富士山の山小屋で隣になった美人登山女子とご来光を見て恋に落ちた話

2026.06.12NEW

23分で読了

八月上旬の土曜日、俺は富士スバルラインを登るバスの窓に額を押し付けていた。

俺、篠田竜也。二十五歳。会社の先輩に「富士山登ろうぜ」と誘われて、休みを合わせて、装備も一式そろえた。なのに。ポケットの中でスマホが震える。先輩からのLINEだった。

「……は?」

『ごめん竜也、嫁が熱出した。今回パスで! また今度な🙏』

五合目に着く三十分前の、完璧なタイミングのドタキャン。

(また今度って、富士山だぞ)

開いた口が塞がらない。だけど装備はもう背中にある。新品のトレッキングシューズも、ザックも、ヘッドライトも、防寒着も、全部この日のために買った。引き返す選択肢を、なんとなく選べなかった。

バスが五合目のロータリーに滑り込む。標高二三〇〇メートルの空気はひんやりして、雲が眼下にあった。

「……一人で、登るか」

ヤケクソ半分、意地半分。スマホで登山アプリのコースを確認して、吉田ルートの登山口に立った。鳥居をくぐって、最初の一歩を踏み出す。

(装備だけは一人前なんだよなあ、俺)

そう、装備だけは。登山自体は、正真正銘の初心者だった。六合目までは、正直余裕だった。緩やかな砂利道を、軽快に飛ばす。

「楽勝じゃん、富士山」

抜いていくおじさんグループを横目に、調子に乗ってペースを上げた。それが、間違いだった。七合目に差し掛かる頃。岩場のつづら折りを登り始めたあたりで、足が急に重くなった。頭の奥が、ずきずき痛む。

(あれ……息、苦しい)

吸っても吸っても、肺に空気が入ってこない感覚。地面がぐらりと傾く。俺は岩場の脇に、へなへなとへたり込んだ。

「うっ……気持ち悪い……」

これが高山病ってやつか。ガイドブックで読んだ知識が、今さら脳裏をよぎる。ペースを上げすぎた。完全に。

ザックからペットボトルを出そうとして、手が震えていることに気づいた。頭上を、登山客が次々追い越していく。誰も足を止めない。当たり前だ。みんな自分の山に必死なんだから。

(やば……これ、登れるのか、俺)

視界の端がちかちかする。岩に背中を預けて、目を閉じた。そのときだった。

「あー、それ完全に高山病なりかけだね」

声がした。少し高めの、よく通る声。目を開けると、登山客が一人、俺の前にしゃがんでいた。日に焼けたウェアに、軽量のザック。ポニーテールに結んだ髪が、つばの広いハットからこぼれている。切れ長の目に、すっと通った鼻筋。汗で頬に張り付いた後れ毛が、なぜかやけに目に焼き付いた。

(……綺麗な人だ)

ぼんやりそう思った直後、彼女は俺のザックを勝手にがさごそ探り始めた。

「水ある? ちょっとずつでいいから飲んで。あと、これ」

手のひらに、小さな飴を一粒、ぽんと載せられた。透明な包み。

「これ……?」

「ブドウ糖。糖分入れると少しマシになるから。はい、口開けて」

「い、いや、自分で……」

「いいから。手、震えてるでしょ」

有無を言わさぬ口調で、飴を口に放り込まれた。じわっと、舌の上で甘さが溶けていく。

「で、ペース上げすぎたでしょ。六合目あたりからガンガン飛ばしてたの、後ろから見えてた」

「……見られてたんですか」

「うん。あー、これは七合目でバテるなって思ってたら、案の定」

くすっと笑って、彼女は俺の隣の岩にどっかり腰を下ろした。

「十分休も。深呼吸して。富士山はね、ゆっくり登るのが一番速いの」

言われるがまま、ゆっくり息を吸って、吐く。不思議と、彼女が隣にいるだけで、ちょっとだけ呼吸が楽になった気がした。

「……助かりました。一人だったんで」

「ソロ? 初めて?」

「ばればれですか」

「初心者がソロでこのペースだもん。心配になるよ」

ふっと笑って、彼女は山頂の方を見上げた。

「私、高梨千尋。二十五。登山歴五年で、富士山はこれで三回目」

「篠田竜也です。二十五……同い年だ」

「あ、タメか。じゃあ敬語やめよ。山の上で敬語使ってると疲れるから」

そう言って、彼女――千尋は、にっと白い歯を見せた。日焼け止めの匂いが、ふわっと風に乗って届いた。十五分ほど休むと、頭痛がだいぶ引いてきた。

「立てる? ゆっくりね。私の後ろついてきて。歩幅、合わせるから」

千尋が先に立って、俺の前を歩き出す。その歩き方が、本当に綺麗だった。一歩が小さくて、リズムが一定で、無駄がない。

(なるほど、これが五年か)

俺は彼女の足元だけを見つめて、その歩幅をそっくり真似た。すると、不思議なくらい楽だった。さっきまであんなに苦しかったのに、息が乱れない。

「……すごい。全然違う」

「でしょ? 登山ってね、体力より、ペース配分が九割なの」

「先生みたいだ」

「ふふ。じゃあ生徒くん、ちゃんとついてきてね」

振り返って笑う千尋の頬が、夕日でオレンジに染まっていた。七合目から八合目まで、俺たちはぽつぽつ話しながら登った。千尋は都内のメーカーでOLをしていること。山が好きで、月に一度はどこかの山に登ること。富士山は「年に一度のご褒美」だということ。

「ご褒美?」

「うん。ご来光見ると、一年がんばれるから」

夕暮れの稜線を見つめる横顔が、少し遠くを見ているようだった。八合目の山小屋に着いたのは、十八時過ぎ。すでに陽は雲海の向こうに沈みかけていて、空が藍色に染まり始めていた。

「今夜はここで仮眠して、深夜に山頂アタックね。竜也、宿の予約は?」

「えっと……ここ、です。たぶん」

スマホの予約画面を見せると、千尋が目を丸くした。

「……え。私もここなんだけど」

「マジで?」

「マジで」

受付で対応してくれたのは、山小屋のスタッフだった。日に焼けた、人の好さそうな男性。名札には「管理人・大村」とある。

「おっ、若い二人組かい。俺はここで二十年、小屋番やってる大村。今年で四十八になるけど、まだまだ現役だよ」

「二十三番と、二十四番ね。はい、寝袋はそこのを使って。消灯は二十時、起床アタックは各自で。ご来光、楽しんでおいで」

そう言って、大村さんはくしゃっと笑った。案内されたのは、カイコ棚みたいに区切られた、二段の寝床。番号を確認した。

「俺、二十三番」

「……私、二十四番」

隣だった。

「……隣じゃん」

「隣だね」

千尋が、ぷっと吹き出した。

「すごい確率。今日、何回会うのよ私たち」

寝袋ひとつ分の幅しかない区画に、二人並んで荷物を広げた。肩が、ときどき触れる。夕食のカレーを食べて、歯を磨いて、消灯時刻が来た。山小屋の中が、ふっと暗くなる。あちこちから、疲れた登山客の寝息が聞こえ始めた。俺はなかなか寝付けなかった。隣で寝返りを打つ気配が、やけに気になって。

「……竜也、起きてる?」

千尋の声が、闇の中で囁くように届いた。

「起きてる」

「眠れない?」

「うん。なんか、興奮してて」

「わかる。私もいつも初日は寝れないんだよね」

ヘッドライトを最弱にして、二人で顔を寄せて、小声で話した。オレンジ色のわずかな光に、千尋の顔が照らされている。

「ねえ、なんで一人で富士山来たの? ソロ初心者なんて、無謀すぎ」

「先輩に誘われたんだけど、当日ドタキャンされてさ」

「えー、ひどい」

「装備だけ全部そろえちゃってたから、引くに引けなくて」

「ふふ、それで意地で登ってきたんだ」

「まあ……今は、来てよかったって思ってる」

言ってから、口が滑ったかと思った。闇の中で、千尋がちょっと黙る。

「……私も。飴あげた相手が、こんないい子で」

「いい子って」

「同い年なのに、生徒くんだもんね」

くすくす笑う声。寝床の板一枚向こうの、近すぎる距離。

「もう寝よ。一時半起きだから。私が起こしてあげる」

「ありがとう」

「おやすみ、竜也」

「おやすみ、千尋」

ヘッドライトが消えて、また闇が落ちた。千尋の寝息が聞こえ始めても、俺はしばらく、心臓の音だけを聞いていた。

――とんとん。

肩を叩かれて目が覚めた。

「竜也、起きて。一時半。アタックの時間」

ヘッドライトの光の中、すでに登山装備を整えた千尋がいた。

「うわ、もう?」

「もう、じゃないの。ご来光間に合わないよ。ほら、防寒しっかり」

外に出ると、空気が刺すように冷たかった。標高三〇〇〇メートル超。八月なのに、吐く息が白い。そして――頭上を仰いで、息が止まった。

「……星」

満天の星空だった。街では絶対に見られない、降ってくるような星の海。天の川が、くっきりと夜空を横切っている。

「きれいでしょ。これも富士山のご褒美」

千尋がヘッドライトを点けて、登山道を指した。もう登山客のヘッドライトの列でいっぱいで、山頂に向かって、光の蛇が連なっている。

「ついてきて。私のペースなら、ご来光までに登頂できるから」

「……頼む」

千尋の背中を追って、暗闇の岩場を登り始めた。ご来光渋滞、というやつだった。山頂直下の岩場で、列がぴたりと止まる。一歩進んでは、止まる。寒さが、じわじわ体を蝕んでくる。標高が上がるほど、空気が薄くなる。また頭が痛み始めた。

「……ちょっと、きつい」

「あとちょっと。ほら、深呼吸。私の手、握ってていいから」

差し出された手を、思わず握った。手袋越しでも、温かい。

「一歩ずつでいいよ。焦らない。富士山は逃げないから」

「……うん」

止まっては進み、進んでは止まり。寒さで歯が鳴る。けど、握った手の温かさだけが、現実をつなぎとめてくれた。

東の空が、ほんの少しずつ、藍色から紫に変わっていく。

「見て、空。もうすぐだよ」

最後の鳥居をくぐったとき――俺たちは、山頂に立っていた。標高三七七六メートル。日本で一番高い場所。眼下には、地平線まで続く雲海。その境界線が、ゆっくりと、燃えるようなオレンジ色に染まり始めていた。

「……すげえ」

言葉にならなかった。ただ、すげえ、としか出てこなかった。周りの登山客たちも、みんな黙って東を見つめている。雲海の縁が、白く、まばゆく光り出す。

「……来る」

千尋が、ぽつりと呟いた。その瞬間――雲海の向こうから、太陽の一点が、ぷつりと顔を出した。世界が、金色に変わった。雲海が朝焼けに染まり、俺たちの顔が、富士山の影が、すべてが光に包まれる。

胸の奥が、熱くなった。理由なんて、わからなかった。ただ、隣にいる千尋の横顔を見たら――目に涙を浮かべて、子供みたいに口を開けて、ご来光を見つめていた。山ではあんなにテキパキしていた人が。

「……毎回さ、ここで泣いちゃうんだよね」

照れたように笑う千尋の頬を、朝日が照らす。そのとき、気づいた。俺たちは、いつの間にか手を繋いでいた。どちらからともなく。手袋を外した、素手のまま。

「……千尋」

「ん?」

「……ご来光、めちゃくちゃ綺麗だ。けど」

「けど?」

「……今、それより千尋の顔ばっか見てる」

千尋の頬が、朝焼け以上に赤くなった。

「……なにそれ。ずるい。山の上でそういうこと言うの、反則」

そう言いながら、繋いだ手に、ぎゅっと力がこもった。下山は、登りより数倍きつかった。砂走りの斜面で何度も転びそうになって、そのたびに千尋が腕を掴んでくれた。五合目に降り立ったのは、昼過ぎ。膝が笑って、二人ともへとへとだった。

「……生きて帰ってこられた」

「ふふ、生徒くん、卒業だね」

バスを待つベンチに並んで座る。陽射しが温かい。千尋が、ぽつりと言った。

「ねえ、竜也」

「ん?」

「……このまま解散するの、なんか、もったいなくない?」

横顔が、ちょっと緊張しているように見えた。

「……打ち上げ、しません? 河口湖、温泉あるし」

「……行く。即答で」

「ふふ、即答だ」

「断る理由がない」

「……うん。私も」

バスで河口湖まで下りて、湖畔の日帰り温泉に入った。別々の湯から出てきた千尋は、髪を下ろしていた。ポニーテールをほどいた姿が、別人みたいに大人っぽくて、思わず目を奪われた。

「……髪、下ろすと雰囲気違うんだな」

「な、なに、急に。やめてよ、照れる」

頬を染めてそっぽを向く仕草が、山の上のテキパキした彼女とは別人だった。

夕食は、湖畔のほうとう屋に入った。熱々の鉄鍋に、味噌仕立てのほうとう。登山で消耗した体に、染み渡るような旨さだった。

「うますぎる。生き返る」

「でしょ。下山後のほうとうは、世界一おいしいの」

ビールで乾杯して、登山の話で盛り上がった。千尋が今まで登った山。北アルプス、八ヶ岳、屋久島。語る目が、きらきら輝いている。

「千尋、ほんとに山が好きなんだな」

「うん。山にいると、自分が一番素直になれる気がするの」

ちょっと照れたように、ビールを呷る。話は尽きなかった。気づけば、店の外はすっかり暗くなっていた。スマホを見て、俺は固まった。

「……終バス、二十分前に出てた」

「えっ」

二人で顔を見合わせる。

「……どうしよ」

「タクシーで五合目戻っても、今日の下りはもう……」

「……だよね」

千尋が、湖の方を見た。湖畔には、いくつかのホテルの灯りが灯っている。そして、ゆっくり俺を見て、小さく言った。

「……泊まる? ここで。二人で」

心臓が、跳ねた。

「……いいの?」

「……うん。ていうか」

千尋が、俺のシャツの袖を、きゅっと掴んだ。

「……まだ、竜也と一緒にいたい」

湖畔のホテルに、二人でチェックインした。窓からは、月明かりに照らされた河口湖と、その向こうに黒々とそびえる富士山が見えている。

「……あそこ、登ったんだよな、俺たち」

「すごいよね。今朝はあの上にいたんだもん」

並んで窓辺に立つ。肩が触れる。千尋が、こっちを見上げた。月明かりに、瞳が潤んで光っている。

「千尋」

「ん……」

頬に手を添えると、千尋がそっと目を閉じた。俺は、ゆっくり唇を重ねた。

ちゅ……。

温泉あがりの、柔らかい唇。かすかに、ビールの味がした。

「ん……♡」

触れるだけのキスから、少しずつ深く。角度を変えて、もう一度。舌先で唇をなぞると、千尋の口がそっと開いた。

ちゅ……んちゅ……♡

「ふ……ぁ……♡」

腰に腕を回して、引き寄せる。千尋の体が、ぴたりと密着した。体温が、シャツ越しに伝わってくる。

「……竜也、心臓、すごい鳴ってる」

「千尋もだろ」

「……ばれた♡」

くすっと笑って、千尋が俺の首に腕を回した。今度はもっと深く。唇を食むようなキス。舌が絡み合う。

ちゅぷ……れろ……ちゅるっ……♡♡

「ん……んむ……♡♡」

ぷはっ、と離れると、唾液が細く糸を引いた。

「はぁ……♡ ……ベッド、行こ?」

千尋の手を引いて、ベッドに腰を下ろした。並んで座って、もう一度キスしながら、シャツのボタンに手をかける。

「脱がせていい?」

「……うん♡ でも、私も脱がす」

お互いの服に手を伸ばす。千尋のシャツを脱がせると、白いキャミソールと、その下の淡いブルーのブラジャーが現れた。日に焼けたうなじと、焼けていない白い肩のコントラストが、妙に色っぽい。

「……日焼けのあと、くっきりだ」

「やっ♡ 見ないでよ、恥ずかしい♡」

キャミソールを頭から抜くと、栗色の髪がふわっと肩に広がった。背中に手を回して、ホックを外す。カチッ。ブラがふっと緩んで、胸が露わになった。形のいい、張りのある乳房。先端は、ほんのり桜色。

「……綺麗だ。千尋」

「……そういうの、慣れてないから、心臓持たない♡」

腕で隠そうとする千尋の手を、そっとどけた。右手で、左の胸を包むように触れる。

ふにっ。

「あっ……♡」

手のひらに吸い付くような、柔らかさ。指を沈めると、むにっと形を変える。もう片方の手で、右も包んだ。

「ん……っ♡ 両方、いっぺんに……♡♡」

親指で、先端をくりっと転がす。

「ひゃっ♡♡」

びくんと、千尋の肩が跳ねた。もう小さく硬くなった先端が、指先にコリコリ伝わる。

くりくり……くりくり……♡

「あっ♡ あん♡♡ 竜也っ……♡♡」

唇を、先端に落とした。ちゅっ。

「ひぅっ♡♡♡」

舌先で転がしながら、反対の胸を揉みしだく。

ちゅるっ……れろ……ちゅう……♡♡

「あっあっ♡♡ 吸っちゃ、だめ……♡♡ 声、出ちゃう……♡♡」

交互に舌を這わせて、たっぷりと味わう。千尋の肌が、うっすら汗ばんで、温泉の香りと混ざる。

「千尋、下も脱がすよ」

「……うん♡」

ジーンズのボタンを外して、ゆっくり脱がせていく。下着と一緒に、足先から抜き取った。膝を立てて閉じようとする太ももを、そっと開かせる。

「……すごい。もう濡れてる」

「やっ♡ 言わないでよ……♡ キスの時から、ずっと……♡♡」

整えられた茂みの下、ピンク色の花弁が、透明な蜜でとろりと濡れていた。指先で、そっとなぞる。

くちゅ……。

「ひゃあっ♡♡ あっ♡♡」

びくん、と腰が跳ねる。小さな突起を見つけて、指の腹でくるくると円を描く。

くり……くり……♡

「あぁっ♡♡♡ そこっ……一番、だめぇっ♡♡♡」

「だめじゃないだろ。気持ちいいんだろ?」

「だってっ♡ 竜也の指、上手すぎっ♡♡」

蜜をかき回しながら、中指を入り口にあてがった。

「指、入れるよ」

「……うんっ♡♡ 来て……♡♡」

ずぷ……♡

「あああっ♡♡♡」

ゆっくり、指が沈んでいく。熱い。きつい。きゅうきゅうと、締め付けてくる。

「なか……指、入ってるぅ♡♡」

中をゆっくりかき回しながら、もう一本。

ずぷっ♡

「ひぃっ♡♡♡ 二本、おっきい♡♡」

二本の指で出し入れしながら、親指で突起を同時に刺激する。

ぐちゅっ……ぐちゅっ……ぐちゅっ……♡♡♡

「あっあっあっ♡♡♡ すごいっ♡ 気持ちいいっ♡♡♡」

指を曲げて、上側の壁をぐっと押す。

「ひぅっ♡♡♡♡ そこ、やばいっ♡♡♡」

千尋の体が、びくびくと跳ね始める。

「やっ♡ 来るっ……来ちゃうっ♡♡♡」

指の動きを速める。

ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅっ♡♡♡♡

「あああっ♡♡♡ イっ……イくぅっ♡♡♡♡」

びくんっ、びくんっ、びくんっ♡♡♡

千尋の背中が、弓なりに反った。中が、ぎゅうっと指を締め付けて、蜜が溢れ出す。しばらくして、力が抜けたようにベッドに沈み込む。

「はぁっ……♡♡ はぁっ……♡♡ ……指だけで、こんなの……♡♡」

潤んだ瞳で見上げてくる千尋が、ゆっくり身を起こした。まだ余韻で震えているのに、真っ赤な顔で、いたずらっぽく笑う。

「……今度は、私が、竜也を気持ちよくする番♡」

ベッドの上で、俺のズボンに手を伸ばす千尋。ベルトを外して、ボクサーごと引き下ろすと――ばちんっ、と限界まで張り詰めたものが跳ね上がった。千尋が、息を呑む。

「……おっきい♡♡ こんなの、入るのかな♡♡」

うつ伏せの体勢で、顔を近づけてくる。

ぺろ……。

先端を、舌先でちろっと舐めた。

「ん……♡ 竜也の、味♡♡」

ちゅっ、と先端にキス。それから、ぱくりと口に含んだ。

ずぷ……。温かく濡れた口の中。舌が、裏筋をなぞる。

「ん……じゅるっ♡♡ れろれろ……♡♡」

ゆっくり頭を上下させる千尋。下ろした髪が、ぱさりと俺の太ももをくすぐる。上目遣いの、潤んだ瞳。

「千尋……やばい、気持ちよすぎ」

「んふ♡ もっと、してあげる♡♡」

ちゅぱっ……じゅるるっ……♡♡

頬をすぼめて、吸い上げる。深く咥えるたびに、全身に電流が走る。

ずぷっ……ずぷっ……♡♡

「待って、それ以上は……イっちゃう」

ぷはっ、と口を離す千尋。唇が、唾液でてらてらと光っていた。

「だーめ♡ まだイっちゃ、だめだよ♡」

いたずらっぽく笑う千尋を、ベッドに引き上げた。ザックに入れていた財布から、コンドームを取り出す。

「……用意、いいんだ?」

「いや、これは、その……一応」

「ふふ♡ いいよ、責めてない♡ つけて♡」

手早く装着して、千尋を仰向けにした。栗色の髪が、シーツに広がる。月明かりに照らされた裸体が、青白く輝いている。脚の間に体を滑り込ませて、先端を入り口にあてがった。

ぬちゅ……♡

「入れるよ、千尋」

「うん♡ 来て……竜也のが、ほしい♡♡」

ゆっくり、腰を進める。

ずぷ……ずぷぷ……♡♡

「あぁっ♡♡♡ 入って、くるぅ♡♡♡」

きゅうきゅうと締め付けながら、奥へ引き込んでくる。

「おっきい♡♡ おなかの中、広がってく♡♡♡」

ずぷん♡♡

根元まで、収まった。下腹部が、ぴたりと密着する。

「はぁっ♡♡ 全部、入った♡♡ 奥まで、来てる……♡♡♡」

「動くよ」

ゆっくり腰を引いて、また押し込む。

ずるっ……ずぷんっ♡♡

パンっ♡

「ああっ♡♡♡」

パンッ……パンッ……♡♡

リズミカルに、打ちつけ始める。

「あっあっあっ♡♡♡ 竜也っ♡♡ 気持ちいいっ♡♡♡」

千尋が、俺の背中にしがみついてくる。爪が、背中に食い込んだ。少し痛い。でも、それがまた、たまらなく興奮する。肌と肌がぶつかる音が、静かな部屋に響いた。

パンパンパンッ♡♡♡

「奥っ♡♡♡ 奥に、当たってるっ♡♡♡♡」

千尋の脚が、俺の腰に絡みつく。もっと奥を求めて。

「やべ、千尋……登山で疲れてんのに、止まんねえ」

「ふふっ♡ 筋肉痛なのに……♡♡ 明日、絶対やばいよ、これ♡♡」

笑い合いながら、繋がったまま、また腰を打ちつける。達成感ごと、抱きしめるように。

「もっとっ♡ もっと、奥っ♡♡♡」

角度を変えて、突き上げる。

「そこぉっ♡♡♡♡」

千尋の腕が崩れ、お尻が浮く。さらに奥を突くと、結合部から、卑猥な水音が溢れた。

パンパンパンパンパンッ♡♡♡♡♡

ぐちゅぐちゅぐちゅ♡♡♡

「やばっ♡♡ また、来るっ♡♡ イっちゃうっ♡♡♡♡」

「俺も、もう……っ」

「一緒に……♡♡♡ 一緒にイこっ……♡♡♡♡」

千尋が、背中に両腕を回してしがみつく。脚も、がっちり腰に絡む。奥に押し付けるように――最後の一突き。

「あぁぁっ♡♡♡♡♡!!」

「イく……っ!」

どくんっ、どくっ、どくっ……!

「イっ……イくぅっ♡♡♡♡♡♡」

千尋の全身が震えて、中が、痙攣するように搾り取っていく。

びくんっ、びくんっ、びくんっ♡♡♡

「はぁっ♡♡ はぁっ♡♡ ……すごかった……♡♡♡」

抱き合ったまま、荒い呼吸を繰り返した。ちゅ、と軽くキスをする。

「……まだ、抜かないで♡」

繋がったまま、お互いの心臓の音を聞いていた。しばらくして、千尋がくすっと笑った。

「……ねえ、竜也」

「ん?」

「……まだ、元気だよね♡♡」

繋がった場所で、また硬くなり始めているのが、千尋にもわかったらしい。

「千尋が、気持ちよすぎて」

「もう♡ 謝らないでよ♡ ……今度は、私が動く♡」

新しいゴムに替えて、千尋が俺の上にまたがった。騎乗位。栗色の髪が、肩から胸へと流れ落ちる。月明かりに照らされた千尋を、下から見上げる。揺れる胸、引き締まったお腹、そして繋がっている場所。角度を調整して――

ずぷん♡♡

「あっ♡♡♡ この体勢、奥まで……入るっ♡♡♡」

ゆっくり、腰を上下させ始める。

ずぷ……ずちゅ……ずぷっ♡♡

「ん♡♡ 自分で動くの、すごっ♡♡♡」

目の前で、胸がぷるんぷるん揺れる。両手を伸ばして、掴んだ。

むにゅっ♡♡

「ひゃんっ♡♡♡ 揉んだら、動けなくなるっ♡♡♡」

「いいから。動いて、千尋」

ぱんっ♡ ぱんっ♡ ぱんっ♡♡

「あっあっあっ♡♡♡ 奥っ……いい場所に、当たってるっ♡♡♡♡」

千尋が、腰を回すように動き始めた。ぐりんぐりんと、中をかき回される。

「これ……山で鍛えた、腰だから♡♡♡」

「反則だろ、それ……っ」

ぐちゅるっ♡♡ ぐちゅるっ♡♡♡

下から、突き上げる。

ずぷんっ♡♡♡

「ひぁっ♡♡♡♡ 下から、だめっ♡♡♡」

千尋の動きと、俺の突き上げが、一番奥でぶつかる。

パンパンパンパンパンッ♡♡♡♡♡

ぐちゅぐちゅぐちゅ♡♡♡♡

「だめっ♡♡♡ イくイくイくっ♡♡♡♡♡」

「俺も、もう出る……っ!」

「一緒にっ♡♡♡♡ また一緒にっ♡♡♡♡♡」

ずぷんっ♡♡♡♡

最後の一突きを、奥に叩き込む。

「イくぅぅっ♡♡♡♡♡♡」

どくんっ、どくっ、どくっ、どくっ……!

「あぁぁぁっ♡♡♡♡♡ すごっ……♡♡♡ いっぱい……♡♡♡♡」

びくんっ、びくんっ、びくんっ♡♡♡♡

千尋が、力を失って、俺の上に倒れ込んできた。汗だくの体を、ぎゅっと抱きとめる。

「はぁっ♡♡ はぁっ♡♡ ……最高、だった……♡♡♡♡」

「俺も。千尋」

ちゅ、と汗ばんだ額にキスをした。二人で、しばらく荒い息を繰り返す。窓の外には、月に照らされた富士山が、静かにそびえていた。

「……あの山、登ったんだよな、俺たち」

「ふふ♡ 今朝、あの上で、手を繋いでたんだよ♡」

千尋が、俺の胸に頬を寄せて、目を閉じた。

「……ねえ、竜也」

「ん?」

「明日、絶対、二人とも筋肉痛で動けないと思う♡」

「確実だな」

「ふふ♡ 一緒に、よちよち歩こうね♡」

くすくす笑いながら、千尋が俺の腕の中で、すうっと寝息を立て始めた。栗色の髪から、日焼け止めとシャンプーの混ざった、いい匂いがした。

(……すごい一日だったな)

俺も、千尋を抱きしめたまま、目を閉じた。

――朝。

カーテンの隙間から差し込む光で、目が覚めた。千尋は、まだ俺の腕の中で眠っている。下ろした髪が、頬にかかって、寝顔がとんでもなく無防備で可愛い。

すぅ……すぅ……。

(夢じゃ、なかった)

そっと窓の外を見て――息を呑んだ。朝日を浴びた河口湖。鏡みたいに静かな湖面に、富士山がくっきりと映り込んでいた。

逆さ富士。

「……うわ」

「ん……♡ 竜也……?」

千尋が目を覚ました。寝起きの、少しかすれた声。

「おはよ。千尋、見て。逆さ富士」

千尋が、窓に駆け寄って、息を呑んだ。

「わぁ……♡♡ きれい……♡♡」

朝の光を浴びた横顔が、昨日のご来光のときと同じように輝いている。

「……綺麗だ」

「逆さ富士でしょ?」

「……いや、千尋が」

千尋の頬が、ぽっと赤くなる。

「……だから、それ反則だってば♡」

そう言いながら、俺の腕に、そっと自分の腕を絡めてきた。並んで窓辺に立って、逆さ富士を眺める。しばらくして、千尋が、ぽつりと言った。

「ねえ、竜也」

「ん?」

「……次は、北アルプス、登ろうよ」

「北アルプス?」

「うん。富士山より、ずっと綺麗な稜線があるの。テント担いで、二人で」

千尋が、こっちを見上げて、にっこり笑った。

「次は……二人で、ね♡」

俺は、その意味を理解した。これは、ただの一晩じゃない。次の約束だ。次の山が、もう決まってる。

「……ああ。行こう。二人で」

「ふふ♡ じゃあ、生徒くん、もっと体力つけないとね♡」

「先生、お手柔らかに」

「やだ♡ 北アルプス、富士山の比じゃないから♡」

くすくす笑いながら、千尋がぎゅっと腕にしがみついてきた。

「……でも、ペースメーカーがいてくれるなら、どこでも登れる気がする」

「……うん♡ 私が、ずっと隣を歩くから♡」

俺は、絡んだ腕に、そっと手を重ねた。次の山も、その次の山も。ずっと隣に、この人がいてほしい。だったら、ちゃんと言葉にしないと。

「千尋。山の上で言うのは反則かもしれないけど」

「……うん?」

「俺と、付き合ってくれ。北アルプスも、その先も、恋人として一緒に登りたい」

千尋の目が、まんまるになった。それから、じわっと潤んで、ぽろっと一粒こぼれた。

「……ずるい。また、泣かせる気?」

「泣くなって。返事は?」

「……うん。私も、竜也のことが好き♡ ……今日から、恋人ね♡」

そう言って、千尋が背伸びして、俺の唇に、ちゅっと軽くキスをした。

「これで、決まり♡ 逃がさないからね、生徒くん♡」

逆さ富士が、朝の風でゆらりと揺れた。

ドタキャンされて、ヤケクソで登り始めた富士山。七合目でへたり込んだ俺に、飴を一粒くれた人が――今、俺の隣にいる。

これは、たまたまの一晩なんかじゃない。きっと、何度でも一緒に山に登る、その始まりの日だ。

窓の外、青く澄んだ空に、富士山が、どこまでもまっすぐにそびえていた。

― 終 ―


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