大学二年の秋。
俺、桐谷悠真(きりたに ゆうま)は、毎日のように大学の図書館に通っていた。
別に勉強熱心ってわけじゃない。
単位がやばいのだ。
前期にサボりまくったツケが回ってきて、後期は死ぬ気でやらないと留年する。
そんなわけで、毎日午後になると図書館の二階、窓際の席に陣取って教科書を広げるのが日課になっていた。
で、気づいたことがある。
俺が毎日来るようになる前から──いや、たぶんずっと前から、同じ席に座っている女の子がいた。
窓際の一番奥。壁に近い、あまり人が来ない静かな席。
黒縁の大きな眼鏡。
きっちり編まれた三つ編み。
いつも地味な色のカーディガンを羽織っていて、分厚い文庫本を読んでいる。
(あの子、いっつもいるな……)
最初はそれくらいの認識だった。
でも、毎日毎日同じ空間にいると、自然と意識するようになる。
ページをめくる指が細くて白いこと。
時々、読んでいる本の内容に反応して、小さく口元が動くこと。
集中すると、眼鏡の奥の目が少しだけ細くなること。
(……なんで俺、こんなに観察してんだ)
自分でも不思議だった。
派手な女の子の方が好みだと思っていたのに。
あの子は、なんていうか──空気が違った。
図書館の静寂に溶け込むみたいに、自然にそこにいる。
邪魔にならない。でも、確かにそこにいる。
そんな日々が二週間ほど続いた、ある日の午後。
俺はレポートの参考文献を探しに、二階の書架の間を歩いていた。
「えーっと……近代文学論、近代文学論……」
棚のラベルを目で追いながら進んでいくと、目当ての棚を見つけた。
でも、欲しい本は上の方の段にあった。
背伸びして手を伸ばす。
指先がちょうど背表紙に触れた──
その瞬間。
すぐ隣から、別の手が同じ本に伸びてきた。
指と指が触れ合う。
「あっ」
「え」
反射的に手を引いて横を見ると──あの、眼鏡の女の子がいた。
至近距離で目が合う。
眼鏡の奥の瞳は、思っていたよりずっと大きくて、深い茶色をしていた。
「す、すみません……」
女の子は顔を真っ赤にして、一歩後ずさった。
「あ、いや、こっちこそ。この本、使うの?」
「……はい。レポートの参考に、と思って」
「マジ? 俺もなんだけど」
「え、本当ですか?」
少しだけ、眼鏡の奥の目が輝いた気がした。
「もしかして、山田先生の近代文学論?」
「そうそう! あのレポート、テーマ広すぎて何書けばいいかわかんなくて」
「……わかります。私も困ってて」
ちょっとだけ、口元がほころんだ。
笑うと──意外と可愛いな、と思った。
「あ、俺、桐谷。桐谷悠真。文学部の二年」
「……七瀬、栞です。同じく文学部の二年です」
七瀬栞。
名前まで文学少女っぽい。
「じゃあさ、この本、先に使っていいよ。俺は後で借りるから」
「いえ、そんな……一緒に見ませんか? その方が効率いいと思うので」
「え、いいの?」
「はい。あの……いつも近くの席にいらっしゃいますよね。お見かけしてました」
(え、向こうも俺のこと認識してたのか)
ちょっとだけ、心拍数が上がった。
その日から、俺と七瀬は一緒に勉強するようになった。
最初はレポートの参考文献を共有するだけだったけど、そのうち他の科目も一緒にやるようになって、気づけば毎日隣同士で座るのが当たり前になっていた。
七瀬は見た目の通り、真面目で頭が良かった。
でも、それだけじゃなかった。
「桐谷くん、この作者の別の作品読んだことありますか?」
「いや、ないけど」
「面白いですよ。主人公がすごくダメな男なんですけど、それが逆にリアルで」
「……それ、俺のこと言ってない?」
「ふふ、言ってませんよ」
笑い方が控えめで、でも目がちゃんと笑ってて。
話してみると面白い子だった。
好きな作家の話になると急に饒舌になるし、俺が変な冗談を言うと、最初は困ったような顔をしてから、少し遅れて笑う。
そのタイムラグが、なんか──可愛かった。
「七瀬って、友達と遊んだりしないの?」
「……あんまり。本を読んでる方が好きなので」
「もったいないな。話してて面白いのに」
「……そう、ですか?」
眼鏡の奥で、瞬きが増えた。
耳が少し赤くなっている。
(やべ、可愛いかも)
そうやって一ヶ月くらい経った頃。
いつものように図書館に行くと、俺の隣の席──七瀬の定位置に、見知らぬ女の子が座っていた。
いや、見知らぬ、っていうか──
黒髪のストレートロング。
白い肌。
整った横顔。
すっと通った鼻筋に、長い睫毛。
制服みたいなブラウスにプリーツスカート。
(……誰だ、このめちゃくちゃ美人は)
控えめに言って、芸能人レベルだった。
こんな子、うちの大学にいたか?
ドキドキしながら近づくと、その女の子がこっちを向いた。
「あ、桐谷くん。おはようございます」
「…………は?」
知ってる声だ。
この控えめな話し方。この声の高さ。
「え、七瀬……?」
「はい」
「え?」
「え?」
「えええええ!?」
周りから「しーっ」と怒られた。
「な、七瀬、お前……え? 眼鏡は? 三つ編みは?」
「あ、コンタクトにしてみました。あと、今日は髪を下ろしてみたんですけど……変、ですか?」
変なわけがない。
変なわけがないだろ。
目の前にいるのは、文句なしの美少女だった。
大きくてくりっとした目。ぱっちりした二重。眼鏡で隠れていた輪郭は、びっくりするくらいシャープで整っていた。
三つ編みをほどいた黒髪はさらさらのストレートで、肩甲骨のあたりまで流れている。
「……変じゃない。全然変じゃない。めちゃくちゃ可愛い」
口が先に動いていた。
七瀬の顔が、みるみる赤くなる。
「っ……あ、ありがとう、ございます」
「いや待って、なんでいきなりイメチェン?」
「……えっと、その」
七瀬は視線を泳がせて、小さな声で言った。
「……桐谷くんに、可愛いって思ってほしくて」
心臓が、どくん、と大きく跳ねた。
(俺に──?)
「もったいないって、言ってくれたじゃないですか。それで、ちょっと……頑張ってみようかなって」
七瀬は耳まで真っ赤にしながら、それでもちゃんとこっちを見て言った。
眼鏡がない分、表情がダイレクトに伝わってくる。
恥ずかしそうで、でも、必死で。
(ずるい。そんなの、ずるいだろ)
「七瀬」
「は、はい」
「今日、この後さ」
「……はい」
「ちょっと付き合ってくんない? 話したいことがある」
図書館を出て、キャンパスの裏手にある小さな庭園に来た。
ベンチが二つあるだけの、人気のない場所。
夕焼けがキャンパスの建物をオレンジに染めていた。
「あのさ」
「はい」
並んでベンチに座って、俺は深呼吸した。
「俺、七瀬のこと──好きだ」
「──っ」
七瀬の目が大きく見開かれる。
「今日のイメチェンでとどめ刺されたけど、たぶんその前から好きだった。図書館で毎日見てた頃から、ずっと気になってた」
「……」
「眼鏡の七瀬も好きだし、今の七瀬も好き。本の話してる時の七瀬が一番好き。だから──」
「わ、私もですっ」
遮るように、七瀬が叫んだ。
「わ、私も……桐谷くんのこと、好き、です。ずっと、好きでした」
声が震えている。目が潤んでいる。
夕日に照らされた七瀬の顔は、本当に綺麗で──
気づいたら、手を握っていた。
小さくて、柔らかくて、少し冷たい手。
「……付き合って、くれる?」
「……はいっ」
七瀬がぎゅっと握り返してくれた。
指が絡み合う。
(やべぇ。心臓うるさすぎる)
それから、俺たちは付き合い始めた。
と言っても、最初はあんまり変わらなかった。
相変わらず図書館で一緒に勉強して、たまにご飯を食べに行って。
手を繋ぐだけでお互い真っ赤になるような、初心なカップルだった。
でも──変わったこともある。
七瀬は時々眼鏡に戻したり、コンタクトにしたり、気分で変えるようになった。
「桐谷くん、今日はどっちがいいですか?」
「え、どっちも好きだけど……今日は眼鏡がいい」
「……ふふ、わかりました」
そういう何気ないやり取りが、たまらなく幸せだった。
付き合って一ヶ月くらい経った頃。
「桐谷くん、今度の土曜日……うちで勉強しませんか?」
「え、七瀬の家?」
「はい。一人暮らしなので、図書館より集中できるかなって」
「お、おう……いいけど」
(一人暮らしの彼女の家……これは、あれだよな……いや、勉強だ。勉強。純粋に勉強だ)
自分に言い聞かせたけど、当日の朝、三回シャワーを浴びた。
土曜日。
七瀬のアパートは、大学から歩いて十分くらいの、古いけど綺麗なワンルームだった。
本棚が壁一面を埋め尽くしていて、いかにも七瀬らしい部屋。
「散らかっててすみません」
「いや、めちゃくちゃ綺麗じゃん」
「お茶、淹れますね」
七瀬は今日はコンタクトで、髪を下ろしていた。
ゆるっとしたニットにショートパンツという部屋着姿が、なんかこう──いつもと違う色気があった。
(落ち着け。勉強だ。勉強しに来たんだ)
ローテーブルに教科書を広げて、並んで座る。
肩が触れる距離。
七瀬の髪から、甘いシャンプーの匂いがする。
「じゃあ、三章から始めましょうか」
「お、おう」
集中しようとした。本当に。
でも、無理だった。
隣にいる七瀬が可愛すぎる。
ノートに何か書いている横顔。時々俺の方をちらっと見て、目が合うとすぐ逸らすところ。
一時間くらい経った頃、俺は限界だった。
「七瀬」
「はい?」
振り向いた七瀬の顔が、すぐ近くにあった。
大きな瞳が俺を映している。
「……キス、していい?」
七瀬の目がさらに大きくなる。
頬がじわじわと赤く染まっていく。
「……はい」
小さく頷いた七瀬の唇に、そっと自分の唇を重ねた。
柔らかい。
甘い。
ちゅ、と小さな音がして離れると、七瀬が潤んだ目でこっちを見ていた。
「……もう一回、していいですか」
七瀬の方から言ってきた。
その言葉に、頭の中のスイッチが切り替わった。
今度はもっと深く、七瀬の唇を食むように口づける。
「ん……っ」
七瀬の小さな声が漏れる。
舌先で唇をなぞると、おずおずと七瀬も口を開いてくれた。
舌が触れ合う。
ぬるりとした感触。甘い味。
「ん、ちゅ……っ、ふ……♡」
七瀬の手が俺のシャツをきゅっと掴む。
キスしながら、七瀬の細い腰に手を回した。
ニット越しに伝わる体温。華奢な体。
唇を離すと、互いに荒い息を吐いていた。
「七瀬……」
「……桐谷くん」
七瀬は真っ赤な顔で、でも逃げずに俺を見ていた。
「……続き、してもいい?」
「……はい♡」
七瀬をそのままベッドに押し倒した。
小さなシングルベッド。綺麗に整えられたシーツの上に、七瀬の黒髪が広がる。
「きれいだ……」
「そんな……恥ずかしいです……♡」
上からのぞき込むと、潤んだ瞳と目が合う。
ゆっくりとニットの裾に手をかけた。
「脱がすよ」
「……はい♡」
ニットを頭からそっと脱がすと、薄いピンクのブラジャーが現れた。
白い肌。細い鎖骨。思っていたよりもずっと豊かな膨らみ。
「七瀬、隠してたな……けっこうあるじゃん」
「いっ、言わないでくださいっ……♡」
七瀬が両手で顔を覆う。その隙間から覗く目が、期待と恥じらいで揺れている。
ブラのホックに手をかけて、外す。
ぷるん、と形のいい胸が揺れた。
薄い桜色の先端が、もう小さく尖っている。
「っ……見ないで……♡」
「無理。可愛すぎる」
左の胸にそっと唇を落とした。
「ひゃっ……♡」
甘い声が漏れる。
舌先で先端をゆっくり転がすと、七瀬の体がびくっと震えた。
「あっ……♡ そこ、敏感で……っ♡」
ちゅう、と吸いながら、右手で反対側の胸を揉む。
手のひらに吸い付くような柔らかさ。
「んっ、あっ♡ き、桐谷くん……♡」
七瀬の手が俺の髪をくしゃっと掴む。
交互に舌を這わせながら、空いた手をゆっくりとお腹の方に滑らせた。
ショートパンツのウエストに指をかける。
「……下も、脱がすよ」
「……♡」
こくん、と小さく頷いた。
ショートパンツをずらすと、おそろいのピンクのショーツ。
その中央が、うっすらと濡れて透けていた。
「七瀬……もう濡れてる」
「っ……だって……♡ キス、気持ちよくて……♡」
ショーツの上から指でそっと触れた。
くちゅ。
「ひっ……♡」
びくん、と腰が跳ねる。
濡れた布越しに、柔らかい割れ目の感触が伝わってくる。
「すごい、トロトロだ……」
「やっ……そんな、言わないで……っ♡」
ショーツをゆっくりとずり下ろす。
薄く毛が生えた丘の下に、うっすらとピンク色の花びらが顔を出した。
透明な蜜が糸を引いている。
「きれい……」
「見ないでぇ……♡」
七瀬が内腿を閉じようとするのを、そっと膝で割り開いた。
「大丈夫。気持ちよくするから」
指先で花びらをそっとなぞる。
くちゅ……くちゅ……
「あっ♡ ああっ♡」
ぬるぬると濡れた蜜を指に絡めながら、ゆっくりとクリトリスを探り当てた。
小さな粒を人差し指でくるくると撫でる。
「ひぅっ♡ そこっ、そこだめぇっ♡」
七瀬の腰がガクガクと震える。
シーツを掴む指が白くなっている。
「だめじゃないでしょ? 気持ちいいんでしょ?」
「き、気持ちいい……ですっ♡ でもっ、変になっちゃう……♡」
くちゅくちゅと音を立てながら、中指をゆっくりと入り口に当てた。
「指、入れるよ」
「……はい♡」
ずぷ……っ♡
「あああっ♡♡」
七瀬の中に指がゆっくりと沈んでいく。
きつい。
熱くて、きゅうきゅうと指を締め付けてくる。
「なかっ……やぁっ♡♡」
「すごい、中あっつい……もう一本いくよ」
二本目の指を追加する。
ずぷ……ずぷ……
「ひぃっ♡♡ ふたつ……♡ おっきい……♡」
二本の指でゆっくりとかき回しながら、親指でクリトリスを同時に刺激する。
くちゅくちゅくちゅ♡
「あっあっあっ♡♡ き、桐谷くんっ♡ なにこれっ♡ 気持ちいいっ♡♡」
七瀬の腰がリズミカルに揺れ始める。
自分から腰を押し付けてきている。
中のひだが指に絡みついて、離さないように吸い付いてくる。
ぐちゅっぐちゅっぐちゅっ♡
「やっ、やばっ……♡ なんか来るっ……きちゃうっ……♡♡」
「いっていいよ。そのままいって」
指の動きを速める。
くちゅくちゅくちゅくちゅっ♡♡
「あああああっ♡♡♡ イっ──イくぅっ♡♡♡」
びくんびくんっ♡♡
七瀬の体が大きく弓なりに反って、中がきゅうっと指を締め付けた。
ぷしゅっ、と蜜が溢れ出して、シーツを濡らす。
「はぁっ……はぁっ……♡♡」
荒い息をつきながら、七瀬がとろんとした目でこっちを見た。
「……すごかった……♡ 桐谷くん、上手……♡」
「いや、七瀬が感じやすすぎ」
「……♡」
まだ余韻に浸っている七瀬が、不意に体を起こした。
「……私も、桐谷くんに気持ちよくなってほしい」
「え?」
七瀬が俺のズボンのベルトに手を伸ばした。
「し、七瀬?」
「……させて、ください♡」
おずおずとした手つきで、ベルトを外し、ジッパーを下ろす。
ボクサーパンツの上から、もう完全に硬くなっているのがわかる。
「わ……♡ 大きい……♡」
「あんまじろじろ見るなって……」
「ご、ごめんなさい……♡ でも、すごくて……♡」
パンツを下ろすと、ぶるんっと跳ね上がった。
七瀬が息を呑む。
「……本当に大きい……♡ これが、私の中に入るんですか……?」
「え、あ、いや……」
「……頑張ります♡」
七瀬が両手でそっと握った。
細い指が竿を包む。ひんやりした手のひらが気持ちいい。
「こ、こうですか……?」
ぎこちない手つきで、上下にゆっくり動かし始める。
「っ、うん……そう、いい感じ……」
「♡」
嬉しそうに微笑んで、七瀬が顔を近づけた。
ちゅ♡
先端に、そっと唇が触れた。
「っ!」
「……味、します♡ 桐谷くんの味……♡」
恥ずかしそうに言いながら、舌先でちろちろと先端を舐め始めた。
ちゅ……ちゅる……ちゅぷ♡
「っ、七瀬……やばっ……」
「こう……ですか? んっ♡」
ぱく、と先端を咥え込んだ。
温かくて、濡れた口の中。舌がうねるように先端をなぞる。
「ん……んむっ♡ れろ……ちゅぷっ♡♡」
ゆっくりと頭を上下させる七瀬。
黒髪がさらさらと揺れて、上目遣いの潤んだ瞳がこっちを見上げる。
(反則だろ、こんなの……)
「じゅるっ……♡ ん、ちゅ……♡ おいしい……♡♡」
「七瀬っ……上手すぎ……」
「ほんとですか……? ふふ♡ んぷっ、ちゅるるっ♡♡」
唾液でてらてらに光る竿を、根元まで咥え込もうとする。
「んぐっ♡♡ おっきくて……全部入らない……♡」
「無理しなくていいよ」
「でもっ……桐谷くんに気持ちよくなってほしいから……♡ んっ、んんっ♡♡」
喉の奥まで押し込んで、ごくりと嚥下する動き。
「っ! やべっ、七瀬、もう限界……」
「えっ♡ もう出ちゃうんですか?」
「出ちゃうっていうか……これ以上されたら中に出したくなる」
「……♡」
七瀬が口を離して、俺を見上げた。
唇が唾液と先走りでてらてらに光っている。
「……中がいいです♡」
「え」
「桐谷くんの……中に、ほしい♡」
とんでもないことを、このうえなく恥ずかしそうに言った。
「……ゴム」
「い、いらないです。今日、安全日だから……♡」
「本当に?」
「……本当です。だから……生で、してください♡」
七瀬を仰向けにして、脚の間に入った。
白い内腿の間で、とろとろに濡れた花びらが蜜を垂らしている。
先端を入り口に当てた。
ぬちゅ……
「ん……っ♡」
「入れるよ、七瀬」
「……はい♡ お願いします……♡」
ゆっくりと腰を押し進める。
ずぷ……ずぷぷ……♡
「あぁっ……♡♡ 入って、くるぅ……♡♡」
きつい。
熱い。
七瀬の中がきゅうきゅうと締め付けながら、奥に引き込んでくる。
「なかっ……あっつい……♡♡ おっきいよぉ……♡♡」
「七瀬も……きっつ……気持ちいい……」
ずぷん♡♡
根元まで入った。
密着した下腹部が触れ合う。七瀬の中で、どくどくと脈動しているのがわかる。
「はぁっ♡ はぁっ♡ 全部……入った……♡♡」
「うん……最奥まで届いてる」
「わかる……♡ お腹の奥まで来てる……♡♡」
「動くよ」
ゆっくりと腰を引く。
ずる……♡
「ひぅっ♡」
そして、また押し込む。
ずぷん♡
「あっ♡♡」
パン♡
「ああっ♡♡」
パンッパンッ♡♡
リズムよく腰を打ちつけ始めた。
「あっあっあっ♡♡ 桐谷くんっ♡ 気持ちいいっ♡♡」
七瀬が俺の背中に腕を回してしがみついてくる。
パンパンパンッ♡♡♡
肌と肌がぶつかる音が部屋に響く。
「すっごいキツい……七瀬の中、最高……」
「わたしもっ♡ 桐谷くんので気持ちいいっ♡♡ おなかの奥、ぐりぐりされてるっ♡♡」
パンパンパンパンッ♡♡♡
ベッドがぎしぎし軋む。
七瀬の細い脚が俺の腰に絡みついた。
「もっと……もっと奥♡♡ 奥突いてっ♡♡」
「七瀬っ……」
角度を変えて、上から突き下ろすように腰を叩きつけた。
ずぱんっ♡♡
「ひぁっ♡♡♡ そこぉっ♡♡♡ そこすごいっ♡♡♡」
子宮口をこつこつと叩くたびに、七瀬が壊れたように喘ぐ。
「あっあっあっあっ♡♡♡ だめっ♡ またイっちゃうっ♡♡ イっちゃうよぉっ♡♡♡」
「俺も──もう限界……っ」
「中にっ♡♡ 中に出してっ♡♡♡ 桐谷くんの、全部ちょうだいっ♡♡♡」
パンパンパンパンパンッ♡♡♡♡
「出る──七瀬っ!」
「きてっ♡♡♡ きてきてきてっ♡♡♡」
どくっ♡ どくどくどくっ♡♡♡
びゅるるっ♡♡♡
「あああああっ♡♡♡♡ なかにっ♡♡ あっつい……♡♡♡ 桐谷くんので……いっぱいになるっ♡♡♡♡」
七瀬の中に、たっぷりと注ぎ込んだ。
どくっ……どく……♡
脈打つたびに、中が搾り取るように締め付けてくる。
「はぁっ……はぁっ……♡♡」
「すご……たくさん出た……♡♡ お腹、あったかい……♡♡」
七瀬がとろけた笑みを浮かべる。
繋がったまま、額の汗を拭った。
「……桐谷くん♡」
「ん?」
「まだ……硬いですよね♡」
「……バレた?」
「だって……中でまだ、元気ですもん♡♡」
七瀬がいたずらっぽく笑って、俺の体を押した。
仰向けにされて、七瀬が上に跨がる。
「七瀬……?」
「私も……動いてみたい♡」
長い黒髪がカーテンのように垂れる。
上から見下ろす七瀬の顔は──色っぽくて、でもどこか愛おしそうで。
七瀬が腰を持ち上げて、自分で位置を合わせた。
「ん……♡ ここ……♡」
ずぷ……ずぷぷぷ……♡♡
「はあぁっ♡♡♡ 上から入ると……もっと奥まで……♡♡」
七瀬が自分の重みでゆっくりと腰を沈めていく。
根元まで呑み込んだ。
「すごい……♡ 一番奥に当たってるっ♡♡」
七瀬が俺の胸に手をついて、ゆっくりと腰を上下させ始めた。
ずちゅっ♡ ぱんっ♡ ずちゅっ♡ ぱんっ♡
「ああっ♡♡ 自分で動くと♡ 好きなところに当てられるっ♡♡」
上から見える七瀬の裸体が最高だった。
揺れる胸。くびれた腰。必死に腰を振る表情。
「七瀬……エロすぎ……」
「えっ♡ そんなこと言わないでぇ……♡♡ でも、嬉しい……♡♡♡」
ぱんっぱんっぱんっ♡♡
七瀬の腰の動きが速くなっていく。
結合部からぐちゅぐちゅと音が響く。さっき出した精液が泡立って、白い泡が混じっている。
「やっ♡ 音っ♡ えっちな音しちゃってるっ♡♡」
「さっきのが中で混ざってるからな……」
「っ♡♡♡ そんなの聞いたら余計興奮しちゃうっ♡♡♡」
ぱんぱんぱんぱんぱんっ♡♡♡♡
七瀬が半ば自棄になったように激しく腰を打ちつけてくる。
「あっあっあっ♡♡♡ きもちいっ♡♡ 桐谷くんの好きっ♡♡ 大好きっ♡♡♡」
「俺もっ……七瀬、好きだ……っ」
七瀬の腰を両手で掴んで、下から突き上げた。
ずぱんっずぱんっずぱんっ♡♡♡
「ひぁっ♡♡♡ したから突かれるのっ♡♡ すごっ♡♡ 壊れちゃうっ♡♡♡」
ぐちゅぐちゅぐちゅっ♡♡♡
「イくっ♡♡ もうイくっ♡♡ 桐谷くんも一緒にっ♡♡♡」
「っ……七瀬っ……」
「中にっ♡♡ また中に出してっ♡♡♡ いっぱい注いでっ♡♡♡♡」
ずぱんずぱんずぱんずぱんっ♡♡♡♡♡
「っ──出る!」
「イくっ♡♡♡♡ イくイくイくぅっ♡♡♡♡♡」
どくっ♡ どくどくどくどくっ♡♡♡♡
びゅるるるっ♡♡♡♡
「あああああーーーっ♡♡♡♡♡ またっ♡♡ また中にいっぱいっ♡♡♡♡ 子宮に当たってるっ♡♡♡♡♡」
びくんびくんびくんっ♡♡♡♡
七瀬の体が痙攣するように震えて、がくんと俺の上に倒れ込んだ。
中がきゅうきゅうと脈打って、最後の一滴まで搾り取られる。
「はぁっ……♡ はぁっ……はぁっ……♡♡」
七瀬の荒い息が首筋にかかる。
汗で湿った肌が密着して、心臓の音が伝わってくる。
どくんどくんと、二人分の鼓動が重なっていた。
しばらくそのまま動けなかった。
七瀬が俺の胸の上で、猫みたいに丸くなっている。
繋がったままの下半身から、とろりと白いものが溢れ出しているのが見えた。
「……すごかった♡」
「……うん。すごかった」
「二回も出してくれた……♡ お腹いっぱい……♡」
「言い方」
「ふふ♡」
七瀬が俺の胸に頬を押し付けながら笑った。
さっきまであんなに乱れていたのに、この笑い方はいつもの七瀬だ。
控えめで、少し遅れて、ゆっくり広がる笑顔。
「……桐谷くん」
「悠真でいいよ」
「……ゆ、悠真くん♡」
「ん?」
「好き♡」
「……俺も好きだよ、栞」
「っ♡ 名前で呼ぶのずるい♡」
「お互い様だろ」
ぎゅっと抱きしめると、七瀬──栞が、幸せそうに目を閉じた。
夕方の光が薄いカーテン越しに差し込んで、部屋をオレンジ色に染めている。
栞の部屋の壁一面の本棚が、柔らかい光を浴びて輝いていた。
「……ねえ、悠真くん」
「ん?」
「あの日、図書館で手が触れた時」
「うん」
「あれ、実は……わざとなんです♡」
「……え?」
「ずっと悠真くんのこと見てたから。話すきっかけが欲しくて……同じ本を取ろうとしたの」
「マジかよ……」
「えへへ♡」
(……こいつ、見た目は清楚系のくせに、やることが大胆すぎないか?)
「じゃあ、コンタクトにしたのも──」
「悠真くんに可愛いって思ってほしかったから。それは本当♡」
「……最初から全部、お前の手のひらの上だったわけ?」
「そういうわけじゃないですよ♡ ただ、ちょっとだけ……本の主人公みたいに、勇気を出してみたんです♡」
栞が俺の胸に指でくるくると円を描く。
「結果は……大成功でしたね♡」
「……参ったな」
溜息まじりに笑って、栞の頭をくしゃっと撫でた。
「でもまあ──俺も最初から気になってたんだから、お互い様だな」
「♡」
栞が嬉しそうに目を細める。
窓の外では、夕焼けがゆっくりと夜に溶けていこうとしていた。
「……そういえば、勉強全然してないね」
「あ」
二人して顔を見合わせて、吹き出した。
テーブルの上には、開いたままの教科書とノート。
結局、一時間分くらいしか進んでいない。
「……また来週、勉強会しましょうか♡」
「それ、本当に勉強する気ある?」
「もちろんですよ♡ ……たぶん♡」
「たぶんって何だよ」
「ふふふ♡」
栞が悪戯っぽく笑って、もう一度俺の唇にキスをした。
ちゅ♡
──こうして、俺と栞の関係は始まった。
図書館の片隅で見つけた、眼鏡の文学少女。
彼女が眼鏡を外したら、びっくりするくらいの美人で。
でも、眼鏡をかけてても、外しても、どっちの栞も──
俺は、世界で一番好きだ。
(了)