隣の部屋に越してきた女子大生がうちのベランダで泣いてた夜から関係がおかしくなった

これ書いていいのかちょっと迷ったんだけど、もう2年前の話だし、たぶん時効かなと思って。

当時25歳、社会人3年目。東京の西のほう、中央線沿いの国分寺に住んでました。家賃5万8千円の1K、築30年、壁うっすい木造アパートの2階。最寄りのコンビニまで徒歩8分。まあお世辞にもいい物件ではないです。

俺のスペックから言うと、身長172、体重は当時62くらい。顔は…まあ、よく言えば「雰囲気イケメン」、悪く言えば「髪型でごまかしてるタイプ」。大学では彼女いた時期もあったけど、社会人になってからは仕事に追われて恋愛どころじゃなかった。IT系のSES企業で客先常駐してて、毎日のように終電。彼女どころか友達と会う暇すらないみたいな生活でした。

んで、その年の4月。隣の201号室に人が越してきた。

引っ越しの日、俺は休日でたまたま家にいて、壁越しにドタバタ聞こえるなあと思ってた。夕方くらいにインターホンが鳴って、出たら女の子が立ってた。

(え、かわ……)

橋本環奈をもうちょっとだけ大人っぽくした感じ。身長は155くらいかな、小柄で、肩にかかるくらいのゆるい茶髪。目がでかくて、笑うとくしゃっとなる系。薄いピンクのパーカーにデニムっていうシンプルな格好なのに、なんかもう存在感がすごい。

「あ、あのっ、隣に越してきました。よろしくお願いします」

紙袋を差し出されて、中にはタオルのセットが入ってた。今どき引っ越しの挨拶してくる人いるんだ、って普通に驚いた。

「あ、こちらこそ。なんか気を遣わせちゃってすみません」

「いえいえ!あの、なにか困ったことあったら頼ってもいいですか?土地勘が全然なくて…」

「あ、全然いいですよ。俺も3年くらい住んでるんで」

愛想よく笑って帰っていった。名前は聞きそびれた。

まあでも、隣人の挨拶なんて社交辞令だろうし、そのままフェードアウトだと思ってた。

ところが。

次の週末、ゴミ捨て場で会った。

「あ、お隣さん!おはようございます!」

朝8時にこのテンションで話しかけてくるのはちょっと眩しかった。俺はパジャマにサンダルっていう最悪の格好だったし。

「お、おはようございます…」

「あの、この辺でおいしいごはん屋さんとかありますか?自炊サボりたい日用に知っておきたくて」

「ああ、駅の南口出てすぐの定食屋はコスパいいですよ。あと商店街の中華」

「わあ、ありがとうございます!あ、私、藤宮って言います。大学2年です」

大学2年。ってことは19か20か。6つくらい下。

「俺は…まあ社会人です。仕事で帰り遅いんで、うるさかったら言ってください」

「全然大丈夫です!私も夜型なんで!」

にこっと笑って小走りで去っていった。

(やべえな…かわいいな…)

いや、でも年下の隣人だぞ。変な意識するなよ俺。

それから2週間くらいは特に接点なかったんだけど、ある夜、事件が起きた。

5月の連休明け、仕事がクソ忙しくて23時過ぎに帰ってきた日。ベランダでタバコ吸おうとしたら(今は禁煙しました)、隣のベランダから泣き声が聞こえた。

最初は空耳かと思ったけど、明らかに人が泣いてる。壁は低いから、覗こうと思えば覗ける距離。でもさすがにそれは気持ち悪いじゃんと思って、声だけかけた。

「…藤宮さん?大丈夫ですか?」

しゃくりあげる音が止まった。

「……すみません、うるさかったですか…」

「いや、そうじゃなくて。なんかあった?」

沈黙。10秒くらいあった。

「……彼氏に、浮気されてて」

「……」

「しかも相手、私の友達で。今日LINEのスクショが回ってきて」

声がまた震え始めた。

正直、俺みたいなのが何言っても無駄だろうなと思った。でもベランダの仕切り板越しに泣いてる女の子を放っておくのも無理だった。

「……飲み物、持ってこようか。温かいやつ」

「…お願いしても、いいですか…」

カルディで買ったインスタントのカフェオレを2つ作って、片方を仕切り板の上から渡した。

ベランダの手すりに肘ついて、壁一枚隔てたまま、30分くらい話を聞いた。付き合って1年の彼氏が、サークルの後輩と3ヶ月前から二股してたらしい。しかもそれを共通の友達みんなが知ってて、自分だけ知らなかったっていう。

(それはきついわ…)

俺は大したこと言えなくて、「まじか」「それはひどいな」くらいしか返せなかった。

「…ごめんなさい、隣のお兄さんにこんな話聞かせて」

「いや、全然。壁薄いからどうせ聞こえるし」

「あはは…それ、フォローになってないですよ」

泣き笑いみたいな声だった。

「……ありがとうございます。ちょっと楽になりました」

その夜から、なんか距離感がバグった。

次の日、仕事から帰ったら玄関のドアノブにビニール袋がかかってて、中に手作りのクッキーとメモが入ってた。

「昨日はありがとうございました。お礼です。藤宮」

丸文字でかわいい字だった。クッキーは普通に美味かった。

そっから、なんていうか、会う頻度が急に上がった。ゴミ捨ての曜日が被るのは当たり前として、夜にベランダで鉢合わせることが増えた。たまたまなのか、俺が出ると向こうも出てくるのか。

ベランダ越しの会話が日課みたいになっていった。

「お兄さん、今日も遅いですね」

「SESなんてそんなもんだよ」

「えすいーえす?なんですかそれ」

「説明するとめちゃくちゃ虚しくなるからやめとく」

「えー気になる!」

「他人のオフィスに派遣されて他人のシステム直す仕事」

「……なんか切ないですね」

「だから言いたくなかったんだよ」

こんな感じの、意味のない会話。でもそれが妙に心地よかった。

6月に入って、梅雨の時期。

俺が休みの日曜、昼過ぎにピンポンが鳴った。

「お兄さん!大変です、うちの部屋の排水がなんか詰まって…」

見に行ったら台所のシンクの排水が完全に死んでて、水が溢れかけてた。パイプのトラップ開けて髪の毛とかゴミ取って、なんとか直した。作業中、横で藤宮さんがずっとしゃがんで見てて、距離が近すぎてちょっと困った。

「すごい…お兄さん何でもできるんですね」

「いやこれ一人暮らし歴長いだけだから」

「お礼にごはん作りますよ!待っててください!」

断る暇もなく台所に立たれて、気づいたら藤宮さんの部屋で夕飯食べてた。

(なんでこうなった…?)

作ってくれたのは豚の生姜焼きと味噌汁と白飯。味は普通にうまかった。テーブル小さいから向かい合って座ると膝がぶつかりそうな距離で、なんかもう落ち着かなかった。

「ねえお兄さん、彼女いるんですか?」

不意打ちだった。

「……いない」

「えー、なんで?かっこいいのに」

「そういうお世辞はいいから」

「お世辞じゃないですよ?」

まっすぐ目を見て言うのやめてほしい。年下のかわいい女の子にそれやられると、こっちがどういう顔すればいいのかわかんなくなる。

「……藤宮さんこそ、彼氏のほうは?」

聞いてから、あ、地雷じゃんと思った。

「別れました。あの次の日に」

「そっか」

「意外とすっきりしてます。泣いたらなんかどうでもよくなっちゃって」

「それならよかった」

「……お兄さんのおかげですよ」

また、あの目で見てくる。

(やめろって…こっちの身にもなれよ…)

その日から、週末に藤宮さんの部屋でごはん食べるのがなんとなく定番になった。俺が食材買って、藤宮さんが作る。たまに俺が作る日もあった。(カレーしか作れないけど。)

7月。世間はもう夏だった。

ある土曜の夜、いつものように藤宮さんの部屋でごはん食べて、だらだらテレビ見てた。アマプラで『花束みたいな恋をした』を見ようってなって、並んで座ってた。

映画の後半、菅田将暉と有村架純が別れるシーンで、藤宮さんが急に黙った。

横を見たら、目が赤かった。

「……大丈夫?」

「…あ、すみません。なんか重ねちゃって」

「元カレのこと?」

「ていうか…近くにいてくれる人がいなくなるのが怖いのかも」

テレビの光だけの薄暗い部屋で、藤宮さんの横顔がやけに綺麗に見えた。

「……お兄さんは、いなくならないですよね」

「隣の部屋だからな。引っ越さない限りは」

「そういう意味じゃなくて…」

わかってた。わかってたけど、わからないふりをした。

だって俺は25で、この子は19で、隣人で。この関係を壊したくなかった。壊したくないっていうか、壊す権利が俺にあるのかわからなかった。

「……もう遅いし、帰るわ」

「……うん」

玄関で靴を履くとき、後ろから声がした。

「お兄さん」

振り返ったら、すごい顔してた。泣きそうなのを我慢してるような。

「……おやすみなさい」

「おやすみ」

自分の部屋に戻って、壁に背中をつけて座り込んだ。壁の向こうから、かすかに泣いてる声が聞こえた。

(俺、最低だな)

あの子が何を求めてるのか、本当はわかってる。わかってるのに逃げた。

次の日から、なんとなく気まずくなった。ベランダで鉢合わせても、前みたいに長話しなくなった。藤宮さんのほうも、どこかよそよそしかった。

1週間くらい、そんな状態が続いた。

そんで7月の3連休の初日。金曜の夜。

仕事終わって国分寺に着いたのが22時半くらいで、駅前のマルエツで惣菜買ってアパートに帰った。階段上がったら、俺の部屋のドアの前に藤宮さんが座ってた。

「え……藤宮さん?」

「あ……おかえりなさい」

目が真っ赤。また泣いてた。

「どうした、なんかあった?」

「鍵……なくしちゃって。管理会社ももう閉まってて……」

「マジか。いつから待ってんの?」

「……1時間くらい」

7月とはいえ夜は涼しくて、藤宮さんはキャミソールにカーディガンっていう薄着だった。

「とりあえずうちに入りなよ。明日の朝、管理会社に電話すれば開けてもらえるから」

「……いいんですか」

「ドアの前で野宿させるわけにいかないだろ」

部屋に入って、適当に片付けて(片付いてなかったけど)、座布団出して座らせた。

冷蔵庫からお茶出して、さっき買った惣菜を半分こして食べた。

「お兄さんの部屋、思ったより綺麗ですね」

「それ褒めてるのか」

「褒めてますよ。男の人の一人暮らしってもっとすごいのかと」

「最低限はやるよ。虫出るの嫌だし」

微妙にぎこちない会話。1週間の気まずさがまだ尾を引いてた。

ごはん食べ終わって、俺がシャワー貸すよって言ったら、藤宮さんが遠慮がちに頷いた。替えのTシャツとハーフパンツを渡した。

シャワーの音を聞きながらベッドに座ってて、ふと思った。

(これ、状況的にまずくないか…?)

いや、何もしないよ。しないけど。でも年下の、しかもかわいい女の子が自分の部屋でシャワー浴びてるっていう事実が、どうしようもなく意識に引っかかった。

バスルームのドアが開いた。

俺のTシャツはサイズが合ってなくて、肩がずり落ちそうになってる。ハーフパンツも大きくて、なんかもう反則だった。髪が濡れてて、首筋から鎖骨にかけて水滴が残ってて。

(見るな見るな見るな)

「ありがとうございます。お兄さんの匂いがする…」

「洗剤の匂いだろ、それ」

「ふふ、そうかも」

俺はベッドを藤宮さんに譲って、自分は床に布団敷いて寝ようとした。

電気消して、暗闇の中でごそごそ寝る準備してたら。

「……お兄さん」

「ん?」

「あの夜、ベランダで泣いてたとき。お兄さんが声かけてくれなかったら、私どうなってたかわかんない」

「……大げさだよ」

「大げさじゃないです。あの夜から、お兄さんのこと……」

布団の中で心臓がうるさかった。

「……好きになっちゃったんです」

暗闇で天井を見つめた。

「……俺、6つも上だよ」

「知ってます」

「隣に住んでるし、気まずくなったら毎日しんどいぞ」

「この1週間のほうがよっぽどしんどかったです」

(……正論すぎるだろ)

布団をめくって上半身を起こした。暗闘に目が慣れてきて、ベッドの上から藤宮さんがこっちを見てるのがわかった。

「……俺も、たぶん、気づいてたんだと思う。自分の気持ちに」

「……」

「でも年齢とか隣人とか、言い訳ばっか並べて」

立ち上がって、ベッドの縁に座った。

暗がりの中で、藤宮さんの手に触れた。冷たかった。

「……あったかい」

「……ごめん、あの夜逃げて」

「……ばか」

小さい声でそう言って、藤宮さんが俺の手を引いた。

引かれるままベッドに上がって、向かい合って横になった。

暗闇の中で、唇が触れた。

ぎこちなくて、角度がわかんなくて、鼻がぶつかった。

「……ふふ、下手ですね」

「暗いからだろ…」

もう一回。今度はちゃんと合った。

柔らかくて、温かくて、カフェオレの匂いがした。(さっき俺のストック飲んだな…)

「ん……」

腰に手を回したら、ぴくっと身体が跳ねた。Tシャツの裾から指が入って、素肌に触れた。

「……いいの?」

「……鍵、ほんとはなくしてないんです」

「……え?」

「口実がほしかっただけ。お兄さんの部屋に来る」

(こいつ……やるな……)

なんか、笑ってしまった。

「なんで笑うんですか…」

「いや、俺が色々悩んでたの馬鹿みたいだなって」

「馬鹿ですよ。……もう逃げないでください」

「逃げない」

そう言って、キスした。今度は深く。舌が触れたとき、藤宮さんの息が震えた。

俺のTシャツをゆっくり脱がした。ブラはしてなくて、直に柔らかい感触が手のひらに伝わった。

(うそだろ…Eはあるぞこれ……)

小柄なのに胸がしっかりあって、手に余るくらいの大きさだった。形が綺麗で、触ると指が沈む感じ。

「……そんなに見ないでください、暗いけど」

「いや、すごいなと思って…」

「すごいってなんですか…あっ…」

指先で先端を転がしたら、甘い声が漏れた。

そのまま口に含んだ。

「やっ……そこ、弱い……っ」

身体をよじる藤宮さんの腰を押さえて、反対側の胸も揉む。

「ん……っ、お兄さん……」

呼び方が「お兄さん」のまんまなのが、なんかもう異常に興奮した。

(俺、やばいな。こんなに理性飛ぶの久しぶりだ)

ハーフパンツに手をかけたとき、藤宮さんが俺の手首を掴んだ。

止められたかと思って手を引こうとしたら、逆だった。自分のほうに押し付けてきた。

触れた指先が、もう濡れてた。

「……藤宮さん」

「……もう、名前で呼んでほしい」

「……ゆい」

「……っ、はい」

ゆっくり指を滑らせると、ゆいが息を詰めた。クリに触れたとき、腰がびくんと跳ねた。

「あ……っ、そこ……っ」

小さな身体が俺にしがみついてくる。爪が背中に食い込む。

「痛いって…」

「ごめっ……でも、止まらな……っ」

指を中に入れたら、きゅっと締まった。奥まで入れると、ゆいが声を殺して震えた。

「あっ……だめ、そんな……んっ……!」

ぐちゅ、と音がして、ゆいの中が指を締めたり緩めたりした。

(この音、壁の向こうに聞こえてないよな……いや、隣は藤宮さんの部屋か)

変なことを考えながら、指を動かし続ける。

「お兄さ……っ、いっ……」

「……いっていいよ」

「あっ、あああ……っ!」

ゆいが俺の肩に顔を埋めて、びくびくと痙攣した。内腿が震えてて、しばらく収まらなかった。

「……はぁ……はぁ……っ」

荒い息を肩口に感じながら、髪を撫でた。

「……私も、したい」

顔を上げたゆいの目が、潤んでるのに真っ直ぐだった。

ゆいの小さい手が俺のズボンに伸びてきて、下ろされた。もうとっくに限界だったから、触れられた瞬間に声が出た。

「っ……」

「……大きい」

「普通だと思うけど」

「普通じゃないです……」

ゆいが両手で握って、ゆっくり動かしてくれた。慣れてない手つきなのがわかったけど、それがむしろ良かった。

「……気持ちいいですか」

「うん……やばい」

「よかった……」

嬉しそうに笑うのが暗闇でもわかって、胸が苦しくなった。

(なんでこんなに可愛いんだよ……)

「ゆい……入れたい」

「……うん」

「ゴム……」

ベッドサイドのテーブルの引き出しを漁った。奥のほうに、だいぶ前に買ったまま使ってないやつが出てきた。使用期限ギリギリだった。(情けないにも程がある。)

装着して、ゆいの上に覆いかぶさった。

脚を開いてくれたゆいの入り口に先端を当てると、びくっと身体が強張った。

「……怖い?」

「ちょっとだけ……でも、お兄さんとなら」

ゆっくり、本当にゆっくり入れていった。

「っ……ぁ……」

半分くらい入ったところで、ゆいが目をぎゅっとつむった。

「痛い?止める?」

「大丈夫……もっと、奥まで……」

全部入ったとき、二人とも動かなかった。繋がってる実感が重くて、怖いくらいだった。

(俺、今この子と……)

「……動いて、いいですよ」

ゆっくり腰を動かすと、ゆいが小さな声を漏らした。

「ん……っ、あ……っ」

最初はぎこちなかったけど、少しずつゆいの力が抜けてきて、中がじわっと柔らかくなった。

「……気持ちいい」

「私も……なんか、すごい……っ」

手を繋いだ。指を絡めた。

「もっと……もっと奥……っ」

少し角度を変えて突くと、ゆいの反応が明らかに変わった。

「あっ、そこ……っ!やば……っ」

「ここ?」

「そこっ……だめ……声出ちゃ……っ」

「壁薄いからな、ここ」

「やめっ……言わないでっ……あっ、あああ……っ!」

ゆいの中がきゅうっと締まって、俺も限界だった。

「やば……っ、俺も……っ」

「いいよ……来て……っ」

腰を深く押し付けて、ゆいを抱きしめた。身体の芯から痺れるような感覚が駆け上がって、長い射精だった。

「……っ!……ぁ……」

ゆいも同時にイったのか、内壁がぎゅうぎゅうと脈打って、全身を震わせてた。

しばらく、繋がったまま動けなかった。

「……すき」

「……ん」

「ちゃんと言ってください」

「……好きだよ。ゆい」

ゆいが泣いた。さっきまでの涙とは違う、嬉しそうな涙。

ゴムを替えて(最後の1個だった)、2回目。

今度はゆいが上に乗った。

さっきより余裕ができたのか、ゆいが自分から腰を動かしてた。小さい身体が月明かりに照らされて、汗で光ってるのがえろかった。

「ん……っ、あ、自分で動くと……全然ちがう……っ」

「無理すんなよ」

「無理してない……気持ちいいから……っ」

俺は下から腰を突き上げながら、ゆいの胸を揉んだ。揺れる度に形が変わって、指の間から溢れる。

「あっ……だめ、胸さわりながら突かないで……頭おかしくなる……っ」

頭おかしくなってるのは俺のほうだった。さっき1回イったのに、もう限界が近い。ゆいの中が気持ちよすぎた。

「ゆい……もう……っ」

「うん……一緒に……っ」

ゆいが俺に覆いかぶさって、唇を重ねた。キスしたまま、二人でイった。

2回目は、1回目よりもっと長くて、身体中の力が抜けた。

「……はぁ……はぁ……」

ゆいが俺の胸の上に倒れ込んで、そのまま動かなくなった。

「……重い」

「うそ、私47キロですよ」

「嘘じゃないけど、まあいいや。このままで」

ゆいの髪の匂いを嗅ぎながら天井を見てた。エアコンのリモコンを手探りで見つけて、温度を1度下げた。

「……ねえ」

「ん」

「私たち、付き合ってるってことでいいですか」

「そのつもりだけど」

「ちゃんと言ってください」

「……付き合ってください」

「はい」

(なんだよこのやりとり……順番おかしいだろ……)

でも、なんか、それでよかった。

朝起きたら、隣でゆいが丸くなって寝てた。俺のTシャツを抱きしめるみたいにして。

カーテンの隙間から夏の朝日が差し込んで、やたら眩しかった。アパートの壁は相変わらず薄くて、どこかの部屋から目覚ましの音が聞こえた。

起き上がろうとしたら、ゆいに腕を掴まれた。

「……まだ」

「……はいはい」

もう1回、ゆいを引き寄せて、額にキスした。

あれから2年。ゆいは今、大学4年で就活中。俺は転職して、わりとホワイトな会社に移れた。

国分寺のアパートにはまだ2人とも住んでて、合鍵を作ったから「鍵なくした」の口実はもう使えない。でもゆいはほぼ毎日俺の部屋にいるし、もう実質一つの部屋みたいになってる。

藤宮さんの部屋の家賃がもったいないから同棲しようって俺が言ったら、「それプロポーズですか?」って笑われた。

まだプロポーズはしてない。たぶん、もうちょっとだけ先。

でもまあ、壁一枚の隣で泣いてた女の子と、こうなるとは思わなかったよな。

人生なにがあるかわかんないもんです。


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