猛暑の夏に週3で通った区民プールで、監視員の年上お姉さんと閉館後のシャワー室で関係を持ってしまった件

どうも。当時24歳、無職です。いきなりすみません。

正確には「転職活動中」って言い方が正しいんだけど、新卒で入った渋谷のIT企業を1年半で辞めて、7月の頭からずっと家にいた。面接は週に2回あるかないか。残りの日は履歴書書くか、YouTubeで転職系の動画見て病むか、どっちかだった。

実家暮らしならまだマシだったんだろうけど、俺は板橋区の1Kに一人暮らし。貯金は残り47万。家賃が6万8千円だから、あと半年もつかどうか。毎日カップ焼きそばとサトウのごはんで繋いでた。

で、そんな夏にハマったのが、家から歩いて12分の板橋区立高島平温水プールだった。

区民プールって知ってる? 2時間で500円。エアコンのない1Kで汗だくになるくらいなら、500円で涼しいプールに入ったほうがコスパいい。しかも泳ぐと夜ちゃんと寝れる。無職にとって睡眠の質は精神衛生に直結するから、これは大発見だった。

最初は純粋に泳ぎに行ってた。本当に。

でも、3回目くらいから気になり始めたのが、監視員のお姉さんだった。

背が高い。たぶん165くらい。競泳用の紺のワンピース水着の上に、スタッフ用の白いラッシュガードを羽織って、プールサイドの高い椅子に座ってる。髪はいつもひとつに結んでて、サングラスかけてるから顔は最初よくわからなかった。

でも、ある日サングラス外してるとこを見たら、(えっ、めちゃくちゃ綺麗じゃん…)ってなった。

新木優子に似てる。目がきりっとしてて、でも笑うとくしゃっとなる感じ。肌がすごい白くて、プールの監視員なのに日焼けしてないのが不思議だった。あとで聞いたら日焼け止めを2時間おきに塗り直してるらしい。そういうとこ、ちゃんとしてる人だった。

週3で通ううちに、なんとなく顔を覚えられた。

「あ、また来たね」

って受付で言われた時は、正直めちゃくちゃ嬉しかった。無職で誰とも喋らない日が続いてたから、「また来たね」のたった5文字が沁みた。情けないけど。

「あ、はい。暑いんで…」

「わかるー。今日も35度超えてるもんね」

それだけ。それだけの会話なのに、帰り道にずっとリピートしてた。(やばいな、俺…)

7月の後半になると、平日の午後はほとんど客がいなくて、25メートルのコースを俺が一人で使ってることもあった。監視員も暇そうで、俺がターンするたびにこっちを見てるのがわかった。いや、監視員だから見るのは当たり前なんだけど。

ある日、泳ぎ終わって上がろうとしたら、プールサイドで声をかけられた。

「泳ぎ方きれいだね。なんかやってた?」

「あ、中高で水泳部でした」

「やっぱり。クロールのローリングがちゃんとしてるなって思ってた」

(ローリング見てたんだ…)ってちょっとドキッとした。

「監視員さんも泳ぐんですか?」

「うん。大学まで水泳やってた。今は週末にマスターズの練習会出てるくらいだけど」

へぇ、道理で体つきがしっかりしてるわけだ。ラッシュガードの上からでもわかる肩幅と、でも女性らしい腰のラインのギャップがすごかった。

「すごいですね。俺なんか辞めてからほとんど泳いでなかったんで、すぐバテます」

「えー、全然そう見えないけど。ていうか、平日のこの時間にいつもいるってことは…大学生?」

来た。この質問。

「いや…転職活動中です」

正直に言った。見栄張ってもしょうがないし。

「あ、そうなんだ。大変だよね、この時期」

「まあ、ぼちぼちやってます」

「私も去年の今頃、前の仕事辞めたとこだったから、なんか気持ちわかるかも」

そこからちょっと長く喋った。彼女は26歳で、前はスポーツジムのインストラクターをやってたけど、会社がコロナ後の経営縮小で閉館になって、今は区のプールの監視員をパートでやりながら次を探してるらしい。

(あ、この人も宙ぶらりんなんだ)って思ったら、急に親近感が湧いた。

名前は聞けなかった。スタッフの名札には「水野」とだけ書いてあった。

8月に入って、俺はほぼ毎日プールに通うようになった。水野さんのシフトは月水金の午後。だから月水金は絶対行った。火木も行ったけど、水野さんがいないとなんか物足りなくて、30分で上がってた。

(完全にストーカーだな、これ…)

自覚はあった。でも止められなかった。面接に落ちた日も、書類で弾かれた日も、プールに行って水野さんの「お疲れさま」を聞くと、なんか大丈夫な気がした。

8月の2週目、いつものように泳ぎ終わって更衣室に向かおうとしたら、水野さんに呼び止められた。

「ねえ、今日閉館後にちょっと残れたりする?」

「え? あ、はい。大丈夫ですけど」

「実は、マスターズの大会が来月あるんだけど、タイム計ってくれる人がいなくて。迷惑じゃなかったら、ちょっと手伝ってもらえないかなって」

(タイム計測…!)

断る理由がなかった。というか、断りたくなかった。

「全然いいですよ。暇なんで」

「ほんと? ありがとう! じゃあ19時に閉館だから、そのあとで」

その日の閉館後、俺は初めて客のいないプールにいた。

蛍光灯が半分消されて、水面がゆらゆら揺れてる。外からセミの声が聞こえる。なんか非日常感がすごかった。

水野さんがラッシュガードを脱いで出てきた。

紺のワンピース水着。いつも上から見てたけど、近くで、しかも誰もいない空間で見ると、破壊力が違った。胸はそこまで大きくないけど、水着の生地が肌に張り付いてて、体のラインが全部出てる。腹筋うっすら割れてて、脚が長い。

(やばいやばいやばい、見ちゃダメだ)

「じゃあ、100メートル個メでいくから、よろしくね」

「了解です」

スマホのストップウォッチを構える。水野さんが飛び込み台に立つ。

「よーい…」

ザバッ。

速い。俺が部活でやってた時より明らかに速い。バタフライの入水がきれいで、背泳ぎの切り返しが鋭くて、平泳ぎのキックが力強くて、最後のフリーで一気に上げる。

「1分12秒8です」

「うーん…あと2秒縮めたいんだよなぁ」

水から上がってきた水野さんが、息を切らしながら腰に手を当てる。水滴が鎖骨から胸元に流れていくのを、見ないようにするのが大変だった。

「十分速いと思いますけど…」

「ありがとう。でも私、負けず嫌いだから」

それから、週3で閉館後のタイム計測が始まった。

月水金、19時から20時。プールの鍵は水野さんが管理者から預かってて、施設の人も「水泳経験者が練習するなら」ってOKしてくれたらしい。俺はタイムを計って、たまに水野さんのフォームを横から見て、「背泳ぎの入りがちょっと浅いかも」とか偉そうに言ったりした。

練習後は、二人で自販機のカルピスウォーターを飲みながら、プールサイドに座って喋った。

「転職活動、どう?」

「先週2社落ちました」

「あー…でもまだ24でしょ? 全然大丈夫だって」

「水野さんは?」

「私も先月1個落ちた。スポーツ系の求人って少ないんだよね…」

「わかります。IT系もピンキリで…」

二人とも宙ぶらりん。でも不思議と暗くならなかった。たぶん、同じ立場の人間が隣にいるって、それだけで救いなんだと思う。

ある金曜日の練習後、水野さんが言った。

「ねぇ、ていうかさ。敬語やめない? 同い年くらいなんだし」

「え、でも水野さんのが年上ですよね」

「2個だけじゃん。つか、私も名前で呼んでよ。水野って苗字、嫌いなんだよね。元カレの苗字と同じだから」

「…名前、なんて言うんですか」

「凛。はい、凛って呼んで」

「…凛さん」

「さん要らない」

「凛…」

「うん。よろしくね」

にこっと笑った顔が、(あ、俺もうダメだ)って思うくらいかわいかった。新木優子がくしゃっと笑うやつ。あれの実物版。

でも俺には一個、引っかかってることがあった。

8月の3週目、タイム計測が終わったあと、凛がスマホを見ながらため息をついた。

「はぁ…」

「どうした?」

「ん…ちょっと、元カレがしつこくて」

「元カレ?」

「半年前に別れたんだけど、まだ連絡してくるんだよね。"やり直したい"って」

「…凛はどう思ってんの」

「無理。あの人、私が仕事なくした時に"だから言ったじゃん"って言ったやつだから。一番辛い時に寄り添えない人と、一緒にいる意味ないでしょ」

その言葉が、なんか刺さった。俺も前の彼女に「仕事辞めるとか意味わかんない」って言われて別れたから。

「…わかる。俺も似たようなことあったわ」

「でしょ? 辛い時にそばにいてくれる人がいいよね」

凛がこっちを見た。目が合った。プールの水面の反射が、凛の瞳に映ってた。

(…今の、意味あった?)

考えすぎだ。たぶん。いや、でも。いやいや。

その翌週の水曜日。事件が起きた。

いつも通り閉館後の練習をして、凛がシャワー室に向かった。俺はプールサイドで片付けをしてた。タイマーとかビート板とか。

そしたらシャワー室から凛の声がした。

「ちょっと…! 来て…!」

慌てて行ったら、シャワー室の入り口で凛が壁に手をついてた。

「どうした!?」

「足つった…ふくらはぎ…いたたた…」

練習のしすぎだ。ラスト2本、全力で泳いでたから。

「座って。伸ばすから」

凛をシャワー室のベンチに座らせて、右足のふくらはぎを両手で押さえた。ゆっくりつま先を手前に引く。

「いたっ…いたいいたい…」

「ごめん、もうちょい我慢して」

凛の足を持って、ふくらはぎをマッサージする。温かいシャワーのお湯が二人にかかってた。誰がシャワーを出しっぱなしにしたのか知らないけど、湯気がもうもうと立ち込めてて、視界がぼんやりしてた。

で、ふと顔を上げたら、凛の顔がすぐ近くにあった。

水滴が、凛の頬を伝って、顎から落ちた。水着が濡れて、体に張り付いてる。鎖骨のあたりが色っぽくて、(見ちゃダメだ)って思うのに目が離せなかった。

「…ねぇ」

「…ん?」

「足、もう大丈夫」

「あ、ごめん…」

手を離そうとしたら、凛が俺の手を掴んだ。

「…大丈夫じゃないのは、足じゃなくて、心のほう」

「…え?」

「ずるいよ。毎日来て、優しくして、タイム計ってくれて、私の愚痴聞いてくれて。それで何もしないの、ずるい」

凛の目が潤んでた。シャワーのお湯のせいじゃない。

「…俺、無職だよ」

「知ってるよ」

「貯金もうすぐなくなるし」

「だから?」

「こんな状態で、好きとか言えないだろ普通」

言っちゃった。

凛が笑った。泣きながら笑ってた。

「今"好き"って言ったじゃん」

「…いや、それは…」

「私も好き。無職でも、貯金なくても。辛い時にそばにいてくれる人が好き」

シャワーのお湯がざあざあ降ってる中で、俺たちはキスした。

唇が触れた瞬間、(あ、これ夢じゃないんだ)って思った。凛の唇は柔らかくて、温かくて、ちょっと塩素の味がした。

「…凛…」

「ん…」

腰を引き寄せたら、凛が俺の首に腕を回してきた。水着越しに体が密着して、心臓の音がお互いに聞こえるくらい近かった。

長いキスだった。どれくらいしてたかわからない。シャワーの音と、二人の呼吸だけが反響してた。

「…続き、したい」

「ここで…?」

「誰もいないし…鍵は私が持ってるから」

(いいのかよ、これ…)

ダメだって。区のプールのシャワー室で。監視員と客で。こんなの見つかったら凛がクビになる。

でも、凛が水着の肩紐を片方ずらした時、理性なんか吹っ飛んだ。

白い肩が出てきて、鎖骨のラインが濡れて光ってて、(あ、この人本当にきれいだ)って、息が止まるかと思った。

「…凛、ほんとにいいの」

「いいから。…触って」

競泳水着を脱がすのは初めてだった。ぴったり張り付いてるから、ゆっくり下ろしていく感じ。凛が腕を上げて、俺が胸元まで下ろすと、形のいい胸が出てきた。大きくはない。たぶんCカップくらい。でもツンと上を向いてて、肌がもう信じられないくらい白い。

「きれい…」

「…恥ずかしいんだけど」

恥ずかしいって言いながら、目はそらさない。凛のそういうところが好きだった。

胸に手を伸ばすと、凛がびくってなった。乳首がシャワーのお湯と興奮で立ってて、親指で触れるとかすかに声が漏れた。

「ん…っ」

シャワーの下で、凛の胸を揉んだ。片手で腰を支えて、もう片手で胸を。凛が俺の肩に顔を埋めて、耳元で息をしてる。その吐息が首筋にかかるたびに、こっちもどんどんおかしくなっていった。

「…下も、触って…」

水着を全部脱がして、凛の太ももの間に手を滑らせた。お湯のせいかわからないけど、すでにぬるっとしてた。

「…濡れてる」

「…たぶん、さっきキスした時から…」

指を入れると、凛が腰を揺らした。ベンチに座った凛の膝が震えてて、俺はその間にしゃがみ込んで、ゆっくり指を動かした。

「あっ…そこ…いい…」

クリを親指で押さえながら中を探ると、浅いところで凛が声を上げた。

「やっ…そこ弱い…っ」

(この人が、いつもクールにプールサイドに座ってた監視員と同じ人なのか…)

そのギャップにめちゃくちゃ興奮した。信じられなかった。こんな声出すんだ、って。

「もう…入れて…」

「え…ゴム持ってない…」

「…私、ピル飲んでる。大丈夫」

(大丈夫って言われても…)って一瞬思ったけど、もう止まれなかった。

凛をベンチの上で仰向けにして、脚を開かせた。シャワーのお湯が凛の体を流れていく。蛍光灯の白い光と湯気の中で、凛の体が本当にきれいで、(俺なんかが触っていいのか)って一瞬躊躇った。

でも凛が手を伸ばして、俺の海パンの紐を引いた。

「…早く」

ゆっくり入れた。

「んっ…あ…」

「…きつい…」

生だからか、凛の中の感触が全部ダイレクトに伝わってきて、入れただけで頭がくらっとした。

「動いて…ゆっくりでいいから…」

腰を動かし始めると、凛が俺の背中に爪を立てた。痛いけど、それが逆に興奮した。

シャワーの音に混じって、ぱちゃ、ぱちゃ、って水の音がする。凛の中があったかくて、きつくて、動くたびに締まってくる。

「あっ…気持ちいい…」

「凛…俺も…やばい…」

「もっと…奥まで…」

深く突くと、凛が目を閉じて唇を噛んだ。眉間にしわが寄って、でも体は求めてくるように腰を押し付けてくる。

俺は凛の顔を見ながら腰を使った。この人の、こんな顔を見ていいのは俺だけなんだって思ったら、独占欲みたいなものがこみ上げてきた。

「凛…好き…」

「…私も…好き…っ」

凛が俺を引き寄せてキスしてきた。舌が絡んで、息ができなくて、でも離したくなかった。

「あっ…やば…イきそう…」

「俺も…もう…」

「中に出して…いいから…」

腰を速めると、凛がびくんって震えた。中がぎゅっと締まって、その感覚に耐えられなくて、俺も一気にいった。

「っ…」

ドクドクと出てるのがわかった。凛が俺を抱きしめて、震えが収まるまでそのままでいてくれた。

しばらく動けなかった。シャワーのお湯だけが、二人の体を流し続けてた。

「…ねぇ」

「…ん」

「これ、一回きり?」

「…嫌だ」

「嫌って?」

「一回きりは嫌だ。…付き合ってほしい」

無職のくせに何言ってんだ、って自分でも思った。でも今言わなかったら一生後悔するって、なんかわかった。

凛が笑った。さっきと同じ、泣きながらのくしゃっとした顔。

「…うん。よろしくね、無職くん」

「それ呼び方として最悪なんだけど」

二人で笑った。プールの塩素と、シャワーの湯気と、凛の体温。あの夜の空気は、今でも全部覚えてる。

その後、俺たちは付き合い始めた。

閉館後のプールで練習して、そのあと凛の家(高島平の団地の5階)でごはん食べて、泊まる。っていう生活が8月いっぱい続いた。凛の部屋は1DKで、俺の部屋より少し広くて、ちゃんとカーテンがあった(俺の部屋はカーテンが1枚破れてた)。

2回目以降のセックスは、最初の時みたいな切羽詰まった感じじゃなくて、もっと穏やかだった。凛は意外と甘えたがりで、終わったあとにくっついて離れなかった。

「ねぇ、転職先決まったら、もうプール来なくなるの?」

「は? なんで。彼女に会いに行くに決まってんじゃん」

「…ふふ。それ聞きたかっただけ」

9月の頭、俺は品川のWeb制作会社に内定をもらった。

凛に報告したら、泣かれた。俺より泣いてた。

「よかった…本当によかったね…っ」

「…凛のおかげだよ。あの夏、プールがなかったら俺たぶんダメになってた」

大げさじゃなく、本当にそう思ってる。

凛はその2週間後に、世田谷のスイミングスクールのコーチの内定をもらった。

今、あれから3年経った。俺は27歳で、凛は29歳。去年、板橋区から引っ越して、二人で世田谷の2LDKに住んでる。凛は相変わらず泳いでて、俺は週末だけマスターズの練習会についていってる。

たまに高島平のプールの前を通ると、あのシャワー室を思い出す。塩素の匂い。湯気。凛の震える声。全部。

あの夏、500円で始まった関係が、まさかここまで来るとは思ってなかった。

人生何があるかわからない。それだけは言える。


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