七月の終わり。大学三年の夏。
俺、朝倉蓮(あさくら れん)は、自分の部屋のベッドに寝転がって天井を見ていた。
スマホが震える。LINEの通知。
送り主は──柚木日和(ゆずき ひより)。
幼馴染。小学校から大学までずっと一緒の腐れ縁で、家が隣同士で、いつもキャップにジーンズにスニーカーの──俺の一番の親友。
『ねーれん、来週の花火大会いく?』
花火大会。地元の河川敷でやるやつだ。子供の頃からずっと二人で行ってた夏の恒例行事。
『いくけど?』
『じゃー一緒にいこ 迎えに来て』
『はいはい いつも通りな』
『あと今年はちょっと気合入れるから期待しといて笑』
気合? ひよりが? あいつが気合入れるって、一体なんだ。新しいスニーカーでも買ったのか。
(まぁ、ひよりのことだからな……)
深く考えずにスマホを置いた。
あの時の俺は、まだ何も知らなかった。
一週間後。花火大会当日。夕方五時。
俺はTシャツに短パンというラフな格好で、ひよりの家の玄関先に立っていた。
ピンポーンとインターホンを押す。
「はーい、ちょっと待ってー!」
奥からひよりの声。しばらく待つ。やけに時間がかかる。
(なにしてんだあいつ……)
「おまたせー!」
顔を上げた。──固まった。
「……え?」
そこに立っていたのは、紺色の浴衣を着た女の子だった。深い藍色の生地に白い撫子の花が散りばめられた上品な柄。帯は淡い山吹色。
普段は無造作に下ろしている栗色のショートヘアが少しだけアレンジされて、左耳の上にきらきら光る小さなピンが留まっている。いつもすっぴんの顔に、ほんのり色づいたリップと薄くひいたアイライン。
白いうなじ。鎖骨のライン。浴衣の合わせ目からちらりと覗く白い肌。
──柚木日和、二十一歳。俺の幼馴染が、そこにいた。
「なに固まってんの。ひよりですけど?」
いつもの口調。でも、頬がほんのり赤い。
「浴衣……」
「気合入れるって言ったでしょ。おかーさんに着付けてもらっちゃった。えへへ」
えへへ、じゃないだろ。心臓がうるさい。
(待て。なんだこれ。ひよりだぞ? いつもバスケの短パンとか履いてるあのひよりだぞ?)
でも目の前にいるのは、どこからどう見ても──可愛い女の子だった。
「どう? 変じゃない?」
くるっと一回転してみせる。裾がふわりと広がって、白い足首が見えた。
「……似合ってる」
それだけ言うのが精一杯だった。
「……ほんと?」
ひよりが少し嬉しそうに笑う。その笑顔がいつもと同じはずなのに全然違って見えて。
(やばい。これは──やばい)
河川敷に向かう道。隣を歩くひよりが、下駄だから小さな歩幅でちょこちょこ歩いている。
「ちょっと待ってよー、慣れてないから歩きにくいー」
「だったらスニーカーで来ればよかったのに」
「それじゃ意味ないじゃん!」
ぷくっと頬を膨らませてから、俺の腕にしがみついた。
「つかまっとく。転びそうだし」
「……勝手にしろ」
腕に感じるのは、ひよりの柔らかい感触。浴衣の上からでもわかる。普段はそんなに気にしたことなかったけど、こいつ、けっこう──ある。
(意識するな意識するな)
無理だった。
河川敷は人でいっぱいだった。屋台の明かりが連なって、いい匂いが漂っている。
「蓮、りんご飴買って!」
「自分で買えよ」
「浴衣で財布出しにくいんだもん。あとで返すから!」
りんご飴を二つ買って渡すと、「やったー!」と嬉しそうにかぶりつく。唇についた飴の欠片を舌先でぺろっと舐め取る仕草に、なぜかどきっとした。
屋台を回った後、少し離れた土手の上にレジャーシートを広げた。
「もうすぐ始まるね」
ひよりが空を見上げる。紺色の浴衣と濃紺の夜空が溶け合うみたいだった。横顔が綺麗で、思わず見惚れる。
どーん。
花火の音が腹に響いた。夜空に大輪の花火が咲く。
「うわぁ……綺麗……」
花火の光がひよりの顔を照らした。赤く染まる頬。きらきら光る瞳。
(……ずるい)
次々と打ち上がる花火を見ながら、俺はずっとひよりを見ていた。
「蓮」
「ん?」
「手、出して」
ひよりが花火を見上げたまま、右手を差し出した。
左手をそっと伸ばして握る。小さくて柔らかくて、少しだけ冷たい手。きゅっと握り返してくる。
「……手、あったかい」
花火が終わるまで、手を離さなかった。指を絡めると、ひよりが少しだけこっちを見て、すぐに視線を戻した。耳が赤い。
フィナーレが終わり、人混みを避けて遠回りの帰り道。まだ手を繋いだままだった。
「ねぇ、蓮。今日、私のこと可愛いって思った?」
「……は?」
「似合ってるしか言ってくれなかったじゃん。だから聞いてんの」
ひよりがむすっとした顔でこっちを見る。
──ああ、もう無理だ。立ち止まった。
繋いだ手を引いて、ひよりを正面に向かせた。
「可愛いよ。めちゃくちゃ可愛い。最初見た時心臓止まるかと思った」
「ちょ、いきなり──」
「浴衣似合いすぎだし、りんご飴食ってる時も可愛かったし、花火見てキラキラしてんのも可愛いし、今拗ねてんのも可愛い」
「ちょっと待っ──」
「好きだ」
ひよりの目が大きく見開かれた。
「……ずっと前から好きだったんだと思う。気づかないふりしてた。幼馴染だからって」
「蓮……」
「今日、浴衣のひより見て全部壊れた。もう友達のふりできない」
夏の虫の声だけの沈黙。ひよりが俯いて、繋いだ手をきゅっと握っている。
「……遅い」
「え?」
「遅いんだよ、ばか」
顔を上げた。目が潤んでいた。
「こっちはずっと好きだったのに……蓮が気づかないから、今日浴衣着て気合入れたんじゃん……」
「……マジ?」
「マジだよばか……着付け頼む時めちゃくちゃ緊張したんだからね……」
涙がぽろっとこぼれた。それを見た瞬間、体が動いていた。
ひよりを抱きしめた。浴衣越しの体温。シャンプーの甘い匂い。
「ごめん。遅くなった」
「……ほんとだよ。ばか」
胸に顔をうずめるひよりの肩が、小さく震えていた。
「好き、ひより」
「……私も。ずっと好きだった」
「……うち、来る?」
ひよりが顔を上げた。涙の跡が残る目。でも真っ直ぐにこっちを見ている。
「おかーさんたち、今日はおばあちゃんちに泊まりだから……誰もいないし」
「……いいのか?」
「いい。来て」
声が小さく震えている。でも逃げる気配はない。
「……わかった」
ひよりの家は俺の家の隣だ。何百回と来たことのある玄関。でも今日は全然違う意味でドキドキしている。
二階のひよりの部屋。白い壁にバスケのポスター。でも今日はテーブルの上に小さな花が飾ってあった。
(こいつ、今日のこと……期待してたのか?)
「ひより」
振り返ったひよりの浴衣姿。潤んだ目。
手を伸ばして、頬に触れた。
「キス、していい?」
「……うん」
ゆっくりと唇を重ねた。柔らかい。リップの甘い味。
ちゅ、と離れると、ひよりが潤んだ目で──
「……もっと」
もう一度唇を合わせる。今度は深く。舌先で唇をなぞると、おずおずと口を開いてくれた。
「ん……ちゅ、れろ……ふぁ……♡」
舌が絡み合う。甘い味。ひよりの手が俺のTシャツをきゅっと掴む。
キスしながら腰に手を回して引き寄せる。
「んんっ……♡」
浴衣越しの柔らかい感触が密着する。
唇を離すと、銀色の糸がぷつんと切れた。
「ひより……浴衣、脱がしていい?」
頬が限界まで赤くなる。でも──
「……脱がして♡」
山吹色の帯に手をかけた。結び目をほどいて、するすると引き抜く。帯が床に落ちて、浴衣がふわっと緩んだ。
襟元に手をかけて、ゆっくりと肩から滑らせる。するん、と浴衣が落ちていく。
──息が止まった。
白いブラジャーとショーツ。細いウエスト。くびれたライン。そしてブラに包まれた胸は、想像よりずっと大きかった。
「見すぎ……」
「ひより、こんなスタイルよかったのかよ……」
「普段隠してるだけだし……Tシャツだと目立たないでしょ……♡」
「ブラ、外すよ」
「……自分で外す」
かちっとホックを外すと、ぷるん、と形のいい胸がこぼれ出た。白い肌に薄いピンクの先端。
ベッドに押し倒した。シーツの上に栗色のショートヘアが広がる。
「ひより……綺麗だ」
「恥ずかしいって……♡」
首筋にキスを落としながら、右手で胸をそっと包んだ。
「あっ……♡」
ふにゅ、ふにゅ。手のひらに吸い付くような弾力。手からちょっとこぼれる大きさ。
「蓮……触んないで……嘘、触って……♡」
「どっちだよ」
「うるさいばかっ……あっ♡」
親指で先端をくるりと撫でると、ひよりの背中が跳ねた。ピンクの突起がきゅっと硬くなる。
「ひっ、あ、んんっ……♡ 両方はずるい……♡」
左の先端を唇で含んだ。ちゅ。
「ひゃああっ!♡」
舌先でころころ転がす。吸う。軽く甘噛みする。右手は右胸を揉み続ける。
「あっ、だめっ……気持ちいい……♡ 気持ちいいよぉ……♡」
ひよりの太ももがもぞもぞと動いて、脚をすり合わせている。
たっぷり味わってから顔を上げると、とろんとした目で俺を見ていた。
「ひより、下も──触っていい?」
びくっと震えてから──こくん、と頷いた。
ショーツの真ん中に、うっすらと染みができていた。
「見ないで、それは……♡」
「もう濡れてんじゃん」
「蓮がいっぱい触るから……♡」
ショーツをゆっくり引き下ろす。ひよりの秘所が露わになった。
「……綺麗だよ」
「綺麗とかじゃないでしょそこ……♡」
中指の先で、そっと割れ目をなぞった。
「ひゃぅっ!♡」
ぬるり。とろっとした感触が指に絡みつく。
くちゅ、くちゅ、くちゅ。
「やっ、あっ、あぁ……♡」
花弁をなぞるように動かしてから、小さな突起を見つけて指先でくるくると撫でた。
「ひぁぁっ!♡♡ そこだめっ……やばいっ……♡」
入り口をそっと押して、中指をゆっくり挿入していく。
「あぁっ……♡ 入ってきた……♡」
きゅうっと温かい壁が指を包み込む。親指で上の突起を刺激しながら、中を探る。
少し奥のざらざらした場所をくいくいと押した。
「──っっ!♡♡ そこっ! やばっ……なにそれぇ……♡♡」
くちゅくちゅくちゅ。
「あっあっあっ、だめっ、来ちゃうっ……♡♡」
内壁がきゅうきゅうと指を締め付ける。腰が小刻みに震えている。
「いっていいよ、ひより」
「やっ、あっ、あぁぁぁっ♡♡♡」
びくんびくんっ! 体が大きく弓なりに反った。中がぎゅうぎゅうと痙攣して、とろっとした液が指を伝う。
「はぁ……はぁ……♡ ……すごかった♡」
とろんとした目が俺を見上げて──思わずキスした。
しばらくして、ひよりが体を起こした。
「私も……蓮にしたい」
俺の前に膝をつく。裸のまま、上目遣い。
「……ズボン、脱いで」
短パンとボクサーパンツを下ろすと、張り詰めたものが跳ねるように飛び出た。
「わ……♡ おっきい……」
「……見んな」
「蓮だって見たくせに。おあいこ」
にっと笑う顔にいつもの幼馴染の面影が見えて、ほっとした。
おずおずと細い指が触れて、ゆっくり上下に動く。ぎこちない手つき。でもひよりがやってくれてるだけで、とんでもなく興奮する。
「こう……? 下手だったらごめん……」
「十分。気持ちいい」
「ほんと?♡」
ひよりがにこっと笑って──顔を近づけた。舌先がちろっと先端に触れる。
「っ!!」
「……しょっぱい♡」
いたずらっぽく笑って、そのまま唇で包み込んだ。
「ぅ……っ!」
温かくて柔らかい。舌が裏筋をなぞる。
「んっ……ちゅ……じゅる……♡」
頬をすぼめて吸いながら、上下にゆっくり動く。上目遣いの潤んだ瞳。一生懸命に奉仕してくれる幼馴染。
「ひより……すごい……」
「んちゅ……ちゅぱっ……♡」
水音が部屋に響く。
「もういい。やばい」
ちゅぽっと口を離すひより。
「これ以上やられたら終わる。その前に──ひよりとしたい」
ひよりの頬が一気に赤くなる。
「……私も。蓮と……したい♡」
お互い裸で向かい合う。心臓がうるさい。
「俺、ゴムないんだけど──」
「大丈夫。安全な日だから……全部受け止めたい♡」
頭の奥がくらっとした。
ひよりをシーツの上に横たえて、脚の間に体を入れる。先端を入り口にあてがう。ぬるり、と蜜が絡みついた。
「入れるよ」
「……うん♡」
ゆっくりと腰を進めた。先端がひよりの中に沈んでいく。
「あぁっ……♡ 入ってくる……♡」
きゅう、と温かい壁が俺を包み込んだ。ぬるぬるで、きつくて、とんでもない感触。
ずぷ、と根元まで収まった。
「全部、入った……♡」
中がきゅうっと締め付けた。
「動くよ」
「来て♡」
ずちゅ、ずちゅ、ずちゅ。
「あっ、あっ、あぁっ……♡ 蓮……蓮……♡」
動くたびに中がきゅうきゅうと絡みつく。ひよりの両手が背中に回されて、爪が肌に食い込む。
ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ。ペースを上げた。
「やっ、速いっ……♡ でもいいっ、もっとっ……♡♡」
胸がぷるんぷるんと揺れる。ベッドがぎしぎし鳴る。繋がったところからぐちゅぐちゅと音がする。
「ひより、好きだ……」
「私もっ……好きっ……蓮、大好きっ……♡♡」
ひよりの脚が腰に絡みついた。
「もっと奥っ……♡♡」
深く、奥まで。ずんっ。
「ひぁぁっ!♡♡」
ずんっ、ずんっ、ずんっ。
「そこいいっ……もっとぉ……♡♡」
中が痙攣し始めた。波打つように締め付けてくる。
「俺もやばい……中に──」
「いいよっ♡ 出してっ♡ 中に出してっ♡♡」
ぎゅうっと抱きしめて、奥まで突き入れた。
「あぁぁぁっ♡♡♡」
ひよりの体がびくんびくんと痙攣する。中がぎゅうぎゅうと絞り上げてくる。
どくっ、どくっ、どくっ。
一番奥に、全部注ぎ込んだ。
「あっ♡ あついっ♡ 中に出てる……♡♡」
どくどくと脈打つそれを、ひよりの中が残らず受け止めてくれる。
「はぁ……はぁ……」
額と額をくっつけて、荒い呼吸を繰り返す。
まだ繋がったまま。ひよりの手が俺の頬をそっと撫でた。
「蓮……♡」
「ひより……」
優しいキス。ちゅ。
少し休んで体を起こす。ひよりの目がまだとろんとしている。
「……まだ、したい」
「……まだ元気なの?」
「ひよりが可愛すぎるせいだ」
「……ばか♡」
でも嫌がらずに、体を起こして──俺の腰の上にまたがった。
「こういうの……してみたかった♡」
対面座位。目の前にひよりの顔。
自分で腰を浮かせて、ゆっくりと降りてきた。
ずぷ……。
「あぁっ……♡ この体勢……深い……♡♡」
全体重がかかって奥まで沈み込む。ひよりが俺の肩にしがみついた。
顔が近い。吐息が混ざる距離。
ひよりが腰をゆっくり前後に揺らし始めた。くちゅ、くちゅ。
「あっ、あぁっ……♡ 自分で動くの……すごい感じる……♡」
目の前で揺れる胸をたまらず両手で包んだ。
「ひゃんっ♡ 揉みながらはずるいっ……♡」
ふにゅ、ふにゅ。下から突き上げた。ずんっ。
「あああっ!♡♡ 下からっ……すごいのっ♡♡」
ひよりが腰を動かし、俺が下から突き上げる。ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ。
ぐちゅぐちゅぐちゅ。
「蓮っ、蓮っ♡♡ すきっ、だいすきっ♡♡♡」
「俺も好きだ、ひより……!」
ぎゅっと抱きしめ合いながら腰を動かし続ける。
「またっ、来ちゃうっ……♡♡ 一緒にイきたいっ♡♡」
「俺も……もう……!」
「一緒に出してっ♡♡」
抱きしめる腕に力を込めて、一番奥まで。ずんっっ。
「あぁぁぁぁっっ♡♡♡♡」
中がぎゅうぎゅうぎゅうと嵐のように絞り上げてくる。
どくっ、どくっ、どくっ、どくっ。
二回目。ひよりの奥に全部出し切った。
「ああっ♡ またっ、出てる……♡ あついのいっぱい……♡♡♡」
びくん、びくん。抱きしめ合ったまま、二人で震えが収まるのを待った。
「はぁ……はぁ……♡」
ひよりが俺の肩に顔をうずめた。
「……蓮」
「ん?」
「……幸せ♡」
「……俺も」
背中をゆっくり撫でた。
そのまま横になった。シーツがぐしゃぐしゃだけど、誰も気にしない。
ひよりが俺の胸に頬をくっつけて、指先で腹筋をなぞっている。
「ねぇ蓮。私たち付き合ってるってことでいいんだよね?」
「告白して両思いでこんなことまでして……付き合ってないわけないだろ」
「えへへ。確認♡」
「ひより」
「ん?」
「浴衣作戦、大成功だったな」
「でしょー? おかーさんにも『絶対いけるから』って太鼓判押されたんだから」
「……おばさん知ってたの?」
「バレバレだったらしい。『今日帰ってこなくていいわよ』って送り出された」
「……おばさんすげぇな」
二人で笑った。
窓の外から、遠くの花火の残響がかすかに聞こえる。夏の夜風がカーテンを揺らした。
「ねぇ蓮。来年も一緒に花火行こうね」
「当たり前だろ。来年も、再来年も、ずっと」
「……ずっと?♡」
「ずっとだ」
ひよりが俺の胸にぎゅっと顔をうずめた。
「……ばか。そういうこと言うから好きになっちゃうじゃん」
「いいだろ、俺の彼女なんだから」
「──彼女♡ えへへ……彼女だって……♡」
──この笑顔が、ずっと好きだったんだ。
「おやすみ、ひより」
「おやすみ、蓮♡」
額にそっとキスを落とした。
翌朝。目が覚めると、隣にひよりがいた。
当たり前のように俺の腕の中で眠っている。
二十一年間も隣にいて、今日やっと手が届いた。遠回りしたけど──今この瞬間が、たまらなく愛おしい。
ひよりの目がうっすらと開いた。寝ぼけた目が俺を見つけて、ふにゃっと笑う。
「……おはよ、蓮」
「おはよ、ひより」
「えへへ……夢じゃなかった♡」
「夢じゃないよ」
ぎゅっとしがみつくひよりを抱きしめる。
「来年の花火大会も浴衣着てくれよ」
「んー、考えとく♡」
「考えるな。着ろ」
「あはは、なに命令してんの♡」
笑い合って、もう一度キスをした。
夏の朝日が二人を優しく照らしている。
──十五年越しの幼馴染は、世界で一番可愛い彼女になった。