9月の福岡空港。俺、柏木大樹(かしわぎだいき)、26歳。都内のIT企業で働くエンジニアだ。 2泊3日の出張がやっと終わって、あとは最終便で羽田に帰るだけ——のはずだった。 ところが、台風だ。昼過ぎから雲行きが怪しいと思っていたら、夕方には風がうなりを上げ始めて、空港の窓ガラスを雨が真横から叩きつけていた。
(これ、飛ぶのか……?)
出発ロビーの電光掲示板を見上げる。さっきまで「搭乗手続中」だった俺の便の表示が、ぱたぱたと切り替わって——
『欠航』
「……マジかよ」
「本日、台風の影響により、羽田行き最終便は欠航となりました」という館内アナウンスで、ロビーが一気にざわついた。 スーツケースを引きずる人、予約サイトを開く家族連れ、カウンターに駆け出すカップル。みんな同じことを考えている。今夜、帰れない。 俺は近くのベンチに腰を下ろして振替を調べ始めた。明日の便を取り直すしかないが、この台風じゃ市内のホテルも難民で埋まってるだろう。はぁ、とため息をついて顔を上げる。 すると隣のベンチの女性が、スマホからふっと顔を上げて、俺をじっと見ていた。長い髪を後ろでゆるくまとめた、白シャツにワイドパンツの、出張帰りらしいきれいめな人。 その顔に——なぜか、見覚えがあった。
「……大樹?」
「え」
時間が止まった。いや、比喩じゃなくて、本当に頭の処理が追いつかなかった。その軽くて、それでいて芯のある声。この呼び方。
「……玲奈?」
三田村玲奈(みたむられいな)、俺と同い年の26歳。大学のテニスサークルで知り合って、2年付き合った元カノだ。明るくて、口が回って、誰よりよく笑う子だった。 卒業と同時に別れた。理由は——就職先が、俺は東京で、玲奈は大阪に決まったから。遠距離になるのが怖くて、けじめみたいに別れた。あれから4年。
「うわ、ほんとに大樹じゃん! なにこれ、ウケる」
「ウケるじゃねえよ。なんで福岡にいんの」 「出張帰り。大樹は?」 「俺も出張帰り。最終便、欠航で死んでる」
「えっ、私も同じ便だわ。羽田行き」
顔を見合わせて、二人で同時に笑ってしまった。4年ぶりの再会が、台風で足止めを食らった空港の難民同士って。
「玲奈、大阪じゃなかったの?」
「あー、それね。今は東京。2年前に転職して、今アパレルのバイヤーやってんの」
東京。俺は内心ちょっと動揺した。別れの原因が「離れるから」だったのに、今は同じ街にいる。
「玲奈、振替どうすんの」
「これからカウンター。一緒に行こ」 「……だな」
振替カウンターは、案の定とんでもない長蛇の列だった。俺と玲奈は最後尾に並ぶ。前には三十人以上。
「うわ、これ何時間コースよ」
「覚悟しとけ」 「荷物見ててくれたら座って待つわ」 「自分が座る気じゃねえか」 「冗談だってば。ウケる」
くだらないやり取りをしながら、列はじりじりと進む。玲奈は4年前とまるで変わっていない。口数が多くて、軽口を叩いて、すぐ「ウケる」と言う。でも、ふいに黙ったとき、まつ毛が伏せられて、表情がやけに静かになる瞬間があった。それは、知らない顔だった。 一時間半並んで、やっとカウンターにたどり着いた。応対してくれたのは、30代半ばとおぼしき女性スタッフ。社会人の落ち着きを身にまとった、ベテランらしい接客だった。
「申し訳ございません。本日中の振替は満席でして、明日の昼の便でしたらお取りできます」
「……昼の便しかないんですか」
「はい。朝の便も既に満席で……」
玲奈と顔を見合わせる。昼の便。つまり、今夜はどう転んでも、福岡で一泊だ。
「じゃあそれでお願いします。二人分、隣同士で取れます?」
「かしこまりました」
カウンターを離れて、俺は玲奈を見た。
「勝手に隣同士にしたな」
「だってどうせ暇でしょ。4年分喋ろうよ」 「……まあな」
問題はホテルだった。スマホで片っ端から検索する。中洲、博多駅前、天神。どこも『満室』の赤い文字ばかりで、台風難民が市内のホテルを食い尽くしていた。
「ヤバ。マジで泊まるとこない」
「空港で野宿か?」 「冗談やめてよ。私、床で寝たら明日バイヤーの顔できないんだけど」
二人で空港を出て、タクシーで市内へ向かった。雨は弱まっていたけど、風はまだ強い。 気づけばもう深夜0時近くで、腹が減っていた。
「ねぇ、なんか食べたい。台風で空きっ腹とか惨めすぎる」
「この時間で開いてる店なんて——」 「あ、ラーメン屋! あそこ電気ついてる」
中洲の外れに、深夜営業のラーメン屋が一軒だけ明かりを灯していた。俺たちはほとんど駆け込むように暖簾をくぐる。カウンターだけの小さな店に、客は俺たちだけ。豚骨の濃い匂いが、冷えた体に染みた。
「替え玉まで頼んじゃお。今日は非常事態だし」
「太るぞ」 「うるさい。台風のせいだから」
ずるずるとラーメンをすする玲奈を横目で見る。湯気の向こうで、玲奈がふっと笑った。
「……なんかさ、これ、昔の朝帰りみたいじゃん」
「朝帰り?」 「ほら、サークルの飲みのあと。終電逃して、二人で始発まで適当に時間つぶしてさ。深夜のラーメンとか食べて」 「あったな、そういうの」 「あの頃に戻ったみたい。ウケる」
ウケる、と言いながら、玲奈の声が少しだけ柔らかくなった。俺はなんて返せばいいか分からなくて、スープを飲んだ。 ラーメン屋を出てもホテルは相変わらず全滅で、仕方なく24時間営業のファミレスに入った。ボックス席に向かい合って座る。窓の外では、まだ台風が街を揺らしていた。
「結局、朝までここか」
「いいじゃん。4年分の近況、棚卸ししよ」 「棚卸しって」 「私から行くね。転職して、今のとこ3年目。彼氏は——いない」
玲奈がさらっと、でも、ちょっとだけこっちを見ながら言った。
「……いないんだ」
「うん。大阪のとき一回付き合ったけど、すぐ別れた。それ以来フリー。大樹は?」
「俺も、いない」 「えっ、意外。モテそうなのに」 「モテねえよ。仕事ばっかりだった」
そこで、変な沈黙が落ちた。ドリンクバーの氷がからんと鳴る音だけが響く。 俺たちは二人とも東京にいて、二人ともフリーだった。4年前に別れた理由が、もう、どこにもなかった。
「……不思議だな」
「なにが」 「離れるからって別れたのに。今、同じ街にいんの」 「……ね」
玲奈は窓の外を見ていた。いつもの軽口が、そこだけぽっかり抜けている。 その夜は結局ほとんど寝ずに、誰が結婚しただの転職しただの、どうでもいい話を永遠に喋り続けた。どうでもいい話ほど楽しくて、外が白み始めた頃、玲奈がうーんと伸びをした。
「ねぇ、昼の便までめっちゃ時間あるじゃん」
「あるな」 「どうせ暇なら——太宰府、行かない?」 「太宰府?」 「天満宮。せっかく福岡来たのに、観光ゼロで帰るとか負けじゃん」 「負けってなんだよ」 「いいから行こ。台風も抜けたっぽいし」
確かに、窓の外はいつの間にか明るくなって、雨も上がっていた。台風一過。空が、洗ったみたいに青い。俺たちは始発に揺られて、太宰府天満宮へ向かった。台風明けの早朝、参道はがらんとして、濡れた石畳が朝日を反射してきらきら光っていた。
「うわ、空気うっま。生き返る」
「徹夜明けでよく元気だな」 「テンションでもってる。落ちたら寝る」
本殿でお参りして、それから、玲奈がおみくじの箱を見つけた。
「おみくじやろ、おみくじ」
「徹夜明けのおみくじって運勢出るのか」 「いいから。せーので開けるよ」
二人で百円玉を入れて紙を引き、玲奈が「せーの」と言って、同時に開く。
「……あ」
「どした」
玲奈が自分の紙を見て、固まっていた。俺も自分のおみくじの恋愛の欄に目を落とす。 そこには、こう書いてあった。
『恋愛・縁談——よりを戻すは吉。古き縁、再び結ばれん。復縁吉』
「……復縁吉」
「待って。私のも復縁吉なんだけど」
玲奈が自分の紙を俺の目の前に突き出した。そこにも、まったく同じ文字が並んでいる。 しばらく二人で無言で見つめ合って——それから、玲奈が先に吹き出した。
「ぶはっ、なにこれ! 二人して復縁吉とか! ウケる、ウケすぎる!」
「いや、できすぎだろ」 「神様、仕事しすぎでしょ。台風で足止めして、隣同士の席にして、おみくじまで揃えてくるとか」 「狙ってんのか」
笑いながら、でも俺は心臓がうるさかった。玲奈も、笑いながら、ちょっとだけ目をそらしていた。 おみくじは二人とも木の枝に結ばず、なんとなくポケットに入れて持ち帰った。 市内に戻ると、昼の便は——台風明けで便がずれて、夕方に変更になっていた。結局また中途半端に時間が空く。
「もう、神様、私たちを帰す気あんの?」
「ないんじゃね」 「じゃあもう開き直るわ。中洲で飲も。屋台」
夕方、雨上がりの中洲。川沿いに屋台の赤提灯が灯り始めて、水たまりにその灯りが映って揺れている。 俺たちは小さな屋台の暖簾をくぐって並んで腰掛けた。生ビールを二つ頼んで、おでんと焼き鳥をつまむ。
「かんぱーい。台風と、まさかの再会に」
「乾杯」
冷えたビールが、徹夜と観光で疲れた体にすっと回る。玲奈はもう何杯か飲んでいて、頬がほんのり赤い。川風が、後れ毛を揺らしていた。 しばらく他愛のない話をしていたけど、ふと、玲奈がジョッキを両手で包んだまま、ぽつりと言った。
「……あのさ。今だから言うけど」
「ん」 「大樹が大阪行きたくないって、ほんとは、言ってほしかった」
俺は、手を止めた。
「あのとき。就職先が分かれて、別れようって話になったとき。大樹、すごい冷静でさ。『仕方ないよな』って」
「……」 「私、待ってたんだよね。大樹が『遠距離でもいいから続けたい』って言ってくれるの。でも、言ってくれなかった」
玲奈の声から、いつもの軽さが消えていた。川の音だけが、ずっと鳴っている。
「……俺は、玲奈が大阪で新しい生活始めるの、邪魔したくなかった」
「邪魔じゃないし。私の人生に大樹がいんの、邪魔とかじゃないし」 「……」 「強がってカッコつけて、結局、一番言いたいこと言わないの、大樹の悪いとこだよ」
ぐさっときた。俺のあの「仕方ない」が、玲奈にとって、4年間ずっと刺さったままの棘だったなんて。
「……ごめん」
「謝んなくていいよ。もう過ぎたことだし」 「いや、ちゃんと言わせて」
俺はジョッキを置いて、玲奈の方を向いた。
「あのとき、本当は、嫌だった。離れたくなかった。けど、それ言ったら玲奈を縛る気がして、言えなかった。それは——俺が、弱かったんだ」
玲奈が目を見開いて俺を見た。それから、くしゃっと顔を歪めて——
「……ばか。今さら言うなよ。ずるい」
「ずるいって、よく言われる」 「うっさい」
玲奈が俺の肩を、こつんと殴った。力の入っていない、子供みたいなパンチだった。 そしてその夜、夕方の便も——欠航した。振替便は完全に飽和で、結局、明日の朝イチまで動けないことになった。
「もう笑うしかないわ。神様、絶対私たち帰す気ない」
「だな」 「ホテル、もう一回探す。さっきキャンセル出てるかも」
屋台を出てスマホで検索すると、台風が抜けたおかげか、さっきより少し空きが出ていた。天神の駅前のホテルに、一室だけ空室の表示。 ただ——
「……一部屋しかない」
「は?」 「ダブル。一室だけ。シングル二部屋は、ない」
玲奈が、ダブルベッドが一つきりの部屋の写真を覗き込んだ。一瞬、沈黙が落ちる。玲奈の頬が、ビールのせいじゃなく赤くなっていく。
「……べ、別にいいし。元カノと元カレなんだし。一晩くらい」
「いいのか」 「だってもう野宿か、ここしかないでしょ。床で寝るよりマシだし。……べ、別に、変な意味じゃないからね」 「変な意味って」 「うるさいっ。早く予約して。キャンセルされる前に」
俺は予約ボタンを押した。心臓が、さっきからずっとうるさい。 天神のホテルにチェックインしたのは22時過ぎ。部屋に入ると、ダブルベッドが一つ、でんと真ん中に置かれていた。
「……でかいベッドだね」
「ああ」 「ま、二人で寝ても余裕でしょ。私、はじっこで寝るから」
玲奈はわざとらしく明るく言って、洗面所に向かった。
「私、先シャワー借りるね。汗だくだもん。徹夜だし観光だしビールだし」
「おう」
シャワーの音を聞きながら、俺はベッドの端で天井を見上げていた。
(……どうすんだよ、これ) 頭の中で、屋台での玲奈の言葉がぐるぐる回る。言ってほしかった。離れたくなかった。復縁吉。 しばらくして、玲奈がバスローブ姿で出てきた。湿った髪をタオルで拭きながら。化粧を落とした顔は、4年前のあの頃と、まったく同じだった。
「次どうぞ。タオルそこにあるから」
俺も手早くシャワーを浴びて、熱いお湯を頭から浴びながら心臓の音を必死で落ち着かせた。 バスローブを羽織って戻ると、玲奈は冷蔵庫から缶ビールを二本取り出していた。
「ホテルのやつ、高いけど。寝酒に」
「もらう」
ベッドに並んで腰掛けて、プシュッと缶を開ける。肩が触れそうな距離。さっきまで散々喋っていたのに、急に何も話せなくなった。 ビールを一口飲んで、玲奈が缶を見つめながら言った。
「……ねぇ、大樹」
「ん」 「今日のおみくじ、まだ持ってる?」 「……持ってる」
俺がバッグからしわくちゃのおみくじを取り出すと、玲奈も自分のを出して、二枚の『復縁吉』がベッドの上で並んだ。
「神様、ここまでお膳立てしてくれてさ」
「……ああ」 「私たち、無視したら、罰当たるよね」
玲奈が顔を上げた。潤んだ瞳が、まっすぐ俺を見ている。いつもの軽口じゃない。冗談に紛れさせない、本気の目だ。 俺は缶を床に置いて、玲奈の頬に手を添えた。
「玲奈」
「……なに」 「キス、していい?」 「……ばか。聞くなよ、そういうの」
それが、イエスだった。俺はゆっくり顔を近づけて—— ちゅっ。 4年ぶりに、玲奈の唇に触れた。柔らかくて、ビールの味がして、それでいて、ちゃんと玲奈の唇だった。
「ん……っ」
玲奈の体がびくっと震えて、それから自分から少しだけ顔を傾けて、深く重ねてきた。 ちゅ……ちゅぷ…… 「は……ん……♡」
唇の隙間から舌を入れると、玲奈もおずおずと絡めてくる。最初は遠慮がちに、それから、だんだん夢中になっていく。 ちゅる……れろ……ちゅぷっ…… 「んん……っ♡ 大樹……っ♡」
4年分の距離が、舌の絡みで溶けていくみたいだった。キスしながら、玲奈のバスローブの肩が、するりと落ちた。
「……脱がしていい?」
「もう、いちいち聞くなって……♡」
玲奈の手が、俺のバスローブの胸元をぎゅっと掴む。俺はそのまま玲奈をベッドにそっと押し倒した。濡れた髪が、白いシーツに広がる。 バスローブの帯をほどくと、下着をつけていない玲奈の体が現れた。シャワー上がりのまま、しっとりと火照った白い肌。ほどよく実った形のいい胸。色づいた先端。くびれた腰。
「……きれいだ」
「やだ、見すぎ……♡ 恥ずかし……」 「見るに決まってんだろ。4年ぶりだぞ」 「4年で勝手に育ったとか言わないでよね……♡」
玲奈が照れ隠しに笑った。俺はその胸にそっと手を伸ばす。 むにゅっ…… 「あっ……♡」
手のひらに柔らかい重みが沈み込む。指のあいだから溢れるくらいの量が、ふにふにと形を変える。
「柔らかい……」
「あんま……揉まないで……♡ 恥ずかしいから……」 「無理。やめられない」
ゆっくりと、両手で包み込むように揉む。 むにゅ……ふにふに…… 「ん……っ♡ あ……♡」
指の腹で、つんと立ち始めた先端を掠めると、玲奈がびくっと跳ねた。
「ひゃっ♡ そこ……っ♡」
「ここ、感じる?」 「……っ、知らない……♡」
くりっ。 「ひあっ♡♡」
先端を指で転がすと、玲奈が大きく仰け反った。口では強がるのに、体は正直だ。
「玲奈、ここ弱いの変わってないな」
「うるさいっ……♡ 覚えてんなよ、そういうの……っ♡」
両方の先端を同時につまんで、こりこりと弄ぶ。 こりこりっ♡ くりくりっ♡ 「あぁんっ♡ だめっ……両方なんてっ……♡」
片方を弄りながら、もう片方に顔を埋めた。 ちゅっ♡ 「ひゃぁんっ♡♡ 吸っちゃ……だめぇ……♡」
先端を口に含んで、舌先でれろれろと舐め転がす。 れろっ♡ ちゅるっ♡ ちゅうぅっ♡ 「あっあっあっ♡ やぁっ♡ 大樹っ♡ きもちいぃ……っ♡」
口では「だめ」と言いながら、玲奈の手は俺の頭をぎゅっと抱え込んでいた。 胸を吸いながら、片手を太ももの内側に滑らせる。しっとり汗ばんだ太ももが、俺の手を受け入れるように、わずかに開いた。
「足、開いてくれた」
「……っ、言わないでよ、いちいち……♡」
指をその奥へと進める。触れた瞬間、ぬるっとした感触が指に絡んだ。 くちゅっ…… 「ひぁっ♡♡」
「もう、こんなに……」
「だって……キスからずっと……っ♡」
玲奈の奥は、すでにとろとろに濡れていた。小さな突起を見つけて、指の腹でくるくると円を描く。 くちゅくちゅ……くりくり…… 「あっ♡あっ♡♡ そこっ……♡ 弱いのっ……♡♡」
クリを刺激しながら、中指をゆっくり中へ滑り込ませた。 ずぷっ…… 「あぁぁっ♡♡♡」
熱い内壁が、きゅうっと指を締め付けてくる。4年経っても覚えている、玲奈の形だ。前壁のざらついた場所を、指の腹でこりこりと擦る。 くちゅくちゅくちゅっ…… 「そこっ♡♡ やばっ……そこやばいぃっ♡♡♡」
二本目を追加して、中をかき回しながら、親指でクリを同時に攻める。 ぐちゅっ♡ ぐちゅっ♡ くりくりっ♡ 「あっ♡あっ♡あっ♡♡ だめっ♡ いっぺんは……っ♡♡」
玲奈の腰が跳ねるように浮いて、太ももが俺の手をぎゅうっと挟み込む。
「だめっ♡♡ それ続けたらっ……イっちゃうっ♡♡♡」
「イっていいよ」 「やっ♡♡ 恥ずかしいっ♡♡ 見ないでっ……っ♡♡」
親指でクリを潰しながら、中の弱い場所を激しく擦り上げる。 ぐちゅぐちゅぐちゅっ♡♡
「あっ♡あっ♡あっ♡♡——っっ♡♡♡」
びくびくびくっ♡♡♡
玲奈の体が弓なりに反り返って、じゅわっと温かいものが俺の指に溢れ出した。
「……イったな」
「……っ、言うな、ばか……♡♡」
息を切らせて、玲奈が腕で顔を隠した。その指の隙間から、潤んだ目がこっちを見ている。しばらくして、玲奈がのろのろと体を起こした。
「……次、私の番」
「いいよ、無理しなくて」 「無理してない。私だって……大樹のこと、気持ちよくしたいの」
玲奈が、俺のバスローブの帯をほどいた。ボクサーパンツの上から、もうパンパンに張り詰めているのが分かる。
「……すご。もうこんなになってる」
「玲奈がエロすぎるから」 「えっちなこと言わないでよ……♡ でも、嬉しい」
玲奈がパンツのゴムに指をかけて、ゆっくり下ろす。 ぼろんっ。
「……わ。やば。こんなだったっけ」
「4年で勝手に育った」 「私のセリフ取らないでよ……♡」
玲奈がふっと笑って、俺の前にかがみ込んだ。細い指がそっと根元を包む。ひんやりした感触に、ぞくっと背筋が震えた。 しゅっ……しゅっ…… 「気持ちいい?」 「……ああ」 「ふふ、顔に出てる」
先端から透明な液が滲み出す。玲奈が、上目遣いでこっちを見た。
「……舐めてもいい?♡」
「……無理すんなよ」 「無理じゃないってば。したいの」
玲奈が、ちゅっと先端にキスをした。 ちゅっ♡ ちゅぷっ♡ 小さなキスを繰り返してから、舌を出して、裏筋をつーっと舐め上げる。それから、ぱくっと先端を咥え込んだ。 れろ……ちゅぷ……じゅぽっ…… 「っ……玲奈……」
温かい口の中に包まれる。玲奈がゆっくりと頭を上下させながら、潤んだ瞳で俺を見上げてくる。
じゅぷっ♡ ちゅぱっ♡ じゅるっ♡ 「んっ……♡ ちゅぷ……♡」
頬を窄めて吸い上げながら、舌をうねうねと絡めてくる。先端まで来るたびに、ちゅるんと舌先で転がして、また深く咥え直す。
「くっ……玲奈、それやばい……」
「ん……っ♡ もっと気持ちよくなって……♡」
じゅぼっ♡ じゅぼっ♡ じゅぷぷっ♡ 奥まで咥え込んで、喉の手前まで迎え入れる。
「んぐっ……♡ んぷっ……♡」
「……っ、玲奈、一回止めて。このままだとイく」 「ん……ぷはっ♡」
玲奈が口を離した。唾液の糸が、つーっと光って引く。
「……ダメだよ、まだ。私の中で、イってほしいの」
「……いいのか」 「いいに決まってるでしょ。……ピル飲んでるから。そのまま、来て」
玲奈が、自分からベッドに横たわった。両膝を立ててわずかに開くと、さっき俺の指で溢れたものが、まだとろりと光っていた。
「……玲奈」
「ねぇ……早く♡」
俺は玲奈の脚の間に体を入れて、先端を入り口に当てた。とろっとした熱が、ぴたりと吸い付いてくる。
「いくぞ」
「うん……♡ 優しくして……4年ぶりだから……♡」
ずぷっ……♡ 「んあぁっ♡♡♡」
先端が入った瞬間、玲奈が甲高い声を上げた。きつい。めちゃくちゃきつい。なのに、とろとろに濡れているから、吸い込まれるように奥へ進んでいく。
ずず……ずぷぷっ……♡ 「あぁっ……♡ おっきい……♡ 奥まで来てるぅ……♡」 「くっ……玲奈の中、めちゃくちゃ熱い……」
根元まで入りきった。玲奈の中が、4年分の隙間を埋めるみたいに、ぎゅうぎゅうと俺を締め付けてくる。
「……ねぇ、繋がってる……♡ 私たち、また繋がってる……っ♡」
「ああ」 「夢みたい……♡」
「動くぞ」
「うん……っ♡」
ずちゅっ♡ ぱんっ♡ 「ひぁっ♡」 ずちゅっ♡ ずちゅっ♡ ぱんっ♡ ぱんっ♡ 「あっ♡ あっ♡ あっ♡ 大樹っ♡」
ゆっくりと腰を動かす。引くときにきゅっと締まって、入れるときにとろっと受け入れてくれる。その繰り返しが、信じられないくらい気持ちいい。
ぱんっ♡ ぱんっ♡ ぱんっ♡ 「あぁっ♡ やっ♡ そこっ♡ そこ当たるのっ♡♡」 「ここか」 ぐちゅっ♡♡ 「ひあぁっ♡♡♡ そこぉっ♡♡」
奥の方を突くと、玲奈が大きく体を跳ねさせた。
「そこっ♡♡ 昔より……感じるっ♡♡♡」
「じゃあ、ここ集中で」 ぱんっ♡ ぱんっ♡ ずちゅっ♡ ぱんっ♡ 「あっ♡あっ♡あっ♡あっ♡ だめっ♡ そこばっかりっ♡♡ おかしくなるっ♡♡」
玲奈の胸が突くたびにぶるんぶるんと揺れて、その光景がエロすぎて、腰の動きがどんどん速くなる。
ぱんぱんぱんっ♡♡♡ 「あああっ♡♡ 大樹っ♡ きもちいいっ♡♡ すごいのっ♡♡」 「俺も……玲奈の中、よすぎる……っ」
玲奈の両脚が俺の腰に絡みついて、ぐっと引き寄せられ、結合がさらに深くなる。
「もっと……っ♡ もっと奥まで来てっ♡♡」
「これでどうだ」 ずぐっ♡♡ 「ひああっ♡♡♡ 奥っ♡♡ 一番奥っ♡♡♡」
最奥をぐりぐりと押し込むと、玲奈が首を振って悶えた。シーツを握りしめ、つま先がぴんと張る。
「ねぇっ♡ 体勢……変えたいっ♡」
「ん?」 「うしろから……してほしいの♡」
玲奈が、自分から四つん這いになった。ぷりんと突き出されたお尻が、ベッドの上で白く丸く——エロすぎた。
「恥ずかしい……♡ こんな格好……♡」
「めちゃくちゃエロいよ、玲奈」 「もうっ……早く入れてよぉ……♡」
腰を掴んで、後ろからゆっくり挿入する。 ずぷっ♡♡ 「あぁんっ♡♡ うしろ、深いっ……♡♡」
この体勢だと、さっきよりずっと深く入る。玲奈の中がきゅうっと締まって、最奥に密着してきた。
ぱんっ♡ ぱんっ♡ 「あっ♡ あっ♡ んんっ♡ 奥っ♡ ガンガン来てるぅ……♡♡」
腰を掴んでリズミカルに突くと、玲奈のお尻が、ぶつかるたびにぱちんっと弾力のある音を立てる。
ぱんぱんぱんっ♡♡ 「あぁっ♡ うしろ好きっ♡ 大樹のが当たるのっ♡♡ きもちいいのぉっ♡♡」 「玲奈、中どんどんきつくなってる……」 「だってっ♡ 気持ちよくてっ♡ 締まっちゃうのっ♡♡」
前に手を回して、揺れる胸を鷲掴みにする。 むにゅんっ♡♡ 「ひゃぁっ♡♡♡ そこも揉まないでぇっ♡♡ きもちよすぎてっ♡♡」
胸を揉みしだきながら、腰を叩きつける。 ぱんぱんぱんぱんっ♡♡♡ 「あああっ♡♡ イクっ♡ イっちゃうっ♡♡ 大樹と一緒がいいっ♡♡」 「俺もっ……もう……っ!」
俺は玲奈の体を起こして、背中を抱き寄せた。背面座位の形で後ろから繋がったまま、ぐっと密着する。玲奈のうなじに唇を当てて、耳元で囁いた。
「玲奈。離さないからな」
「っ……♡♡ もう、そういうのっ……ずるいってばっ……♡♡」
ぱんっ♡ ぐちゅっ♡ ぱんっ♡ 「あっ♡あっ♡あっ♡♡ イクっ♡♡ もうイクっ♡♡♡」 「中に出すぞ」 「出してっ♡♡ 全部っ♡♡ 私の中に、全部ちょうだいっ♡♡♡」
ぱんぱんぱんっ♡♡♡ ずぷぷっ——♡♡♡ 「あぁぁぁっ♡♡♡♡ きてるっ♡♡ 中にいっぱいっ♡♡♡ あったかいのっ♡♡♡♡」 「くっ……はぁ……っ!」
奥深くで、全部出した。玲奈の中が、びくびくと痙攣しながら、搾り取るように締め付けてくる。
「はぁっ♡♡ はぁっ♡♡ ……すごかった……♡♡」
「玲奈、大丈夫か」 「大丈夫……♡ むしろ、最高……♡」
二人で前のめりに崩れ落ちて、しばらく荒い息を整えた。玲奈の背中に頬を寄せると、心臓の音がトクトクと速く鳴っている。少しして、玲奈がくるりと俺の方を向いた。汗で額に張り付いた前髪。とろんとした目。上気した頬。
「……ねぇ、大樹」
「ん」 「まだ、元気だよね♡」 「……分かるのかよ」
玲奈が、繋がりかけのところにそっと手を伸ばした。確かに、まだ全然萎えていない。
「4年分だよ? 1回じゃ、足りないでしょ♡」
「……玲奈、意外とえっちだな」 「大樹限定だってば♡」
玲奈が、にこっと笑って、俺の体を押し倒した。
「今度は、私が上♡」
玲奈が、俺の腰に跨った。上から見下ろしてくる姿は——乱れた髪。紅潮した頬。汗で艶めく白い肌。そして、重力に揺れる、たわわな胸。
「……すげえ景色」
「えっち♡」
玲奈が、俺のモノを手で掴んで、自分の入り口に当てた。 ずぷっ♡♡ 「んあぁっ♡♡ 自分で入れるの……すごい感じるっ……♡♡」
さっき出したばかりで、中はとろとろに濡れている。ずずず、とゆっくり腰を落としていく。 ずぷぷっ♡♡ 「あっ……♡ 全部入った……♡ お腹の中、いっぱい……♡♡」 「玲奈、上から見るとエロすぎる……」 「見てて♡ 大樹のために、いっぱい動くから……♡」
玲奈が、ゆっくりと腰を前後に揺らし始めた。 ぐちゅっ♡ ぐちゅっ♡
「んっ♡ あっ♡ これ……奥に当たるっ♡♡」
ぱんっ♡ ぱんっ♡ ぐちゅっ♡ 「きもちいいっ♡ 自分で動くのっ♡ すごいのっ♡♡」
玲奈の胸が、腰の動きに合わせてぶるんぶるんと上下に揺れる。その光景が視界いっぱいに広がって、もう理性が溶けそうだった。
「玲奈、もっと激しく」
「うんっ♡ こう?♡」 ぱんぱんぱんっ♡♡ 玲奈が、腰を打ちつけるように激しく動き出した。
ぐちゅぐちゅぐちゅっ♡♡♡ 「あああっ♡♡ すごっ♡ これやばいっ♡♡ 自分で動くと、奥ガンガン来るのぉっ♡♡♡」 「くっ……玲奈っ……!」
下から腰を突き上げる。 ぱんっ♡♡♡ 「ひあぁっ♡♡♡ 下からもっ♡♡ お腹の中、ぐちゃぐちゃにされてるぅっ♡♡♡」
俺は体を起こして、玲奈を抱きしめた。対面座位の形で二人の体がぴったり密着して、玲奈の胸が俺の胸板に押し付けられて、ぷにゅっと潰れる。
「あっ♡♡ 密着してるっ♡ 大樹の心臓の音、聞こえる……♡」
「玲奈」 「ん……っ♡」 「好きだ。ずっと、好きだった」
玲奈が目を見開いて、それから潤んだ瞳から、ぽろっと涙がこぼれた。
「……っ♡♡ 私もっ♡♡ ずっと、好きだったよっ♡♡♡」
ずちゅっ♡ ぱんっ♡ ぐちゅっ♡ 「あっ♡あっ♡あっ♡♡ イクっ♡ 大樹っ♡ 一緒にイこっ♡♡」 「ああ……俺も……もう……っ!」 「中にっ♡♡ 全部、中に出してっ♡♡♡ お腹いっぱいにしてっ♡♡♡」
ぱんぱんぱんぱんっ♡♡♡♡ ずぷぷぷっ——♡♡♡♡♡ 「あぁぁぁぁっ♡♡♡♡ イクっ♡ イクイクイクっ♡♡♡♡ 中にいっぱいっ♡♡♡♡♡」 「っ……!! 玲奈っ……!!」
二回目。ドクドクと、奥の奥に全部注ぎ込んだ。玲奈の全身がびくびくっと痙攣して、ぎゅうっと俺にしがみついてくる。
「はぁっ♡♡ はぁっ♡♡ ……すごかった……♡♡♡」
「はぁ……はぁ……ああ……最高だった……」
抱き合ったまま、しばらく動けなかった。玲奈の中はまだびくびくと収縮して、余韻が終わらない。窓の外では、台風が抜けた夜空に、星が一つ二つ覗いていた。やがて玲奈が俺の体から離れて、隣にぱたんと倒れ込み、俺の胸にぴたりと頬を寄せてくる。
「……ねぇ、大樹」
「ん」 「これって、復縁ってことで、いいんだよね」 「……おみくじが言ってたしな」 「神様のせいにすんなよ。自分の言葉で言ってよ」
玲奈が、俺を見上げた。冗談に紛れさせない、まっすぐな目で。
「……付き合おう。今度こそ、ちゃんと」
「……うん♡」 「もう、離さない」
玲奈が、くしゃっと笑って、俺の胸に顔を埋めた。
「……4年分、取り返してよね」
「ああ。一生かけて」 「うわ、重っ。ウケる」 「お前が言わせたんだろ」 「……えへへ♡」
その夜は、結局もう一回シャワーを浴びてから、抱き合って眠った。
翌朝。台風一過の青空が、ホテルの窓いっぱいに広がっていた。やっと取れた朝の振替便に乗り、玲奈が窓側、俺が通路側に腰を下ろす。 飛行機が滑走路を加速して、ふわりと浮き上がる。眼下に、青く晴れた福岡の街が広がった。 その瞬間、玲奈の手が自然と俺の手を探してきて、俺はぎゅっと握り返した。何も言わなくても、二人の手は、もう離れなかった。
「……台風、ありがとうって感じだね」
「だな。神様にも、おみくじにも」 「ウケる。一生分のお礼、参拝しないと」 「また太宰府行くか」 「行こ。今度は、ちゃんとデートで」
青空の中を、飛行機は東京へ向かっていく。1時間半後、俺たちは羽田に着いた。到着ロビーを出る。出張帰りの雑踏。スーツケースの車輪の音。アナウンス。あの福岡空港の喧騒と、よく似ていた。
「ねぇ、大樹」
「ん」 「これで、解散だね。家、別々だし」 「……まあな」
玲奈が、ちょっと寂しそうに笑った。でも、すぐにいつもの顔に戻って、にっと笑う。
「でも、今度は——同じ街だしね♡」
「ああ」 「会いたいときに、電車一本で会える。遠距離じゃ、ないんだよ」 「……4年前と、違うな」 「違うよ。だから今度は——」
玲奈が、言葉の途中でちょっと照れて口ごもった。俺は、4年前に言えなかったことを、今度はちゃんと言った。
「もう離さない」
玲奈がぱっと顔を上げて、目を真っ赤にして、俺の腕にぎゅっと抱きついてきた。
「……っ、ほんと、ずるいってばっ……」
「言わせたのお前だろ」 「うっさい。……でも、嬉しい」
俺たちは、手を繋いだまま、到着ロビーを歩き出した。台風が、別れた二人をもう一度同じ場所に集めた。帰れなかった一晩が、4年分の遠回りをまっすぐに繋ぎ直した。これから先は、もう遠距離じゃない。電車一本の、同じ街で。
「ねぇ大樹、今日このまま、私の家来る?」
「いいのか」 「だって——まだ、4年分には全然足りないし♡」 「お前、ほんとえっちだな」 「大樹限定だってば♡」
繋いだ手を、ぎゅっと握り直す。俺たちは、人混みの中へ、二人で歩いていった。
― 終 ―