これ、書いていいのかわからないけど、もう3年経つし時効ってことで書かせてください。
当時、俺は26歳。川崎の武蔵小杉駅から徒歩12分の1LDKに一人暮らししてた。IT系の中小で、まぁ年収でいうと420万くらい。顔面偏差値は48がいいとこ。よく言われるのは「雰囲気が千鳥のノブに似てる」で、つまり不細工ではないけどモテるタイプでもない。身長172。彼女いない歴2年半。
で、うちの兄貴なんですけど、これがまたどうしようもない男で。3つ上の29歳で、溝の口のアパートに嫁さんと住んでた。仕事はまじめにやるタイプなんだけど、競馬とパチにハマってて。正月に実家帰った時も「東京大賞典で30万溶かした」とか笑いながら言ってて、親父にぶん殴られてたっけ。
そんな兄貴から、ある火曜の夜に電話がかかってきた。
(また金の話だろうな…)
案の定だった。消費者金融に200万借りてて、利息込みで返せなくなってると。「親には言えない、頼む」って。
正直、貸したくなかった。でも義姉さん——兄貴の嫁の顔が浮かんだ。あの人がこの件で苦しむのは違うだろって思って、結局、俺の貯金から200万を兄貴の口座に振り込んだ。ボーナス3回分くらい。泣きたくなった。
ここまでが前提。本題はここから。
振り込んだ翌週の土曜、義姉さんからLINEが来た。「直接お礼が言いたい」って。俺は別にいいですよって返したんだけど、「じゃあ今夜ごはん作りに行っていい?」と。
断る理由もなかったので「どうぞ」って送ったら、19時ぴったりにインターホンが鳴った。
ドアを開けたら、義姉さんが両手にスーパーの袋を下げて立ってた。
義姉さん——ここでは「姉さん」って書くけど——は当時31歳。背は162くらいで、顔は若い頃の石田ゆり子にちょっと似てる感じ。目元が柔らかくて、怒ってても怒ってないみたいに見えるタイプ。胸はたぶんEくらい。ニットとか着るとわかるんだけど、普段からあんまり強調しない服を選んでるっぽかった。結婚式で初めて会った時、正直「兄貴にはもったいない」って思った。それは今でも変わってない。
「ユウくん、ほんとにごめんね。あの人のこと」
「いや、姉さんが謝ることじゃないでしょ」
「でも…200万なんて。私、なにもできなくて」
「兄貴がちゃんと返してくれればいいだけっすよ」
(返す気あんのかあいつ)
姉さんはキッチンに立つと、手際よく肉じゃがと味噌汁と、あと小松菜のおひたしを作ってくれた。一人暮らしの男のキッチンに女の人が立ってるっていう絵面だけで、なんか妙にドキドキした。いや、義姉だぞ。落ち着け。
「ユウくんの冷蔵庫、ビールとキムチしか入ってなかったんだけど」
「…生きてはいけるんで」
「生きてるだけじゃダメでしょ。ちゃんと食べなきゃ」
肉じゃがはマジで美味くて、3杯おかわりした。姉さんは嬉しそうに笑ってて、「また作りに来ていい?」って聞いてきた。
「いいっすよ」って軽く答えた。
これが、全部の始まりだった。
次の週から、姉さんは週3ペースでうちに来るようになった。火・木・土。律儀に毎回スーパーの袋を下げて来て、メシを作って、一緒に食べて、洗い物して帰る。最初は「お礼」って言ってたけど、だんだん理由を言わなくなった。
俺も最初は気を遣ってたけど、2週間もすれば慣れた。テレビ見ながら「今日のハンバーグうまかったっす」とか言って、姉さんは「でしょ?」って笑って。なんだろう、新婚みたいだなって思って、すぐに打ち消した。
(いやいや、兄貴の嫁だぞ)
3週目くらいから、姉さんの様子がちょっと変わってきた。目の下にクマができてたり、LINEの返信がいつもより遅かったり。
「姉さん、なんかあった?」
「え? ないよ?」
「嘘つかないでくださいよ。顔に出てますよ」
「……」
少し黙ったあと、姉さんがぽつぽつ話し始めた。兄貴が最近また夜遊びを始めたこと。朝帰りが増えたこと。問い詰めたら逆ギレされたこと。
「私のこと、もう好きじゃないのかな」
その声がすごく小さくて、聞こえないふりをすることもできた。でもしなかった。
「……兄貴はバカなんすよ。姉さんの価値わかってない」
「ユウくんは優しいね」
「優しくないっすよ。事実を言ってるだけで」
姉さんが泣いた。声を出さずに、ぽろぽろと。俺はどうしていいかわからなくて、ただティッシュの箱を差し出すことしかできなかった。
(俺がこの人を抱きしめたら、終わりだ)
そう思った。思ったけど、動かなかった。まだ。
4週目の木曜日。いつも通り姉さんがメシを作りに来て、一緒に食べた。その日はグラタンだった。
「ユウくん、お酒飲む? ワイン買ってきたんだけど」
「お、いいっすね」
普段は姉さんもそんなに飲まないんだけど、その日はグラス3杯くらい空けてた。頬がほんのり赤くなって、目がとろんとしてきてた。
「ねぇ、ユウくん」
「はい」
「なんで彼女いないの?」
「え、急に」
「だって、こんなに優しくて、ちゃんとしてるのに」
「いや、俺は別にちゃんとしてないっすよ。冷蔵庫にビールとキムチしか入ってなかった男ですよ?」
「あはは、それはそうだけど」
姉さんが笑った。でもその笑い方が、なんかいつもと違った。寂しそうっていうか、確かめるような目をしてた。
「……私じゃ、ダメ?」
一瞬、意味がわからなかった。
「え?」
「ごめん、今の忘れて」
「いや、忘れられないっすよそんなの」
姉さんが立ち上がろうとして、ふらついた。酔ってたんだと思う。俺が腕を掴んで支えたら、そのまま俺の胸に倒れ込んできた。
「……ごめん」
「姉さん」
「わかってる。ダメなのはわかってるの。でも……」
石田ゆり子似の顔が、至近距離で俺を見上げてた。目が潤んでて、唇が少し開いてて。
(ダメだ。絶対ダメだ。兄貴の嫁だぞ)
頭ではわかってた。わかってたけど、体が動かなかった。正確に言うと、離せなかった。
「……俺、たぶん、姉さんに最初に会った時から、ちょっとおかしかったんだと思います」
自分でも何言ってるかわからなかった。でも嘘じゃなかった。
「ユウくん……」
「でも兄貴の嫁だから。ずっと、見ないようにしてた」
姉さんの目から涙がこぼれた。さっきとは違う涙だった。
「私も……ずっと。ユウくんに会うたびに、帰りたくないって思ってた」
もうダメだった。理性とか倫理とか、全部溶けた。
姉さんの顔を両手で包んで、キスした。ワインの味がした。姉さんが俺のシャツを掴んで、離さなかった。
「んっ……」
唇を離した時、姉さんが「ダメだよね」って小さく言った。でもその手は俺のシャツを掴んだままだった。
「ダメっすね」って俺も答えた。でも姉さんを放す気は1ミリもなかった。
もう一度キスした。今度は深く。舌が絡んで、姉さんの吐息が口の中に入ってきて、頭がぐらぐらした。
姉さんを抱き上げてベッドに運んだ。1LDKの狭い部屋で良かったと初めて思った。3歩で着く。
ベッドに降ろしたら、姉さんが俺の顔を見て言った。
「……優しくしてね」
「当たり前じゃないっすか」
ニットを脱がせた。白いブラの下に、思ってたよりずっと大きい胸があった。
「……でかいっすね」
「そういうこと言う? 今?」
「いや、褒めてるんですけど」
「褒め方……」
笑ってくれた。よかった。重い空気のまま始めたくなかった。
ブラを外した。Eカップはやっぱり嘘じゃなくて、形もきれいだった。乳首がもう少し尖ってて、触る前からちょっと硬くなってた。
指先で触れたら、姉さんが小さく「あっ」って声を出した。
(この声は、兄貴しか聞いたことないやつだ)
そう思ったら背徳感で余計に興奮した。最低だと思う。でも止まれなかった。
胸を揉みながらキスして、首筋に唇を這わせた。姉さんの手が俺の背中に回って、爪が食い込んだ。
「ん……っ、ユウくん……」
名前を呼ばれるだけで、下が限界になりそうだった。
スカートに手をかけたら、姉さんが自分で腰を浮かせてくれた。下着は薄いピンクで、なんか人妻っぽくなくて可愛かった。
「見ないでよ……恥ずかしい」
「無理っす」
下着越しに触ったら、もう濡れてた。指を滑らせると、姉さんが太ももを閉じて俺の手を挟んだ。
「や……そこ、敏感で……」
下着をずらして直接触った。ぬるっとした感触が指に伝わってきて、姉さんが声を殺すように唇を噛んだ。
「あっ……んっ……」
クリを親指で転がしながら、中に指を入れた。きゅっと締まって、指が吸い込まれるみたいだった。
「ユウくん……もう、入れて……」
「いいんすか」
「うん……」
コンドームを取りに行こうとしたら、姉さんが腕を掴んだ。
「……いい。そのままで」
「えっ、でも」
「大丈夫。今日は安全な日だから」
(いやそれを信じていいのか)って一瞬思ったけど、もう判断力なんか残ってなかった。
姉さんの脚の間に体を入れて、先端を当てた。熱くて、濡れてて、あてがっただけで気持ちよかった。
ゆっくり入れた。
「っ……あ、ぁ……」
姉さんが目をぎゅっとつぶった。俺も声が出そうだった。中がとろとろに柔らかくて、でも奥の方がきゅっと吸いついてきて。
(やばい。これ、マジでやばい)
快感っていうより、もう全身が痺れる感じだった。好きな人の中に入ってるっていう事実だけで、頭がおかしくなりそうだった。
「姉さん……動くよ」
「うん……」
ゆっくり腰を引いて、また奥まで。姉さんが俺の首に腕を回して、しがみついてきた。
「ん……っ、あっ……ユウくん、ユウくん……」
名前を繰り返すみたいに呼ばれて、もうダメだった。背徳感と快感と、あと「この人を守りたい」みたいな感情がぐちゃぐちゃに混ざってた。
自分が何をしてるかわかってた。兄貴の嫁を抱いてる。最低なことをしてる。でも止められない。止めたくない。
姉さんが俺の耳元で囁いた。
「もっと……強くしていいよ」
腰の動きを早くした。ベッドが軋む音と、肌がぶつかる音と、姉さんの声が部屋に響いた。
「あっ、あっ、ん……っ! すごい、奥……っ」
姉さんの中がきゅうきゅう締まってきて、もう限界だった。
「姉さん、もう出る……っ」
「うん……いいよ、出して……」
「中に……っ」
「うん……中に出して……っ」
腰を押し付けて、奥で全部出した。
「あ……っ!」
姉さんが俺を抱きしめたまま、体をびくっと震わせた。
しばらくそのまま動けなかった。姉さんの心臓の音が聞こえてた。速かった。俺のも。
繋がったまま、姉さんが俺の髪を撫でた。
「……最低だね、私たち」
「……っすね」
「でも……後悔してない」
「俺も」
嘘じゃなかった。
抜いた時に、中からどろっとしたものが流れ出てきた。姉さんが恥ずかしそうに脚を閉じたけど、俺はそれすらきれいだと思った。(頭おかしいな)
ティッシュで拭いてあげたら、姉さんがまた泣きそうな顔をした。
「こういうの……あの人にされたことない」
それを聞いた時、胸が痛かった。怒りなのか、悲しみなのか、よくわからなかった。ただ、もう一回抱きしめた。
「姉さん。もう一回、していいすか」
「……うん」
2回目は、さっきより少し落ち着いてた。姉さんを後ろから抱きしめるような体勢で、ゆっくり動いた。姉さんが俺の手を握って、自分の胸に当てた。何も言わなくても伝わるものがあった。
「んっ……ユウくん、好き……」
「俺も……好きです、姉さん」
2回目は時間がかかった。さっきとは違って、お互い味わうみたいにゆっくりで。姉さんが先にイって、中がぎゅうって締まった瞬間に俺もイった。
終わったあと、裸のまま並んで天井を見てた。武蔵小杉の夜景が少しだけカーテンの隙間から見えた。
「ねぇ、これから……どうするの、私たち」
「……わかんないっす」
「正直だね」
「嘘ついてもしょうがないでしょ」
姉さんが寝返りを打って、俺の胸に頭を乗せた。
「私ね、離婚するつもりなの」
「……え?」
「ユウくんのことがあったからじゃないよ。その前から、もう決めてた」
「……」
「あの人、女がいるの。たぶん」
知らなかった。兄貴にそんな甲斐性があるとも思ってなかった。
「だから今夜のことは……逃げじゃないよ。少なくとも私にとっては」
「……俺にとっても、逃げじゃないです」
強がりじゃなかった。たぶん。
姉さんは結局、その夜は帰らなかった。朝5時に起きて、味噌汁を作って、「じゃあね」って笑って帰っていった。
その後のことは長くなるから端折るけど、姉さんは本当に離婚した。兄貴の浮気が確定して、慰謝料で俺が立て替えた200万もほぼ相殺された。親父はブチギレてたけど、俺と姉さんのことは誰にも言わなかった。
今、姉さんは——もう「姉さん」じゃないんだけど、癖で呼んじゃう——川崎じゃない場所で、俺と一緒に住んでる。詳しくは書かないけど、都内某所の2LDK。
あの夜の肉じゃがの味は、たぶん一生忘れない。
冷蔵庫にはちゃんと野菜が入ってます。