下町の銭湯の看板娘に通い続けたら風呂上がりに告白された話

2026.06.12NEW

31分で読了

俺、別府優、26歳。リモートワークのエンジニアだ。

会社に行くのは月に二、三回。あとは下町の古いアパートの一室で、ずっとコードを書いている。

そんな引きこもり生活が、ある日いきなり崩れた。

風呂が、壊れた。

正確には、給湯器が完全に沈黙した。お湯をひねっても、しゅんともすんとも言わない。

「……マジか」

管理会社に電話したら、部品の取り寄せに二週間かかると言われた。

二週間、風呂なし。

(シャワーくらい、なんとかなるか……いや、無理だな)

六月とはいえ、汗はかく。一日中座って仕事をしていても、人間は意外と汚れる。

そこで思い出したのが、アパートから歩いて三分のところにある銭湯だった。

『富士の湯』。

引っ越してきて一年、毎日その前を通っていたのに、一度も入ったことがなかった。

煙突から白い湯気が立ち上っている、いかにも古い建物。

暖簾には色あせた富士山の絵。

(行ってみるか)

タオルと着替えを袋に詰めて、俺は生まれて初めて、その暖簾をくぐった。

がらり、と引き戸を開けると、木とお湯の匂いがした。

正面に番台がある。昔ながらの、高い位置から見下ろすやつだ。

そこに——女の子が座っていた。

「あいよ、いらっしゃい!」

ぱっと顔を上げて、にっと笑う。

俺は一瞬、固まった。

歳は俺と同じか少し下くらい——あとで聞いたら24歳だと言っていた。ショートボブの黒髪を、紺色の手ぬぐいでさっと結んでいる。

切れ長の目が、いたずらっぽくきらきらしている。

色白で、頬がほんのり桜色。

そして——胸元がぱつんと張った、白いTシャツにエプロンというラフな格好なのに、それがやけに似合っている。

「あ、えっと……銭湯、初めてで」

「お、見ない顔だと思った。兄さん、近所の人?」

「はい。すぐそこのアパートで」

「あー、坂の上のね! ようこそようこそ。料金は五百二十円ね」

下町の、軽快な言葉。

俺が財布をもたついて出していると、彼女はくすっと笑った。

「ふふ、緊張してる? 大丈夫、難しいことなんてないから」

「いや、その、下足札ってどうやって……」

「あー、そっか。今どきの人は銭湯わかんないか」

彼女が番台から身を乗り出して、入口の下足箱を指さした。

「そこの木の札、抜いて靴入れて、また札を差す。で、こっち来るとき札持ってきて。鍵代わりだから」

「なるほど」

「で、脱衣所のロッカーも同じ仕組み。木札にゴム付いてるから、手首に巻いとけば失くさないよ」

丁寧に、でもテンポよく教えてくれる。

「あたし、滝川さくら。ここの番台。困ったら呼んで」

にっと笑うその顔が、なんというか——人懐っこくて、目が離せなかった。

(……可愛いな、この子)

慌てて視線を逸らして、俺は脱衣所に向かった。

浴場に入って、もう一度驚いた。

正面の壁一面に、富士山のペンキ絵が描かれていた。

青い空、白い雪をいただいた富士。手前には松林と湖。

色は少し褪せているけど、堂々として、見ていると不思議と心が落ち着く。

「……すげぇ」

熱めの湯に肩まで浸かって、富士山を眺める。

体の芯から温まって、二週間ぶりに、ちゃんと風呂に入った気がした。

風呂上がり、番台の前で腰に手を当てて、瓶のコーヒー牛乳を一気に飲んだ。

「……うま」

「ふふ、それやりたかったでしょ。みんなやるんだ、初めての人」

「ばれました」

「兄さん、また来なよ。うちの湯、いいでしょ?」

「めちゃくちゃ良かったです。また来ます」

社交辞令、じゃなかった。

俺は本当に、その翌日も、富士の湯に来た。

そして、その翌日も。

二週間のつもりが——気づけば、給湯器が直っても、俺は通い続けていた。

理由は、一つじゃない。

熱い湯と富士山のペンキ絵。それは確かに最高だった。

でも、本命はたぶん——番台のさくらちゃんだった。

「あいよ、兄さん、今日も来たね!」

「来ました」

「もう常連だね。給湯器直ったんでしょ?」

「直りました。でも、うちの風呂じゃ富士山見えないんで」

「ふふっ、うまいこと言うじゃん」

通い始めて二週間もすると、さくらちゃんは俺の顔を見ただけで、棚の奥から瓶を出してくるようになった。

「はい、コーヒー牛乳。兄さんの分、取り置いといた」

「え、取り置き?」

「夕方になると売り切れちゃうからさ。兄さん絶対これ飲むでしょ」

「……ありがとうございます」

その『取り置き』が、俺にはやけに嬉しかった。

七月になると、もう完全に「いつもの兄さん」だった。

下町の銭湯は、コミュニティだ。

常連のおじいちゃんたちが将棋を指し、おばちゃんたちが番台で世間話をしていく。

その真ん中で、さくらちゃんが軽快にさばいていく。

「松本さん、孫の運動会どうだった?」

「いやあ、リレーでうちの孫がさあ」

「あはは、自慢の孫だもんねぇ」

そういう景色が、俺は好きだった。

さくらちゃんは、この『富士の湯』の三代目の孫娘だという。

「おじいちゃんが二代目でさ。今は腰悪くして奥で休んでるんだ。だからあたしが番台」

「ご両親は?」

「父さんは別の仕事してて、銭湯はやらないって。だから……あたしが継ぐしかなくてさ」

そう言ったとき、さくらちゃんの声が、いつもの軽快さから、少しだけ落ちた。

年相応の、不安げな声に。

「……継ぎたい、んですか?」

「……うん。このペンキ絵、好きなんだ。おじいちゃんの代からの職人さんが描いてくれてんの」

さくらちゃんが、壁の富士山をちらっと見た。

「子供のころから、ずっと見て育ったから」

その横顔が、なんだか妙に、胸に残った。

八月のある日。

富士の湯に行くと、入口に手書きの貼り紙があった。

『8月20日 ペンキ絵 描き替えにつき 一部足場を組みます』

「描き替え?」

「あ、兄さん。そうなんだ、年に一回、富士山描き直してもらうんだ」

「へえ、見てみたいな」

「……ねえ兄さん、暇?」

「暇です」

即答した。我ながら反応が早い。

「あのね、当日、人手が足りなくてさ。職人さんの手元手伝ったり、足場運んだり。バイト代は出せないけど、コーヒー牛乳飲み放題でどう?」

「やります」

「ほんと!? 助かる〜!」

そして迎えた、ペンキ絵描き替えの日。

朝早くから富士の湯に行くと、浴場の湯が抜かれて、足場が組まれていた。

白髪の職人さんが脚立に上って、刷毛で空の青を塗っていく。

俺は一日中、ペンキの缶を運んだり、刷毛を洗ったり、足場を押さえたりした。

「兄さん、こっちのバケツ持ってきてー!」

「了解!」

「あはは、兄さん意外と動けるじゃん」

「これでも体力はある方なんで」

さくらちゃんも、汗だくになりながら働いていた。

手ぬぐいを首に巻いて、Tシャツの袖をまくって、てきぱきと指示を出す。

汗で額に張り付いた前髪を、手の甲でぐいっと拭うしぐさが——妙に、色っぽかった。

(……いや、何見てんだ俺)

慌てて作業に戻る。

夕方、ようやく富士山が完成した。

塗りたての青い空と、真っ白な雪を抱いた富士。

前のより、ずっと色鮮やかで、堂々としている。

「うわぁ……今年も、きれいだ」

さくらちゃんが、浴場の真ん中に立って、富士山を見上げた。

夕日が窓から差し込んで、その横顔をオレンジ色に染めている。

「……ほんとだ。すごくいい」

「でしょ?」

くるっと振り向いて、にっと笑う。

その笑顔に、俺の心臓が、どくんと跳ねた。

職人さんが帰って、二人で後片付けをした。

足場をばらして、道具を片付けて。

気づけば、外はもう暗くなっていた。

「兄さん、一日中ありがと。ほんと助かった」

さくらちゃんが、番台の横のベンチに、どすっと座り込んだ。

俺もその隣に腰を下ろす。

「いえ。楽しかったです」

「……ねえ、兄さん」

「はい?」

さくらちゃんが、膝を抱えて、ぽつりと言った。

「あたしさ……この銭湯、続けられるか、わかんないんだ」

「……え?」

声のトーンが、いつもと違った。

軽快な下町言葉じゃなくて、不安に揺れる、年相応の声。

「ボイラーがさ、もうガタガタなんだ。だましだまし使ってるけど、いつ完全に壊れてもおかしくない。修理に何百万もかかるって言われてて」

「……」

「お客さんも、昔より全然減っちゃって。常連のおじいちゃんおばあちゃんばっかりで、若い人は来ない。みんな家に風呂あるから」

膝に顎を乗せて、富士山の絵を見つめる。

「おじいちゃんの代からの、この絵もさ。あたしの代で、終わっちゃうのかなって」

「……」

「ごめん、こんな話。せっかく手伝ってもらったのに、湿っぽくして」

無理に笑おうとして、でも、うまく笑えていなかった。

その顔を見ていたら——俺の中で、何かがかちっと音を立てた。

「……さくらちゃん」

「ん?」

「俺、エンジニアなんです」

「うん、知ってる。パソコンの人でしょ」

「ちょっと、考えてもいいですか。この銭湯のこと」

さくらちゃんが、きょとんと俺を見た。

「……考えるって?」

俺は、ベンチから立ち上がった。

頭の中で、もういくつかアイデアが回り始めていた。

「集客と、収支。たぶん、今のままでも打てる手はあります」

その夜、俺はアパートに帰って、ノートパソコンを開いた。

それから一週間、俺は本業の合間に、富士の湯のことを考え続けた。

まず、現金しか使えなかった番台に、キャッシュレス決済を導入した。

QRコード決済と、交通系ICカード。

タブレット一枚と、小さな読み取り端末。設定は俺が全部やった。

「えっ、これ、ピッてやるだけでいいの?」

「そう。お客さんは小銭出さなくていいし、レジ締めも楽になります」

「すごっ……魔法じゃん!」

次に、SNS。

富士の湯のアカウントを作って、写真を撮って投稿した。

塗りたての富士山のペンキ絵。

湯気の立ちのぼる浴場。

レトロな番台と、瓶のコーヒー牛乳。

『創業70年。下町に残る、富士山の見える銭湯』

そういうキャプションをつけて、丁寧に発信した。

最初は反応がなかった。

でも、ある写真が——番台のさくらちゃんが、にっと笑ってコーヒー牛乳を差し出している一枚が、ぱっとバズった。

『看板娘が可愛すぎる下町銭湯』

そんなふうに拡散されて、リポストが何千と伸びた。

「兄さん! 兄さん大変! なんか若い子いっぱい来てる!」

ある夕方、富士の湯に行くと、暖簾の前に行列ができていた。

大学生風の男女、カメラを持った人、レトロ銭湯巡りが趣味だという女の子たち。

「……ほんとに増えましたね」

「兄さんのおかげだよ! あたし、もう、なんてお礼言ったらいいか……」

さくらちゃんが、興奮しながら俺の手をぎゅっと握った。

その手が、温かくて、少し汗ばんでいて——俺はどきっとした。

「ありがとう、兄さん。ほんとに、ありがとう」

その目が、うるっと潤んでいた。

「……まだ、これからですよ。ボイラーの修理費も貯めなきゃ」

「うん。うん! あたし、頑張る!」

それからの富士の湯は、見違えた。

若い客が増えて、SNSのフォロワーも伸びて、コーヒー牛乳は連日売り切れ。

さくらちゃんの顔から、あの不安げな影が、少しずつ消えていった。

九月の終わり、さくらちゃんが言った。

「ねえ兄さん、あのさ。今度、他の銭湯見に行きたいんだ」

「他の銭湯?」

「うん。流行ってるとこ、参考にしたくて。一緒に行ってくんない? その……視察として」

「視察ですか」

「し、視察だよ! ほかに何があんの!」

なぜか、さくらちゃんの頬が赤くなっていた。

そんなわけで、俺たちは休みの日に、隣町の人気銭湯に行った。

リニューアルした、おしゃれなサウナ付きの銭湯。

二人で下足箱に靴を入れて、木の鍵を抜く。

俺の鍵と、さくらちゃんの鍵を、ふと並べて持ったら——番号が、隣同士だった。

「あ、隣ですね。47と48」

「……ほんとだ。ふふ、なんか、夫婦みたい」

ぽろっと言って、さくらちゃんが、はっとした顔で口を押さえた。

「ち、違うよ! 今のなし!」

「……」

「兄さん、にやにやしない!」

赤くなってぷいっと横を向くさくらちゃんが、たまらなく可愛かった。

別々に湯に入って、ロビーで合流して。

二人でソフトクリームを食べながら、銭湯の感想を言い合った。

「サウナはうちにはないけど……うちは富士山があるもんね」

「そう。あれは唯一無二ですよ」

「……だよね。あたし、やっぱりあの絵が好きなんだ」

ソフトクリームを舐めながら、さくらちゃんが、ふっと笑った。

その横顔が、もう、ただの『番台の子』じゃなかった。

帰り道、二人並んで夕暮れの川沿いを歩いた。

どっちからともなく、歩く距離が、少しずつ近くなっていた。

その週末。

富士の湯の番台で、俺がさくらちゃんと話していると、常連のおばちゃんたちがやってきた。

「あらぁ、さくらちゃん、最近この兄さんといつも一緒じゃないの」

「ち、違いますよ松本さん! 兄さんは銭湯手伝ってくれてるだけで——」

「いやいや、いい人見つけたねぇ。背も高くて、優しそうでさ」

「だ、だから違うって——」

「さくらちゃん、顔真っ赤じゃないの。ほっほっほ」

さくらちゃんが、番台の帳簿をぱっと持ち上げて、顔を隠した。

「……もう、おばちゃんたち、からかわないで」

帳簿の陰から、ちらっとこっちを見て、また隠れる。

俺も、なんだか顔が熱くなった。

(……俺、たぶん、この子のこと——)

もう、自分の気持ちは、はっきりしていた。

十月の、ある夜のことだった。

その日は平日で、お客さんも少なくて、早めに暖簾をしまった。

「兄さん、今日も来てくれてありがと。あのさ、悪いんだけど、閉店後の浴場掃除、手伝ってくんない? 今日、おじいちゃん腰やっちゃってて」

「もちろん」

最後のお客さんが帰って、二人きりになった。

湯を抜いて、デッキブラシで浴場のタイルを擦る。

まだ湯気がうっすら残る、静かな浴場。

天井から、ぽたん、と水滴が落ちる音だけが響く。

正面の富士山が、薄暗い照明の下で、青く沈んで見えた。

「……ここ、夜は静かですね」

「でしょ。あたし、この時間、けっこう好きなんだ」

二人でブラシを動かしながら、ぽつぽつと話した。

「兄さんが来てくれてから、ほんと、いろいろ変わったよ」

「俺、何もしてないですよ。さくらちゃんが頑張ったから」

「ううん。兄さんがいなかったら、あたし、たぶんもう諦めてた」

ブラシを動かす手が、止まった。

さくらちゃんが、富士山の絵を見上げて、ぽつりと言った。

「兄さん……あのさ」

「はい」

「ちょっと、こっち向いて」

俺は、ブラシを置いて、さくらちゃんの方を向いた。

湯気の残る浴場で、さくらちゃんが、まっすぐ俺を見ていた。

頬が、紅潮している。

切れ長の目が、いつもの軽快さじゃなくて、まっすぐで、震えていた。

「あたしね……ずっと、考えてたんだ。なんで兄さんが、ここまでしてくれるんだろうって」

「……」

「お金にもならないのに。本業だって忙しいのに。なのに、毎日来てくれて、銭湯のこと、あたしのこと、本気で考えてくれて」

さくらちゃんの声が、震えた。

「最初は、優しい人だなって思ってた。でも、だんだん、それだけじゃ説明つかなくなって」

「……」

「あたしも、兄さんが来ない日は、そわそわするようになって。今日は来るかなって、何度も入口見ちゃって。コーヒー牛乳、兄さんの分だけ取っとくの、当たり前になって」

ぎゅっと、エプロンの裾を握りしめる。

「だから、もう、ちゃんと言うね」

湯気の残る、静かな浴場に。

さくらちゃんの声が、はっきりと響いた。

「優くん。あたし、あんたが好きだ」

時間が、止まった気がした。

『兄さん』じゃなくて——『優くん』。

初めて、名前で呼ばれた。

「……さくらちゃん」

「ごめん、女のあたしから言っちゃって。下町の女はせっかちなんだよ。でも、もう、我慢できなくて——」

「俺も好きです」

さくらちゃんの言葉を、遮った。

自分でも驚くくらい、はっきりした声が出た。

「ずっと、好きでした。番台で笑ってるさくらちゃんに会いたくて、毎日通ってました。給湯器が直っても、来るのやめられなかったのは……さくらちゃんがいたからです」

「……っ」

さくらちゃんの目から、ぽろっと涙がこぼれた。

切れ長の目が、くしゃっと崩れて、それでも嬉しそうに笑っている。

「なんだ……両思いじゃん……」

「両思いです」

「もう……早く言ってよ、ばか……」

涙を手の甲で拭いながら、さくらちゃんが、一歩、俺に近づいた。

湯気の中で、その距離が、ゼロになる。

俺は、さくらちゃんの頬にそっと手を添えて、唇を重ねた。

ちゅっ。

「ん……っ」

濡れた浴場に、小さなキスの音が響いた。

さくらちゃんの唇は、お湯の湿気で少し冷たくて、でも、すぐに温かくなった。

一度離れて、見つめ合う。

さくらちゃんの頬は真っ赤で、目が潤んでいて、唇が微かに震えていた。

「……もう一回、いい?」

「……うん」

今度は、もっと深く。

ちゅっ……ちゅるっ……♡

さくらちゃんの唇が開いて、俺の舌先がそっと触れた。

応えるように、さくらちゃんの舌が、おずおずと絡みついてくる。

ちゅるっ、ちゅっ、ちゅるるっ♡

湯気の残る浴場に、湿ったキスの音が反響する。

「ん……っ♡ はぁ……♡ 優くん……♡」

「さくらちゃん」

「さくら、でいいよ……♡ ちゃん、いらない」

「……さくら」

「うん♡♡」

嬉しそうに微笑んで、さくらがまた唇を寄せてきた。

ちゅっ♡ ちゅるっ♡ んっ♡

キスをしながら、俺はさくらの腰に手を回した。

Tシャツ越しに触れる腰は、思ったより細くて、きゅっとくびれていた。

ぎゅっと引き寄せると——

むにゅっ。

さくらの胸が、俺の胸板に押し付けられた。

Tシャツ越しでも、その柔らかさがはっきり伝わってくる。

ぱつんと張っていたわけだ。想像以上の弾力に、形がふにゅっと変わる。

「ん……っ♡♡」

さくらが、小さく声を漏らした。

キスが、どんどん深くなる。舌と舌が絡み合って、甘い唾液が混ざる。

ちゅるっ♡ ちゅぷっ♡ んんっ♡♡

「はぁっ……♡ 優くん……ここ、寒くない?」

「正直、それどころじゃない」

「ふふ♡ じゃあ……母屋、来る? あたしの部屋」

潤んだ目で、上目遣いに見上げてくる。

その視線だけで、心臓が爆発しそうになった。

「……行く」

さくらが、にっと笑って、俺の手を取った。

濡れた浴場の灯りを消して、裏口から母屋に上がる。

廊下を、足音を忍ばせて進む。

「おじいちゃんの部屋、反対側だから……静かにね♡」

さくらの部屋は、こぢんまりとした和室だった。

畳の匂いと、ほのかに甘い、女の子の匂い。

「……散らかってて、ごめん」

「全然」

部屋に入って、ドアを閉めた瞬間、もう我慢できなかった。

さくらを抱き寄せて、また唇を重ねる。

ちゅっ♡ ちゅるっ♡ んっ♡♡

キスをしながら、ゆっくり畳の上に押し倒した。

さくらの手が、俺の背中に回る。

「ん……♡ 優くんの手、あったかい……♡」

「さくらの方が、熱いよ」

「もう……♡」

ふわっと笑うさくら。

その笑顔に見とれていると、さくらが俺の手を取って——自分の胸の上に、そっと導いた。

むにゅっ♡

「っ」

手のひらに広がる、信じられない柔らかさ。

Tシャツ越しでも、その弾力と質量がダイレクトに伝わってくる。

大きい。番台で見ていた以上に、大きい。指が沈み込んでいく。

「触って……いいよ♡」

さくらが、潤んだ目で見上げてくる。

「……いいの?」

「うん♡ あたし……ずっと、優くんに見られてたの、知ってたんだ♡」

「えっ」

「ふふっ♡ 番台で前かがみになるたびに、視線、感じてたもん♡」

「そ、それは——」

「いいの♡ むしろ……ちょっと、嬉しかった♡」

さくらが、俺の手をぎゅっと押し付ける。

むにゅうっ♡♡

「あっ♡ ん……♡」

俺は、さくらのTシャツの裾に手をかけた。

ゆっくり上にまくり上げると、白い肌が現れる。

きゅっと引き締まったお腹。その上に——スポーツブラに包まれた、たわわな膨らみ。

「脱がすよ」

「……うん♡」

Tシャツを頭から抜く。

スポーツブラの縁から、白い肉がむにゅっとはみ出していた。

「……すごいな」

「言わないでよ……恥ずかしい♡」

両手で胸を隠そうとするさくらの手を、そっとどけて、ブラに手をかける。

たくし上げると——

ふるんっ♡

解放された双丘が、ぷるんと揺れた。

「おぉ……」

思わず声が出た。

色白で、ハリのある肌。上を向いた、綺麗なお椀型。

頂点には、薄いピンク色の乳首が、ぷっくりと立ち上がっている。

「下町の銭湯娘のおっぱいなんて……ありがたみないでしょ♡」

「何言ってんの。最高だよ」

「……ばか♡」

俺は、両手でその胸を包み込んだ。

むにゅうっ♡♡

「あっ♡♡」

指が沈み込む。

とんでもない柔らかさ。もちもちした弾力が手のひらに吸い付いて、指の間から白い肉がむにゅっとこぼれる。

むにゅ♡ むにゅ♡ むにゅむにゅっ♡

「んっ♡ あっ♡ 優くん……気持ちいい……♡」

揉むたびに、さくらの口から甘い声が漏れる。

両手で、交互にリズムよく揉みしだく。

むにゅっ♡ むにゅっ♡ むにゅっ♡♡

「ひゃっ♡ やぁっ♡ そんなに揉んだら……♡」

「柔らかすぎるんだよ、さくらのおっぱい」

「もうっ……♡ えっちだ、優くん♡」

普段、番台で軽快に常連をさばいてる子が、こんな声を出している。

そのギャップが、たまらない。

「ここは?」

親指で、乳首をくりっと撫でた。

「ひゃんっ♡♡」

さくらの体が、びくんと跳ねた。

「そこっ……♡ 敏感なの……♡」

ツンと立った乳首を、指先でくりくりと転がす。

「やぁっ♡♡ んんっ♡♡ 優くんっ♡♡ そこぉっ♡♡」

可愛い。めちゃくちゃ可愛い。

我慢できなくなって、左の乳首に唇をかぶせた。

ちゅうっ♡

「ひあっ♡♡♡」

さくらの手が、俺の頭を抱え込んだ。

柔らかい胸に、頭が埋もれる。風呂上がりの、石鹸の甘い匂いが鼻をくすぐる。

ちゅるっ♡ れろっ♡ ちゅっ♡

舌先で乳首を弾きながら、もう片方の胸を手で揉み続ける。

「あっ♡♡ んんっ♡♡ 優くん、上手……♡♡」

交互に吸って、舐めて、揉んで。

「はぁっ♡ はぁっ♡ あたし……銭湯の母屋で、こんなことしちゃってる……♡♡」

さくらの体が、どんどん熱くなっていく。

ちゅう♡ ちゅるっ♡ むにゅっ♡♡

「んあっ♡♡ もう……♡ 優くんのせいで、とろとろになっちゃうよ……♡♡」

さくらの手が、俺のズボンに伸びてきた。

もっこりと膨らんだそこを、ズボンの上から、そっと撫でる。

「あ……優くん、ここ……おっきくなってる♡」

「当たり前だろ……こんな綺麗な子が目の前にいたら」

「嬉しい……♡」

さくらの指が、ベルトに触れた。

少し手間取りながらベルトを外して、ジッパーを下ろす。

ボクサーパンツの上から、形をなぞった。

「おっきい……♡♡ こんなの、入るのかな……♡」

パンツの中に手を入れて、直接握られた。

「っ——」

さくらの手は、思ったよりしっかりした力で、俺のモノを包み込んだ。

「あつい……♡ すごく硬い……♡」

にぎにぎっと握りながら、ゆっくり上下に動かしてくれる。

「さくら……っ」

「ねぇ、優くん♡」

さくらが、体を起こして、俺の足の間にしゃがみ込んだ。

潤んだ瞳が、下から見上げてくる。

「お口で……してあげる♡」

そう言って、さくらは俺のモノに唇を寄せた。

ちゅっ♡

先端に、柔らかいキスが落とされる。

「んっ♡ 優くんの匂い……♡」

ちろっと舌先が出て、先端を舐めた。

れろっ♡ ちろっ♡

「っ……」

「気持ちいい?♡」

「やばい……」

さくらが嬉しそうに目を細めて——ぱくっと口に含んだ。

「んっ♡♡」

温かくて、湿った口の中に包まれる。

じゅるっ♡ ちゅぷっ♡

さくらの舌が、俺のモノに絡みつきながら、上下に動く。

「じゅるるっ♡ んっ♡♡ んんっ♡♡」

切れ長の目が、少し蕩けて、俺を見上げている。

「さくら……上手すぎる……っ」

「んふふ♡ じゅるっ♡ ちゅるるっ♡♡」

嬉しそうに目を細めながら、さらに深くくわえ込んでくる。

じゅぽっ♡ じゅるっ♡ ちゅぷっ♡♡

「ぷはっ♡ 優くんの……美味しい♡」

一度口を離して、先端をれろれろと舐め回す。

そして——

「ねぇ、優くん♡ これも、してあげる♡」

さくらが、あの豊満な胸を両手で持ち上げた。

俺の硬くなったモノの左右に、ふわっと押し当てる。

むにゅんっ♡♡

「——っ!!」

全方位から、信じられない柔らかさに包まれた。

俺のモノが、さくらの谷間に、完全に沈み込んだ。

「わぁ♡ 全部、隠れちゃった♡ 優くんの、おっきいのに♡」

さくらが両手で胸を寄せながら、ゆっくり上下に動かし始めた。

むにゅっ♡ むにゅっ♡ むにゅっ♡

「あ……やば……」

柔らかい肉に包まれて、上下に動かされる感触が、やばい。

「気持ちいい?♡」

「すごい……気持ちいい」

「えへへ♡ よかった♡ あたしね、これ、してみたかったんだ♡」

「え、してみたかった?」

「うん♡ 優くんがいつも、ちらっと胸見てるの、気づいてたから……♡ このおっぱいで、優くんのこと気持ちよくしてあげたいなって……♡」

(この子、最高すぎる……)

にゅるっ♡ むにゅっ♡ ぬちゅっ♡

先走りで滑りが良くなった谷間を使って、さくらがリズミカルに動く。

「んっ♡ 優くんの、あつい……♡♡ おっぱいの中で、びくびくしてるのわかる……♡」

上目遣いで見つめながら、パイズリを続けるさくら。

谷間から先端が顔を出すたびに、ちゅっとキスをする。

ちゅっ♡ むにゅっ♡ ちゅるっ♡

そのまま、先端を口に含んだ。

ぱくっ♡

「っ!!!」

柔らかい胸と、温かくて濡れた口の中。

二重の快感が、同時に襲ってくる。

じゅるっ♡ むにゅっ♡ じゅぽっ♡♡

「んっ♡♡ じゅるるっ♡♡ んんっ♡♡♡」

「さくら……気持ちよすぎる……」

「んふふ♡♡ じゅるっ♡♡ ちゅるるっ♡♡」

嬉しそうに笑いながら、さらに激しく動く。

むにゅっ♡ じゅぽっ♡ ぬちゅっ♡♡

「さくら……そろそろ、やばい……っ」

ぷはっ、と口を離したさくらが、胸をぎゅっと寄せて、激しく上下に動かした。

むにゅっむにゅっむにゅっ♡♡♡

「出して♡♡ 優くんの、いっぱい出して♡♡」

「っ——出る、さくらっ!」

びゅるるっ♡♡

どぴゅっ♡ びゅるっ♡♡

白い液体が、さくらの胸と谷間に飛び散った。

「んっ♡♡♡ あったかい♡♡ いっぱい出たね♡♡」

さくらが、胸の間に溜まったそれを指ですくって、ぺろっと舐めた。

「んっ♡ 優くんの味……♡♡」

蕩けた瞳。

風呂上がりの、石鹸の匂いをまとった看板娘が、胸元を白く汚して微笑んでいる。

(こんな光景、現実でいいのか……?)

「ごめん、いっぱいかけちゃって」

「ううん……嬉しいの♡」

さくらが、にこっと笑って——

「でもね、優くん♡」

「うん?」

「あたし……まだ、終わりじゃないよ♡」

さくらが立ち上がって、ジーンズのボタンに手をかけた。

するすると脱ぐと、淡いピンクのショーツが現れる。

その真ん中が——じっとりと濡れて、布地が肌に張り付いていた。

「あたしね……さっきから、ずっと、こんなになっちゃってるの♡」

恥ずかしそうに俯きながら、さくらがショーツの濡れた部分を指でなぞった。

くちゅっ♡

「あっ♡ んっ♡」

「さくら……」

「優くんの……挿れて、ほしい♡」

潤んだ瞳が、まっすぐ俺を見つめる。

その視線だけで、さっき出したばかりなのに、もう硬くなっていた。

「——うん」

俺は、さくらを畳の上の布団に、そっと押し倒した。

ショーツに指をかけて、ゆっくり引き下ろす。

「ん……♡」

露わになった秘所は、もうとろとろに濡れていた。

薄い照明に照らされて、蜜が糸を引いているのがわかる。

「すごい濡れてる……」

「だって……♡ ずっと、優くんに触られて、おっぱい吸われて……♡ ずっと、感じてたんだもん♡♡」

俺は、さくらの太ももをそっと開いた。

その間に体を入れて、先端を入口にあてがう。

ぬるっとした感触。

「……挿れるよ」

「うん……♡ 来て♡」

ずぷっ♡

「あっ♡♡♡」

中に入った瞬間、さくらの体がびくんと震えた。

「あついっ……♡♡ 優くんの……あつい……♡♡」

ゆっくりと、奥まで入れていく。

ずぶ♡ ずぶ♡ ずぶっ♡♡

「んんっ♡♡♡ おっきい……♡♡ 奥まで……来てるっ♡♡」

さくらの中は、信じられないほど熱くて、きつくて、とろとろだった。

壁が俺のモノに絡みついて、吸い付くように締め付けてくる。

「さくら……めちゃくちゃ気持ちいい……」

「あたしもっ♡♡ 優くんので、いっぱいになってるっ♡♡」

正常位。

さくらの顔が、目の前にある。

上気した頬。潤んだ瞳。半開きの唇。乱れた前髪。

その全部が、色っぽくて、可愛くて、たまらない。

俺は、さくらの唇にキスをしながら、ゆっくり腰を動かし始めた。

ちゅっ♡ ぱんっ♡

「んむっ♡♡」

ぱんっ♡ ぱんっ♡

「んっ♡ あっ♡ あんっ♡♡」

奥まで突くたびに、さくらが甘い声をあげる。

ぱんぱんぱんっ♡♡

「あっ♡ あっ♡ あっ♡♡ 優くんっ♡♡ 気持ちいいっ♡♡」

さくらの胸が、突くたびに、たゆんたゆんと揺れる。

その揺れを見ながら腰を動かす。最高の光景だ。

「さくらの中……やばい……最高……」

「んっ♡♡ そんなこと言われたら……もっと気持ちよくなっちゃうっ♡♡」

さくらの腕が、俺の首に回された。

足も、腰に絡みついてくる。

「もっと……奥に、来て……♡♡」

ずぱんっ♡♡

「ひゃあっ♡♡♡ そこっ♡♡ そこ、当たってるっ♡♡♡」

奥の、一番気持ちいいところに当たったみたいだ。

さくらの中が、きゅうっと締まった。

「ここ?」

ずぱんっ♡♡

「そこぉっ♡♡♡ やっ♡♡ すごいっ♡♡♡」

同じ場所を、何度も突く。

ぱんっ♡ ぱんっ♡ ぱんっ♡ ぱんっ♡♡

「あっあっあっ♡♡ 優くんっ♡♡ もっとっ♡♡ もっと激しくっ♡♡♡」

言われるままに、腰の動きを速めた。

ぱんぱんぱんぱんっ♡♡♡

「んあぁっ♡♡♡ やばっ♡♡ 気持ちよすぎるっ♡♡♡」

さくらの中が、どんどんきつくなっていく。

布団がずれて、畳がきしむ。静かな母屋に、肉のぶつかる音と水音が響く。

「さくらっ……中、やばい……っ」

「優くんっ♡♡ あたしもっ♡♡ もうっ♡♡」

ぱんっ♡♡ ぐちゅっ♡♡ ぱんっ♡♡ ぬちゅっ♡♡

「あっ♡♡ イクっ♡♡ イっちゃうっ♡♡♡」

「俺も——っ」

「中にっ♡♡♡ 中に出してっ♡♡♡ 優くんのっ♡♡ いっぱい欲しいのっ♡♡♡」

ぱんぱんぱんぱんっ♡♡♡♡

「っ——出る、さくらっ!!」

「きてっ♡♡♡♡ イクッ♡♡♡♡」

びゅるるるっ♡♡♡♡

どくっ♡ どくっ♡ どくっ♡♡♡

さくらの一番奥に、熱いものが注ぎ込まれる。

「あああっ♡♡♡♡ なかっ♡♡ あついっ♡♡♡ いっぱい出てるっ♡♡♡♡」

さくらの中が、きゅうきゅうと痙攣しながら、俺のモノを搾り取るように締め付ける。

びゅるっ♡ どくっ♡♡

最後の一滴まで搾り出されて——

「はぁっ……はぁっ……♡♡」

「はぁ……はぁ……すごかった……」

まだ繋がったまま、お互いの額をくっつける。

汗ばんだ前髪が、ぺたっと額に張り付いている。

「さくら……♡♡」

「優くん……♡」

しばらく、そのまま呼吸を整える。

静かな母屋に、二人の荒い息だけが響いていた。

やがて、さくらが、俺の胸に頬を寄せて、ぽつりと言った。

「ねえ、優くん……」

「ん?」

「もう一回……したい♡」

「え?」

「だって……まだ、足りないんだもん♡♡ 今度は……あたしが、上で♡」

その言葉だけで——中でまた、硬くなっていくのがわかった。

「……わかった」

俺は一度抜いて、仰向けになった。

さくらが、ゆっくりと、俺の腰に跨る。

「ふふ♡ 今度は、あたしの番♡」

さくらが腰を持ち上げて、自分で位置を合わせた。

先端が入口に触れた瞬間、びくっと震える。

「ん……♡♡」

ゆっくりと、腰を下ろしていく。

ずぷっ♡ ずずずっ♡ ずぷんっ♡♡

「んあぁぁっ♡♡♡ 奥まで……♡♡♡ 届いてるっ♡♡」

重力で、さっきより深く入った。

目の前で、たわわな胸がぶら下がっている。

「さくら……この角度、やばい……」

「やらしい目で、見ないでっ♡♡♡」

さくらが、ゆっくりと腰を上下に動かし始めた。

ずちゅっ♡ ぬぷっ♡ ずちゅっ♡

「あっ♡♡ ん♡♡ はぁっ♡♡♡ 気持ちいい……♡♡♡」

動きが、どんどん激しくなる。

胸がたゆんたゆんと揺れて、白い肌が、薄っすらピンクに上気している。

ぱちゅっ♡ ぬちゃっ♡ ずちゅずちゅっ♡

「さくら、揺れすぎ……」

「言うなぁっ♡♡♡ 恥ずかしいっ♡♡♡」

俺は、下から突き上げた。

どんっ♡♡

「ひゃぁっ♡♡♡♡」

さくらが仰け反った。

両手でさくらの腰を掴んで、下からのピストンを加速させる。

ぱんぱんぱんぱんっ♡♡♡

「やっ♡♡♡ 下からっ♡♡♡♡ またイっちゃうっ♡♡♡♡」

揺れる胸を、下から鷲掴みにして、揉みながら突き上げる。

むにゅっ♡ ぱんっ♡ むにゅっ♡ ぱんっ♡♡

「あっ♡♡♡ 優くんっ♡♡♡ おっぱいもっ♡♡ 奥もっ♡♡♡ 両方やばいっ♡♡♡♡」

さくらが、前のめりに倒れ込んできた。

胸が、俺の顔に押し付けられる。

その乳首を、口に含んだ。

ちゅるっ♡

「あーーっ♡♡♡♡♡」

「俺も——出る——っ!」

「出してっ♡♡♡♡ 中にっ♡♡♡♡ いっぱいっ♡♡♡♡♡」

さくらが、自分から腰を打ち付けてきた。

ぱんぱんぱんぱんぱんっ♡♡♡♡

「イクっ♡♡♡♡♡——♡♡♡♡♡♡」

どくっどくっどくっどくっ♡♡♡♡

二回目を、さくらの一番奥に注ぎ込んだ。

「あっ♡♡♡♡♡ また熱いのっ♡♡♡♡♡ お腹、いっぱいっ♡♡♡♡♡♡」

びくんびくんびくん。

さくらが、俺の上に崩れ落ちた。

二人とも、汗だくだった。

「優くん……♡♡♡ 最高……♡♡♡」

「俺も。めちゃくちゃ」

「ふふ……銭湯掃除の途中で、こんなことしちゃった……♡」

「掃除、明日でいいよな」

「もうっ……優くんのせいでしょ♡♡」

二人で、くすくす笑った。

しばらくして。

俺たちは、布団の上で並んで横になっていた。

さくらが、俺の肩に頭を預けて、すうっと甘い石鹸の匂いがする。

「優くん」

「ん?」

「あたしと……付き合ってくれる?」

「もう付き合ってる、と思ってたけど」

「だ、だって、ちゃんと言葉にしないと、不安じゃん!」

「……付き合おう。さくら」

「……っ♡♡ うん! うん!」

さくらが、ぎゅうっと俺の腕に抱きついてきた。

「えへへ……あたし、彼氏できた♡♡ 番台で初めて会った兄さんが、彼氏になっちゃった♡」

「兄さん、もう卒業な」

「うん♡ これからは……優くんだ♡」

その笑顔が、世界で一番、可愛かった。

それからの、ある週末。

富士の湯の番台に、俺とさくらが、二人並んで座っていた。

そう。番台は、本来一人用だ。狭い。

でも、ぴったりくっついて座るのが、なんだか心地よかった。

そこへ、常連のおばちゃんたちがやってきた。

「あらぁ、さくらちゃん、なんでこの兄さんと並んで座ってんの」

「えへへ……実はね、あたしたち、付き合うことになって」

「えーっ! やっぱり! 言ったでしょ、いい人見つけたって!」

「おめでとうさくらちゃん! いやぁ、めでたい!」

「あ、ありがとうございます……」

さくらが、照れて、番台の帳簿で顔を半分隠した。

帳簿の陰から、ちらっと俺を見て、にっと笑う。

「兄さん、しっかりさくらちゃんのこと、頼むよ。なんてったって三代目の婿候補なんだから!」

「む、婿候補……」

「そうだよ! 将来は四代目だ! 富士の湯、頼んだよ!」

「ちょ、話が大きすぎ……」

「あはは! 優くん、顔真っ赤!」

「……さくらだって、真っ赤だろ」

「うっ……」

二人して、顔を見合わせて、笑った。

おじいちゃんも、奥から顔を出して、にやにや笑っていた。

「優くん、よろしく頼むよ。さくらは、いい子だから」

「……はい。こちらこそ、よろしくお願いします」

その夜、最後のお客さんが帰って、二人で暖簾をしまった。

がらり、と引き戸を閉めて、浴場に戻る。

塗りたての富士山が、薄暗い照明の下で、青く堂々と立っていた。

「ねえ、優くん」

「ん?」

「この銭湯、絶対、潰さないからね。優くんと一緒に、守っていくんだ」

「……ああ。一緒に守ろう」

「えへへ♡ 約束♡」

さくらが、ぎゅっと俺の手を握った。

「あ、そうだ。優くん、風呂上がりのコーヒー牛乳♡ はい、取り置きの最後の一本♡」

「……いつもありがとう」

「これからは、毎日取り置きしてあげる。彼女の特権ね♡」

にっと笑うさくらの顔が、富士山の絵を背に、きらきらしていた。

俺は、瓶のコーヒー牛乳を受け取って、腰に手を当てて、一気に飲んだ。

下町の銭湯に通い続けたら、最高の彼女ができた。

熱い湯と、富士山のペンキ絵と、看板娘の笑顔。

明日もまた、俺はこの暖簾をくぐる。

いや——もう、ここが俺の、帰る場所だ。

― 終 ―


編集部プロフィール画像

編集部が運営。「あの夜」で読める恋の体験談を厳選して公開しています。