俺、結城悠介、27歳。フリーの録音エンジニアをしている。 スタジオに入って楽器の音を録ったり、ミックスして仕上げたり。要は、音を相手にする仕事だ。
住んでいるのは、郊外にある「音楽家向けシェアハウス」。 元はピアノ教室だった一軒家を改装した物件で、地下に本格的な防音室がついている。男女合わせて五人。住人は半分が音楽関係者だ。
正直、俺は音楽家を志しているわけじゃない。 ただ、防音室が録音作業に都合がいいのと、何より家賃が相場より二万も安い。それだけの理由でここに転がり込んだ、不純な住人だった。
そんな俺が、入居して最初の夜から気になっていることがある。
夜中、地下から、チェロの音が聞こえるのだ。
低くて、深くて、人の声みたいに揺れる音。 作業中にヘッドホンを外すと、床越しに、その響きがかすかに伝わってくる。 決まって深夜0時を過ぎた頃から、明け方近くまで。毎晩、欠かさず。
その音の主が、彼女だった。
朝霧詩乃さん、25歳。 プロのチェロ奏者を目指して、楽団のオーディションを受け続けている人だ。
すらりと背が高くて、栗色の髪をいつも緩く結っている。 色白で、指が長くて、笑うと目尻がふわっと下がる。 廊下ですれ違うと、決まって丁寧に頭を下げてくれる、物腰のやわらかい人だった。
「あ、結城さん。こんばんは。……また夜更かしですか?」
「詩乃さんこそ。これから地下ですか」
「はい。夜のほうが、集中できるので」
エプロンならぬ、チェロのソフトケースを背負った彼女は、いつもそう言って地下へ降りていく。 俺は二階の自室で作業をして、彼女は地下でチェロを弾く。 顔を合わせるのは、深夜のキッチンで飲み物を取りに来たときの、ほんの数分だけだった。
その夜も、俺は冷蔵庫の前で麦茶を注いでいた。 時刻は深夜2時。地下から聞こえていたチェロの音が、ぴたりと止んだ。
しばらくして、階段を上ってくる足音。 詩乃さんが、ぐったりした顔でキッチンに現れた。
「……お水、もらいますね」
「お疲れさまです。今日も遅くまでですね」
「来週、オーディションがあって。どうしても、仕上げたくて」
コップに水を注ぎながら、詩乃さんは小さくため息をついた。 いつものやわらかい笑顔が、今夜はどこか張りつめている。
「オーディションって、楽団の?」
「はい。チェロの空き枠が、一つだけ。倍率、すごいんですけど……これ逃したら、もう後がなくて」
コップの水を一気に飲み干して、彼女は窓の外を見た。 梅雨入りしたばかりの夜空は、厚い雲に覆われている。
「練習では、弾けるんです。何回でも、完璧に。なのに……本番になると、手が震えて、音が死ぬんです」
「本番に弱いタイプ?」
「……自分でも、嫌になります。あんなに練習したのに、って」
うつむいた横顔に、栗色の後れ毛が落ちる。 いつも丁寧で、隙のない人が見せた、初めての弱さだった。 なんだか放っておけなくて、俺は思わず口を開いていた。
「……あのさ。俺、録音エンジニアなんだけど」
「あ、はい。知ってます。だから防音室がいいって、入居のとき言ってましたよね」
「もしよかったら、詩乃さんの演奏、録音させてもらえないかな」
「……録音?」
きょとんとした顔で、彼女が俺を見上げる。
「自分の音を、客観的に聴くと、けっこう変わるよ。それに、人に聴かせる前提で弾くと、本番の練習にもなる。マイク相手なら、緊張もしないだろ?」
「……たしかに。それは、そうかも」
「機材は全部ある。タダでいいよ。寝る前の暇つぶしだと思って」
詩乃さんは、しばらく考えてから、こくりと頷いた。
「……お願い、します。正直、藁にもすがりたくて」
「藁って。失礼だな」
「ふふ。ごめんなさい。……でも、ちょっとだけ、気持ちが軽くなりました」
久しぶりに、彼女が目尻を下げて笑った。 その笑顔を見られただけで、申し出てよかったと思った。
翌日の深夜。 俺は機材を抱えて、初めて地下の防音室に足を踏み入れた。
分厚い扉を閉めると、外の音が嘘みたいに消える。 中央に椅子と譜面台。壁際には、彼女のチェロが立てかけてある。 詩乃さんは、髪を結い直して、ジャージ姿で待っていた。普段のきちんとした格好と違って、妙に無防備だ。
「あの、本当に、ただの練習なので。期待しないでくださいね」
「ハードル下げなくていいよ。いつも通り弾いて」
マイクを立てて、レベルを合わせる。 ヘッドホンを片耳にかけて、俺は彼女に合図を送った。
「じゃあ、回すよ。……どうぞ」
詩乃さんが、チェロを抱え込むようにして、弓を構える。 すっと息を吸った瞬間、彼女の空気が変わった。
最初の一音が、部屋に響いた。
——鳥肌が立った。
床越しに聴いていたのとは、まるで別物だった。 深くて、艶があって、すぐ目の前で人が歌っているみたいだ。 弓を動かすたびに、彼女の表情がくるくる変わる。眉を寄せ、目を閉じ、唇を噛み。 普段のやわらかい彼女とは別人の、何かに取り憑かれたような横顔。
俺は録音していることも忘れて、ただ聴き入っていた。
最後の音が、空気に溶けて消える。 詩乃さんが、ふう、と息をついて、こちらを見た。
「……どう、でしたか?」
「……正直、言葉が出ない。すごいよ、詩乃さん」
「えっ。お世辞は、いいですよ」
「お世辞じゃない。録ったやつ、聴いてみて」
ヘッドホンを渡すと、彼女は自分の演奏に耳を傾けた。 最初は不安そうだった表情が、だんだん真剣になり、やがて——目が、潤んでいった。
「……これ、私の音、ですか」
「そう。詩乃さんの音」
「自分の演奏、こんなふうに聴いたの、初めて……」
ヘッドホンを外した彼女の目から、つうっと涙が一筋こぼれた。 慌てて、彼女は手の甲で拭う。
「ごめんなさい、私……っ。なんか、ほっとして」
「いい音だよ。本番でこれが出せたら、絶対受かる」
「……うん。出せるように、する」
その夜から、俺たちの「深夜の録音会」が始まった。
それから毎晩、地下に二人きりの時間が続いた。
弾いて、録って、二人で聴いて、また弾く。 詩乃さんは少しずつ、マイクの前でも本番みたいに集中できるようになっていった。
録音の合間には、よく話をした。
「結城さんは、どうして録音の仕事を?」
「昔バンドやってて。演奏は下手だったけど、録ったり混ぜたりするのは得意でさ。気づいたら、こっちが本業になってた」
「素敵です。誰かの音を、いちばんいい形で残す仕事」
「そんな立派なもんじゃないって」
照れる俺を見て、彼女はくすくす笑う。 チェロを弾いているときの張りつめた横顔とは違う、やわらかい素顔だった。
「私ね、人前で弾くのが、ずっと怖かったんです」
「うん」
「失敗したら、がっかりされる。期待を裏切る。そう思うと、指が固まって。……でも、結城さんの前だと、不思議と怖くないんです」
「なんで?」
「結城さんは、上手いとか下手とかじゃなくて、『いい音』って言ってくれるから。私の音を、ちゃんと聴いてくれてる感じがして」
その言葉が、妙に胸に残った。 俺もいつの間にか、彼女の音だけじゃなく、彼女自身を、ちゃんと見ていたんだと思う。
深夜のキッチンですれ違うときも、自然と足が止まるようになった。 録音会のない夜は、なんだか物足りなくて、地下の静けさが寂しく感じた。
これは、もう、ただの録音係の気持ちじゃない。 そう気づいたのは、本番まであと三日に迫った、ある夜のことだった。
その夜、詩乃さんの様子がおかしかった。
録音を始めても、何度も弓が止まる。 いつもの艶のある音が出ず、途中でぷつりと演奏をやめてしまう。
「……ごめんなさい。今日、だめみたい」
「無理しなくていいよ。一回、休もう」
椅子に座ったまま、彼女はチェロを抱えて、ぽつりと言った。
「怖いんです。本番が、近づくほど」
「うん」
「受からなかったら、どうしようって。もう何回も落ちてて。両親にも、いいかげん諦めたらって言われてて」
膝の上で、彼女の指が震えていた。 俺は機材を止めて、彼女のそばにしゃがみ込んだ。
「詩乃さん。ちょっと、目つぶって」
「……え?」
「いいから」
戸惑いながらも、彼女が目を閉じる。 俺は、これまで録りためた彼女の演奏を、防音室のスピーカーで流した。
部屋いっぱいに、彼女自身のチェロが響き渡る。 深くて、あたたかくて、誰かに寄り添うみたいな音。
「これ、全部、詩乃さんの音だよ」
「……」
「こんな音を出せる人が、受からないわけがない。落ちたとしたら、それは聴いてるやつの耳が悪いだけだ」
目を閉じたまま、詩乃さんの頬を、涙が伝っていった。
「……結城さん、ずるい」
「なにが」
「そんなこと言われたら、頑張れちゃうじゃないですか」
目を開けた彼女が、涙でぐしゃぐしゃの顔で笑った。 その顔が、どうしようもなく愛おしくて——気づいたら、俺は彼女の頬の涙を、指で拭っていた。
びくっと、彼女の肩が震える。 でも、逃げなかった。
至近距離で、目が合う。 スピーカーから流れる彼女のチェロだけが、部屋に響いている。
「……詩乃さん」
「……はい」
「ごめん。今だけ、録音係じゃなくなる」
そう言って、俺は彼女の頬に手を添えて、ゆっくり顔を近づけた。 詩乃さんは、そっと目を閉じた。
唇が、触れた。
ちゅ……
やわらかくて、あたたかい。 触れるだけのキスで、一度離れる。 詩乃さんが、薄目を開けて、俺を見上げた。頬が、赤く染まっている。
「……びっくり、しました」
「嫌だった?」
「……ううん。むしろ、ずっと……こうなったら、いいなって」
消え入りそうな声で言って、彼女は俺のシャツをきゅっと掴んだ。 今度は、どちらからともなく、唇を重ねた。
ちゅっ……んっ…… さっきより深い。彼女の後頭部に手を回して、もっと近づける。 舌で唇をなぞると、詩乃さんの口が、おずおずと開いた。
ちゅる……れろ……ちゅぷ……
「ん……っ♡」
絡みついてくる舌は、ぎこちなくて、でも一生懸命だった。 チェロを脇に置いて、俺は彼女を、ゆっくり防音室のソファへと導いた。
防音室は、外の音を完全に遮断する。 ということは——中の音も、外には一切漏れない。 二人きりの、誰にも届かない部屋。
ソファに彼女を横たえると、栗色の髪が、ふわりと広がった。
「詩乃さん、綺麗だ」
「……そんな、まじまじ見ないでください。恥ずかしい」
「無理。こんなの、見ないなんて無理だよ」
「……もう♡」
もう一度キスをして、手がジャージの裾に触れる。 詩乃さんの肌は、白くてすべすべで、ほんのり汗ばんでいた。 ジャージをまくり上げると、シンプルな白いブラに包まれた、形のいい胸が現れる。
「あんまり、可愛くない下着で……ごめんなさい」
「すごく似合ってる。詩乃さんらしくて、いい」
「……結城さん、ずるい♡」
背中に手を回して、ホックを外す。パチン。 こぼれ落ちた胸は、白くて柔らかくて、先端が淡いピンクに色づいていた。
「やっ……見ないで……♡」
「綺麗すぎて、目が離せない」
ブラ越しじゃなく、直に胸を手のひらで包む。ふにっ。
「あっ……♡」
ふにふにと揉むと、彼女の息が、だんだん乱れていく。 指先で、色づいた先端をくりっと転がした。こりこり……
「ひゃっ……♡♡ そこ、だめっ……♡」
左を指で弄りながら、右の先端に口を寄せる。 ちゅっ……れろ……ちゅぱっ……
「んあっ♡♡ 声、出ちゃう……っ♡♡」
詩乃さんが、反射的に手の甲で口を押さえる。
「大丈夫。ここ、防音室だよ。どんなに声出しても、誰にも聞こえない」
「……っ。そう、だった♡」
その一言で、彼女から力が抜けた。 俺は左右交互に、先端を吸い上げる。 ちゅるっ……ちゅぱっ……れろれろっ……
「あっ♡ んっ♡ はぁっ♡♡ 結城さんっ……♡♡」
弓を握って音を生み出す指が、今は俺の髪をかき乱している。 俺の手が、彼女のジャージのウエストへと滑り込んでいった。
太ももの内側をなぞると、詩乃さんの脚が、ぴくっと閉じかけた。 でも、ゆっくり開いてくれる。 ショーツの上から指を当てると、布越しでも、じっとりと湿っているのがわかった。
「もう、こんなに濡れてる」
「……言わないで♡ 恥ずかしいから♡」
すじに沿って、指を上下に滑らせる。くちゅ……くちゅ……
「んっ♡ あっ♡ んぅっ……♡♡」
布の色が、どんどん濃くなっていく。 ショーツを引き下ろすと、薄い茂みの下で、蜜に濡れた花弁が、ぬらりと光っていた。
「ここも、綺麗だ」
「ばかっ……そういうこと、言わないでください……♡♡」
花弁をそっと、指で開く。ぷちゅ……
「ひあっ♡♡」
中は熱くて、とろとろだった。 小さな突起を指先で探り当てて——くりっ。
「んんっ♡♡♡」
腰が、びくんと跳ねる。
クリをくりくりと刺激しながら、中指をゆっくり沈めていく。ずぷっ……
「んああっ♡♡♡」
きゅうっと、中が指を締め付けてくる。 ぐちゅ……ぐちゅぐちゅ……
「あっ♡ 指っ♡ 入ってるっ……♡♡」
指を曲げて、上の壁のざらついた場所を擦る。ぐりぐりっ。
「ひぃっ♡♡♡ そこっ♡♡ だめっ、すごいっ♡♡♡」
そこを重点的に擦りながら、親指でクリも同時に転がした。
「あっ♡♡ 両方っ♡♡♡ 一緒は、だめぇっ♡♡♡」
詩乃さんの身体が、ぶるぶると震え出す。お腹が、ぴくぴくと痙攣している。
「いくっ♡♡♡ もう、いっちゃうっ♡♡♡♡」
びくんっ♡♡♡♡ きゅうぅぅっと指を締め上げて、じゅわぁっと蜜が溢れ、俺の手を濡らした。
「はぁ……♡ はぁ……♡♡」
ソファに身体を沈めて、彼女が荒い息をつく。 指をゆっくり抜くと、ぬぷっ、と音がした。
「……すごかった。こんなの、初めて……♡」
潤んだ目で、彼女が俺を見上げる。
「私も……結城さんを、気持ちよく、したい♡」
身体を起こした詩乃さんが、俺のベルトに手をかけた。 ズボンを下ろして、下着の上から、そっと触れる。
「……硬い♡ それに、大きい……♡」
下着を下ろすと、ぶるんっと飛び出した。
「わっ……♡♡ ほんとに、すごい……♡♡」
長くて細い指が、根元からきゅっと握りしめる。 チェロの弦を押さえる指が、今は俺のモノを優しく扱いている。
「気持ちいい」
「……ほんと?♡ 私で?♡」
「詩乃さんだから、めちゃくちゃいい」
ゆっくりと、上下に手を動かす。しゅっ……しゅっ…… それから、顔を近づけて、先端にちゅっ♡
「……ぴくって、動いた♡ 可愛い♡」
舌を出して、ぺろぺろと舐め始める。 れろ……ちゅる……段差を丁寧に、裏筋を下から上へ。
「やば……それ、効く……」
そして、口を大きく開けて、咥え込んだ。ずぷっ…… ちゅぱっ……じゅるっ……ちゅぷちゅぷ……
「んっ♡ んむっ♡」
栗色の髪が揺れながら、彼女の頭が上下に動く。
普段は楽器に向けられている集中力が、今は全部、俺のモノに注がれている。 その光景だけで、頭がどうにかなりそうだった。
「待って、詩乃さん。そろそろ、限界かも」
「……っ♡ じゃあ……」
口を離した彼女が、潤んだ目で俺を見上げて、小さく言った。
「……来て、ください♡ 結城さんが、ほしい……♡♡」
(こんなに誰かを求めるの、生まれて初めてだ)
詩乃さんを、再びソファに横たえる。 防音室の柔らかい照明が、汗ばんだ白い肌の上で、しっとりと光っていた。
「ゴム……持ってきてないんだけど」
「……今日、平気な日なので♡ そのまま、来て……♡♡」
彼女の脚を開かせて、間に身体を入れる。 先端を入り口に当てると、ぬるっ、と滑った。たっぷりの蜜で、ぬるぬるだ。
「入れるよ」
「……ゆっくり、お願いします♡」
ずぷっ……
「ぁああっ♡♡♡♡」
熱い。きゅうぅっと、奥まで締め付けてくる。
「詩乃さんの中、すごい……」
「おっきいの、入ってくる……♡♡ おなかの奥まで……♡♡♡」
ゆっくりと、最奥まで押し込んでいく。ずず……ずずずっ……
「んんっ♡♡♡ 奥っ……当たってるっ♡♡♡♡」
隙間なく、彼女の中に包み込まれる。 繋がったまま、一度キスをした。ちゅっ♡
「動くよ」
ずちゅっ♡ ずちゅっ♡♡
「あっ♡♡ あっ♡♡ んっ♡♡♡」
ぱんっ♡ ぱんっ♡ ぱんぱんっ♡♡ リズムを刻んで、腰を動かす。 音を相手にする仕事をしてきた俺が、今は彼女の喘ぎ声だけに、夢中になっていた。
「結城さんっ♡♡ 気持ちいいっ♡♡♡」
「俺も……詩乃さんの中、最高だ」
ぱんぱんぱんっ♡♡♡ だんだん速くなっていく。 ぐちゅっ♡ ぬちゅっ♡ ぱんっ♡♡
「あんっ♡♡ 奥っ♡♡ 奥に、当たるのっ♡♡♡」
詩乃さんの脚が、俺の腰に絡みついてきた。もっと奥へ、と引き寄せるように。
「もっとっ♡♡ もっと、強くしてっ♡♡♡」
ぱんっぱんっぱんっぱんっ♡♡♡♡ 防音室の中に、肌のぶつかる音と、彼女の甘い声だけが反響する。 誰にも聞こえない。だから彼女は、もう何も我慢しなかった。
「こんな声っ♡♡♡ 出したこと、ないっ……♡♡♡♡」
「いいよ。ここには、俺しかいないから」
「やだっ♡♡♡ でも、止まらないっ♡♡♡♡」
ぱんぱんぱんぱんぱんっ♡♡♡♡♡
「いくっ♡♡♡♡ もう、いっちゃうっ♡♡♡♡♡」
「俺も……詩乃、中に出すぞ……!」
「出してっ♡♡♡♡ 中に、いっぱい出してっ♡♡♡♡♡」
ずんっずんっずんっ♡♡♡
「イクっ♡♡♡♡♡」
「出る……!」
びゅるっ♡♡ びゅるるっ♡♡♡ どくどくっ♡♡♡♡
「んんんっ♡♡♡♡♡♡」
彼女の一番奥に、熱いものが、どくどくと注がれていく。 詩乃さんの身体が、びくびくと痙攣しながら、きゅうぅぅっと締め付けてきた。
「はぁ……♡♡ あったかい……♡♡♡ 奥に、いっぱい……♡♡」
彼女が、とろけた目で、幸せそうに微笑んだ。
ちゅっ♡
「詩乃さん、最高だった」
「……私も。こんなの、知らなかった……♡♡♡」
繋がったまま、しばらくキスを交わす。 でも、俺の中の熱は、まだ収まっていなかった。彼女の中で、再び硬くなっていく。
「……まだ、元気なんですか?♡」
「詩乃さんが可愛すぎるから」
「……っ♡♡♡」
「今度は……私が、上になっても、いいですか♡」
彼女が、俺を押し返して、繋がったまま体勢を入れ替えた。
ずるっ……ずぷっ♡♡
「んっ♡♡♡ この体勢っ……奥まで、入るっ……♡♡♡♡」
背筋を伸ばして、彼女が俺を見下ろす。 普段、チェロを抱えるときと同じ、まっすぐな姿勢。 でもその顔は、いつもの張りつめた横顔じゃなく、艶めいてとろけていた。
(真面目な詩乃さんが、こんな顔するなんて)
腰を、ゆっくりと上下に動かし始める。 ずちゅっ♡♡ ずちゅっ♡♡
「あっ♡♡ 自分で動くの、すごいっ……♡♡♡」
動きに合わせて、白い胸が、たゆんたゆんと揺れる。 俺は手を伸ばして、その胸を下から掴んだ。もにゅっ♡♡
「ひゃっ♡♡♡ 揉みながらは、ずるいっ♡♡♡♡」
詩乃さんの腰が、だんだん激しくなっていく。 自分の気持ちいい場所を探すように、ぐりぐりと腰を回す。 ぱんっ♡♡ ぱんぱんぱんっ♡♡♡
「あっ♡♡♡ ここっ♡♡♡ ここが、いいのっ♡♡♡♡」
見つけたらしい。そこを擦り付けるように、前後に腰を振る。 ずちゅっずちゅっずちゅっ♡♡♡♡
「気持ちいいっ♡♡♡ 結城さんのっ♡♡♡ 最高っ♡♡♡♡」
俺の胸に両手をついて、彼女が激しく腰を打ち付ける。 ぱんっぱんっぱんっぱんっ♡♡♡♡♡
「また、くるっ♡♡♡♡ いっちゃうっ♡♡♡♡♡」
「俺も、もう……!」
「一緒にっ♡♡♡♡♡ 一緒に、いきたいっ♡♡♡♡♡♡」
ぱんぱんぱんぱんぱんっ♡♡♡♡♡♡
「いくっ♡♡♡♡♡♡ いくいくいくっ♡♡♡♡♡♡♡」
「詩乃っ……もう一回、中に出す……!!」
俺は彼女の腰をがっしり掴んで、下から深く突き上げた。 ずんっ♡♡♡♡
びゅるるっ♡♡♡♡ どくどくどくっ♡♡♡♡♡♡
「んんんんっ♡♡♡♡♡♡♡♡」
二度目の中出し。さっきより、さらに奥へとどくどく注ぎ込む。 詩乃さんが、ぶるぶると震えて、がくんと俺の上に倒れ込んできた。
「はぁ……♡♡♡ もう、だめ……すごすぎて……♡♡♡♡♡」
汗ばんだ肌が重なって、彼女の心臓の鼓動が伝わってくる。
「結城さん……♡」
「ん?」
「……幸せ♡♡」
詩乃さんが、ぎゅっと俺に抱きついてくる。俺も、その背中を抱きしめ返した。 防音室の中は、相変わらず、外の世界から完全に切り離されていた。
オーディションの当日。 俺は仕事を半休にして、こっそり会場まで付き添った。
控室の前で、詩乃さんはやっぱり、ガチガチに緊張していた。 顔が真っ青で、チェロのケースを握る手が、小さく震えている。
「……やっぱり、怖い。手が、震える」
「詩乃さん」
「はい……」
「目、つぶって」
会場の片隅で、彼女が目を閉じる。 俺はイヤホンを片方、彼女の耳に差し込んで、あの夜録音した演奏を流した。
深くて、艶のある、彼女自身のチェロ。 それを聴いているうちに、彼女の呼吸が、だんだん落ち着いていく。
「これが、詩乃さんの音だ。この音を、そのまま出せばいい」
「……うん」
「向こうで聴いてる。終わったら、いちばんに感想言うから」
「……ふふ。録音係としての、感想?」
「いや。彼氏としての、感想」
詩乃さんの目が、ぱっと見開かれる。 それから、じわっと潤んで——でも、今度は泣かずに、まっすぐ笑った。
「……行ってきます」
「いってらっしゃい」
扉の向こうに消えていく背中は、もう、震えていなかった。
その日の夜。 シェアハウスの共用キッチンに、詩乃さんから電話がかかってきた。 俺が出るより早く、地下から駆け上がってくる足音がして——彼女が、息を切らして現れた。
「結城さんっ……!」
「どうだった?」
「……受かりました。私、合格、しました……っ!」
言い終わる前に、詩乃さんは俺の胸に飛び込んできた。 ぎゅうっと、力いっぱい抱きついて、泣きながら笑っている。
「本番で、震えなかったんです。結城さんの言う通り、自分の音、出せたっ……!」
「すごいよ。やったな、詩乃さん」
「結城さんのおかげです。あの録音がなかったら、私、絶対無理だった」
「いや。詩乃さんが、自分の力で受かったんだよ」
腕の中で、彼女が顔を上げる。 涙でぐしゃぐしゃの、でも今までで一番きれいな笑顔だった。
そのとき、キッチンに、住人の木村さんがふらりと入ってきた。 ベーシストで、この家のいちばんの古株だ。
「お、なになに。なんで二人で抱き合ってんの」
「……っ」
慌てて離れようとする詩乃さんを、俺はあえて、肩を抱いたまま離さなかった。
「あれ、もしかして、お前ら……付き合ってる?」
「はい。付き合ってます。あと、詩乃さん、オーディション受かりました」
「えーっ! 両方おめでとうじゃん! どっちもデカいニュースだろ!」
木村さんが、わっと声を上げて、冷蔵庫からビールを三本取り出した。
「これは祝杯だな。っていうか、毎晩地下にこもってたの、そういうことか」
「ちっ、違いますっ! ……いえ、合ってますけど……っ」
真っ赤になってあたふたする彼女が、可愛くて仕方なかった。
その夜遅く。 俺たちは、二人で地下の防音室にいた。
「ねえ、結城さん。お願いがあるんですけど」
「ん?」
「私の演奏、これからも、録ってくれますか? ずっと」
「もちろん。プロになった詩乃さんの音、いちばん近くで録れるなんて、最高の役得だよ」
「ふふ。じゃあ、専属の録音係さん、よろしくお願いします♡」
「専属の彼氏も、ついでによろしく」
「……はい♡ そっちが、本業で」
彼女が、チェロを構える。 すっと息を吸った瞬間、空気が変わる、あの横顔。 でも、弓を引き始めた音は、初めて聴いたときよりも、ずっとあたたかかった。
家賃が安いだけで選んだ、音楽家向けシェアハウス。 地下から毎晩聞こえていた、名前も知らないチェロの音。
その音の主は——今では、俺の腕の中で眠る、世界で一番大切な彼女になった。
ちなみに、防音室が「中の音も外に漏れない」という事実を、俺たちがどれだけ有効活用しているかは、ここには書かないでおく。 ただ一つ言えるのは——最近、住人の誰も、深夜に地下へ近づこうとしないことだけだ。
― 終 ―