転勤先の福岡で通い詰めた居酒屋の看板娘が、大学時代に俺のことを好きだった地味な後輩だと気づいた夜の話

こんにちは。31歳、都内のメーカーに勤めてる普通のサラリーマンです。いや、「勤めてた」って言ったほうが正確かもしれない。今はもう辞めてるんで。

これは去年の話。

2025年の4月、俺は福岡に転勤になりました。しかも辞令が出たのが3月の頭で、引き継ぎやら引っ越しやらでバタバタ。当時付き合ってた彼女には「遠距離になるけど続けよう」って言ったんだけど、向こうから「無理だと思う」って2日後にLINEで振られた。3年付き合ってこれかよ、って思ったけど、まあ、向こうにも考えがあったんだろう。

(俺の何がダメだったんだろう、ってこの頃ずっと考えてた)

そんなわけで、知り合いゼロ・彼女なし・趣味なしの状態で博多に降り立ったわけです。会社は博多駅から地下鉄で3駅の呉服町ってとこにあって、借り上げのワンルームは中洲川端の近く。歩いて帰れる距離に飲み屋が無限にあるっていう、ある意味キケンな立地だった。

最初の2週間くらいは大人しくコンビニ弁当で過ごしてたんだけど、ゴールデンウイーク明けの金曜、さすがに限界がきた。誰かと喋りたい。それだけ。

会社の飲み会に誘われることもあったけど、転勤組の俺はまだ馴染めてなくて、正直キツかった。で、一人でふらっと歩いてたら、路地裏に「ひなた」って書いた小さい提灯を見つけた。カウンター8席しかない、おばちゃんがやってる焼き鳥屋。

ガラッと引き戸を開けたら、カウンターの中にいたのは、おばちゃんじゃなくて若い女の子だった。

(え、間違えたか?)

「いらっしゃい!一人?カウンターどこでもどうぞ!」

明るい声で迎えてくれたその子を見て、ちょっと固まった。

身長は163くらい。茶髪のゆるい巻き髪をハーフアップにしてて、顔は――うーん、今田美桜をちょっと大人っぽくした感じ、って言えば伝わるかな。目がくりっとしてて、でも笑うと目尻がきゅっと下がる。それと、黒いTシャツにエプロン姿なんだけど、胸のあたりがエプロンでも隠しきれてなくて、たぶんE以上はある。

(いやいや、ジロジロ見んな俺。キモいぞ)

「ビールでいい?生と瓶あるけど」

「あ、生で」

「はーい!焼き鳥はおまかせでいい?うち、おまかせしかないんだけど笑」

「じゃあそれで」

「初めてだよね?見ない顔」

「あ、はい。4月に東京から転勤で来て」

「あー!転勤!大変じゃん!福岡どう?」

「正直、まだ全然馴染めてなくて。知り合いもいないし」

「えー、かわいそう!じゃあうちが福岡初の友達ってことで!」

彼女はそう言って、親指を立ててニカッと笑った。

名前はまだ聞いてなかったけど、この距離感の近さが福岡っぽいのかな、と思った。後から知ったけど、彼女は看板娘の「ゆいちゃん」で、店主のおばちゃん――つまりお母さんの代わりに最近よく店に出てるらしい。年は27歳。

それから俺は週に2、3回のペースで「ひなた」に通うようになった。

ゆいちゃんは話がうまかった。っていうか、聞き上手だった。俺が仕事の愚痴をこぼすと「えー、それは上司がおかしいよ」とか「でもそれ、逆にチャンスじゃない?」とか、ちゃんと受け止めてくれる。常連のおじさんたちにも好かれてて、カウンター越しに冗談を言い合ってる姿は見てて和んだ。

6月に入ったある日、常連が誰も来なくて、俺とゆいちゃんだけの夜があった。

「ねー、彼女は?いないの?」

「いない。転勤のタイミングで振られた」

「うわ、最悪じゃん。何年付き合ってたの?」

「3年」

「3年かー。それで遠距離無理って?ひどくない?」

「まあ、向こうにも事情あったんだろうし」

「優しいねえ。私だったらブチギレてるわ」

「ゆいちゃんは?彼氏いるでしょ、そのルックスで」

「いないよー。最後に別れたの、もう2年くらい前かな」

「嘘でしょ」

「ほんとほんと。なんかさ、バーで働いてると出会いないんだよね。来る人みんなおじさんだし」

「俺もおじさんの部類では?」

「あはは、ギリギリセーフ!」

(ギリギリかよ……)

でも、嬉しかった。この子と話してる時間だけ、東京に残してきたものを忘れられた。

7月の終わり、ゆいちゃんが珍しく暗い顔をしてた。

「どうした?元気ないじゃん」

「んー……ちょっとね。元カレから連絡きて」

「え、大丈夫?」

「大丈夫。もう気持ちないし。ただ、なんか思い出しちゃって」

彼女はそう言って、手元のグラスをくるくる回した。

「私さ、東京にいた時期があるんだよね」

「あ、そうなんだ。仕事で?」

「大学。4年間、東京」

「へー、どこ?」

「え、言ったら身バレしそうで怖い笑」

「いやいや、東京の大学なんて腐るほどあるし」

「……◯◯大」

俺の心臓が一瞬止まった気がした。

「え、マジで?俺もそこなんだけど」

「え!うそ!何学部?」

「経済」

「……やば」

ゆいちゃんの目がまん丸になった。

「私も経済……」

「は?」

同じ大学の、同じ学部。俺が4年の時、彼女は2年。すれ違ってた可能性は全然ある。でも、記憶にない。こんな目立つ子がいたら覚えてるはずなのに。

「いやでも、こんなかわいい子いたら絶対覚えてるって」

「……覚えてないと思うよ」

ゆいちゃんの声のトーンが少し変わった。

「だって私、大学の時は全然違ったもん。黒髪のボブで、メガネかけてて、いっつも図書館にいるような子だったから」

「…………」

なんか、引っかかった。図書館。黒髪ボブ。メガネ。

「ゼミも一緒だったんだよ。松本ゼミ」

松本ゼミ。俺が4年の時に入ってた、国際経済のゼミ。少人数で、確か3年生が5人くらい合同で入ってきてて――

「え、待って。もしかして……」

「うん」

「……古賀さん?」

ゆいちゃんが、ゆっくりうなずいた。

古賀。古賀唯。大人しくて、発表の時もボソボソ喋ってて、でもレポートはめちゃくちゃ出来がよかった子。確かに黒髪ボブにメガネで、地味っていうか、目立たない感じの子だった。

目の前の今田美桜似のゆいちゃんと、あの古賀さんが、同一人物?

(嘘だろ……)

「いや、変わりすぎでしょ……」

「あはは、よく言われる。卒業してからメイク覚えて、髪染めて、コンタクトにして。別人だよね」

「別人っていうか、本当に同じ人間なのか疑うレベル」

「失礼じゃない?笑」

笑ってるけど、ゆいちゃんの目が少し潤んでるように見えた。

「……ねえ、一個だけ聞いていい?」

「ん?」

「覚えてる?卒業式の日、私が先輩に話しかけたの」

……覚えてない。正直に言うと、卒業式の日の記憶なんて、友達と写真撮ったのと、二次会で酔いつぶれたのくらいしかない。

「ごめん、覚えてない……」

「だよね。あの時さ、私、先輩に連絡先聞こうとしたの。でも、先輩の周りに友達いっぱいいて、タイミングなくて。最後にやっと話しかけたら、先輩『あ、ごめん、もう行かなきゃ』って走っていっちゃって」

「……」

「それで終わり。私の片想い、4年間で唯一のチャンスだったのに」

4年間。この子は、4年間俺のことを好きだったのか。あの地味で大人しい古賀さんが。

俺は、まったく気づいてなかった。

(鈍感にもほどがあるだろ、俺)

「ごめん……ほんとに」

「いいよ、もう昔の話だし。でもさ、ここに来てくれるようになって、最初は気づかなかったんだよ?名前聞いて、大学聞いて、あー、もしかして、って」

「いつから気づいてたの?」

「6月くらいかな。先輩が好きなつまみの話してて、ゼミの打ち上げで同じこと言ってたの思い出して。砂肝は塩に限るって」

(そんなとこで特定されるのかよ)

店じまいの時間になって、ゆいちゃんがシャッターを下ろした。

「ねえ、もうちょっと飲まない?裏にうちの部屋あるから」

普通なら「いいの?」とか聞くべきなんだろうけど、俺の頭は古賀さんのことでいっぱいで、断るっていう選択肢が出てこなかった。

ゆいちゃんの部屋は店の2階で、ワンルームだけど綺麗に片付いてた。小さいテーブルに缶チューハイを2本出してくれて、向かい合って座った。

「なんか緊張するね、こうやって改まると」

「そりゃそうだよ。さっきの話聞いた後だし」

「重かった?ごめんね、言わなきゃよかったかな」

「いや、聞けてよかった。むしろ、気づけなかった自分がほんと情けない」

「先輩は悪くないよ。だって私、何もアピールしてなかったし。ただ遠くから見てただけ」

「でも4年だぞ。4年って長いよ」

「長かったねー。でもさ、こうやって再会できたから、もういいの」

ゆいちゃんがにこっと笑ったその顔に、古賀さんの面影が一瞬だけ見えた気がした。笑い方。目の細め方。ああ、確かに同じだ。

缶チューハイを3本ずつ空けたあたりで、話はどんどん深くなっていった。大学の頃の話、東京での就職が合わなくて福岡に帰ってきた話、お母さんの体調が悪くて店を手伝い始めた話。

「私ね、先輩のこと好きだった時、毎日日記書いてたの」

「日記?」

「今日は先輩が教室で笑ってた、とか。今日は先輩がゼミで私のレポート褒めてくれた、とか。めちゃくちゃキモいでしょ」

「キモくない。ていうか、俺そんなにいいか?普通のやつだぞ」

「普通じゃないよ。先輩、ゼミで私が発表うまくできなかった時、後から『資料の内容よかったよ』ってLINEくれたでしょ」

……送ったかもしれない。たぶん、何も考えずに。

「あれ、本当に嬉しかった。たった一行だけど、私にとっては全部だった」

もう、なんて返せばいいかわからなかった。

俺はたぶん、この子のことを好きになりかけてる。いや、もう好きなのかもしれない。でもそれは「ゆいちゃん」に惹かれてるのか、「古賀さん」の話に心を動かされてるのか、自分でもわかってなかった。

「ゆいちゃん」

「ん?」

「今さらだけど、俺で良かったの?こうやって再会して、俺が通ってきて。嫌じゃなかった?」

「嫌なわけないじゃん。むしろ、もう来なくなったらどうしようって毎日思ってた」

彼女がテーブルの下で俺の手に触れてきた。指先だけ。控えめに。

俺はその手を握った。

「……先輩」

「ん」

「キス……していい?」

こっちから聞くべきだったのに。でも、彼女は待てなかったんだろう。8年越しの気持ちが、ようやくここに辿り着いたんだと思ったら、断れるわけがなかった。

ゆいちゃんが膝立ちで近づいてきて、俺の頬に両手を添えた。唇が触れた瞬間、缶チューハイの甘い味がした。

柔らかい唇。少し震えてた。

「ん……っ」

俺もゆいちゃんの腰に手を回して引き寄せた。舌が触れ合って、さっきまでの緊張が全部溶けていくみたいだった。

「ゆいちゃん、大丈夫……?」

「大丈夫。っていうか、もう止まれない……先輩のバカ」

何が「バカ」なのかわからなかったけど、たぶん8年間ずっと気づかなかったことへの悪態だったんだと思う。

ゆいちゃんのTシャツの裾に手をかけると、彼女は自分からスッと腕を上げてくれた。黒いレースのブラの下に、想像以上の胸があった。

「……でかいな」

「いきなり言う?最低笑」

「いや、褒めてる」

「褒め方がド直球すぎるんだって」

ブラを外すと、白い肌に形のいい胸がこぼれた。Eカップ。大学の時はダボっとしたパーカーばっかり着てたから、こんなスタイルだなんて想像もしてなかった。

(大学の時にちゃんと見てたら、もっと早く気づいてたかもしれないのに)

いや、外見で気づくとかそういう問題じゃないのはわかってる。でも、こんなに変わった彼女の中に、あの時の古賀さんがちゃんと残ってるっていうのが、どうしようもなく愛おしかった。

ベッドに移動して、ゆいちゃんを押し倒す、とかじゃなくて、気がついたら二人で横になってた。自然に。

「先輩、経験は……」

「あるよ。元カノと」

「だよね。私も元カレとしたことはある」

「緊張してる?」

「……めちゃくちゃしてる。だって、8年好きだった人だよ?こんなの、心臓もたないって」

本当に手が震えてた。この子、見た目は派手になったけど、中身はあの頃の古賀さんのままなんだって思った。

俺はゆいちゃんのショートパンツのボタンを外した。脚は細いけど太ももだけしっかりしてて、触ると柔らかかった。下着は黒のレースで、ブラとお揃い。

(こういうの、用意してたのか?いや、考えすぎか)

でも後から聞いたら「もしかしたらって思って……」って赤くなってたから、やっぱり期待してたんだと思う。

ゆいちゃんの体に触れるたびに、小さい声が漏れた。胸を揉むと「んっ」、乳首を指で転がすと「あ、そこ……」、お腹をなぞると「くすぐったい」。全部の反応が正直で、飾ってなくて、それがたまらなかった。

「先輩……下、触って……」

下着の上から触ると、もう濡れてた。指を滑り込ませると、ゆいちゃんが腰をびくっとさせた。

「感じやすいな」

「だって……好きな人に触られてるんだもん……当たり前でしょ……」

こういうことをサラッと言うのがずるい。

クリを指の腹で円を描くように触ると、ゆいちゃんの呼吸がだんだん荒くなっていった。腰が小刻みに動いて、シーツを掴む手に力が入ってるのがわかった。

「やば……先輩、もう……っ」

「いっていいよ」

「あっ……んんっ……!」

体をぎゅっと丸めて、ゆいちゃんがイった。しばらく肩で息をしてて、目が潤んでた。

「……先輩に、されたかった……ずっと」

この言葉に、胸が締め付けられた。

俺の方ももう限界だった。ゆいちゃんがベッドの横の引き出しからゴムを出してくれた。

「つけて……ね」

手が震えてうまくつけられなくて、ゆいちゃんが笑いながら手伝ってくれた。

「先輩、不器用すぎ笑」

「うるさいな……緊張してんだよ、こっちも」

ゆいちゃんの脚の間にゆっくり入っていった。入り口に先端を当てると、ゆいちゃんが俺の背中に腕を回してきた。

「……来て」

押し入れていくと、熱くて、きつくて、ゆいちゃんの爪が背中に食い込んだ。

「あっ……んっ……大きい……」

「痛くない?」

「平気……もっと奥まで……」

根元まで入った時、ゆいちゃんが「はぁ」って長い息を吐いた。俺も、自分がどこにいるのか一瞬わからなくなるくらい、頭が真っ白だった。

(これ、夢じゃないよな)

ゆっくり腰を動かし始めると、ゆいちゃんの声がだんだん大きくなった。

「あっ……あっ……先輩……」

名前じゃなくて「先輩」って呼ぶのが、大学の頃の延長みたいで、不思議と興奮した。

「ゆいちゃん……きもちいい……」

「私も……すごい……先輩の、感じる……」

腰の角度を変えると、ゆいちゃんが急に声を上げた。

「そこっ……そこやばいっ……!」

「ここ?」

「んっ、そこ……動かないで、いや動いて……もう、わかんない……」

支離滅裂になってるのが愛おしくて、つい笑ってしまった。

「笑わないでよぉ……っ」

「ごめん、かわいくて」

「ばか……っ」

ゆいちゃんが俺の首に腕を回して引き寄せてきた。キスしながら動くと、お互いの息が混ざって、もう何もわかんなくなってきた。

「やばい……俺もう……」

「うん……いいよ……出して……」

最後に深く押し込んで、中で果てた。全身の力が抜けて、ゆいちゃんの上に倒れ込んだ。

「……重い」

「あ、ごめん」

「いいよ、このまま。もうちょっとだけ」

ゆいちゃんが俺の髪をゆっくり撫でてくれた。

しばらくそのままでいた。エアコンの音だけが聞こえてた。

「……ねえ」

「ん」

「もう一回……していい?」

2回目は、ゆいちゃんが上に乗ってきた。「やってみたかったの」って照れながら言って、ぎこちなく腰を動かし始めた。胸が揺れるたびに目が釘付けになったけど、それ以上にゆいちゃんの表情が気になった。眉がきゅっと寄って、下唇を噛んで、一生懸命気持ちよくなろうとしてる顔。

さっきは快感に流されるままだったけど、2回目は少し冷静になって、この子のことをちゃんと見れた。肩の上のほくろ。鎖骨のライン。汗で頬に張り付いた髪。

(この子は、8年間ずっと俺のことを想ってたんだ)

その事実が、行為そのものより、ずっと俺の心を揺さぶってた。

「先輩……好き……好きだよ……っ」

「俺も……」

自分でも驚くくらい、自然に出てきた。嘘じゃなかった。

2回目が終わって、二人でシャワーを浴びた。狭いユニットバスに二人で入るのは無理があって、ゆいちゃんが先に入って、俺が後に入った。

バスタオルを巻いて出てきたゆいちゃんが、缶チューハイの最後の一本を開けて、ベッドの上であぐらをかいて待ってた。

「先輩さ」

「うん」

「私のこと、『ゆいちゃん』って呼ぶのやめてくんない?」

「え、なんて呼べばいいの」

「……唯、でいいよ」

「唯」

「……うん」

ゆいちゃん――唯は、耳まで真っ赤になってた。

窓の外が少し明るくなり始めてた。時計を見たら4時半。

「もう朝じゃん」

「だね。ねえ、今日……このまま泊まっていきなよ」

「いいの?」

「つーかもう朝だし、帰る意味なくない?」

それもそうだった。

布団に入って、唯が俺の腕に頭を乗せてきた。

「ねえ、来週も来てくれる?」

「当たり前だろ。てか、もう毎日行くかも」

「営業妨害じゃん笑」

「客として金は払うから」

「先輩からはもう取んないよ。彼氏料金。タダ」

「彼氏になった覚えは」

「え、今さら何言ってんの。ヤったでしょ」

「……だな」

「ちゃんと言ってよ」

「……唯、付き合ってください」

「8年遅いっつーの」

そう言って笑った唯の顔は、大学の時の古賀さんの笑い方と、まったく同じだった。

あの時ちゃんと見てれば、俺はもっと早くこの笑顔に気づけてたのかもしれない。でも、あの時は気づけなくて、今ここで気づけた。それだけのことなのかもしれないけど、俺にとってはそれで十分だった。

今、唯と付き合って半年になる。「ひなた」には相変わらず通ってて、常連のおじさんたちには「あんた看板娘とデキてんだろ」ってバレバレなんだけど、唯は「デキてませんよー」って毎回ニヤニヤしながら否定してる。

おばちゃんには最初ちょっと怖い顔されたけど、今はもう認めてくれてる。「うちの唯をよろしくね」って、焼酎のお湯割り出してくれた。

福岡に来て、最初は最悪だと思った。でも、世の中って何がどうつながるかわかんないもんだな、って今は本気で思ってます。

あの路地裏の提灯を見つけた夜が、俺の人生を変えた。


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