俺、久遠湊、25歳。食品メーカーの営業。 住んでいるのは都内の外れにある一軒家のシェアハウス。男女合わせて6人で暮らしている。 ムードメーカー枠は自然と俺の担当になっていて、共用キッチンでくだらない話をするのが日課だ。
ただ、一人だけ、どうにも距離を測りかねている住人がいた。
橘美月、26歳。フリーランスのグラフィックデザイナー。 ショートボブの黒髪に、切れ長の目。色白で、いつも無駄のない服を着ている。 シェアハウス歴は俺と同じくらいなのに、リビングでまともに会話したことが数えるほどしかない。
言葉少なで、そっけない。挨拶しても「……どうも」くらい。 自分の部屋にこもっていることが多くて、夜中までモニターの光が廊下に漏れている。 ミステリアスでクールな美人。それが俺の中の橘美月だった。
……その印象が崩れたのは、9月の三連休の夜だった。
連休前日の夕方。仕事帰りに近所のスーパーに寄った。 台風が直撃するとニュースが騒いでいたから、買い溜めをしておこうと思ったのだ。 カップ麺、レトルトカレー、冷凍唐揚げ、ポテチ、缶ビール。 独身男のカゴという感じの内容を抱えてレジに並んだとき——
「……すごい品揃えですね」
背後から、低くて落ち着いた声がした。
振り返ると、美月さんだった。エコバッグを肩にかけて、俺のカゴを覗き込んでいる。 カゴの中はカップ麺の山。完全に見られた。
「あ、橘さん。えっと、これは……非常食です。台風来るんで」
「非常食にしては、楽しそうな顔して選んでましたけど」
「……見てたんですか」
「カップ麺を三種類で迷ってる男の人、なかなかいないので」
ふっ、と美月さんの口角がわずかに上がった。 笑った。橘美月が、笑った。 それだけで、なんだか自分のペースが乱されるのを感じた。
彼女のカゴを見ると、野菜とパスタと、ちゃんとした食材が入っている。
「橘さんは、自炊派なんですね」
「別に。気が向いたときだけ」
そう言って、また視線を逸らす。会話はそこで終わった。
それでも、レジを済ませて店を出るまで、彼女は俺の半歩後ろを歩いていた。 帰り道も同じ。当然だ。同じ家に帰るんだから。 並んで歩くには微妙な距離を保ったまま、二人でシェアハウスに着いた。
玄関で靴を脱ぎながら、ふと気づいた。家の中が、やけに静かだ。
「あれ、みんなは?」
「……連休だから。たぶん、誰もいない」
リビングを覗くと、テーブルにメモが残っていた。 「帰省します」「彼女と旅行!」「実家帰る」「温泉行ってきます」。 住人4人、全員不在。残っているのは——
「……二人だけ、ですね」
「……そうみたい」
気まずい沈黙が落ちた。 普段、間に4人いるから成り立っていた距離感が、急に剥き出しになる。 美月さんは髪を耳にかけながら、目を合わせずに自分の部屋へ消えていった。
その夜、台風は予報以上の勢いで近づいてきた。 窓に雨粒が叩きつけられて、ガラスがびりびり鳴る。 風が家を揺らすたびに、どこかでミシッと木の軋む音がした。
俺は自分の部屋でカップ麺をすすりながら、スマホで台風の進路を見ていた。 夜の9時を過ぎた頃、外でひときわ強い風が吹いた——その瞬間。
ぱちっ。
部屋の電気が、ふっと消えた。 モニターも、エアコンも、全部。完全な暗闇。
「……は? 停電?」
スマホのライトを点けて、廊下に出る。家中、真っ暗だ。 ブレーカーを確認しに行ったけど、特に落ちていない。 試しに上げ直しても、何も復旧しない。
(これ、ブレーカーじゃなくて地域全体の停電だ……)
スマホで調べると、案の定、近隣一帯が広範囲で停電していた。 復旧の見込みは未定。台風が抜けるまでは絶望的らしい。
廊下の向こうから、もう一つの光が近づいてきた。 スマホのライトを手にした美月さんだ。
「……電気、消えた」
「みたいですね。地域停電っぽいです。しばらく戻らないかも」
「……まじか」
彼女のスマホの光に照らされた顔は、いつものクールさが少し抜けて、心細げに見えた。 二人でとりあえずリビングに集まる。 窓の外では、雨と風が獣みたいに唸っている。
スマホのライトだけだと心許ない。バッテリーも気になる。 すると美月さんが、自分の部屋に戻って、何かを大量に抱えて戻ってきた。
「それ、何ですか?」
「アロマキャンドル。仕事で行き詰まったとき、よく灯すから……いっぱいある」
テーブルの上に、大小さまざまなキャンドルが並んでいく。 ライターで火を点けていくと、リビングがオレンジ色の柔らかい光に包まれていった。 ゆらゆら揺れる炎が、壁に二人の影を映し出す。
「……すごい。なんか、いい感じですね」
「停電のおかげで、初めて役に立った」
ふわっと、ラベンダーみたいな甘い香りが漂う。 真っ暗だった部屋が、急にあたたかい秘密基地みたいになった。
そのとき、ふと冷蔵庫のことが頭をよぎった。
「あ、まずい。冷蔵庫の中身、停電長引くとダメになりますね」
「……だね。私、昨日買った野菜入れたばっかり」
俺はひらめいた。
「鍋、しません? カセットコンロあるし。傷む前に食材救出ってことで」
「……いいの? 私の食材も使うけど」
「もちろん。二人分作った方が美味いし」
カセットコンロを引っ張り出して、鍋を据える。 冷蔵庫から白菜、きのこ、豚肉、それから美月さんの買ったパスタ用の野菜まで放り込む。 キャンドルの灯りの中、ぐつぐつと鍋が煮える。
「いただきます」
「……いただきます」
向かい合って、鍋をつつく。 普段ならテレビの音や住人の声で埋まる空間が、今は雨音と鍋の音だけ。 それが不思議と、嫌じゃなかった。
「橘さんって、いつもそっけないから、ちょっと怖い人だと思ってました」
「……よく言われる。別に、機嫌悪いわけじゃないんだけど」
「じゃあ、なんで?」
「人と喋るの、得意じゃないだけ。湊くんみたいに、誰とでもすぐ仲良くなれる人、正直うらやましい」
初めて、下の名前で呼ばれた。 湊くん。その響きに、なぜか心臓が小さく跳ねた。
「橘さんも、美月さんって呼んでいいですか」
「……好きにすれば」
そっぽを向きながら、髪を耳にかける。 ほんのり、頬が赤いように見えたのは、キャンドルのせいだろうか。
そのときだった。
ピカッ——と、窓の外が真っ白に光った。 そして一拍遅れて、
ゴロゴロゴロ……ドォンッ!!
至近距離に雷が落ちた。家ごと揺れるような轟音。
「ひっ……!!」
次の瞬間、美月さんが箸を放り出して、俺の肩に飛び込んできた。 ぎゅっと、俺の腕にしがみついて、ぶるぶる震えている。
「……み、美月さん?」
「やだやだやだ……雷っ……無理、ほんとに無理っ……」
さっきまでのクールな彼女はどこにもいなかった。 涙目で、早口で、子供みたいに俺の腕にしがみついている。
「もしかして、雷、苦手?」
「苦手とかじゃなくてっ……世界で一番嫌いっ……! 小さい頃から、ずっと……っ」
意外すぎる弱点だった。 あのミステリアスで隙のない橘美月が、雷一発でこんなに崩れるなんて。 腕の中で震える彼女が、急にものすごく可愛く見えてしまった。
「大丈夫。落ち着いて。ほら、毛布あったかいですよ」
ソファの上の毛布を引き寄せて、美月さんの肩にかける。 彼女は俺の隣にぴったりくっついたまま離れない。 また遠くで雷が鳴るたびに、びくっと身体を震わせて、俺の袖をきゅっと握る。
「……笑わないでよ」
「笑ってないですよ」
「……みんなに、隠してたのに。こんなとこ、湊くんにバレるなんて」
「誰にも言いません。二人だけの秘密ってことで」
二人だけ、という言葉に、美月さんが小さく頷いた。 毛布にくるまった距離は、もう、肩と肩が触れている。
雷の合間、雨音が少し穏やかになったとき、彼女がぽつりと話し始めた。
「私さ、子供の頃、絵を描くのだけが好きだったの」
「へえ」
「友達と上手く喋れなくて。でも、絵を描いてると、誰かに何か言われなくて済んだ。だから、ずっと描いてた」
キャンドルの炎を見つめる横顔は、いつものクールな仮面が完全に外れていた。
「デザイナーになったのも、その延長。言葉で伝えるのが下手だから、絵とか形で、人に何か届けたかった」
「……いいじゃないですか。それ、すごく」
「いつか、自分のブランド作りたいんだ。誰かの毎日が、ちょっと素敵になるようなもの」
語る彼女の目は、雷に怯えていたさっきとは別人みたいに、まっすぐ輝いていた。 これが、橘美月の素顔だ。 そう思った瞬間、俺はもう、この人から目を離せなくなっていた。
「美月さんって、ほんとは、すごく熱い人なんですね」
「……うるさい。こんなの、湊くんにしか言ってない」
「光栄です」
「……ばか」
そっぽを向きながら、また髪をいじる。照れ隠しの癖だ。 キャンドルの灯りの中で、その仕草が、たまらなく愛おしかった。
そのとき、また——
ピカッ! ドォンッ!!
「きゃっ……!!」
美月さんが、反射的に俺の胸に飛び込んできた。 俺はとっさに、その身体を腕で抱きとめる。 柔らかい。あたたかい。彼女のシャンプーの匂いが、ふわっと鼻をくすぐる。
抱きとめたまま、二人の動きが止まった。 震えていた美月さんが、ゆっくりと顔を上げる。 キャンドルの揺れる炎が、潤んだ瞳に映り込んでいた。
至近距離で、目が合う。 互いの息がかかるほどの距離。彼女の唇が、わずかに開いている。
「……美月さん」
「……なに」
「動かないで」
「……うん」
頭で考えるより先に、身体が動いていた。 彼女の頬に手を添えて、ゆっくりと顔を近づける。 美月さんは、逃げなかった。むしろ、そっと目を閉じた。
唇が、触れた。
ちゅ……
柔らかくて、あたたかい。鍋の出汁の、ほのかな塩気と甘さ。 触れるだけのキスで、一度離れる。 美月さんが、薄目を開けて俺を見上げた。頬が、炎の色に染まっている。
「……雷のせい、ってことに、していい?」
「……いいよ」
今度は、彼女から唇を寄せてきた。 ちゅっ……んっ…… さっきより深い。俺は美月さんの後頭部に手を回して、もっと深く重ねる。
舌で唇をなぞると、彼女の口がそっと開いた。 ちゅる……れろ……ちゅぷ……
「ん……っ♡」
おずおずと、美月さんの舌が絡みついてくる。 キスしながら腰に手を回すと、びくっと震えた。でも、拒まない。 むしろ毛布の中で、俺のシャツをきゅっと掴んでくる。
ちゅぷ……ちゅるるっ……
「はぁ……♡ んっ……♡」
雷の音はもう、彼女を怖がらせるものじゃなくなっていた。 鳴るたびに、美月さんは俺にしがみついて、キスを深くする。
俺はソファに彼女をゆっくりと横たえた。 キャンドルの光が、潤んだ瞳、紅潮した頬、濡れた唇を照らす。
「美月さん、綺麗だ」
「……見ないで。恥ずかしい」
「無理。こんなの、見ないなんて無理」
「……ばか♡」
もう一度キスをして、手がカットソーの裾に触れる。 美月さんの肌は、白くてすべすべで、ひんやりしているのに、内側は熱い。
「ひゃっ……♡ 手、冷たい……♡」
「ごめん。あっためる」
手がゆっくりと上へ向かう。——ふにっ。
「あっ……♡」
ブラ越しに、形のいい胸が手のひらに収まった。 ふにふに、と揉むと、美月さんの息が乱れていく。
「ん……っ♡ そんな、ゆっくり……♡」
カットソーをめくり上げると、レースの黒いブラが現れた。
「クールなのに、下着は可愛いんだ」
「……たまたまっ♡ 言わないでよ……♡」
背中に手を回してホックを外す。パチン。 こぼれ落ちた胸は、白くて柔らかくて、先端が薄いピンクに色づいている。
「やっ……見ないでって……♡」
「綺麗すぎて、目が離せない」
「……もう♡」
指先で乳首をくりっと転がす。こりこり……
「ひっ……♡♡」
美月さんの身体が、びくんと跳ねた。
左を指で弄りながら、右の乳首に口を寄せる。 ちゅっ……れろ……ちゅぱっ……
「んあっ♡♡ だめっ……♡ 声、出ちゃう……♡♡」
家には二人だけのはずなのに、彼女は反射的に手で口を押さえる。 その仕草がまた可愛くて、俺は左右交互に吸い上げた。 ちゅるっ……ちゅぱっ……れろれろっ……
「あっ♡ んっ♡ はぁっ♡♡ 湊くんっ……♡♡」
下の名前を呼ばれるたびに、全身に電気が走る。 俺の手が、彼女のスカートの中へと滑り込んでいった。
太ももの内側をなぞると、美月さんの脚がぴくっと閉じかける。 でも、ゆっくり開いてくれた。 ショーツの上から指を当てると、布越しでもわかるくらい、じっとりと湿っている。
「もう、濡れてる」
「……言わないで♡ 恥ずかしいから♡」
すじに沿って、上下に指を滑らせる。くちゅ……くちゅ……
「んっ♡ あっ♡ んぅっ……♡♡」
布の色が、どんどん濃くなっていく。 ショーツを引き下ろすと、薄い茂みの下で、ぷっくりと膨らんだ花弁が蜜に濡れて光っていた。
「ここも、綺麗だ」
「ばかっ……そういうこと言わないで……♡♡」
花弁をそっと指で開く。ぷちゅ……
「ひあっ♡♡」
中は熱くて、とろとろだった。 小さな突起を指先で探り当てて——くりっ。
「んんっ♡♡♡」
腰が、びくんと浮いた。
クリをくりくりと刺激しながら、中指をゆっくりと沈める。ずぷっ……
「んああっ♡♡♡」
きゅうっと、中が指を締め付けてくる。 ぐちゅ……ぐちゅぐちゅ……
「あっ♡ 指っ♡ 入ってる……♡♡」
指を曲げて、上の壁のざらついた場所を擦る。ぐりぐりっ。
「ひぃっ♡♡♡ そこっ♡♡ だめっ……すごいっ♡♡♡」
そこを重点的に擦りながら、親指でクリも同時に転がす。
「あっ♡♡ 両方っ♡♡♡ いっぺんにしないでっ♡♡♡」
美月さんの身体が、ぶるぶると震え出す。お腹がぴくぴくと痙攣している。
「いくっ♡♡♡ もう、いくっ……いっちゃうっ♡♡♡♡」
びくんっ♡♡♡♡ きゅうぅぅっと指を締め上げて、じゅわぁっと蜜が溢れ、俺の手を濡らした。
「はぁ……♡ はぁ……♡♡」
美月さんが、ソファに身体を沈めて、荒い息をつく。 指をゆっくり抜くと、ぬぷっ、と音がした。
「……すごかった。こんなの、初めて……♡」
彼女が、潤んだ目で俺を見上げる。
「……湊くんも、気持ちよくなってほしい♡」
美月さんが身体を起こして、俺のベルトに手をかけた。 ジーンズを下ろして、ボクサーパンツの上から、そっと触れる。
「……硬い♡ それに、大きい……♡」
パンツを下ろすと、ぶるんっと飛び出した。
「わっ……♡♡ ほんとに、すごい……♡♡」
細い指が、根元からきゅっと握りしめる。
「気持ちいい」
「……ほんと?♡ 私で?♡」
「美月さんだから、めちゃくちゃいい」
ゆっくりと、上下に手を動かす。しゅっ……しゅっ…… それから、顔を近づけて、先端にちゅっ♡
「……ぴくって、動いた♡ 可愛い♡」
舌を出して、ぺろぺろと舐め始める。 れろ……ちゅる……カリの段差を丁寧に、裏筋を下から上へ。
「やば……それ、効く……」
そして、口を大きく開けて、咥え込んだ。ずぷっ…… ちゅぱっ……じゅるっ……ちゅぷちゅぷ……
「んっ♡ んむっ♡」
黒いショートボブが揺れながら、頭が上下に動く。
キャンドルの灯りの中、クールな美月さんが俺のモノに夢中になっている。 その光景だけで、頭がどうにかなりそうだった。
「待って、美月さん。俺も、美月さんを気持ちよくしたい」
「……どうやって?」
「一緒に、舐め合おう」
「……っ♡ そんなの、恥ずかしい……♡」
それでも、美月さんは小さく頷いてくれた。 俺がソファに仰向けになり、彼女が逆向きに俺の上に跨る。 俺の顔の前に、さっきイったばかりでとろとろの秘所。甘い匂いがする。
「……近すぎ。そんなとこ、見ないで……♡♡」
「無理。エロすぎる」
彼女の腰を引き寄せて、舌を伸ばす。ちゅるっ♡
「ひゃあぁっ♡♡♡」
花弁を舌で割って、中を舐め回す。クリを舌先でつんつんとつつく。
「ひいっ♡♡♡ そこ、舌でされたらっ……♡♡♡」
同時に、美月さんも俺のモノを咥え直した。ちゅぱっ♡♡ じゅるるっ♡♡ 互いに、互いを舐め合う。
ちゅるっ♡♡ れろれろっ♡♡ ちゅぱっ♡♡ ちゅぷちゅぷっ♡♡
美月さんの蜜が、俺の口元にとろとろと垂れてくる。
「んむっ♡♡ また、きそう……っ♡♡♡」
彼女の太ももが、俺の頭を挟んで震える。
「いいよ。イって、美月さん」
「んぁっ♡♡♡ いくっ……いっちゃうっ♡♡♡♡」
びくびくびくっ♡♡♡♡ じゅわぁっと蜜が溢れて、美月さんが俺の上にぐったりと崩れ落ちた。
俺は彼女を抱き起こして、耳元で囁いた。
「美月さん。入れたい」
「……うん♡ 入れて……♡ 湊くんが、ほしい……♡♡」
(こんなに誰かを求めるの、生まれて初めてだ)
美月さんを再びソファに横たえる。 キャンドルの灯りが、白い肌の上で、ゆらゆらと踊っていた。
「ゴム……持ってないんだけど」
「私も。でも……今日、平気な日だから……♡ そのまま、来て……♡♡」
彼女の脚を開かせて、間に身体を入れる。 先端を入り口に当てると、ぬるっ、と滑った。たっぷりの蜜で、ぬるぬるだ。
「入れるよ」
「……ゆっくり、ね♡」
ずぷっ……
「ぁああっ♡♡♡♡」
熱い。きゅうぅっと、奥まで締め付けてくる。
「美月さんの中、すごい……」
「おっきいの、入ってくる……♡♡ おなかの奥まで……♡♡♡」
ゆっくりと、最奥まで押し込む。ずず……ずずずっ……
「んんっ♡♡♡ 奥っ……当たってるっ♡♡♡♡」
隙間なく、彼女の中に包み込まれる。 繋がった状態で、一度キスをした。ちゅっ♡
「動くよ」
ずちゅっ♡ ずちゅっ♡♡
「あっ♡♡ あっ♡♡ んっ♡♡♡」
ぱんっ♡ ぱんっ♡ ぱんぱんっ♡♡ リズムを刻んで、腰を動かす。
「湊くんっ♡♡ 気持ちいいっ♡♡♡」
「俺も……美月さんの中、最高だ」
ぱんぱんぱんっ♡♡♡ だんだん速くなっていく。 ぐちゅっ♡ ぬちゅっ♡ ぱんっ♡♡
「あんっ♡♡ 奥っ♡♡ 奥に当たるのっ♡♡♡」
美月さんの脚が、俺の腰に絡みついてきた。もっと奥へ、と引き寄せるように。
「もっとっ♡♡ もっと、強くしてっ♡♡♡」
ぱんっぱんっぱんっぱんっ♡♡♡♡ 雨と風の音に、肌のぶつかる音と、彼女の甘い声が重なる。
「こんな声っ♡♡♡ 私、出したことないっ……♡♡♡♡」
「いいよ。今は二人だけだから」
「やだっ♡♡♡ でも、止まらないっ♡♡♡♡」
ぱんぱんぱんぱんぱんっ♡♡♡♡♡
「いくっ♡♡♡♡ もう、いっちゃうっ♡♡♡♡♡」
「俺も……美月、中に出すぞ……!」
「出してっ♡♡♡♡ 中に、いっぱい出してっ♡♡♡♡♡」
ずんっずんっずんっ♡♡♡
「イクっ♡♡♡♡♡」
「出る……!」
びゅるっ♡♡ びゅるるっ♡♡♡ どくどくっ♡♡♡♡
「んんんっ♡♡♡♡♡♡」
美月さんの一番奥に、熱いものがどくどくと注がれていく。 彼女の身体が、びくびくと痙攣しながら、きゅうぅぅっと締め付けてきた。
「はぁ……♡♡ あったかい……♡♡♡ 奥に、いっぱい……♡♡」
美月さんが、とろけた目で、幸せそうに微笑んだ。
ちゅっ♡
「美月さん、最高だった」
「……私も。こんなの、知らなかった……♡♡♡」
繋がったまま、しばらくキスを交わす。 でも、俺の中の熱は、まだ収まっていなかった。彼女の中で、再び硬くなっていく。
「……まだ、元気なの?♡」
「美月さんが可愛すぎるから」
「……っ♡♡♡」
「今度は……私が、上になりたい♡」
美月さんが、俺を押し返して、繋がったまま体勢を入れ替えた。
ずるっ……ずぷっ♡♡
「んっ♡♡♡ この体勢っ……奥まで、入る……♡♡♡♡」
背筋を伸ばして、彼女が俺を見下ろす。 キャンドルの光に縁取られたシルエットが、いつものクールさを溶かして、艶めいていた。
(クールな美月さんが、こんな顔するなんて)
腰を、ゆっくりと上下に動かし始める。 ずちゅっ♡♡ ずちゅっ♡♡
「あっ♡♡ 自分で動くの、すごいっ……♡♡♡」
動きに合わせて、胸がたゆんたゆんと揺れる。 俺は手を伸ばして、その胸を下から掴んだ。もにゅっ♡♡
「ひゃっ♡♡♡ 揉みながらは、ずるいっ♡♡♡♡」
美月さんの腰が、だんだん激しくなっていく。 自分の気持ちいい場所を探すように、ぐりぐりと腰を回す。 ぱんっ♡♡ ぱんぱんぱんっ♡♡♡
「あっ♡♡♡ ここっ♡♡♡ ここが、いいっ♡♡♡♡」
見つけたらしい。そこを擦り付けるように、前後に腰を振る。 ずちゅっずちゅっずちゅっ♡♡♡♡
「気持ちいいっ♡♡♡ 湊くんのっ♡♡♡ 最高っ♡♡♡♡」
俺の胸に両手をついて、彼女が激しく腰を打ち付ける。 ぱんっぱんっぱんっぱんっ♡♡♡♡♡
「また、くるっ♡♡♡♡ いっちゃうっ♡♡♡♡♡」
「俺も、もう……!」
「一緒にっ♡♡♡♡♡ 一緒に、いこっ♡♡♡♡♡♡」
ぱんぱんぱんぱんぱんっ♡♡♡♡♡♡
「いくっ♡♡♡♡♡♡ いくいくいくっ♡♡♡♡♡♡♡」
「美月っ……もう一回、中に出す……!!」
俺は美月さんの腰をがっしり掴んで、下から深く突き上げた。 ずんっ♡♡♡♡
びゅるるっ♡♡♡♡ どくどくどくっ♡♡♡♡♡♡
「んんんんっ♡♡♡♡♡♡♡♡」
二度目の中出し。さっきより、さらに奥へとどくどく注ぎ込む。 美月さんが、ぶるぶると震えて、がくんと俺の上に倒れ込んできた。
「はぁ……♡♡♡ もう、だめ……すごすぎて……♡♡♡♡♡」
汗ばんだ肌が重なって、彼女の心臓の鼓動が伝わってくる。
「湊くん……♡」
「ん?」
「……幸せ♡♡」
美月さんが、ぎゅっと俺に抱きついてくる。俺も、その背中を抱きしめ返した。 キャンドルの炎が、いつの間にか半分ほどに溶けていた。 雷の音は、もう、ずっと前に止んでいた。
二人で毛布にくるまったまま、ソファの上で眠りに落ちた。
気がつくと、カーテンの隙間から、まぶしい光が差し込んでいた。 台風は、すっかり過ぎ去ったらしい。
スマホを見ると、いつの間にか電気も復旧していた。エアコンの低い音がする。 腕の中で、美月さんがすやすやと眠っている。 昨夜のあの大胆さが嘘みたいに、無防備で、あどけない寝顔だ。
(昨日のあれ、夢じゃないよな……)
腕の中の温もりが、夢じゃないことを教えてくれる。
美月さんのまつげが、ぴくっと動いた。 ゆっくり目を開けて、俺と視線が合う。
「……おはよう」
「……おはよう」
昨夜の彼女はどこへやら、耳まで真っ赤にして、ぱっと目を逸らした。
台風一過の青空がきれいだったので、二人でベランダに出た。 復旧した電気でコーヒーを淹れて、並んで手すりにもたれる。 洗われたみたいに澄んだ空気の中、美月さんはずっと、俺と目を合わせようとしない。
「美月さん、昨日のこと……」
「……言わないで。今、それ言われたら、私、消えたい」
「俺は、夢みたいだったけど」
「……ばか」
髪を耳にかけながら、コーヒーカップに口をつける。 横顔が、朝陽に照らされて、ほんのりピンク色だった。
そのとき、玄関のほうで物音がした。 住人たちが、連休から帰ってくる気配だ。
「……っ。湊くん」
急に、美月さんが俺の袖を引っ張った。 振り向くと、彼女は真っ赤な顔のまま、早口でこう言った。
「あのっ……昨日の、雷のせいとか、停電のせいとか、もう、そういうのなしっ。私、湊くんのこと、好きだからっ。だから……付き合うってことで、いいから……っ!」
一気にまくし立てて、最後はもう、消え入りそうな声だった。 俺はその勢いに圧倒されつつ、思わず笑ってしまった。
「……それ、俺から言うつもりだったんだけど」
「……早い者勝ち。文句ある?」
「いや、ない。よろこんで。俺も、美月さんが好きだ。付き合ってください」
美月さんの切れ長の目が、じわっと潤んでいく。 それでも、ぐっとこらえて、ふいっとそっぽを向いた。
「……っ。だから、朝から泣かせないでよ」
「泣いてないって言いたいんですよね」
「……うるさい♡」
そっぽを向いたまま、彼女の手が、そっと俺の手に重なってきた。 冷たかった指先が、いつの間にか、あたたかくなっていた。
ベランダの向こうで、玄関のドアが開く音がした。
「ただいま〜! うわ、停電大丈夫だった?」
リビングに住人の声が響く。
「……っ、行こ」
慌てて手を離そうとする美月さんを、俺はあえて、繋いだまま離さなかった。
「ちょっ、湊くん……っ」
「堂々としてればいいよ」
「……もうっ♡」
それから三日後。 共用キッチンで、住人の一人が、にやにやしながら言った。
「ねえ、久遠くんと橘さん、なんか距離おかしくない?」
「ていうか、台風の夜、二人きりだったんだよね?」
「……まあ」
全員の視線が、俺たちに集まる。
美月さんは、真っ赤になって、俺の背中に半分隠れた。 でも、逃げなかった。
「俺たち、付き合ってます」
はっきりそう言うと、リビングがわっと沸いた。
「えーっ! まじで!? お似合いじゃん!」
「クールな橘さんを落とすとか、久遠やるな!」
「……っ、もう、やめてっ」
照れて顔を覆う美月さんの肩を、住人たちが笑いながら囃し立てる。 あんなに人と喋るのが苦手だった彼女が、みんなの輪の真ん中で、真っ赤になりながらも、ちょっとだけ笑っていた。
その夜、二人でベランダに出て、また並んでコーヒーを飲んだ。
「結局、雷のおかげだったな」
「……それは認めない。雷は今でも世界一嫌い」
「でも、雷が鳴らなかったら、飛び込んでこなかっただろ」
「……っ。それは、まあ……そうだけど」
髪を耳にかけて、ふいっと横を向く。いつもの癖。 でも、その横顔は、もう、クールな仮面なんてかぶっていなかった。
「ねえ、湊くん」
「ん?」
「今度、私の夢の話、もっと聞いてくれる? 自分のブランドの」
「もちろん。何時間でも聞くよ」
「……ふふ。じゃあ、覚悟しといて♡」
初めて、彼女のほうから、いたずらっぽく笑った。 ショートボブの黒髪が、夜風に揺れる。
台風の夜の、停電のリビング。 キャンドルの灯りの中で始まった、二人きりの秘密。 言葉少なで、そっけなくて、近づけなかった美人デザイナーは—— 今では、雷が鳴るたびに、迷わず俺の腕に飛び込んでくる、世界で一番可愛い彼女になった。
ちなみに、次に雷が鳴った夜のことは、ここには書かないでおく。 ただ一つ言えるのは——美月さんは、もう、雷の音を、ちょっとだけ楽しみにしているらしい。
― 終 ―