親友の彼女に『練習相手になって』と泣きつかれた夜、断れなかった俺が全部悪い

これ書いていいのかな、って正直まだ迷ってる。

でも誰にも言えないし、もう2年経ったし、書かないとたぶん一生このまま胸の中でぐるぐるし続けるから書きます。

俺は当時大学2年で、都内の私大に通ってた。学部は経済。高校までずっとサッカーやってて、大学でもサークルでフットサルを続けてた。顔面偏差値は中の下ぐらいだと思う。身長172で、まぁ可もなく不可もなくって感じ。彼女いない歴イコール年齢の、よくいるタイプの大学生だった。

サークルに翔太ってやつがいて、こいつとはマジで気が合った。出身地も近くて、入学初日のガイダンスで隣の席になって、そっからほぼ毎日一緒にいた。翔太は俺と違って顔がいい。竹内涼真をちょっとだけ薄くした感じで、背は180ある。サッカーもうまいし、性格も明るいし、まぁモテた。当然のようにモテた。

で、翔太には彼女がいた。

同じ大学の文学部の子で、名前はここでは「サキ」とだけ書いとく。身長は160ぐらいで、髪はミディアムのゆるふわパーマ。顔は今田美桜に似てるって本人はめちゃくちゃ否定するんだけど、いや似てるって。目がでかくて、笑うと八重歯がちょっと見えるのがかわいかった。Eカップあるらしいってのはサークルの女子から聞いた話で、ニットとか着てると(うわ、でっか…)ってなるぐらいには存在感があった。

翔太とサキが付き合い始めたのは1年の秋で、それからサキもサークルの飲み会によく顔を出すようになった。俺はサキと特別仲がいいってわけじゃなかったけど、翔太の隣にいつもいるから自然と話す機会は多かった。

サキは見た目の印象と違って、けっこう天然というか、抜けてるところがあった。

「ねえ、ハイボールってビールなの?」

「違うよ、ウイスキーだよ」

「えっ、じゃあなんでボールなの?」

「知らねぇよ」

こういう会話を翔太の横でよくしてた。翔太は「サキおもしれーだろ?」ってニコニコしてて、(まぁ確かにおもしろいけど、それ彼氏フィルターだろ)と思ってた。

事件が起きたのは、2年の6月だった。

金曜の夜、バイトが終わって西荻窪の1Kのアパートでカップ焼きそば食べてたら、LINEが来た。サキからだった。

「今から会えない?大事な話がある」

(は?)

サキと2人で会ったことなんて一度もない。翔太と3人ならあるけど。

「翔太は?」

「翔太には言えない話」

嫌な予感しかしなかった。別れ話の相談か?それなら俺じゃなくて女友達に言えよ、って思ったけど、「大事な話」って言われると無視もできない。

「まぁいいけど、うち来る?汚いよ」

「行く。30分で着く」

30分後、本当にサキが来た。

白のブラウスにデニムのスカートで、いつもよりちょっとだけ大人っぽい格好をしてた。部屋に入ってきたサキは、靴を脱ぐなり床に座り込んだ。

「ごめんね、急に」

「いいけど、何?」

「あのさ……」

サキはしばらく黙ってた。俺は向かいに座って待ってた。冷蔵庫の音だけがブーンって鳴ってた。

「翔太とさ、まだ……してないの」

「は?」

「エッチ。まだしたことない」

付き合って8ヶ月でしてないのか、とは思ったけど、それがどう俺に関係あるのかがわからなかった。

「それは……まぁ、人それぞれだろ」

「翔太はね、私が経験あると思ってるの。高校の時に彼氏いたって話したから」

「いたんじゃないの?」

「いたけど……そういうことはしてない。キスまで」

サキは膝を抱えて、顔を埋めた。

「翔太はたぶん慣れてるし……私がヘタだったら幻滅されるかもって思ったら怖くて。ずっと逃げてた」

「いや、それは翔太に正直に言えばいいだけの話じゃ……」

「言えない。絶対に」

顔を上げたサキの目が赤かった。泣いてた。

「来週、翔太の誕生日なの。泊まりに行く約束してて……もう逃げられない」

「だから、普通に初めてだって言えば……」

「無理。翔太の元カノ、サークルの先輩でしょ?あの人すごいらしいじゃん。それと比べられるの……」

たしかに翔太の元カノは3年のユキさんで、まぁ……そういう意味でも評判のある人ではあった。サークル内の噂で翔太が「ユキさんやばかった」的なことを酔って言ってたのは俺も聞いてた。

「だから……練習、させてほしい」

「……は?」

「練習相手になってほしいの。一回だけ」

頭がバグった。

マジで5秒ぐらいフリーズした。

「いやいやいや、待って。それはダメだろ。翔太は俺の……」

「わかってる。わかってるけど、翔太の友達じゃないとダメなの。知らない人とするなんて絶対無理だし、翔太の友達なら……翔太のこと好きな気持ちわかるでしょ?」

(いや、その理屈おかしいだろ)

おかしいんだけど、サキが泣いてるのを見てると、なんか……断り切れない空気になってた。

「俺だって経験ないんだけど」

「え?」

「童貞だよ、普通に」

サキが目をぱちくりさせた。

「……うそ」

「嘘つく意味ある?」

「でも……逆にいいかも。お互い初めてなら、練習って感じになるし……」

(この子のポジティブ変換能力すごいな)

……

断れなかった。

翔太に申し訳ないって気持ちはめちゃくちゃあった。でもそれと同時に、正直に言うと、サキのことを女として意識してなかったかって言われたら嘘になる。ニット越しに見えるEカップの存在感とか、八重歯のある笑い方とか、そういうのを「翔太の彼女だから」ってフィルターで封じ込めてただけで。

サキは立ち上がって、カバンからコンドームの箱を取り出した。

「……用意いいな」

「マツキヨで買った。レジのおばさんにめっちゃ見られた……」

(そこのエピソード要る?)

部屋の電気をちょっと暗くした。間接照明なんて洒落たものはないから、デスクライトだけにした。

サキはブラウスのボタンに手をかけて、上から一つずつ外していった。手が震えてた。

「笑わないでね……」

「笑わねぇよ」

ブラウスが落ちて、白いレースのブラが見えた。やっぱりでかい。いや、服の上から見るのと全然違う。

俺もTシャツを脱いだ。ジムにも行ってないただの文系大学生の体。

「あんたも脱いで。私だけだと恥ずかしい」

「脱いでるって」

「下も」

ズボンを下ろした。もう勃ってた。隠しようがなかった。

「……大きいね」

「いや、普通だと思う」

「比較対象がないからわかんないけど……」

お互い下着姿で向かい合って、なんか妙な空気になった。

「どうする?」

「どうするって……キス、から?」

「だよな……」

ベッドに並んで座った。サキの横顔が近い。シャンプーの匂いがした。フローラル系の、たぶんいち髪とかそのへんの。

俺から唇を近づけた。サキが目を閉じた。

唇が触れた瞬間、心臓がバカみたいにうるさかった。

(俺は今、翔太の彼女とキスしてる)

その事実が頭の中で警報みたいに鳴ってるのに、唇が柔らかくて、離せなかった。

「ん……」

サキが少し口を開いた。舌が触れた。ぎこちなかった。お互い初めてだから当然なんだけど、歯がカチッと当たったりして。

「あはは……ヘタだね、お互い」

「だから言ったろ、俺も初めてだって」

でも2回目のキスは少しマシになった。3回目はもっと。

気づいたら俺の手がサキの腰にあって、サキの手が俺の背中にあった。

ブラのホックに手をかけた時、一瞬だけ翔太の顔がよぎった。

(……ごめん)

ホックを外した。

ブラが外れた瞬間、ため息が出た。

白くて柔らかそうで、乳首は薄いピンクで、思ったよりも上を向いてた。

「すげぇ……」

「やめて、そんなまじまじ見ないで……」

サキが腕で隠そうとするのを、そっと手をどかした。

「練習だろ?隠したら練習にならないじゃん」

「……それはそうだけど」

胸に触れた。想像以上に柔らかくて、指が沈む。サキが小さく息を吸った。

乳首を親指で転がすと、さっきまでとは違う声が漏れた。

「あっ……ん……」

(こんな声出すんだ……)

サキの手が俺のパンツの上から触ってきた。恐る恐るって感じで、力の加減がわかってない。

「もうちょい優しく……痛い」

「あっごめん。こう?」

「うん……そんな感じ」

お互い手探りだった。本当に。AVで見た知識しかない童貞と、キスまでしかしたことない処女が、6畳一間のベッドの上でぎこちなく触り合ってる。

冷静に考えたらめちゃくちゃ滑稽な絵面だったと思う。

でもサキの体は柔らかくて、温かくて、そんな冷静さはすぐに吹き飛んだ。

サキのスカートを脱がせた。白いレースのショーツ。ブラとお揃いだったんだと気づいた。

太ももの内側を撫でると、サキが身体をびくってさせた。

「……そこ、くすぐったい」

「ごめん」

「ううん……続けて」

ショーツの上から触ると、もう湿ってた。

「っ……!恥ずかしい……」

「大丈夫。俺も緊張してるから」

ショーツを下ろした。サキが顔を手で覆った。

指を滑らせると、クチュって小さく音がした。

「あん……っ」

クリを探り当てて、そっと触った。サキの腰が浮いた。

「そこ……っ、やばい……」

「気持ちいい?」

「うん……自分でする時と……全然違う……」

(あ、するんだ)

って思ったけど口には出さなかった。

指を動かし続けると、サキの息がどんどん荒くなっていった。

「待って……やばい、なんか……」

サキの太ももが閉じようとする。でも俺の手を挟んだまま離さなかった。

「あっ……あっあっ……」

体がびくんって震えて、サキが俺の肩にしがみついた。

「はぁっ……はぁ……」

「……イった?」

「……たぶん。なにこれ……」

初めてイッたっぽかった。サキの顔が真っ赤だった。

少し落ち着いてから、サキが俺のを触ってきた。さっきよりは力加減がわかってきたのか、気持ちよかった。

「ねぇ……入れよう」

「……いいの?」

「練習しに来たんだから」

コンドームを開けようとしたけど、俺の手も震えてた。2回失敗して、3回目でやっとちゃんとつけられた。

「ぷっ……手震えすぎ」

「お前だって震えてたろ」

「お互い様だね」

サキが仰向けになって、脚を開いた。

先端を当てた。ゆっくり入れた。

「っ……痛っ……」

「ごめん、止める?」

「ううん……ゆっくりなら大丈夫」

少しずつ進めた。中がきつくて、温かくて、頭がぼんやりした。

(これが……セックスか)

こんな場面でこんな感想しか出てこない自分がちょっと情けなかった。

「……動いていいよ」

ゆっくり腰を動かし始めた。サキが下唇を噛んでた。まだ痛いんだろう。

「大丈夫?」

「うん……ちょっと待って」

サキが深呼吸した。

「……もうちょいゆっくり」

「こう?」

「うん……あ、ちょっと気持ちいいかも……」

少しずつサキの表情が変わっていった。痛みから、なんか別のものに。

「ん……あっ……」

「やばい……俺もう……」

「えっもう?」

「だって初めてだし……」

「あはは……いいよ、出して」

コンドームの中に出した。情けないぐらい早かった。たぶん3分持ってない。

「……お疲れ様」

「……お疲れ様って」

「練習だからね。お疲れ様でしょ」

サキが笑った。でもその笑い方がいつもの天然っぽい笑い方じゃなくて、なんか、照れてるような、困ってるような。

抜いた後、2人で天井を見てた。

エアコンの音がやけにうるさく聞こえた。

「ねぇ」

「ん?」

「……もう一回、していい?」

「は?」

「だって、3分じゃ練習にならないし……」

(正論なんだけど、それを今言う?)

2回目。

新しいコンドームをつけた。今度は俺も少し落ち着いてた。

サキを横向きにして、後ろから入れた。理由は特にない。なんとなくそうした方がサキも恥ずかしくないかなって。

「あっ……この体勢……奥まで……」

さっきより明らかに声が大きかった。

後ろからサキの胸に手を回すと、Eカップの柔らかさが手のひらに広がって、頭がおかしくなりそうだった。

「んっ……そこ……気持ちいい……」

「サキ……」

思わず名前を呼んでしまった。いつもは「お前」とか「おい」しか言わないのに。

「……名前で呼ばないで。余計にわかんなくなる……」

「わかんなくなるって、何が」

サキは答えなかった。代わりに俺の手を握ってきた。きつく。

2回目は少し長く持った。それでも10分もなかっただろうけど。

サキがイッたかどうかはわからない。でもサキの体がびくって震えた瞬間があって、その直後に俺も限界が来た。

コンドームを外して、ティッシュで処理した。

サキはしばらく動かなかった。

「……シャワー、借りていい?」

「うん」

サキがユニットバスに入ってる間、俺はベッドの上でぼーっとしてた。

(俺、翔太の彼女とやったんだよな)

罪悪感が、快感の余韻を追い越してきた。

翔太の顔が浮かぶ。「おう、今日もサキ可愛いわー」ってニコニコしてる翔太の顔。

(最低だな、俺)

シャワーから出てきたサキは、俺のTシャツを借りて着てた。

「……ありがと」

「別に」

「これで翔太と……うまくやれるかな」

「……たぶんな」

「今日のこと、翔太には絶対に言わないで」

「言うわけないだろ」

サキは終電の時間を確認して、急いで着替え始めた。荻窪駅まで歩いて10分。ギリギリだった。

玄関でサキが振り返った。

「ねぇ」

「ん?」

「……なんでもない。おやすみ」

ドアが閉まった。

翌週、翔太の誕生日があった。サークルのみんなで居酒屋で祝った。翔太の隣でサキがケーキのロウソクを一緒に吹き消してた。

俺はその光景を、ハイボール片手に見てた。

「翔太、おめでとう」

「翔太、お誕生日おめでとう」

翔太が満面の笑みで「ありがとー!」って言った。

サキと目が合った。一瞬だけ。サキはすぐに目をそらして、翔太の腕に自分の腕を絡ませた。

飲み会のあと、翔太が俺の肩を叩いてきた。

「なに」

翔太はちょっと声を落として言った。

「今日、サキが泊まるんだよ。初めてなんだ。マジ緊張する」

心臓が止まるかと思った。

「初めて」。

翔太にとっての。サキとの「初めて」。

「……そっか。がんばれよ」

「おう!」

翔太の背中を見送りながら、俺は吐きそうだった。

それから2週間ぐらい、サキとは一切連絡を取らなかった。サークルの集まりでも目を合わせなかった。翔太は「最近元気ないな?」って心配してきたけど、「バイト疲れ」って誤魔化した。

俺が悪いのはわかってる。断れなかった俺が全部悪い。

でも、あの夜のことを思い出すと、罪悪感と一緒に別のものが込み上げてくる。サキの震えてた手とか、名前を呼んだ時のあの顔とか、「わかんなくなる」って言ったあの声とか。

3週間目に、またサキからLINEが来た。

「翔太とうまくできた。ありがとう」

それだけだった。

俺は「よかったな」とだけ返した。

既読がついて、それきりだった。

……

これを書いてる今も、翔太とは友達だ。サキとは翔太の彼女として普通に接してる。何もなかったみたいに。

でもたまに、サークルの飲み会でサキが笑ってるのを見ると、あの夜のことを思い出す。

「名前で呼ばないで。余計にわかんなくなる」

あれは何がわかんなくなったんだろう。

俺は今でもそれを聞けずにいる。


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