肩が終わって通い始めた整骨院の先生が施術中やたら密着してくるので気になって仕方がなかった話

二十八歳、都内でシステムエンジニアをやってます。

いきなりですけど、俺、肩がぶっ壊れました。正確に言うと右肩の腱板がどうのこうので、要はデスクワークのしすぎです。朝から晩までモニター三枚並べてコード書いてたら、そりゃ人体も限界を迎えますよね。

整形外科で「特に手術とかは要らないけど、リハビリ通ってね」と言われて、会社の近くの整骨院を探したのが去年の九月。秋葉原駅から昭和通りを渡って裏路地に入ったところにある、小さい整骨院でした。「たかはし整骨院」っていう、まあなんの変哲もない名前の。

初診の日、受付で問診票を書いていたら、奥のカーテンから出てきた人を見て、ちょっと固まりました。

(え、この人が施術するの……?)

白衣を着た女の人。年齢は三十前後ぐらい。背は163くらいかな、俺より少し低いぐらい。で、顔が――これ怒られるかもしれないけど言います、新垣結衣に似てる。正確には新垣結衣をもうちょい大人っぽくして、目元のキリッとした感じを足した顔。髪は暗めの茶色で、後ろで一つに束ねてた。

白衣の上からでもわかるくらい胸があって、たぶんEかFぐらい。ウエストは細いのに。なんていうか、白衣がこんなに似合う人いるんだって思いました。

「高橋です。今日から担当させていただきますね」

名札には「高橋 理沙」と書いてあった。

(高橋先生……よろしくお願いします……)

施術ベッドにうつ伏せになると、高橋先生が俺の右肩に手を置きました。

「ここ、押すと痛いですか?」

「いっ……はい、痛いです」

「かなり固まってますね。肩甲骨のあたりも見ますね」

先生の手が肩甲骨のあたりをぐーっと押していく。痛いんだけど、気持ちいい。で、問題はここからで。

先生が俺の肩を揉みほぐすとき、距離がめちゃくちゃ近いんですよ。

横に立って、体を俺の方に傾けて施術するから、先生の体が俺の腕とか背中にぴったり当たる。当然、胸も当たる。白衣越しだけど、やわらかいものが腕に押し付けられてる感触がはっきりわかる。

(これ、仕方ないやつだよな……施術だし……)

って自分に言い聞かせるんだけど、いや、そうは言ってもですよ。Eカップ以上が腕に密着してきたら、二十八歳の男の体は正直に反応するわけで。

うつ伏せで本当によかったと思いました。

初回の施術が終わって、先生が言いました。

「週に二回ぐらい来られると理想的なんですけど、お仕事の都合もあると思うので、まずは週一で様子を見ましょう」

「はい、よろしくお願いします」

帰り道、昭和通りを歩きながら考えました。

(あの先生のためだけに週二で通いたい)

我ながらキモいなと思いつつ、翌週からきっちり週一で通い始めました。

三回目ぐらいから、施術中に雑談するようになりました。

「お仕事、何されてるんですか?」

「SEです。ずっとパソコンの前で」

「あー、だからこんなに凝るんですね。ストレッチとかしてます?」

「……してないです」

「だめですよー。毎日五分でいいから、肩回してください」

叱られてるんだけど、声がやさしいから全然嫌じゃない。むしろもっと叱ってほしい。

(やめろ、キモいぞ俺)

四回目の施術のとき、先生が急に笑い出しました。

「あっ、すみません。昨日見たドラマ思い出しちゃって」

「何のドラマですか?」

「えっと……月曜の九時の、刑事もの。見てます?」

「あ、見てます見てます。先週のやつ、犯人意外すぎません?」

「ですよね! 絶対あの人だと思ってたのに!」

施術中なのにドラマの話で盛り上がって、気づいたら予定の三十分を十分もオーバーしてた。

「あ、すみません、つい話しすぎちゃいました。今日は延長分はいいですから」

「いいんですか? すみません」

「楽しかったから」

先生がそう言って笑った顔が、反則だった。新垣結衣が笑ってるのと同じなんですよ。いや、それ以上かもしれない。だって目の前にいるから。画面じゃなくて。

通い始めて二ヶ月ぐらい経った頃、異変に気づきました。

先生の密着度が明らかに上がってる。

最初の頃は「施術の都合上当たってます」って感じだったのが、最近は俺の腕をわざわざ自分の胸と体の間に挟むような位置取りをするようになってた。肩を押すときに、先生の顔が俺の耳のすぐ横に来て、息がかかる距離。シャンプーの匂いがする。

(これ……気のせいじゃないよな……?)

でも、こういうのって勘違いが一番恥ずかしいじゃないですか。「お客さんに好意があると思い込んでたイタい男」になるのだけは避けたい。整骨院の先生が患者さんに近いのは、たぶん普通のことなんだろう。俺が意識しすぎてるだけだ。

そう思うようにしてました。

で、事件が起きたのは十一月の末。

その日、俺は午前中に取引先でトラブルがあって、昼飯も食えずに走り回って、夕方ようやく整骨院に駆け込みました。

「すみません、予約ギリギリで」

「大丈夫ですよ。……あれ、顔色悪くないですか?」

「あー、今日ちょっとバタバタしてて、ご飯食べてなくて」

「え、それダメですよ。体調悪いときに施術すると逆効果になることもあるので」

先生が少し考えてから言いました。

「今日の施術は短めにして、そのあとちょっと休んでいってください。温かいお茶ぐらいは出せますから」

施術は二十分で終わって、先生がスタッフルームからマグカップを二つ持ってきてくれました。

「はい、ほうじ茶。猫舌ですか?」

「大丈夫です。……ありがとうございます」

施術ベッドに座って、先生は隣の丸椅子に腰かけて、二人でお茶を飲みました。他の患者さんはもういなくて、BGMのオルゴールだけが流れてた。

「お仕事、大変そうですね」

「まあ、IT業界はどこもこんなもんですよ。先生のほうが大変じゃないですか? 体力仕事だし」

「私はもう慣れましたけどね。……でも、正直しんどい日もあります。朝から晩まで人の体触って、自分の体はボロボロっていう」

「先生も肩こるんですか?」

「めちゃくちゃ凝りますよ。誰か揉んでくれないかなって思います」

そこで先生がちらっと俺の顔を見た。一瞬だったけど、なんか、意味ありげな視線だった。

(……いや、気のせいだ。気のせい気のせい)

「あ、じゃあ俺が……いや、素人がやったら逆に痛めますよね」

「ふふ、そうかもしれないけど。気持ちは嬉しいです」

この日、帰り際に先生が言いました。

「あの、来週の水曜、院がお休みなんですけど」

「あ、そうなんですね。じゃあ木曜に……」

「じゃなくて。……水曜、もしお時間あったら、ご飯でもどうかなって」

「……え?」

「患者さんを誘うのってどうなんだろうって、ずっと迷ってたんですけど。でも、月曜ドラマの話できる人、周りにいなくて」

先生は少し照れたように、束ねた髪の毛先をいじりながら言いました。

(マジで言ってんの? この新垣結衣似の先生が? 俺を?)

脳内がバグりかけたけど、ここで変な間を空けたら一生後悔すると思って、即答しました。

「行きます。行かせてください」

「よかった。じゃあLINE交換しましょう」

その場でスマホを取り出して、LINE交換。先生のアイコンは柴犬だった。

水曜日。仕事は午後半休を取りました。有給なんて健康診断のときぐらいしか使わない人間が、デートのために半休。自分でも信じられない。

待ち合わせは秋葉原駅の電気街口。十八時。

五分前に着いて待っていると、改札の向こうから高橋先生が歩いてきた。

白衣じゃない高橋先生を見るのは初めてで、思わず息が止まった。

ベージュのニットワンピースにロングコート。髪は下ろしてて、ゆるく巻いてある。白衣のときもやばかったけど、私服はもっとやばい。ニットワンピースがもう、体のラインを完全に拾ってて、胸の存在感がとんでもないことになってた。

「お待たせしました」

「い、いえ、全然。……先生の私服、初めて見ました。すごい綺麗です」

「ありがとうございます。あ、今日は先生じゃなくて、理沙でいいですよ」

「り、理沙さん」

「ふふ、緊張してる?」

(してるに決まってんだろ……)

予約してた店は、秋葉原から少し歩いた御徒町の焼き鳥屋。カウンター席で隣同士に座りました。

生ビールで乾杯して、焼き鳥をつまみながら、いろんな話をしました。先生――理沙さんは千葉の船橋出身で、専門学校を出て柔道整復師の資格を取って、五年前にこの整骨院に入ったこと。趣味はNetflixとホットヨガ。好きな食べ物は辛いもの。

「蒙古タンメン中本の北極、余裕で食べられます」

「まじですか。俺、味噌タンメンで限界なんですけど」

「かわいい」

「かわいいって言われると複雑なんですが」

生ビールが二杯目に入った頃、理沙さんが聞いてきました。

「ねえ、彼女とかいるんですか?」

「いないです。もう三年ぐらい」

「え、三年? もったいない」

「いや、出会いがないんですよ。会社と家の往復で。……理沙さんは?」

「私も二年ぐらいいないです。前の彼氏とは、仕事が忙しすぎてすれ違って別れちゃって」

「そうなんですか」

(二年いないって、嘘だろ。この顔とスタイルで?)

三杯目のハイボールを飲みながら、理沙さんが少し酔った顔で言いました。

「正直に言っていいですか」

「はい」

「私、施術中に体当たっちゃうの、最初は本当に仕方なくだったんです。でも途中から、ちょっとわざとでした」

「……え?」

「だって、体当たっても全然いやらしい目で見てこないし、いつもちゃんとお礼言ってくれるし。他の男の患者さんって、結構あからさまにジロジロ見てきたり、変なこと言ってきたりするんですよ。でもあなたは、いつも目を合わせてありがとうございましたって。……それがなんか、すごく嬉しくて」

俺は黙ってしまいました。

だって、見てなかったわけじゃないんですよ。見てました。めちゃくちゃ見てました。ただ、うつ伏せだったから見えなかっただけで。もし仰向けだったら絶対目線いってた。

でもそれは言えないので、

「……ありがとうございます。嬉しいです」

とだけ言いました。

店を出たのは二十一時過ぎ。御徒町の駅前は金曜ほどじゃないけどそれなりに人がいて、十二月の風が冷たかった。

「寒い……」

理沙さんが俺の腕にぴたっとくっついてきました。施術中の距離感が蘇る。でも今は白衣じゃなくて、ニットワンピースのやわらかい感触が腕に伝わってきて、心臓がうるさい。

「理沙さん、結構飲みましたよね。大丈夫ですか?」

「うん、大丈夫。……ねえ」

「はい」

「うちのマンション、ここから歩いて十分ぐらいなんだけど。……来る?」

心臓が口から出るかと思いました。

「……いいんですか?」

「施術のお返しに、肩、揉んであげようかなって」

その理由づけは無理があると思ったけど、断る理由はこの世のどこにもなかった。

理沙さんのマンションは御徒町の駅から上野方面に少し歩いた、築浅のワンルーム。オートロックを抜けてエレベーターで五階。部屋に入ると、柔軟剤のいい匂いがした。

「散らかっててごめんね。適当に座ってて」

部屋は全然散らかってなかった。ベッドとテレビと小さなテーブル。棚にはアロマキャンドルが並んでて、さすが体のプロだなって思った。

「ワイン、飲む? 赤しかないけど」

「いただきます」

二人でベッドの端に座って、ワインを飲みました。テレビはつけなかった。

「……ねえ、本当に肩揉んであげようか」

「え、いいんですか?」

「プロの施術、タダで受けられるチャンスですよ?」

理沙さんが俺の後ろに回って、肩に手を置いた。白衣のときと同じ手。でも距離感が全然違う。

ぐっと親指で僧帽筋を押されて、思わず声が出ました。

「うっ……効く……」

「ここ、やっぱりガチガチ。ストレッチしてないでしょ」

「……してないです」

「もう」

肩を揉まれながら、背中に理沙さんの体温を感じた。胸が背中に押し付けられてる。整骨院のときと同じだけど、間にあるのが白衣じゃなくてニットワンピースで、やわらかさがダイレクトに伝わってくる。

(これ、耐えられるわけないだろ……)

理沙さんの手が、肩から首筋に移動した。耳の後ろのあたりを親指でくるくると押される。

「あっ……そこ、気持ちいい……」

「ここ、ツボがあるんですよ。……ねえ」

理沙さんの唇が、俺の耳のすぐ横にあった。吐息がかかる。

「施術中、ずっと我慢してたの。触れるのに、触れちゃいけないって」

「理沙さん……」

振り返ると、理沙さんの顔がすぐそこにあった。目が少し潤んでて、唇が薄く開いてる。

気づいたらキスしてました。どっちからとかわからない。唇が触れた瞬間、理沙さんが小さく「ん」って声を出して、それで俺の頭の中は完全にバグった。

理沙さんの唇は柔らかくて、ワインの味がした。舌を入れると、理沙さんも舌を絡めてきて、ねっとりしたキスになった。

(やばい、これ夢じゃないよな……?)

キスしながら、理沙さんをベッドに押し倒した。ニットワンピースの上から胸を触ると、手に余るぐらいのボリュームがあって、指が沈み込む。

「んっ……あ、ちょっと待って」

「ご、ごめん、嫌だった?」

「違う。……ワンピース、脱ぐから」

理沙さんが自分でニットワンピースを脱いだ。黒のブラとショーツ。白い肌に黒の下着が映えて、息が止まりそうだった。

ブラを外そうとしたら、ホックの場所がわからなくて手間取った。

「ふふ、前ホックだよ」

「あ、すみません……」

前のホックを外すと、ぶるんと胸が飛び出してきた。やっぱりEカップ以上ある。整骨院で腕に押し付けられてたのがこれかと思うと、なんかもう感慨深かった。

「……すごい」

「そんな見ないで、恥ずかしいから……」

「施術中はあんなに押し付けてきてたくせに」と思ったけど口には出さず、両手で胸を包み込むように触った。柔らかくて、でも張りがあって、乳首がもう固くなってた。

乳首を指で転がすと、理沙さんが目を閉じて声を漏らした。

「あっ……んん……」

右の乳首を口に含んで、舌で転がした。左は手で揉みながら。

「あっ、やっ……そこ、敏感なの……っ」

腰がくねくね動いてる。施術中のあの冷静な先生が、こんな顔するんだって思ったら、たまらなくなった。

ショーツの上から触ると、もう濡れてた。

「理沙さん、ここ……」

「……だって、しょうがないでしょ。ずっと我慢してたんだから」

ショーツを脱がせて、指で割れ目をなぞった。愛液がとろっと指に絡みつく。クリトリスのあたりを親指でくるくる刺激すると、理沙さんの腰がびくっと跳ねた。

「あっ、そこ……っ、だめ……気持ちいい……」

指を一本、中に入れた。熱くて、きゅっと締めつけてくる。

「んんっ……もっと奥……」

二本目を追加して、中を探るように動かした。Gスポットのあたりを指の腹で刺激すると、理沙さんが急に声を大きくした。

「あっ、あっ、やばっ……そこ……っ!」

理沙さんの手が俺の腕を掴んできた。爪が食い込むぐらいの力で。

「いっ……イク……イっちゃう……っ!」

体をびくびく震わせて、理沙さんがイった。太ももが内側にぎゅっと閉じて、俺の手を挟み込んだ。

「はぁ……はぁ……」

荒い息をしながら、理沙さんが俺を見上げた。

「……ずるい。私ばっかり」

そう言って、理沙さんが俺のベルトに手をかけた。ズボンとパンツを一気に下ろされて、もうガチガチになってるのが露わになった。

「……立派だね」

「あんまり見ないでください……」

「施術のプロとして言わせてもらうと、ここの筋肉はすごく健康的です」

「筋肉じゃないです」

理沙さんがくすっと笑って、手で握ってきた。施術のときとは全然違う手つき。でもプロの手だからか、握り方がめちゃくちゃ上手い。力加減が完璧。先端のあたりを親指でくるくる刺激されて、腰が浮きそうになった。

「っ……理沙さん、やばい……それ気持ちよすぎる……」

「ここもツボみたいなものだからね」

「ツボじゃないって……あっ……」

このまま手でイかされそうになったので、理沙さんの手を止めた。

「ごめん、これ以上されると先に出ちゃう」

「……入れて、ほしいな」

理沙さんがベッドの上で仰向けになって、足を少し開いた。さっきイったばかりなのに、もうまた濡れてる。

「ゴム……」

「……引き出し」

ベッドサイドの引き出しを開けたら、コンドームがあった。

(用意してたのか……)

それがなんか嬉しくて、つまり今日は最初からそのつもりだったってことで。でもそれは言わないでおいた。

ゴムを装着して、理沙さんの足を広げた。先端を当てて、ゆっくり入れていく。

「んっ……あぁ……」

中は熱くて、ぬるぬるで、締めつけがすごかった。半分入れたところで理沙さんが目をぎゅっとつむった。

「大丈夫? 痛い?」

「ううん……久しぶりだから……ちょっとだけ待って」

しばらくそのまま動かずに、理沙さんの髪を撫でた。目を開けた理沙さんが、潤んだ目で俺を見て、小さく頷いた。

「……動いて」

腰をゆっくり引いて、押し入れる。理沙さんの中が俺を包み込むように締めてくる。

(やばい、気持ちよすぎて頭おかしくなりそう)

理沙さんが俺の背中に手を回してきた。爪が背中に食い込む。

「あっ……んっ……すごい……奥まで来てる……」

「理沙さん……中、やばい……」

少しずつテンポを上げていくと、理沙さんの声がどんどん大きくなった。

「あっ、あっ、そこ……っ、気持ちいい……っ!」

いつも冷静に「はい、ここ押すと痛いですか?」って聞いてくる先生が、俺の下でこんな声を出してる。そのギャップがもう、理性を吹き飛ばした。

理沙さんの足が俺の腰に巻きついてきた。

「もっと……もっと奥……っ」

腰の角度を変えて、奥を突くように動いた。パンッと音が鳴るぐらい強く腰を打ちつけると、理沙さんが甲高い声を上げた。

「あああっ! だめっ……また……イっちゃ……っ!」

理沙さんの中がぎゅうっと締まって、その瞬間俺も限界だった。

「くっ……俺も……っ」

奥に押し込んだまま、ゴムの中に全部出した。頭の中が真っ白になって、しばらく動けなかった。

理沙さんの上に倒れ込んで、二人とも息が荒いまま、しばらくそのままでいた。

「……重い」

「あ、ごめん」

慌てて横にどいたら、理沙さんが追いかけるように体を寄せてきて、俺の胸に頬をくっつけた。

「……ね、もう一回、したい」

「え、もう?」

「二年ぶりなの。溜まってるんだから」

「俺は三年ぶりなんですけど」

「じゃあおあいこだね」

二回目は理沙さんが上に乗った。さっきまで施術してた手が俺の胸に置かれて、腰を動かし始める。上から見下ろしてくる顔が、施術中に「はい、力抜いてくださいね」って言ってるときと同じ真剣な表情で、なのにやってることは全然違って、そのギャップで頭がおかしくなりそうだった。

「ん……っ、あぁ……これ、いい……」

さっきとは角度が違って、理沙さんも気持ちいいところに当たってるらしい。だんだん動きが激しくなって、さっき下ろしていた髪が揺れる。揺れるたびに、胸も揺れる。

一回目よりも理沙さんが大胆になってた。遠慮がなくなったというか。自分の気持ちいいところを知ってる動き方をしてて、それが余計にエロかった。

「あっ……あっ……やばい、また……っ」

理沙さんが俺の上で果てて、ぐったりと倒れ込んできた。耳元で荒い息を聞きながら、俺もすぐにイった。

「……はぁ……」

理沙さんが俺の首筋にキスしてきた。

「ねえ」

「うん」

「来週から施術、ちゃんとプロとしてやるからね。公私混同しないから」

「……それは、つまり」

「施術は施術。でも施術のあとは……ね?」

理沙さんがいたずらっぽく笑った。

「……じゃあ来週から週二で通います」

「それは肩のために? それとも」

「……両方」

理沙さんが声を出して笑って、俺の胸に顔をうずめた。

あれから半年以上経って、今も俺は週二であの整骨院に通ってます。肩はとっくに治ったんだけど、メンテナンスってことで。施術中の先生は完全にプロで、一切変な空気を出さない。でも最後のベッドに戻ったとき、カーテンの向こうに誰もいないと、こっそり手を繋いでくる。

その手の温度が、施術のときとは全然違うの、俺だけが知ってます。


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