんさ、電池くらいコンビニで買えるでしょ」

「えー、だって買いに行くの面倒じゃないですか」

「セブン、徒歩2分だよ」

「夜道怖いし…」

(いや絶対嘘だろ…)

でも、嫌ではなかった。正直に言うと、かわいい女の子に頼られて悪い気がしないのは男の性だと思う。ただ、変に意識するのは自分で自分がキツかったので、「近所の世話焼きおじさん」のポジションに徹しようとしてた。9歳差だぞ。

転機は5月の連休だった。

俺はカレンダー通りだったから、5月3日から5連休。特に予定もなく、Steamのセールで買ったゲームを消化しようと思ってた。

初日の昼過ぎ、インターホン。

「お隣さん、今日暇ですか?」

「まあ…暇だけど」

「あのですね、藤枝のお母さんが新茶を送ってきたんですけど、一人で飲むの寂しくて。一緒に飲みません?」

断る理由がなかった。

202号室に行くと、ちゃぶ台の上に急須と湯呑みが二つ並んでた。茶葉の袋には「藤枝かおり」って書いてある。香りがすごくよかった。

「実家、お茶農家なんですよ」

「え、マジで」

「はい。だから小さい頃からお茶ばっかり飲んでて、コーヒー飲めないんです」

彼女はこたつに入って(5月なのにまだ出してた)、足を崩して座ってた。短パンから伸びた脚が白くて、思わず視線を逸らした。

「あ、お隣さんって彼女いるんですか?」

「いないよ。3年くらいいない」

「えー、なんで」

「なんでって…出会いがないから?」

「出会い、ここにあるじゃないですか」

「…は?」

「あ、冗談ですよ。あはは」

冗談…なのか?この子の距離感、マジでバグってないか?

(いやいや、19歳の子にとっちゃ28のおっさんなんて恋愛対象じゃないだろ。深読みすんなよ…)

そう自分に言い聞かせた。

でもその日、帰り際に彼女が言った一言が引っかかった。

「お隣さん、名前で呼んでいいですか?」

「え、まあ…いいけど」

俺は名前を教えた。

「じゃあ、ゆうきさん。また明日も来てくれますか?」

「また明日も」って、なんだよその言い方。友達か?いや友達でもそうは言わないだろ。

翌日も行った。その翌日も。結局、連休5日間のうち4日は202号室で過ごした。お茶飲んで、Netflix観て、彼女が作ったパスタを食べて、ボードゲームやって。

はるちゃんは料理がうまかった。ペペロンチーノのにんにくの火入れが完璧で、俺が「店出せるよ」って言ったら「じゃあゆうきさんが出資してください」って笑ってた。

この5日間で気づいたことがある。

はるちゃん、友達が少ない。というか、いないに近い。大学でもあんまり馴染めてないらしく、サークルにも入ってない。授業が終わるとまっすぐ帰ってきて、ぬいぐるみに囲まれてる。

(だから俺に懐いてるのか…寂しいんだな、この子)

そう理解して、ますます「ちゃんとした大人のポジション」を維持しようと思った。

ところが6月に入って、状況が変わった。

ある木曜の夜、仕事から帰ってシャワーを浴びてたら、壁越しに泣き声が聞こえた。はるちゃんの部屋からだ。

壁が薄いのはこういうとき困る。聞こえてるのに知らんぷりするのも、聞こえてると伝えるのもどっちも微妙。

しばらく迷って、結局LINEした。連休中に交換してた。

「大丈夫?なんかあった?」

既読がついたのは3分後。

「ちょっと…話聞いてもらえますか」

202号室のドアを開けた彼女は、目が真っ赤だった。

聞けば、大学のゼミで一緒の男に告白されて、断ったら「お前みたいな陰キャに告白してやったのに」と言われたらしい。しかもそれをゼミのグループLINEで晒されたと。

(クズすぎるだろそいつ…)

「それは相手が100パーセント悪い。はるちゃんは何も悪くないよ」

「…ありがとうございます」

「ゼミの先生に相談したほうがいいよ。ハラスメント案件だから」

「うん…でも、それよりゆうきさんに聞いてほしかったんです」

ちゃぶ台を挟んで座ってたんだけど、彼女が横に来て、俺の腕にしがみついた。

「…断った理由、聞きたくないですか」

「え?」

「好きな人が、いるから」

心臓が跳ねた。いや待て。「好きな人がいるから断った」っていう報告であって、その好きな人が俺だとは限らない。限らないだろ。

「…そうなんだ」

「ゆうきさん、鈍いですよね」

「え?」

「毎晩インターホン押してるのに、虫退治とか電池交換とか、そんなの全部口実に決まってるのに」

(…知ってたよ。薄々気づいてたよ。でも認めたら終わりだと思ってたんだよ…)

「はるちゃん、俺28だよ。9個も上だよ」

「知ってます」

「大学2年でしょ。もっと同世代のいい男、いくらでもいるって」

「いないです。ゆうきさんがいいんです」

泣いたあとの赤い目で、まっすぐこっちを見てくる。

「…俺なんかでいいの?マジで」

「"なんか"って言わないでください。私が好きになった人のこと」

(…反則だろそれは…)

ここで突き放すのが大人の対応なのかもしれない。でも、2ヶ月近く毎日のように顔を合わせて、笑って、飯食って、くだらない話して。その時間が俺にとってどれだけ大きかったか、自分でもわかってた。

「…ごめん。俺も、好きだと思う。気づかないふりしてた」

「…ほんと?」

「うん」

はるちゃんが俺の胸に顔を埋めた。腕の中で小さく震えてるのがわかった。

しばらくそのまま抱きしめてた。多分5分くらい。

顔を上げた彼女と目が合って、自然にキスしてた。

柔らかくて、少し塩味がした。泣いてたから。

「ん…」

「…」

一回離れて、また唇を重ねた。今度は彼女のほうから舌を入れてきた。

(え、待って、この子キスうまくないか…?)

ぎこちないんだけど、一生懸命で、それがたまらなく愛しかった。

「ゆうきさん…隣の部屋、行きたい」

「え、俺の部屋?」

「うん…だって、この部屋にベッドないから」

そう、はるちゃんは布団派で、しかも万年床だった。俺の部屋にはセミダブルのベッドがある。

(いいのか?これ本当にいいのか?)

手を引かれて、自分の部屋に戻った。不思議な気分だった。毎日住んでる部屋なのに、別の場所みたいに感じた。

ベッドに腰かけた彼女が、Tシャツの裾を握ってた。

「あの…私、経験ないんですけど…」

「…うん」

「引きますか?」

「引くわけないだろ」

そっとキスして、額を合わせた。

「無理しなくていいよ。嫌だったら言って」

「嫌じゃないです。ゆうきさんだから、いいんです」

Tシャツを脱がすと、薄いピンクのブラだった。華奢な体に似合わず胸はしっかりあって、Dカップはありそうだった。

「…すげぇ」

「やだ、見ないでください…」

「いや見るだろ、かわいいんだから」

顔を赤くして目を逸らすのがたまらなかった。

ブラのホックを外すと、形のいい胸がこぼれた。色素の薄い乳首で、触れると小さく声が漏れた。

「あ…っ」

「感じる?」

「わかんない…でも、ゆうきさんに触られると変な感じする…」

舌で転がすと、背中がびくっと反った。

短パンに手を入れると、もう濡れてた。

「っ…恥ずかしい…」

「恥ずかしがらなくていいよ」

指で外側をなぞると、腰が小さく動いた。中に指を入れると、きゅっと締まって熱かった。

「んっ…あ、そこ…」

声を殺そうとしてるのがわかった。

「壁薄いもんな」

「やめてくださいそういうこと言うの…っ」

笑いながら耳を甘噛みしたら、ぎゅっと抱きつかれた。

しばらく指で中を探ってると、彼女の息が荒くなってきた。

「ゆうきさん…もう…入れてほしい…」

(マジか…いいのか本当に…)

コンドームはあった。3年前に買って使わなかったやつ。期限を確認したらギリギリセーフだった。(情けねえ…)

「痛かったら言ってね」

「うん…」

ゆっくり入れていくと、途中で彼女が息を止めた。

「いたっ…」

「止める?」

「ううん…大丈夫…ゆっくりお願いします…」

全部入ったとき、彼女が深く息を吐いた。

「…入った…」

「大丈夫?」

「痛いけど…嬉しい」

その言葉で理性が揺れた。でも、無理させたくなかったから、ゆっくり動いた。

「ん…あっ…」

少しずつ彼女の声が変わっていくのがわかった。痛みから、別の何かに。

「ゆうきさん…気持ちいい…?」

「うん…すごく」

「よかった…」

安心したように笑って、手を伸ばしてきた。恋人繋ぎにして、ゆっくりしたリズムで腰を動かし続けた。

(好きだわ、この子。もう誤魔化しようがない)

「もう少し…速くしても大丈夫です」

許可をもらって少しペースを上げると、彼女の声が大きくなった。

「ん…っ、あ…っ、やばい…なにこれ…っ」

「声、壁…」

「もう知らない…っ」

自分で口を押さえてるのに漏れてくる声が、たまらなくエロかった。

「はるちゃん…もう出そう…」

「うん…いいよ…っ」

腰を掴んで最後に深く突いて、中で出した。ゴム越しでもわかるくらい体の奥が脈打ってた。

「はぁ…」

「…すごかった」

「痛くなかった?」

「最初だけ。途中からは…気持ちよかった」

抜いてゴムを外して、横に並んで天井を見てた。心臓がまだバクバクしてた。

「ねえ、ゆうきさん」

「ん?」

「もっかい…していい?」

(え、もう?)

横を見ると、はるちゃんがこっちを見てた。さっきまで泣いてた目が、今は全然違う色をしてた。

2回目はさっきより余裕が出たのか、彼女から動いてきた。俺の上に跨って、自分でゆっくり入れた。

「ん…あ…さっきより…全然違う…」

さっきは痛みで余裕がなかった分、今度は本当に感じてるのが伝わってきた。腰を小さく前後に揺らしながら、気持ちよさそうに目を細めてる。

「自分から動くの、好き?」

「わかんない…でも…ゆうきさんの顔が見えるから好き…」

それ反則だって。

彼女が前に倒れてきて、俺の耳元で言った。

「ゆうきさん…好き…」

下から突き上げると「あっ」って甲高い声が出て、びくってなった。

「そこ…やばい…っ」

「ここ?」

「うん…っ、あ…だめ…なんか来る…っ」

体が震え出して、中がぎゅうっと締まった。

「あっ…あっ…!」

声を押し殺しながらイったのがわかった。全身の力が抜けて、俺の上に崩れ落ちた。

「大丈夫?」

「…びっくりした…自分でもなったことないのに…」

抱きしめたまま、俺も限界だった。

「もう出るよ…」

「うん…出して…」

密着したまま中で果てた。さっきより長く、頭が真っ白になった。

しばらく二人とも動けなかった。

「…ねえ」

「ん」

「私たち…付き合ってるんですよね?」

「ヤってから確認する?」

「大事なことなんで」

「…付き合ってます」

「えへへ」

そのあと、シャワーを浴びて、一緒にベッドに戻った。

時計を見たら午前2時だった。

「ゆうきさん」

「ん」

「明日から…インターホン押さなくても会えますか」

「合鍵あげるよ」

「ほんと?」

「うん。てかもう壁ドンしてくれたら行くから」

「壁ドン…笑。壁薄いもんね、このアパート」

「それが初めて役に立った」

彼女が笑って、俺の腕の中に潜り込んだ。

あれから3週間くらい経った。合鍵は本当に渡した。今は仕事から帰ると、だいたい俺の部屋にはるちゃんがいる。ご飯作って待っててくれることもある。

壁越しに「おやすみ」って言い合ってた頃が嘘みたいだ。

この前、彼女のお母さんからまた新茶が届いた。宛名が「ゆうき様・はる様」になってた。もう報告してあるらしい。

(聞いてないんですけど…)

でもまあ、悪くないです。

築32年、壁の薄い木造アパートに感謝する日が来るとは思わなかった。


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