一人旅で泊まった温泉旅館の仲居さんが同い年の美人だった話

2026.06.12NEW

29分で読了

十一月の山道を、バスがゆっくり登っていく。俺、須藤和真(すどう かずま)は、二十七歳。市役所勤めの、しがない公務員だ。窓の外は燃えるような紅葉だった。赤と黄が斜面いっぱいに広がって、谷の底を細い川が光っている。

「……すげぇな」

思わず声が漏れた。ここ半年、ろくに窓の外なんか見ていなかった。年度末から続いた繁忙期、住民対応、上司の尻拭い。気づいたら、心の電池が空っぽになっていた。三連休に有給をくっつけて、四泊五日。誰にも言わずに取った、人生で初めての一人旅だ。

(燃え尽きたって、こういうことを言うんだろうな)

行き先は適当に選んだ。山あいの、ガイドブックの隅に小さく載っていた老舗の温泉旅館。「静養」という二文字に惹かれた。それだけだった。

終点でバスを降りると、空気が冷たく澄んでいた。硫黄のにおいがかすかに混じる。温泉街は思ったより小さくて、川沿いに古い旅館と土産物屋が並んでいる。湯気があちこちから立ちのぼっていた。坂を少し登ったところに、目的の旅館はあった。黒い瓦屋根、磨き込まれた格子戸、暖簾。築百年は超えていそうな、堂々とした構えだ。

「ごめんください」

引き戸を開けると、ひやりとした玄関の土間に、ふわりと畳と線香のにおいが立っていた。

「いらっしゃいませ。お待ちしておりました」

奥から現れたのは、着物姿の女性だった。紺地に細かな菊の柄の着物。きっちり結われた帯。背筋がすっと伸びていて、所作が静かで美しい。そして顔を上げた瞬間、俺は固まった。

ほっそりとした卵型の輪郭。切れ長で涼しげな目元。すっと通った鼻筋。淡い色の唇。化粧は控えめなのに、肌が白くて、思わず見入ってしまうくらい綺麗だった。

(め……めちゃくちゃ美人じゃないか)

慌てて視線を下げる。

「須藤和真さまでいらっしゃいますね。本日からお世話になります、仲居の美山と申します」

三つ指をついて、深々と頭を下げる。その姿があまりに完璧で、俺はかえって居心地が悪くなった。

「あ、はい。よろしく……お願いします」

声が裏返った。彼女が顔を上げて、少しだけ目元をやわらげた。

「お部屋にご案内いたしますね。お足元、段差にお気をつけください」

長い廊下を歩く。古い木の床がきしむ音、磨かれた手すり。案内されたのは、本館から渡り廊下でつながった「離れ」の一室だった。

「こちらが今夜からのお部屋でございます。十畳のお座敷と、檜の内風呂がついております。長くご逗留いただけるお客様には、離れを。静かでよろしいかと」

障子を開けると、窓いっぱいに紅葉の谷が広がっていた。

「……すごい」

「ふふ。皆さん、そうおっしゃいます」

彼女が初めて、職業的じゃない笑い方をした気がした。お茶を淹れてくれる手つきが綺麗だ。湯気の向こうの横顔を、つい目で追ってしまう。

「美山さん、って……失礼ですけど、おいくつですか」

訊いてから、しまった、と思った。初対面の客が訊くことじゃない。ところが彼女は、湯呑みを置きながら、いたずらっぽく口の端を上げた。

「あら。女に歳をお尋ねになるんですか、お客様」

「す、すみません。なんか、その……話しやすそうな方だなと思って」

「ふふっ。二十七です」

「えっ、同い年だ。俺も二十七で」

「まあ。それは奇遇ですね」

笑うと、さっきまでの「完璧な仲居」の顔が一瞬ほどけて、年相応の柔らかさが覗いた。それがやけに、可愛く見えた。

「私、美山雫と申します。雫、と。よろしければそうお呼びください、和真さま」

「……雫さん」

口に出すと、なんだか急に距離が近づいた気がした。

「お夕食は十八時半に、こちらへお運びいたします。それまで、ごゆっくり」

軽く一礼して、雫さんは部屋を出ていった。障子が閉まる音、残ったお茶の香り。俺は窓辺に座って、燃えるような谷を眺めた。久しぶりに、心がすこし軽くなっていた。夕方、温泉に浸かった。檜の内風呂は、肩までつかると、たまった疲れがじわじわ溶けていく。

「……はぁ」

ため息が、自然と出た。十八時半きっかりに、廊下から声がした。

「失礼いたします。お夕食をお運びいたしました」

襖が開いて、雫さんがお膳を運んでくる。着物の袖をたくし上げ、慣れた手つきで料理を並べていく。地の野菜の炊き合わせ、川魚の塩焼き、湯葉の刺身、土鍋のきのこご飯。どれも湯気が立っていて、うまそうだ。

「こちら、地のお酒です。よろしければ」

徳利からとくとくと注いでくれる。一口飲んで、川魚の塩焼きをほおばった。

「いただきます。……うわ、うまい」

「ふふ。よかったです」

雫さんは、すぐには下がらず、給仕の合間にぽつぽつと言葉を交わした。

「雫さんは、ここに長いんですか」

「ここの女将が、私の伯母なんです。子供の頃から手伝いに来ていて。大学は東京で、卒業して少し別の仕事をして……それから、戻ってきました」

「戻ってきた、ってことは」

「いずれ、ここを継ぐかもしれない、という話で。……まだ、決められずにいるんですけど。……あら、お客様にする話じゃありませんでした。ごめんなさい」

ふっと、その横顔に影が差して、すぐに彼女は完璧な仲居の笑顔を作り直した。

「いや。聞かせてください。俺、人の話を聞くのは得意なんで、仕事柄。市役所の職員なんです。……正直に言うと、今回は燃え尽きて逃げてきたんです、ここに」

言ってから、自分でも驚いた。会ったばかりの人に、こんなこと。雫さんは、責めるでもなく、ただ静かにうなずいた。

「……わかります。私も、逃げるみたいに、東京から帰ってきたので」

二人の目が、一瞬合った。似たもの同士のような気配が、確かにあった。やがて雫さんは「ふふ、いけない、長居しすぎました」と笑って、膳の蓋を片づけ、部屋を出ていった。一人になった部屋で、俺は熱燗をもう一口飲んだ。胸の奥が、ほんのり温かかった。それが酒のせいだけじゃないことは、自分でもわかっていた。食後、少し外の空気を吸いたくなって、俺は丹前を羽織って部屋を出た。中庭を抜けて本館の大浴場の方へ行こうとしたのが、間違いだった。渡り廊下が枝分かれしていて、どっちが本館だったか、まるでわからない。灯籠のぼんやりした明かりだけが、点々と続いている。

「……うわ、迷った」

古い旅館は、増築を繰り返したせいか、迷路みたいだった。うろうろしていると、向こうから足音がした。

「あら。和真さま?」

雫さんだった。もう仕事は上がったのか、着物の上に薄い羽織を重ねている。

「あ、雫さん。すみません、完全に迷子で」

「ふふっ。よくいらっしゃるんですよ、迷子のお客様。お部屋まで、お送りします。こちらです」

口元に手を当ててくすくす笑うその笑い方が、給仕の時よりずっと無防備で、思わず見とれた。灯籠の道を、二人で並んで歩く。夜の中庭は、昼間とまったく違う表情をしていた。苔むした石、ライトアップされた紅葉、池に映る月。

「……綺麗ですね、ここ」

「夜の中庭、好きなんです。お客様が寝静まった後に、よく一人で眺めてて。……ここにいると、いろいろ考えちゃうんですけど。考えるのに、ちょうどいい場所で」

少し先を歩く彼女の背中が、いつもより小さく見えた。立ち止まった彼女が、池のほとりの古い灯籠を指さした。

「あれ、私が子供の頃に、伯母とお揃いで願い事を彫ったんです。ほら、隅に小さく」

灯籠の足元に、たどたどしい文字で「しずく」と彫ってある。

「……可愛い」

「やだ、子供の落書きですよ。恥ずかしい」

ぱたぱたと顔の前で手を振る。その仕草で「完璧な仲居」の仮面が、また少しほどけた。俺は、この人のこういう顔が、もっと見たいと思った。

「さ、お部屋はこちらです。もう迷わないでくださいね、ふふ。おやすみなさいませ、和真さま。よい夢を」

障子が閉まる。俺は布団に寝転がって、天井を眺めながら、ぼんやり思った。

(……明日も、会えるかな)

そんなことを考えている自分に気づいて、ひとりで苦笑した。翌日。朝風呂に入って、朝食を済ませた。給仕は別の年配の仲居さんで、少しだけ拍子抜けした。

「……今日、雫さん、見ないな」

昼前、俺は手持ち無沙汰になって、温泉街へ出てみることにした。紅葉のピークだけあって、川沿いの遊歩道はそこそこ賑わっている。足湯に浸かる観光客、団子をほおばる家族連れ、写真を撮るカップル。俺は一人で、ぶらぶらと土産物屋を冷やかして歩いた。橋のたもとの団子屋の前を通りかかった時だった。

「あれ……和真さま?」

聞き覚えのある声に振り向くと──息が止まった。そこにいたのは、雫さんだった。でも、いつもの着物姿じゃない。オフホワイトのニットに、デニムのロングスカート。ベージュのコートを羽織っている。そして、いつもきっちり結われている髪が──ほどかれていた。ゆるく波打つ黒髪が、肩から胸元へ流れている。別人みたいだった。いや、別人じゃない。間違いなく雫さんだ。でも、破壊力が桁違いだった。思わず名前を呼ぶと、雫さんはにっこり笑った。

「ふふ、びっくりしました? 今日、私お休みなんです」

団子を片手に、にっこり笑う。その笑顔が、仕事中の楚々とした微笑とまるで違う。屈託のない、子供みたいな笑顔だった。

「髪、おろしてるんですね。その、すごく……似合ってます」

「あ。これ? 仕事じゃないと、いつもこうで。……もう。朝から、そんな」

つい口走った言葉に、雫さんはきょとんとした後、ふわっと頬を染めた。団子をもぐもぐしながら、目をそらす。その仕草が、また可愛かった。

「お休みの日は、だいたいこうやって町をうろうろしてて。和真さまは?」

「俺も、暇を持て余して。一人だから、何していいかわからなくて」

「あの。もしよろしければ、ですけど。せっかくなので、私が町をご案内しましょうか。お休みですし、地元なので。……なんて。本当は、私が一緒に歩きたいだけかも」

そう言って、ぺろっと舌を出す。その瞬間、俺はもう、この人に完全に持っていかれていた。

「じゃあ、お願いします、ガイドさん」

「はい。任せてください♡」

雫さんの案内する町歩きは、ガイドブックには載っていない場所ばかりだった。最初に連れて行かれたのは、川沿いの古い酒蔵だ。

「ここ、この温泉街で一番古い酒蔵なんです。私の同級生のお家で。あ、試飲できますよ」

ひんやりした蔵の中で、利き酒のおちょこを傾けた。

「……うまい。すっきりしてる」

「でしょう? 私、このお酒、大好きで。お客様にもよくおすすめするんです」

利き酒で少し頬を赤くした雫さんが、また綺麗だった。次に向かったのは団子屋。焼きたてを二本買って、川を見ながら並んで食べる。

「ここのみたらし、絶対食べてほしくて」

「……これ、めちゃくちゃうまい」

「ね? 私、子供の頃から、これ食べに来てたんです」

口の端に、たれをちょっとつけている雫さんに、思わず笑ってしまった。

「雫さん、ここ。たれ、ついてる。……いや、反対」

「もう! 早く言ってくださいよ♡」

ぷくっと頬を膨らませる。その顔が、もう完全に「仲居の雫さん」じゃなくて、ただの可愛い同い年の女の子だった。最後に、二人で足湯に並んで座る。川のせせらぎと、紅葉と、足元から立ちのぼる湯気。

「……はぁ。気持ちいい」

「足湯、いいでしょう? 私、悩んだ時はいつもここに来るんです」

ズボンの裾をまくり、隣に座った雫さんの素足が、湯の中で揺れている。しばらく、二人で黙って湯気を眺めていた。不思議と、沈黙が苦じゃなかった。先に口を開いたのは、雫さんだった。

「和真さま。昨日、おっしゃってましたよね。逃げてきた、って。……私も、同じなんです。東京で働いてて、でも、うまくいかなくて。逃げるみたいに、ここに帰ってきて」

足元の湯を、つま先でそっとかき混ぜる。

「伯母には、いずれここを継いでほしいって言われてて。私も、ここは好きなんです。子供の頃から、ずっと。でも……ここを継ぐって決めたら、もう一生、この谷から出られない気がして。私の人生、本当にこれでいいのかなって。……怖いんです、決めるのが」

ぽつり、ぽつりと、こぼれるように言葉が落ちていく。俺は、しばらく考えてから、口を開いた。

「……俺もね、ずっと、決められなかったんですよ。このまま、この仕事を続けていいのか。本当にやりたいことなのか。考える余裕もないまま、ただ流されて、気づいたら燃え尽きてた」

足湯の湯が、じんわり温かい。

「でも、ここに来て、雫さんと話して、思ったんです。一人で抱えて、勝手に怖がってただけなんだなって。……決めるの、怖いですよね。でも、雫さんはもう、答えを知ってる気がする。だって、ここのこと話す時の雫さん、すごくいい顔してるから」

雫さんが、はっと顔を上げた。その目が、ほんの少し潤んでいた。

「……ずるいです、そんなこと言うの」

「ごめん。市役所の窓口で、説教くさくなる癖が」

「ふふっ。ううん、嬉しいです、すごく」

涙をごまかすように笑って、彼女は湯の中で、そっと足を俺の足に寄せた。ぴと、と。素足の先が、触れる。

(……今のは、わざと、だよな?)

心臓が、うるさいくらいに鳴った。夕方、町歩きを終えて、二人で旅館への坂を上った。

「今日は、ありがとうございました。私、こんなに楽しかったの、久しぶりで」

「こっちこそ。最高のガイドでした」

旅館の暖簾が見えてくると、雫さんの足が、ふと止まった。

「……あの。ここから先は、仕事に戻るので」

振り返った彼女の顔から、すっと、さっきまでの無防備さが消えた。背筋が伸びて、表情が引き締まる。あの「完璧な仲居」の顔に、戻っていく。

「お客様。本日は、ごゆっくりお過ごしくださいませ」

丁寧な、よそ行きの敬語。でも、頭を下げて顔を上げた一瞬、彼女は俺だけにわかるように、ちょっとだけ目で笑った。

(……今のは、反則だろ)

二人だけの秘密みたいな、その視線に、俺は完全にやられていた。その夜から、雫さんと俺の間には、奇妙な共犯関係のようなものが生まれた。夕食の給仕に来る彼女は、完璧な仲居だった。丁寧で、隙がない。でも、別の仲居がいない一瞬、彼女はふっと素の顔に戻って、囁くように言った。

「……お酒、足湯のところのにしておきました。お好きそうだったので。ふふ、内緒ですよ」

「ありがとう。……気が利くガイドさんだ」

くすっと笑って、また仲居の顔に戻る。その切り替えの、ほんの一瞬の隙間に、二人だけの何かがあった。廊下ですれ違うたび、目だけで合図を交わす。それだけで、胸の奥が甘く疼いた。

そうして、あっという間に、最終夜が来てしまった。明日の朝には、チェックアウトして、この谷を出る。東京に──いや、現実に、戻る。

(……帰りたくないな)

部屋でひとり、俺は窓の外の月を眺めていた。満月に近い、大きな月だった。谷の紅葉を、青白く照らしている。夕食の時、雫さんとはろくに二人になれなかった。別の仲居が一緒だったからだ。最後の夜だっていうのに、ちゃんと話せていない。それが、やけに心残りだった。時刻は、夜の十時を回っていた。その時──障子の向こうから、かすかな足音と、控えめなノックがした。

「……和真さま。起きてらっしゃいますか」

声を、ひそめている。慌てて障子を開けると、そこに雫さんが立っていた。でも──着物じゃなかった。旅館の湯上がり用の浴衣に、薄い羽織。髪は、ほどかれていた。湯上がりなのか、毛先がしっとり濡れて、肩にかかっている。ほんのり上気した頬。石鹸の、いい匂い。

「し……雫さん」

「ふふ。さっき、お仕事上がったんです。お風呂もいただいて」

いたずらっぽく、唇に人差し指を当てる。

「……内緒ですよ。お客様のお部屋に、夜に来るなんて。バレたら、伯母に叱られちゃう。最後の夜なのに、ちゃんとお話できなかったから……どうしても、会いたくて。あの、少しだけ、外、出ませんか。月見台が、すぐそこにあるんです。今夜の月、すごく綺麗で」

俺は、迷わずうなずいた。雫さんに連れられて、離れの裏手の小さな月見台に出た。そこは、谷を見下ろす崖の上にあって、屋根のない縁台だけがぽつんと置かれている。頭上には、信じられないくらい大きな満月。谷一面の紅葉が、月の光で青白く浮かび上がっていた。

「……すげぇ」

「でしょう? ここ、お客様にはあまり教えない、私の秘密の場所なんです」

二人で、縁台に並んで座った。夜風が冷たくて、雫さんが小さく身震いした。俺は思わず、自分の羽織る丹前を、彼女の肩にかけた。

「……あ。ありがとうございます」

肩が触れる距離。湯上がりの彼女から、ほのかに温かい匂いがする。

「和真さま。今日、足湯で言ってくださったこと。私、ずっと考えてて。……決めようと思います。私、ここを継ごうって。和真さまのおかげです」

月明かりの中で、彼女が微笑んだ。その顔が、迷いのない、晴れやかな顔だった。

「……よかった。すごく、いい顔してる」

「ふふ。和真さまのほうこそ。来た時より、ずっといいお顔になりました。チェックインの時、すごく疲れたお顔をしてたから。……私、心配だったんです」

近い。距離が、近い。月の光に照らされた彼女の横顔が、あまりに綺麗で、俺はもう、自分を止められなかった。

「……雫さん。明日、帰ったら。……また、ここに来てもいいですか」

雫さんが、こちらを向いた。潤んだ瞳が、まっすぐ俺を見ている。

「……来てくれるんですか。本当に?」

「来ます。毎月でも。雫さんに、会いに」

その言葉に、彼女の目から、ぽろっと涙がこぼれた。

「……どうしよう。私、もう。お客様だと思えなくなってます」

「俺も。とっくに、仲居さんだなんて思ってない」

そっと、彼女の頬に手を添えた。濡れた髪が、指に触れる。雫さんが、ゆっくり目を閉じた。

──唇を、重ねた。

ちゅ……。柔らかくて、温かい。石鹸の香りと、ほのかな彼女の体温。軽く触れるだけのキスから、少しずつ深く。角度を変えて、もう一度。

「ん……♡」

唇のあわいから、甘い吐息が漏れた。舌先で、そっと唇をなぞる。雫さんの口が、おずおずと開いた。

ちゅる……んちゅ……。舌が、絡む。ぬるりとした熱と、わずかに残る酒の甘さ。

「ん……ふぁ……♡」

雫さんの手が、俺の胸元を、きゅっと掴んだ。ぷはっ、と離れると、唾液が細い糸を引いた。月明かりの下、彼女の瞳が、とろんと潤んでいる。

「……和真さま。ここ、寒いです♡」

「……部屋、行く?」

こくん、と。雫さんが、小さくうなずいた。二人で、こっそり離れの部屋に戻った。障子を閉めて振り返ると、雫さんが恥ずかしそうに俯いて、肩にかけた丹前を、ぎゅっと握っている。

「……雫さん」

「いやだ、なんだか、すごく緊張してます♡ お部屋まで来ちゃうなんて、私……」

「嫌だった?」

「……ううん。むしろ、こうしたかったんです。今日、ずっと♡」

その言葉に、俺はもう、我慢できなかった。彼女の体を引き寄せて、もう一度キスをする。

ちゅ……んちゅ……ちゅる……♡

「ん……ふぁ……和真さま……♡」

抱きしめると、浴衣越しに柔らかい体の感触が伝わってくる。湯上がりの体は、ほんのり熱を帯びていた。キスを続けながら、雫さんの羽織を、そっと肩から落とす。浴衣の合わせに、指をかけた。

「……いい?」

「……はい♡ 和真さまの、好きにして……♡」

帯をほどくと、しゅるりと衣擦れの音がして、浴衣の前がはらりと開いた。白い肌が、月明かりに照らされて、ぼんやり光る。着物の下に隠れていた体は、想像以上に女らしかった。細い首筋、なだらかな肩、そして──ふくよかな胸の膨らみ。淡い水色の下着が、白い肌に映えている。

「……綺麗だ」

「やっ……♡ そんな、まじまじと見ないでください♡」

腕で隠そうとするのを、やさしく掴んで、どけた。首筋に唇を落とす。鎖骨を、肩を、ゆっくり辿っていく。

「ん……っ♡」

背中に手を回して、下着のホックを探る。カチッ。緩んだ下着を、ゆっくり外した。ぷるん、と。たわわな胸が、こぼれるように現れた。白い肌に、淡いピンクの先端。形がよくて、張りがあって、月光に照らされて、たまらなく艶っぽい。

「……雫さん、すごい」

「いや……♡ 恥ずかしいです、そんなに見られたら……♡」

そっと、両手で包み込んだ。むにゅ……。

「あっ……♡」

手のひらに吸い付くような、柔らかさ。指を沈めると、むにむにと形を変えて、こぼれる。

「柔らかい……」

「ん……っ♡ そんな、揉まないで……♡」

親指で、淡い色の先端を、くりっと転がした。

「ひゃっ……♡♡」

びくん、と体が跳ねた。先端は、もう小さく硬くなって、指先にこりこりと伝わってくる。

くりくり……くりくり……。

「あっ……♡ あぁ……和真さまっ……♡♡」

唇を、先端に落とした。ちゅう……。

「ひぅっ……♡♡♡」

舌先でころころと転がしながら、もう片方の胸を揉みしだく。

ちゅるるっ……れろ……ちゅう……♡♡

「やっ……あっ……♡♡ そんなに吸ったら……変な声、出ちゃう……♡♡」

完璧な仲居の敬語が、快感に溶けて崩れていく。その様子が、たまらなく興奮した。左右の胸を、交互に、たっぷり可愛がる。雫さんの肌が、うっすら汗ばんで、しっとりしてきた。

「下も……いい?」

「……はい♡ 来てください……♡」

仰向けに横たえて、最後の一枚に、指をかけた。水色のショーツの中央は、もう、しっとりと濡れて、色が変わっている。ショーツの上から、そっと指でなぞった。

くちゅ……。

「ひっ……♡♡」

びくん、と腰が跳ねる。

「……すごい。もう、こんなに」

「だって……♡ さっきの、キスから、ずっと……♡♡」

恥ずかしそうに、顔を腕で隠す。ショーツに指をかけて、ゆっくりずり下ろした。とろり、と蜜が糸を引いて切れる。薄く整えられた茂みの下に、ピンク色の花びら。透明な蜜が、とろとろと溢れていた。

「……綺麗だ」

「やぁ……♡ 見ないでください……恥ずかしくて、死んじゃう……♡♡」

雫さんの膝を、そっと押し開いた。太ももの内側に、唇を這わせながら、ゆっくり中心へ近づいていく。舌先で、花びらに、そっと触れた。ちろ……。

「んあっ……!♡♡」

腰が、びくんと跳ねた。

ちゅる……れろ……ちゅっ……♡

「あぁっ……♡♡ やっ……そんなとこ……♡♡」

舌先で蜜を絡め取りながら、上の方にある小さな突起を探す。見つけて、舌先を、そっと当てた。

「ひぅっ……♡♡♡ そこ……だめっ……♡♡」

こりこり……ちゅっ……れろ……♡♡

「あっ、あっ、あっ……♡♡♡ 和真さま、それ……♡♡♡」

太ももを押さえて開かせながら、突起を唇で挟んで、ちゅうっと吸い上げた。

「──っ♡♡♡! やっ……来ちゃう……♡♡♡ そんなにしたら……っ♡♡♡」

雫さんの手が、俺の髪を、ぐしゃぐしゃに掴んでくる。舌を、集中させた。ちゅっ、ちゅっ、れろれろ……♡♡♡

「だめっ……だめですっ……♡♡♡ イッ……イっちゃ……♡♡♡♡」

びくんっ、と。雫さんの背中が、弓なりに反った。

「あぁぁっ……♡♡♡♡! んんんっ……♡♡♡」

全身が、びくびくと震えて、それからゆっくり、力が抜けていく。

「はぁ……はぁ……♡♡ ……どうしよう。私、お客様の前で、こんな……♡」

潤んだ瞳が、とろんと俺を見上げる。その「お客様」という言葉さえ、今はやけに艶めかしかった。雫さんが、ゆっくり体を起こした。まだ余韻で震えているのに、頬を赤くして、囁いた。

「……今度は、私が。和真さまにも、気持ちよくなってほしいです♡」

俺の前に膝をついて、浴衣の帯に手を伸ばす。下着を下ろすと──限界まで張り詰めたものが、ぼるんと跳ね上がった。雫さんが、息を呑む。

「……おっきい♡♡ こんなの……入るのかな……♡」

細い指が、そっと幹に触れた。ゆっくり、上下に動く。しゅっ……しゅっ……。

「……お口で、しても、いいですか♡」

上目遣いで、おずおずと尋ねてくる。その表情が、艶っぽすぎて、言葉にならなかった。俺がうなずくと、雫さんは、ちゅ、と先端にキスをした。ぺろ、と舌先で舐めて──ぱくり、と口に含む。

ずぷ……。温かくて、濡れた口の中。先端が、すっぽりと包まれる。

「ん……じゅる……♡ んちゅる……♡」

ゆっくり頭を上下させる。ほどけた黒髪が、さらさらと揺れる。上目遣いの、潤んだ瞳。月明かりの差す部屋で、フェラする雫さん。あまりに艶っぽくて、現実とは思えなかった。

「じゅるるっ……♡ ちゅぷ……♡ ……和真さまの、味……♡」

舌が、裏筋を這う。頬をすぼめて、吸い上げる。

「……やばい。雫さん、上手すぎる」

「んふ♡ ……もっと、しますね♡」

ずぷっ……ずぷっ……。深く咥えるたびに、喉の奥に触れて、全身に電流が走る。

「ちょ……止まって。イっちゃう……」

ぷはっ。ゆっくり口を離すと、唾液が、つうっと糸を引いた。

「ふふ。……だめですよ、まだ♡ 私の中で、感じてほしいから♡」

いたずらっぽく笑う雫さんを、布団に引き上げた。念のため、と用意していた財布から避妊具を取り出す。

「……あら。ご用意がいいんですね、お客様♡」

「いや、これは……一応、その」

「ふふっ。冗談です♡ ……つけて、ください♡」

手早く装着して、彼女に覆いかぶさった。仰向けの雫さん。月光の下、ほどけた黒髪が、敷布の上に扇のように広がっている。紅潮した頬、潤んだ瞳、開いた唇。完璧な仲居の面影は、もうどこにもない。ただ、俺を欲しがる、一人の女の人だった。

「……入れるよ」

「はい……♡ 来てください、和真さま……♡」

蜜で濡れた入り口に、先端をあてがう。ゆっくり、腰を進めた。ずぷ……っ。

「あぁっ……♡♡♡ 入って……くる……♡♡♡」

温かい。きつい。中が、ぎゅうっと締め付けてくる。

「おっきい……♡♡ お腹の中、いっぱい……広がって……♡♡♡」

ずぷん、と。根元まで、収まった。下腹部が、密着する。ゆっくり腰を引いて、また押し込む。

ずちゅ……ずぷん……♡ パンッ……♡

「あぁっ……♡♡♡」

パンッ……パンッ……♡♡

「あっ、あっ、あっ……♡♡♡ 気持ち、いい……♡♡」

ぐちゅ……ぐちゅ……。結合部から、卑猥な水音が響く。雫さんの腕が、俺の背中に回されて、しがみついてくる。

パンパンパンッ……♡♡♡

「和真さまっ……♡♡♡ そこ、当たって……♡♡♡」

肌と肌がぶつかる音が、静かな離れに響いていく。正常位だと、雫さんの表情が全部見えた。眉が寄って、口が開いて、瞳が潤む。

「雫さん……すごい、締まってる」

「だってっ……♡♡ 和真さまが、気持ちよすぎてっ……♡♡♡」

腰を、すくい上げるように突くと──

「そこっ……♡♡♡! あっ、そこ、だめっ……♡♡♡」

雫さんの脚が、俺の腰に絡みついて、もっと奥を求めてくる。爪が、背中に食い込んだ。少し痛い。でも、それがまた興奮を煽る。

パンパンパン……♡♡♡

「あっ♡♡ あっ♡♡ だめ……そこばっかり……♡♡♡」

キスを重ねながら、腰を動かし続ける。

ちゅる……んちゅ……♡♡

「ん……んぅっ……♡♡♡」

雫さんの中が、きゅうきゅうと、リズミカルに締め付けてくる。ペースを、上げた。

パンパンパンパン……♡♡♡♡

「あっあっあっ……♡♡♡♡ 来る……来ちゃう……♡♡♡♡」

「俺も……っ」

「一緒に……♡♡♡ 和真さまと、一緒に……♡♡♡♡」

雫さんが、背中に両腕を回して、ぎゅっとしがみついた。脚も、がっちり腰に絡む。奥に押し付けるように──最後の、一突き。

ずぷんっ……!

「あぁぁっ……♡♡♡♡♡!!」

どくんっ、どくっ、どくっ……! 中で脈打ちながら、全てを、注ぎ込んだ。

「あっ……♡♡♡ すごい……和真さまの、感じる……♡♡♡」

雫さんの全身が、びくびくと痙攣して、中が、ぎゅうぅっと、搾り取るように締め付けてくる。しばらく、二人で荒い息をついた。ちゅ、と軽くキスをして、ゆっくり体を離す。

「はぁっ……♡♡ ……どうしよう。私、初めてです。お客様と、こんな……♡」

「もう、お客様じゃないだろ?」

「……ふふ。そうでした♡」

とろけた瞳で、雫さんが微笑んだ。その笑顔を見ていたら──体が、また、すぐに反応してしまった。

「……あら♡ 和真さま、まだ、お元気ですね♡」

「……雫さんが、可愛すぎるから」

「もう♡ ……今度は、私が上、いいですか♡」

新しい避妊具をつけると、雫さんが、俺の上にまたがってきた。騎乗位。ほどけた黒髪が、肩から胸元へ流れ落ちて、月光に青白く光る。下から見上げる雫さん──揺れる胸、なだらかなお腹、繋がっている場所。雫さんが、角度を調整して──

ずぷん……♡♡

「あっ……♡♡♡ この体勢……奥まで、入っちゃう……♡♡♡」

ゆっくり、腰を上下させ始めた。

ずぷ……ずちゅ……ずぷっ……♡♡

「ん……♡♡ 自分で動くの……すごい……♡♡♡」

目の前で、胸が、ぷるんぷるんと揺れる。手を伸ばして、両方掴んだ。

むにゅっ……♡♡

「ひゃんっ……♡♡♡ 揉んだら……動けなく、なっちゃう……♡♡♡」

「いいよ。雫さんのペースで」

ぱんっ……♡ ぱんっ……♡ ぱんっ……♡♡

「あっあっあっ……♡♡♡ 奥に、当たってる……♡♡♡ いいとこに……♡♡♡♡」

雫さんが、腰を回すように動き始めた。ぐりんぐりんと中をかき回される。たまらず、下から突き上げた。

ずぷんっ……♡♡♡

「ひぁっ……♡♡♡♡ 下から……だめっ……♡♡♡」

雫さんの動きと、突き上げが、一番奥を叩く。

パンパンパンパンッ……♡♡♡♡ ぐちゅぐちゅぐちゅ……♡♡♡

「だめっ……♡♡♡ また、来ちゃう……♡♡♡♡ イっちゃうっ……♡♡♡♡」

「俺も……一緒に、イこう……っ」

「はいっ……♡♡♡ 一緒に……和真さまと、一緒にっ……♡♡♡♡」

雫さんが、俺の胸に倒れ込んで、ぎゅっとしがみつく。最後に、奥へ、深く突き上げた。

ずぷんっ……!♡♡♡♡

「イくぅっ……♡♡♡♡♡!!」

どくんっ、どくっ、どくっ、どくっ……! 雫さんの全身が震えて、中が、痙攣するように搾り取っていく。

「はぁっ……♡♡♡ すごかった……♡♡♡」

汗だくの体を、重ねたまま、二人で抱き合った。月明かりの差す離れの部屋で、お互いの心臓の音を聞いていた。

「……和真さま♡ 私、本当に、来てくれるって、信じていいですか♡ 毎月、会いに来てくれるって」

潤んだ瞳が、まっすぐ俺を見つめる。俺は、彼女の頬を、そっと撫でた。

「来る。絶対に。……雫さん。俺と、付き合ってください」

雫さんの目が、大きく見開かれて──それから、ぽろぽろと、涙がこぼれた。

「……はい♡ はい……! 私で、よければ……♡♡」

「雫さんが、いい」

ちゅ、と。涙の味のするキスを、交わした。その夜、俺たちは布団の中で、ずっと体を寄せ合って眠った。さらさらの黒髪が、顎に触れる。湯上がりの、いい匂い。

(……一人旅、最高だな)

雫さんの穏やかな寝息を聞きながら、俺も目を閉じた。翌朝。障子の隙間から、朝日が差し込んでいた。雫さんは、夜明け前に、こっそり自分の部屋に戻っていった。「仕事だから」と、名残惜しそうに。

チェックアウトの時間。荷物を持ってフロントに行くと──そこに立っていたのは、完璧な仲居の、雫さんだった。きっちり結われた髪。紺の着物。背筋の伸びた、隙のない佇まい。

「須藤和真さま。お発ちでございますね。お忘れ物は、ございませんか」

昨夜の艶っぽさが嘘のような、よそ行きの敬語。俺も、つられて、客の顔になる。

「はい。お世話に、なりました」

「四泊、ありがとうございました。お足元、お気をつけてお帰りくださいませ」

三つ指をついて、深々と頭を下げる。その完璧な所作に、俺は、ちょっとだけ寂しくなった。

(……これで、お別れか)

でも──。顔を上げた雫さんが、ほんの一瞬、フロントの奥に他の人がいないのを確かめて。そして、俺だけにわかるように──ぺろっと、小さく舌を出して、いたずらっぽく笑った。

(……反則だって、それは)

胸の奥が、きゅっと熱くなる。最後に彼女が口を開いた。

「……またのお越しを、心よりお待ちしております。和真さま♡」

最後の「♡」だけは、確かに、仲居の雫さんじゃなくて、俺の恋人の雫さんのものだった。暖簾をくぐって、坂を下る。振り返ると、玄関先で、雫さんがずっと、手を振っていた。

それから、俺の遠距離恋愛が、始まった。毎月、給料日が来るたびに、俺はあの谷へ向かう新幹線とバスに乗った。二泊三日。雫さんの休みに合わせて、町を歩き、足湯に浸かり、月見台で月を眺める。そして夜は、こっそり、離れの部屋で。

「内緒ですよ、和真さま♡」

何度言われたかわからない、その台詞が、俺は大好きだった。一年が、過ぎた。その日、俺がいつものように旅館に着くと、玄関に女将さんが立っていた。雫さんの伯母だ。

「あ。お、お邪魔します」

ばれている。完全に、ばれている。一年も通えば、当然だ。俺が緊張で固まっていると、女将さんは、雫さんそっくりの目元で、にやっと笑った。

「あらあら。また来たの、お婿さん候補♡」

「お、お婿さんって……」

「うちの雫がね、あなたが来る前の日は、もう朝からそわそわしちゃって。見てられないのよ、ふふ」

奥から、顔を真っ赤にした雫さんが飛び出してきた。

「ちょっと、伯母さん! 余計なこと、言わないで♡」

「だってねぇ。和真さん。あなた、毎月毎月、わざわざ遠くから。大変でしょう。……もう、ここに住んじゃえば? どうせ、いずれこの子が継ぐんだから。あなたがいてくれたら、私も安心なのよ♡ 私だってもう、今年で五十二。いつまでも一人で切り盛りってわけにもいかないでしょう?」

「……っ」

言葉に、詰まった。隣で、雫さんが、真っ赤になって俯いている。でも、その口元は、はっきりと笑っていた。俺は、雫さんの方を見た。彼女が、そっと、俺の手に、指を絡めてくる。あの、灯籠の道で見た、いたずらな笑顔で。

「……どうします? 和真さま♡」

谷の紅葉は、一年前と同じように、燃えるように赤かった。俺は、繋いだ手を、ぎゅっと握り返した。

「……前向きに、検討します。市役所の窓口みたいで悪いけど」

「ふふっ。だめですよお客様、そんな他人行儀♡」

「あらあら、ごちそうさま♡」

三人で、玄関先で笑った。湯気の立ちのぼる温泉街。色づく谷。燃え尽きて逃げ込んだはずのこの場所が、いつのまにか、俺の帰る場所になっていた。

(……一人旅で、見つけたんだ)

隣で笑う雫さんの横顔を見ながら、俺は、確信していた。この谷が引き合わせてくれた出会いは──運命だったって。

― 終 ―


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