大学3年の秋の話です。
俺、佐々木と言います。都内の私大に通う、まあ普通の大学生。身長172で顔は中の下。よく言えば雰囲気イケメン、悪く言えば雰囲気だけ。サークルは入ってたけど幽霊部員で、バイトはチェーンの居酒屋。高田馬場のワンルーム6畳、家賃5万8千円のアパートに一人暮らし。
なんでこんな自己紹介してるかっていうと、こんな冴えない俺のところに、なぜか同期の彼女が毎週末やってくるようになった話をしたいからです。
同期っていうのは、ゼミが一緒の松田。こいつとは2年のゼミ配属で知り合って、まあ気が合った。松田は見た目もよくて社交的で、3年の春に付き合い始めた彼女が楠木さんっていう子だった。
楠木さんを初めて見たのは、松田が「彼女紹介するわ」って新宿のサイゼに連れてきた時。
(マジかよ…)
って思った。橋本環奈を少し大人っぽくした感じの丸顔で、目がくりっとしてて、身長は158くらい。華奢なのに胸はしっかりあって、たぶんEくらいはある。白いニットの下で明らかに存在を主張してた。
「いや松田、お前どこでこんな子見つけたんだよ」
「あはは、そんな大げさな。楠木です、よろしくお願いします」
「佐々木です。こいつがいつもお世話になってます」
「お世話してるのはこっちですけどね」
笑い方がちょっと特徴的で、「あはは」って声に出して笑う。作ってる感じじゃなくて、本当にそういう笑い方の人。目が三日月みたいになるやつ。
松田がトイレに立った時、楠木さんが急に真顔になって聞いてきた。
「佐々木くんって、松田くんの一番の友達なんですよね」
「一番かどうかは知らないけど、まあ仲はいいっすね」
「じゃあよろしくお願いしますね。松田くんのこと、ちゃんと見ててあげてください」
なんかそれが妙に引っかかったんだけど、その時はまあ彼女らしい発言だなくらいにしか思わなかった。
問題はここからで。
10月の終わり、土曜の昼前。俺がまだ布団の中でスマホいじってたら、インターホンが鳴った。
こんな時間に誰だよと思って出たら、楠木さんが立ってた。
「おはようございます。松田くんいます?」
「は?いないけど」
「あれ、おかしいな…。連絡つかなくて。ここにいるかなって思ったんですけど」
松田はその日、別のグループと泊まりがけでフットサルの大会に行ってた。俺は知ってたけど、楠木さんは知らなかったらしい。
「松田、今日フットサルの遠征だよ。千葉の方。言ってなかった?」
「……聞いてないです」
楠木さんの顔が一瞬曇った。でもすぐに笑顔に戻して、
「あはは、そっか。じゃあしょうがないですね」
帰ろうとした楠木さんの手に、スーパーの袋がぶら下がってるのが見えた。中身は食材っぽい。松田に手料理作るつもりだったんだろう。
(帰すのもなんか悪いな…)
「あー、よかったらその食材、うちで使う?どうせ俺も昼飯まだだし」
言ってから、(なに言ってんだ俺は)と思った。友達の彼女を部屋に上げるとか普通やらないだろ。
でも楠木さんは少し考えて、
「……いいんですか?じゃあお言葉に甘えて」
こうして、俺の6畳ワンルームに友達の彼女が入ってきた。
部屋に入った楠木さんの第一声がこれだった。
「佐々木くん、この部屋やばくないですか」
「……やばいっすか」
「シンクにカップ麺の容器3つ重なってるのは生活力の放棄では」
「返す言葉もない」
楠木さんはため息をつきながら、持ってきた食材でパスタを作り始めた。狭いキッチンに立つ後ろ姿がやけに様になってて、なんかこう、生活感があるというか。松田のところでもこうやって作ってるんだろうなと思った。
トマトとベーコンのパスタが出来上がって、二人で俺のちゃぶ台で食べた。
「うま。めちゃくちゃうまい」
「でしょ?これ松田くんの好物なんですよ」
「あいつ幸せだな」
「……そうですかね」
その時の楠木さんの表情が、ほんの一瞬だけ寂しそうだったのを、俺は見逃さなかった。
見逃さなかったくせに、突っ込めなかった。
それが最初の土曜日。
次の週も、楠木さんは来た。
今度は松田が家にいることを確認してから来たらしいんだけど、松田がバイトのシフト変更で急に出かけてしまい、結局また俺の部屋で飯を食うことになった。
「もう、あの人ほんと連絡しないんですよ」
「松田、昔からそうだよ。ゼミの発表の時もギリギリまで連絡寄越さないし」
「それ彼女に対してもやる?」
「……それは松田が悪い」
「ですよね」
楠木さんはその日、肉じゃがを作った。あまりにも美味くて、おかわりした。
3週目。もう松田のことは確認せずに来た。
「佐々木くん、冷蔵庫の中身ほぼゼロなんですけど」
「金曜にバイト代入ったばっかだから、これから買おうと思ってた」
「一緒に買い物行きましょう。ついでにまともな食材の選び方教えますから」
近所のライフまで一緒に歩いた。11月で少し肌寒くて、楠木さんはベージュのコートを着てた。マフラーから覗く白い首筋がやけに目に入って、慌てて視線を逸らした。
(やめろやめろ。友達の彼女だぞ)
スーパーでの楠木さんは完全に主婦モードで、値段を見比べたり、キャベツの重さを確かめたりしてた。
「佐々木くん、もやしばっかり買わないでください。栄養バランス」
「もやしは正義だろ。安いし」
「あはは、もやしは正義。名言出ましたね」
こうやって笑ってくれるのが嬉しくて、つい変なこと言ってしまう。
4週目、5週目、6週目。
気づいたら楠木さんが毎週末うちに来るのが当たり前になっていた。
松田には「楠木さん、たまにうちに飯作りに来るんだけど」と一応言った。松田は「あー、マジ?悪いな、あいつ世話焼きだから」と軽く流した。
(お前、もうちょっと気にしろよ…)
と思ったけど、口には出さなかった。出さなかった理由は、正直に言うと、楠木さんに来てほしかったからだと思う。自覚はあった。自覚はあったけど、そこから先は考えないようにしてた。
12月に入って最初の土曜。
その日、楠木さんはいつもより30分遅く来た。目が少し赤かった。
「……どうした」
「なんでもないです。はい、今日はクリームシチュー」
「楠木さん」
「なんでもないです」
2回目の「なんでもない」は、明らかに声が震えてた。
俺は何も言えなくて、楠木さんがシチューを作るのを黙って見てた。途中で楠木さんが玉ねぎを切りながら涙を拭いてて、それが玉ねぎのせいなのかどうか、聞けなかった。
シチューを食べながら、楠木さんがぽつりと言った。
「松田くんに、他に好きな人いるみたいなんです」
「……」
「知ってました?」
知ってた。ゼミの飲み会で、松田が別の女の子といい感じになってるのは何回か見てた。でも俺に言われても困るし、確証もなかったし、何より楠木さんに言う立場でもないと思ってた。
「……なんとなくは」
「やっぱり」
楠木さんはスプーンを置いて、両手で顔を覆った。
「あはは、ごめんなさい。佐々木くんに言うことじゃないですよね」
「謝んないでくれ」
「でも他に言える人がいなくて」
(俺でいいのか、それ)
楠木さんが泣いてるのを見て、胸がぎゅっと苦しくなった。友達の彼女に対して抱いていい感情じゃないのはわかってた。わかってたけど、もう手遅れだった。
その日、楠木さんは帰り際に、
「佐々木くん、来週も来ていいですか」
「……うん」
断れるわけなかった。
翌週。楠木さんは松田と別れたと言った。
「昨日話し合って、お互い気持ちが離れてたから。円満にって感じです」
「そっか」
「それで、あの……もうここに来る理由がなくなっちゃったんですけど」
「は?」
「松田くんの彼女だから佐々木くんとの接点があったわけで。別れたら、もう来る口実がないなって」
そう言いながら、楠木さんは靴を履こうとした。
(待て。待ってくれ)
頭の中がぐちゃぐちゃになった。松田への罪悪感、楠木さんへの気持ち、友情と恋愛の天秤。全部が一気に押し寄せてきて、気づいたら口が動いてた。
「別に松田関係なく来ればいいだろ」
楠木さんが靴を履く手を止めて、振り返った。
「……それ、どういう意味ですか」
「そのままの意味だよ。飯、美味いし」
(飯が美味いしって何だよ。もっとちゃんと言えよ俺)
「飯が美味いから?」
「……それだけじゃなくて」
「じゃあなんですか」
楠木さんの目がまっすぐこっちを見てた。泣いた後の少し充血した目。でもその奥にある光は、怒りでも悲しみでもなくて、たぶん期待だった。
「楠木さんが来ないと、土曜日がただの土曜日に戻るから」
自分でも何言ってるかわからなかった。でも本心だった。
楠木さんはしばらく黙ってて、それから靴を脱いだ。
「……佐々木くんって、ずるいですよね」
「え?」
「私が松田くんと付き合ってる時から、ずっと優しかったじゃないですか。毎週来ても嫌な顔しないし、変な下心も見せないし。なのに今そういうこと言うの、ずるいです」
「下心は……あった」
「え?」
「いや、ないって言ったら嘘になる。ずっと友達の彼女だからって自分に言い聞かせてたけど」
「……」
「ごめん。最低だよな」
「最低じゃないです」
楠木さんが一歩近づいてきた。ワンルームの狭い玄関で、距離が一気に縮まった。コートの下からシャンプーの匂いがした。いつも同じやつ。たぶんいち髪。
「私も、ずっと……気づいてたのかもしれない」
「何に」
「佐々木くんのところに来るのが楽しみだったこと。松田くんに会う口実で来てるって自分に言い聞かせてたけど、途中から、松田くんがいないほうが嬉しかったこと」
(え、マジで?)
「最低ですよね、私のほうが」
「いや……」
二人とも黙った。狭い玄関に沈黙が落ちて、外から早稲田通りの車の音だけ聞こえてた。12月の夜7時、窓の外はもう真っ暗だった。
どっちが先だったかわからない。たぶん俺が先に動いたんだと思う。楠木さんの肩に手を置いて、ゆっくり引き寄せた。楠木さんは抵抗しなかった。
唇が触れた。
冷たかった。外から来たばっかりだから当然なんだけど、その冷たさがすごくリアルで、(あ、これ本当に起きてるんだ)って思った。
「ん……」
一回離れて、お互いの顔を見た。楠木さんの目がうるんでた。
「……いいのか」
「佐々木くんこそ。松田くんのこと……」
「それは俺が考える。楠木さんは気にしなくていい」
「……うん」
二回目のキスは、さっきより長くて、深かった。楠木さんの舌がおずおずと入ってきて、俺はそれを受け止めた。玄関で立ったまま、コートも脱がないままキスし続けた。
どれくらいそうしてたかわからないけど、楠木さんが小さく言った。
「……部屋、入っていい?」
今まで何十回と聞いた台詞のはずなのに、意味が全然違った。
俺は楠木さんの手を引いて、部屋に入った。
コートを脱がせた時、楠木さんの手が少し震えてた。
「寒い?」
「……寒いんじゃなくて、緊張してる」
「俺も」
ベッドに座って、もう一度キスした。今度は俺から舌を入れた。楠木さんがんっと小さく声を漏らして、その声で頭のどこかのスイッチが入った感じがした。
ニットの上から胸に触れた。想像以上に柔らかくて、手のひらに収まりきらない。
「あ……」
「ごめん、触っていい?」
「もう触ってるじゃないですか……あはは」
いつもの笑い方だった。この状況でもその笑い方なのが、なんかすごく楠木さんらしくて、余計に好きだと思った。
ニットをゆっくり脱がせた。薄いピンクのブラが出てきて、谷間がやばかった。
「……でかいな」
「もうちょっと言い方あるでしょ」
「すみません。とても立派です」
「それもどうなの」
笑いながら、楠木さんが自分でブラのホックを外した。
(いいんすか。自分から外しちゃうんすか)
白い肌にピンクの乳首。形が綺麗で、大きいのに垂れてなくて、こんなの現実にあるのかよと思った。
「……きれい」
「……ありがと」
今度は小さい声で、恥ずかしそうに言った。
胸を揉みながらキスを続けた。楠木さんの吐息がだんだん荒くなってきて、乳首を指でつまむと、びくっと体が跳ねた。
「んっ……そこ、弱い……」
「ここ?」
「ん、あ……やめ……やめないで……」
やめないでって言われたら止まれるわけないだろ。
乳首を舌で転がしたら、楠木さんが俺の頭を抱え込んできた。髪を掴まれる力が強くて、本気で感じてるのが伝わった。
下に手を伸ばして、ジーンズの上から触った。
「あっ……」
「脱がしていい?」
「……うん」
ジーンズとショーツを一緒に下ろした。楠木さんが恥ずかしそうに膝を閉じたけど、そっと開かせた。
指を当てたら、もうかなり濡れてた。
「すごい濡れてる」
「……言わないで」
クリを指で撫でると、楠木さんの腰がぴくぴく動いた。指を一本入れると、中が熱くてきゅっと締まった。
「あ、ん……きもちいい……」
「ここ?」
「そこ……もうちょっと奥……あっ、そこ」
楠木さんの声が高くなった。指を曲げてGスポットを探ると、明らかに反応が変わった。
「だめ、それ……やば……っ」
腰が浮いて、楠木さんがシーツを掴んだ。
「あっ、あっ、いく……いきそう……っ」
ぶるっと体を震わせて、楠木さんがイった。中が痙攣して俺の指を締め付けてきた。
「はぁ……はぁ……」
荒い息の楠木さんが、潤んだ目で俺を見上げた。
「……佐々木くんも、脱いで」
俺は自分の服を脱いだ。正直、もうとっくに限界だった。
「……大きい」
「いや、普通だと思うけど」
「松田くんより」
「その比較やめてくれ」
「あはは、ごめん」
楠木さんがまたあの笑い方をした。裸で、ベッドの上で、あの笑い方。反則だろ。
ゴムをつけようとしたら、楠木さんが俺の手を止めた。
「……ピル飲んでるから。大丈夫」
「え?」
「生理不順で。前から飲んでるの」
「いや、でも……」
「佐々木くんがいいなら……そのままがいい」
その目で見つめられたら断れなかった。
先端を当てて、ゆっくり入れた。楠木さんの体が一瞬こわばって、それからふっと力が抜けた。
「あ……ぁ……」
中が熱くて、ぬるぬるしてて、でもしっかり締まってて、正直やばかった。
「大丈夫?」
「うん……動いて……」
ゆっくり腰を動かし始めた。楠木さんが目を閉じて、下唇を噛んでた。
「ん……んんっ……」
俺は楠木さんの顔を見ながら動いた。気持ちいいんだけど、それ以上に、(これ本当に起きてるのか)っていう疑いが消えなかった。2ヶ月前まで友達の彼女だった人と、今こうしてる。
「佐々木くん……もっと……」
「……うん」
ペースを上げた。ベッドが軋んで、安いパイプベッドの金属音が部屋に響いた。隣の部屋に聞こえてないかとか、一瞬よぎったけど、楠木さんの声でかき消された。
「あっ、そこ……いい……っ」
楠木さんの脚が俺の腰に絡みついてきた。密着して、肌と肌がくっつく感覚。胸が押し付けられて潰れる感触。
「楠木さん……」
「名前で呼んで……」
「……あかり」
楠木さんの名前を初めて呼んだ。楠木あかり。ゼミの名簿で見ただけで、一度も呼んだことがなかった名前。
「ん……もう一回……」
「あかり……」
「あっ……嬉しい……っ」
楠木さん、いや、あかりの目から涙がこぼれた。
「泣くなよ……」
「泣いてない……気持ちよくて……」
腰の動きが速くなって、中がきゅうきゅう締まってきた。
「やば……また……いきそ……っ」
「俺も……もう……」
「中に……出して……っ」
「あかり……っ」
奥まで押し込んで、全部出した。頭が真っ白になって、体中の力が抜けた。
あかりが俺の背中に爪を立てて、体を震わせてた。
「あぁ……熱い……」
「……ごめん、中に」
「いいって言ったでしょ……ばか」
ばか、って言い方がすごく柔らかくて、なんかもうだめだった。抱きしめたまましばらく動けなかった。
繋がったまま、少し休んで、二回目は後ろから。あかりが四つん這いになって、俺を受け入れた。
さっきとは角度が違って、奥に当たるたびにあかりの声が大きくなった。
「あっ、あっ、そこ……だめ……深い……っ」
一回目の余韻もあって、中がぐちょぐちょだった。
「あかり、きつい……」
「佐々木くんのが……おっきいから……」
さっきの比較を蒸し返されてる気がしたけど、正直悪い気はしなかった。
あかりの腰を掴んで、深く突いた。あかりがシーツに顔を埋めて声を殺そうとしてたけど、漏れてた。
「んんっ……もう……また……っ」
「いっていいよ……」
「いく……いくっ……」
あかりが体を震わせて、力が抜けたところに、俺も限界だった。
「出す……っ」
二回目も中に出した。引き抜くと、とろっと白いのが垂れてきた。
あかりがぱたんとベッドに倒れ込んで、俺もその横に倒れた。
狭いシングルベッドで、二人でぎゅうぎゅうになりながら天井を見てた。
「……ねえ」
「ん?」
「来週も来ていい?」
「……来週じゃなくてもいい」
「え?」
「毎日来ればいいだろ。飯も作ってくれるし」
「……また飯の話?」
「飯だけじゃなくて。あかりが隣にいるのが、いい」
我ながらくさいことを言ったと思ったけど、あかりは「あはは」とは笑わなかった。代わりに俺の胸に顔を埋めて、小さく「ばか」と言った。
次の月曜、俺は松田に会った。学食で向かい合って座って、俺は覚悟を決めた。
「松田。楠木さんと付き合うことになった」
松田は箸を止めて、3秒くらい俺を見て、それから言った。
「知ってた。つーか遅えよ」
……は?
「あいつが毎週お前のとこ通ってたの、俺が気づかないとでも思ってんのか。途中からわざと予定入れてたんだよ」
(おい。マジかよ)
「楠木のこと、頼むわ」
松田はそう言って、何事もなかったようにカツ丼を食い始めた。
あいつ、全部わかってたのかよ。
帰り道、高田馬場の駅前で早稲田通りを歩きながら、あかりにLINEした。
「松田に言った。大丈夫だった」
既読がついて、すぐに返信が来た。
「知ってた。松田くんに先に言われてたから」
……俺だけが気づいてなかったのかよ。
本人だけが最後まで気づかないってやつ、まさに俺のことだった。
あの冬から、あかりは毎週末だけじゃなくて、水曜と金曜にもうちに来るようになった。半同棲みたいな感じで、6畳のワンルームに二人分の歯ブラシが並んでるのを見るたびに、なんかこう、じわっとくるものがあった。
卒業した今でも一緒にいます。6畳は引っ払って、今は中野のちょっと広い1LDK。
あかりは相変わらず「あはは」って笑うし、俺はそれが好きだし、たまに松田と3人で飲む。
あの時、「飯が美味いから」なんて言い訳しなかったら、俺は今ここにいない。