深夜のジムで再会した元カノが別人みたいに綺麗になっていた話

2026.06.12NEW

22分で読了

俺、神谷蓮、26歳。都内の商社で働いている。

仕事は嫌いじゃない。ただ、とにかく忙しい。 朝は満員電車に揺られ、夜は得意先の接待か、終わらない見積もりとにらめっこ。家に着くのが日付を跨ぐのなんてザラだ。

それでも週に何度かジムに行くのは、半分は意地みたいなものだった。 このまま机にしがみついてるだけの男になりたくない。そんな焦りを、汗で流したかった。

通っているのは、家から徒歩7分の24時間ジム。深夜2時。 さすがにこの時間帯は人が少ない。 フロアにいるのは、終電を逃したサラリーマンらしき男が一人と、奥でストレッチしてる誰か。ほとんど貸し切りみたいなものだ。 2月の深夜は冷える。 それでも、ベンチプレスのバーを握ると、体の芯から熱が戻ってくる。

(よし、あと一発……)

60キロのバーを胸まで下ろして、押し上げる。3セット目の最後の一回。腕がぷるぷる震えた。 が——ラスト、潰れた。バーが胸の上で止まって、上がらない。

(やべ……)

焦って手をバタつかせかけた、その瞬間。 すっ、と横から手が伸びてきて、バーを軽々と持ち上げた。

「はい、補助入ります。無理しないで」

ハキハキした声。顔を上げると、女性が立っていた。 ジムのスタッフらしき黒いポロシャツ。後ろで結んだ髪。 そして——綺麗だった。 腕も肩も、薄く筋肉の筋が浮いていて、無駄なものが一切ない。 それでいて、女性らしい曲線はちゃんとある。 鎖骨の影、引き締まった二の腕、ポロシャツを押し上げる胸。 化粧は薄いのに、目力がすごい。

(え、めっちゃ綺麗な人だな……)

「肩、すくみすぎてますよ。バーを下ろすとき、肩甲骨をベンチに押し付ける意識持って」

「あ……はい」

彼女が俺の肩の下に手を差し込んで、ぐっと位置を直した。 触れられた瞬間、ぴくっと体が反応する。

「もう一回いきましょう。今度はちゃんと付くんで、思いっきり押して」

「……お願いします」

ゆっくり下ろして、押し上げる。 さっきまで上がらなかったバーが、嘘みたいにスッと上がった。

「はい、ナイス。フォーム直すだけで全然違うでしょ」

にっこり笑う。その笑い方に、なぜか妙な既視感があった。

「すいません、助かりました。バーの下敷きになるとこでした」

「ふふ、深夜に一人で潰れる人、けっこういるんですよ。だから巡回してて」

ふと、彼女の動きが止まった。俺の顔を、じっと見ている。

「……あれ」

「え?」

「もしかして……神谷くん?」

心臓が、変な跳ね方をした。 なんで名前を。というか、この声、この顔——。 記憶が、ゆっくりと焦点を結んでいく。

「……気づいてないんだ。久しぶり、蓮くん」

俺は、凍りついた。 日向沙耶。大学のとき、付き合っていた女の子だった。

当時の沙耶は、地味で、自信がなくて。 いつも俯きがちで、髪で顔を半分隠していて。 声も小さくて、笑うときも口元を手で覆うような子だった。

俺は、そんな沙耶を——周りの声に流されて、振った。 「お前、なんであんな地味な子と付き合ってんの」 そんな言葉に、当時の俺は耐えられなかった。本当に、最低な別れ方をした。

その沙耶が、今、目の前にいる。別人みたいに、綺麗になって。

「……日向、さや……?」

「正解。びっくりした?」

俺はバーベルラックに座り込んだまま、言葉が出てこなかった。 あの沙耶が。あの俯いてた子が。背筋をまっすぐ伸ばして、堂々と、俺を見下ろして立っている。

「マジで……気づかなかった。ごめん」

「いいよ。私も最初は半信半疑だったし。でも、そのベンチで潰れる感じ、昔のまんまだったから」

くすっと笑う。からかうような笑い方だった。昔の、口元を隠す笑い方じゃない。

「お前、ここで働いてんの……?」

「うん。パーソナルトレーナー。三年目」

日向沙耶、25歳。 俺と同い年だった彼女が、大学を出て、まったく違う場所で生きていた。 トレーナー。 あの沙耶が。 頭の処理が、まったく追いつかなかった。

「閉店業務あるから、もう行くね。……また、いつでも潰れてていいよ。助けてあげるから」

そう言って、沙耶はストレッチエリアの奥へ歩いていった。背中まで、引き締まっていた。 俺はしばらく、汗が冷えていくのも忘れて、その背中を見送っていた。

(……綺麗になったな、本当に)

そして、その夜は一睡もできなかった。 翌週も、俺は同じ時間にジムに来てしまった。我ながら、現金なものだと思う。 フロントに沙耶がいた。俺に気づくと、軽く手を上げる。

「いらっしゃい。潰れに来た?」

「潰れに来てねえよ」

「ふふ」

なんとなく、フロントの前で立ち話になった。お互い近況を、当たり障りなく。 俺が商社で働いてること。沙耶がこのジムでパーソナルを担当してること。

「神谷くん、フォーム自己流でしょ。あのままだと、そのうち肩か腰やるよ」

「……まあ、独学だからな」

「パーソナル、受けてみる? 最初の体験、初回はうちのお客さん割引で安くできるけど」

なんでだろう。気まずさも、後ろめたさも、全部あったのに。 俺は、その場で予約していた。

「……じゃあ、頼む。週一で」

「了解。毎週この時間ね。逃げないでよ」

「逃げねえよ」

「どうだか」

そう言って笑う沙耶の顔を、俺はまっすぐ見られなかった。

こうして、週一のパーソナルが始まった。 トレーニング中の沙耶は、別人だった。 いや、別人なのは見た目だけじゃない。

「はい、あと3回! 膝、内に入ってる!」

「フォーム崩れてる。腹圧抜けてるよ、もう一回」

容赦がない。スクワットで足が震えても、「あと2回」と平然と言う。 俺が情けない声を上げると、「社会人なんだから根性見せて」と笑う。

「鬼かよ、お前……」

「鬼じゃないと、人は変われないの」

その言葉に、一瞬、空気が変わった。沙耶は、すぐにいつものトレーナーの顔に戻ったけど。

トレーニングの合間、給水のときだけは、少しだけ普通の会話になる。 最近観た映画とか、仕事の愚痴とか。 でも、お互い、大学時代の話だけは避けていた。 避けているのが、お互い分かっていた。 だから余計に、その話題は二人の間で、重たく沈んでいた。

何週か、そんな日が続いた。 ある夜のトレーニング後。 クールダウンのストレッチをしながら、沙耶がぽつりと言った。

「神谷くん、最初の頃よりだいぶフォーム良くなったよ」

「お前の指導がスパルタだからな」

「ふふ。……でも、ちゃんと続けてる。えらいよ」

その言葉が、なんだか、引き金になった。ずっと喉につかえていたものが、せり上がってくる。 ストレッチで前屈する沙耶の背中を見ながら、俺は口を開いた。

「……沙耶」

「ん?」

「あのとき、振ったこと。ずっと後悔してた」

沙耶の動きが、止まった。

「周りに何言われたって、お前を選べばよかった。なのに俺は、くだらないこと気にして、お前を傷つけた。……俺が、馬鹿だった」

しばらく、沈黙が落ちた。深夜のジムは、空調の音だけが響いていた。 沙耶が、ゆっくり体を起こす。そして、俺を見た。 ここで、不思議なことが起きた。 さっきまでハキハキしていた声が、急に、小さくなった。

「……謝らなくて、いいよ」

「でも」

「ね、聞いて」

沙耶は、ベンチに座って、膝の上で手を組んだ。昔みたいに、少しだけ、俯いて。

「振られたとき、私、本当に死にたいくらい悔しかった。地味だから、可愛くないから、捨てられたんだって」

「……」

「でもね。その悔しさが、私を変えたの」

顔を上げた沙耶の目は、潤んでいたけど、まっすぐだった。

「見返したくて、ジム通い始めて。体が変わったら、自分のことが少し好きになれて。気づいたら、トレーナーになってた」

「……私を変えたのは、あの悔しさだよ。蓮くんに振られたことだよ」

俺は、何も言えなかった。 沙耶が、小さく笑った。困ったような、泣きそうな笑い方で。

「だから、憎んでるわけじゃない。……でも、感謝してるって言うのも、なんか違くて」

「ずっと、この気持ちの置き場所がなかったの。憎しみでもなくて、感謝でもなくて。……ただ、複雑なまま、ここにあった」

その夜、俺たちは、それ以上何も話さなかった。 でも、二人の間にあった重たいものが、少しだけ、形を変えた気がした。

その翌週。パーソナルが終わった後、沙耶が言った。

「今日、最後のお客さんだったから。もう店、閉めるんだ」

時計を見ると、もう深夜3時近かった。フロアには、もう俺たち二人しかいない。

「せっかくだから、ペアストレッチして帰る? 体、ほぐしといたほうがいいよ」

「ペアストレッチ?」

「二人でやるやつ。一人じゃ伸ばせないとこ、私が伸ばしてあげる」

無人のストレッチエリアに、マットを敷く。照明が半分落とされて、薄暗い。

「はい、仰向けになって。脚、上げて」

言われるまま、仰向けになる。 沙耶が俺の足首を持って、ゆっくり脚を倒してくる。ハムストリングがぐーっと伸びた。

「いてて……」

「我慢して。息、止めないで。吐いて」

沙耶の体が、近い。 脚を押し込んでくるたびに、彼女の体が俺に覆いかぶさるような距離になる。 汗の匂いと、かすかに甘い香りが混ざって、鼻先をくすぐる。

「次、肩いくね。腕、上げて」

今度は、俺の背後に回って、腕を後ろに引いていく。沙耶の胸が、俺の背中に、当たった。

(……っ)

柔らかい感触が、はっきりと伝わってくる。ポロシャツ越しでも分かる、確かなふくらみ。 沙耶も、気づいたはずだった。でも、二人とも、何も言わなかった。

「……はい、反対の腕」

沙耶の声が、さっきより、小さくなっていた。 腕を入れ替える。そのとき、俺たちの顔が、すぐ近くで交差した。

息がかかるくらいの距離。沙耶の瞳が、揺れている。 俺を見て、すぐに逸らして、また見て。 呼吸が、止まった。どちらからともなく、だった。

ちゅ。

唇が、触れた。

「……っ」

軽く触れて、離れる。沙耶が、目を見開いて俺を見た。

「……ごめん。我慢、できなかった」

「……ずるいよ、そういうの」

そう言って、沙耶のほうから、もう一度、唇を重ねてきた。

ちゅっ……ちゅ……

「ん……♡」

薄暗いストレッチエリアで、俺たちは何度もキスを交わした。最初は触れるだけだったのが、だんだん深くなっていく。

ちゅぷ……れろ……ちゅるっ……

「は……っ、ん……♡」

舌が絡む。沙耶の舌は、思っていたより積極的だった。 俺の首に腕を回して、ぎゅっと引き寄せてくる。鍛えられた腕の力が、思いのほか強い。 離れると、二人の唇の間に、透明な糸が引いた。

「……ここじゃ、まずいよね」

「……うん」

「私のマンション、すぐ近くなんだ。……来る?」

その声は、トレーナーの声じゃなかった。昔みたいに小さくて、でも、はっきりとした、女の声だった。

「……行く」

沙耶のマンションは、ジムから歩いて5分のところにあった。 1LDK。観葉植物がいくつかと、壁にトレーニング器具のラック。 生活感はあるのに、きちんと片付いた部屋だった。

「シャワー、浴びたいよね。私も汗かいたし」

「……一緒に、入る?」

「えっち♡」

そう言いながら、沙耶は俺の手を引いた。 シャワーを浴びて、バスローブを羽織って出てきた沙耶は、息を呑むほど綺麗だった。 濡れた髪。火照った肌。バスローブの隙間から覗く、引き締まった鎖骨と胸の谷間。

「……マジで、綺麗になったな」

「……っ、急に言わないでよ」

頬を赤くして俯く。その仕草が、ほんの一瞬、昔の沙耶に戻った。ベッドに、二人で座る。スプリングが、きしっと鳴った。

「あのね、蓮くん」

「ん?」

「今日は……私に、任せてくれる?」

「え?」

「昔は、私、何もできなくて。されるがままだったでしょ」

沙耶が、俺の肩を押した。鍛えられた腕で、俺はそのままベッドに押し倒される。

「……今は、ちゃんと、自分からできるよ」

見下ろしてくる沙耶の顔は、ぞくっとするほど色っぽかった。 立場が、完全に逆転していた。 沙耶が、バスローブの紐をしゅるりと解いた。

ぷるんっ。

現れた胸に、思わず声が出た。お椀型の、形のいい胸。 引き締まった体に、そこだけ柔らかく実っている。 淡いピンクの乳首が、つんと上を向いていた。

「……すげえ」

「見すぎ♡」

そう言いながらも、沙耶は隠さなかった。むしろ、堂々と、俺の上に跨ってくる。 沙耶が、俺のTシャツをめくり上げた。

「ちゃんと、続けてくれたんだね。胸板、最初より厚くなってる」

そう言って、俺の胸に手を這わせる。指先で、鍛えた筋肉の輪郭をなぞっていく。

「お前の、おかげな」

「……ふふ。嬉しいこと言うじゃん」

沙耶が、俺の胸に唇を落とした。

ちゅっ……ちゅ……

鎖骨から、胸の中心へ。首筋を、舌でつーっと舐め上げてくる。

「……っ」

「気持ちいい?♡」

「……ああ」

「もっと、気持ちよくしてあげる」

沙耶の手が、俺の下半身へ降りていく。 ハーフパンツ越しに、もうはっきりと膨らんでいるそこを、すっと撫でた。 さわっ……すりっ……

「く……っ」

「もう、こんなに……♡ 昔より、余裕なくなったね」

「お前が、エロすぎるんだよ」

「ふふ。脱がすね」

沙耶が、パンツのゴムに指をかけて、ゆっくり下ろした。

ぶるんっ。

弾けるように飛び出したそれを見て、沙耶が目を細めた。

「……すごい。こんなだったっけ」

ひんやりした指が、根元を包む。熱い肌に触れた瞬間、ぞくっと背筋が震えた。 しゅっ……しゅっ……

ゆっくりとしごかれる。沙耶は俺の反応を見ながら、緩急をつけてきた。

「先っぽ、もう濡れてる……♡」

「……っ、沙耶」

「ね。……舐めても、いい?」

返事を待たずに、沙耶は俺の脚の間に体を伏せた。引き締まった背中が、なだらかに反って、丸いお尻が突き出される。

ちゅっ。先端に、軽くキス。

ちろ……ちろちろ……

舌先で、カリの裏を丁寧になぞってくる。昔の沙耶からは想像もできない、慣れた動きだった。 いや——慣れているというより、俺を気持ちよくすることに、必死だった。

「……っ、それ、やば……」

「ん……♡」

ちゅぷ……じゅぽっ……

そして、ゆっくりと、咥え込んでいく。温かい口の中に、すっぽりと包まれた。

じゅぷ……ちゅぷ……じゅるっ……

「んっ……♡ ちゅぷっ……♡」

潤んだ瞳が、上目遣いで俺を見上げてくる。 あの綺麗な沙耶が、俺のモノを咥えて、見上げている。 その光景だけで、おかしくなりそうだった。

「沙耶、それ……気持ちよすぎる」

「ふふっ……ぷはっ。じゃあ、もっと♡」

頬を窄めて、吸い上げてくる。舌を裏筋に這わせながら、頭を上下に動かす。

じゅぼっ♡ じゅぼっ♡ じゅぷぷっ♡

「く……っ、待て、それ以上は……」

「ん……ぷはっ♡ だめ、まだ出さないで」

ちゅぽん、と唇を抜いて、沙耶は唾液の糸を引きながら微笑んだ。

「……今日は、私が、上で動きたいの」

そう言って、沙耶はバスローブを完全に脱ぎ捨てた。 引き締まったウエスト。無駄のない太もも。それでいて、胸とお尻は柔らかく実っている。 鍛え抜かれた、女神みたいな体だった。

「……完璧かよ」

「もう……♡ 恥ずかしいこと言わないで」

沙耶が、俺の腰の上に跨る。内ももが、しっとりと濡れているのが、太ももに触れて分かった。

「私も……さっきから、ずっと、こうなってたの」

自分で先端を、入り口に当てる。くちゅっ、と音がした。

「沙耶……」

「いくよ……♡」

ずぷっ……ずぷぷっ……

「あぁっ……♡♡」

ゆっくりと、腰を落としていく。 熱くて、きつくて、それでいてとろとろに濡れた内壁が、俺を包み込んでいく。 ずぷん……♡

「ん……っ、全部、入った……♡♡」

根元まで沈み込ませて、沙耶が体を震わせた。胸が、ぷるんと揺れる。

「……っ、すげえ、締まる」

「蓮くんの……奥まで、来てる……♡」

沙耶が、両手を俺の胸について、ゆっくりと腰を動かし始めた。

ぐちゅっ……ぐちゅっ……

「あっ……♡ ん……っ♡」

最初はゆっくり。だんだんとリズムをつけて。 鍛えられた下半身は、ぶれずに、しっかりと俺を擦り上げてくる。 ぱんっ♡ ぱんっ♡

「あんっ♡ あっ♡ 奥に……当たるぅ……♡♡」

揺れる胸。くねる腰。上から見下ろしてくる沙耶の表情は、恍惚として、汗で艶めいていた。

「沙耶……エロすぎる」

「蓮くんのために……動いてるの♡ ちゃんと見て……♡」

ぱんぱんぱんっ♡♡

腰を打ちつけるたびに、ぐちゅぐちゅと音がする。俺は、揺れる胸に手を伸ばした。

むにゅっ。

「ひゃぁっ♡♡ 胸……っ♡」

柔らかい。引き締まった体に、そこだけが甘く溶けるみたいだった。指が沈んで、離すとぷるんと戻る。

「ここ、感じる?」

「感じるっ……♡♡ 乳首、つままないでぇ……♡」

くりっ、と乳首を転がすと、沙耶の腰の動きが大きく跳ねた。

「あぁっ♡♡ だめっ♡ それされると、勝手に動いちゃうっ♡♡」

ぐちゅぐちゅぐちゅっ♡♡♡

下からも、腰を突き上げる。 ずぷんっ♡♡

「ひあぁっ♡♡♡ 下からもっ……♡♡ お腹の奥、ぐりぐりされてるぅ……♡♡♡」

「沙耶の中、めちゃくちゃ気持ちいい……」

「ほんと……?♡ 嬉しいっ……♡♡」

汗が、沙耶の体を伝って落ちる。鍛えた腹筋に、薄く汗が光って——その光景が、たまらなくエロかった。

「沙耶、ちょっと俺、限界かも」

「待って……♡ もうちょっとっ……一緒に……♡♡」

俺は体を起こして、沙耶を抱き寄せた。 対面座位の形になって、二人の体が、ぴったりと密着する。汗ばんだ肌と肌が、吸い付くようにくっつく。

「あっ♡♡ 近いっ……♡ 蓮くんの、心臓の音、聞こえる……♡」

「沙耶、俺——」

「言わないで……♡ まだ、言わないで……♡」

きっと、お互い、同じ言葉を飲み込んでいた。 俺は、その代わりに、思いきり腰を突き上げた。

ずちゅっ♡ ぱんっ♡ ぐちゅっ♡

「あっ♡あっ♡あっ♡♡ イクっ……♡♡ 蓮くん、私、イっちゃうっ♡♡♡」

「俺も……もう……っ」

「中は、だめっ……♡♡ 外に……っ、外にちょうだいっ♡♡♡」

ぱんぱんぱんっ♡♡♡

「あぁぁっ♡♡♡♡ イクっ♡ イクイクっ♡♡♡♡」

びくんびくんっ♡♡♡

沙耶の中が、ぎゅうっと締まった瞬間。俺は、ぎりぎりで引き抜いた。 どくっ……どくどくっ……

「く……っ」

沙耶の引き締まった腹に、白いものが飛び散る。

「はぁっ……♡♡ はぁっ……♡ すごかった……♡♡」

沙耶が、俺の肩に、ぐったりともたれかかってきた。荒い息が、首筋にかかる。 しばらく、二人で抱き合ったまま、呼吸を整えていた。やがて、沙耶が顔を上げて、いたずらっぽく笑った。

「……ねぇ。まだ、元気だよね?♡」

視線を落とすと、確かに、まだ全然萎えていなかった。

「今度は……蓮くんが、して?♡」

そう言って、沙耶はベッドに仰向けになり、両腕を広げた。

「いいのか? さっきまで、お前が主導権握ってたのに」

「……今だけ。今だけ、昔みたいに、蓮くんに、めちゃくちゃにされたい♡」

その言葉に、頭の芯が痺れた。 沙耶の脚の間に、体を割り込ませる。 さっきの愛液で、とろとろになった入り口に、先端を当てた。

「いくぞ、沙耶」

「うん……♡ いっぱい、して……♡」

ずぷんっ♡♡

「あぁぁっ♡♡♡」

正常位で、一気に奥まで貫く。さっきとは角度が違って、沙耶の体がびくんと跳ねた。

ぱんっ♡ ぱんっ♡

「あっ♡ あっ♡ この角度っ……♡♡ 深いぃ……♡♡♡」

沙耶の脚が、俺の腰に絡みついてくる。鍛えられた脚の力で、ぐっと引き寄せられた。

「沙耶、脚、強……」

「だってっ……♡ もっと、奥まで欲しいのっ♡♡」

ぱんぱんぱんっ♡♡♡

腰を叩きつけると、ぱちんっと弾力のある音が響く。沙耶の胸が、突くたびに揺れる。

「あぁっ♡♡ そこっ♡ そこ、やばいっ♡♡♡」

「ここ?」

ぐちゅっ♡♡

奥の一点を突くと、沙耶が大きく仰け反った。

「ひあぁっ♡♡♡ そこぉっ♡♡ おかしくなるっ♡♡♡」

俺は、その一点を集中的に攻めた。

ぱんっ♡ ずちゅっ♡ ぱんっ♡♡

「あっ♡あっ♡あっ♡♡ だめっ♡ そこばっかりっ♡♡ 壊れちゃうっ♡♡♡」

汗だくの体を、密着させる。沙耶の引き締まった腹筋が、突くたびにぴくぴく震えていた。

「沙耶……」

「蓮くんっ……♡♡」

そして、沙耶が、潤んだ目で、まっすぐ俺を見た。

「好きっ……♡♡♡」

腰を動かしたまま、俺は息を呑んだ。

「ずっと、好きだったっ……♡♡♡ 別れても、変わっても、ずっとっ……♡♡♡♡」

涙を浮かべながらの、告白だった。 あの夜、置き場所のなかった気持ちが、今、溢れ出していた。 俺は、腰を止めずに、沙耶にキスをした。

ちゅっ……ちゅぷ……

「俺もだ。沙耶のこと、もう一度、ちゃんと好きになった」

「っ……♡♡♡」

沙耶の目から、ぼろぼろと涙がこぼれた。

ぱんぱんぱんぱんっ♡♡♡♡

「すきっ♡♡♡♡ すきぃっ♡♡♡♡♡」

ぐちゅぐちゅぐちゅっ♡♡♡

沙耶の中が、痙攣し始めた。不規則にうねりながら、俺を締め上げてくる。

「また、イきそうっ♡♡♡ 今度は、一緒にっ……♡♡♡♡」

「沙耶、俺、もう……っ」

「中は、だめだけどっ……♡♡ でも、ぎりぎりまで、奥でっ……♡♡♡」

腰を密着させて、最奥をぐりぐりと押し回す。

「そこぉっ♡♡♡♡ 一番奥っ♡♡♡♡♡」

最後の一突き。 ずぷんっっっ♡♡♡

「——————っっっ♡♡♡♡♡♡」

びくんびくんびくんっ♡♡♡♡

沙耶が達した瞬間、俺は引き抜いた。 どくっ……どくどくっ……どくどくどくっ……

引き締まった腹と胸に、二度目の白いものが飛び散る。

「く……っ、はぁ……っ」

「はぁっ……♡♡ はぁっ……♡ すごい……いっぱい……♡♡」

沙耶が、力いっぱい俺を抱きしめてきた。脚も、まだ腰に絡みついたままだった。

「……離れないで。もうちょっと、このまま♡」

「ああ。離れないよ」

額に、キスをした。汗ばんだ前髪を、指でそっと払う。 しばらく、二人で抱き合ったまま、動けなかった。 窓の外は、まだ深夜の闇に包まれていた。

「……ねぇ、蓮くん」

「ん?」

「さっきの『もう一度好きになった』って、本気?」

「当たり前だろ。今さら取り消すわけない」

沙耶が、俺の胸に顔を埋めて、小さく笑った。 その笑い方は、昔の、口元を隠す笑い方に、少しだけ似ていた。 そのまま、二人で微睡んだ。

目が覚めると、窓の外がうっすら白んでいた。 カーテンの隙間から、青い朝の光が差し込んでいる。

「蓮くん、起きてる?」

「……ん、起きてる」

「ねぇ、走りに行かない?」

「は? 今から?」

「朝ラン。河川敷、すぐそこなの。気持ちいいよ」

トレーナーの顔に戻った沙耶は、もうジャージに着替えていた。 俺は、借り物のジャージを着て、二人で外に出た。 2月の早朝は、刺すように冷たかった。でも、走り出すと、すぐに体が温まってくる。 河川敷を、並んで走る。朝日が、川面に反射して、きらきらと光っていた。

「お前、ほんと、走るの速くなったな」

「ふふ。三年間、毎朝走ってるからね」

「昔は、体育の授業でいつも歩いてたのに」

「言わないでよ、それ」

笑いながら、沙耶が少しペースを上げる。俺も合わせて、横に並ぶ。 息が、白く流れていく。 並んで走るリズムが、だんだん、揃っていった。

「沙耶」

「ん?」

「俺たち、これからどうなる?」

沙耶が、走るのを少し緩めた。そして、立ち止まって、俺を見た。 朝日を背に受けた沙耶は、眩しいくらいに綺麗だった。引き締まった体。まっすぐな背筋。 昔、俯いてばかりだった彼女は、もう、どこにもいなかった。

「……あのね、蓮くん」

その声は、トレーナーの声でも、昔の小さな声でもなかった。今の沙耶の、強くて、優しい声だった。

「昔は、蓮くんが私を選んでくれた。そして、私を捨てた」

「……うん」

「だから——今度は、私が選ぶ番」

沙耶が、一歩、俺に近づいた。

「私、強くなったよ。もう、振られるのが怖くて俯いてた女の子じゃない。今の私は、自分で、自分の相手を選べる」

「……」

「だから、ちゃんと、私が選んで言うね」

沙耶が、まっすぐ俺の目を見て、にっこり笑った。

「……合格だよ、蓮くん」

その言葉に、俺は、思わず噴き出した。

「合格って……トレーナーかよ」

「そうだよ。私、人を選ぶ目だけは、厳しいんだから」

「……じゃあ、付き合ってくれるってことでいいのか?」

「うん。今度は、対等にね」

「対等に」

「私が引っ張るときもあれば、蓮くんが引っ張るときもある。そういう感じ」

俺は、沙耶の手を取った。細いけど、力強い手だった。

「……分かった。俺、もう二度と、お前を手放さない」

「ふふ。手放したら、許さないから」

そう言って、沙耶のほうから、唇を重ねてきた。

ちゅっ。

朝日の中で、白い息が混ざり合う。 離れると、沙耶が、いたずらっぽく笑った。

「じゃ、続き。あと2キロ、走るよ」

「えっ、まだ走るの?」

「当たり前でしょ。彼氏が運動不足なの、トレーナーとして許せないし」

「鬼かよ、ほんと……」

「鬼じゃないと、人は変われないの」

そう言って、沙耶は先に走り出した。 その背中を追いかけながら、俺は思った。あの夜、深夜のジムで、潰れて本当によかった。

立場が逆転して、選ばれる側になって。それでも、こうして、もう一度、彼女の隣を走れている。 人生、何が起こるか分からない。 俺が手放した彼女は、別人みたいに綺麗になって、強くなって。 そして今度は、自分の意思で、俺を選んでくれた。

朝の河川敷を、二人で並んで走る。息が、揃っていく。

「蓮くん、置いてくよー!」

「待てって!」

笑いながら、俺は彼女を追いかけた。 今度こそ、隣を、離さないように。

― 終 ―


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