こんにちは。というか、こんばんは、かな。
今から書くことは去年の冬に起きたことで、正直まだ自分でも信じられてないです。こういうのって書いたら整理できるかなと思って投稿します。
僕は当時24歳で、都内の中堅IT企業でシステムの保守運用をやってました。いわゆるSEってやつです。身長は178あるんですけど、猫背がひどくて実際は170台前半に見られます。顔は…まあ、よく言えば「優しそう」、悪く言えば「印象に残らない」タイプ。大学時代のサークルの集合写真で、自分がどこにいるか探すのに3秒かかるぐらいの存在感です。
で、童貞でした。24歳で。
言い訳させてもらうと、女性が怖いんですよ。嫌いなんじゃなくて、怖い。話しかけられると心拍数が上がって、目が泳いで、声が裏返る。中学のとき好きだった子に告白しようとして過呼吸になって保健室に運ばれたのがトラウマになってるのかもしれない。
そんな僕にも姉がいます。5つ上の姉。小さい頃からずっと僕の面倒を見てくれて、いじめられて泣いて帰ってきた僕を抱きしめて「大丈夫、お姉ちゃんがいるから」って言ってくれた人。姉だけが、僕にとって唯一緊張しない女性だった。
…ちょっとキモいかもしれないけど、たぶん僕はずっと姉に依存してたんだと思います。姉が結婚して家を出てから、僕は本当に誰とも話せなくなった。
会社でもそう。同期の女の子に話しかけられても「あ、はい」「そうですね」しか言えない。飲み会では端っこでウーロン茶飲んでスマホいじってる。「柳瀬くんって喋るの?」って真顔で聞かれたこともある。
そんな僕が唯一、普通に会話できる女性が一人だけいました。
経理部の主任で、僕の直属の上司じゃないんだけど、フロアが同じで月次の締めのときにデータ連携の作業で絡むことがある、桐島さんという人。34歳。
初めて会ったとき、マジで姉かと思いました。
背が高くて(163くらい?)、ショートボブで、眼鏡かけてて。広瀬すずをもう少し大人っぽくして知的にした感じ。いや、広瀬すず本人に怒られそうだけど、雰囲気がほんとにそう。笑ったときに目が細くなるところとか、「もう、しょうがないなあ」って言いながら面倒見てくれるところとか。
姉と似てるから話せた、ってだけかもしれない。でもそれでも、僕にとっては奇跡みたいなことだったんです。
桐島さんは僕に対して、他の人とは少し違う接し方をしてくれてました。
月末の締め作業でエクセルのマクロがバグったとき、僕が直しに行くと「柳瀬くんほんと助かるー。うちの部署にも欲しいわ」って言ってくれたり。自販機の前で偶然会うと「あ、柳瀬くん。ブラック?甘いの?」って聞いてきて、僕が「微糖…です」って答えると「お揃いだ」って笑ったり。
たぶん桐島さんにとっては普通のコミュニケーションなんだと思う。でも僕にとっては、その一つ一つが全部特別で。
(いや、これ完全に恋じゃん…)
って気づいたのは、桐島さんが風邪で3日休んだとき。月末の作業があるのに桐島さんがいなくて、代わりに別の女性社員が来たんだけど、僕はまた「あ、はい」マシーンに戻ってしまって。で、桐島さんが復帰した日、「柳瀬くん心配してくれた?」って聞かれて、「はい、しました」って即答したら、桐島さんが一瞬きょとんとして、それからすごく嬉しそうに笑ったんですよ。
あの笑顔、今でも覚えてる。
でも、好きだってわかったところでどうしようもない。34歳のキャリアウーマンと24歳の童貞コミュ障。釣り合うわけがない。桐島さんには彼氏がいるかもしれないし、いやたぶんいるでしょ、あれだけの人なんだから。
そう思って、いつも通りの距離感を保つことにしました。
それが崩れたのが、12月の第3金曜日。忘年会シーズンの真っ只中。
その日、僕は月次の締め作業のイレギュラー対応で残業してました。データベースの移行テストが長引いて、気づいたら21時過ぎ。オフィスにはもう僕ともう一人、同じフロアで残ってる人がいるだけで。
その「もう一人」が桐島さんでした。
「柳瀬くんも残業?お疲れ様」
声をかけられて顔を上げると、桐島さんがマグカップ片手にこっちを見てた。いつものブラウスの第一ボタンが開いてて、なんか疲れた感じの色っぽさがあって。(いや見るなよ)って自分に言い聞かせました。
「あ、桐島さん。はい、データベースの方がちょっと…」
「ああ、あの移行の件ね。大変だよね。コーヒー飲む?いま淹れてきたんだけど」
「あ、いいんですか。ありがとうございます」
桐島さんが給湯室に戻って、もう一つマグカップを持ってきてくれた。僕のデスクの端に腰掛けて、ふうっと息をつく。
「今日さ、忘年会断ったんだよね。経理部の。人数多いと疲れちゃって」
「あ、わかります…僕も断りました」
「だよね。柳瀬くんそういうの苦手そうだもんね」
(バレてる)
「でもさ、二人でコーヒー飲むのはいいでしょ?」
「はい…全然」
桐島さんが笑った。あの目が細くなる笑い方。心臓がぎゅってなった。
そのあと1時間くらい、僕は作業しながら桐島さんと雑談してました。桐島さんも経費精算の処理が残ってたらしくて、お互い自分の仕事をしつつ、ときどき話す、みたいな感じ。
「柳瀬くんってさ、なんで私にはちゃんと喋れるの?」
突然そう聞かれて、コーヒー吹きそうになりました。
「え…あー、その…」
「他の女の子と話してるとき、目、全然合わせないじゃん。私のときだけ違うなって前から思ってた」
(気づいてたのかよ…)
「それは…桐島さんが、その…姉に似てるからかもしれないです」
言ってから、やらかしたと思いました。「姉に似てる」ってなんだよ。口説き文句の真逆じゃん。
でも桐島さんは怒るでもなく、少し首を傾げて。
「お姉さん?へえ。…それって、褒めてる?」
「褒めてます。めちゃくちゃ」
自分でもびっくりするくらい即答してた。桐島さんがまた笑って、「ありがと」って言った。
23時前に作業が終わって、二人でオフィスを出ました。12月の神田の夜は死ぬほど寒くて、僕はダウンジャケットのチャックを顎まで上げてガクガク震えてた。
「電車、何時まである?」
スマホで調べて、血の気が引きました。
「…もうないです。中央線の最終、22時58分で」
「マジ?私も京浜東北のやつ、もうないかも。…あ、ないわ」
二人で顔を見合わせました。金曜の23時、神田駅前。タクシー乗り場には長蛇の列。忘年会帰りの酔っ払いがそこらじゅうで叫んでる。
「タクシーこれ1時間待ちだね…。ネカフェ行く?」
「あ、はい、そうします…」
「…ていうかさ」
桐島さんが少し言いにくそうに切り出した。
「うち、歩けるんだよね。ここから15分くらい。岩本町の方なんだけど。…よかったら泊まってく?ソファあるから」
心臓が止まるかと思いました。
「え…いいんですか?迷惑じゃ…」
「迷惑だったら言わないよ。寒いし、さっさと決めて」
桐島さんはそう言ってもう歩き出してた。僕は慌てて後を追った。
桐島さんのマンションは、岩本町の駅から2分くらいの7階建ての新しめのやつでした。1LDK。きれいに片付いてて、テーブルの上に本が何冊か積んであって、棚にはウイスキーのボトルが3本くらい並んでた。
「散らかっててごめんね。お酒飲む?ハイボールくらいなら作れるけど」
「あ、じゃあ…いただきます」
桐島さんがグラスを二つ出して、氷を入れて、慣れた手つきでハイボールを作ってくれた。ソファに並んで座って、乾杯。
「お疲れ様でした」
「お疲れ様です…」
ウイスキー、マッカランって書いてあった。よくわからないけど。
しばらく無言で飲んでました。暖房が効いてて、急に体が緩んできて。桐島さんはジャケットを脱いでて、ニットの薄手のやつ一枚で、体のラインがはっきり見えて。胸、結構大きかったんだなって今更気づいた。(いやだから見るなって)
「ねえ、柳瀬くん」
「はい」
「さっき、私がお姉さんに似てるって言ったじゃん」
「…はい」
「私のこと、お姉さんとして見てるの?」
グラスを持つ手が震えた。桐島さんはこっちを見てた。眼鏡の奥の目が、いつもの柔らかい感じじゃなくて、ちょっと真剣で。
「…最初は、そうだったかもしれないです」
「最初は?」
「今は…違います」
言っちゃった。もう引き返せない。
桐島さんが少し黙って、グラスをテーブルに置いた。
「それ、どういう意味か聞いてもいい?」
「…好きです。桐島さんのことが。姉としてじゃなくて」
声が震えてた。心臓がうるさすぎて、自分の声がよく聞こえなかった。
桐島さんが何も言わなかった。3秒くらい。体感では3分くらい。
「…私、10個も上だよ?」
「わかってます」
「バツイチだよ?」
え。知らなかった。
「…知りませんでした。でも、関係ないです」
「…ほんとに変な子だね、柳瀬くんって」
桐島さんが笑った。でもいつもの笑い方じゃなくて、少し泣きそうな顔だった。
「元旦那にね、『お前は母親みたいで女として見れない』って言われたの。面倒見が良すぎるって。…だから柳瀬くんにも、お姉さんとしか思われてないんだろうなって、ちょっと悲しかったんだよね」
(えっ…それって…)
「桐島さんも、僕のこと…」
「…気になってた。ずっと。目を合わせてくれないくせに、私のときだけちゃんと話すから。何なのこの子って」
桐島さんが僕の方に少し体を寄せた。近い。シャンプーの匂いがする。柑橘系の。
「ねえ…柳瀬くんって、経験あるの?」
(来た)
もう嘘つける状況じゃなかった。
「…ないです。彼女もいたことないです」
桐島さんが一瞬目を見開いて、それからふっと笑った。馬鹿にしてる感じじゃなくて、なんていうか、安心したみたいな顔。
「そっか。…じゃあ、お姉さんが教えてあげようか?」
冗談っぽく言ったんだと思う。でも僕は冗談として受け取れなかった。
「…お姉さんとしては、嫌です」
桐島さんがきょとんとした。
「桐島さんとして、がいいです」
自分でもどこからそんな言葉が出てきたのかわからない。でも言ったあと、桐島さんの目がすっと潤んで。
「…もう。ずるいよ、そういうの」
桐島さんの手が僕の手に触れた。指が絡まった。温かかった。
そのまま唇が近づいてきて、触れた。柔らかくて、ハイボールの味がした。
キスが下手なのは自分でもわかってた。どうしていいかわからなくて、ただ唇を押し付けるだけで。でも桐島さんが「力抜いて」って囁いて、もう一回してくれた。ゆっくり、教えるみたいに。舌が触れたとき、背筋に電気が走った。
「ん…上手上手。…ベッド、行こっか」
手を引かれて、寝室に移動した。ダブルベッドに間接照明。桐島さんがベッドの端に座って、眼鏡を外した。眼鏡なしの桐島さん、初めて見た。なんか、急にガードが下がったみたいで、すごくどきどきした。
「電気、暗くしていい?」
「…あ、はい」
「緊張してる?」
「してます。めちゃくちゃ」
「私もだよ」
桐島さんがニットを脱いだ。黒いブラジャー。思ってたより胸が大きくて、たぶんEかFくらいあった。ニットの下に隠れてたのかよ、って思った。
「見てるだけ?」
「あ…その、触っても…」
「触ってほしいから脱いだんだけど」
桐島さんが僕の手を取って、自分の胸に導いた。ブラの上から触れた。柔らかい。当たり前なんだけど、本当に柔らかくて、手が震えた。
桐島さんが後ろに手を回してブラを外した。白い肌にうっすらピンクの乳首。
「きれい…」
思わず口から出た。桐島さんが恥ずかしそうに目を逸らして。
「…そんなこと言われたの久しぶり」
僕は無我夢中で桐島さんの胸に顔を埋めた。柔らかくて、温かくて、心臓の音が聞こえた。なんか泣きそうになった。姉に甘えてた頃を思い出して。でも違う。今は違う。桐島さんの匂いは姉と違う。桐島さんは桐島さんだ。
乳首に口をつけると、桐島さんの体がびくっと跳ねた。
「ん…っ、そこ弱いの…」
舌で転がすと、桐島さんが僕の頭を抱えるように手を添えた。吸うと甘い声が漏れた。会社で聞いたことない声。
桐島さんの手が僕のベルトに伸びた。慣れた手つきで外されて、ズボンを下ろされた。もうとっくに硬くなってて、恥ずかしかった。
「…もうこんなになってるじゃん」
ボクサーパンツ越しに触れられて、腰が浮いた。
「あっ…ダメ、それ…すぐ出ちゃう…」
「大丈夫。我慢しなくていいよ」
パンツを下ろされて、桐島さんの手が直接触れた。ゆっくり、包むように握られて。指が動くたびに頭が真っ白になっていく。
「桐島さん…っ、あ、ほんとにダメです…っ」
「いいよ、出して」
桐島さんが少し強く握った瞬間、もう堪えられなかった。桐島さんの手とお腹のあたりに出してしまった。
「す、すみません…すぐ…」
「謝んないの。ティッシュ取って」
桐島さんが笑いながらお腹を拭いてくれた。恥ずかしくて死にたかったけど、桐島さんが全然嫌な顔してなくて。むしろ嬉しそうで。
「ねえ、まだ元気でしょ?若いんだから」
正直、一回出してもまだ収まってなかった。桐島さんの裸を目の前にして収まるわけがない。
「…はい」
「じゃあ、今度は私の番ね。…触って?」
桐島さんがスカートを脱いだ。黒いショーツ一枚。太ももが白くて、思ったより肉感的で。脚を少し開いて、僕の手をそこに導いた。
ショーツ越しに触れると、もう湿ってた。
「ん…っ」
「あの…どうすれば…」
「上の方…そう、そこ。ゆっくりね」
桐島さんの指示に従って、恐る恐る触った。クリトリスのあたりを撫でると、桐島さんの腰がぴくって動いた。
「あ…そう、そこ…もう少し強くても…いいよ」
ショーツを横にずらして、直接触れた。濡れてて、熱くて。指を滑らせると、桐島さんの呼吸が変わった。
「んっ…上手…嘘、ほんとに初めて?」
「初めてです…桐島さんの反応見ながらやってるだけで…」
「…そういうとこだよ、柳瀬くんがモテるべき理由は…ん…っ」
指を中に入れると、きゅっと締まった。桐島さんが僕のシャツを掴んで、顔を肩に押し付けてきた。耳元で息が荒くなるのがわかった。
「もう…入れて…。柳瀬くんの、欲しい…」
「あの…ゴム、持ってないです…」
「引き出し。二番目」
桐島さんが顔を真っ赤にしながら指差した。(常備してるんだ…)って思ったけど、聞いちゃいけない気がして黙って取りに行った。
ゴムを付けるのに手間取った。正直、付け方はネットで調べたことしかなくて。桐島さんが「貸して」と言って、代わりに付けてくれた。その手つきがまたやらしくて、付けてもらってる間にまたイきそうになった。
桐島さんが仰向けに寝て、脚を開いた。
「ゆっくりでいいからね」
先端を当てて、少しずつ入れた。温かくて、吸い込まれるみたいだった。
「あ…っ、桐島さん…」
「ん…っ…大きい…ちょっと待って…」
途中で桐島さんが僕の腰を手で押さえた。
「はぁ…痛くはないけど、久しぶりだから…ゆっくりね」
奥まで入ったとき、桐島さんが深く息を吐いた。目が潤んでた。
「…入った。全部。…動いていいよ」
腰を動かすと、想像の何倍も気持ちよかった。ゴム越しでも桐島さんの中の温度が伝わってきて。ゆっくり動いてるつもりなのに、体が勝手に速くなる。
「桐島さん…気持ちいい…やばい…っ」
「ん…私も…柳瀬くん…もっと…」
桐島さんが腰を合わせてくれた。リズムが合うと、奥に当たるたびに桐島さんが声を上げた。
「あっ…そこ…っ、そこいい…っ」
「桐島さん…もうダメ…っ」
「いいよ…出して…っ」
桐島さんが僕の背中に爪を立てた。その痛みと快感が混ざって、頭が真っ白になって。
「あ…っ、出る…っ!」
腰が勝手に動いて、奥に押し付けたまま出た。体が震えて、力が全部抜けた。
「はぁ…はぁ…」
そのまま桐島さんの上に倒れ込んでしまった。桐島さんが僕の頭を撫でてくれた。
「…お疲れ様。気持ちよかった?」
「…はい。ごめんなさい、すぐ終わっちゃって…」
「初めてでしょ?上出来だよ。…ていうか私もイきそうだったんだけど」
「…え、ほんとですか」
「ほんと。…ねえ、もう一回できる?」
できた。というか、もうしたかった。
ゴムを替えて、今度は桐島さんが上になった。僕の上にまたがって、自分で入れて。
「んっ…今度は私が動くね…」
桐島さんが腰を前後に動かし始めた。上から見る桐島さんは、会社の桐島主任とは全然違って。髪が乱れて、眉間にしわ寄せて、唇噛んで。
「あ…っ、ん…深い…っ」
胸が揺れるのを下から見てた。手を伸ばして胸を掴むと、桐島さんが甘い声を出した。
「桐島さん…すごい、きれい…」
「そんなこと…言わないで…恥ずかしい…っ」
動きが速くなった。桐島さんの中がきゅうっと締まるのがわかった。
「やば…私イきそう…っ、柳瀬くん…下から突いて…っ」
言われるまま下から腰を突き上げた。桐島さんが僕の胸に両手をついて、体を震わせた。
「あっ…あっ…ダメ…イく…っ!」
桐島さんの体がびくんと跳ねて、中が脈打つみたいに締まった。その刺激で僕もまた限界が来た。
「俺も…っ」
二人同時に達した。桐島さんが僕の上に崩れ落ちて、しばらくそのまま動けなかった。
汗だくの桐島さんの髪が僕の首筋に触れてくすぐったかった。心臓の音がドクドク聞こえた。どっちのかわからなかった。
「…ねえ、柳瀬くん」
「はい」
「私のこと、まだお姉さんに見える?」
「…全然見えないです。もう」
「…よかった」
桐島さんが顔を上げて、キスしてきた。さっきまでの激しいのと違って、すごく優しいやつ。
「お風呂入ろ。一緒に」
狭いユニットバスに二人で入って、お互いの体を流した。桐島さんの背中を洗いながら、これは現実なんだよなって何回も確認した。
風呂から上がって、桐島さんのTシャツを借りて(デカくてサイズちょうどよかった)、ベッドに戻った。時計を見たら3時過ぎ。
「明日…今日か。土曜で良かったね」
「はい…」
「ねえ、月曜から会社でどうする?普通にしてられる?」
「…無理かもしれないです」
「だよね。私も無理」
桐島さんが布団の中で僕にくっついてきた。背中に桐島さんの胸が当たる。
「…付き合って、って言ってもいい?私から」
「僕から言いたかったんですけど…」
「年上の特権。先に言ったもん勝ち」
「…はい。お願いします」
桐島さんが僕をぎゅっと抱きしめた。
「お姉さんじゃなくて、彼女としてね」
「はい。彼女として」
そのまま朝まで抱き合って寝ました。
翌朝、桐島さんが作ってくれた卵焼きとみそ汁がすごく美味しくて、それ食べながらまた泣きそうになったのは内緒です。
あれから半年。僕と桐島さんは、会社では今まで通りの距離感を保ってます。ただ桐島さんが僕のデスクにコーヒーを持ってくる頻度が週3から週5になったのと、僕が桐島さんの目をちゃんと見て話せるようになったのと。
同期のやつに「柳瀬、最近なんか変わった?」って言われて、「そうですか?」って返したら、「だからそういうとこだよ」って呆れられました。
何が変わったのか、自分ではまだよくわかってないです。
でも、一つだけわかったことがある。桐島さんは姉じゃない。桐島さんは桐島さんだ。僕が初めて、姉以外で好きになった人。
…って、ちゃんと伝えたら、桐島さんに「100点」って言われました。
最後まで読んでくれた人、ありがとうございます。童貞でコミュ障でシスコンでも、こういうことあるんだなって、自分が一番びっくりしてます。