こんにちは。現在27歳、都内で営業をやってる普通のサラリーマンです。
これは俺が大学2年、20歳の時の話。今でもたまに思い出すと心臓がぎゅっとなる。あの夜のことを、ちょっと聞いてほしい。
俺の母親が再婚したのは、俺が大学に入ってすぐの春だった。相手は母の職場の上司で、温厚で真面目な人。特に反対する理由もなかったし、母親が幸せそうだったから「よかったじゃん」ぐらいの感覚だった。
問題はその人に、高校2年の娘がいたこと。
名前は伏せるけど、ここでは「ミサ」としておく。初めて会った時の印象は、正直めちゃくちゃ可愛かった。背は160ちょいぐらいで、髪はストレートの黒髪ロング。顔は橋本環奈をもう少しクール寄りにした感じで、目がきりっとしてる。制服姿で挨拶に来た時、(うわ、こんな子と暮らすのかよ)ってちょっと動揺した。Cカップぐらいだったと思う、当時は。
でもその動揺は、すぐに別の種類に変わった。
ミサは、俺にだけ異常に冷たかった。
父親には普通に甘えるし、俺の母親にも敬語ながら丁寧に接してる。なのに俺に対しては、目も合わせない。話しかけても「別に」「知らない」「用ないんだけど」。リビングで一緒になると露骨に部屋に戻る。
(あー、これが反抗期ってやつか)
最初はそう思ってた。そりゃそうだよな、いきなり知らない男が「お兄ちゃん」面して家にいるんだから。嫌に決まってる。俺だって逆の立場なら多分そうなる。
だから俺は距離を置いた。無理に話しかけない、共有スペースではさっさと用を済ませる、洗面所がかぶりそうなら俺が譲る。衝突を避ける、それが一番だと思った。
そんな生活が1年以上続いた。
転機は、大学2年の秋。10月の三連休だった。
父親と母親が、結婚1周年ということで二人で箱根に一泊旅行に行くことになった。
(まじか……ミサと二人きりじゃん)
気まずい。めちゃくちゃ気まずい。でも20歳の大学生が「お母さん行かないで」とも言えないし、そもそも俺にはバイトのシフトもある。
初日の夜。バイトから帰ると、リビングの電気がついていた。ミサがソファでスマホをいじってる。
「ただいま」
「……」
無視。いつも通り。
冷蔵庫からお茶を出して、自分の部屋に戻ろうとした時、背中に声が飛んできた。
「……ごはん」
「え?」
「ごはん、作ったけど。余ってるから。……別に、あんたのために作ったわけじゃないけど」
テーブルの上に、ラップのかかった皿があった。生姜焼きと、味噌汁と、サラダ。明らかに二人分。
(いや、これ絶対俺の分だよな……?)
でもここで下手にツッコむと機嫌を損ねそうだったので、素直にいただくことにした。
「ありがとう。食べるわ」
「勝手にすれば」
そう言いながら、ミサはソファから動かない。部屋に戻らない。チラチラとこっちを見てるのが、視界の端でわかる。
生姜焼き、うまかった。味付けがちょっと甘めで、家庭的な感じ。
「うまいな、これ」
「……ふーん」
興味なさそうに返すけど、耳がほんのり赤い。(いや、照れてんのかよ)とは思ったけど、口には出さなかった。
食べ終わって皿を洗ってたら、ミサがキッチンの入口に立ってた。
「……明日、バイトは?」
「休み。なんで?」
「別に。聞いただけ」
そう言って部屋に消えた。
翌日の昼過ぎ。俺はリビングでレポートを書いてた。ミサは朝から部屋にこもってて、出てくる気配がない。
14時ぐらいに、ミサがリビングに降りてきた。私服姿のミサを見るのは久しぶりで、白いニットにデニムのスカートという格好が妙に目に残った。
「……ねぇ」
「ん?」
「勉強、教えて」
(は?)
「え、俺に?」
「他に誰がいんの。来月テストなんだけど、数学がやばくて。……別に、あんたに頼みたいわけじゃないけど、塾行く金もったいないし」
ツンデレってこういうことかよ、とこの時は思ってなかった。本当にただの節約だと思った。鈍い。今思えば本当に鈍い。
「いいよ、見せて」
ミサが持ってきたのは数IIBの問題集。三角関数と数列。まぁ俺は理系だし、この辺はまだ覚えてた。
ダイニングテーブルに並んで座って、問題を解きながら教える。ミサは意外と真面目に聞いていて、ノートにメモを取る手つきが丁寧だった。
「ここは公式をそのまま当てはめるんじゃなくて、まず角度を変換してから――」
「あー、だからここが合わなかったんだ」
「そうそう。わかるじゃん」
「……別に、これぐらいわかるし」
でも、ほんの少し口角が上がっていた。
2時間ぐらい教えて、ミサが伸びをした。ニットの裾がちょっと上がって、白い腹がちらっと見えた。慌てて目をそらす。
「……ちょっと休憩」
「おう」
ミサがキッチンに行って、マグカップを二つ持って戻ってきた。片方を俺の前に置く。ココア。
「ありがとう」
「甘いの嫌いだったら自分で作って」
「いや、好きだよ」
「…………そう」
その「そう」の声が、いつもより少し柔らかかった気がした。
ココアを飲みながら、なんとなくテレビをつけた。土曜の午後のバラエティが流れてる。
「ねぇ」
「なに」
「来年の春……引っ越すって、聞いた?」
「え?」
「お父さんが転勤になるかもって。名古屋。……私もついていくことになると思う」
初耳だった。父親からも母親からも、何も聞いていない。
「そうなんだ……」
「お母さんは東京に残るかもって。仕事あるし。そしたら、ここにはお母さんとあんたが残って、私とお父さんが出ていく形になる」
「……別居ってこと?」
「たぶん、単身赴任みたいな。でも私は転校したくないから、おばあちゃんの家から通うかもしれない。名古屋の」
ミサの声は淡々としていた。でもマグカップを持つ手が、少し震えているように見えた。
「寂しくないの?」
「は?なんで。別に」
いつもの「別に」。でもその声には、いつもの刺がなかった。
その夜。
夕飯はミサが作ったカレーを二人で食べた。会話は少なかったけど、昼間の勉強のおかげか、空気はいつもよりずっとましだった。
22時過ぎ。自分の部屋で漫画を読んでいたら、ドアがノックされた。
「……寝れない」
ドアの隙間からミサが顔を出してる。パジャマ姿で、髪を下ろしている。薄い水色のTシャツに短パン。
「どうした」
「……別に、なんでもない。ただ、家に二人しかいないのがちょっと……」
怖いのか、と聞こうとしてやめた。プライドが高い子だとわかっていたから。
「リビングでなんか見る?映画とか」
「……いいけど。暇だし」
二人でリビングのソファに座って、Netflixで適当にホラー映画を選んだ。ミサが「ホラーでいい」と言ったくせに、怖いシーンのたびに小さく「ひっ」と声を上げるのが可愛くて、ちょっと笑ってしまった。
「笑うなし」
「いや、ごめんごめん」
映画が半分ぐらい進んだところで、ミサがいつの間にか俺の方に寄ってきていた。肩と肩が触れるぐらいの距離。体温を感じる。シャンプーの匂いがする。
(……近くない?)
でも何も言わなかった。言ったら離れるだろうと思ったから。
映画が終わった。時計は0時を回っていた。
「もう寝るか」
立ち上がろうとした時、ミサが俺のTシャツの裾をつまんだ。
「待って」
「ん?」
「……あのさ」
ミサは俯いたまま、しばらく黙っていた。テレビの待機ランプの青い光だけが、暗いリビングをぼんやり照らしている。
「私が……あんたに冷たかった理由、わかる?」
「反抗期じゃないの」
「……バカじゃないの」
ミサが顔を上げた。目が赤い。泣きそうな顔で、でも泣いてない。必死にこらえてる顔。
「反抗期なわけないじゃん……。お母さんにもお父さんにも普通にしてたでしょ、私。あんたにだけだよ、こんな態度とってたの」
「……」
「最初に会った時……あんたのこと、かっこいいなって思った。大学生で、背が高くて、笑うと目が細くなるのが……好きだった」
心臓が止まるかと思った。
「でも兄妹になるんだよ?好きになっちゃダメでしょ。だから……距離を取るしかなかった。冷たくして、嫌いなフリして、近づかないようにしてた。それなのにあんたはいっつも優しくて、ごはん残してくれたり、洗面所譲ってくれたり……」
ミサの声が震えていた。
「優しくされるたびに好きになるから……やめてほしかった」
頭が真っ白になった。
(こいつ、ずっと……)
1年半。俺が「反抗期だな」と思って距離を置いていた間、ミサは一人で、好きになっちゃいけない相手への気持ちと戦ってたのか。
「ミサ……」
「もう引っ越すから。言っても、いいかなって。最後だし。迷惑かけないから。明日から普通に、兄妹として……」
俺はミサの言葉を遮って、抱きしめていた。
自分でも驚いた。考えるより先に体が動いた。
「え……ちょ、なに……」
ミサの体が硬直してる。でも、振り払ってこない。
「ごめん……全然、気づかなかった」
「……気づかれたら困るから、そうしてたんだけど」
「俺さ、ミサのこと……」
自分の気持ちを整理するのに数秒かかった。好きだったのか?義妹だから、意識しないようにしてた。でもミサの生姜焼きが嬉しかった。ココアが嬉しかった。肩が触れた時に離れなかった。それは――
「ミサのこと、妹だと思ったことない。一回も」
「……は?」
「同い年ぐらいの、可愛い女の子がいきなり家にいるんだぞ。意識しないわけないだろ。ただ、義妹だから……俺も、見ないようにしてただけで」
ミサがぽかんとした顔で俺を見てる。さっきまでの強気が全部はがれて、年相応の女の子の顔になっている。
「……じゃあ、なに……お互い、好きなのに、距離取ってたってこと……?」
「たぶん、そういうことになる」
「……なにそれ。バカみたい」
ミサが泣いた。声を殺して、俺のTシャツに顔を押し付けて。
腕の中でミサが震えている感触と、鎖骨のあたりに落ちる涙の温かさが、やけにリアルだった。
どのくらいそうしていたかわからない。ミサが顔を上げた時、涙で目が潤んでいて、鼻が赤くて、髪が乱れていて。
「……キス、してよ」
小さな声だった。拒否する理由なんて、もうどこにもなかった。
唇を重ねた。ミサの唇は柔らかくて、少し塩辛かった。涙の味だった。
最初は触れるだけの、ぎこちないキス。でもミサの方から舌先が触れてきて、それを合図に深くなっていった。
「ん……っ」
ミサが俺の首に腕を回す。角度を変えて、もう一度。舌が絡む。息が荒くなる。
「……ミサ」
「やめないで……もう少し……」
ソファの上で横になるようにして、ミサの上に覆いかぶさる形になった。暗いリビングで、テレビの待機ランプだけが光ってる。
ミサのTシャツ越しに、胸の膨らみが押し付けられてくる。心臓の音が聞こえそうなぐらい近い。
「……これ以上は、やばいぞ」
「……わかってる」
わかってるのに、ミサは離れない。むしろ、俺の腰に脚を回してきた。
「明日にはもう、こんなことできなくなるんだよ……?」
その言葉が、最後のブレーキを壊した。
ミサのTシャツに手をかけると、ミサは自分から腕を上げた。薄い水色のTシャツの下は、ブラをしていなかった。
「……ブラしてないの」
「寝る時はしないし……まさかこうなると思ってないし……っ、見ないで」
見ないでと言いながら、隠す手が中途半端。暗がりの中でも、形のいい胸が見える。白くて、先端がうっすらピンク。
(やばい。マジで可愛い)
胸に手を伸ばすと、ミサが小さく息を吸った。柔らかくて、手のひらに収まるサイズ。指で先端に触れると、もう硬くなっていた。
「んっ……」
「感じてる?」
「……うるさい」
強がりを言いながらも、ミサの体は正直だった。乳首を転がすと、腰が小さく跳ねる。口元を手で押さえて、声を我慢してる。
「我慢しなくていいよ。誰もいないし」
「だっ……だからって……あっ」
口に含むと、ミサの背中が反った。
「ちょ、それ……んんっ……」
舌で転がしながら、もう片方の手でショートパンツの上から太ももを撫でる。内側に手を滑らせると、ミサの脚がぴくっと閉じかけて、でもすぐに力が抜けた。
ショートパンツの上からでもわかるぐらい、熱くなっている。生地が湿ってる。
「触っていい?」
「……好きにすれば」
震える声で、いつもの「好きにすれば」。でも意味がまるで違う。
ショートパンツと下着を一緒にずり下ろす。ミサは顔を腕で覆って、こっちを見ていない。
指で触れると、もうとろとろだった。
「ひっ……」
「すごい濡れてる」
「言わないで……恥ずかしいから……」
クリを指の腹で軽く押すと、ミサの腰がびくんと跳ねた。
「あっ……そこ、だめ……っ」
だめと言いながら脚が開いていく矛盾。ゆっくりと指を入れていくと、中は熱くて、きつくて、吸い付いてくるようだった。
「んっ……あ、あぁ……っ」
指を動かすたびに、ミサの息が荒くなる。腕で隠していた顔がずれて、潤んだ目が見えた。
「気持ちいい?」
「……うん……」
初めて素直な返事が返ってきた。その声があまりに小さくて、胸が苦しくなった。
中をかき回しながらクリを親指で刺激すると、ミサの体が強張った。
「まって……なんか、やばっ……来る……」
「いっていいよ」
「あっ、あぁっ……!」
ミサの中がきゅっと締まって、太ももがぶるぶる震えた。俺のTシャツを握りしめて、しばらく荒い呼吸を繰り返す。
「はぁ……はぁ……」
「……大丈夫?」
「……大丈夫じゃない。なんで……こんなに気持ちいいの……」
泣き笑いみたいな顔で、ミサが俺の顔を見上げた。
「……ねぇ。入れて」
「え」
「入れてって言ってんの。……聞こえなかった?」
強気な口調が戻ってる。でも声は震えてる。
「……本当にいいのか。ミサ、もしかして……」
「初めてだよ。だから、あんたがいいの」
その言葉で、頭の中が沸騰した。
(義妹の、初めて。俺が。いいのか、これ)
いい悪いの問題じゃなかった。もう止まれなかった。
ソファは狭かったから、ミサの部屋に移動した。ベッドの上でミサが仰向けになる。街灯の光がカーテン越しに入ってきて、ミサの裸がぼんやり照らされてる。
コンビニに走ろうかと思ったけど、ミサに「行かないで」と腕を掴まれた。
「いいから……大丈夫だから」
「でも……」
「今日だけだよ。明日からは……もう、こんなことないから。だから今日だけ、全部ちょうだい」
先端を当てて、ゆっくり入れていった。ミサが息を止めるのがわかった。
「っ……痛い……」
「無理するな、止める?」
「止めないで。……お願い」
少しずつ、少しずつ。ミサの中は信じられないぐらい熱くて、きつくて。
奥まで入った時、ミサの目から涙がこぼれた。痛いのか、感情なのか、たぶん両方。
「泣くなよ……」
「泣いてない……っ」
泣いてないと言いながら涙を流すミサを、キスしながらゆっくり動き始めた。
最初はぎこちなかった。ミサは痛そうに顔をしかめていて、俺も加減がわからなくて。でもだんだんとミサの表情が変わっていった。
「ん……っ、あ……」
痛みから、別の何かに。ミサの手が俺の背中に回って、爪が食い込む。
「……気持ちいい……」
「……俺も」
(こんなの、夢みたいだ)
冷たい態度を取られ続けた1年半。その裏にこんな感情があったなんて。今この瞬間、ミサの中にいて、ミサの声を聞いてて、それが全部本当のことで。
信じられなかった。
ミサの脚が俺の腰に巻きついてくる。密着した体温。汗の匂い。シャンプーの残り香。
「もっと……奥……」
腰を深く押し込むと、ミサの声が跳ねた。
「あっ……そこ……いい……っ」
同じ場所を繰り返し突くと、ミサの体がどんどん敏感になっていくのがわかる。中が収縮して、吸い込まれるような感覚。
「やば……出そう……」
「……いいよ」
「中はまずい……」
「いいって言ってるの……っ。最後まで……ちゃんと感じたい……」
ミサの脚に力が入って、抜けなくなった。
(もう、無理だ)
「出る……っ」
「うん……来て……っ」
ミサの中に全部出した。頭が真っ白になる快感と、取り返しのつかないことをした実感が同時に押し寄せてくる。
「あ……っ、熱い……」
ミサが俺の背中をぎゅっと抱きしめた。中がまだ脈打っている。
「……ごめん、中に……」
「……謝んないで。私が言ったんだから」
しばらく繋がったまま、息を整えた。抜いた時に、シーツにうっすら血が混じっていた。
「……痛かったよな」
「……最初だけ。途中から、全然」
ミサが横向きになって、俺の胸に顔を埋めてくる。
「ねぇ……もう一回、していい?」
「え」
「だって……最後なんでしょ。明日からは、普通の兄妹に戻るんだから」
その言葉に、胸がぎゅっと痛んだ。
2回目は、ミサが上に乗った。まだ慣れていないのか、ぎこちなく腰を動かすミサの顔は、さっきまでの強気な義妹とは全然違っていた。必死で、切なくて、泣きそうで。
「ん……っ、あ……これ……すごい……」
「無理すんなよ」
「無理じゃない……っ、自分で動きたいの……」
ミサの腰を支えながら、下から突き上げる。ミサの甘い声が、静かな部屋に響く。
「あっ……好き……っ」
不意に漏れた言葉に、ミサ自身が驚いた顔をした。
「あ……今の、なし……」
「なしじゃねぇよ」
ミサを引き寄せて、キスした。キスしながら奥まで突き上げると、ミサの体が大きく震えた。
「んんっ……あ、だめ……イっちゃ……っ」
「一緒にイこう」
「うん……っ、一緒に……っ!」
ミサの中がきゅうっと締まる。その瞬間、俺も限界だった。2回目の射精。ミサの中が俺のを搾り取るように脈動してる。
「あぁっ……」
ミサが俺の上に崩れ落ちて、二人とも荒い呼吸を繰り返した。
汗だくのまま、抱き合って、しばらく何も喋れなかった。
窓の外がうっすら白みかけた頃、ミサが呟いた。
「……引っ越し、やめようかな」
「え?」
「お母さんと一緒に東京に残る選択肢もあるって、お父さん言ってた。今の学校の友達もいるし」
「……それは」
「別に、あんたのために残るわけじゃないから。勘違いしないでよね」
暗がりでも、ミサの耳が真っ赤なのがわかった。
俺は笑って、ミサの頭を撫でた。
「はいはい」
「……今、絶対バカにしたでしょ」
「してない」
「……じゃあなんで笑ってんの」
「嬉しいから」
ミサが黙った。数秒の沈黙の後、小さな声。
「……私も」
結局ミサは東京に残った。父親だけが名古屋に単身赴任した。
家での俺たちの関係は、表面上はあまり変わらなかった。ミサは相変わらず俺にだけ素っ気ない態度を取り続けたし、母親の前では普通の兄妹を演じていた。
でも、夜中に俺の部屋のドアがノックされることが、たまにあった。
あの三連休から7年。今、俺たちがどうなっているかは、まぁ……言わなくてもわかるよな。