俺、佐伯拓海、27歳。中堅メーカーで営業をやっている、どこにでもいる社会人だ。
6月のある月曜。梅雨の合間の、珍しく晴れた朝だった。 俺は会社からの指示で、都内の研修センターで行われる2日間の中堅社員研修に参加することになっていた。
(……正直、面倒くせえな)
外部の研修なんて、グループワークだのロールプレイだので、丸2日拘束される。営業の数字を追いかけてる身からすると、机に縛りつけられる2日間は地味にしんどい。 でも、課長から「お前そろそろ後輩を指導する立場なんだから、ちゃんと受けてこい」と言われたら断れない。
研修センターは、駅から歩いて10分の小綺麗なビルだった。 受付で名札を受け取って、指定された会議室に入る。20人ほどの中堅社員が、いろんな会社から集められていた。 俺は後ろの方の席に座って、配られたテキストをパラパラめくる。定刻になって、進行役の女性が前に立った。
「皆さん、おはようございます。本日はお集まりいただきありがとうございます。これから2日間、講師を務めさせていただきます——」
俺はテキストに目を落としたまま、半分くらいしか聞いていなかった。
「——人材育成コンサルティングの、篠宮千夏と申します」
その名前を聞いた瞬間。俺の頭が、ぐらりと揺れた。
(……篠宮、千夏?)
弾かれたように顔を上げた。 教壇に立っていたのは——栗色のロングヘアを後ろで緩くまとめた、紺のパンツスーツの女性。 理知的な切れ長の目。すっと伸びた背筋。よく通る声で、淀みなく挨拶を続けている。間違いない。 篠宮千夏。5年前に別れた、俺の元カノだった。
千夏も、視線を泳がせた拍子に、俺と目が合った。その瞬間、彼女の言葉が、ほんの一瞬、止まった。
「——え、と……本日は、よろしくお願いいたします」
ほんのコンマ数秒。でも俺には分かった。彼女も、固まった。20人の参加者の誰も気づかないくらいの、一瞬の動揺。
千夏はすぐに講師の顔に戻って、研修の進行を始めた。
(マジか……なんでこいつがここに……)
心臓が、嫌なくらい速く打っていた。篠宮千夏、俺と同い年の27歳。大学の同じゼミで知り合って、2年付き合った。 明るくて、でも芯が強くて、言いたいことははっきり言うタイプの女だった。 俺が落ち込んでると、いつも隣でからっと笑って背中を押してくれた。
別れたのは、就活がすれ違ったから。俺は東京の今の会社に決まって、千夏は地元の関西に帰る企業に内定をもらっていた。 遠距離になるのが怖くて、お互い若くて、未来を信じきれなくて—— どっちが悪いわけでもないまま、なんとなく別れてしまった。
円満だった、と思う。でも、本当に円満だったかと言われると、今でも分からない。 別れ際、千夏が玄関で「……元気でね、拓海」と言ったときの、あの声を、俺はずっと覚えていた。
それが今、目の前で、講師として喋っている。
午前中の研修は、正直ほとんど頭に入らなかった。千夏の声を聞いているだけで、5年前の記憶が次から次へと蘇ってくる。 理知的な敬語で話す千夏は、俺の知らない大人の女になっていて。 でも、説明の合間にふっと笑うとき、口元を手で隠す癖は——昔のままだった。
(あの癖、変わってないんだな……)
午前の最後は、グループワークだった。 4人ずつのグループに分かれて、与えられた課題について議論する。千夏は各グループを巡回して、アドバイスをしていく。
俺のグループの番が回ってきた。 千夏が、すっと俺の隣に立つ。ふわりと、懐かしい香りがした。昔と同じ柔軟剤の匂い。
千夏は、俺たちが書いた模造紙を覗き込むフリをしながら—— 小さく、本当に小さく、俺にだけ聞こえる声で言った。
「……久しぶり」
胸の奥が、ぎゅっと縮んだ。
「……ああ。久しぶり」
「びっくりした。名簿見たとき、同姓同名かと思った」 「俺も。マジで固まった」
千夏は模造紙のある一点を指差して、いかにも「ここをこう直すといい」みたいなジェスチャーをしながら、口元だけで笑った。
「この案、悪くないです。もう少し顧客視点を足すと良くなりますよ」
声のトーンだけ、講師に戻る。そのギャップが、なんだか可笑しくて、俺は思わず吹き出しそうになった。
「……仕事中なのに、器用だな」
「当たり前でしょ。これが私の仕事なんだから」
そう言って、千夏は次のグループへ歩いていった。 その背中を見送りながら、俺の心臓はまだバクバク鳴っていた。
午後の研修も、あっという間に過ぎた。気づけば、初日の終了時刻。
「では、本日はここまでとします。明日もよろしくお願いします。お疲れさまでした」
千夏の声で、初日が終わった。参加者たちが三々五々、帰っていく。俺も荷物をまとめて、会議室を出た。
エレベーターを降りて、ビルの外に出る。 6月の夕方の、湿った空気。でも雨は降っていなかった。駅に向かって歩き出すと——後ろから声がした。
「拓海」
振り返ると、千夏が立っていた。講師の名札はもう外していて、スーツのジャケットを腕にかけている。
「……駅、こっちでしょ。一緒に行っていい?」
タメ口だった。さっきまでの理知的な敬語じゃない。昔の、俺だけが知ってる千夏の声。
「……ああ。同じ方向だ」
並んで歩き出す。5年ぶりに、二人で並んで歩いていた。
「営業やってるんだ。メーカーの」
「ああ。お前は、研修講師か」
「うん。新卒で入った会社辞めて、3年前に今の会社に転職したの」
「へえ。意外だな。お前、ずっと最初の会社にいると思ってた」
「人前で喋るの、向いてたみたい。自分でもびっくり」
ふっ、と千夏が笑った。口元を手で隠して。その仕草を見て、俺はまた胸が締めつけられた。
歩きながら、5年の空白を、ぽつぽつと埋めていった。 お互いの仕事のこと、住んでる場所のこと、共通の友達の近況。
「……お前さ、結婚とかは」
聞いてから、しまった、と思った。でも千夏は、案外あっさりと首を振った。
「してない。彼氏も、今いないよ」
「……そうなんだ」
「拓海は?」
「俺も。フリーだよ」
一瞬、二人とも黙った。 6月の夕暮れの中、お互いの「フリー」という言葉が、妙に重く響いた。
「……ふぅん」
千夏が、何か言いたげに俺を見て、でも結局何も言わずに前を向いた。駅に着いて、改札の前で立ち止まる。
「じゃあ、また明日。……研修で」
「ああ。また明日」
千夏は改札を抜けて、振り返らずに人混みに消えていった。俺はしばらく、その場に突っ立っていた。
(……明日も、会えるのか)
そう思った瞬間、面倒だと思っていた2日間の研修が、急に特別なものに変わっていた。
翌日。研修2日目。
朝から、千夏は完璧な講師モードだった。昨日のことなんてなかったみたいに、理知的で、隙がなくて。 俺は前の方の席に座って、今日はちゃんと話を聞いた。彼女が真剣に喋ってる姿は、正直、めちゃくちゃ格好良かった。
午前の研修が終わって、昼休み。 他の参加者たちが食事に出ていく中、俺はスマホを見ながら廊下をぶらついていた。すると、後ろからツンと背中をつつかれた。振り返ると、千夏だった。
「拓海。屋上、行かない?」
「屋上?」
「このビル、屋上に出られるの。下のコンビニで何か買って、一緒に食べよ」
昔とまったく同じ、悪戯っぽい笑顔だった。 コンビニでおにぎりとサンドイッチとお茶を買って、屋上に出た。梅雨の晴れ間。 湿った風が吹いていて、空はうっすら曇っていたけど、雨は降りそうになかった。 給水塔の影に、二人で並んで座った。
「久しぶりだね、こういうの。昔、大学の屋上でよく食べたじゃん」
「ああ。お前、いっつも俺の弁当のおかず取ってったよな」
「だって拓海のお母さんの卵焼き美味しかったんだもん」
千夏がサンドイッチをかじりながら、けらけら笑う。 講師モードのときの理知的な敬語が、すっかり剥がれ落ちて、昔の千夏に戻っていた。
しばらく、他愛もない話で笑い合った。 でも、ふと会話が途切れた瞬間——千夏が、お茶のペットボトルを両手で握って、少し俯いた。
「……ねえ、拓海。昨日からずっと、聞きたかったことがあるんだけど」
「なんだよ」
「あのとき……私たちが別れたとき。拓海は、本当に別れたかったの?」
不意打ちだった。俺は、おにぎりを持つ手を止めた。
「……なんで今さら」
「気になってたの。ずっと。5年間、ずっと」
千夏は俯いたまま、続けた。
「私さ、本当は別れたくなかったんだ。遠距離でも、続けたかった。でも、拓海が『お互い若いんだし、無理に縛り合わないほうがいい』って言ったから……私も、強がって、うんって言っちゃった」
「ずっと後悔してた。あのとき、もっとちゃんと『嫌だ』って言えばよかったって」
風が吹いて、千夏の栗色の髪が揺れた。俺は、しばらく言葉が出なかった。そして、ようやく、口を開いた。
「……俺も、別れたくなかった」
「……え」
「あのとき強がってたの、お前だけじゃない。俺も、本当はずっと続けたかった。でも、お前を東京に縛りつけて、夢を諦めさせるのが怖かった。だから、わざと突き放すみたいなこと言ったんだ」
千夏が、顔を上げた。その目が、潤んでいた。
「ずっと後悔してたよ。あんな別れ方しなきゃよかったって」
「……バカ」
「ああ。バカだったよ、俺」
千夏が、ふっと笑った。でも、目には涙が溜まっていた。
「五年も、お互い同じこと思ってたんだ。私たち」
「……みたいだな」
二人の間に、5年分の沈黙が降りた。 でもそれは、気まずい沈黙じゃなかった。ずっと言えなかったことを、やっと言えた、温かい沈黙だった。
昼休みの終わりのチャイムが鳴って、俺たちは慌てて立ち上がった。午後の研修が始まる。
「……午後、また講師モードに戻るけど。許してね」
「ああ。頑張れよ、先生」
千夏が、もう一度、口元を手で隠して笑った。
午後の研修が終わって、2日間の全プログラムが終了した。
「以上で、2日間の研修を終了します。皆さん、本当にお疲れさまでした」
千夏の、最後の挨拶。参加者たちが拍手をして、解散になった。
研修後、参加者の何人かが「打ち上げ行きましょう」と盛り上がっていた。俺も誘われたけど——
「悪い、今日はちょっと用事あって」
そう言って断った。理由は、決まっていた。
会議室を出て、ビルの外で待っていると、しばらくして千夏が出てきた。 名札を外して、髪を下ろしている。講師モードの千夏じゃない。昔の、俺の千夏だった。
「……打ち上げ、行かなくてよかったの?」
「お前と飲みに行きたかったから」
千夏が、ぱちぱちと瞬きをして、それから赤くなった。
「……なにそれ。ストレートすぎ」
「昔よく行った居酒屋、覚えてるか。あのチェーンの」
「覚えてるよ。串と、だし巻き卵頼むやつでしょ」
「あれ、この近くにも系列店あるんだ。行こう」
「……うん。行く」
駅前のその居酒屋は、昔通った店とまったく同じ内装だった。 木目の壁、赤い提灯、油の匂い。個室の座敷に通されて、向かい合って座る。
「とりあえず、生で」
「私も生。あと、串の盛り合わせと、だし巻き卵」
「……ほんとに昔と同じの頼むのな」
「だって、これが私たちの定番じゃん」
ビールが来て、乾杯した。昔と同じ味。昔と同じ会話。でも、二人とも、5年分大人になっていた。
話は尽きなかった。別れてからの5年で起きたこと、辛かったこと、楽しかったこと。 千夏は、転職で苦労した話を、笑いながら話した。俺は、営業でクレーム対応に追われた話をした。
「拓海、ちょっと逞しくなったね。昔より」
「お前も。講師やってるとこ見て、びっくりした。格好よかった」
「……っ、もう。急に褒めないでよ」
千夏が、口元を手で隠して笑う。 その癖を見るたびに、俺の中で、何かが固まっていく。もう一度、この女と——という気持ちが。
気づけば、外はすっかり暗くなっていた。 盛り上がって、何杯目かのビールを飲んで。ふと、千夏が時計を見て、はっとした顔をした。
「……あ」
「どうした」
「ううん。なんでもない」
千夏は、何か言いかけて、口をつぐんだ。 俺も、実は気づいていた。終電の時間が、もう近いことに。でも——言い出せなかった。 このまま、終わってほしくなかったから。
俺たちは、わざとらしく話を続けた。時計を見ないフリをして。 店員が「ラストオーダーです」と言いに来ても、デザートを追加した。
そして、ついに、店を出た。駅に向かって歩く。でも、二人とも、歩くスピードが、やけに遅かった。 駅前の時計が、終電の時刻を、とっくに過ぎているのを示していた。
千夏が、立ち止まった。俺も、立ち止まる。千夏が、俺を見上げて——少し震える声で、言った。
「……終電、行っちゃったね」
俺の心臓が、跳ねた。 千夏の目が、潤んで、揺れていた。それは、責めているんじゃなくて——確かめているんだ、と分かった。
「……ああ。行っちゃったな」
「……どうしよっか」
「……千夏」
俺は、千夏の手を、そっと握った。 千夏は、振り払わなかった。握り返してきた手は、少し冷たくて、震えていた。
「……一緒に、行くか」
「……うん」
小さく、でもはっきりと、千夏は頷いた。
駅前のシティホテルに、二人で入った。 チェックインを済ませて、エレベーターに乗る。誰もいない箱の中で、二人とも、無言だった。 緊張と、懐かしさと、もう止められない気持ちが、混ざり合っていた。
部屋に入って、ドアが閉まる。その瞬間、空気が、変わった。
「……なんか、緊張する」
千夏が、俯きながら言った。
「俺も」
「5年も経ってるのに……拓海と、こうなるとか……」
「夢みたいだよ」
俺は、千夏の頬に、そっと手を添えた。 千夏が、びくっと震えて、でも逃げなかった。ゆっくりと、顔を上げる。潤んだ瞳。半分開いた唇。 5年前と、同じ顔。
「……キス、していいか」
「……聞かなくても、いいよ」
俺は、ゆっくりと顔を近づけた。
ちゅ……
5年ぶりの、唇。柔らかくて、ビールの苦さと、千夏の甘さがした。
「ん……っ」
千夏の体が、ぴくっと震えた。一度離れて、もう一度。今度は、少し深く。 ちゅ……ちゅぷ……
「ん……ぅ……♡ 拓海の、キス……懐かしい……♡」
「お前も。全然、変わってない」
唇を重ねながら、俺の手が、千夏の背中に回る。千夏も、俺のシャツをぎゅっと掴んできた。 舌を差し入れると、千夏も、おずおずと舌を絡めてくる。
ちゅる……れろ……ちゅぷ……
「は……っ、ん……♡」
キスしながら、ベッドの方へ移動する。千夏を、そっとベッドに座らせた。スプリングが、きしっと鳴る。
「……拓海。あんまり、見ないで。5年で、ちょっと太ったかも……」
「バカ。お前、昔より綺麗になってるよ」
「……っ、ずるい。そういうとこ」
俺は、千夏のブラウスのボタンに、手をかけた。 一つ、また一つ。ボタンが外れるたびに、白い肌が現れる。ローズピンクのブラに包まれた、豊かな胸。
「……綺麗だ」
「やだ……恥ずかしい……♡」
千夏が、顔を背けた。俺は、ブラウスを肩から滑り落として、背中のホックに手を回した。
パチン。
ブラが、緩んで落ちる。ぷるんっ、と、柔らかな胸が、解き放たれた。
「だから、見ないでってば……♡」
形のいい、たっぷりとした胸。薄いピンクの乳首が、もう少し、硬くなりかけていた。 俺は、片方の胸に、そっと手を添えた。
むにゅっ……
「あっ……♡」
「……柔らかい」
手のひらに収まりきらない、柔らかな重み。指が沈み込んで、離すと、ぷるんと戻ってくる。 昔も触っていたはずなのに、5年ぶりの感触は、新鮮で、たまらなかった。ゆっくりと、揉みしだく。 むにゅ……ふにゅ……
「ん……っ、あ……♡ そこ……♡」
「感じてる?」
「……っ、言わせないで……♡」
乳首を、指の腹で、そっと転がす。
くりっ……
「ひぁっ♡ そこ……っ♡」
千夏が、大きく仰け反った。昔から、ここが弱かったのを、思い出す。
「ここ、相変わらず敏感だな」
「……っ、覚えてるの、ずるいよ……♡」
両方の乳首を、同時につまんで、くりくりと弄ぶ。
くりくりっ♡ こりこりっ♡
「あぁんっ♡ だめっ……両方、いっぺんにっ……♡」
千夏の呼吸が、荒くなっていく。俺は、片方の胸に、顔を埋めた。 ちゅぷっ♡
「ひゃぅっ♡♡ す、吸っちゃ……っ♡」
乳首を口に含んで、舌先で、ねっとりと舐め回す。 れろっ♡ ちゅるっ♡ ちゅうぅっ♡
「あっ♡ あっ♡ やぁっ♡ 拓海ぃ……♡ きもちいぃ……♡」
片方を口で、もう片方を指で。 交互に責めていると、千夏の声が、どんどん甘く、とろけていく。昔の、敬語の講師モードなんて、跡形もなかった。
「拓海……っ、私だけ脱がされてるの、恥ずかしい……♡ 脱いで……♡」
俺は、シャツを脱ぎ捨てた。千夏が、俺の胸に、そっと手を当てる。
「……ちょっと、鍛えた? 昔より、しっかりしてる……♡」
「営業で歩き回ってるからな」
「……えっち♡」
そう言って、千夏は、俺のベルトに手をかけた。
カチャ……ジー……
ズボンを下ろすと、下着の中で、もうパンパンに張り詰めているのが、丸わかりだった。
「……っ、すごい♡ もう、こんなに……♡」
「お前がエロすぎるからだろ」
「もう……♡ でも、嬉しい♡」
千夏が、おずおずと、下着の上から、俺のモノに触れた。
さわっ……にぎっ……
「……熱い♡ それに、昔より……おっきい気がする……♡」
「気のせいだろ」
「ううん。絶対、おっきくなってる……♡」
千夏が、下着のゴムに指をかけて、ゆっくりと下ろした。 ぼろんっ♡
「……わ♡ ねえ。私、してあげたい♡」
「……いいのか」
「うん。5年分、ちゃんと、可愛がってあげたいの♡」
千夏が、ベッドの上で、俺の前に、ちょこんと膝をついた。両手で、俺のモノを包み込む。 にぎっ……しゅっ……しゅっ……
「ん……♡ 拓海の……硬い……♡」
「千夏の手、気持ちいい……」
「ふふ♡ じゃあ、お口でも……♡」
千夏が、先端に、ちゅっとキスをした。
ちゅっ♡ ちゅぷっ♡
小さなキスを繰り返してから、ゆっくりと、咥え込む。 ずぶ……ちゅぷ……♡
「っ……千夏……っ」
温かくて、濡れていて、舌が、ねっとりと絡みついてくる。千夏が、ゆっくりと、頭を上下させ始めた。 じゅぶっ♡ ちゅぷっ♡ じゅるるっ♡
「んぷっ……ちゅるっ……れろれろ……♡」
「くっ……上手くなったな、お前……」
「んっ♡ ……拓海のだから、上手にしたいの♡」
千夏が、上目遣いで、俺を見上げる。 唇でしっかり圧をかけながら、舌先で、裏筋をなぞってくる。先端に来るたびに、ちゅるんっと、舌で転がす。
じゅぷっ♡ ちゅぱっ♡ じゅるるるっ♡
「んんっ♡ ……拓海の味、懐かしい……♡」
「やべっ……千夏、気持ちよすぎ……」
「んっ♡ もっと、してあげる……♡」
ずぶっ♡ ずぶっ♡ じゅぷぷぷっ♡
奥まで咥え込んで、喉の奥が、当たる。
「んぐっ……♡ んぷっ……♡」
「っ……千夏、一回、止めてくれ。このままだと、出ちゃう」
「んっ……ぷはっ♡ ……だめ。まだ、出さないで♡ 私の中で、出してほしいの……♡」
そう言って、千夏は、口を離した。唾液の糸が、つぅっと、光る。
「……エロいな、お前」
「……っ、拓海限定だよ♡」
千夏が、ベッドに横になった。スカートとストッキングを脱いで、自分から、ショーツに手をかける。
「……見て♡ こんなに、なっちゃった♡」
ローズピンクのショーツが、はっきりと、湿っていた。ゆっくりとショーツを脱がすと—— つぅーーっ♡ 蜜が、糸を引いた。
「……恥ずかしい♡ こんなに濡れてるの、見ないで……♡」
「見るに決まってるだろ。すげー、綺麗だよ」
「もう……っ♡」
千夏の秘所は、とろとろに、濡れていた。 指を一本、そっと、滑り込ませる。 ずちゅっ♡
「ひぁっ♡♡」
「すごい……もう、こんなに……」
「だって……っ、5年も、拓海に触られてなかったんだもん……♡」
指を、ゆっくり出し入れすると、くちゅくちゅと、音がする。
くちゅっ♡ くちゅくちゅっ♡
「あっ♡ あっ♡ きもちいぃ……♡」
二本目の指を入れて、前壁の、少しざらついた場所を、こりこりと擦る。 ぐちゅっ♡ ぐちゅぐちゅっ♡
「ひあっ♡♡ そこっ♡ そこ、やばいっ♡♡」
「ここ、好きだったよな」
「……っ、覚えてるの、ほんとずるいっ♡♡」
親指で、クリを、同時に刺激する。 くりくりっ♡ ぐちゅぐちゅっ♡
「あっ♡ あっ♡ あっ♡ だめっ♡ それ、両方されると……っ♡♡ もう……っ♡」
「イきそう?」
「うんっ♡ もう、我慢できないっ♡ 拓海、入れて……っ♡ お願いっ♡」
俺は、財布から、ゴムを取り出そうとした。 すると、千夏が、俺の手を、そっと止めた。
「……あの♡ 私、ピル飲んでるから……♡ もし、拓海がよかったら……そのまま、して?♡」
「……いいのか」
「うん♡ ……5年ぶりだもん。拓海のこと、全部、直接、感じたいの♡」
その言葉に、俺の中で、何かが弾けた。 千夏の足の間に、体を入れる。先端を、とろとろの入り口に、当てた。
「いくぞ、千夏」
「うん……っ♡ 優しく、してね……♡」
ずぷっ……♡
「んあぁっ♡♡♡」
先端が入った瞬間、千夏が、甲高い声を上げた。 きつい。めちゃくちゃ、きつい。 なのに、とろとろに濡れているから、吸い込まれるように、奥へ入っていく。 ずず……ずぷぷっ……♡
「あぁっ……♡ おっきいの、入ってくるぅ……♡ 奥まで……っ♡」
「くっ……千夏の中、めちゃくちゃ気持ちいい……」
「ほんと……?♡ 私も……っ♡ 拓海ので、いっぱいになってる……♡」
奥まで、入りきった。 千夏の中が、ぎゅうぎゅうと、俺を締め付けてくる。昔の感触と、同じで、でも、もっと、深かった。
「動くぞ」
「うん……っ♡」
ずちゅっ♡ ぱんっ♡
「ひぁっ♡」
ずちゅっ♡ ずちゅっ♡ ぱんっ♡ ぱんっ♡
「あっ♡ あっ♡ あっ♡ 拓海っ♡」
正常位で、ゆっくりと、腰を動かす。 引くときに、きゅっと締まって、入れるときに、とろっと受け入れてくれる。 その繰り返しが、信じられないくらい、気持ちよかった。 ぱんっ♡ ぱんっ♡ ぱんっ♡
「あぁっ♡ やっ♡ そこっ♡ そこ、気持ちいいっ♡♡」
「ここか?」
ぐちゅっ♡♡
「ひあぁぁっ♡♡♡ そこぉっ♡♡」
奥の方を突くと、千夏が、大きく体を跳ねさせた。
「そこ当たると……っ♡ おかしくなっちゃうのぉ……♡♡」
「じゃあ、そこ、たくさん突いてやる」
ぱんっ♡ ぱんっ♡ ずちゅっ♡ ぱんっ♡
「あっ♡あっ♡あっ♡あっ♡ だめっ♡ そこばっかりっ♡♡ 壊れちゃうっ♡♡」
千夏の胸が、突くたびに、ぶるんぶるんと揺れる。 栗色の髪が、シーツの上で乱れて、汗で頬に張り付いている。 講師モードの、凛とした千夏とは、別人みたいな表情。 そのギャップが、エロすぎて、腰の動きが、どんどん速くなる。 ぱんぱんぱんぱんっ♡♡♡
「あああっ♡♡ 拓海っ♡ きもちいいっ♡♡ すごいのっ♡♡」
「俺も……千夏の中、よすぎて……っ」
「ねぇっ♡ 拓海っ♡ ……抱きしめて♡ ぎゅってして♡」
俺は、体を倒して、千夏を、強く抱きしめた。 胸と胸が、密着する。腰を動かしながら、千夏の耳元で、囁いた。
「千夏……好きだ。やっぱり、お前のことが好きだ」
「……っ♡♡ 私もっ♡ ずっと、好きだったっ♡ 拓海のこと、一回も、忘れたことなかったっ♡♡」
抱き合ったまま、腰を打ちつける。 ぱんぱんぱんっ♡♡
「あっ♡ あっ♡ イクっ♡ 拓海っ♡ 一緒に、イこっ♡♡」
「ああ……俺も、もう……っ」
「中にっ♡ 中に、いっぱい出してっ♡ 5年分、全部っ♡♡」
ぱんぱんぱんぱんっ♡♡♡ ずぷぷぷっ——♡♡♡
「あぁぁぁっ♡♡♡ イクっ♡ イクイクっ♡♡ きてるっ♡ 中に、あったかいの、いっぱいっ♡♡♡」
「くっ……千夏っ……!」
奥深くで、全部、出した。 千夏の中が、びくびくと収縮して、搾り取るように、締め付けてくる。
「はぁっ……♡ はぁっ……♡ すごかった……♡ 拓海ので、いっぱいにされちゃった……♡」
「千夏……大丈夫か」
「うん……♡ むしろ、幸せ……♡」
千夏が、とろんとした目で、笑った。 口元を手で隠して笑う、いつもの癖で。でも、その手が、今は、嬉しそうに震えていた。
しばらく、二人で、荒い息を整えていた。 すると、千夏が、ゆっくりと、体を起こした。
「……ねえ、拓海。まだ、元気だよね……?♡」
視線の先を見ると——確かに、まだ、全然、萎えていなかった。
「5年分、まだ、足りないよ……♡ もっと、して?♡」
「……お前、意外と貪欲だな」
「拓海限定だってば♡ ……今度は、後ろから、してほしいな♡」
千夏が、ベッドの上で、四つん這いになった。 ぷりんと突き出されたお尻が、白くて、丸くて——エロすぎた。さっき出したばかりの白いものが、繋がっていた場所から、とろりと溢れている。
「……恥ずかしい♡ こんな格好……♡」
「めちゃくちゃ綺麗だよ、千夏」
「もう……っ♡ 早く、来てよぉ……♡」
とろとろの中に、後ろから、挿入する。 ずぷっ♡♡
「あぁんっ♡♡ バック、深いぃ……♡♡」
この体勢だと、さっきよりも、深く入る。 千夏の中が、きゅうっと締まって、最奥に、密着してくる。 ぱんっ♡ ぱんっ♡
「あっ♡ あっ♡ んんっ♡ やぁ……っ♡ 奥、当たってるぅ……♡♡」
腰を掴んで、リズミカルに突く。 千夏のお尻が、ぶつかるたびに、ぱちんっと、弾力のある音を立てる。 ぱんぱんぱんっ♡♡
「あぁっ♡ これ、好きっ♡ 拓海のが、奥に当たるのっ♡♡ きもちいいのぉ♡♡」
前から手を回して、揺れる胸を、鷲掴みにする。 むにゅんっ♡♡
「ひゃぁっ♡♡♡ おっぱいも、だめぇっ♡♡ 一緒にされると、きもちよすぎっ♡♡」
胸を揉みながら、腰を叩きつける。 ぱんぱんぱんぱんっ♡♡♡
「あああっ♡♡ もうっ♡ またイっちゃうっ♡♡ 拓海と、一緒がいいっ♡♡」
「俺もっ……もう……っ!」
ぱんぱんぱんっ♡♡ ずぷぷぷっ——♡♡♡
「あぁぁぁっ♡♡♡♡ きてるっ♡♡ また、中にっ♡♡ いっぱい、出てるぅ♡♡♡♡」
「くぅっ……! はぁ……はぁ……」
二回目の中出し。 千夏の中が、ぎゅうっぎゅうっと、痙攣するように締め付けてきて、最後の一滴まで、絞り出される。千夏が、そのまま、前に、ぺたんと崩れ落ちた。
「はぁっ……♡ はぁっ……♡ すごい……♡ お腹の中、あったかい……♡」
俺は、千夏の隣に、横になった。 千夏が、すぐに、俺の胸に、顔を埋めてくる。
「……拓海の匂い、懐かしい♡」
「お前も。全然、変わってない」
しばらく、二人で、ぼーっと、抱き合っていた。 窓の外には、夜の都内の灯りが、ぼんやりと滲んでいた。
翌朝。
カーテンの隙間から、朝の光が差し込んでいた。 俺が目を覚ますと、千夏が、俺の腕の中で、すやすやと眠っていた。栗色の髪が、頬にかかっている。 昔と、同じ寝顔だった。
しばらく、その寝顔を眺めていると、千夏が、ゆっくりと目を開けた。
「……ん……おはよ、拓海」
「おはよう」
「……夢じゃ、ないよね。これ」
「夢じゃない。現実だよ」
千夏が、くすっと笑って、俺の胸に、頬をすり寄せた。 俺は、千夏の頭を撫でながら、ずっと考えていたことを、口にした。
「……なあ、千夏。今度は、仕事を言い訳にしない」
千夏が、顔を上げた。
「5年前、俺たちは、就活とか、遠距離とか、いろんなことを言い訳にして、別れた。でも、今は違う。もう、若さを理由に逃げる歳でもない」
「もう一回、ちゃんと、付き合おう。今度は、絶対に、手放さない」
千夏の目が、見る間に、潤んでいく。 そして、ぽろっと、涙がこぼれた。
「……っ、ずるいよ。朝から、そんなこと言うの……」
「返事は?」
「……うんっ♡ 付き合う♡ 私も、もう二度と、離さないっ♡」
涙ぐみながら、千夏が、力いっぱい、俺に抱きついてきた。 俺も、その背中を、しっかりと抱きしめた。5年かかって、やっと、戻ってこれた。
「……まさか、研修の講師がお前だなんてな」
「ふふ♡ こっちのセリフだよ。教壇から拓海を見つけたとき、心臓、止まるかと思った」
「……でも、ね♡ ちゃんと、講師の仕事はやり遂げたでしょ? プロでしょ、私♡」
「ああ。格好よかったよ、先生」
千夏が、口元を手で隠して、嬉しそうに笑った。
それから、ひと月後。
俺たちは、月に一度、デートをするようになった。 名目は、なんと——『研修フォロー面談』。
「だって、会社に堂々と言えるじゃん♡ 『あの研修の参加者と、フォロー面談です』って」
「お前、それ、絶対バレるだろ」
「いいの。半分は、本当にフォローしてるんだから♡」
そう言って笑う千夏は、相変わらず、口元を手で隠す。 でも、もうその笑顔は、講師の凛とした笑顔じゃなくて、俺だけに見せる、柔らかい笑顔だった。
その日、俺は、千夏を会社の飲み会に連れていった。 同期たちが集まる、ちょっとした集まりだ。
「みんな、紹介する。俺の、彼女」
同期たちが、一斉に、こっちを見た。
「篠宮千夏。……実は、5年前に別れた元カノで。この前の研修の講師で、再会して。それで——復縁した」
一瞬の沈黙のあと、同期たちが、わっと沸いた。 「マジか!」「ドラマかよ!」と、口々に騒ぎ立てる。 千夏は、頬を赤くしながら、口元を手で隠して笑った。
「……篠宮です。よろしくお願いします♡ 拓海のこと、これからも、よろしくお願いします」
俺は、千夏の手を、テーブルの下で、そっと握った。 千夏も、握り返してくる。その手は、もう、震えていなかった。
5年前、俺たちは、すれ違って、別れた。 でも、5年後、また巡り合えた。今度こそ、仕事を言い訳になんかしない。 何があっても、この手を、離さない。
帰り道、千夏が、俺の腕に、ぎゅっと腕を絡めてきた。
「ねえ、拓海。来月の『研修フォロー面談』は、泊まりがけにしない?♡」
「……お前、それもう、面談ですらないだろ」
「えへへ♡ バレた?♡」
梅雨明けの、晴れた夜空の下で、俺たちは、声を上げて笑った。
― 終 ―