これ書くかどうか、正直3ヶ月くらい迷いました。
でもまぁ、誰かに言わないと一生頭ん中でぐるぐるしそうなんで、書きます。身バレ怖いんで、細かいとこはちょっとだけ変えてます。
僕は27歳のSE。身長170、体重58キロ、顔は…まぁ、星野源の悪いとこだけ抽出した感じだと思ってくれれば。決して不細工ではないと思いたいけど、雰囲気がとにかく暗い。中学の頃から女子と話すと手汗がすごくて、大学4年間で女の子とまともに会話した回数、たぶん両手で数えられます。
当然、27歳童貞。
で、なんでデリヘルを呼ぼうと思ったかっていうと、会社の健康診断で産業医に「対人恐怖症の傾向がありますね」って言われたんですよ。薄々わかってたけど、医者に面と向かって言われるとさすがにへこむ。
(このままだと一生このままだろうな…)
職場は99%男で、リモート勤務。秋葉原のオフィスには月2回しか行かない。出会いなんてあるわけがない。
それで、酔った勢いでスマホいじってたら、デリヘルの広告が目に入って。「別にヤりたいわけじゃない、女の子と2人きりで過ごす練習がしたいだけだ」って自分に言い聞かせながら、北千住のデリヘル店に電話しました。
店のおっちゃんに「初めてなんですけど」って言ったら、「じゃあ優しい子つけますね」って。90分コース。税込み24,000円。手が震えながらコンビニでATMから金を下ろしました。
指定されたのは、北千住駅から徒歩8分くらいのビジネスホテル。部屋に入って、ベッドに座って、立ち上がって、また座って、を3回くらい繰り返してるうちにドアがノックされました。
心臓がもう喉のあたりまで上がってきてる感じ。
ドアを開けました。
そこに立ってた女の子を見て、僕は完全にフリーズしました。
肩くらいのボブカット。若干茶色がかった髪。小動物みたいな丸い目。身長は158くらいで、白いブラウスにデニムのスカート。
知ってる顔だった。
去年の3月まで同じプロジェクトで働いてた後輩の、ミキだった。
ミキも僕を見て固まった。3秒くらい、廊下で2人とも石みたいに動けなかった。
「…え」
「…あ」
「…田中さん…?」
僕の名字、仮に田中としますけど、もうその時点で逃げ出したかった。てか実際、一瞬ドア閉めようとしました。
「ま、待って待って!閉めないで!」
ミキが慌ててドアに手をかけてきた。
「入っていい…?とりあえず、廊下で話すのはまずいから…」
それはそう。ホテルの廊下で元同僚と言い合いしてたら通報される。
ミキが部屋に入ってきて、ドアが閉まった。
沈黙。
僕はベッドの端に座って、ミキは入口のとこに立ったまま。
(…終わった。人生終わった。会社にバレる。てか、なんで。なんでミキが)
「あの…田中さん、すごい顔してる」
「…してると思う」
「とりあえず、落ち着こ?私も正直めちゃくちゃ動揺してるんだけど…」
ミキのことを少し説明させてください。
ミキは僕より3つ下の24歳で、SESの会社から常駐で来てた子。橋本環奈をちょっとだけ薄くした感じっていうか、目がくりっとしてて、笑うと頬にえくぼができるタイプ。
正直、プロジェクトの男全員がちょっと意識してた。でも僕はもちろん話しかけられなくて、業務連絡すらSlackで済ませてた。唯一まともに会話したのは、プロジェクトの打ち上げでたまたま隣の席になった時くらい。
そのミキが今、デリヘル嬢として僕のホテルの部屋にいる。
「…びっくりした?」
「びっくりしたっていうか…理解が追いついてない」
「だよね…私も、まさか知り合いに当たるとは思ってなくて…」
ミキが苦笑いしながら、ベッドの反対側の椅子に座った。
「…帰る?その、無理しなくていいから。お金はいいし」
「ううん、そういうわけにもいかないの。お店に戻ったら理由聞かれるし…キャンセルになると罰金もあるから」
「罰金…」
「うん。…ねぇ、田中さん。私がなんでこの仕事してるか、聞かない?」
「…聞いていいの?」
「田中さんになら言えるかも。…会社では絶対言えなかったけど」
ミキは去年の3月に契約終了で抜けたんだけど、本当の理由は、SESの会社が突然潰れたからだった。社長が金持って飛んだらしい。給料の未払いが3ヶ月分あって、その時ちょうどお母さんの手術が重なって。
「お母さん、子宮の病気で。手術費と入院費で120万くらいかかって…保険適用外のやつもあったから」
「それは…きついね」
「バイト3つ掛け持ちしてたんだけど、全然追いつかなくて。で、友達に紹介されて…最初は絶対無理って思ったんだけど」
ミキは膝の上で拳をぎゅっと握ってた。
「慣れちゃうんだよね…それが一番怖い」
僕はなんて言えばいいかわからなかった。「大変だったね」なんて薄っぺらい言葉しか出てこない自分がすごく嫌だった。
「…俺さ、実は今日が初めてなんだよ。デリヘル呼ぶの」
「え、そうなの?」
「うん。しかも呼んだ理由がめちゃくちゃ情けないんだけど…女の子と話す練習がしたくて」
「…練習?」
「産業医に対人恐怖症って言われて。女の人と2人きりになると、手汗がすごくて頭真っ白になるんだよ。だから…慣れたくて」
ミキがちょっと目を丸くして、それから少し笑った。
「田中さん、そうだったんだ。会社にいた時、すごい静かだなとは思ってたけど…」
「ミキさんと話す時とか、特にダメだった。業務連絡すらSlackでしか送れなかった」
「あー、そういえばそうだった。私のこと嫌いなのかなって、ちょっと思ってた」
「いや全然!むしろ…いや、なんでもない」
(むしろ意識しすぎて話せなかったんだよ、とは死んでも言えない)
気がついたら、2人とも少し笑ってた。
「なんか不思議だね。お互い情けない理由でここにいるっていう」
「ほんとだね…」
「ねぇ、せっかくだし普通に話そうよ。お金もったいないし」
「普通にって…何話せばいいの」
「何でもいいよ。あ、田中さん、あの時の打ち上げで何の話してたか覚えてる?」
「…ポケモンの話」
「そう!私がポケモン好きって言ったら、田中さんがめっちゃ語り始めて。あの時だけすごい饒舌だったよね」
「好きなことの話だと出ちゃうんだよ…あの時は後で死ぬほど後悔した。引かれたかなって」
「全然引いてないよ!むしろ楽しかった。普段喋らない人が急に喋り出すのって、ギャップあって面白いなって思ってた」
それから、ポケモンの話とか、プロジェクトの愚痴とか、元上司の話とか、なんかもう普通に盛り上がってしまった。
途中でミキがコンビニで買ってきたお茶を出してくれて、ホテルのベッドに並んで座って、テレビもつけずにだらだら喋ってた。
気づいたらもう60分くらい経ってた。
「ねぇ田中さん、今、手汗出てる?」
言われて自分の手を見た。
…出てなかった。
「…出てない」
「ほら。練習、成功じゃん」
ミキが笑った。えくぼが出た。
(…あ、やばい。これ、ダメなやつだ)
自分の心臓がさっきとは違う理由でばくばくしてるのに気づいた。さっきは恐怖だった。今のは…違う。
「ねぇ、田中さん…あと30分あるんだけど」
「うん」
「…このまま話してるだけでもいいし…その…」
ミキが言いにくそうにしてた。
「仕事だから、やることやらないと、私の評価に関わるっていうか…」
「あ…そっか」
「嫌なら全然いいんだけど。無理にとは…」
「嫌じゃない。…嫌じゃないけど、ミキさんは?本当にいいの?知り合いと、その…」
「…田中さんだから、いい」
その言い方が、仕事のそれじゃなかった。少なくとも僕にはそう聞こえた。
(いや待て。冷静になれ。この子はプロだ。こういう言い方するのが仕事なんだ。勘違いするな)
でもミキの目が潤んでて、拳をまだぎゅっと握ってて。
「知らないおじさん相手より…全然…」
その声が、すこし震えてた。
僕はたぶん、この時もっとちゃんと考えるべきだった。でも、27年分の孤独と、ミキの寂しそうな横顔が重なって、頭がうまく回らなかった。
「…じゃあ」
ミキが僕の隣に座り直して、肩がくっついた。
「キス…していい?」
「…うん」
ミキが僕の顔を両手で包んで、唇を合わせてきた。
柔らかかった。すごく柔らかくて、ミキの唇がちょっと震えてるのがわかった。
10秒くらい触れてるだけのキスをして、ミキが少し離れた。
「…田中さん、目つぶってた?」
「…つぶってた」
「かわいい」
(27歳男が初キスで目つぶってるのを「かわいい」って言われるの、嬉しいのか情けないのかよくわからない)
でもミキが笑ってくれたから、まぁいいかって思った。
もう一回キスした。今度はミキが舌を入れてきて、僕はそれにぎこちなく応えた。歯がちょっとぶつかった。
「ふふ…もうちょっと力抜いて」
「ごめん…初めてで」
「謝んないで。…ゆっくりでいいから」
ミキが僕のTシャツの裾をつまんだ。
「脱がしていい?」
「あ、うん…でも、あの、腹筋とか全然ないよ」
「いいよそんなの」
Tシャツを脱がされた。ミキが僕の胸のあたりに手を置いた。
「心臓、すごい」
「…やばいよね」
「ううん。…なんか安心する」
ミキが自分のブラウスのボタンを外し始めた。指先がすこし震えてて、3つ目のボタンで止まった。
「…ごめん、知り合いの前だと…恥ずかしい…」
「無理しなくていいから」
「ううん、大丈夫…田中さん、外して」
僕の手もめちゃくちゃ震えてた。ボタンを外すのに普通の3倍くらい時間かかった。
ブラウスが脱げて、薄いピンクのブラが見えた。Cカップくらいだと思う。鎖骨がきれいだった。
「…きれいだね」
「お世辞でも嬉しい…」
「お世辞じゃない」
ミキの目がうるっとした。
(いや、泣かれると困るんだけど…俺のほうが泣きたい)
ミキが僕の手を取って、自分の胸に導いた。ブラ越しに、柔らかい感触と、ミキの心臓の音が伝わってきた。
「…私も、すごいでしょ」
ミキの鼓動も速かった。それが嘘じゃないってわかった瞬間、なんか、すごくほっとした。
ブラを外した。手が震えてうまくいかなくて、ミキが「後ろのホックだよ」って笑いながら教えてくれた。
胸に直接触れた。柔らかくて、あったかくて、ミキが小さく息を漏らした。
「ん…」
僕は正直、何をどうすればいいかほとんどわかってなかった。AVで見た知識しかない。
「…ごめん、下手だと思う」
「いいよ…好きにして。…嫌な時は言うから」
ゆっくり揉んだ。乳首をそっと指で触ると、ミキが息を詰めた。
「あ…そこ…感じる…」
ミキが僕の首に手を回してきて、耳元でささやいた。
「田中さん…下、触って…」
スカートの中に手を入れた。太ももの内側がすべすべで、指先が下着に触れた。
(…濡れてる)
それが仕事だからなのか、本当に感じてるのか、僕にはわからなかった。でも確かめるのが怖くて、聞けなかった。
下着をずらして直接触れた。ミキが腰をびくってさせた。
「んっ…ゆっくり…ね」
クリトリスのあたりを指でなぞると、ミキの太ももが閉じかけて、また開いた。
「あ…田中さん…上手い…っ」
「嘘でしょ。初めてだよ」
「嘘じゃない…優しいから…気持ちいい…」
ミキの声が変わっていくのが、正直、信じられなかった。こんな子が僕の指で…って。
(いや、仕事だから。演技かもしれない。でも…)
ミキが僕のズボンに手を伸ばしてきた。
「私にも…触らせて」
ファスナーを下ろされて、下着の上から握られた。もうとっくにカチカチだった。恥ずかしかった。
「…すごい硬い」
「…あんまり見ないで」
「なんで」
「恥ずかしいから…」
ミキが下着をずらして直接握ってくれた。柔らかい指が竿を包んで、ゆっくり動かしてくる。
「っ…」
「気持ちいい…?」
「…やばい。すぐ出そう…」
「いいよ、出して。…でも、中がいいな」
「え…」
「ゴムつけてだけど…田中さんの最初、私がもらっていい…?」
その言葉を聞いた瞬間、脳が完全にバグった。
(いいのか。本当にいいのか。これ。この状況。元同僚と。しかも初めてを。デリヘルで。)
でも体は正直で、むしろそう言われたことで余計に硬くなった。
ミキがポーチからゴムを出して、僕につけてくれた。指がすこし震えてたのが見えた。
「…緊張する」
「…俺もめちゃくちゃ緊張してる」
ミキが仰向けになって、スカートをたくし上げた。下着はもう片方の足首のあたりまで下ろされてて、僕はその上に覆いかぶさった。
手が震えて、うまく入らない。先端を当てるのに何回も失敗して、ミキが手を添えて導いてくれた。
「ここ…ゆっくり入れて」
先端が入った瞬間、あまりの感触に声が出た。
「っ…あ…」
「ん…大丈夫…もっと奥まで…」
ゆっくり、少しずつ入れていった。ミキの中が僕を包む感覚は、今まで経験したどんなものとも違った。あったかくて、きつくて、生きてる感じがした。
(これが、セックスなのか…)
「ん…全部、入った…?」
「うん…」
「動いていいよ…」
ゆっくり腰を動かした。3回動いただけで、もう限界が近かった。
「ごめん…もう出そう…」
「いいよ…出して…」
情けないくらいあっという間だった。腰の奥からぶわっと何かがせり上がってきて、全身がびくってなった。
「っ…!」
ミキが僕の背中に手を回して、ぎゅっと抱きしめてくれた。
「…頑張ったね」
射精のあとの脱力感の中で、ミキの心臓の音が聞こえた。
(なんだこれ…涙出そう)
本当に目の奥が熱くなって、やばかった。27年間、誰にもこんなふうに触れられたことがなかったから。
「…ミキさん」
「ん?」
「ありがとう」
「…なんでお礼言うの」
「わかんない。でも言いたかった」
ミキが僕の頭を撫でた。指の腹でこめかみのあたりをゆっくりなぞられて、意識が溶けそうだった。
しばらくそのまま横になってた。ゴムを外して、ティッシュで処理して。恥ずかしいけど、ミキは何も言わずに待っててくれた。
「ねぇ…田中さんは、私のこと軽蔑してる?」
急に聞かれて、ドキッとした。
「してない。するわけないだろ」
「…ほんとに?」
「むしろ…ミキさんが色々大変だったの知って、何もできない自分が情けない」
「何もできないって…田中さん、さっき私の話、ちゃんと聞いてくれたじゃん」
「そんなの誰でもできるよ」
「…できないよ。この仕事してて、ちゃんと目を見て話を聞いてくれる人なんて、ほとんどいない」
ミキが天井を見ながら言った。
「みんな、私のこと"モノ"みたいに扱うから」
その言葉が、胸にずしっときた。
タイマーが鳴った。90分、終わり。
ミキが身支度を整えながら、ポーチからメモ帳を取り出した。
「これ…私の本当のLINE。仕事用じゃないやつ」
小さな紙にIDが書かれてた。
「迷惑じゃなかったら…たまに連絡してほしい。…別にお客としてじゃなくて」
「…いいの?」
「田中さんだから、いいの」
さっきも同じこと言ってた。その言葉の意味を、僕はまだちゃんとわかってなかったと思う。
ミキがドアのところで振り返った。
「ねぇ田中さん。今度会う時は、ポケモンの話、もっと聞かせて」
そう言って、少し泣きそうな顔で笑って、ドアが閉まった。
一人になった部屋で、僕はベッドに大の字になって天井を見てた。
手のひらを見た。汗は出てなかった。代わりに、ミキの体温がまだ残ってるみたいで、ずっと手を握ったり開いたりしてた。
その夜、家に帰ってからLINEを追加した。既読はすぐについた。
「ありがとう。おやすみ、田中さん」
「おやすみ。…今度、ポケモンの新作、一緒にやらない?」
「え、いいの?やりたい」
スマホの画面がぼやけた。なんでかわからないけど、泣いてた。
24,000円で僕が手に入れたのは、90分の性的サービスじゃなかった。27年分の孤独に、初めて誰かの手が届いた感覚だった。
これを恋と呼んでいいのかは、まだわからない。ミキにとって僕がただの「マシな客」だった可能性も否定できない。
でも、あの時ミキの心臓がちゃんと速くなってたこと、指が震えてたこと、あれが全部演技だったなら、僕はもう何も信じられない。
来週の土曜日、秋葉原のポケモンセンターで待ち合わせしてる。デリヘルの予約じゃない。普通の、たぶん初めてのデートだ。
その話は、また今度書きます。