行きつけの居酒屋の新しい女将が3年前に別れた元カノだった話

2026.06.12NEW

25分で読了

俺、高槻慎吾、29歳。神田の不動産会社で営業をやってる。

仕事柄、外回りで歩き回ってばかりだから、夜に一杯やる店だけはこだわってる。 会社から歩いて5分、路地裏にある老舗の居酒屋「さわたり」。 週に2回は通う、俺にとっての止まり木みたいな場所だ。

カウンター7席に、小上がりが2つ。 親父さんが一人で切り盛りしていて、煮込みと出汁巻きが絶品。 燗の温度がいつも完璧で、疲れた体に染み込むんだ。

その「さわたり」が、先月から改装で長らく休んでいた。 親父さんが腰を悪くしたとかで、いったん閉めるって聞いていた。 正直、もうこのまま閉店かと半分諦めていた。

だから、いつもの路地を曲がって、真新しい木の看板に灯が入っているのを見たとき—— 俺は思わず立ち止まった。

「さわたり」。 墨で書かれた暖簾が、夕方の風に揺れている。 店の前に「改装オープン」の小さな立て看板。

(マジか。やってんのか)

仕事帰り、10月の冷たい風が首筋を撫でる。 迷わず暖簾をくぐった。

カラカラと引き戸を開ける。 木とヒノキの新しい匂い。磨かれたカウンター。明るくなった照明。 内装は新しくなっていたけど、店の骨格はあの「さわたり」のままだった。

「いらっしゃいませ」

その声に、俺は固まった。

親父さんの、低くて気だるいダミ声じゃない。 凛とした、よく通る女の声。

カウンターの中に立っていたのは—— 若い女将だった。

藍染めの割烹着。結い上げた黒髪。白いうなじ。 柔らかい標準語のイントネーションに、ほんの少しだけ京の訛りが混じっている。

俺はその顔を見て、心臓が一回、大きく跳ねた。

(……は?)

知ってる。 この顔を、俺は知っている。

「……っ」

向こうも、俺を見て息を呑んだ。 おしぼりを差し出そうとしていた手が、空中で止まる。

3年ぶりだった。 3年ぶりに見る、その顔だった。

沢渡茜(さわたりあかね)。 当時25歳、今は28歳になっているはずの——

俺の、元カノだった。

「……茜」

口から、勝手に名前が漏れた。

「……いらっしゃいませ、お客様」

茜は一瞬だけ唇を噛んで、それからすっと背筋を伸ばした。 女将の顔に戻る。完璧な、よそ行きの微笑み。

「お一人様、ですか。カウンターへどうぞ」

その他人行儀な敬語が、なぜか胸に刺さった。

俺は、ふらふらとカウンターの真ん中に腰を下ろした。 頭の中がぐちゃぐちゃだった。

なんで茜がここにいるんだ。 京都にいるはずだろ。料亭で修行してるって、最後にそう聞いた。

3年前。 付き合って2年目の冬に、茜は祖父の店を継ぐために京都の老舗料亭へ修行に出た。 俺は「応援する」と言って、送り出した。 かっこつけて、笑って、東京駅のホームで見送った。

そのあとは、よくある話だ。 遠距離。すれ違う時間。だんだん減っていく電話。 半年後、俺たちは別れた。

(祖父の店を継ぐ……?)

頭の中で、何かが繋がりかけた。

割烹着のうなじ。藍染めの暖簾。「さわたり」。

「お客様、お飲み物は」

茜が、俺の思考を遮るように聞いた。 やっぱり、敬語。目を合わせようとしない。

俺は喉がからからに乾いていた。

「……生で」

「かしこまりました」

茜がジョッキにビールを注ぐ。 泡の立て方が、3年前とは比べ物にならないくらい綺麗だった。 きっちり7:3。白い泡がこんもり盛り上がる。

「お通し、です」

小鉢が出てきた。 菊菜と菊の花の白和え。出汁の香りが上品で、京都の料亭で何を学んできたのか、一口で分かった。

「……うま」

思わず声が出た。

茜の手が、ほんの少しだけ止まった気がした。

それから俺は、黙ってビールを飲んだ。 茜も、黙って洗い物をしていた。

カウンター越し、距離にして1メートルもない。 なのに、3年分の沈黙が二人の間に横たわっていた。

他の客が二人、小上がりで盛り上がっている。 その声だけが、やけに大きく響いていた。

会計のとき、俺は意を決して聞いた。

「……親父さんは?」

茜が、ふっと表情を緩めた。初めて、女将じゃなくて茜の顔になった。

「祖父、腰を悪くして。それで、わたしが」

「……継いだのか。この店を」

「はい。三代目です」

そこで、俺はようやく全部を理解した。

「さわたり」。 沢渡茜。

茜が継ぐって言ってた「祖父の店」は—— 俺が3年間ずっと通い続けた、この店だったんだ。

別れたあとも、俺は知らずにこの店に通っていた。 茜のお祖父さんが握った煮込みを食って、燗酒を飲んでいた。

「……マジか」

その偶然の重さに、俺は言葉を失った。

「……またのお越しを、お待ちしてます」

茜はそう言って、深く頭を下げた。 結い上げた髪の、白いうなじが見えた。

俺は逃げるように店を出た。

その夜、布団の中で何度も寝返りを打った。 スマホを開いて、3年前のトーク履歴を眺める。 最後のメッセージは「お互い、頑張ろう」だった。 あのとき、俺はそれが正しいと思っていた。

(茜が、あそこにいる)

たったそれだけのことが、頭から離れなかった。

それから俺は、また「さわたり」に通い始めた。 前と同じ、週2回。いや、たぶん前より多かった。

最初の何回かは、ぎこちなかった。 俺は生ビールと適当な肴を頼んで、茜は女将の敬語で応対する。 それだけ。それ以上は、踏み込めなかった。

でも、皿が一枚出るたびに、少しずつ何かが溶けていった。

ある夜、九条ねぎの入った出汁巻きを食いながら聞いた。

「これ、京都で覚えたのか」

「そうですね。向こうの板長に、しつこく仕込まれて」

「しつこく?」

「ええ。卵を何百個割ったか分かりません。最初の半年、ずっと卵焼きばっかり」

そう言って、茜がふっと笑った。

「もう、卵見るのも嫌になるくらい焼かされはって」

「……今、京都弁出たぞ」

「あっ」

茜が、口元を手で押さえた。頬が、ほんのり赤くなる。

「……たまに、出ちゃうんです。3年もいると」

その照れた顔は、3年前の茜そのものだった。 凛とした女将の仮面の下に、俺の知ってる茜がちゃんといた。

それからは、少しずつ話すようになった。

茜が京都でどれだけ厳しい修行をしたか。 お祖父さんが倒れて、急遽店を継ぐことになった経緯。 改装で予算が足りなくて、銀行を駆けずり回ったこと。

俺も話した。 営業のノルマがきついこと。後輩が一人辞めたこと。 休みの日は寝てるだけのこと。

カウンターの内と外。 皿を挟んだ会話は、いつのまにか昔の調子に戻っていた。

「慎吾さん、相変わらず冷奴の薬味全部のせる人なんやね」

「……あ、また出た」

「もう、ええやんか。慎吾さん相手やと、つい」

茜が、肩をすくめて笑う。 その「慎吾さん」の呼び方に、俺は毎回どきっとした。

でも、それ以上は進まなかった。 俺たちの間には、3年前の「別れ」がまだ横たわっていたから。

そして、ある夜のことだった。

朝から空模様が怪しかった。 夕方には台風並みの雨が降り始めて、神田の路地は川みたいになっていた。

それでも俺は、傘をさして「さわたり」に向かった。 こんな日に客なんて来ないだろうけど、それでも行きたかった。

暖簾をくぐると、案の定、店内に客は俺一人だった。

「……来はったんですか。こんな雨の日に」

茜が、呆れたように笑う。

「来たよ。雨だからこそ、暖かいもん食いたくて」

「ふふ。じゃあ、煮込み温めますね」

俺はカウンターの端に座って、燗酒を頼んだ。 窓の外、雨が叩きつける音だけが響いている。 店の中だけが、ぽつんと暖かかった。

煮込みを食って、燗を飲んで。 ぽつりぽつりと、二人で話した。

そのうち、雨はますます強くなった。 電車も止まりそうな勢いだった。

茜が、ちらっと時計を見た。 それから、店の入り口に向かって歩いていって——

「……今日、もう閉めます」

カラララ、と暖簾を内側に下ろした。まだ8時前だった。

「え、いいのか?」

「こんな雨ですもん。どうせ、お客さん来はらへんし」

茜が振り返って、俺を見た。 女将の顔じゃなかった。少し、不安そうな、昔の茜の顔だった。

「……慎吾さん。せっかくやから……飲み直しません?」

その声が、少しだけ震えていた。

「……ああ。いいな」

茜がカウンターの中に戻って、いい酒を一本出してきた。 こっち側じゃなくて、カウンターの俺の隣の席に、自分の猪口を置いた。

内と外じゃなくて、初めて、横に並んだ。

「これ、京都の蔵元の。隠してたやつ」

とくとく、と酒を注ぐ。 俺の猪口に。それから、自分の猪口に。

「……再会に」

「……ふふ。再会に」

ちん、と小さく猪口を合わせた。

冷酒が、喉を滑り落ちていく。 雨の音が遠くで響いている。

しばらく、二人とも何も言わなかった。 横に並んでいるせいで、茜の体温が伝わってくる。 割烹着の袖が、俺の腕に触れそうで触れない。

先に口を開いたのは、茜だった。

「……あのね。京都にいた3年間」

「何回も、電話かけようとしたんです。慎吾さんに」

俺は猪口を持つ手を止めた。

「修行がしんどい夜とか。一人で泣いた日とか。スマホ握って、慎吾さんの番号開いて……でも、押せへんかった」

「……なんで」

「だって、もう別れてたから。今さら何言うんやって。慎吾さん、もう新しい彼女おるかもしれへんし」

茜の声が、だんだん湿っていく。

「でも、神田に戻ってきて。店継いで。暖簾出した初日に……慎吾さんが入ってきて」

「あのとき、わたし、心臓止まるかと思った」

「……俺もだよ」

俺は、ずっと言えなかったことを口にした。

「別れたあと、ずっと後悔してた。なんであのとき、もっと頑張らなかったんだろうって」

「『応援する』なんてかっこつけて。本当は、行ってほしくなかったのに」

茜が、ぴくっと肩を震わせた。

「……ずるい」

「そんなん、今さら言わんといて」

茜の目から、ぽろっと涙がこぼれた。

「別れようって言ったの、うちのほうやのに」

その言葉に、3年分の何かが詰まっていた。

「電話の向こうで、慎吾さんがどんどん遠くなって。引き止めてほしかった。でも慎吾さんは『分かった』って。それが、すごく寂しくて」

「だから、わたしから別れようって言うた。先に振られるの、怖かったから」

「……茜」

「ずっと、後悔してた。あんなこと、言わへんかったらよかったって」

茜が、両手で顔を覆った。 結い上げた髪が、少し崩れる。

俺は、もう我慢できなかった。

椅子から立って、泣いている茜の肩に手を置いた。 3年ぶりに触れた、茜の体は、記憶のままに細くて、温かかった。

「茜。こっち向いて」

茜が、ゆっくりと顔を上げた。 涙でぐしゃぐしゃの顔。それでも、綺麗だった。

「俺たち、間違えただけだ。やり直そう」

「……ええの? 今さら」

「今さらじゃない。今からだよ」

俺は、茜の頬に手を添えた。 親指で、涙を拭う。

茜が、目を閉じた。 長いまつ毛が、濡れて光っている。

俺はゆっくりと顔を近づけて——

ちゅ。

3年ぶりに、唇を重ねた。

「……ん」

茜の唇は、柔らかくて、少し塩の味がした。 涙の味だった。

一度離して、もう一度。 今度は、さっきより深く。

ちゅ……ちゅぷ……

「ん……っ、慎吾さん……♡」

茜が、俺の割烹着——じゃない、俺のシャツの胸元を、ぎゅっと握った。 唇の隙間から舌を入れると、茜も恐る恐る、舌を絡めてきた。

ちゅる……れろ……ちゅぷ……

「ふ……ぁ……♡ んん……♡」

3年前と同じ、茜のキス。 でも、3年前より、ずっと切実だった。

雨の音が、二人を包んでいる。 店の中には、俺と茜しかいない。

キスをほどくと、唾液が透明な糸を引いた。 茜の目は、もう涙じゃなくて、別の何かで潤んでいた。

「……いいのか」

「……うち、3年待ったんやよ」

茜が、潤んだ瞳で見上げてくる。 昔の、甘えた声に戻っていた。

俺は、茜の割烹着の紐に手をかけた。 背中で結ばれた、藍染めの紐。

しゅるり。

紐をほどくと、割烹着がはらりと肩から落ちた。 その下から、白いブラウスに包まれた茜の体が現れる。

「……綺麗だ」

「……恥ずかし。あんまり見んといて♡」

茜が、頬を赤らめて目をそらす。 そのうなじが、間接照明の下で艶めいていた。

「2階……上で、いいか」

茜が、店の奥の階段に視線を送った。 この店の2階は、沢渡家の住居になっている。

「……うん。畳のほうが、ええよね」

「足元、気ぃつけて。古い階段やから」

俺は茜の手を引いて、軋む木の階段を上った。 一段ごとに、ぎし、ぎし、と鳴る。 雨の音が、少しずつ遠くなる。

2階の奥、畳敷きの和室。 小さな鏡台と、畳まれた布団。 窓の障子越しに、雨に煙る神田の街の灯りが滲んでいる。

茜が、押し入れから布団を一組、敷いた。 慣れた手つきなのに、その手は少し震えていた。

「……なんか、緊張しちゃう」

「俺もだよ」

俺は茜を、後ろからそっと抱きしめた。 結い上げた髪に、鼻先を埋める。 ほのかに、白檀みたいな香りがした。

うなじに、唇を落とす。 ちゅ。

「ひゃ……っ♡ そこ……♡」

茜の体が、びくっと跳ねた。 うなじが弱いのは、3年経っても変わってなかった。

ちゅ……ちゅう……

うなじを唇でなぞりながら、結い上げた髪をほどく。 かんざしを抜くと、黒髪がさらりと肩に流れ落ちた。

「……髪、下ろした方が好きだな。昔から」

「もう……女将は、髪上げとかなあかんの」

「……でも、慎吾さんの前やったら……♡」

茜が振り返って、自分から唇を重ねてきた。

ちゅ……ちゅぷ……れろ……

今度のキスは、さっきより積極的だった。 舌をねっとりと絡めながら、茜が俺の体に体重を預けてくる。

そのまま、二人で布団の上に崩れた。

俺は茜のブラウスのボタンを、一つずつ外していった。 白い肌が、少しずつ露わになる。

最後のボタンを外して、ブラウスを開くと—— 淡い藤色のブラに包まれた、茜の胸が現れた。

「……」

3年前より、少し大人びて見えた。 白い肌の谷間が、呼吸に合わせて上下している。

「あんまり、じっと見んといてって……♡」

「無理だ。綺麗すぎる」

ブラのホックに手を回して、外す。

ぷるん。

ホックが外れた瞬間、形のいい胸がこぼれ出した。 お椀型の、上向きの双丘。 頂点では、薄い桜色の乳首が、もう少し硬くなっている。

「触るぞ」

「……うん♡」

両手で、下から包み込むように揉む。

むにゅ……ふにゅっ……

「ん……っ♡ あ……♡」

吸い付くような、柔らかい感触。 指が沈み込んで、離すと、ぷるんと戻ってくる。 茜の呼吸が、だんだん荒くなっていく。

片方の胸の先に、唇を寄せた。 ちゅ。

「ひゃあっ♡ ……っ、慎吾さん……♡」

桜色の乳首を、口に含んで、舌先で転がす。

れろ……ちゅる……ちゅう……

「あっ……あっ……♡ それ、あかん……♡ 弱いの……♡」

茜の腰が、もじもじとくねる。 もう片方の乳首を、指でくりくりと弄ぶ。

くりっ♡ こりっ♡

「ひぁっ♡♡ 両方は……っ♡ だめぇ……♡」

茜の声が、どんどん甘くなっていく。 3年前の、俺だけが知ってる、茜の喘ぎ声だった。

口で片方を吸いながら、もう片方を指で。 交互に責めていると、茜の太ももが、すりすりと擦り合わされた。

俺は、空いた手を、茜のスカートの中へ滑り込ませた。 内ももをなぞりながら、奥へ。

「あっ……♡ そこ……♡」

ショーツの上から、そっと指を這わせる。 布越しでも分かるくらい、もう湿っていた。

くちゅ。

「やぁ……っ♡ 言わんといて……♡」

「もう、こんなに濡れてる」

「だって……っ♡ 慎吾さんに触られたら……♡ すぐ……♡」

スカートを脱がせ、藤色のショーツも、ゆっくり下ろした。 脱がせる途中で、ショーツと肌の間に、透明な蜜が糸を引いた。

つぅ……っ♡

「……っ、恥ずかし♡」

茜の秘所は、すでにとろとろに濡れていた。 指を一本、そっと割れ目に滑らせる。

ずちゅ……っ♡

「ひあぁっ♡♡」

茜が、大きく体を仰け反らせた。

「すごい……中、とろとろだ」

「あっ♡ だって……♡ ずっと、慎吾さんのこと……っ♡」

指をゆっくり出し入れすると、くちゅくちゅと、いやらしい水音が響く。

くちゅっ♡ くちゅくちゅっ♡

「あっ♡ あっ♡ きもちいぃ……♡」

中の、ざらっとした場所を指の腹で擦り上げる。 同時に、親指で、上の小さな突起をくるくると撫でた。

くりくりっ♡ ぐちゅっ♡

「ひぁっ♡♡ そこっ♡ そこ、両方は……っ♡♡ あかんあかんっ♡♡」

茜が、布団のシーツをぎゅっと握りしめた。 腰が、びくびくと跳ねる。

「やっ♡ イ……イっちゃう……っ♡♡ 指で、イっちゃうからぁ……っ♡♡」

「いいよ。イって」

二本目の指を追加して、激しくかき回す。 親指は、突起を執拗に転がし続ける。

ぐちゅぐちゅぐちゅっ♡♡♡

「あっ♡あっ♡あっ♡♡ もうっ♡ イクっ♡ イクイクっ♡♡——っっ♡♡♡」

びくびくびくっ♡♡♡

茜の体が、弓なりに反り返った。 じゅわっと、温かい蜜が指に溢れ出す。

「はぁっ……♡ はぁっ……♡ ……指だけで、こんな……っ♡」

茜が、とろんとした目で俺を見上げた。 上気した頬、乱れた黒髪、汗で光る白い肌。 たまらなくエロかった。

それから、茜がゆっくりと体を起こした。

「……今度は、うちが♡」

茜が、俺のベルトに手をかけた。 カチャ……ジー……

ズボンを下ろすと、下着の中で、もうパンパンに膨らんでいるのが、丸わかりだった。

「……ふふ。もう、こんなになって♡」

茜が、上目遣いで微笑む。 その目つきが、妙に色っぽかった。

「茜が、エロすぎるから」

「もう……そんなこと言わんといて♡」

茜が、下着のゴムに指をかけて、ゆっくり下ろした。

ぼろん。

「……わ♡ 相変わらず、おっきい♡」

茜が、両手でそっと俺のモノを包み込んだ。 細い指が、熱い肌に絡みつく。

しゅっ……しゅっ……

「ん……♡ 慎吾さんの、すごく硬い……♡」

ゆっくりと、手で扱き始める。 先端から、透明な液が滲み出した。

「……お口で、してもいい?♡」

「……ああ」

茜が、布団の上で俺の前に屈み込んだ。 さらりと、黒髪が顔にかかる。

ちゅ。先端に、キス。

「ん……♡ ちゅ……♡」

小さなキスを繰り返してから、茜が、ぱくっと先端を咥え込んだ。

ずぶ……ちゅぷ……♡

「っ……茜……」

温かくて、濡れていて、舌が、ねっとりと絡みついてくる。 茜が、ゆっくりと頭を上下させ始めた。

じゅぶっ♡ ちゅぷっ♡ じゅるるっ♡

「んぷっ……ちゅるっ……れろれろ……♡」

唇でしっかり圧をかけながら、舌先で裏筋をなぞってくる。 3年前より、ずっと上手くなっていた。

「くっ……気持ちいい……」

「ん……♡ もっと、してあげる……♡」

茜が、頬を窄めて吸い上げながら、ペースを上げる。 時々、先端をちゅぽんと抜いて、裏筋をべろーっと舐め上げ、また深く咥え直す。

じゅぷっ♡ ちゅぱっ♡ じゅるるるっ♡

「んっ……♡ 慎吾さんの味……♡ 懐かしい……♡」

潤んだ瞳で見上げながら、茜がさらに奥まで咥え込む。 喉の奥に、先端が当たる。

「っ……茜、それやばい……出る……」

「んっ……ぷはっ♡ ……だめ♡ まだ、イったらあかん♡」

茜が、ちゅぽんと口を離した。 唾液の糸が、つぅっと光る。

「……うちの中で、イってほしいの♡」

「……茜」

茜が、布団の上に仰向けになった。 両膝を、少し開く。

「……来て♡ 慎吾さん♡」

俺は、茜の脚の間に体を入れた。 とろとろに濡れた入り口に、先端を当てる。

熱い。とろっとした温かさが、伝わってくる。

「いくぞ、茜」

「うん……♡ 優しく、して……♡」

ずぷっ……♡

「んあぁっ♡♡♡」

先端が入った瞬間、茜が甲高い声を上げた。 きつい。すごくきつい。 なのに、とろとろに濡れているから、吸い込まれるように奥へ進んでいく。

ずず……ずぷぷっ……♡

「あぁっ……♡ おっきい……♡ 奥まで、来てる……っ♡」

「くっ……茜の中、めちゃくちゃ気持ちいい……」

「ほんと……?♡ うれしい……♡」

奥まで入りきった。 茜の中が、ぎゅうぎゅうと、俺を締め付けてくる。 3年ぶりの、茜の中だった。

「動くぞ」

「うん……♡」

ずちゅっ♡ ぱんっ♡

「ひぁっ♡」

ずちゅっ♡ ずちゅっ♡ ぱんっ♡ ぱんっ♡

「あっ♡ あっ♡ あっ♡ 慎吾さんっ♡」

正常位で、ゆっくりと腰を動かす。 引くときに、きゅっと締まって、入れるときに、とろっと受け入れてくれる。 その繰り返しが、信じられないくらい気持ちよかった。

ぱんっ♡ ぱんっ♡ ぱんっ♡

「あぁっ♡ やっ♡ そこっ♡ そこ、あかんのっ♡♡」

奥の方を突くと、茜が大きく体を跳ねさせた。

「そこ当たると……っ♡ 頭、真っ白になるぅ……っ♡♡」

「じゃあ、ここ……重点的に」

ぱんっ♡ ぱんっ♡ ずちゅっ♡ ぱんっ♡

「あっ♡あっ♡あっ♡あっ♡ だめっ♡ そこばっかりっ♡♡ おかしくなるぅ……っ♡♡」

茜の胸が、突くたびに、ぷるんぷるんと揺れている。 障子越しの街灯りに、汗で光る白い肌が浮かび上がる。 その光景が、エロすぎた。

雨の音が、二人の喘ぎと水音に、溶けていく。

ぱんぱんぱんっ♡♡♡

「ああっ♡♡ 慎吾さんっ♡ きもちいいっ♡♡ すごいのっ♡♡」

「俺も……茜の中、気持ちよすぎて……っ」

俺は、体を倒して、茜を抱きしめた。 胸と胸が、密着する。 茜の柔らかい胸が、ぷにゅっと潰れる。

「あっ♡♡ ぴったりくっついてる……っ♡ 慎吾さんの心臓の音、聞こえる……♡」

「茜……好きだ」

「っ♡♡ うちも……っ♡ 好き……♡ ずっと、好きやった……♡♡」

茜が、両腕を俺の背中に回して、ぎゅっとしがみついてきた。

ずちゅっ♡ ぱんっ♡ ぐちゅっ♡

「あっ♡あっ♡♡ もうっ♡ イきそ……っ♡ 慎吾さんと、一緒がいいっ♡♡」

「ああ……俺も……っ」

「中にっ♡ そのまま、中にちょうだいっ♡♡ うち、慎吾さんのがほしいのっ♡♡」

ぱんぱんぱんぱんっ♡♡♡

「あぁぁっ♡♡ イクっ♡ イクイクイクっ♡♡♡」

「っ……! 茜っ……!」

ずぷぷぷっ——♡♡♡

奥の奥で、全部、解き放った。

「あぁぁぁっ♡♡♡ きてるっ♡♡ 中に、いっぱいっ♡♡♡ あったかいのっ♡♡♡」

ドクドクと、最奥に注ぎ込む。 茜の中が、びくびくと痙攣して、搾り取るように締め付けてくる。

「はぁっ……♡ はぁっ……♡ すごい……♡ 3年ぶり、なのに……♡」

「はぁ……はぁ……ああ……最高だった……」

しばらく、繋がったまま、抱き合っていた。 茜の中が、まだびくびくと、余韻に震えている。 雨の音だけが、ずっと響いていた。

やがて、茜が「ふふっ」と笑った。

「……ねぇ、慎吾さん」

「ん?」

「……まだ、元気よね♡」

茜が、腰を小さくくいっと動かした。 確かに、まだ全然、萎えてなかった。

「3年分やもん♡ 一回じゃ……足りひん♡」

茜が、とろんとした目で、にっこり笑う。 それから、ゆっくりと、自分から体を起こして——

「今度は……うちが、上で♡」

繋がったまま、茜が俺の上に跨る形になった。 上から見下ろしてくる茜の姿は—— 乱れた黒髪。上気して紅潮した頬。汗で艶めく白い肌。 そして、重力で形を変える、たわわな胸。

「……すげえ景色」

「もう……えっち♡」

茜が、ゆっくりと腰を落としていく。 さっき出したばかりの中に、また奥まで、俺を呑み込んでいく。

ずぷぷっ♡♡

「んあぁっ♡♡ 自分で入れると……っ♡ すごい、感じる……っ♡♡」

「茜……上から見てると、エロすぎる……」

「見ててな♡ 慎吾さんのために……腰、振るから♡」

茜が、両手を俺の胸板につき、ゆっくりと腰を前後に動かし始めた。

ぐちゅっ♡ ぐちゅっ♡

「んっ♡ あっ♡ これ……奥に当たるぅ……っ♡♡」

茜の胸が、腰の動きに合わせて、ぷるんぷるんと上下に揺れている。 その光景が、視界いっぱいに広がる。

ぱんっ♡ ぱんっ♡ ぐちゅっ♡

「きもちいいっ♡ 自分で動くのっ♡ すごいのっ♡♡」

俺は、揺れる胸に手を伸ばして、鷲掴みにした。

むにゅんっ♡♡

「ひゃぁっ♡♡♡ おっぱいも……っ♡ そんなんされたら……っ♡♡」

胸を揉みながら、下から腰を突き上げる。

ぱんっ♡♡♡

「ひあぁっ♡♡♡ 下からもっ♡♡ 慎吾さんので、お腹の奥っ♡♡ ぐちゃぐちゃにされてるぅ……っ♡♡♡」

茜の腰の動きが、どんどん速くなっていく。 俺の下腹に、茜の蜜が、ぱちゃぱちゃと音を立てて滴る。

ぐちゅぐちゅぐちゅっ♡♡♡

「あああっ♡♡ これやばいっ♡♡ 自分で振ると、奥ガンガン当たるのぉっ♡♡♡」

俺は体を起こして、茜を抱きしめた。 対面座位の形になって、二人の体が、ぴったり密着する。

「あっ♡♡ また、くっついた……っ♡ 顔、近い……♡」

「茜。もう一回、言わせてくれ」

「俺と、やり直してほしい。今度こそ、離さないから」

茜の目に、また涙が浮かんだ。 でも、今度の涙は、嬉しさの涙だった。

「……うん♡ うん……っ♡ うち、慎吾さんと、やり直したい……っ♡♡」

俺は、茜に深くキスをした。

ちゅ……ちゅぷ……れろ……

繋がったまま、舌を絡め合う。 雨の音が、二人を包んでいる。

ずちゅっ♡ ぱんっ♡ ぐちゅっ♡

「んっ♡♡ ……んっ♡ もうっ♡ また、イっちゃうっ♡♡」

「俺も……もう……っ!」

「一緒にっ♡ 慎吾さんと、一緒にイきたいっ♡♡ 中にっ♡ また、いっぱい、ちょうだいっ♡♡♡」

ぱんぱんぱんぱんっ♡♡♡♡

「あぁぁぁっ♡♡♡ イクっ♡ イクイクイクっ♡♡♡♡ 中に、いっぱいっ♡♡♡♡♡」

「っ……!! 茜っ……!!」

ずぷぷぷぷっ——♡♡♡♡♡

二回目。 ドクドクと、奥の奥に、全部、注ぎ込んだ。

「あぁっ♡♡♡ また、中にっ♡♡♡ いっぱい、出てるぅ……っ♡♡♡」

茜の全身が、びくびくびくっと痙攣して、ぎゅうっと俺にしがみついてくる。 茜の中が、最後の一滴まで搾り取るように、収縮を繰り返した。

「はぁっ♡♡ はぁっ♡♡ ……すごかった……♡♡♡」

「はぁ……はぁ……ああ……」

しばらく、抱き合ったまま、動けなかった。 お互いの汗が、肌の上で混ざり合う。 心臓の音が、だんだん落ち着いてくる。

やがて、茜が、ゆっくりと俺の上から体を離した。

ずるっ♡

「んっ……♡ こんなに、いっぱい……♡」

繋がっていたところから、白いものが、とろりと溢れ出す。

「……ふふ。2回も、中に……♡」

茜が、俺の隣に倒れ込んで、胸に顔を埋めた。

「……ごめん。加減できなかった」

「謝らんといて♡ ……うち、嬉しかったもん♡ 全部、受け止めたかったから♡」

俺は、茜の乱れた髪を、そっと撫でた。

障子の外、雨は、いつのまにか小降りになっていた。

そのまま、二人で布団に潜り込んで、雨の音を聞きながら眠った。 茜の体温が、ずっと隣にあった。 3年間、ずっと足りなかったものが、そこにあった。

——

翌朝。

俺が目を覚ますと、隣に茜の姿はなかった。 障子越しに、朝の光が差し込んでいる。 雨は、すっかり上がっていた。

階下から、とんとん、と包丁の音がする。

俺は服を着て、軋む階段を下りた。

カウンターの中で、茜が、仕込みをしていた。 割烹着を着て、髪を結い上げて。 昨日の女将の姿だけど、表情は、ずっと柔らかかった。

「……おはよ♡ よう寝てはったね」

「おはよう。何してんだ?」

「仕込み。今日も店、開けなあかんから」

俺は、カウンターの中に回り込んで、茜の隣に立った。 まな板の上には、大根が一本。

「手伝うよ。何すればいい?」

「ふふ。じゃあ、そこの大根、桂剥きできる?」

「……無理だな」

「やと思った♡ じゃあ、見てて」

茜が、すっと包丁を構えた。 左手で大根を回しながら、右手の包丁で、薄く、薄く、剥いていく。 透けるくらい薄い大根が、途切れることなく、するすると伸びていく。

「……すげえ」

「3年、これだけは死ぬほど練習したから♡」

横顔を、見ていた。 集中している茜の横顔。 睫毛の影が、頬に落ちている。 3年前より、ずっと、綺麗になっていた。

剥き終わって、茜が顔を上げた。 俺がじっと見ていたのに気づいて、ふっと笑う。

「……なに、じろじろ見て♡」

「いや。綺麗になったなと思って」

「……もう♡ 朝から、そういうこと言わんといて♡」

茜が、頬を赤らめて、包丁を置いた。 それから、まっすぐ俺を見た。

「……ねぇ、慎吾さん」

「ん?」

茜が、少し言いにくそうに、でも、はっきりと口を開いた。

「これからは……毎日、来て」

「毎日?」

「うん。……でも、お客さんとしてじゃなくて」

茜が、俺の手を、両手で握った。 3年前と同じ、温かい手。 昔より少し、料理で荒れた、働き者の手。

「お客さんやなくて……うちの人として、毎日、来て♡」

その言葉に、3年分の想いが、全部詰まっていた。

俺は、茜の手を、握り返した。

「……ああ。毎日来る」

「お客じゃなくて、お前の——彼氏として」

茜の目に、また涙が滲んだ。 でも、口元は、満面の笑みだった。

「……っ♡ うん♡ うん……っ♡」

俺は、茜を抱き寄せて、キスをした。

ちゅ。

割烹着の上から、茜の体温が伝わってくる。

「……ふふ。仕込み、終わらへんやん♡」

「じゃあ、手伝う。彼氏として」

「……それ、戦力になる?♡」

「ならないかもな」

「もう♡」

茜が、声を上げて笑った。 京の訛りの混じった、柔らかい笑い声。 3年前、俺が一番好きだった笑い方だった。

行きつけの居酒屋の、新しい女将。 それは3年前に、俺がかっこつけて送り出した、元カノだった。

遠回りした。 3年も、無駄にした。

でも—— こうしてまた、同じカウンターに立てたなら。 それで、よかったんだと思う。

その日の夜。 俺は、お客としてじゃなく、店仕舞いを手伝う「うちの人」として、 カウンターの内側で、茜の隣に立っていた。

「……慎吾さん。暖簾、下ろしてくれる?♡」

「おう」

「さわたり」の暖簾を、内側に下ろす。 振り返ると、茜が、燗を二つ、つけて待っていた。

「……お疲れさま♡ 飲み直そ♡」

ちん、と猪口を合わせる。

雨上がりの神田の夜は、静かで、暖かかった。

― 終 ―


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